説明

屋根下地用断熱パネル

【課題】構造を複雑にすることなく、耐火性能を向上させるとともに機械的強度を向上させる。
【解決手段】第1鋼板2及び第2鋼板3の間に断熱材4を充填してなる平面視概略矩形状をなす屋根下地用断熱パネル100であって、第1鋼板2が、平面視概略矩形状をなし、四辺が略直角に折り曲げられて概略箱形状をなすものであり、第2鋼板3が、平面視概略矩形状をなし、その各辺の周縁部3a〜3dが、第1鋼板2の折り曲げ部21a〜21dの自由端部211a〜211dに接触して、第1鋼板2の開口を閉塞するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根下地用断熱パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の屋根下地用断熱パネルとしては、例えば特許文献1に示すように、金属製の表面板と裏面板の間に断熱材を充填することにより構成されている。そして、この断熱パネルには、特許文献2に示すように隣接する断熱パネル同士を接続するために、その両側の側縁部に嵌合凸部及び嵌合凹部が形成されている。
【0003】
しかしながら、上記の断熱パネルは、両側の側縁部に嵌合凸部及び嵌合凹部を形成する必要があり鋼板の加工が難しいという問題がある。また、嵌合凸部、嵌合凹部またはその他の側縁部において断熱材が外部に露出した構成であるため、耐火性能の点で難がある。さらに嵌合凸部及び嵌合凹部が設けられた側縁部においては曲げに対する強度が強いものの、その他の側縁部においては必ずしも強度が強いとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−108068号公報
【特許文献2】特許第3066304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、パネル構造を簡単にしながらも、耐火性能を向上させるとともに機械的強度を向上させることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る屋根下地用断熱パネルは、一対の鋼板の間に断熱材を充填してなる平面視概略矩形状をなす屋根下地用断熱パネルであって、一方の鋼板が、平面視概略矩形状をなし、四辺が略直角に折り曲げられて概略箱形状をなすものであり、他方の鋼板が、平面視概略矩形状をなし、その各辺の周縁部が、前記一方の鋼板の折り曲げ部の自由端部に接触して、前記一方の鋼板の開口を閉塞するものであることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、概略箱形状をなす一方の鋼板の開口を他方の鋼板で閉塞するように構成しているので、鋼板の間に充填された断熱材が鋼板で覆われることになり、耐火性能を向上させることができる。また、一方の鋼板を概略箱形状に加工することによって、各辺の折り曲げ部が撓みを防止することから、機械的強度(剛性)を大きくすることができる。なお、これらの構成は、一方の鋼板の各辺を折り曲げることにより箱形状とすれば良いので、構造を複雑にすることもない。
【0008】
断熱パネルの撓みを可及的に小さくするためには、前記一方の鋼板が、屋根骨格を向くように当該屋根骨格に固定されるものであり、前記他方の鋼板に屋根構造体が固定されるものであることが望ましい。これならば概略箱形状をなす一方の鋼板が下側に位置することになり、この一方の鋼板は各辺の折り曲げ部により機械的強度が他方の鋼板よりも大きいので、パネル全体としての機械的強度を増すことができ、パネルの撓みを小さくすることができる。一方で、他方の鋼板を下側に位置するように固定する態様の場合には、他方の鋼板を一方の鋼板よりも厚くすることが考えられる。
【0009】
より一層耐火性能を向上させるためには、前記一方の鋼板の隣接する折り曲げ部同士の角部を耐熱性を有する耐熱性材料で被覆していることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、構造を複雑にすることなく、耐火性能を向上させるとともに機械的強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の屋根構造を模式的に示す断面図。
【図2】同実施形態の屋根下地用断熱パネルの模式的斜視図。
【図3】同実施形態の屋根下地用断熱パネルの模式的平面図。
【図4】同実施形態の屋根下地用断熱パネルの模式的断面図。
【図5】同実施形態の屋根下地用断熱パネルの分解斜視図。
【図6】同実施形態の第1鋼板の展開平面図。
【図7】変形実施形態の屋根下地用断熱パネルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る屋根下地用断熱パネルの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態に係る屋根下地用断熱パネル100は、図1に示すように、下側に屋根骨格200の鉄骨下地(具体的には鉄骨梁201)に固定されるとともに、上側に屋根材や屋根瓦等の屋根構造体300が固定されるものであり、図2及び図3に示すように、平面視において概略矩形状をなすものである。
【0014】
そして、この屋根下地用断熱パネル100は、図1及び図4に示すように、一対の鋼板2、3の間に断熱材4を充填してなるものである。この屋根下地用断熱パネル100は、縦寸法2000mm、横寸法1000mm、厚さ25mmである。なお、パネルサイズはこれに限られず適宜設計変更可能である。
【0015】
一方の鋼板である第1鋼板2は、例えば厚さ0.5mmのガルバリウム鋼板等の合金メッキ鋼板から形成され、平面視において概略矩形状をなし、図5に示すように、四辺が略直角に折り曲げられて概略直方体状の箱形状をなすものである。そして、隣接する各辺の折り曲げ部21a〜21dの端部同士は略接触するように構成されている。また各辺の折り曲げ部21a〜21dの高さは互いに同じであり、折り曲げ部21a〜21dの自由端部211a〜211d(上端部)は互いに同一平面上に位置する。
【0016】
他方の鋼板である第2鋼板3は、例えば厚さ1.2mmのガルバリウム鋼板等の合金メッキ鋼板から形成され、平面視において概略矩形状をなす平板である。そして、図3及び図4に示すように、その各辺の周縁部3a〜3dは、前記第1鋼板2の折り曲げ部21a〜21dの自由端部211a〜211d(上端部)に接触するように固定される。これにより第2鋼板3は、第1鋼板2の上部開口を閉塞する。
【0017】
第1鋼板2及び第2鋼板3により形成される略直方体形状をなす空間には、断熱材4が充填される。この断熱材4の種類は、無機繊維系断熱材、発砲プラスチック系断熱材及び天然素材系断熱材の何れであっても良いが、本実施形態では、概略矩形状の定形性を有する例えば発砲プラスチック系断熱材のノンフロン型のフェノールフォームを用いている。
【0018】
次に本実施形態の屋根下地用断熱パネル100の製造方法について図5を用いて簡単に説明する。
【0019】
まず第1鋼板2を、概略矩形状をなす鋼板の四辺をそれぞれ折れ曲げ線に沿って一方向に屈曲させることにより形成する。なお、第1鋼板2の四つ角は各辺を屈曲させ易くするために、例えば隣接する各辺に直交するように直角状に切り欠いている(図6参照)。
【0020】
また、第1鋼板2の内部空間形状に合わせて断熱材4を用意する。そして、この断熱材4を第1鋼板2に収容すると共に、断熱材4及び第1鋼板2を接着剤で接着する。
【0021】
次に、第1鋼板2の平面視形状に切断された第2鋼板3を第1鋼板2の開口を閉塞するように固定する。このとき、第1鋼板2の開口から外部に露出している断熱材4の上面に接着剤を塗布して、断熱材4及び第2鋼板3を接着させる。このようにして屋根下地用断熱パネル100が製造される。
【0022】
そしてこのように構成された屋根下地用断熱パネル100は、図1に示すように、第1鋼板2が屋根骨格200の鉄骨梁201側を向き、第2鋼板3が外側を向くように、鉄骨梁201にビスB1によって固定される。また外側を向く第2鋼板3には屋根構造体300がビスB2によって固定される。この屋根構造体300を固定するための固定ビスB2は、第2鋼板3及び断熱材4までねじ込まれており、第1鋼板2を貫通しないようにしている。このとき第2鋼板3の厚みを固定ビスB2が利くような厚みにしている。これにより、第1鋼板2の裏面からは、固定ビスB2が視認できないようにして屋根下地用断熱パネル100が室内に露出する構造物であっても美観を損なわないようにしている。また、このとき屋根下地用パネルの裏面を室内側仕上げ面として、カラーリングするなどにより装飾性を付加することもできる。
【0023】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る屋根下地用断熱パネル100によれば、概略箱形状をなす第1鋼板2の開口を第2鋼板3で閉塞するように構成しているので、鋼板2、3の間に充填された断熱材4が鋼板で覆われることになり、耐火性能を向上させることができる。また、第1鋼板2を概略箱形状に加工することによって、各辺の折り曲げ部21a〜21dが撓みを防止することから、機械的強度(剛性)を大きくすることができる。なお、これらの構成は、第1鋼板2の各辺を折り曲げることにより箱形状とすれば良いので、構造を複雑にすることもない。
【0024】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0025】
例えば、前記実施形態の屋根下地用断熱パネル100において、図7に示すように、隣接する折り曲げ部同士の角部2Rを耐火性を有する耐火性材料5で被覆するように構成しても良い。これならば、屋根下地用断熱パネル100の密閉性が向上し、耐火性能を向上させることができる。
【0026】
また、第1鋼板及び第2鋼板をともに、平面視概略矩形状をなし、四辺が略直角に折り曲げられて概略箱形状をなすものとして、それらの開口を併せるようにして構成しても良い。つまり、前記実施形態において第2鋼板の周縁部を折れ曲がり部として、その折れ曲がり部の自由端部を第1鋼板の折れ曲がり部の自由端部と接触するようにして第1鋼板の開口を閉塞しても良い。
【0027】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
100・・・屋根下地用断熱パネル
200・・・屋根骨格
300・・・屋根構造体
2・・・第1鋼板(一方の鋼板)
21a〜21d・・・折り曲げ部
211a〜211d・・・自由端部
3・・・第2鋼板3(他方の鋼板)
3a〜3d・・・各辺の周縁部
4・・・断熱材
2R・・・角部
5・・・耐火性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の鋼板の間に断熱材を充填してなる平面視概略矩形状をなす屋根下地用断熱パネルであって、
一方の鋼板が、平面視概略矩形状をなし、四辺が略直角に折り曲げられて概略箱形状をなすものであり、
他方の鋼板が、平面視概略矩形状をなし、その各辺の周縁部が、前記一方の鋼板の折り曲げ部の自由端部に接触して、前記一方の鋼板の開口を閉塞するものである屋根下地用断熱パネル。
【請求項2】
前記一方の鋼板が、屋根骨格を向くように当該屋根骨格に固定されるものであり、
前記他方の鋼板に屋根構造体が固定されるものである請求項1記載の屋根下地用断熱パネル。
【請求項3】
前記一方の鋼板の隣接する折り曲げ部同士の角部を耐火性を有する耐火性材料で被覆している請求項1又は2記載の屋根下地用断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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