説明

屋根上設置物の取り付け金具

【課題】 屋根上への設置が容易で、設置コストの低い屋根上設置物の取り付け金具を提供することを目的とする。
【解決手段】 本願の屋根上設置物の取り付け金具は、馳部又は屈曲部を有する屋根に用いる。接着部と、係止部とを有している。係止部は、屋根の馳部又は屈曲部に嵌合される形状に形成されている。屋根上設置物の取り付けに際しては、係止部が屋根の馳部又は屈曲部に嵌合されるとともに、接着部と屋根とが接着手段によって屋根に固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルなどの屋根上設置物の取り付け金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図3、図4により説明する。いずれも屋根上設置物を取り付ける技術である。
【0003】
図3は、特開平9−177272として公開されている技術である。特開平9−177272によれば、折板の任意の頂部又は凸部に跨って、頂部又は凸部を緊締状態に挟み込む手段を有する屋根固定部材を備えてなることを特徴とする住宅用ソーラ機器の取付に用いられる取付金物である。また、屋根固定部材は各頂部又は凸部の左右に内方にくびれたくびれ部を緊締状態に挟み込む手段を有するものも記載されている。
【0004】
図4は、特開2009−287334として公開されている技術である。特開2009−287334によれば、金具本体下部の左右両側部に、折版構造屋根のハゼ部を挟持する挟持部を左右対向状態に設け、この各挟持部間に締付ボルトを架設してこの締付ボルトを締付回動若しくはこの締付ボルトに螺着したナットを締付回動して各挟持部間を幅狭くすることで、各挟持部の対向間隔を狭めてハゼ部を締付挟持して固定し得るように構成された折版構造屋根用の設置物取付金具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−177272
【特許文献2】特開2009−287334
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3及び図4に示した金物や金具は、屋根上設置物の取り付けに際し、ボルト等の締め付け手段によって、屋根の頂部(馳部)又はくびれ部(屈曲部)を挟み、固定される。このボルトを締め付ける作業には、手間がかかり、作業時間の長期化を招いていた。
【0007】
また、締付ボルト等が必要であり、金具の締め付け部位への穿孔や補強加工も必要であり、材料や加工のコストが高くなっていた。
【0008】
本願は、屋根上への設置が容易であり、コストを低く抑えた屋根上設置物の取り付け金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の屋根上設置物の取り付け金具は、馳部又は屈曲部を有する屋根に用いる。取り付け金具は、接着部と、係止部とを有している。また、係止部は、屋根の馳部又は屈曲部に嵌合される形状に形成されている。屋根上設置物の取り付けに際しては、係止部が屋根の馳部又は屈曲部に嵌合されるとともに、接着部と屋根とが接着手段によって屋根に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願の屋根上設置物の取り付け金具は、屋根上への固定に際して、締付ボルト等を必要としない。本願の屋根上設置物の取り付け金具は、係止部で馳部又は屈曲部に嵌合されるとともに、金具自体の弾性(スプリングバック)の力、及び接着手段の接着力によって屋根に固定される。その結果、締付ボルト等を締め付けることによる金具の固定作業が不要になり、大幅な作業負荷軽減とともに、短工期化を実現できる。
【0011】
また、締付ボルト等が不要であり、金具の締め付け部位への穿孔や補強加工等も不要なので、材料や加工のコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願の屋根上設置物の取り付け金具の実施例である。
【図2】本願の屋根上設置物の取り付け金具の実施例である。
【図3】従来技術の説明図である。
【図4】従来技術の説明図である。
【実施例】
【0013】
本願の屋根上設置物の取り付け金具について、図1、図2により説明する。
【0014】
図1および図2は、本願の屋根上設置物の取り付け金具の一例である。図1では、折板屋根Bの馳部4を挟み込む形状のものを示す。図2では、折板屋根の屈曲部5を挟み込む形状のものを示す。
【0015】
まず、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aを取り付けることができるのは、馳部4又は屈曲部5を有する屋根Bである。馳部4は、屋根B・B同士の連結部分などを指す。屈曲部5は、タイトフレーム等に係合する目的で設けられた、屋根Bの傾斜部7を屈曲した部分などを指す。したがって、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aの取り付けは、折板屋根などが最適である。
【0016】
本願の屋根上設置物の取り付け金具Aは、接着部1を有している。接着部1は、接着手段により、屋根Bに接着される部分である。なお、本願において接着手段とは、接着剤や両面テープなどを指す。したがって、接着部1は、屋根Bの表面形状に対応していて、より広い密着面積となるように形成されることが望ましい。そうすることによって取り付け金具Aの設置状態が安定し、固定強度をより向上させることができる。図1では、屋根Bの表面に密着する面として、屋根Bの山頂部6に接する部分、傾斜部7に接する部分がある。屋根Bの山頂部6に接する部分、傾斜部7に接する部分のどちらかを接着部1とすることもできるが、双方とも接着部1とした方が密着面積が広くなり、固定強度を高めることができるので、望ましい実施形態といえる。
【0017】
本願の屋根上設置物の取り付け金具Aは、係止部2を有している。係止部2は、屋根Bの馳部4又は屈曲部5に嵌合する形状に形成されており、折り曲げ加工によって馳部4の下方に嵌合させるようにしてもよいし、接着面の下端部を内側に折り曲げて屈曲部5に嵌合させるようにしてもよい。このように、係止部2は、金具自体のスプリングバックにより、屋根Bの馳部4又は屈曲部5に嵌合するとともに挟持する構造を持っている。したがって、屋根Bを挟持する力が最適な位置・方向に働けばよく、屋根上設置物の取り付け金具Aにおいて形成する箇所や形状は問わない。
【0018】
図1に示した実施例において、係止部2は、屋根Bの馳部4の下方に入り込んで嵌合する形状となるように折り曲げられて形成されている。このとき、馳部4の下方に嵌合するように折り曲げられて形成された係止部2を用いて、屋根Bの馳部4を抱持するように挟む形状であるのが望ましい。このような形状にして嵌合させることによって、最適な位置・方向に挟持する力が働き、十分な固定力を得ることができるためである。
【0019】
図2に示した実施例において、係止部2は、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aの接着部1から延びる先端が内側に折り曲げられることで形成され、屋根Bの屈曲部5に嵌合するような形状になっている。このとき、屋根Bを本願の屋根上設置物の取り付け金具Aの係止部2が屋根Bを抱持するように挟み、屈曲部5を内側に押圧するような状態となるのが望ましい。このように、係止部2が屈曲部5に嵌合することによって、最適な位置・方向に挟持する力が働き、十分な固定力を得ることができる。
【0020】
屋根上設置物の取り付けにおいては、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aは、係止部2が屋根Bの馳部4又は屈曲部5に嵌合することで、金具自体の弾性(スプリングバック)による挟持力が最適な位置・方向に働く。それに加えて、接着部1と屋根Bとが接着手段によって接着されているので、屋根上設置物の荷重による屋根Bの流れ方向への力に対しても強い構造になっている。
【0021】
次に、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aの取り付け手順例を説明する。接着剤を接着手段として使用する場合は、屋根B上の取り付け位置に、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aを、接着剤を塗布して嵌合させて取り付けるだけである。また、両面テープを接着手段として使用する場合は、屋根B上の取り付け位置に、本願の屋根上設置物の取り付け金具Aを、両面テープを貼付して嵌合させて取り付けるだけである。屋根上設置物の取り付けに最適な箇所に、十分な数量の本願の屋根上設置物の取り付け金具Aを取り付けた後、その上に屋根上設置物を取り付ける。
【0022】
本願の屋根上設置物の取り付け金具Aにおいて、屋根上設置物を取り付ける部分である取付部3の形状は問わない。たとえば、図1及び図2のように、屋根上設置物の取り付け用のボルトCを上向きに立設してもよい。そのほか、屋根上設置物の取り付け用のボルトを受ける機構としてもよいし、ボルト等を用いずに接着手段によって固定させるように平面状にしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
A 屋根上設置物の取り付け金具
1 接着部
2 係止部
3 取付部
B 屋根
4 馳部
5 屈曲部
6 山頂部
7 傾斜部
C ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
馳部又は屈曲部を有する屋根に用いる屋根上設置物の取り付け金具であって、
接着部と、係止部とを有しており、
前記係止部は、
屋根の馳部又は屈曲部に嵌合する形状に形成され、
屋根上設置物の取り付けに際しては、
前記係止部が屋根の馳部又は屈曲部に嵌合されるとともに、
接着部と屋根とが接着手段によって
屋根に固定されることを特徴とする
屋根上設置物の取り付け金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112954(P2013−112954A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258441(P2011−258441)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000129079)株式会社カナメ (14)
【Fターム(参考)】