説明

屋根上太陽電池モジュール設置構造

【課題】横葺き屋根材のはぜ部を利用して固定される支持金具を用いて屋根に太陽電池モジュールを設置するとともに当該太陽電池モジュールと上記横葺き屋根材の混在感を解消または軽減して良好な美観を得る。
【解決手段】金属横葺き屋根材3のはぜ部を利用して支持金具1が固定されており、この支持金具1によって架台6が取り付けられ、この架台6に太陽電池モジュール7が固定される。上記太陽電池モジュール7のケラバ側の縁面と鋼板ケラバ破風106の内側縁とが間隔D2をおいて対面しており、上記間隔D2は200mm以内とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋根上に太陽電池モジュールが設置された屋根上太陽電池モジュール設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根上に太陽電池モジュールを設置する構造として、太陽電池モジュール自体を瓦として屋根上に配置する構造が特許文献1に開示されており、更に、この特許文献1には、通常の瓦部分と上記太陽電池モジュールとの間に連続性を持たせるように化粧カバーを配置することが開示されている。また、特許文献2には、横葺き屋根材のはぜ部(屋根材同士の接続箇所)に固定される支持金具を用いて屋根に太陽電池モジュールを設置する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−317598号公報
【特許文献2】特開平10−231591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている屋根構造では、瓦の領域と太陽電池モジュールの設置領域とが一つの屋根面に混在して見えるため、良好な美観が得られないという欠点がある。また、上記特許文献2に開示されている屋根構造でも、太陽電池モジュールの設置箇所以外は横葺き屋根材が露呈し、太陽電池モジュールと上記横葺き屋根材の混在感が生じて良好な美観が得られないという欠点がある。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、横葺き屋根材のはぜ部を利用して固定される支持金具を用いて屋根に太陽電池モジュールを設置するとともに当該太陽電池モジュールと上記横葺き屋根材の混在感を解消または軽減して良好な美観を得ることができる屋根上太陽電池モジュール設置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の屋根上太陽電池モジュール設置構造は、上記の課題を解決するために、横葺き屋根材のはぜ部を利用して固定される支持金具を介して太陽電池モジュールが屋根面に設置されており、屋根のケラバ側に位置する太陽電池モジュールのケラバ側の縁とケラバ構成部材との間隔、または上記ケラバ構成部材に隣接して上記横葺き屋根材を覆うように配置されたケラバ化粧部材との間隔が200mm以内とされていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、屋根のケラバ側に位置する太陽電池モジュールのケラバ側の縁とケラバ構成部材との間隔、または上記ケラバ構成部材に隣接して上記横葺き屋根材を覆うように配置されたケラバ化粧部材との間隔が200mm以内とされるので、少なくとも上記ケラバ側での上記横葺き屋根材の露呈が解消または軽減されることになり、上記太陽電池モジュールと上記横葺き屋根材の混在感を解消して良好な美観を得ることができる。
【0008】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の棟側に位置する太陽電池モジュールと棟構成部材との間には上記横葺き屋根材を覆うように棟化粧部材が配置されているのがよい。かかる構成であれば、棟側でも上記横葺き屋根材の露呈が解消または軽減されることになる。
【0009】
また、上記棟化粧部材は上記太陽電池モジュールの裏面側の空間に連通する通気部を有していてもよい。かかる構成であれば、上記太陽電池モジュールの裏面側に形成される空気流を棟側に通過させて上記太陽電池モジュールの温度上昇を抑制し発電効率を良好に保つことができる。
【0010】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端が上記屋根の軒先に位置する横葺き屋根材の水下端よりも外側位置に存在するのがよい。かかる構成であれば、上記屋根の軒先においても上記横葺き屋根材の露呈が解消または軽減されることになる。
【0011】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先には、上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端から下方側に向かうように位置する軒先カバーが配置されているのがよい。かかる構成であれば、上記屋根の軒先に位置する上記横葺き屋根材の水下端が上記軒先カバーによって見えにくくなり、更に美観が向上する。
【0012】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先には、上記横葺き屋根材の水下端を受け止める第1受け部と上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端を受け止める第2受け部を有する受け金具が配置されているのがよい。かかる構成であれば、上記横葺き屋根材の水下端の裏面側を受け止める金具と上記太陽電池モジュールの水下端を受け止める金具を別々に用意して配置する必要がなくなり、施工性が向上する。
【0013】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記横葺き屋根材よりも単位面積当たりの重量が重い屋根材が葺かれていてもよい。かかる構成であれば、屋根の重量バランスが得られやすくなる。一方、上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記横葺き屋根材と単位面積当たりの重量が同じまたは軽い屋根材が葺かれていてもよい。かかる構成であれば、屋根の全体重量の軽量化が図れる。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、横葺き屋根材のはぜ部を利用して固定される支持金具を用いて屋根に太陽電池モジュールを設置するとともに当該太陽電池モジュールと上記横葺き屋根材の混在感を解消して良好な美観を得ることができる等の諸効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る屋根上太陽電池モジュール設置構造を示した説明図である。
【図2】同図(A)及び同図(B)は図1の部分拡大図である。
【図3】同図(A)は図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造の一方の側のケラバ部分を示した説明図であり、同図(B)は他方の側のケラバ部分を示した説明図である。
【図4】図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造の棟部分を示した説明図である。
【図5】図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造の軒先部分を示した説明図である。
【図6】同図(A)は図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造の軒先部分に配置される金具の正面図であり、同図(B)は平面図であり、同図(C)は側面図である。
【図7】同図(A)は図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造で用いた支持金具の平面図であり、同図(B)は側面図である。
【図8】同図(A)は図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造で用いた補強金具の平面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は側面図である。
【図9】同図(A)、(B)、(C)は図1の屋根上太陽電池モジュール設置構造を得る前段階として、野地板上に金属横葺き屋根材及び支持金具を取り付けていく工程を示した説明図である。
【図10】図9に示した作業により野地板上に金属横葺き屋根材及び支持金具が配置された屋根構造を示した説明図である
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、この発明の実施形態に係る屋根上太陽電池モジュール設置構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る屋根上太陽電池モジュール設置構造は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0017】
図1はこの発明の実施形態に係る屋根上太陽電池モジュール設置構造を示した説明図である。屋根100の野地板101上に複数枚の金属横葺き屋根材3が配置されており、この金属横葺き屋根材3のはぜ部30を利用して支持金具1が固定されている。この支持金具1の本体1aには架台固定用長穴1bが形成されており、上記架台固定用長穴1bを通して取付用ボルト・ナット2におけるボルトが挿通され、この取付用ボルト・ナット2によって上記支持金具1上に架台6が取り付けられる。そして、上記架台6の上面に設けられている固定部61に太陽電池モジュール7が固定支持される。上記太陽電池モジュール7は上記屋根100の全体を利用して敷きつめられている。なお、軒先の鼻隠し102には樋103が固定されており、上記樋103と外壁パネル104との間には軒天板105が配置されている。
【0018】
図2(A)及び図2(B)は図1に示した上記架台6の配置箇所を拡大して示した拡大図である。上記架台6は例えば折り曲げ加工された鋼板からなる本体部の上面にアルミニウム材からなる固定部61をビス63により固定したものである。上記ビス63が螺合されるナット部62は複数箇所に形成されており、上記本体部に対する上記固定部61の固定位置を変更できるようになっている。上記固定部61は、水下側の太陽電池モジュール7の縁を受け止める受け部分と水上側の太陽電池モジュール7の縁を受け止める受け部分とが背向状態に形成された断面略エ字形状を有する。そして、上記固定部61の上記受け部分と太陽電池モジュール7の縁との間にはパッキン部材61aが装着されている。なお、上記架台6の上記取付用ボルト・ナット2が装着される側とは反対の側の下端部に凸片部を設けておき、この凸片部を上記架台固定用長穴1bに係止させて当該架台6の移動を規制するようにしていてもよい。
【0019】
図3(A)及び図3(B)は、上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造におけるケラバ箇所を示した説明図である。図3(A)に示した構造では、屋根のケラバ側に位置する太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁と鋼板ケラバ破風(ケラバ構成部材)106との間に上記金属横葺き屋根材3を覆うようにケラバ化粧部材108を設けている。
【0020】
上記ケラバ化粧部材108は、上記鋼板ケラバ破風106の上面から上記太陽電池モジュール7Aの上面にかけてフラットとなるようにその高さが設定されている。そして、上記ケラバ化粧部材108のケラバ側縁部は、上記鋼板ケラバ破風106の上面を通ってその側面に至り、ビス106aによって上記鋼板ケラバ破風106に固定される。また、このケラバ化粧部材108の屋根側の端部には、上記太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁と対面する箇所で下り段部を形成し、当該ケラバ側の縁の裏面側に入り込む形状を有し幅が80mm程度の固定金具108aが設けられている。この固定金具108aは、上記支持金具1に固定されている。また、上記固定金具108aと上記ケラバ化粧部材108の重なり部分にはブロック部材108bが配置されており、このブロック部材108bに上記ケラバ化粧部材108と上記固定金具108aがビス108cにより留め付けられている。そして、上記太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁面と上記ケラバ化粧部材108の端面との間隔D1は200mm以内(好ましくは100mm以内乃至は50mm以内)とされている。
【0021】
一方、図3(B)に示した構造では、屋根のケラバ側に位置する太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁面と上記鋼板ケラバ破風106の内側縁とが間隔D2をおいて対面している。上記鋼板ケラバ破風106の内側縁は屋根側に突き出て上記金属横葺き屋根材3の縁の上方に臨むようになっている。上記間隔D2は200mm以内(好ましくは100mm以内乃至は50mm以内)とされており、この実施例では27mmとしている。なお、上記屋根100の両側ケラバが上記図3(A)に示した構造或いは図3(B)に示した構造を採るようにしてもよいし、一方のケラバが図3(A)に示した構造を採り、他方のケラバが図3(B)に示した構造を採るようにしてもよい。
【0022】
図4は、上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造における棟箇所を示した説明図である。上記屋根100の棟側に位置する太陽電池モジュール7Bと棟換気部カバー(棟構成部材)110と間には棟化粧部材109が上記金属横葺き屋根材3を覆うように配置されている。上記棟化粧部材109の水下側端は上記架台6の固定部61上に達しており、上記棟化粧部材109は太陽電池モジュール7Bの表面に対してフラットとなるように配置されている。上記棟化粧部材109の水下側の裏面には断面形状が略Z形状で幅が50mm程度である固定金具109aの一端側がビス等により固定されており、この固定金具109aの他端側は棟端支持金具1Eに上記取付用ボルト・ナット2を用いて固定される。上記固定金具109aは上記のように幅が50mm程度で互いに間隔をおいて配置されるので、上記太陽電池モジュール7Bの水上側が上記棟化粧部材109によって閉じられてしまうことはない。また、上記棟化粧部材109の水上側には段状に立面部が形成され、更に上記棟化粧部材109の水上側の縁は上記棟換気部カバー110における内カバー部の下側に差し込まれており、ビス111によって固定されている。そして、上記立面部には通気穴109bが複数個形成されている。すなわち、上記棟化粧部材109は上記太陽電池モジュール7の裏面側の空間に連通する通気部として上記通気穴109b及び上記固定金具109a間の隙間を有している。
【0023】
また、この実施形態では、上記図4に示しているように、上記屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟(棟換気部カバー110)を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記金属横葺き屋根材3よりも単位面積当たりの重量が重いスレート瓦等からなる屋根材107を葺き、上記太陽電池モジュール7は設置していない。
【0024】
図5は、上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造における軒先箇所を示した説明図である。上記屋根100の軒先端には止め金具112がビス31によって固定されている。上記止め金具112は、上記金属横葺き屋根材3の水下端の裏面側を受け止める第1受け部112aと上記屋根100の軒先側に位置する太陽電池モジュール7Cの水下端を受け止める第2受け部112bを有する。上記第2止め部112bと太陽電池モジュール7Cの縁との間にはパッキン部材112hが装着されている。そして、上記屋根100の軒先端に位置する太陽電池モジュール7Cの水下端が上記屋根100の軒先端に位置する上記金属横葺き屋根材3の水下端よりも外側に位置するようにしている。また、上記屋根100の軒先には、上記太陽電池モジュール7Cの水下端から下方側に向かうように位置する軒先カバー113が配置されている。上記軒先カバー113はビス112dによって止め金具112に固定されている。
【0025】
図6は、上記止め金具112を示した図であり、同図(A)は正面図であり、同図(B)は平面図であり、同図(C)は側面図である。上記止め金具112は、略コ字状に折り曲げ加工された鋼板本体部112cの上面部に第2受け部112bをビス112dにより固定したものである。第2受け部112bは幅方向の両端部に上記ビス112dが装着される片部を有し、この片部の間の部分は折り曲げられて上記鋼板本体部112cの上面部に形成された切欠き部112eを通り上記上面部の裏面側に位置している。また、第2受け部112bは、上記片部から立ち上がる部分を有すると共にこの立ち上がる部分から曲げられて上記鋼板本体部112cの上面部と対面する部分を有する。そして、上記鋼板本体部112cの下面部の中央部分の一部が剪断されて舌片部が形成され、この舌片部が段状に折り曲げられることで上記第1受け部112aが形成されている。また、上記鋼板本体部112cの立面部には雨水を樋103へと導く開口112fが形成されている。
【0026】
図7は上記支持金具1を示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は側面図である。上記支持金具1は、上記金属横葺き屋根材3の水下端から水上端に至る長さを有しており、軒側端に軒側差込片11を有する。この軒側差込片11は支持金具本体1aの本体軒側端を折り曲げ形成してなるものである。上記軒側差込片11には立ち上げ片11aが折り曲げ形成されている。上記軒側差込片11をはぜ部30に差し込む際には木槌等による押圧力を上記支持金具1に加えることになるが、上記立ち上げ片11aが形成されていることで上記押圧力が加えや易くなっている。上記支持金具本体1aには貫通螺子穴1cが形成されており、この貫通螺子穴1cに金具固定ボルト4が設けられる。上記金具固定ボルト4は、上記支持金具本体1aに装着されてそのボルト先端部にて上記金属横葺き屋根材3のはぜ部30の上面を押圧することになる。また、上記支持金具本体1aには、上記の架台固定用穴1bが形成されている。
【0027】
上記支持金具本体1aの本体棟側端は上記本体軒側端よりも横幅が狭く形成されて支持金具1,1同士の端部重ね配置が可能とされる。上記支持金具本体1aの本体棟側端の突出片13の上面となる箇所には貫通穴部1dが形成されている。この貫通穴部1dは、支持金具1,1同士の端部重ね配置が行われたときに、上側に位置する支持金具1の貫通螺子穴1cの凸箇所が嵌まる位置に存在するものである。また、上記支持金具本体1a両横部には、強度向上のための折り曲げ部1eが形成されている。
【0028】
図8は補強部材5を示した図であって、同図(A)は平面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は側面図である。この補強部材5は、上側板51と下側板52とこれらを繋ぐ立ち上げ部53を有する段状の部材である。そして、上記下側板52にはビス用貫通穴52aが形成されている。
【0029】
図9は金属横葺き屋根材3及び補強部材5を用いて金属横葺き屋根を葺いていきながら上記支持金具1を配置していく工程を示した説明図である。図9(A)に示すように、野地板101上に上記金属横葺き屋根材3を配置し、更に上記金属横葺き屋根材3の固定部3cの上に上記補強部材5の下側板52を位置させ、上記ビス31を上記ビス用貫通穴52aから通して上記野地板101に固定する。次に、同図(B)に示すように、上記固定した野地板101の水上側に別の金属横葺き屋根材3を配置する。このとき、水上側に位置する金属横葺き屋根材3の水下側の折り返し係合部3aを、水下側に位置する金属横葺き屋根材3の水上側の折り返し係合部3bに係合させる。そして、同図(C)に示すように、上記支持金具1を配置する。
【0030】
このように配置していくと、図10に示すように、隣り合う支持金具1,1同士はその端部を重ねて配置されていく。そして、上記補強部材5の上側板52は上記屋根のはぜ部30における水上側の屋根材3の下面側に位置して上記金具固定ボルト4の押圧を受けることになる。
【0031】
なお、支持金具1は上記のような重ね合わせされる構成を有するものに限らず、水上側に棟側差込片を有して重ね合わせされない構造の支持金具を用いてもよいものであり、金属横葺き屋根材3のはぜ部30を利用して屋根に固定される構造であればどのような構造でもよい。
【0032】
上記の屋根上太陽電池モジュール設置構造においては、図3(A)に示したように、上記太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁面と上記ケラバ化粧部材108の端面との間隔D1は200mm以内とされている。また、図3(B)に示したように、上記太陽電池モジュール7Aのケラバ側の縁面と上記鋼板ケラバ破風106の内側面とが間隔D2をおいて直接に対面している構造部において上記間隔D2を200mm以内としている。これにより、屋根100の全面に太陽電池モジュール7をできるだけ多く敷きつめ、少なくとも上記ケラバ側での上記金属横葺き屋根材3の露呈を解消または軽減し、上記太陽電池モジュール7と上記金属横葺き屋根材3との混在感を解消して良好な美観を得ることができる。また、上記金属横葺き屋根材3により葺かれた屋根100に穴を空けずに太陽電池モジュール7を設置することになるので、雨仕舞の心配は全く生じない。
【0033】
なお、仮に上記ケラバ化粧部材108を設けないために太陽電池モジュール7と上記鋼板ケラバ破風106との間が凹形状になっていたとすると、上記凹形状部分に積もった雪が上記ケラバ化粧部材108を押す荷重が発生するおそれがある。上記のように太陽電池モジュール7と上記鋼板ケラバ破風106との間にケラバ化粧部材108が配置されることで、このような荷重発生のおそれを回避できる。
【0034】
更に、図4に示したように、上記屋根100の棟側に位置する太陽電池モジュール7Bと棟換気部カバー(棟構成部材)110と間には棟化粧部材109が上記金属横葺き屋根材3を覆うように配置されているので、棟側でも上記金属横葺き屋根材3の露呈が解消または軽減されることになる。また、上記棟化粧部材109は上記太陽電池モジュール7の裏面側の空間に連通する通気部(固定金具109a間の隙間及び通気穴109b)を有しているので、上記太陽電池モジュール7の裏面側に形成される空気流を棟側に通過させて上記太陽電池モジュール7の温度上昇を抑制し発電効率を良好に保つことができる。
【0035】
また、図5に示したように、上記屋根100の軒先端には、上記金属横葺き屋根材3の水下端の裏面側を受け止める第1受け部112aと上記太陽電池モジュール7Cの水下端を受け止める第2受け部112bを有する受け金具112が設けられている。これにより、上記金属横葺き屋根材3の水下端の裏面側を受け止める金具と上記太陽電池モジュール7の水下端を受け止める金具を別々に用意して配置する必要がなくなり、施工性が向上する。
【0036】
更に、図5に示したように、上記屋根100の軒先端に位置する太陽電池モジュール7Cの水下端が上記屋根100の軒先端に位置する上記金属横葺き屋根材3の水下端よりも外側位置に存在している。これにより、上記屋根100の軒先においても上記金属横葺き屋根材3の露呈が解消または軽減され、更に美観が向上する。
【0037】
また、上記屋根100の軒先には、上記屋根100の軒先に位置する太陽電池モジュール7Cの水下端から下方側に向かうように位置する軒先カバー113が配置されているので、上記屋根100の軒先に位置する上記金属横葺き屋根材3の水下端が見えにくくなり、更に美観が向上する。
【0038】
また、図4に示したように、上記金属横葺き屋根材3を葺いた屋根に上記太陽電池モジュール7を配置した上記屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟(棟換気部カバー110)を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記金属横葺き屋根材3よりも単位面積当たりの重量が重いスレート瓦等からなる屋根材107を葺いて上記太陽電池モジュール7を設置しないようにしている。これにより、太陽電池モジュール7が配置される一方の屋根面と太陽電池モジュール7が配置されない他方の屋根面とにおける重量バランスが得られやすくなる。
【0039】
一方、図示はしていなが、上記金属横葺き屋根材3を葺いた屋根に上記太陽電池モジュール7を配置した上記屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟(棟換気部カバー110)を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記金属横葺き屋根材3と単位面積当たりの重量が同じまたは軽い屋根材を葺いて上記太陽電池モジュール7を設置しないようにしてもよい。この場合には、屋根100の全体重量の軽量化が図れることになる。
【符号の説明】
【0040】
1 支持金具
2 取付用ボルト
3 金属横葺き屋根材
4 金具固定ボルト
5 補強金具
7 太陽電池モジュール
100 屋根
101 野地板
106 鋼板ケラバ破風(ケラバ構成部材)
107 屋根材(金属横葺き屋根材よりも重い)
108 ケラバ化粧部材
109 棟化粧部材
110 棟換気部カバー(棟構成部材)
112 受け金具
112a第1受け部
112b第2受け部
113 軒先カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横葺き屋根材のはぜ部を利用して固定される支持金具を介して太陽電池モジュールが屋根面に設置されており、屋根のケラバ側に位置する太陽電池モジュールのケラバ側の縁とケラバ構成部材との間隔、または上記ケラバ構成部材に隣接して上記横葺き屋根材を覆うように配置されたケラバ化粧部材との間隔が200mm以内とされていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の棟側に位置する太陽電池モジュールと棟構成部材との間には上記横葺き屋根材を覆うように棟化粧部材が配置されていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項3】
請求項2に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記棟化粧部材は上記太陽電池モジュールの裏面側の空間に連通する通気部を有していることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端が上記屋根の軒先に位置する横葺き屋根材の水下端よりも外側位置に存在することを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先には、上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端から下方側に向かうように位置する軒先カバーが配置されていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造において、上記屋根の軒先には、上記横葺き屋根材の水下端を受け止める第1受け部と上記屋根の軒先に位置する太陽電池モジュールの水下端を受け止める第2受け部を有する受け金具が配置されていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記横葺き屋根材よりも単位面積当たりの重量が重い屋根材が葺かれていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の屋根上太陽電池モジュール設置構造が棟を境にして一方の屋根面に構成されており、他方の屋根面には上記横葺き屋根材と単位面積当たりの重量が同じまたは軽い屋根材が葺かれていることを特徴とする屋根上太陽電池モジュール設置構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−64249(P2013−64249A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202670(P2011−202670)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】