説明

屋根膜

フルオロポリマーを含む第1層、該第1層に直接結合し且つ直接接触している第2層、及び該第2層の下にある第3層、を含む屋根材料。該第2層は非機能化オレフィンポリマーを含む。該第3層は高分子材料及び充填剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根膜及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設産業の中で、建設業者及び建物所有者は費用対効果の高い屋根葺の解決策を求めている。特に、建設業者及び建物所有者は、雨、雪、あられ、風、熱、及び紫外線のような環境危険(hazard)に対する保護を提供する、維持費が低く且つ耐久性のある屋根材料を求めている。雨、雪、あられ、及び風は屋根膜に構造的な被害を及ぼす傾向がある。熱及び紫外線は屋根材料に変化をもたらす傾向があり、材料の強度を弱め、材料を、雨、雪、あられ、及び風による被害のような構造的な被害をより受けやすいものにする。
【0003】
更に、建設業者及び建物所有者は引き裂き抵抗性及び破壊抵抗性のある屋根材料を求めている。屋根材料は設置及び建設中に潜在的な引き裂き及び破壊の危険を受ける。更に、屋根材料は、HVACシステムのような屋根上に置かれた装置を維持する間、破壊の危険に曝されることがある。更に、屋根材料は風に吹かれて来た瓦礫又はあられによる破壊の危険に曝されることがある。
【0004】
また、屋根材料はしばしば高い熱及び太陽の放射に曝される。紫外線は屋根材料の長期間での劣化を引き起こすことがある。夏には、屋根材料は室温を遥かに超える熱を受けることがある。例えば、典型的な黒色屋根は、夏には、室温よりも華氏70度(21℃)又はより以上に高い温度になる。長期間の熱又は紫外線暴露によって引き起こされる老化は該フィルムの引き裂き及び破壊抵抗性を減じることがある。更に、そのような老化は、縮み又は反りのような、該フィルム寸法の変化を引き起こすことがある。
【0005】
更に、建設業者及び建物所有者は、長期間外観及び美観を保つ屋根を求めている。容易に清潔にできるか又は不潔物が蓄積し難い屋根材料は、よりよい外観を持ち、維持コストも低いであろう。殊に、淡色屋根上の容易に清潔にできるか又は不潔物が蓄積し難い表面は長期間に亘って、屋根に、色と反射性の高さの維持をもたらすであろう。
【0006】
引き裂き、破壊危険、及び老化に対する抵抗性が劣ると、フィルム又は膜には、雨に長期間曝されることによる漏れ、加熱及び冷凍過程の結果としての剥がれ、又は遮断性の喪失、が起こることがある。そのような問題が起こると、該屋根材料は、維持に高い費用がかかるか又は全体を取り替えねばならない。該屋根材料の寿命が短いか又は維持管理の頻度が多ければ、該屋根葺システムに伴った寿命までのコストはより高くなる。かくて、改良された屋根膜が望まれるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
諸性質の改良された屋根膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの特別な実施態様において、屋根材料は、フルオロポリマーを含む第1層、該第1層に直接結合し且つ直接接触している第2層、及び該第2層の下にある第3層を含む。該第2層は非機能化(unfunctionalized)オレフィンポリマーを含む。 該第3層は高分子材料及び充填剤を含む。
【0009】
もう1つの模範的な実施態様において、屋根膜は、フルオロポリマーを含む第1層、該第1層に直接結合し且つ直接接触している第2層、及び該第2層の下にある第3層を含む。該第2層はジエンエラストマーを含む。該第3層は高分子材料を含む。
【0010】
更なる模範的な実施態様において、屋根膜は、フルオロポリマーを含む第1層、該第1層に直接結合し且つ直接接触している第2層、及び該第2層の下にある第3層を含む。該第2層はジエンエラストマーを含む。該第3層は非機能化オレフィンポリマーを含む。
【0011】
更なる模範的な実施態様において、キャッピングフィルムは、フルオロポリマーを含む第1層、及び、中間層が無く該第1層に直接接触している第2層を含む。該第2層は、少なくともある程度非硬化状態にあるポリマーを含む。
【0012】
もう1つの模範的な実施態様において、屋根膜を形成する方法は、本体層にキャッピングフィルムを積層することを含む。該キャッピングフィルムは第1層及び第2層を含む。該第1層はフルオロポリマーを含み、そして該第2層は非機能化オレフィンポリマーを含む。該方法はまた、該本体層を硬化することを含む。
【0013】
更なる模範的な実施態様において、屋根膜を形成する方法は、本体層をキャッピングフィルムに押出すことを含む。該キャッピングフィルムは第1層及び第2層を含む。該第1層はフルオロポリマーを含み、そして該第2層は非機能化オレフィンポリマーを含む。該本体層は高分子材料及び充填剤を含む。
【0014】
更なる模範的な実施態様において、屋外構造物の表面を調製する方法は、屋根材料を該屋外構造物の表面上に配置することを含む。該屋根材料は、フルオロポリマーを含む第1層及び該第1層に直接結合し且つ直接接触している第2層を含む。該第2層はジエンエラストマーを含む。該方法はまた、該屋根材料を該表面に固定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
付属の図面を参照することにより、本開示はよりよく理解され得、その多くの特徴及び利点が当業者に明らかになり得る。
【0016】
【図1】屋根システムでの使用のための模範的な多層構造の例を含む。
【図2】屋根システムでの使用のための模範的な多層構造の例を含む。
【図3】屋根システムでの使用のための模範的な多層構造の例を含む。
【0017】
【図4】模範的な屋根膜の例を含む。
【0018】
【図5】屋根膜を含む模範的な製造された物品の例を含む。
【0019】
【図6】屋根膜を形成するための模範的な方法のフローチャートを含む。
【0020】
【図7】図1,2又は3に例示された屋根膜のような屋根膜を含む模範的な建物の例を含む。
【0021】
【図8】屋根膜を設置するための模範的な方法を説明するフローチャートを含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1つの特別な実施態様において、屋根膜はキャッピングフィルム及び本体層を含む。例えば、該キャッピングフィルムは、フルオロポリマーを含む第1層及び非機能化オレフィンポリマーを含む第2層を含み得る。該第1層は少なくとも部分的に該第2層に重なっており、そして該第2層に直接接触し且つ直接結合している。該本体層は非機能化オレフィンポリマー及び充填剤を含み得る。該屋根膜は、建物のような構造物上に組み込まれ得る。特に、該屋根膜は低傾斜屋根又は傾斜屋根のような構造物の空に面した表面に配置され得る。
【0023】
もう1つの模範的な実施態様において、該屋根膜は、該本体層に該キャッピングフィルムを積層することにより形成され得る。例えば、該キャッピングフィルムは、該本体層を硬化、架橋、又は冷却する前に、本体層に積層され得る。1つの例において、該本体層は、該キャッピングフィルムに押出され又はカレンダー処理され得る。もう1つの例において、該本体層は、該本体層を該キャッピングフィルムに積層する前に形成され得る。更なる例において、該キャッピングフィルムは接着剤を用いて該本体層に接着され得る。
【0024】
更なる模範的な実施態様において、建物は、構造物の表面、例えば屋根、上に該屋根膜を配置しそして該屋根膜を該表面に固定することによって建設され得る。例えば、該屋根膜は接着性物質により該表面に接着され得る。別法として、該屋根膜は該表面に熱積層され得る。
【0025】
図1は、屋根膜に有用であり得る模範的な多層フィルム100の例を含む。例えば、該多層フィルム100は、本体層と共に用いるためのキャッピング層であり得る。該フィルム100は最外層102及び層104を含み得る。該最外層102は、屋根膜の1部として取り付けられたとき典型的に環境条件に曝される最外表面110を形成する。該フィルム100はまた、典型的に本体層の表面に隣接する表面112を含む。例えば、該表面112は、接着剤により、又は中間層の無い該本体層への直接結合により、該本体層に接着される。
【0026】
1つの特別な実施態様において、該層102は該層104に直接結合し且つ直接接触する。例えば、該層102は、中間の接着剤層無しに該層104に直接結合し且つ直接接触する。例示されたように、所望の層106が、層102及び104の下に形成され得る。該層106は、強化材、接着剤、高分子材料、又はそれらの任意の組み合わせにより形成され得る。特に、該所望の層106は該層104に直接結合し且つ直接接触し得る。
【0027】
該層102は、通常表面エネルギーの低い材料で形成される。例えば、表面エネルギーの低いポリマーが表面エネルギーの低い表面の形成に使用され得る。1つの例において、表面エネルギーの低いポリマーはフルオロポリマーを含む。模範的なフルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、又はそれらの任意の組み合わせ、のような全部又は1部がフッ素化されたモノマーから形成された、ホモポリマー、コーポリマー、ターポリマー、又はポリマーブレンドから形成され得る。模範的なフルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテルとのコーポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコーポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコーポリマー(ETFE)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコーポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコーポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンを含むターポリマー(THV)、エチレン−パーフルオロエチレンプロピレンコーポリマー(EFEP)、又はそれらの任意のブレンド又はアロイ、を含む。例えば、該フルオロポリマーはFEPを含み得る。更なる例において、該フルオロポリマーはPVDFを含み得る。模範的な実施態様において、該フルオロポリマーは電子線のような放射線により架橋され得る。模範的な架橋され得るフルオロポリマーは、ETFE、THV、PVDF、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。THV樹脂は、DyneonTMが3M Corporation Minneapolis, Minn.から入手可能である。ECTFEポリマーは、HalarTMがAusimont Corporation(Italy)から入手可能である。ここに記載された他のフルオロポリマーは、Daikin(Japan)及びDuPont(USA)から得られ得る。特に、NP-12XのようなFEPフルオロポリマー類はDaikinから入手可能である。
【0028】
1例において、該層102は、例えば少なくとも約75重量%又は少なくとも約80重量%のような、少なくとも約70重量%のフルオロポリマーを含む。1つの特別な例において、該層102は、例えば実質的に100%のフルオロポリマーを含むように、実質的に全部がフルオロポリマーで形成される。別法として、該層102は、顔料、紫外線吸収剤、又は下記のような他の添加剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0029】
1つの模範的な実施態様において、該層102は約100マイクロメーターより大きくない厚さを持つ。例えば、該層の厚さは、例えば約25マイクロメーターより大きくない、例えば約25マイクロメーターより大きくない、ような、約50マイクロメーターより大きくないものであり得る。
【0030】
1つの模範的な実施態様において、該層104は非機能化オレフィンポリマーを含み得る。ここで、非機能化オレフィンポリマーは、少なくとも1種のアルキレンモノマーから形成され、且つハロゲン、酸素、窒素、硫黄、又は燐を含む官能基を含むモノマーから形成されていない、ホモポリマー又はコーポリマーを含む。例えば、非機能化オレフィンポリマーはポリオレフィン又はジエンエラストマーを含み得る。非機能化オレフィンポリマーの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、又はポリメチルペンテンのようなポリオレフィンホモポリマー;エチレン−プロピレンコーポリマー、エチレン−ブテンコーポリマー、又はエチレン−オクテンコーポリマーのようなポリオレフィンコーポリマー;エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーのようなジエンエラストマー;熱可塑性オレフィン(TPO);又はそれらの任意のブレンド又は組み合わせ、を含む。1つの特別な例において、該非機能化オレフィンポリマーは熱可塑性オレフィン(TPO)を含む。
模範的なポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0031】
1つの特別な実施態様において、該層104はエラストマー材料で形成され得る。1つの特別な実施態様において、該エラストマー材料は架橋され得るエラストマーポリマーを含む。例えば、該層104はジエンエラストマーを含み得る。1つの特別な例において、該エラストマー材料はジエンエラストマーとポリオレフィンとのブレンドを含む。1つの模範的な実施態様において、該ジエンエラストマーは、少なくとも1種のジエンモノマーから形成されたコーポリマーである。例えば、該ジエンエラストマーは、エチレン、プロピレン及びジエンモノマーのコーポリマー(EPDM)であり得る。模範的なジエンモノマーは、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、又はそのようなもの、のような共役ジエン;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、又はそのようなもの、のような5〜25の炭素原子を含む非共役ジエン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、またはそのようなもの、のような環状ジエン;1-ビニル-1-シクロペンテン、1-ビニル-1-シクロヘキセン、またはそのようなもの、のような、ビニル環状エン;3-メチルビシクロ-(4,2,1)-ノナ-3,7-ジエン、またはそのようなもの、のような、アルキルビシクロノナジエン;メチルテトラヒドロインデン、またはそのようなもの、のようなインデン;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ブチリデン-2-ノルボルネン、2-メタリル-5-ノルボルネン、2-イソプロペニル-5-ノルボルネン、5-(1,5-ヘキサジエニル)-2-ノルボルネン、5-(3,7-オクタジエニル)-2-ノルボルネン、またはそのようなもの、のようなアルケニルノルボルネン;3-メチルトリシクロ(5,2,1,02,6)-デカ-3,8-ジエン、またはそのようなもの、のようなトリシクロジエン;又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。1つの特別な実施態様において、該ジエンは非共役ジエンを含む。もう1つの実施態様において、該ジエンエラストマーはアルケニルノルボルネンを含む。該ジエンエラストマーは、該ジエンエラストマーの全重量を基準として、例えばエチレンをポリマーの約63〜約95重量%、プロピレンを約5〜約37重量%、及びジエンモノマーを約0.2〜約15重量%含み得る。1つの特別な例において、該エチレン含有量は該ジエンエラストマーの約70〜約90重量%、プロピレンは約17〜約31重量%、該ジエンモノマーは約2〜約10重量%である。該ジエンエラストマーは、典型的には、約25〜約150のような、少なくとも約20のムーニー粘度(ML 1+8 125℃)を持つ。1つの模範的な実施態様において、該ジエンエラストマーは、トルエン1デシリットル当たり0.1gのジエンポリマー溶液として25℃で測定した場合、例えば約1.3〜約3のような、少なくとも約1の希薄溶液粘度(DSV)を持つ。架橋の前において、該ジエンエラストマーは、例えば約900〜約1600psiのような、約800〜約1800psiの未処理(green)引っ張り強さを持ち得る。該未架橋ジエンエラストマーは少なくとも約600パーセントの破断点伸びを持ち得る。通常、該ジエンエラストマーは、ジシクロペンタジエン、エチルノルボルネン、メチルノルボルネン、非共役ヘキサジエン、またはそのようなもののようなジエンモノマーを少量含み、典型的には約50000〜約100000の数平均分子量を持つ。模範的なジエンエラストマーは、Dawから商品名Nordel、例えばNordel IP 4725P、として商業的に入手可能である。
【0032】
1つの特別な実施態様において、層104の材料は約40重量%より多い該ジエンエラストマーを含む。例えば、該層104は、例えば約65重量%より多い、約80重量%より多い、又は約90重量%より多いような、約50重量%より多い該ジエンエラストマーを含む。1つの特別な例において、層104の材料は、本質的にEPDMのようなジエンエラストマーからなる。
【0033】
層104がEPDMとポリオレフィンとのブレンドを含む1つの模範的な実施態様において、該ブレンドのポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、オクテン、又はそれらの任意の組み合わせのようなモノマーから形成された、ホモポリマー、コーポリマー、ターポリマー、アロイ、又はそれらの組み合わせを含む。模範的なポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンコーポリマー、エチレンブテンコーポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンオクテンコーポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む。1つの特別な例において、該ポリオレフィンは高密度ポリエチレンを含む。もう1つの例において、該ポリオレフィンはポリプロピレンを含む。更なる例において、該ポリオレフィンはエチレンオクテンコーポリマーを含む。1つの特別な実施態様において、該ポリオレフィンはカルボキシル官能基で修飾されたポリオレフィンのような修飾されたポリオレフィンではなく、特にエチレン酢酸ビニルではない。更に、該ポリオレフィンはジエンモノマーからは形成されない。該ポリオレフィンはある程度の結晶性を持ち得る。例えば、該ポリオレフィンは少なくとも約35%の結晶性を持ち得る。1つの特別な例において、該ポリオレフィンは、例えば少なくとも約60%、又は少なくとも約70%のような、少なくとも約50%の結晶性を持ち得る。1つの特別な例において、該ポリオレフィンは高結晶性のポリオレフィンであり得る。別法として、該ポリオレフィンは、35%を超えないような結晶性を持つ、低結晶性のポリオレフィンであり得る。低結晶性のポリオレフィンは剥離フィルムの規格合致(conformability)を高め又は透明性を改善し得る。模範的な商業的に入手可能のポリオレフィンは、Eqistar 8540、エチレンオクテンコーポリマー;Equistar GA-502-024、LLDPE;Dow DMDA-8904NT7、HDPE;Basell Pro-Fax SR275M、ランダムポリプロピレンコーポリマー;Dow 7C50、ブロックPPコーポリマー;又はDupont Dowにより商品名Engageとして以前販売された製品類、を含む。もう1つの模範的な樹脂はExxon Mobil Exact 0201又はDow Versify 2300を含む。
【0034】
1つの例として、EPDMとポリオレフィンとのブレンドは、例えば約30重量%より多くないような、約40重量%より多くないポリオレフィンを含む。例えば、該ブレンドは、例えば10重量%より多くないような、約20重量%より多くないポリオレフィンを含む。1つの特別な例において、該ブレンドは、例えば約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約25重量%、又は約10重量%〜約20重量%のような、約5重量%〜約30重量%、を含む。
【0035】
通常、EPDMとポリオレフィンとのブレンドは該高分子成分との相溶性を示す。DNA分析は相溶性の証拠を提供し得る。DMA分析はブレンドの主成分のガラス転移温度間に、相溶性を示す単一のタンジェントδピークを示す。代わりに、非相溶性のブレンドは1つより多いタンジェントδピークを示すことがある。特に、該単一のタンジェントδピークは該ポリオレフィンのガラス転移温度と該ジエンエラストマーのガラス転移温度の間に有り得る。
【0036】
1つの模範的な実施態様において、層104の材料は架橋により硬化され得る。1つの特別な例において、該非機能化オレフィンポリマーは、例えばX線、ガンマ線、紫外電磁放射線、可視光放射線、電子ビーム(e-beam)、又はそれらの任意の組み合わせ、のような放射線により硬化され得る。紫外(UV)放射線は、例えば170nm〜220nmの範囲のような、170nm〜400nmの範囲の、単一又は複数の波長の放射線を含み得る。電離線はイオンを発生し高エネルギーの放射線を含み、電子線(e-beam)、ガンマ線、及びX線を含み得る。1つの特別な例において、e-beam電子線は、Van de Graaff発生器又は電子加速器により発生した電子線を含む。別の実施態様において、該非機能化オレフィンポリマーは熱的な方法によって架橋され得る。更なる例において、該非機能化オレフィンポリマーは、例えばシラン架橋剤と水との間の反応のような化学反応によって架橋され得る。
【0037】
1つの模範的な実施態様において、層104の材料は架橋剤、光開始剤、熱開始剤、充填剤、顔料、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。別法として、該層104は架橋剤、光開始剤、熱開始剤、充填剤、顔料、酸化防止剤、難燃剤、又は可塑剤を含まないことができる。特に、該層104は光開始剤又は架橋剤を含まないことができる。
【0038】
架橋を促進するため、層104の材料は光開始剤又は増感剤組成物を含み得る。例えば、紫外線又はe-beam放射線が放射線の形態として予定される場合、該材料は、架橋効率、即ち放射線の投与量当りの架橋度、を増加させるため、光開始剤を含み得る。
【0039】
模範的な光開始剤は、例えばSartomerからのEsacure KIP150のような、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-4(1-メチルビニル)プロパノン及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン モノマー(monomeric)を含む。もう1つの模範的な光開始剤は、ベンゾフェノン、オルト−又はパラ−メトキシベンゾフェノン、ジメチルベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o-メトキシアセトフェノン、アセナフテン−キノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、アルファ−フェニル−ブチロフェノン、p-モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4-モルホリノベンゾ−フェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、3-o-モルホリノデオキシベンゾイン、p-ジアセチル−ベンゼン、4-アミノベンゾフェノン、4’-メトキシアセトフェノン、アルファ−テトラロン、9-アセチルフェナンスレン、2-アセチル−フェナンスレン、10-チオキサンテノン、3-アセチル−フェナンスレン、3-アセチルインドール、9-フルオレノン、1-インダノン、1,3,5-トリアセチルベンゼン、チオキサンテン-9-オン、キサンテン-9-オン、7-H-ベンズ[de]アンスラセン-7-オン、ベンゾインテトラヒドロフィラニルエーテル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン、1’-アセトナフトン、2’アセトナフトン、アセト−ナフトン、及び2,3-ブタンジオン、ベンズ[a]アントラセン-7,12-ジオン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセト-フェノン、アルファ−ジエトキシ−アセトフェノン、アルファ-ジブトキシ−アセトフェノン、アントラキノン、イソプロピルチオキサントン、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。1つの模範的なポリマー開始剤は、ポリ(エチレン/一酸化炭素)、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)-フェニル]プロパノン]、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルアリールケトン類、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。
【0040】
もう1つの模範的な光開始剤は、ベンゾフェノン;アンスロン;キサントン;2,2-ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(IrgacureTM 651)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IrgacureTM 184)、又は2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IrgacureTM 907)を含むCiba-Geigy Corp.からの光開始剤のIrgacureTMシリーズ;又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。一般に、該光開始剤の該エラストマー層104の材料からのマイグレーションの程度は低い。更に、該光開始剤は典型的には押出し温度での蒸気圧が低く、該エラストマー層104のポリマー又はポリマーブレンドへの十分な溶解度を持っており、効率的な架橋をもたらす。1つの模範的な実施態様において、該光開始剤の蒸気圧及び溶解度、又はポリマー相溶性は該光開始剤を誘導体化することにより改善され得る。模範的な誘導体化された光開始剤は、例えば4-フェニルベンゾフェノン、4-アリルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシベンゾフェノン、又はそれらの任意の組み合わせ、のようなベンゾフェノンのより高い分子量の誘導体を含む。1つの例において、該光開始剤は、該エラストマー層104の材料であるポリマーに共有結合され得る。
【0041】
1つの模範的な実施態様において、該エラストマー層104の材料は例えば約o.1〜約2.0重量%のような、約0.0〜約3.0重量%の光開始剤を含む。
【0042】
架橋はまた、過酸化物、アミン、シラン、硫黄含有化合物、又はそれらの任意の組み合わせのような化学架橋剤により促進され得る。1つの模範的な実施態様において、該層104の材料は、固体状のポリマーと架橋剤を、即ち粉状で、ドライブレンドして調製され得る。代替法として、該材料は、液体状で、不活性粉状基材中に収着されて、又は被覆ペレットを調製することにより、又は類似の方法により調製され得る。
【0043】
模範的な熱活性化し得る架橋剤は、熱に曝されたとき分解して少なくとも1つそして典型的には2つ又はそれより多くの架橋をもたらすフリーラジカルを形成する、フリーラジカルを発生する化学物質を含む。1つの模範的な実施態様において、該架橋剤は有機過酸化物、アミン、シラン、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む有機架橋剤である。
【0044】
模範的な有機過酸化物は次のものを含む:2,7-ジメチル-2,7-ジ(t-ブチルペルオキシ)オクタジイン-3,5;2,7-ジメチル-2,7-ジ(ペルオキシエチルカーボネート)オクタジイン-3,5;3,6-ジメチル-3,6-ジ(ペルオキシエチルカーボネート)オクチン-4;3,6-ジメチル-3,6-(t-ブチルペルオキシ)オクチン-4;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシ-n-プロピルカーボネート)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシイソブチルカーボネート)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシエチルカーボネート)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(アルファ-クミルペルオキシ)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベータ-クロロエチルカーボネート)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3;又はそれらの任意の組み合わせ。1つの特別な架橋剤は、Elf Atochemから商品名Lupersol 130として入手可能な、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3である。もう1つの模範的な架橋剤は、Elf AtochemからLuperox 500Rとして入手可能な、ジクミルペルオキサイドである。1つの特別な実施態様において、該架橋剤は、該材料中に、該材料の重量を基準として、例えば約0.5〜約2.0重量%のような、約0.1〜約5.0重量%の量で存在する。
【0045】
模範的なシラン架橋剤は一般式:
【化1】

を有する。式中、R1は水素原子又はメチル基であり;x及びyは0又は1であり、但し、xが1のときyは1である;nは1から12の整数であり、好ましくは1〜4である、そして夫々のRは独立して、例えば1〜12個の炭素原子を持つアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1〜12個の炭素原子を持つ脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノ又は置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ)、又は1〜6個の炭素原子を持つ低級アルキル基、のような加水分解され得る有機基であり、但し3つのR基のうち1つより多くない基はアルキルである。そのようなシランは、有機過酸化物の使用によりポリマーにグラフトされ得る。熱又は光安定剤、顔料、又はそれらの任意の組み合わせのような付加的成分もまた、該材料に含まれ得る。一般に、該架橋反応は、該グラフトされたシラン基と水との間の反応から生じる。水は、雰囲気、水浴、又は「サウナ」から塊状ポリマー中に浸透し得る。模範的なシランは、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル又はガンマ-(メタ)クリルオキシアリル基のようなエチレン性不飽和ヒドロカルビル(hydrocarbyl)基、及び、例えばヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)、ヒドロカルボニルオキシ(hydrocarbonyloxy)、又はヒドロカルビルアミノ(hydrocarbylamino)基のような加水分解され得る基を含む不飽和シランを含む。加水分解され得る基の例は、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキル基、アリールアミノ基、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。特別なシランは、該ポリマー上にグラフトされ得る不飽和アルコキシシランである。特に、該シランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ガンマ-(メタ)クリルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0046】
シラン架橋剤の量は該ブレンド、該シラン、該プロセス条件、該グラフト効率、該最終用途、及び同様の因子により広く変化する。典型的には、例えばレジン100部当たりの部数(phr)として少なくとも0.5phr、例えば0.7phr、で用いられる。一般に、シラン架橋剤の量は5phrを超えない、例えば2phrを超えない。
【0047】
もう1つの模範的な実施態様において、アミン架橋剤は、モノアルキル、ジュアリル(duallyl)、又はトリアルキルモノアミン、その場合アルキル基は約2〜約4個の炭素原子を含む;式、N(R2)3Nのトリアルキレンジアミン;式HN(R2)2NHのジアルキレンジアミン;アルキレンジアミン、H2NR2NH2;ジアルキレントリアミン、H2NR2NHR2NH2;4〜6個の炭素原子の環状鎖を持つ脂肪族アミン;又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。上記式中の該アルキレン基R2は、約2個〜約14個の炭素原子を含み得る。1つの模範的な環状アミンは酸素のようなヘテロ原子を持ち得る、例えばN-アルキルモルホリンであり得る。もう1つの模範的な環状アミンはピリジン、N,N-ジアルキルシクロヘキシルアミン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。1つの模範的なアミンはトリエチルアミン;ジ-n-プロピルアミン;トリ-n-プロピルアミン;n-ブチルアミン;シクロヘキシルアミン;トリエチレンジアミン;エチレンジアミン;プロピレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン;ぴりじん;エチル-p-ジメチルアミンベンゾエート(EDAB);オクチル-p-ジメチルアミノベンゾエート(ODAB);又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。1つの模範的な実施態様において、画材料は約0.5重量%〜約10.0重量%のアミンを含む。
【0048】
1つの特別な例において、硬化はAlbemarle, Inc.から入手可能なFirstCure ITXを用いて促進される。FirstCure ITXはまた、例えばエチル-p-ジメチルアミンベンゾエート(EDAB)又はオクチル-p-ジメチルアミノベンゾエート(ODAB)のようなアミン共力剤(synergist)と共に用いられ得る。
【0049】
図1に戻って、該層104の材料は紫外線(UV)吸収剤を含み得る。例えば、該層104は、例えば約0.1〜約5.0重量%のような、約5.0重量%を超えないUV吸収剤を含み得る。1つの特別な実施態様において、該層104は少なくとも2種類のUV吸収剤を含む。例えば、該層104は、各々の種類のUV吸収剤を0.1〜2.0重量%含み得る。かくして、該層104は、累計約0.1〜約5.0重量%のUV吸収剤を含み得る。
【0050】
UV吸収剤は、400ナノメーター(nm)より低い波長の電磁線を吸収する。典型的には、該UV吸収剤は、例えば200〜350nmのような、200〜400nmの波長の電磁線を吸収する。しばしば、1つの特別な種類のUV吸収剤は、ピーク吸収波長と呼ばれる特別な波長において吸収のピークを示す。
【0051】
1つの模範的な実施態様において、該UV吸収剤は、例えばベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)類及びオキザニリド(oxanilide)類のような有機UV吸収剤類から選ばれる。例えば、該UV吸収剤は、例えば2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール又は2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾールのようなベンゾトリアゾール類吸収剤であり得る。もう1つの例において、該UV吸収剤は、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノールのようなトリアジン類である。1つの更なる模範的な実施態様において、該UV吸収剤は、例えばビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(sebaceate)のようなHALSUV吸収剤である。他の模範的な吸収剤はCIBA Specialty Chemicals, Inc.からTinuvinTM又はChemisorbTMの名前で入手可能なものである。通常、該UV吸収剤は、セラミック種のような非有機種を含まない。例えば、該UV吸収剤は2酸化チタン又は酸化亜鉛を含まない。模範的なUV吸収剤はTinuvinTM 1577である。UV吸収剤のもう1つの特別な例は、Tinuvin 327、Tinuvin 360、CGL 777、又はそれらの任意の組み合わせを含む。更なる模範的なUV吸収剤は、TinuvinTM P、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、を含む。
【0052】
該層104の材料は充填剤を含み得る。1つの模範的な充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、大理石粉末、セメント粉末、クレー長石、シリカ又はガラス、フームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、2酸化チタン、チタネート、ガラス微小球、チョーク、金属フレークのような反射性充填剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。特別な例において、該充填剤は顔料としても機能し得る。例えば、該顔料アルミナ又はアルミナ水和物のようなアルミニウム質材料であり得る。1つの別の充填剤の例は、例えばカーボンブラック、グラファイトのような炭素質充填剤を含む。該充填剤又は顔料は、該層104の材料の例えば約1〜約80重量%、又は約1〜約40重量%のような、約1〜約90重量%の量で使用され得る。
【0053】
該層104の材料はまた難燃剤を含み得る。難燃剤は有機又は無機成分を含み得る。1つの模範的な有機難燃剤は、有機芳香族ハロゲン化物、有機脂環式ハロゲン化物、有機脂肪族ハロゲン化物、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つの模範的な有機化合物は、臭素化又は塩素化有機分子を含み得る。1つの模範的な実施態様は、ヘキサハロジフェニルエーテル、オクタハロジフェニルエーテル、デカハロジフェニルエーテル、デカハロビフェニルエタン、1,2-ビス(トリハロフェノキシ)エタン、1,2-ビス(ペンタハロフェノキシ)エタン、ヘキサハロシクロドデカン、テトラハロビスフェノール-A、エチレン(N,N’)-ビス-テトラハロフタルイミド、テトラハロフタル酸無水物、ヘキサハロベンゼン、ハロゲン化インデン、ハロゲン化燐酸エステル、ハロゲン化パラフィン、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ビスフェノール-Aとエピクロロヒドリンとの重合体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0054】
無機難燃剤は、例えば水酸化物、酸化物、炭酸塩、珪酸塩、モリブデン酸塩のような酸素を含有する金属化合物、又は例えば鉱物化合物のような他の化合物、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つの典型的な例は、3酸化アンチモン、5酸化アンチモン、亜アンチモン酸ナトリウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化鉄、2酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、3酸化モリブデン、珪酸アルミニウム、珪酸アンチモン、錫酸亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化ビスマス、3酸化タングステン、酸化錫の水和物、硼砂のような無機金属化合物の水和物、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化錫、赤燐、セラミック材料、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。該難燃剤は単独で又は2種又はより多くの種を組み合わせて使用し得る。該難燃剤の粒子径は特別な種により変わるが、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのようなものに関しては、平均粒子径は好ましくは20μm以下、より好ましくは0.3〜5.0μmの範囲である。
【0055】
1つの模範的な実施態様において、該難燃剤は、少なくとも3つの成分を含むブレンドとして該層104の材料中に含まれ得る。1つの特別実施態様において、該ブレンドは金属酸化物、例えば水和金属酸化物のような水和された剤、及び例えば硼酸金属塩又は珪酸金属塩のようなガラス形成化合物又はガラス化(vitrifying)剤、を含み得る。例えば、該難燃剤ブレンドは、酸化鉄、例えばアルミナ3水和物(ATH)のようなアルミナ水和物、及び硼酸亜鉛を含み得る。該難燃剤ブレンドは、例えば約15重量%より多くないような、20重量%を超えない量で該材料中に含まれ得る。1つの特別な実施態様において、該難燃剤ブレンドは、例えばFe2O3のような酸化鉄を該ポリマー複合材の少なくとも約0.1重量%で且つ5.0重量%を超えない量で、アルミナ3水和物を該ポリマー複合材の少なくとも0.1重量%で且つ5.0重量%を超えない量で、そして硼酸亜鉛を該ポリマー複合材の少なくとも0.1重量%で且つ5.0重量%を超えない量で含む。1つの例において、該ポリマー複合材は、酸化鉄を1.0〜4.0重量%の間の量で含む。もう1つの模範的な実施態様において、該ポリマー複合材はATHを約1.0〜4.0重量%の間の量で含む。1つの更なる実施態様において、該ポリマー複合材は硼酸亜鉛を約1.0〜約4.0重量%の間の量で含む。
【0056】
図1に戻ると、該層104は約1mmを超えない厚さを持ち得る。1つの特別な例において、該層104は、例えば約250マイクロメーターを超えないような、例えば約100マイクロメーターを超えないようなもので、約500マイクロメーターを超えないものである。
【0057】
1つの模範的な実施態様において、該層102及び該層104は互いに直接結合し且つ直接接触し得る。例えば、該層102及び該層104は、中間的な層なしに互いに直接接触するように共押出しされ得る。該層104は硬化又は架橋され得、それは該層102及び104との間の結合を改善する。
【0058】
1つの更なる例において、任意的な層106が該層104に結合される。例えば、該層106は、中間的な層なしに該層104に直接接触し且つ直接結合され得る。別法として、該層106は中間的な接着剤なしに該層104に結合され得る。該層106は、強化材、接着剤、ポリマー成分、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、該層106は、例えば金属フィルム、ランダム繊維強化材、織物強化材、又はそれらの任意に組み合わせを含み得る。特に、該強化材はガラス繊維、金属ストランド、又は例えばポリエステル、アラミド、又はポリオレフィン繊維のようなポリマー繊維、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0059】
もう1つの例において、該任意の層106は接着剤材料を含み得る。例えば、該層106はポリオレフィンと接着剤材料のブレンドを含み得る。1つの模範的な接着剤材料は、改質ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル、アクリルポリマー、エポキシ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特に、該接着剤材料は過酸化物剤を含むエチレン酢酸ビニルを含み得る。
【0060】
1つの更なる例において、該層106は着色層であり得る。例えば、該層106は非機能化オレフィンポリマー及び顔料又は着色剤を含み得る。更に、該層106はUV吸収剤を含み得る。更に、該層106は、触媒、開始剤、吸収剤、充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0061】
1つの模範的な実施態様において、該多層フィルム100は、本体層に結合し得るキャッピング層を形成する。例えば、該層102はFEPを含み得、該層104はEPDMを含み得る。もう1つの例において、該層102はFEPを含み、そして該層104はポリオレフィンのホモポリマー又はコーポリマーを含む。所望により、該多層フィルム100は、EPDM又はポリオレフィンと顔料又は充填剤で形成された該層106を含み得る。
【0062】
もう1つの例において、該多層フィルム100はキャッピング層を形成する。例えば、該層102は例えばFEP、PVDF又はETFEのようなフルオロポリマーを含み得、該層104はEPDMエラストマーを含み得、そして任意の層106はEPDMエラストマーと顔料を含み得る。
【0063】
更なる例において、該層102はフルオロポリマーを含み、該層104はポリオレフィンを含み、そして該層106はEPDMを含む。更なる例において、該層102はフルオロポリマーを含み、該層104はEPDMを含み、そして該層106はポリオレフィンを含む。
【0064】
層102は外層として示されているが、任意的なフルオロポリマー層が層102の上を被い得る。更に、該層106は該層104に直接結合され得る。別法として、任意の層は、該層104と該層106との間にはさまれ得る。
【0065】
1つの更なる例において、図2は1つの模範的なキャッピングフィルム200の例を含む。該キャッピングフィルム200は、フルオロポリマーで形成された層202、及び該層202に直接結合し且つ直接接触しそして非機能化オレフィンポリマーを含む層204、を含み得る。該層204は単層として描かれているが、該層204は1つ又はそれ以上の層であり得る。
【0066】
更に、該キャッピングフィルム200は接着剤層206を含む。1つの模範的な実施態様において、該接着剤層は輸送中剥離フィルム208で覆われ得る。該剥離フィルム208は該層206に剥離可能に取付けられ得、該キャッピングフィルムを該本体フィルムに接着する前に除去され得る。別法として、該キャッピングフィルム200は該層206に固定されておらず、そして該剥離フィルム208は該層204に直接接触する。例えば、該層204は、硬化されて本体層に結合し得る、非硬化の又は部分硬化された非機能化オレフィンポリマー(即ち、少なくとも部分的に硬化された、非機能化オレフィンポリマー)であり得る。
【0067】
該キャッピングフィルムは本体層にカップリングされ得る。例えば、図3は、キャッピングフィルム302と該キャッピングフィルム302にカップリングされた本体層304を含む屋根膜300の例を含む。示されるように、該キャッピングフィルム302は、環境に曝される表面306を形成し得、そして該本体層304は建物又は構造物と接触して配置される表面308を形成し得る。該本体層304は、例えば、該キャッピングフィルムの下にあり得る。該本体層304は単層として描かれているが、該本体層304は多層で形成され得る。
【0068】
1つの例において、該本体層304は接着剤により該キャッピングフィルム302に接着され得る。1つの特別な実施態様において、接着剤層は結合剤を含む。模範的な結合剤はアクリルポリマーを含む。特に模範的なアクリルポリマーは、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、又はそれらの任意の組み合わせ、のようなモノマーで形成された、ホモポリマー、コーポリマー、又はブレンドを含む。該アクリルポリマーは耐衝撃性改質アクリルポリマーであり得る。例えば、該アクリルポリマーは、例えばコア/ シェル構造を持つ(in a core/shell configuration)ような、エラストマー材料を含み得る。もう1つの模範的な結合剤は改質ポリオレフィン又は改質エチレン酢酸ビニルを含む。1つの模範的な改質ポリオレフィンは、無水マレイン酸改質ポリエチレンを含む。1つの模範的な改質エチレン酢酸ビニルは、無水マレイン酸改質エチレン酢酸ビニルを含む。更なる例において、該接着剤層はコーポリアミド接着剤、コーポリエステル接着剤、ポリウレタン接着剤、又はそれらの任意に組み合わせを含み得る。別法として、該本体層304は、該キャッピングフィルム302の非機能化ポリオレフィン層に直接結合され得る。
【0069】
該本体層304は高分子材料を含み得る。例えば、該高分子材料は、例えばエラストマーである熱可塑性高分子材料又はエラストマーである熱硬化性高分子材料を含み得る。特に、該高分子材料は、ジエンエラストマー、熱可塑性オレフィン、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリ塩化ビニル、クロロスルホン化ポリエチレン、ケトンエチレンエステル、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0070】
1つの模範的な実施態様において、該本体層304はエラストマー材料又は熱可塑性ポリオレフィンを含む。1つの特別な例において、該本体層304は非機能化オレフィンポリマーを含み得る。例えば、該本体層304は例えばEPDMのようなジエンエラストマーを含み得る。もう1つの例において、該本体層304はポリオレフィンを含み得る。更なる例において、該本体層304はポリオレフィンとジエンエラストマーとのブレンドを含み得る。特に、該本体層304は上記層104に関して記載された組成物として該非機能化オレフィンポリマーを含み得る。
【0071】
1つの特別な実施態様において、該キャッピングフィルム302は非機能化オレフィンポリマーを含み、そして該本体層304は非機能化オレフィンポリマーを含む。該キャッピングフィルム302の該非機能化オレフィンポリマーは、該本体層304の該非機能化オレフィンポリマーと同一の組成を持ち得る。別法として、該本体層304及び該キャッピングフィルム302は、互いに異なる非機能化オレフィンポリマーを含み得る。
【0072】
更に、該本体層304は充填剤を含み得る。例えば、該本体層304は、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、大理石粉末、セメント粉末、クレー長石、シリカ又はガラス、フームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、2酸化チタン、チタネート、ガラス微小球、チョーク、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。特別な例において、該充填剤はまた、顔料としても作用し得る。例えば、該顔料は、例えばアルミナ又はアルミナ水和物のようなアルミニウム質材料であり得る。充填剤のもう1つの例は、例えばカーボンブラック又は黒鉛のような炭素質充填剤を含む。該充填剤又は顔料は、該層304の材料の、例えば約10〜約80重量%、又は約20〜約50重量%のような、約1〜約90重量%の量で使用され得る。
【0073】
更に、該本体層304は、加工助剤、エキステンダー油、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤、難燃剤、顔料、硬化剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。特に、該本体層304は、例えば上記の架橋剤、熱開始剤、又は光開始剤の1種又はより多くのような、硬化剤を含み得る。
【0074】
1つの特別な実施態様において、該本体層304は、例えば約20〜約50重量%、又は約25〜約40重量%のような、約10〜約80重量%のEPDMを含む。更に、該本体層304は、例えば約20〜約50重量%のような、約20〜約80重量%のカーボンブラックを含み得る。更に、本体層304は、約10〜約35重量%のエキステンダー油;約1〜約10重量%の、硬化剤、酸化防止剤、加工助剤、又はそれらの任意の組み合わせ;又はそれらの任意の組み合わせ、を含み得る。
【0075】
もう1つの模範的な実施態様において、該本体層304は、例えば約30〜約60重量%、又は約40〜約60重量%のような、約20〜約80重量%のポリオレフィンを含む。更に、該本体層304は、約10〜約60重量%の、例えば水和金属酸化物又は金属水酸化物のような、充填剤又は無機難燃剤を含み得る。例えば、該無機難燃剤は、例えばアルミナ水和物又は水酸化マグネシウムのような難燃剤を含む。
【0076】
示されてはいないが、該多層膜300は強化層を含み得る。該強化層は下にある表面を形成し得る。別法として、該強化層は、該キャッピングフィルム302と該本体層304との間に形成され得る。1つの更なる模範的な実施態様において、該強化層は該キャッピングフィルム302の部分として形成され得る。例えば、該強化層は、例えばガラス繊維、ポリマー繊維、又は金属ストランドのような、繊維質材料で形成され得る。1つの例において、ポリマー繊維は、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリオレフィン繊維、又はそれらの任意の組み合わせ、を含む。1つの模範的な実施態様において、該強化材料は、ランダム繊維マット、エラストマー材料で接着されたランダム繊維、又は織物材料であり得る。例えば、該強化材料は、例えばガラス繊維織物材料又はポリマー繊維織物材料であり得る。
【0077】
1つの模範的な実施態様において、該膜300の厚さは少なくとも約1.0mmである。1つの特別な例において、該厚さは約10.0mmを超えない。例えば、該厚さは、例えば約2.5mmを超えない、特に約1.5mmを超えないような、約5.0mmを超えないものであり得る。該膜300に混和されているか又は該膜300の下にある表面に結合されている強化材を含む実施態様において、該強化材の上にある層の厚さは、例えば少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.40mm、又は少なくとも約0.75mmのような、少なくとも約0.30mmである。
【0078】
1つの模範的な実施態様において、該膜300の引張り強さは、例えば少なくとも約15.0MPa、又は少なくとも約20.0MPaのような、少なくとも約9.0MPaである。強化材を含む1つの模範的な実施態様において、破断強さは、例えば少なくとも約420N、又は少なくとも約450Nのような、少なくとも約400Nである。1つの特別な実施態様において、該破断強さは少なくとも約950Nである。
【0079】
強化材なしに形成された場合、該膜300の極限伸びは、少なくとも約250%であり得る。例えば、そのように形成された膜300の極限伸びは、少なくとも約300%又は少なくとも約320%である。熱老化後、該膜300の極限伸びは少なくとも約200%であり得る。例えば、166℃、670時間の熱老化後、該極限伸びは、例えば少なくとも約220%のような、少なくとも約200%であり得る。該膜300が強化材を含むときは、該伸びは少なくとも約15%であり得る。
【0080】
該膜300の引裂き抵抗は、例えば少なくとも約27kN/m、又は少なくとも約29kN/mのような、少なくとも約25kN/mであり得る。強化材を含む1つの模範的な実施態様において、該膜300は、例えば少なくとも約50N、又は少なくとも約55Nのような、少なくとも約45Nの引裂き強さを持ち得る。熱老化後、該膜300の引裂き抵抗は少なくとも約21.9kN/m、そして引張り強さは少なくとも約8.3MPaであり得る。例えば、166℃、670時間の熱老化後、該引裂き抵抗は少なくとも約21.9kN/m、そして引張り強さは少なくとも約8.3MPaであり得る。強化された膜については、該破断強さは、例えば少なくとも約375Nのような、少なくとも約355Nであり得る。
【0081】
通常、該膜300は、層304のポリマー内容が実質的にEPDMであるとき、ASTM D 4637-04標準に概説されたパラメーターを満たすか又は超え得る。典型的には、該膜300は、ASTM D 4637-04に概説されたパラメーターよりも、耐候性及び耐熱性について改善された性能を示す。代わりに、該膜300は、層304のポリマー内容が主として熱可塑性ポリオレフィンであるとき、ASTM D 6878-03標準に概説されたパラメーターを満たすか又は超え得る。
【0082】
一旦形成されると、該フィルムは貯蔵及び商品売買の容易さのためロールにされ得る。図4は、ロール402の形状における模範的な屋根膜又は屋根材料400の例を含む。該屋根膜400は少なくとも2つの層404及び406を含み得る。例えば、該層404は、例えばフルオロポリマーのような表面エネルギーの低い材料を含むキャッピングフィルムであり得る。外装406は、例えばEPDM又は熱可塑性オレフィンのようなエラストマー材料を含む本体層を形成し得る。
【0083】
該例示的な実施態様において、該屋根膜又は屋根材料400は、末端の折り返し部(flap)又はつまみ(tab)408及び側部の折り返し部又はつまみ410を含む。該折り返し部又はつまみ408および410は、表面エネルギーの低い材料を含まないものであり得る。例えば、該層404は少なくとも部分的に該層406の上にあり得る。1つの特別な例において、該層406の1部は該層404の端部より先に広がり、該つまみを形成し得る。もう1つの模範的な実施態様において、該屋根膜400は、少なくとも層404の材料を含む折り返し部412を含み得る。例えば、該層404は、該層406の端部より先に広がり、該折り返し部またはつまみ412を形成し得る。取り付けの間、該折り返し部412又は付加的なフィルムが、該屋根膜400の隣接するシートの折り返し部410の上に配置され得る。該折り返し部は、例えば部分硬化ジエンエラストマーのような接着剤を含み得る。取り付けの間、該接着剤は硬化され得、フィルムの隣接するシート同士を一緒に結合し、そして水漏れを起こす可能性のある継ぎ目を減らす。
【0084】
別法として、例えば折り返し部410のような折り返し部は、該膜又は材料400の両側部から広がり得る。該屋根膜400はもう1つの屋根膜に隣接して配置され得、テープ又はキャッピングフィルムで覆われ得る突合せ継ぎ部(butt joint)を形成する。該テープ又はキャッピングフィルムは接着剤により該突合せ継ぎ部に接着され得る。例えば、該キャッピングフィルムは接着剤層を含み得る。
【0085】
フィルムのロールは、例えば図5に示される商業用物品500のような、商業用物品として販売され得る。該商業用物品500は該屋根膜のロール502と該膜の屋根膜としての使用を指示するマークを含み得る。例えば、該商業用物品500は、包装されたロール502が屋根膜であることを指示する記述又はマーキングを有する包装504を含み得る。別法として、例えばレタリングのようなマーキング又は標識は、該ロール502の上に印刷され得る。1つの更なる模範的な実施態様において、該マーキング又は標識は、該ロール502の回りに掛けるか又は該ロールを固定するバンドにつける札であり得る。
【0086】
1つの模範的な実施態様において、該屋根材料は、キャッピングフィルムと本体層又はフィルムを結合することにより形成され得る。例えば、キャッピングフィルムは本体層とは別々に形成され得、そして該キャッピングフィルムと本体層とは中間の接着剤層により結合又は積層され得る。該中間接着剤層は、積層加工の間に付加され、又は該本体層又は該キャッピングフィルムの部分として形成され得る。
【0087】
別法として、該キャッピングフィルムは、該本体層の材料に結合するような形状とした層を含み得る。図6に示されるように、キャッピングフィルムは、602において示されるように、本体層に積層され得る。例えば、該本体層はあらかじめ成形されたキャッピングフィルム上に押出され得る。別法として、非硬化の本体層が、あらかじめ成形されたキャッピングフィルムに積層され得る。外キャッピングフィルムは、例えば、該本体層に接触する非硬化の層を含み得る。もう1つの例において、該キャッピングフィルムは、例えばある程度硬化したEPDM層のようなある程度硬化した層を含み得る。
【0088】
該本体層は、604に示されるように、硬化され得る。結果として、該本体層は該キャッピングフィルムに結合し得る。例えば、該キャッピングフィルムの非硬化の又はある程度硬化した層(即ち、少なくともある程度硬化した層)は、硬化過程において該本体層に結合し得る。1つの特別な例において、該本体層は、例えばUV放射線、ガンマ放射線、電子線硬化のような上記した放射線法、又は加熱法、又はそれらの任意の組み合わせ、によって硬化され得る。もう1つの例において、該本体層は熱処理によって硬化され得る。もう1つの例において、該本体層は、電子源への暴露により硬化される。
【0089】
更なる例において、該キャッピングフィルムは、あらかじめ取り付けられた本体層に積層され得る。例えば、該キャッピングフィルムは、既存の屋根構造を改修するのに使用され得る。1つの特別な例において、既存の屋根膜は清浄にされ、そして該キャッピングフィルムは該既存の屋根膜に積層され得る。例えば、接着剤が、該キャッピングフィルムを該屋根膜に結合するのに使用され得る。もう1つの例において、該キャッピングフィルムは、非硬化の又はある程度硬化した層(即ち、少なくともある程度硬化した層)であって、硬化により該キャッピングフィルムを該屋根膜に結合させるもの、を含み得る。1つの特別な例において、該屋根膜は非機能化オレフィンポリマーを含み得る。もう1つの模範的な実施態様において、本体層は屋根構造に結合され、そして該キャッピングフィルムは、適所において、該本体層に積層される。
【0090】
該屋根材料は、図7に示されるように、建物上に取り付けられ得る。例えば、建物700は、室外表面702、706及び708を含み得る。1つの特別な例において、該空に向いた表面702は屋根膜704で覆われる。示されるように、該空に向いた表面702は低い傾斜の表面である。例えば、低い傾斜の表面は約10度を超えない傾斜を持ち得る。一般に、低い傾斜の屋根は、大きな商業用建物に有用である。1つの別の実施態様において、該空に向いた表面702は傾斜屋根であり得る。一般に、傾斜屋根系は住居構造に有用である。
【0091】
該膜704は該空に向いた表面702に接続して示されているが、該膜704はまた、垂直表面706又は708上に取り付けられ得る。そのような垂直表面706又は708は、窓712及びドア710を含み得る。例えば706又は708のような垂直表面に取り付けられるとき、該多層膜は、該窓712又は該ドア710を含まない表面の領域に取り付けられる。
【0092】
図8は、多層膜を取り付けるための模範的な方法の例を含む。該方法800は、802に示されるように、表面に多層膜を配置することを含む。例えば、該表面は商業用建物の空に向いた表面であり得る。そのような表面は典型的には低傾斜屋根である。しかし、該屋根膜はまた、例えば典型的に住居用不動産に使用される屋根のような、傾斜屋根の上にも配置され得る。1つの特別な実施態様において、該フィルムは、ロールを解かれ、該屋根上に並んで横たわる伸長シートを形成する。
【0093】
該膜は、804に示されるように、該表面に固定され得る。例えば、該膜は接着剤を用いて該屋根に固定され得る。1つの特別な実施態様において、該膜は、接着剤として熱いタール又はピッチを用いて固定され得る。該膜は、該熱いタール又はピッチの上に配置され得、該熱いタール又はピッチは冷却するに任す。1つの別の実施態様において、該膜は、該表面に熱的に固定され得る。例えば、該膜は、軟化点又は融点まで加熱され、そして該屋根表面上に押し付けられ得る。そのような仕方において、該多層膜の熱可塑性プラスチック部分は該屋根に接着し得る。もう1つの例において、該膜の加熱は、該膜中の熱硬化剤を活性化し、該膜の該屋根への結合をもたらし得る。別の実施態様において、該膜は、例えば釘、ネジ、又はフラッシング(flushings)のような機械的な方法を用いて固定され得る。
【0094】
上に開示した主題内容(subject matter)は例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきであり、そして、付帯する請求項は、本発明の真の範囲にある全ての修飾、拡張、及びその他の実施態様を包含するよう意図されている。かくて、法の許す最大限まで、本発明の範囲は、次の請求項及びその均等物の最も広い許され得る解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な記載によって限定されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマーを含む第1層;
該第1層に直接結合し且つ直接接触している、非機能化オレフィンポリマーを含む第2層;及び
該第2層の下にある、高分子材料及び充填剤を含む第3層、
を含む屋根材料。
【請求項2】
該第2層と該第3層との間に更に接着剤層を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項3】
該接着剤層がジエンエラストマーを含む、請求項2に記載の屋根材料。
【請求項4】
該接着剤層がアクリルポリマーを含む、請求項2に記載の屋根材料。
【請求項5】
該第2層が紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項6】
該第2層が約0.1〜約5.0重量%の紫外線吸収剤を含む、請求項5に記載の屋根材料。
【請求項7】
該第2層が光開始剤を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項8】
該第2層が熱開始剤を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項9】
更に強化材を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項10】
該強化材が繊維を含む、請求項9に記載の屋根材料。
【請求項11】
該強化材が織布である、請求項9に記載の屋根材料。
【請求項12】
該非機能化オレフィンポリマーと該高分子材料が同一の組成を有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項13】
該非機能化オレフィンポリマーと該高分子材料が異なる組成を有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項14】
該非機能化オレフィンポリマーがジエンエラストマーを含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項15】
該ジエンエラストマーがエチレンプロピレンジエンエラストマーを含む、請求項14に記載の屋根材料。
【請求項16】
該非機能化オレフィンポリマーがポリオレフィンを含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項17】
該高分子材料がジエンエラストマーを含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項18】
該高分子材料がポリオレフィンを含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項19】
該充填剤が炭素質充填剤を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項20】
該炭素質充填剤がカーボンブラックを含む、請求項19に記載の屋根材料。
【請求項21】
該第1層が少なくとも約70重量%のフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項22】
該第1層の実質的全部が該フルオロポリマーで形成されている、請求項21に記載の屋根材料。
【請求項23】
該フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンコーポリマー(FEP)を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項24】
該第2層が顔料を含む、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項25】
該顔料がアルミニウム質粒子を含む、請求項24に記載の屋根材料。
【請求項26】
該屋根材料が少なくとも1.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項27】
該屋根材料が約10.0mm以下の厚さを有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項28】
該厚さが約5.0mm以下である、請求項27に記載の屋根材料。
【請求項29】
該厚さが約2.0mm以下である、請求項28に記載の屋根材料。
【請求項30】
該屋根材料が少なくとも約250%の極限伸びを有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項31】
該屋根材料が少なくとも約45Nの引裂強さを有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項32】
該屋根材料が少なくとも約25kN/mの引裂抵抗を有する、請求項1に記載の屋根材料。
【請求項33】
フルオロポリマーを含む第1層;
該第1層に直接結合し且つ直接接触している、ジエンエラストマーを含む第2層;及び
該第2層の下にある、高分子材料を含む第3層、
を含む屋根膜。
【請求項34】
該第2層と該第3層との間に更に接着剤層を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項35】
該第2層が紫外線吸収剤を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項36】
該第3層が充填剤を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項37】
該充填剤が炭素質充填剤を含む、請求項36に記載の屋根膜。
【請求項38】
該第2層が光開始剤を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項39】
該第2層が熱開始剤を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項40】
更に強化材を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項41】
該ジエンエラストマーがエチレンプロピレンジエンエラストマーを含む、請求項40に記載の屋根膜。
【請求項42】
該フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンコーポリマー(FEP)を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項43】
該第2層が顔料を含む、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項44】
該屋根膜が少なくとも約1.0mmの厚さを有する、請求項33に記載の屋根膜。
【請求項45】
フルオロポリマーを含む第1層;
該第1層に直接結合し且つ直接接触している、ジエンエラストマーを含む第2層;及び
該第2層の下にある、非機能化オレフィンポリマーを含む第3層、
を含む屋根膜。
【請求項46】
該第2層と該第3層との間に更に接着剤層を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項47】
該第2層が紫外線吸収剤を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項48】
該第2層が光開始剤を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項49】
該第2層が熱開始剤を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項50】
更に強化材を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項51】
該非機能化オレフィンポリマーがジエンエラストマーを含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項52】
該非機能化オレフィンポリマーがポリオレフィンを含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項53】
該第3層が充填剤を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項54】
該充填剤が炭質充填剤を含む、請求項53に記載の屋根膜。
【請求項55】
該フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンコーポリマー(FEP)を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項56】
該第2層が顔料を含む、請求項45に記載の屋根膜。
【請求項57】
フルオロポリマーを含む第1層;及び
中間層が無く該第1層に直接接触している、少なくとも部分的に非硬化状態にあるポリマーを含む第2層、
を含むキャッピングフィルム。
【請求項58】
該フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレン(FEP)を含む、請求項57に記載のキャッピングフィルム。
【請求項59】
該ポリマーが非機能化オレフィンポリマーを含む、請求項57に記載のキャッピングフィルム。
【請求項60】
該非機能化オレフィンポリマーがジエンエラストマーを含む、請求項59に記載のキャッピングフィルム。
【請求項61】
該ジエンエラストマーがエチレンプロピレンジエンエラストマーを含む、請求項60に記載のキャッピングフィルム。
【請求項62】
該第2層が紫外線吸収剤を含む、請求項57に記載のキャッピングフィルム。
【請求項63】
該第2層が硬化剤を含む、請求項57に記載のキャッピングフィルム。
【請求項64】
第1層及び第2層を含み、該第1層がフルオロポリマーを含み且つ該第2層が非機能化オレフィンポリマーを含むキャッピングフィルムを本体層に積層し;そして該本体層を硬化することを含む、屋根膜を形成する方法。
【請求項65】
該本体層の硬化が該本体層の熱硬化を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
該本体層の硬化が該本体層の放射線硬化を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
該本体層の硬化が、該本体層の電子源への暴露による硬化を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
該非機能化オレフィンポリマーがジエンエラストマーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
該非機能化オレフィンポリマーがポリオレフィンを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
該フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
高分子材料及び充填剤を含む本体層を、
第1層及び第2層を含み、該第1層がフルオロポリマーを含み且つ該第2層が非機能化オレフィンポリマーを含むキャッピングフィルムに押出すこと、
を含む屋根膜を形成する方法。
【請求項72】
該押出された本体層を硬化することを更に含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
該押出された本体層の硬化が、該押出された本体層の熱硬化を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
該押出された本体層の硬化が、該押出された本体層の放射線硬化を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
該押出された本体層の硬化が、該押出された本体層の電子源への暴露による硬化を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
該非機能化オレフィンポリマーがジエンエラストマーを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項77】
該非機能化オレフィンポリマーがポリオレフィンを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
該非機能化オレフィンポリマーがフッ素化エチレンプロピレンを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項79】
フルオロポリマーを含む第1層;及び
該第1層に直接結合し且つ直接接触している、ジエンエラストマーを含む第2層、
を含む屋根材料を屋外構造物の表面に配置し;そして
該屋根材料を固定すること、
を含む屋外構造物の表面を調製する方法。
【請求項80】
該屋根材料の配置と該屋根材料の固定が同時に行われる、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
該屋根材料の固定が、該屋根材料の機械的固定を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
該屋根材料の固定が、該屋根材料の接着剤による固定を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
該屋根材料の固定が、該屋根材料の熱的な固定を含む、請求項79に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−545688(P2009−545688A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522810(P2009−522810)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/016941
【国際公開番号】WO2008/019004
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(500149223)サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション (64)
【Fターム(参考)】