説明

屋根又は壁一体型太陽電池モジュール及びこれを用いた太陽電池アレイの施工方法

【課題】 太陽電池モジュールの屋根傾斜面段葺き作業を簡易且つ確実にできるようにする。
【解決手段】 太陽電池モジュール1の上端に基板11露出の重ね代12を配置し、この重ね代12にモジュール一方のコネクター3aを配置し、屋根傾斜面設置のラックレール2に屋根他方のコネクター3bを配置し、太陽電池モジュール1をラックレール2に載せて押圧することによってスナップイン係止のコネクター3a、3b連結を行って、出力接続と太陽電池モジュール1の屋根B固定をワンアクションで行うようにして、順次上方に太陽電池モジュール1を段葺きする。ラックレール2内に配置したケーブルをパワーコンディショナーに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根又は壁一体型太陽電池モジュール及びこれを用いた太陽電池アレイの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、屋根一体型太陽電池モジュールは、フロントカバー、バックカバー間に太陽電池セル、インターコネクター、充填材を封入し、バックカバーの背面に端子箱を配置した構造のものとされ、フロントカバーは、例えば強化ガラス、透明合成樹脂、ラミネートフィルム等を用い、バックカバーは、例えば鋼板、ラミネートフィルム等が用いるものとされ、上記端子箱からのケーブルを更に外部ケーブルに接続してパワーコンディショナーに至るように配線するものとし、このとき、該太陽電池モジュールの屋根面への葺設は、一般に、屋根構造材に固定して屋根を覆う野地板上に、枠桟を配置し、太陽電池モジュールを載置して、例えば吊子を用いてネジ、釘等によって屋根固定するように、その現場施工を行うものとされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】太陽光発電協会編「太陽光発電システムの設計と施行(改定3版)」(平成22年12月5日発行 株式会社オーム社)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、太陽電池モジュールの屋根面への葺設は、端子箱からのケーブルの外部ケーブルへのコネクター接続による太陽電池モジュールの出力回路のための配線作業と太陽電池モジュールの屋根面への固定作業を行う必要があるところ、端子箱が太陽電池モジュールの背面中央に位置するために、固定作業を行う前に配線作業を完了する必要があることによって、上方高所の屋根上での太陽電池モジュールの葺設のための施工作業が煩雑化する傾向を招くことになる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その解決課題とするところは、太陽電池モジュール葺設の屋根上での施工作業を可及的簡易且つ確実になし得るようにした屋根又は壁一体型太陽電池モジュールを提供するにあり、また、該太陽電池モジュールを用いた太陽電池アレイの施工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は、太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールに配置したモジュール一方のコネクターと、屋根側に配置した屋根他方のコネクターを対として備え、これらモジュール一方及び屋根他方のコネクターを、太陽電池モジュールの出力手段と太陽電池モジュールの屋根固定手段として、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と屋根固定を同時に完結し得るようにして、太陽電池モジュール背面の端子箱の設置とそのケーブル接続の配線作業を省略して、太陽電池モジュール葺設の屋根上での施工作業を可及的簡易且つ確実になし得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを葺設する屋根側に配置した屋根他方のコネクターを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの屋根固定を同時に完結自在としてなることを特徴とする屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記対として備えるモジュール一方及び屋根他方のコネクターを太陽電池モジュール単体毎に2箇所配置することによって太陽電池モジュールのプラス及びマイナス極にそれぞれ対応するとともに太陽電池モジュールの屋根固定を安定且つ確実になし得るものとするように、これを、上記対とするモジュール一方及び屋根他方のコネクターを、太陽電池モジュール毎に2箇所備えてなることを特徴とする請求項1に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記コネクターの連結を、ワンアクションの下向き押圧によって行うようにして、屋根上での高所作業を可及的容易にして高効率になし得るものとするように、これを、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターを、屋根他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを載置して下向き押圧することによってその上記コネクターの連結を自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記ワンアクションのコネクター連結を可及的簡易な構造にして確実強固になし得るものとするように、これを、上記下向き押圧によるコネクターの連結を、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクター相互のスナップイン係止によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターの配置を、その相互の連結に適して太陽電池モジュールの出力接続と屋根固定を確実に行うものとするように、これを、上記モジュール一方のコネクターを、太陽電池モジュールに透設した透孔に下向きに配置し、上記屋根他方のコネクターを、屋根面に固定した葺設用部材に上向きに配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記葺設用部材を、太陽電池モジュールの出力連結と屋根固定を一連に安定して行う長尺材によるものとするように、これを、上記屋根面に固定した葺設用部材を、複数の太陽電池モジュールのコネクター連結を長手方向一連に行うラックレールとしてなることを特徴とする請求項5に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記コネクターを、その連結による出力連結と屋根固定を確実に行う高度な部品精度を確保したものとするように、これを、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターを、それぞれ硬質乃至半硬質合成樹脂を射出成形して形成した成形部材のハウジングを用いて形成してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0013】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、太陽電池モジュールの葺設を段葺き状に行うように、太陽電池モジュールの上端に重ね代を配置するとともに該重ね代に上記モジュール一方のコネクターを配置し、コネクター連結部位の露出を防止して良好な外観と雨仕舞を確保したものとするように、これを、上記太陽電池モジュールを、上位の太陽電池モジュール下端との重ね代を上端に備えて形成し、該重ね代に上記モジュール一方のコネクターを配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0014】
請求項9に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記重ね代に上位の太陽電池モジュールの荷重を受けるスペーサーを配置して、雨仕舞の高度化とモジュール一方のコネクター連結部位への荷重負荷を回避したものとするように、これを、上記太陽電池モジュール上端の重ね代に、そのモジュール一方のコネクターを挟むスペーサーを配置してなることを特徴とする請求項8に記載の屋根一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0015】
請求項10に記載の発明は、太陽電池モジュールの設置対象を壁面として、同様な構成によって壁一体型太陽電池モジュールを提供するように、これを、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面側に配置した壁面他方のコネクターを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁面固定を同時に完結自在としてなることを特徴とする壁一体型太陽電池モジュールとしたものである。
【0016】
請求項11に記載の発明は、上記屋根一体型太陽電池モジュールを用いて、可及的簡易且つ確実に屋根面に太陽電池アレイを形成し得る太陽電池アレイの施工方法を提供するように、これを、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する屋根面に固定した葺設用部材に配置した屋根他方のコネクターを対として備えた屋根一体型太陽電池モジュールを用い、上記屋根他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを下向き押圧してこれらコネクターを連結することによって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの屋根固定を同時に完結して、屋根面に太陽電池アレイを施工することを特徴とする太陽電池アレイの施工方法としたものである。
【0017】
請求項12に記載の発明は、太陽電池モジュールの設置対象を壁面として、同様に太陽電池アレイを形成する太陽電池アレイの施工方法を提供するように、これを、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面に固定した設置用部材に配置した壁他方のコネクターを対として備えた壁一体型太陽電池モジュールを用い、上記壁他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを横向き押圧してこれらコネクターを連結することによって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁固定を同時に完結して、壁面に太陽電池アレイを施工することを特徴とする太陽電池アレイの施工方法としたものである。
【0018】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、太陽電池モジュールを、該太陽電池モジュールに配置したモジュール一方のコネクターと、屋根側に配置した屋根他方のコネクターを対として備え、これらモジュール一方及び屋根他方のコネクターを、太陽電池モジュールの出力手段と太陽電池モジュールの屋根固定手段として、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と屋根固定を同時に完結し得るようにして、太陽電池モジュール背面の端子箱の設置とそのケーブル接続の配線作業を省略して、太陽電池モジュール葺設の屋根上での施工作業を可及的簡易且つ確実になし得るようにした屋根一体型太陽電池モジュールを提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記対として備えるモジュール一方及び屋根他方のコネクターを太陽電池モジュール単体毎に2箇所配置することによって太陽電池モジュールのプラス及びマイナス極にそれぞれ対応するとともに太陽電池モジュールの屋根固定を安定且つ確実になし得るものとすることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記コネクターの連結を、ワンアクションの下向き押圧によって行うようにして、屋根上での高所作業を可及的容易にして高効率になし得るものとすることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記ワンアクションのコネクター連結を可及的簡易な構造にして確実強固になし得るものとすることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターの配置を、その相互の連結に適して太陽電池モジュールの出力接続と屋根固定を確実に行うものとすることができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記葺設用部材を、太陽電池モジュールの出力連結と屋根固定を一連に安定して行う長尺材によるものとすることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記コネクターを、その連結による出力連結と屋根固定を確実に行う高度な部品精度を確保したものとすることができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、太陽電池モジュールの葺設を段葺き状に行うように、太陽電池モジュールの上端に重ね代を配置するとともに該重ね代に上記モジュール一方のコネクターを配置し、コネクター連結部位の露出を防止して良好な外観と雨仕舞を確保したものとすることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記重ね代に上位の太陽電池モジュールの荷重を受けるスペーサーを配置して、雨仕舞の高度化とモジュール一方のコネクター連結部位への荷重負荷を回避したものとすることができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、太陽電池モジュールの設置対象を壁面として、同様な構成によって壁一体型太陽電池モジュールを提供することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、上記屋根一体型太陽電池モジュールを用いて、可及的簡易且つ確実に屋根面に太陽電池アレイを形成し得る太陽電池アレイの施工方法を提供することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、太陽電池モジュールの設置対象を壁面として、同様に
太陽電池アレイを形成する太陽電池アレイの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】太陽電池アレイの平面図である。
【図2】図1の太陽電池モジュールの配置状態を示す平面図である。
【図3】太陽電池アレイの縦断面図である。
【図4】太陽電池モジュールの平面図である。
【図5】コネクターの連結手順を示す説明図である。
【図6】コネクターの連結による太陽電池モジュールの設置状態を示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、切妻、片流れ寄棟等の傾斜屋根面をなす屋根Bに形成した太陽電池アレイであり、該太陽電池アレイAは、多数の屋根一体型太陽電池モジュール1を、屋根Bの傾斜屋根面に、例えば段葺き状に葺設することによって、これを形成したものとしてある。
【0033】
このとき、該太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール1側に配置したモジュール一方のコネクター3aと、該太陽電池モジュール1を葺設する屋根B側に配置した屋根他方のコネクター3bを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュール1の出力接続と太陽電池モジュール1の屋根B固定を同時に完結自在としたものとしてあり、本例にあって、該対とするモジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bを、太陽電池モジュール1毎に2箇所備えたものとしてある。
【0034】
本例にあって、太陽電池モジュール1は、例えば、常法に従って、例えば強化ガラス乃至硬質合成樹脂の透明パネルによるフロントカバー、ラミネートフィルムによるバックカバー間に太陽電池セル、インターコネクター、充填材を封入して形成する一方、上記モジュール一方のコネクター3aにそれぞれプラス及びマイナスの電極を接続して、該モジュール一方のコネクター3aを上記屋根他方のコネクター3bに連結することによって、外部ケーブルを介してパワーコンディショナーに電力の出力を行うものとしてある。これによって太陽電池モジュール1に端子箱を設置することなく、従って太陽電池モジュール1毎の端子箱とケーブルの配線作業を行うことなく、太陽電池モジュール1の屋根傾斜面への葺設をなし得るようにしてある。
【0035】
本例にあって太陽電池モジュール1は、上記強化ガラス乃至硬質合成樹脂の透明パネルを、太陽電池セルを支持する基板11として、これを形成したものとしてあるところ、該基板11は、厚肉の上記透明パネルを用いて、例えば、横幅を90cm、より正確には909mm、縦幅を50cm、より正確には476mmとする横長矩形のものとしてあり、このとき、上記モジュール一方のコネクター3aは、これを、太陽電池モジュール1に透設した透孔、本例にあって2cm径の透孔に下向きに配置したものとしてあり、本例にあって、該太陽電池モジュール1は、これを、上位の太陽電池モジュール1下端との重ね代12を上端に備えて形成し、該重ね代12に上記モジュール一方のコネクター3aを下向きに配置したものとしてある。
【0036】
即ち、上記横長矩形の基板11は、その左右端及び下端に僅少幅、例えば1cm程度幅の縁部を残して、その全面に配置する一方、その上端において、例えば、数cm乃至10cm、本例にあっては5乃至6cmの高さ幅分の重ね代12を残して太陽電池セルを配置することによって、該重ね代12を、太陽電池セル非配置の帯状、即ち、長さ90cmにして上記縦幅の帯状をなすものとしてあり、太陽電池モジュール1は、該重ね代12を上端に配置することによって、その葺設を、いわゆる段葺き状の屋根面をなすようにして太陽電池アレイAを形成するようにしてある。
【0037】
本例にあって、上記モジュール一方のコネクター3a、特にその面内に2箇所のコネクターは、帯状の重ね代12の長手方向端部側、太陽電池モジュール1の左右端から10〜20cm、本例にあっては15cm程度の位置に配置した上記透孔に、これを嵌合して配置してあり、これによって、該帯状の重ね代12を、その端部側位置2箇所で、そのコネクター連結による出力接続と屋根固定を行うようにしてあり、特に、太陽電池モジュール1の安定して確実な屋根Bへの固定を行うものとしてある。
【0038】
このとき本例の上記太陽電池モジュール1上端の重ね代12は、これに、そのモジュール一方のコネクター3aを挟むスペーサー13を配置したものとしてあり、該スぺーサー13は、例えば硬質合成樹脂の、肉厚1cm以下、本例にあっては、後述のモジュール一方のコネクター3a配置による基板11の表面側突出高さの5mmを僅かに超える6mm程度にして3cm程度の幅の帯材を用いて、重ね代12長手方向に、上記2箇所のコネクター3aを挟むように、左右端部とコネクター3a間に、例えば、接着、溶着、ネジ止め等適宜の固定手段によってその固定を行ってある。スペーサー13を配置することによって、本例にあって重ね代12に上位の太陽電池モジュール1の下端を載置して、上記段葺き状の葺設を行っても、該モジュール一方のコネクター3aへの接触を防止し、コネクター連結部位に上位の太陽電池モジュールの荷重が負荷することのないようにしてあり、また、スペーサー13が重ね代12を長手方向実質的に封鎖することによって雨水の浸入を防止し、雨仕舞を向上するものとしてある。
【0039】
一方、屋根他方のコネクター3bは、これを、屋根面に固定した葺設用部材に上向きに配置したものとしてあり、本例にあって、上記屋根面に固定した葺設用部材は、これを、複数の太陽電池モジュール1のコネクター連結を長手方向一連に行うラックレール2としてあり、該屋根他方のコネクター3bは、これを太陽電池モジュール1の上記2箇所のモジュール一方のコネクター3a位置に合せて、その長手方向に太陽電池モジュール1毎に各2箇所を配置したものとしてある。
【0040】
葺設用部材は、屋根面にドット状、ライン状等適宜な形態にして、屋根面に該コネクターを上向きに配置し得るものであればよいが、本例にあって、該葺設用部材は、例えば硬質合成樹脂又はアルミ合金の押出成形による中空一体の形材を用いて、これに所定の切断、切欠き、穿孔等、必要に応じた加工を施して形成したものとしてあり、太陽電池モジュール1の葺設に際して屋根傾斜面の横幅に応じて、上下に同長又は異長にして複数、一般には異長多数のものとして、これを屋根面に固定して、屋根他方のコネクター3bの固定ベースとするものとしてある。
【0041】
本例にあってラックレール2は、その幅方向片側に上記屋根他方のコネクター3bの設置用段部21を備えるとともにその上位に上記太陽電池モジュール1上端の重ね代12下面を載置する受座用段部22を配置した、全体としてL字状をなすものとしてあり、このとき該ラックレール2は、その中空部を、屋根他方のコネクター3bに接続するケーブルを収容するケーブル収容部23として用いるようにしてある。
【0042】
このように太陽電池モジュール1に配置したモジュール一方のコネクター3aと、屋根Bに葺設用部材、特にラックレール2に配置した屋根他方のコネクター3bは、本例にあって、屋根他方のコネクター3bに対してモジュール一方のコネクター3aを載置して下向き押圧することによってその上記コネクターの連結を自在としてあり、該下向き押圧によるコネクターの連結を、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3b相互のスナップイン係止によって行ったものとしてある。
【0043】
本例にあって、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bは、これを、それぞれ硬質乃至半硬質合成樹脂を射出成形して形成した成形部材のハウジング31を用いて形成したものとしてあり、本例にあって、これらモジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bは、それぞれ太陽電池モジュール1、本例にあっては基板11における重ね代12の透孔及び屋根の葺設用部材、本例にあってはラックレール2、特に上記コネクターの設置用段部21、例えば5〜6cm程度の幅に形成した幅広の段部に透設した透孔、本例にあって26mm径の透孔にそれぞれ嵌合固定してあり、本例にあって該透孔への嵌合固定は、モジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bのハウジング31を、それぞれ本体32とキャップ33によって形成し、該本体32とキャップ33によって、各透孔の縁部を挟持してその嵌合固定を行ったものとしてある。
【0044】
モジュール一方のコネクター3aにおけるハウジング31は、その本体32を、周方向一端に接続開口を備えた円形、本例にあっては数cm径、例えば3cm径程度の円形のリング状とし、その嵌合基部の中央にブーツ34を配置し、太陽電池モジュール1に配置したプラス又はマイナスの電極からのリード線14を接続開口から導入して上記ブーツ34に接続することによって、太陽電池モジュール1の単体毎に2箇所の一方をプラス用、他方をマイナス用として、上記ラックレール2に配置した屋根他方のモジュール3bに出力連結するようにしてある。
【0045】
本例のモジュール一方のコネクター3aにおけるハウジング31は、その本体32に対してキャップ33、本例にあっては中央に透孔を配置してリング状としたキャップ33を螺合することによって、上記重ね代12の透孔縁部を挟持してその固定を行うようにしてあり、このとき該キャップ33は、重ね代12の表面に僅かに突出するところ、上記スペーサー13によってこれが重ね代12上の上位の太陽電池モジュール1の下端に接触することのないようにしてある。
【0046】
屋根他方のコネクター3bにおけるハウジング31は、その本体32を円形、本例にあっては同じく数cm径、例えば3cm径程度の円形のリング状とし、その嵌合基部の中央にブーツ34を配置し、上記モジュール一方のコネクター3aに出力接続して、ラックレール2の中空部においてこれに配置したケーブル接続コネクター24を介して該中空部内に配置のケーブルに接続することによって、上記パワーコンディショナーに電力の出力を行うようにしてあり、このとき該ハウジング31は、その本体32に対してキャップ32、本例にあっては同じく中央に上記ケーブル接続用の透孔を配置してリング状としたキャップをスナップイン係止することによって、上記ラックレール2の透孔縁部を挟持してその固定を行うようにしてある。
【0047】
モジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bは、その連結を上記スナップイン係止によってワンアクションで行うようにしてあり、このため該モジュール一方及び屋根他方のコネクター3a、3bは、相互にスナップイン係止を行うスナップイン係止手段を備えてあり、該スナップイン係止手段は、その各ハウジング31の本体32にモジュール一方のコネクター3aにおいて下向きに、屋根他方のコネクター3bにおいて上向きにそれぞれ一体に成形した係止脚37を配置することによってこれを形成してある。
【0048】
本例にあって該係止脚37は、それぞれ本体の嵌合基部から下向き及び上向きに突出してあり、該係止脚37は、上記合成樹脂の弾性を利用して相互に弾発的に係止する係止突起38を備えて、円形をなす上記コネクター3a、3bに対して、例えば、コネクター毎にその中心点からそれぞれ1/4円乃至それ以下の角度をなす幅とするように嵌合基部の下面に対向して平行なプレート状に又は湾曲プレート状に各一対を配置したものとしてある。
【0049】
このように係止脚37をそれぞれ1/4円乃至それ以下の角度とすることによって、係止脚37を屋根傾斜面の上下に位置するように配置すれば、モジュール一方のコネクター3aは、これを屋根傾斜面横方向に押圧すれば、屋根他方のコネクター3bとの連結を解除することができ、太陽電池モジュール1のメンテナンスに際して、コネクター3a、3bの連結解除によって、ラックレール2からの押圧解除による取り外し、即ち、屋根傾斜面からの太陽電池モジュール1の取り外しをなし得るようにしてある。
【0050】
本例のモジュール一方のコネクター3aの係止脚37は、その内側にブーツ34を保護して、屋根他方のモジュール3bの係止脚37の連結ガイドをなすように円形筒部35を配置し、該円形筒部35の外側に配置することによって、該円形筒部36との間に、屋根他方のコネクター3bの係止脚37を受け入れる受溝を形成したものとしてあり、このとき、モジュール一方のコネクター3aには内向きの、屋根他方のコネクター3bには外向きの係止突起38を配置したものとしてある。
【0051】
以上のように太陽電池モジュール1側に配置したモジュール一方のコネクター3aと、該太陽電池モジュール1を設置する屋根bに固定した葺設用部材に配置した屋根他方のコネクター3bを対として備えた屋根一体型太陽電池モジュール1は、その上記屋根他方のコネクター3bに対してモジュール一方のコネクター3aを下向き押圧してこれらコネクター3a、3bを連結することによって太陽電池モジュール1の出力接続と太陽電池モジュール1の屋根B固定を同時に完結して、屋根Bに太陽電池アレイAを施工するように用いるものとしてある。
【0052】
即ち、太陽電池モジュール1は、例えば、住宅等建造物の屋根下地にルーフィングを介して配置した板金平葺きの屋根傾斜面の所定位置に、予め葺設用部材、本例にあってはラックレール2を上下に等間隔平行に多数、例えば図示省略の上面ドライバー挿入孔からのドライバーによって屋根傾斜面に螺入したネジ28の固定によって配置し、その上記幅広の設置用段部21の定位置に配置した、太陽電池モジュール1の単位当り2箇所の屋根他方のコネクター3bに対して、太陽電池モジュール1のモジュール一方の、同じく2箇所のコネクター3bの位置を合せるように載置してこれを下向きに押圧することによって、その上記コネクター連結を行って、双方のコネクター3a、3bの出力接続と太陽電池モジュール1の屋根B固定を行うように、各ラックレール2の長手方向に所定複数の太陽電池モジュール1を葺設することによって上方に向けて順次段葺きとする葺設を行うものとしてある。
【0053】
このとき、上記コネクター3a、3bの連結によって、太陽電池モジュール1の重ね代12のコネクター設置部位上方の、例えば2〜3cm幅程度の重ね代12縁部の先端は、上記ラックレール2の受座用段部22上に載置するようにしてあり、これによってラックレール2を用いた太陽電池モジュール1の安定した上端支持を行うようにしてある。
【0054】
上位の太陽電池モジュール1は、その下端を下位に配置のラックレール2上に、下位の太陽電池モジュール1の上端に重なるように段葺き配置し、上位のラックレール2に対して同様にコネクター3a、3b連結による出力接続と屋根固定を行うようにすればよい。
【0055】
上位の太陽電池モジュール1には、その下位のラックレール2にクリップ4止めを行うことによって、強風時を含めた耐風性を確保するように固定を施したものとしてあり、該クリップ4は、後端をラックレール2の背面に形成した係止孔41に引掛け係止し、先端で太陽電池モジュール1の下端を抱持状に引掛け保持するように、太陽電池モジュール1毎にその幅方向に単一又は複数を用いて、そのクリップ止めの固定を行うものとしてある。
【0056】
図中5は、最下位の太陽電池モジュール1の下端を支持する同じく中空一体の形材による化粧受座、25はラックレール2の下面に透設した屋根他方のコネクター3b挿入設置用のコネクター設置孔、26は太陽電池モジュール1のメンテナンス用に上記係止脚37の係止を押圧解除して太陽電池モジュール1をラックレール2から取り外し可能とするに、図示省略の専用工具を挿入するラックレール2背面に透設したメンテナンス孔、27はラックレール2下面の排水を可能とするようにラックレール2交差方向に複数用いてラックレール2を屋根傾斜面に浮かし設置するように用いたラックレール支持材をそれぞれ示す。
【0057】
このように形成した太陽電池アレイAは、その各太陽電池モジュール1の電力を、コネクター3a、3b連結によってラックレール2のケーブル接続コネクター24を介して、該ラックレール2内に配置したケーブルによって、パワーコンディショナーに供給することができ、太陽電池アレイAの段葺きの葺設の施工は、上記コネクター3a、3b連結によって行い、必要に応じて上記クリップ4止めを施す程度に、極めて簡易にして確実に行うことができ、太陽電池モジュール毎の端子箱の配線作業を行うことなく、上方高所の屋根上における作業を安全且つ効率的に行うことができる。
【0058】
このように形成した本例の太陽電池アレイAは、屋根傾斜面に太陽電池モジュールを段葺きして葺設したものとなり、太陽電池モジュール1の各側端間をシーリングや取り外し可能の連結材で封止することによって雨水の浸入を有効に防止したものとなり、万一雨水の浸入があっても、上記ラックレール2の浮かし設置により、ラックレール支持材27間からその排水を行うことができるから、常に良好な雨仕舞を確保したものとすることができる。また、太陽電池モジュール1は下位の太陽電池モジュール1のラックレール2にクリップ4止めしたから、太陽電池モジュール1の固定が確実で、上記雨仕舞とともに耐風圧性を確保して、台風等の荒天に対しても屋根Bへの葺設が影響を受けることを有効に防止できる。
【0059】
図示した例は以上のとおりとしたが、太陽電池モジュールを、そのフロントカバー及び/又はバックカバーを基板として、該基板に上記モジュール一方のコネクターを固定したものとすること、係止脚をコネクターのハウジングに合せて円弧面によるものとし、このとき必要に応じて係止脚の係止を容易化するように係止脚を円周面に分離するように切込みを入れたものとすること、例えば、太陽電池モジュールを更に大判とするとき、太陽電池モジュールの単位毎にコネクター連結する上記モジュール一方及び屋根他方のコネクター数を上記2箇所の偶数倍とし、また、上記2箇所を維持しつつ、ハウジングの構造を共通とするダミーコネクターを追加使用することによって、コネクター連結の固定強度の確保向上を図ること、太陽電池モジュールを壁一体型(屋根及び壁を併せて外装一体型といってもよい)とするように、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面側に配置した壁面他方のコネクターを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁面固定を同時に完結自在とすること、このとき、その太陽電池アレイの施工方法を、太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面に固定した設置用部材に配置した壁他方のコネクターを対として備えた壁一体型太陽電池モジュールを用い、上記壁他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを横向き押圧してこれらコネクターを連結することによって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁固定を同時に完結して、壁面に太陽電池アレイを施工するものとすること、太陽電池モジュールを壁一体型とするとき、屋根に対して壁面は垂直面をなすから、その構成、施工方法について上記表現を適宜に読み替えすること等を含めて、太陽電池アレイ、太陽電池モジュール、モジュール一方のコネクター、屋根他方のコネクター、コネクターの連結、必要に応じて用いるスナップイン係止、葺設用部材乃至設置用部材、ラックレール、太陽電池モジュールの重ね代、スペーサー等の各具体的形状、構造、材質、数、寸法、これらの関係、これらに対する付加、施工方法等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0060】
A 太陽電池アレイ
B 屋根
1 太陽電池モジュール
11 基板
12 重ね代
13 スペーサー
14 リード線
2 ラックレール
21 コネクター設置用段部
22 受座用段部
23 ケーブル収容部
24 ケーブル接続コネクター
25 コネクター設置孔
26 メンテナンス孔
27 ラックレール支持材
28 ネジ
3a モジュール一方のコネクター
3b 屋根他方のコネクター
31 ハウジング
32 本体
33 キャップ
34 ブーツ
35 円形筒部
36 Oリング
37 係止脚
38 係止突起
4 クリップ
41 係止孔
5 化粧受座


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを葺設する屋根側に配置した屋根他方のコネクターを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの屋根固定を同時に完結自在としてなることを特徴とする屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項2】
上記対とするモジュール一方及び屋根他方のコネクターを、太陽電池モジュール毎に2箇所備えてなることを特徴とする請求項1に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項3】
上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターを、屋根他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを載置して下向き押圧することによってその上記コネクターの連結を自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項4】
上記下向き押圧によるコネクターの連結を、上記モジュール一方及び屋根他方のコネクター相互のスナップイン係止によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項5】
上記モジュール一方のコネクターを、太陽電池モジュールに透設した透孔に下向きに配置し、上記屋根他方のコネクターを、屋根面に固定した葺設用部材に上向きに配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項6】
上記屋根面に固定した葺設用部材を、複数の太陽電池モジュールのコネクター連結を長手方向一連に行うラックレールとしてなることを特徴とする請求項5に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項7】
上記モジュール一方及び屋根他方のコネクターを、それぞれ硬質乃至半硬質合成樹脂を射出成形して形成した成形部材のハウジングを用いて形成してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項8】
上記太陽電池モジュールを、上位の太陽電池モジュール下端との重ね代を上端に備えて形成し、該重ね代に上記モジュール一方のコネクターを配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項9】
上記太陽電池モジュール上端の重ね代に、そのモジュール一方のコネクターを挟むスペーサーを配置してなることを特徴とする請求項8に記載の屋根一体型太陽電池モジュール。
【請求項10】
太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面側に配置した壁面他方のコネクターを対として備え、これらコネクターの連結によって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁面固定を同時に完結自在としてなることを特徴とする壁一体型太陽電池モジュール。
【請求項11】
太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する屋根面に固定した葺設用部材に配置した屋根他方のコネクターを対として備えた屋根一体型太陽電池モジュールを用い、上記屋根他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを下向き押圧してこれらコネクターを連結することによって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの屋根固定を同時に完結して、屋根面に太陽電池アレイを施工することを特徴とする太陽電池アレイの施工方法。
【請求項12】
太陽電池モジュール側に配置したモジュール一方のコネクターと、該太陽電池モジュールを設置する壁面に固定した設置用部材に配置した壁他方のコネクターを対として備えた壁一体型太陽電池モジュールを用い、上記壁他方のコネクターに対してモジュール一方のコネクターを横向き押圧してこれらコネクターを連結することによって太陽電池モジュールの出力接続と太陽電池モジュールの壁固定を同時に完結して、壁面に太陽電池アレイを施工することを特徴とする太陽電池アレイの施工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40509(P2013−40509A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178417(P2011−178417)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(501249353)グリーンテック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】