説明

展示情報配信システム

【課題】本発明は、各展示エリアの通信範囲を精度良く設定することができ、ひいては隣り合う展示エリアの展示情報を重複することなく簡単かつ確実に配信することが可能な展示情報配信システムの提供を目的とする。
【解決手段】展示情報を保存するコンテンツサーバ13、各展示エリアに設置された通信装置20、利用者が携帯する携帯情報端末30からなる。通信装置20から所定出力の電波が出力されており、携帯情報端末30はそれらの電波の強度を収集して第1の電波強度以上であるかどうかを判定し、第1の電波強度以上であると判定した場合には当該展示エリアの通信装置20に展示情報を要求する。コンテンツサーバでは当該展示エリアの展示情報が検索され、通信装置20を介して携帯情報端末30に送信される。携帯情報端末30では当該展示エリアの展示情報が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美術館、博物館、見本市、広告現場などの複数の展示エリアを有する展示場にて、各展示エリアの展示物に関する情報を利用者の携帯情報端末に配信する展示情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
美術館、博物館、あるいは見本市などでは、一般に複数の展示エリアを有し、各展示エリアごとに展示物が展示されている。利用者は、展示物が設置されている展示エリアに入り、そこの展示物を閲覧して鑑賞するが、鑑賞に際して展示物の説明も併せて閲覧する場合が多い。多くの美術館などでは展示物の近傍位置に説明文が記載された案内板が設置されており、利用者がその案内板の説明文を読むことにより展示物の理解をさらに深めることとなる。
【0003】
ところが、人気の展示物である場合、展示エリアに多数の人が殺到して案内文の説明文を十分に読むことができない場合がある。また、展示エリアのスペースも限られているために案内板の大きさも限定される上に、動画や音声による個別の情報配信にも限界がある。
【0004】
そこで、最近では、各展示場において利用者に携帯情報端末を貸与し、利用者が展示物に近づいたときに携帯情報端末を操作して、当該展示物に関する情報を携帯情報端末に表示させて閲覧することが行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、場所に関わらず所望の美術品を観覧することができ、移動中に展示情報を閲覧できる無線通信を用いた展示情報サービスシステム及び方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、利用者がほしいと思う展示情報を展示メニューから選択でき、展示コーナの展示物解説メニューを情報管理サーバが自動作成し、展示物設置場所情報の変更が自動で行われデータベースの維持管理を容易にする展示物解説システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−247625号公報
【特許文献2】特開2005−181819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のシステムでは、展示エリアが接近している場合、同時に基地局となる通信装置が接近することとなり、通信範囲が重複してしまう場合がある。このように通信範囲が重複すると、利用者は一方の展示物の説明を受けたいにもかかわらず、隣の展示物の説明が表示されてしまう問題がある。もとより、通信範囲が重複しないように展示エリアを離すことも考えられるが、展示場の場所の制限からしても非効率的なものである。あるいは通信範囲を互いに変更することも考えられるが、従来のシステムでは通信範囲を制度良く変更することは難しかった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、各展示エリアの通信範囲を精度良く設定することができ、ひいては隣り合う展示エリアの展示情報を重複することなく簡単かつ確実に配信することが可能な展示情報配信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、複数の展示エリアを有する展示場において、各展示エリアごとに展示物に関する情報を配信する展示情報配信システムであって、各展示エリアごとの展示物に関する情報を保存するサーバと、展示エリアに設置され、且つ所定強度の電波を出力する通信装置と、利用者に携帯され、且つ前記通信装置からの電波を受信する携帯情報端末とを備え、前記携帯情報端末は、展示エリア内において前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、前記サーバに対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して要求することにより、前記サーバから当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して受信することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、展示場とは、美術館、博物館、見本市、広告現場など、ユーザに対して展示物を閲覧せしめる場のすべてが含まれる。このため展示物も、それらに応じて美術品、博物品、展示商品、広告物(看板、ポスター、持ち帰り可能な雑誌やチラシの束等)などとなる。
【0012】
これによれば、携帯情報端末が電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、第1の電波強度以上である場合に通信起動を開始するため、展示エリアにおいて携帯情報端末が通信を起動するための通信範囲を精度良く設定することができる。
【0013】
また、前記携帯情報端末は、さらに前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、当該展示エリアの展示物に関する情報の受信を継続する一方、第2の電波強度未満であると判定した場合、当該展示エリアの展示物に関する情報の受信を中止するのが好ましい。
【0014】
これによれば、携帯情報端末が電波の強度が第2の電波強度以上であるか否かを判定して、第2の電波強度以上か否かにより通信を継続する否かを決定するため、展示エリアにおいて携帯情報端末が通信を継続するための通信範囲を制度良く設定することができる。
【0015】
本発明は、上記目的を達成するために、複数の展示エリアを有する展示場において、各展示エリアごとに展示物に関する情報を配信する展示情報配信システムであって、各展示エリアごとに展示物に関する情報を保存するサーバと、展示エリアに設置され、且つ所定強度の電波を出力する通信装置と、利用者に携帯され、且つ前記通信装置からの電波を受信する携帯情報端末とを備え、前記サーバは、前記携帯情報端末が展示エリア内において前記通信装置から受信した電波の強度を前記携帯携帯情報端末から前記通信装置を介して収集したあと、該電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信することを特徴とする。
【0016】
これによれば、サーバが携帯情報端末が受信した展示エリアの通信装置から出力された電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、第1の電波強度以上である場合に通信起動を開始するため、展示エリアにおいて携帯情報端末が通信を起動するための通信範囲を精度良く設定することができる。
【0017】
また、前記サーバは、さらに前記携帯情報端末が展示エリアにおいて前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信することを継続する一方、該電波の強度が第2の電波強度未満であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信すること中止するのが好ましい。
【0018】
これによれば、サーバが電波の強度が第2の電波強度以上であるか否かを判定して、第2の電波強度以上か否かにより通信を継続する否かを決定するため、展示エリアにおいて携帯情報端末が通信を継続するための通信範囲を制度良く設定することができる。
【0019】
また、前記通信装置は、前記携帯情報端末が展示エリアにおいて前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第3の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第3の電波強度以上であると判定した場合、前記サーバに対して当該電波の強度に関する情報を送信するのが好ましい。
【0020】
これによれば、携帯情報端末から受信した電波の強度に関する情報を全て電波強度収集サーバに送信するのではなく、所定の強度以上のものだけサーバに送信することによって、サーバの負荷を軽減させることができる。
【0021】
また、前記通信装置は、メッシュ状導体を有する第1導電体層と、該第1導電体層と略平行に配設される第2導電体層と、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に配設される誘電体層とを有し、前記第1導電体層と前記第2導電体層の間の誘電体層において、電磁波を介して所定の信号を伝達する薄板状に形成されている電波伝達シートが用いられるのが好ましい。これによれば、電波伝達シートが薄い2次元シートに形成されているため、通信装置の設置場所も取付場所もコンパクトに設置することができる。また、電波伝達シートを加工すれば、博物館や美術館などでは絵画の額縁や額縁裏板などに利用することができる。さらに展示物の説明が記載されている案内板にも利用することができ、会場内の雰囲気を壊すことのない設置が可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯情報端末またはサーバが、携帯情報端末が通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上である場合に通信起動を開始するため、展示エリアにおいて携帯情報端末が通信を起動するための通信範囲を精度良く設定することができる。
【0023】
このように各展示エリアの通信装置と利用者の携帯情報端末の距離を電波強度から判定することにより展示情報の配信が開始されるため、展示エリアの展示物ごとにチャンネルを切り替える必要がなく、展示物に近づくことで携帯情報端末に展示物の説明が開始され、また他の展示物に近づけば、別の展示情報に自動で切り替わることができる。
【0024】
また、展示情報はデジタルデータのため、マルチリンガルや大人・子供用への説明の切替も容易に行うことができる。また、コンテンツはテキスト・静止画はもとより、オンデマンドの動画の配信も可能である。また、インターネットに接続することにより、外部の知識データの利用も可能になる。
【0025】
さらに屋内の展示場だけでなく、屋外の展示場にも簡単に設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る本システムの構成概略図である。
【図2】図1のコンテンツサーバの構成概略図である。
【図3】図1の通信装置の構成概略図である。
【図4】図1の携帯情報端末の構成概略図である。
【図5】展示エリアと展示情報のテーブルを示す図である。
【図6】通信装置における距離と電波強度の関係を示す図である。
【図7】(a)展示エリアAの通信装置、(b)展示エリアBの通信装置、(c)展示エリアCの通信装置における距離と電波強度の関係をグラフ化した図である。
【図8】通信装置の起動通信範囲と継続通信範囲の模式図である。
【図9】電波伝達シートの斜視図である。
【図10】電波伝達シートの(a)平面図と、(b)拡大断面図である。
【図11】携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る本システムの構成概略図である。
【図13】図12の電波強度収集サーバの構成概略図である。
【図14】図12の通信装置の構成概略図である。
【図15】図12の携帯情報端末の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施形態1]
次に本発明の一実施形態に係る展示情報配信システム(以下、本システムという)について説明する。
【0028】
本システムは、図1に示すように、中央に設置されるサーバ群10と、各展示エリアに設置される複数の通信装置20と、各利用者が携帯する複数の携帯情報端末30とから構成される。
【0029】
サーバ群10と各通信装置20は有線LANにより通信可能な状態に接続されている。また、各通信装置20と各携帯情報端末30は無線により通信可能な状態になっている。
<サーバ群10>
【0030】
前記サーバ群10は、利用者の携帯情報端末30を認証する認証サーバ11と、利用者の携帯情報端末30の受信ログを収集するDBサーバ12と、各展示エリアの展示物に関する情報(以下、展示情報という)を保存するコンテンツサーバ13とから構成される。
【0031】
前記認証サーバ11は、利用者の携帯情報端末30が所定の通信範囲内に入った場合、当該利用者の携帯情報端末30が許可されたものであるか否かを通信装置20を介して認証するサーバである。認証サーバ11にて利用者の携帯情報端末30が認証された場合、後述するようにコンテンツとなる展示情報が利用者の携帯情報端末30への配信処理が進む。一方、認証サーバ11にて利用者の携帯情報端末30が認証されなかった場合、その後の配信処理は進まない。
【0032】
前記DBサーバ12は、利用者の携帯情報端末30の受信ログを収集するサーバである。すなわち、どの利用者の携帯情報端末30がどの展示エリアにどれくらいの時間存在したかの情報を収集するものである。例えば、利用者の携帯情報端末30が展示エリアAに近づいて所定の通信範囲内に入った場合、電波強度を利用して利用者の携帯情報端末30の位置の時間経過を収集する。
【0033】
前記コンテンツサーバ13は、各展示エリアの展示情報を保存するサーバである。このコンテンツサーバ13は、図2に示すように、各部を制御する制御装置131と、展示情報テーブルを記憶する記憶装置132と、展示エリアの展示情報を通信装置20に送信する有線通信装置133を備える。
【0034】
前記記憶装置132は、図5に示すような展示情報テーブルを記憶している。この展示情報テーブルは、コードNo.、各展示エリア、展示情報を互いに関連付けられたものである。例えば、展示エリアAには展示情報「tenji-a.avi」が関連付けられている。
【0035】
前記制御装置131は、前記通信装置20からの要求に応じて、当該通信装置20が設置されている展示エリアの展示情報を検索する展示情報検索部1311として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20から展示情報の要求があった場合、記憶装置132に記憶している展示情報テーブルを参照し、展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を検索する。なお、制御装置131は、その他の種々の制御を実行する。
【0036】
前記有線通信装置133は、前記制御装置131の展示情報検索部1311により検索された展示エリアの展示情報を通信装置20に送信する。例えば、前記制御装置131の展示情報検索部1311により展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」が検索された場合、当該展示情報「tenji-a.avi」を展示エリアAの通信装置20に送信する。
<通信装置20>
【0037】
前記通信装置20は、各展示エリアに設置されたアクセスポイント(基地局)となる通信装置20である。この通信装置20は、図3に示すように、各部を制御する制御装置21と、各サーバと通信するための有線通信装置22、展示情報を一時的に記憶する記憶装置23と、利用者の携帯情報端末30と通信するための無線通信装置24とを備える。
【0038】
本実施形態では、有線通信装置22としてLAN通信が用いられ、また無線通信装置24として、いわゆるWi-Fi通信(Wireless Fidelity)が用いられる。このWi-Fi通信は、 Wi-Fi Alliance によって無線LAN機器間の相互接続性を認証されたことを示すものである。通信規格であるIEEE 802.11シリーズ(IEEE 802.11a/IEEE 802.11b)を利用した無線機器間の相互接続に用いられ、本実施形態に係る通信装置20と携帯情報端末30はこれらの規格が認証されている。
【0039】
前記制御装置21は、携帯情報端末30からの要求に応じて、コンテンツサーバ13に対して自己の通信装置20が設置されている展示エリアの展示情報を要求する展示情報要求部211として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20の場合、制御装置21は、携帯情報端末30から無線通信装置24を介して要求を受信すると、コンテンツサーバ13に対して有線通信装置22を介して展示エリアAの展示物情報を要求する。
【0040】
前記有線通信装置22は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアの展示情報を受信する展示情報受信部221として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20の場合、有線通信装置22は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を受信する。なお、この展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」は記憶装置23に一時的に記憶される。
【0041】
前記無線通信装置24は、自己の通信装置20が設置されている展示エリアの展示情報を携帯情報端末30に送信する展示情報送信部241として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20の場合、無線通信装置24は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を携帯情報端末30に送信する。
【0042】
また、前記無線通信装置24は、所定の強度の電波を出力する電波出力部242としても機能する。この電波強度については、各展示エリアの通信装置20ごとに、図6に示すように、それぞれ所定の異なる出力設定となされている。例えば、展示エリアAの通信装置20は出力設定−12dbm、展示エリアBの通信装置20は出力設定−15dbm、展示エリアCの通信装置20は出力設定−18dbmにて電波を出力している。
【0043】
そして、同じく図6に示すように、各通信装置20から出力された電波は、距離が遠くなるにつれて(0cm→50cm→100cm→200cm→300cm→400cm→500cm)、電波強度が次第に弱くなっていく。各展示エリアの通信装置20ともに、第1回目から第3回目まで電波強度と距離の関係を測定している。
【0044】
図7は、この電波強度と距離の関係を視覚的にわかりやすくするために グラフ化したものである。このグラフを見ると、電波強度と距離の関係は必ずしも完全に一致するものではないが、各展示エリアの通信装置20ともに第1回目から第3回目の実験結果のいずれも概ね同じ傾向を示していることがわかる。
【0045】
本実施形態では、このうち電波強度−75dbmを第1電波強度としている。この場合、展示エリアAの通信装置20では距離100cm、展示エリアBの通信装置20では距離75cm、展示エリアBの通信装置20では距離50cmが対応している。図8に示すように、これらはまさに各展示エリアにおいて利用者の携帯情報端末30が起動するための「起動通信範囲」となる。
【0046】
このように電波強度と距離に一定の関係があることから、各展示エリアの通信装置20の出力設定を変更することにより、各展示エリアの起動通信範囲を制度良く設定することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、電波強度が−75dbmを第1電波強度としているが、これらに限定されるものではなく、第1電波強度となる電波強度の設定を変更してもよい。
<通信装置20の具体例(電波伝達シート)>
【0048】
図9は、本実施形態に係る通信装置20の斜視図である。
【0049】
この通信装置20は、電波伝達シート(以下、本シートという)100と収容ボックス200からなり、収容ボックス200内には制御装置21、有線通信装置22、記憶装置23などの各装置が収容されている。
【0050】
本シート100は、電波(電磁波を含む)を介して情報を送信したり或いは受信するものであり、確実に情報の送受信を行う上に、シート状の薄い形状であるために省スペースで目立たない状態に設置することができる。
【0051】
本シート100について具体的に説明する。以下では、説明を容易にするため、電波の伝達に用いる周波数帯において導電体であるものを「導電体」と呼び、当該周波数帯において誘電体であるものを「誘電体」と呼ぶ。したがって、例えば直流電流に対して導体であるか半導体であるか等によって、何ら制約されるものではない。また、誘電体と導電体とは、電波との関係において特性により定義されるものであって、固体であるか液体であるか気体であるか等の態様を制約するものではない。
【0052】
図10は、本実施形態に係る本シート100の概略構成を示す説明図である。図10(a)は、本シート100の平面図を示し、図10(b)は、本シート100のA−A’断面図を示す。
【0053】
図10(b)に示すように、本シート100は、メッシュ状の第1導電体110と、これに略平行な平板状の第2導電体120とを備えており、典型的にはいわゆる通信シートと称される二次元シートである。第1導電体110は、第2導電体120に対して、図10においては上方に設けられている。図10(a)において、第1導電体110は、略正方形のメッシュ状に構成される。
【0054】
また、第1導電体110と第2導電体120との間に、誘電体層として空気を介在させた場合には、第1導電体110の略正方形の開口から第2導電体120が透けて見える。しかし、第1導電体110と第2導電体120との間に、不透明な誘電体層を介在させた場合には、第1導電体110の開口から第2導電体120は見えない。ここで、不透明な誘電体層として、例えば柔軟性のある樹脂板等を用いてもよい。
【0055】
また、誘電体層としては、例えば発泡部材のように、ある程度の強度と柔軟性と軽量性と美観とを兼ね備えた部材を用いることが好ましい。また、メッシュの繰り返し単位(メッシュ周期)は、典型的には隣合う正方形開口の中心同士の距離に等しい。
【0056】
図10(b)において、第1導電体110と第2導電体120の間に、誘電体としての狭間領域130が設けられ、第1導電体110の上方に電波が侵出する侵出領域140が設けられる。狭間領域130および侵出領域140はいずれも空気であってもよいが、いずれが一方もしくは両方もしくはそれらの一部分を他の誘電体としてもよく、例えば液体や土としたり真空としたりしてもよい。
【0057】
また、例えば、侵出領域140を保護シートや保護フィルムで被覆することにより、実用に耐えうる強度と、耐久性及び美観とを具備する本シート100とできる。また、侵出領域140と同様に、第2導電体120の裏面側、すなわち第2導電体120の狭間領域130の反対側の面も、保護シートや保護フィルムで被覆することにより、実用に耐えうる強度と、耐久性及び美観とを具備する本シート100とできる。
【0058】
第1導電体110と第2導電体120とは、いずれも二次元的であってシート状に構成される。シート状とは、帯状、布状、紙状、箔状、板状、膜状、フィルム状、メッシュ状など、面としての広がりを持ち、厚さが薄いものを意味する。
【0059】
また、導電性インクや導電性ゴムを利用し、必要に応じて任意の模様や絵を描きながら、これらを塗装したり吹き付けたりすることによって、第1導電体110や第2導電体120を構成することができる。またこの場合に、必要に応じて任意の位置からシート100内に電波を注入し叉は電波を取り出す為に、本シート100の任意の位置に、適宜くり抜き状をスルーホースや辺縁部、端部等を形成しておいてもよい。
【0060】
ここで、本シート100において、第1導電体110と第2導電体120とに挟まれる狭間領域130の間を伝搬する電波モードに注目する。かりに第1導電体110がメッシュ状ではなく、開口がない構造であった場合には、電波は狭間領域130に閉じ込められる。
【0061】
また、メッシュの繰返しの単位寸法(メッシュ周期)は、狭間領域130における電波長λより十分に短い周期とすることが好ましい。ここで、メッシュの繰り返しの単位寸法とは、典型的にはいわゆるメッシュのマス目を構成する一辺の長さとメッシュ状導体の太さとを加算した値に相当する寸法である。
【0062】
また、メッシュの繰返しの単位寸法(メッシュ周期)は、典型的には電波長λに対して、λ/5以下、λ/10〜λ/100、λ/100〜λ/1000などの周期を利用できるが、シート100の適用分野に応じて、適宜サイズは調整可能である。また、現実の素材を組み合わせて実験を行い、所望の電波の強度が得られるように、侵出領域140の高さ(通信範囲)を設定してもよい。
【0063】
而して、本シート100は、各展示エリアの通信装置20ごとに所定の異なる出力設定にて電波を出力している。また、利用者の携帯情報端末30からの要求があった場合、その要求に関わる情報を受信して収容ボックス200内の制御装置21に伝達する。また、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示情報を利用者の携帯情報端末30に送信する。その他、携帯情報端末30と各サーバとの間で種々の情報の送受信を行う。
<携帯情報端末30>
【0064】
前記携帯情報端末30は、展示を見に来た利用者が携帯し、展示エリアの通信装置20と無線通信可能な端末である。この携帯情報端末30は、図4に示すように、各部を制御する制御装置31と、展示エリアの通信装置20と通信可能な無線通信装置32と、展示エリアの展示情報を記憶する記憶装置33と、ボタンやタッチパネルなどの入出力装置34とを備えてなる。なお、展示エリアの通信装置20との間の無線通信は上述のようにWi-Fi通信が用いられる。
【0065】
また、携帯情報端末30は、展示主催者側から渡されても良いし、あるいは利用者が所有しているものであってもよい。特に利用者が所有している携帯情報端末30としては、例えばアップ社のi-phone(登録商標)やi-Pad(登録商標)が挙げられ、この場合には展示場に入場する際に自動または手動で本システムを適用するためのアプリケーションプログラムがインストールされる。
【0066】
前記無線通信装置32は、各展示エリアの通信装置20から出力される電波を受信する電波受信部321として機能する。また、無線通信装置32は、各展示エリアの通信装置20から送信されてきた展示情報を受信する展示情報受信部322としても機能する。
【0067】
前記制御装置31は、前記無線通信装置32により受信された展示エリアの電波の強度を測定する電波強度測定部311として機能する。また、前記制御装置31は、第1の電波強度以上であるか否かを判定する電波強度判定部312として機能する。また、制御装置は、某展示エリアの電波の強度が第1の電波の強度以上と判定した場合、当該展示エリアの前記通信装置20に対して展示情報を要求する展示情報要求部313としても機能する。例えば、利用者の携帯情報端末30が展示エリアの起動通信範囲に入った場合、電波強度判定部312が、展示エリアAの通信装置20から出力された電波の強度が第1の電波強度以上であると判定することになる。そして、展示情報要求部313が、展示エリアAの通信装置に対して展示情報を要求する。なお、展示エリアAの通信装置から送信されてきた展示情報「tenji-a.avi」は前記無線通信装置32により受信されたあと、記憶装置33に記憶される。
【0068】
前記入出力装置34は、例えば携帯情報端末30におけるタッチパネル式の表示画面からなる。利用者は、この入出力装置34としての表示画面において指でタッチするなどして種々の情報を入力したり、あるいは出力したりする。特に、この入出力装置34は、前記記憶装置33に記憶されている展示エリアの展示情報を視覚的および聴覚的に出力する。例えば、記憶装置33に展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」が記憶されている場合、入出力装置34は展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を視覚的および聴覚的に出力する。
【0069】
この携帯情報端末30の処理について図11に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。なお、以下の説明及び図面では「ステップ」を「S」と略記する。
【0070】
まず、携帯情報端末30は、各展示エリアの通信装置20から出力されてる電波の強度を無線通信装置32から収集し、S2に進む。
【0071】
S2では、無線通信装置32により受信した電波強度が第1電波強度(本実施形態では−75dbm)以上であるか否かを判定し、第1電波強度以上であると判定した場合(S2でYES)、S3に進む。一方、第1電波強度未満であると判定した場合、S1に戻り、電波の強度を再び収集する。
【0072】
S3では、携帯情報端末30は、第1電波強度以上である展示エリアの通信装置20のIDを取得するとともに、当該展示エリアの通信20に対して展示情報を要求し、S4に進む。
【0073】
このとき通信装置20は、携帯情報端末30からの要求に係る情報を無線通信装置24を介して受信し、認証サーバ11にて所定の認証を行ったあと、コンテンツサーバ13に対して当該展示エリアの展示情報を要求する。コンテンツサーバー13では、当該展示エリアの展示情報を展示情報テーブルから検索して、要求のあった通信装置20に対して有線通信装置133を介して送信する。さらに通信装置20は、コンテンツサーバから送信されてきた展示情報を有線通信装置22を介して受信したあと、要求のあった利用者の携帯情報端末30に対して無線通信装置24を介して送信する。
【0074】
S4では、携帯情報端末30は、当該展示エリアの通信装置20から送信されてきた展示情報を無線通信装置32を介して受信したあと、S5にて該展示情報を記憶装置に随時記憶し、S6に進む。展示情報が動画の場合、容量が大きくなるため、受信には一定の時間がかかることがある。
【0075】
S6では、記憶装置33に記憶した展示情報を入出力装置34に出力し、S7に進む。
【0076】
S7では、無線通信装置により受信した当該展示エリアの電波強度が第1電波強度以上であるか否かを判定し、第1電波強度以上であると判定した場合(S7でYES)、S6に戻り、展示情報の出力再生を繰り返す。一方、第1電波強度未満であると判定した場合(S7でNO)、S8に進む。
【0077】
S8では、携帯情報端末30は、最も電波強度が強い展示エリアの通信装置20のIDを無線通信装置32を介して収集し、S9に進む。
【0078】
S9では、無線通信装置で収集したIDがS3で収集した前回IDと一致するか否かを判定し、前回IDと一致すると判定した場合(S9でYES)、S6に戻り、展示情報の出力再生を繰り返す。一方、前回IDと一致しないと判定した場合(S9でNO)、S1に戻り、再び各展示エリアの通信装置20から出力されている電波の強度を無線通信装置32から収集する。
【0079】
次に本システムの全体の動作について、利用者の携帯情報端末30が展示エリアAに入った場合にて説明する。
(1)まず、携帯情報端末30において、展示エリアAの通信装置20から電波を受信し、該電波の強度が第1の電波強度以上かどうか判定する。そして、該電波の強度が第1の電波以上であると判定した場合、展示エリアAの通信装置20に対して展示エリアAの展示情報を要求する。
(2)通信装置20において、携帯情報端末30から展示エリアAの展示情報の要求を受信すると、コンテンツサーバ13に対して展示エリアAの展示物情報を要求する。
(3)コンテンツサーバ13において、展示エリアAの通信装置20から展示情報の要求があった場合、記憶装置132に記憶している展示情報テーブルを参照し、展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を検索したあと、当該展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を展示エリアAの通信装置20に送信する。
(4)通信装置20において、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を受信したあと、当該展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を携帯情報端末30に送信する。
(5)携帯情報端末30において、展示エリアAの通信装置20から送信されてきた展示情報を受信して、展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を入出力装置34に視覚的および聴覚的に出力する。
【0080】
なお、本実施形態では、携帯情報端末30は、例えば展示エリアAの起動通信範囲(100cm)に入った場合、第1電波強度(−75dbm)を受信することにより展示エリアAの展示情報を受信する。このとき携帯情報端末30は、他の展示エリアの起動通信範囲に入らない限り、すなわち他の展示エリアの通信装置20からの第1電波強度(−75dbm)を受信しない限り、展示情報を出力することとなる。
【0081】
しかし、上述の起動通信範囲よりも広い「継続通信範囲」が設定され、起動通信範囲を外れてても継続通信範囲に入っていれば、展示エリアの通信装置20からの展示情報を受信して出力し続けるようにしてもよい。
【0082】
この継続通信範囲を設定するために、第1電波強度よりも小さい第2電波強度を設定する。上述の図6に示すように、電波強度と距離の間には電波強度が小さくなると距離も遠くなるという関係があるため、第1電波強度よりも小さい第2電波強度を設定すれば、起動通信範囲よりも広い(遠い)継続通信範囲を設定できる。
【0083】
すなわち、携帯情報端末10は、電波強度判定部312が通信装置20からの電波の強度が第1の電波強度以上であると判定したあと、さらに当該通信装置20からの電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、当該通信装置20からの電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、当該通信装置20から送信されてきた展示物に関する情報の受信を継続する。一方、当該通信装置20の電波の強度が第2の電波強度未満であると判定した場合、当該通信装置20から送信されてきた展示物に関する情報の受信を中止し、さらには展示情報を出力を中止する。
【0084】
例えば、本実施形態では、図7に示すように、電波強度−85dbmを第2電波強度としている。この場合、展示エリアAの通信装置20では距離500cm、展示エリアbの通信装置20では距離300cm、展示エリアcの通信装置20では距離200cmとなる。図8に示すように、これらはまさに各展示エリアにおいて利用者の携帯情報端末30が展示情報の受信を継続するための継続通信範囲となる。
[実施形態2]
【0085】
次に本発明の第2の実施形態に係る展示情報配信システム(以下、本システムという)について説明する。本実施形態では、携帯情報端末30が展示エリアの通信装置20から受信した電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定するに際して、電波強度収集サーバ14にて行っている。
【0086】
本システムは、図12に示すように、中央に設置されるサーバ群10と、各展示エリアに設置される複数の通信装置20と、各利用者が携帯する複数の携帯情報端末30とから構成される。また、実施形態1と同様に、サーバ群10と各通信装置20は有線LANにより通信可能な状態に接続されている。また、各通信装置20と各携帯情報端末30は無線により通信可能な状態になっている。
<サーバ群10>
【0087】
前記サーバ群10は、利用者の携帯情報端末30を認証する認証サーバ11と、利用者の携帯情報端末30の受信ログを収集するDBサーバ12と、各展示エリアの展示物に関する情報(以下、展示情報という)を保存するコンテンツサーバ13と、電波強度を収集する電波強度収集する電波強度収集サーバ14とから構成される。
【0088】
前記コンテンツサーバ13は、各展示エリアの展示情報を保存するサーバである。このコンテンツサーバ13は、図2に示すように、各部を制御する制御装置131と、展示情報テーブルを記憶する記憶装置132と、展示エリアの展示情報を通信装置20に送信する有線通信装置133を備える。
【0089】
前記制御装置131は、前記電波強度収集サーバ14からの要求に応じて、所定の展示エリアの展示情報を検索する展示情報検索部1311として機能する。例えば、前記電波強度収集サーバ14から展示エリアAの展示情報の要求があった場合、記憶装置132に記憶している展示情報テーブルを参照し、展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を検索する。なお、制御装置131は、その他の種々の制御を実行する。
【0090】
なお、記憶装置132や有線通信装置133の機能については実施形態1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0091】
前記電波強度収集サーバは、携帯情報端末30から電波強度を収集などするサーバである。この電波強度収集サーバ14は、図13に示すように、各部を制御する制御装置141と、各携帯情報端末30の電波の強度を記憶する記憶装置142と、携帯情報端末30の電波の強度を受信などする有線通信装置143を備える。
【0092】
前記制御装置141は、携帯情報端末30から電波強度を収集する電波強度収集部1411として機能する。具体的には、後述するように各展示エリアの通信装置20は所定強度の電波が出力しており、各展示エリアに存在する携帯情報端末30は通信装置20から電波を受信する。そして、電波収集サーバ14は、携帯情報端末30が展示エリア内において通信装置20から受信した電波の強度を携帯携帯情報端末30から前記通信装置20を介して取得する。例えば、携帯情報端末30が展示エリアAに存在する場合、携帯情報端末30は特に展示エリアAの通信装置20から電波を受信する。そして、電波収集サーバ14は、携帯情報端末30が展示エリアAの通信装置20から受信した電波の強度を携帯情報端末30から展示エリアAの通信装置20を介して収集する。
【0093】
なお、電波収集サーバ14による携帯情報端末30の電波の強度の収集については、実際には各携帯情報端末30にアドレスが付されており、各携帯情報端末30は電波の強度を自己のアドレスなどの情報とともに通信装置20に送信し、通信装置20がさらに電波強度収集サーバ14に送信することにより行われる。
【0094】
また、制御装置141は、収集した携帯情報端末20の電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定する電波強度判定部1412として機能する。また、制御装置141は、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、コンテンツサーバ13に対して、所定の展示エリアの展示情報を携帯情報端末30に通信装置20を介して送信することを要求する展示情報要求部1413として機能する。例えば、展示エリアAの携帯情報端末30から電波の強度を収集した場合、該電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定する。そして、その電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、コンテンツサーバ13に対して、展示エリアAの展示情報を当該携帯情報端末30に通信装置20を介して送信することを要求する。
【0095】
なお、認証サーバ11とDBサーバ12は実施形態1に示すものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
<通信装置20>
【0096】
前記通信装置20は、各展示エリアに設置されたアクセスポイント(基地局)となる通信装置20である。この通信装置20は、図14に示すように、各部を制御する制御装置21と、各サーバと通信するための有線通信装置22、展示情報を一時的に記憶する記憶装置23と、利用者の携帯情報端末30と通信するための無線通信装置24とを備える。
【0097】
前記無線通信装置24は、所定の強度の電波を出力する電波出力部242として機能する。この電波強度については、実施形態1と同様に、各展示エリアの通信装置20ごとに、図6に示すように、それぞれ所定の異なる出力設定となされている。例えば、展示エリアAの通信装置20は出力設定−12dbm、展示エリアBの通信装置20は出力設定−15dbm、展示エリアCの通信装置20は出力設定−18dbmにて電波を出力している。
【0098】
また、前記無線通信装置24は、携帯情報端末30から送信されてきた電波の強度に関する情報を受信する電波強度受信部243として機能する。
【0099】
また、前記無線通信装置24は、自己の通信装置20が設置されている展示エリアの展示情報を携帯情報端末30に送信する展示情報送信部241として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20の場合、無線通信装置24は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を携帯情報端末30に送信する。
前記有線通信装置は、前記無線通信装置24により受信した電波強度に関する情報を電波強度収集サーバ14に送信する電波強度送信部222として機能する。
【0100】
また、前記有線通信装置22は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアの展示情報を受信する展示情報受信部221として機能する。例えば、展示エリアAの通信装置20の場合、有線通信装置22は、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を受信する。なお、この展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」は、制御装置21により記憶装置23に一時的に記憶される。
【0101】
なお、本実施形態では、通信装置20はサーバ群10と携帯情報端末30との間において、電波強度に関する情報や展示情報の仲介的な役割のみを有するものとしたが、さらに携帯情報端末30から受信した電波の強度が第1の電波強度より低い第3の電波強度以上であるかどうかを判定し、第3の電波強度以上であると判定した場合に、携帯情報端末30から受信した電波の強度に関する情報を電波強度収集サーバ14に送信するものとしてもよい。すなわち、携帯情報端末30から受信した電波の強度に関する情報を全て電波強度収集サーバに送信するのではなく、予め設定した第3の強度以上のものだけ電波強度収集サーバ14に送信することによって、サーバの負荷を軽減させることができる。
【0102】
また、通信装置20の一例として図9に示す電波伝達シートが用いられるのが好ましい。
<携帯情報端末30>
【0103】
前記携帯情報端末30は、展示を見に来た利用者が携帯し、展示エリアの通信装置20と無線通信可能な端末である。この携帯情報端末30は、図15に示すように、各部を制御する制御装置31と、展示エリアの通信装置20と通信可能な無線通信装置32と、展示エリアの展示情報を記憶する記憶装置33と、ボタンやタッチパネルなどの入出力装置34とを備えてなる。
【0104】
前記無線通信装置32は、各展示エリアの通信装置20から出力される電波を受信する電波受信部321として機能する。また、無線通信装置32は、各展示エリアの通信装置20から送信されてきた展示情報を受信する展示情報受信部322としても機能する。また、無線通信装置32は、携帯情報端末30を展示エリアの通信装置20から受信した電波の強度に関する情報を送信する電波強度送信部322として機能する。
【0105】
前記制御装置31は、前記無線通信装置32により受信された展示エリアの電波の強度を測定する電波強度測定部311として機能する。また、制御装置31は、測定した電波の強度に自己のアドレスなどの情報を付加して、無線通信装置32により当該通信装置20に送信させる。また、無線通信装置32により展示エリアの通信装置20からの展示情報を受信した場合、該展示情報を記憶装置33に記憶させる。例えば、利用者の携帯情報端末30が展示エリアAの起動通信範囲に入った場合、展示エリアAの通信装置20から受信した電波を測定して、該電波の強度に自己のアドレスなどの情報を付加したあと、展示エリアAの通信装置20に送信する。また、展示エリアAの通信装置20から展示情報「tenji-a.avi」を受信した場合、該展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を記憶装置33に記憶する。
【0106】
前記入出力装置34は、例えば携帯情報端末30におけるタッチパネル式の表示画面からなる。利用者は、この入出力装置34としての表示画面において指でタッチするなどして種々の情報を入力したり、あるいは出力したりする。特に、この入出力装置34は、前記記憶装置33に記憶されている展示エリアの展示情報を視覚的および聴覚的に出力する。例えば、記憶装置33に展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」が記憶されている場合、入出力装置34は展示エリアAの展示情報「tenji-a.avi」を視覚的および聴覚的に出力する。
【0107】
次に本システムの全体の動作について、携帯情報端末20が展示エリアAに存在する場合にて説明する。
(1)まず、携帯情報端末30において、展示エリアAの通信装置20から電波を受信し、該電波の強度を測定したあと自己のアドレスなどの情報を付加して、展示エリアAの通信装置20に送信する。
(2)通信装置20において、携帯情報端末30から送信されてきた電波の強度に関する情報を受信したあと、電波強度収集サーバ14に送信する。
(3)電波強度収集サーバ14において、展示エリアAの通信装置20から送信されてきた携帯情報端末30の電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、コンテンツサーバ13に対して展示エリアAの展示情報の送信を要求する。
(4)コンテンツサーバ13において、展示エリアAの展示情報を展示情報テーブルから検索し、展示エリアAの通信装置20に送信する。
(5)通信装置20において、コンテンツサーバ13から送信されてきた展示エリアAの展示情報を受信したあと、携帯情報端末30に対して送信する。
(6)携帯情報端末30において、通信装置20から送信されてきた展示エリアAの展示情報を受信したあと、入出力装置に視覚的および/または聴覚的に出力して、利用者の閲覧に供する。
【0108】
なお、本実施形態でも、実施形態1と同様に、上述の起動通信範囲よりも広い「継続通信範囲」が設定され、起動通信範囲を外れてても継続通信範囲に入っていれば、展示エリアの通信装置20からの展示情報を受信して出力し続けるようにしてもよい。
【0109】
この継続通信範囲を設定するために、第1電波強度よりも小さい第2電波強度を設定する。上述の図6に示すように、電波強度と距離の間には電波強度が小さくなると距離も遠くなるという関係があるため、第1電波強度よりも小さい第2電波強度を設定すれば、起動通信範囲よりも広い(遠い)継続通信範囲を設定できる。
【0110】
すなわち、電波強度収集サーバ14は、電波強度判定部1412が携帯情報端末30の電波の強度が第1の電波強度以上であると判定したあと、さらに該電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、携帯情報端末30に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を通信装置20を介して送信することを継続する。一方、該電波の強度が第2の電波強度未満であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信すること中止する。
【0111】
例えば、本実施形態でも、図7に示すように、電波強度−85dbmを第2電波強度としている。この場合、展示エリアAの通信装置20では距離500cm、展示エリアbの通信装置20では距離300cm、展示エリアcの通信装置20では距離200cmとなる。図8に示すように、これらはまさに各展示エリアにおいて利用者の携帯情報端末30が展示情報の受信を継続するための継続通信範囲となる。
【0112】
なお、第1および第2実施形態では、いずれも通信装置として電波伝達シートを用いるものとしたが、その他の通信装置であってもよい。
【0113】
また、第1および第2実施形態では、通信装置と携帯情報端末は、Wi-Fi通信により互いに無線通信するものとしたが、その他の方法により無線通信してもよい。
【0114】
また、第1および第2実施形態では、コンテンツサーバ13、通信装置20、携帯情報端末30は、いずれも上記構成に限定されるものではなく、種々に設計変更可能である。
【0115】
また、第2実施形態では、各種サーバ11〜14は4つに構成するものとしたが、一つまたは4つ以外の複数個に構成してもよい。
【符号の説明】
【0116】
10…サーバ
11…認証サーバ
12…DBサーバ
13…コンテンツサーバ
20…通信装置
30…携帯情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の展示エリアを有する展示場において、各展示エリアごとに展示物に関する情報を配信する展示情報配信システムであって、
各展示エリアごとの展示物に関する情報を保存するサーバと、展示エリアに設置され、且つ所定強度の電波を出力する通信装置と、利用者に携帯され、且つ前記通信装置からの電波を受信する携帯情報端末とを備え、
前記携帯情報端末は、展示エリア内において前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、前記サーバに対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して要求することにより、前記サーバから当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して受信することを特徴とする展示情報配信システム。
【請求項2】
前記携帯情報端末は、さらに前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、当該展示エリアの展示物に関する情報の受信を継続する一方、第2の電波強度未満であると判定した場合、当該展示エリアの展示物に関する情報の受信を中止する請求項1に記載の展示情報配信システム。
【請求項3】
複数の展示エリアを有する展示場において、各展示エリアごとに展示物に関する情報を配信する展示情報配信システムであって、
各展示エリアごとに展示物に関する情報を保存するサーバと、展示エリアに設置され、且つ所定強度の電波を出力する通信装置と、利用者に携帯され、且つ前記通信装置からの電波を受信する携帯情報端末とを備え、
前記サーバは、前記携帯情報端末が展示エリア内において前記通信装置から受信した電波の強度を前記携帯携帯情報端末から前記通信装置を介して収集したあと、該電波の強度が第1の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第1の電波強度以上であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信することを特徴とする展示情報配信システム。
【請求項4】
前記サーバは、さらに前記携帯情報端末が展示エリアにおいて前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第2の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第2の電波強度以上であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信することを継続する一方、該電波の強度が第2の電波強度未満であると判定した場合、前記携帯情報端末に対して当該展示エリアの展示物に関する情報を前記通信装置を介して送信すること中止する請求項3に記載の展示情報配信システム。
【請求項5】
前記通信装置は、前記携帯情報端末が展示エリアにおいて前記通信装置から受信した電波の強度が第1の電波強度よりも低い第3の電波強度以上であるか否かを判定し、該電波の強度が第3の電波強度以上であると判定した場合、前記サーバに対して当該電波の強度に関する情報を送信する請求項3または請求項4に記載の展示情報配信システム。
【請求項6】
前記通信装置は、メッシュ状導体を有する第1導電体層と、該第1導電体層と略平行に配設される第2導電体層と、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に配設される誘電体層とを有し、前記第1導電体層と前記第2導電体層の間の誘電体層において、電磁波を介して所定の信号を伝達する薄板状に形成されている電波伝達シートが用いられる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の展示情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−39598(P2012−39598A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92680(P2011−92680)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(593001901)ミカサ商事株式会社 (4)
【Fターム(参考)】