説明

巡回作業支援システム

【課題】作業員が巡回時の判断をシステムに入力することにより、災害時に増大する拠点処理負荷および作業員との調整を支援できる巡回作業支援システムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施態様によれば、巡回対象装置に設けられたセンサーから出力されたセンサー出力を取得する監視手段と、前記センサー出力と、前記巡回対象装置の位置情報を対応付けて監視情報として保存する保存手段と、前記保存手段に保存されている監視情報を表示するとともに、巡回作業員への指示情報として巡回対象装置と巡回の優先度を入力する現場入出力手段と、前記現場入出力手段に入力された指示情報を表示するとともに、前記巡回対象装置の位置情報と、前記表示した指示情報を変更する入力があれば変更後の指示情報を出力する携帯端末と、前記携帯端末から出力された位置情報と指示情報にもとづいて、前記保存手段に保存された監視情報を更新する更新手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、遠隔監視された機器の巡回作業を支援する巡回作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視されている監視対象機器が災害で同時に多数被災した場合には、例えば広域災害時復旧支援システムにおいて、監視センターが、各監視対象機器に設置された遠隔監視装置から得た各監視対象機器の運行状況に基づいて、被災して復旧が必要な監視対象機器を復旧作業者の携帯端末へ的確に通知することで、復旧作業者は被災した監視対象機器のみ巡回、復旧を行うことが可能となり、無駄な巡回を最小限に留める方法が知られている。
【0003】
さらに、携帯端末の位置情報を利用して最適巡回ルートを提供する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−7337号
【特許文献2】特開2008−44693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、作業結果及び作業員の巡回ルートの最適化のための入力情報の追加や情報の変更があった場合には、再度最適化処理を行う必要がある。災害時には短期間で状況が大きく変化し、各作業員及び各拠点でリアルタイムに収集される情報が異なることがある。このような不完全情報の状況下では、最適化処理による拠点での処理の負荷及び作業員との調整の負荷が増大し、最適な巡回計画を作業員へ提示しきれない問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、通信装置が収集した巡回対象装置の情報と外部からの連絡と他の作業員の作業予定および作業結果とGPS情報を利用した近辺に所在する作業員の状況とを踏まえ、拠点指令者の大局観に基づいて各作業員が必要な情報に限定して巡回判断材料となる情報を携帯端末に表示する。作業員が巡回時の判断をシステムに入力することにより、災害時に増大する拠点処理負荷および作業員との調整を支援することができる巡回作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、巡回作業支援システムは、巡回対象装置に設けられたセンサーから出力されたセンサー出力を取得する監視手段と、前記センサー出力と、前記巡回対象装置の位置情報を対応付けて監視情報として保存する保存手段と、前記保存手段に保存されている監視情報を表示するとともに、巡回作業員への指示情報として巡回対象装置と巡回の優先度を入力する現場入出力手段と、前記現場入出力手段に入力された指示情報を表示するとともに、前記巡回対象装置の位置情報と、前記表示した指示情報を変更する入力があれば変更後の指示情報を出力する携帯端末と、前記携帯端末から出力された位置情報と指示情報にもとづいて、前記保存手段に保存された監視情報を更新する更新手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の巡回作業支援システムの構成を示すブロック図
【図2】情報の具体例を示す図
【図3】優先度マトリックスの例を示す図
【図4】処理のフローチャートを示す図
【図5】携帯電話端末に表示する情報の検索範囲の例を示す図
【図6】実施例2のシステム構成を示す図
【図7】実施例3のシステム構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
(1)システム構成
本実施例の巡回作業支援システムの構成を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように現場201の例えばセンサー付監視装置といった巡回対象装置2の巡回作業を支援する巡回作業支援システム200は、指令部拠点202に設けられた機器と、現場作業員拠点203に設けられた機器と、作業員が携帯する携帯電話端末17から構成され、これらの機器はネットワークや電話網で接続されている。
【0011】
現場201には、通信装置1と巡回対象装置2が設けられている。通信装置1は、巡回対象装置2からの異常や停電などを示すセンサー情報を、指令部拠点装置202に出力するものである。
【0012】
指令部拠点202には、通信装置6と、監視制御装置7と、監視情報入力装置8と、電話回線制御装置10と、外部情報共有装置11と、情報共有装置12と、携帯端末通信装置13と、情報保存装置14とが設けられ、ネットワークで接続されている。また、電話回線制御装置10には電話機9が接続されている。
【0013】
通信装置6は、通信装置1からセンサー情報が入力される例えばゲートウェイサーバである。
【0014】
監視制御装置7は、例えば監視用サーバであって、指令部拠点202の指令者が監視情報入出力装置8に入力した、作業者にどの巡回対象装置2を巡回するかについての指示を情報保存装置14に保存すると共に、携帯端末通信装置13を介して携帯電話端末17に出力するものである。
【0015】
監視情報入出力装置8は、例えば監視用クライアントとしてのコンピュータ(PC)であって、情報保存装置14に保存された現場作業員情報100と、対象装置情報101と、対象装置間距離情報102を表示するものである。また監視情報入出力装置8は、指令部拠点202の指令者が監視情報入出力装置8に表示された情報に基づいて、大局観から巡回対象装置2を巡回する順番や作業予定者を判断し、作業員への指示を入力するものである。
【0016】
電話回線制御装置10は、例えばCTIサーバであって、指令部拠点202に設けられた電話機9に接続されている。この電話機9は、作業員からの連絡や、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せを受けるためのものである。
【0017】
外部204とは、現場201の付近、例えば巡回対象装置2であるセンサー付監視装置が設置されたビルの管理事務所のことである。この外部204には、携帯電話端末17が故障などで使用できない場合に、現場の作業員から指令部拠点や現場作業員拠点の指令者との通信手段として電話機3と、携帯電話端末4とコンピュータ(PC)5が設けられている。
【0018】
作業員が携帯電話端末4と、PC5に入力した巡回対象装置の作業状況を示すステータスや巡回対象装置2の管理者からの対応予定についての問合せ状況などの情報は、指令部拠点202の外部情報共有装置11を介して情報保存装置14に保存される。
【0019】
外部情報共有装置11は、例えば社外向けWebサーバであって、外部204に設けられた電話機3と、携帯電話端末4とPC5に接続されている。外部204に設けられた装置からの入力を、情報保存装置14に保存するためのものである。
【0020】
情報共有装置12は、例えば社内向けWebサーバであって、現場作業員拠点203のPC15と接続され、指令部拠点202の情報保存装置14と情報の送受信をするものである。
【0021】
携帯端末通信装置13は、例えば携帯電話端末用Webサーバや携帯電話端末用ゲートウェイサーバであって、GPS情報を送信してきた携帯電話端末17に、近辺の巡回すべき巡回対象装置2の候補を伝えるため、対象装置情報111を送信するものである。また携帯端末通信装置13は、GPS情報に基づいて作業員に近辺の他の作業員の巡回予定を伝えるため現場作業員情報110を送信する。
【0022】
情報保存装置14は、例えばデータベースサーバであって、巡回対象装置2、監視情報入出力装置8、コンピュータ(PC)15、携帯電話端末17から収集した情報に基づいて、現場作業員情報100と、対象装置情報101と、対象装置間距離情報102を保存するものである。
【0023】
現場作業員拠点203には、PC15と電話機16が設けられている。
【0024】
PC15は、情報保存装置14に保存された現場作業員情報100と、対象装置情報101と、対象装置間距離情報102を表示するものである。
【0025】
また、このPC15に出力された情報を基に現場作業員拠点203の指令者が大局観から判断し、PC15から作業員への指示を入力する。その指示は情報保存装置14に保存されるとともに、作業員が携帯する携帯電話端末17に出力される。
【0026】
電話機16は、携帯電話端末17や、電話3からの電話連絡を受けるためのものである。
【0027】
携帯電話端末17は、作業員が携帯し、携帯端末通信装置13から現場作業員情報110と対象装置情報111を受信して表示するものである。またこれらの表示を見た作業員が、自ら判断した巡回予定および作業実績を携帯電話端末17に入力すると、巡回予定および作業実績が携帯端末通信装置13に送信される。
【0028】
作業員が自ら巡回予定を判断するのは、例えば、作業員が指示に基づいて現場201に行ったら、センサーのみの異常で巡回対象装置2には問題が無く、作業がすぐに終了した場合には、次に予定していた巡回対象に向かうのか、別の巡回対象に向かう方が良いか判断する場合などがある。
【0029】
なお携帯電話端末17は、必要に応じて近隣で作業する作業員同士が意思疎通を図るため、電話やメールで連絡を取り合う際にも使用する。
【0030】
情報保存装置14に保存される各情報の構成について図2を用いて説明する。
【0031】
現場作業員情報100は、図2(1)に示すように、各作業員(ア)について、携帯電話端末17のGPS機能を利用して収集した位置情報(緯度(イ)、経度(ウ))と、巡回対象装置を検索する際に起点を決めるためのGPS精度(エ)と、現在の作業状況を示すステータス(オ)と、予め登録された連絡先としての電話番号(カ)と、その担当地域(キ)と、指令者の判断により指示された対象の装置(ク)と指示対象地域(ケ)の情報で構成される。
【0032】
対象装置情報101は、図2(2)に示すように、各巡回対象装置(サ)について、予め登録された例えば度分秒[dd.mm.ss]や度[dd.dd]を単位とする緯度(シ)と経度(ス)で表わされる位置情報、所属地域(セ)と、通信装置1を介して収集されたセンサー情報の出力より算出されるセンサー情報優先度(タ)と、巡回対象装置の管理者等からの巡回対象装置に対する保守や点検等の作業依頼である問合せに基づいて指令部拠点の指令者が入力した問合せ優先度(チ)と問合せ状況(ツ)と、各優先度と係数から算出される総合優先度(ソ)と、作業予定者(テ)で構成される。
【0033】
<優先度の算出>
ここでセンサー情報優先度(タ)、問合せ優先度(チ)と、総合優先度(ソ)の算出方法について説明する。
【0034】
・センサー情報優先度(タ)
センサー情報優先度(タ)とは、巡回対象の装置に設けられたセンサーから出力された信号の種類に基づいて、巡回対象装置に対する作業の優先度を定義したものである。信号の種類と優先度の例を以下に示す。
【0035】
緊急異常信号:重異常(稼働中緊急異常の発生でユーザに関わるため。)
起動不能信号:中異常(装置異常だが待機中異常でユーザの存在は未確認なため。)
停電信号 :低異常(対処は必要だがバッテリー等により継続動作可能なため。)

・問合せ優先度(チ)
問合せ優先度(チ)とは、巡回対象装置の管理者等から指令部拠点への巡回対象装置に対する保守、点検等の作業依頼である問合せの優先度である。この問合せ優先度は人間系による判断をシステムに入力する。図1に示すように、拠点指令者は監視情報入出力装置8かPC15から情報共有装置12を介し、作業員は携帯電話端末17から携帯端末通信装置13を介して、情報保存装置14に判断結果を入力する。判断基準の例を以下に示す。
【0036】
緊急:ユーザを束縛する異常ケースで対応を急ぐもの。
【0037】
高:重要顧客からの問合せや、ユーザ数が大きい装置に関するもの。
【0038】
中:一般顧客からの問合せで即日〜翌日に対応が必要なもの。
【0039】
低:一般顧客からの問合せで対応に2日以上の猶予があるもの。
【0040】
・総合優先度(ソ)
総合優先度(ソ)は、情報保存装置14に保存された優先度マトリックスに基づいて判断される。図3に示すように優先度マトリックスは、センサー情報優先度と問合せ優先度に基づいて予め管理者が定義する。
【0041】
対象装置間距離情報102は、図2(3)に示すように、予め登録された巡回対象装置((ト)、(ナ))間の距離(二)である。
【0042】
図2(1)現場作業員情報100aに示すように、作業員AとBの指示対象(ク)と指示地域(ケ)が「なし」となっており、当初は作業員AとBに巡回対象の装置と、巡回する地域が指示されていない。指示後には図2(1)現場作業員情報100bに示すように、作業員AにA地域の装置A1、作業員BにB地域の装置B1の巡回が指示されている。
【0043】
(2)処理
次に処理を図4のフローチャートに従い説明する。
【0044】
指令部拠点の情報保存装置14には、監視制御装置7の要求に基づいて収集された巡回対象装置2からのセンサー情報や、監視情報入出力装置8に入力された作業状況を示すステータスや問合せ状況が、図2(1)に示す現場作業員情報100と図2(2)に示す対象装置情報101として保存される(S401)。
【0045】
<携帯電話端末17に表示する情報の検索>
作業員が携帯電話端末17で、次に向かう巡回対象装置の情報を検索すると、情報保存装置14に収集された現場作業員情報100と対象装置情報101に基づいて、検索結果として、現場作業員情報110と対象装置情報111が送信されるので、指示を作業員が確認する(S402)。緊急指示が有る場合にはその指示に従う。緊急指示が無ければ、作業員自身が巡回対象装置の近辺にいるかを携帯電話端末17のGPS情報に基づいて、検索して判定する(S403)。
【0046】
検索範囲は、緯度検索角度と経度検索角度により定義する。検索の例を以下に示す。
【0047】
予め算出した距離情報を利用して処理負荷の軽減を図るためと、GPS情報の精度を考慮して、以下に示す2種類の情報を起点位置として提示情報を算出する。
【0048】
GPS精度1:予めデータを登録した巡回対象装置が設置された建物の位置情報(S404)
GPS精度2:作業員の携帯電話端末17から取得したGPS情報(S405)

作業員自身が巡回対象装置の現場に居る場合は、GPS精度1の起点位置を採用して、巡回対象装置を起点として提示情報を算出(S404)する。作業員自身が巡回対象装置の現場に居ない場合は、GPS精度2の起点位置を採用して、携帯電話端末17のGPS情報を起点とした提示情報を算出する(S405)。
【0049】
また、災害発生後に連続して復旧作業を行う場合などは、GPS精度1の建物の位置情報を起点位置として利用し、そうでない場合にはGPS精度2のGPS情報を起点位置として利用することを原則とする。なお、作業員の携帯電話端末17により任意に選択する事も可能とする。
【0050】
ここでは図5に示すように起点位置を中心として南北方向に検索する角度を「緯度検索角度」、東西方向に検索する角度を「経度検索角度」と呼ぶ。また検索範囲を拡大するため、「緯度検索角度」からさらに南北方向に拡大する角度を「拡大検索緯度角度」、「経度検索角度」からさらに東西方向に拡大する角度を「拡大検索経度角度」と呼ぶ。これらの角度を巡回対象装置の所属地域ごとに定義しておく。作業員がこれから巡回できる地域に応じて、携帯電話端末17で検索範囲を拡大する操作をすると
緯度検索角度=緯度検索角度+拡大検索緯度角度
経度検索角度=経度検索角度+拡大検索経度角度
で表される緯度検索角度と経度検索角度に基づいて、範囲を拡大して検索する。
【0051】
なお、距離計算には以下の式を利用する。
【0052】
D=sqrt((M×dP)×(M×dP)+(N×cos(P)×dR)×(N×cos(P)×dR))
D:2点間の距離(m) P:2点の平均緯度
dP:2点の緯度差 dR:2点の経度差
M:子午線曲率半径 N:卯酉線曲率半径
M=6334834/sqrt((1−0.006674×sin(P)×sin(P))^3)
N=6377397/sqrt(1−0.006674×sin(P)×sin(P))

<携帯電話端末17への表示の処理>
検索結果は、作業員が現場で判断し易くするため以下のように処理をして携帯電話端末17に表示する。
【0053】
まず総合優先度が高い順にソートする。次に、検索時の起点位置との距離が近い順にソートして、設定した件数まで対象装置情報101を検索結果として表示する。
【0054】
また、現場作業員情報100の位置、ステータス、担当地域、指示対象、指示地域の情報から、予め定義した条件に基づいて現場作業員情報110と対象装置情報111も表示する。
【0055】
現場作業員情報の位置の検索範囲は上述の通りである。なお、検索結果は指示地域に限定され、指示対象が有る場合には最優先で上位に表示する。
【0056】
ステータスは、例えば、低異常のステータスは表示しないといったように、管理者が予め定義したステータスに該当する物件を表示する。また、管理者は情報共有装置14を利用し、大局観に基づき表示の制限を変更する事を可能とする。例えば、対象復旧装置が多数に及ぶ場合、復旧初期段階では緊急異常・重異常に限定して情報を表示し、管理者が初期対応の収束を判断した時点で中異常・低異常の表示を開始するなどの運用を可能とする。
【0057】
各地域の境界近辺で検索した場合、担当地域に指定された地域があれば、他の近隣地域の巡回対象装置は表示しないか、優先度を下げて表示する。例えば図5に示すようにA地域とB地域の境界近辺で検索した場合、検索範囲内であっても担当地域がA地域であればB地域の装置については表示しない。
【0058】
図2(4)に示すように、作業員Aには検索結果として作業員Bの現場作業員情報110aが提示されている。また、図2(5)に示すように、作業員Aが巡回を指示された対象装置情報111aが提示されている。
【0059】
図2(6)に示すように、作業員Bには検索結果として作業員Aの現場作業員情報110bが提示されている。また、図2(7)に示すように、作業員Bが巡回を指示された対象装置情報111bが提示されている。
【0060】
作業員は提示された現場作業員情報110と対象装置情報111に基づいて(S406)、巡回する装置について自ら判断し、現場で確認したステータス(オ)や問合せ優先度(チ)、問合せ状況(ツ)などを携帯電話端末17に入力して(S407)、現場作業を行う(S408)。携帯電話端末17への入力に基づいて、情報保存装置14の保持する現場作業員情報100と対象装置情報101に作業員の判断結果が反映される。
【0061】
拠点指令者は作業員の現場での判断が反映された現場作業員情報100と対象装置情報101に基づいて(S409)、各作業員が判断した巡回する装置の順番を変更する補正が必要かどうか大局観から判断する(S410)。必要と判断した場合は、作業員への指示((ク)(ケ))を変更する(S311)。監視情報入出力装置8やPC15から入力されたその結果は情報保存装置14の保持する現場作業員情報100と対象装置情報101に反映される。
【0062】
すると変更された指示は、作業員は提示される現場作業員情報110と対象装置情報111にも反映される。
【0063】
本実施例によれば、作業員は、次に向かう巡回対象装置を確認するために「作業員携帯電話表示情報の検索」を、指示された巡回対象装置の位置からGPS機能を有する携帯電話端末でするので、現在地を起点とした効率の良い順番で巡回できるようになる。また、局所的には情報の入手が早い作業員に巡回計画の判断をさせることで、作業員の配置の変更が容易となる。
【実施例2】
【0064】
本実施例の巡回作業支援システムの構成を図6に示す。本実施例では、実施例1の構成に加えて通信装置19および計画立案装置20を設ける。
【0065】
通信装置19aは携帯電話端末17aで取得したGPS情報をもとに、近隣にいて情報の共有が必要な他の作業員の通信装置19bを探索し、近辺の作業員が携帯する通信装置19bと局所的に限定した情報を双方向に共有するものである。
【0066】
計画立案装置20は、どの作業員がどの巡回対象装置にどの順番で行くかを示す巡回計画を立案するものである。
【0067】
共有した情報を通信装置19から計画立案装置20に入力し、計画立案装置20は相互の巡回計画が最適になるように計画を立案し、立案結果が携帯電話端末17に出力される。
【0068】
本実施例によれば、作業員の携帯する通信装置19同士で必要な情報共有を行うので、拠点装置の通信負荷が軽減でき、計画立案装置を作業員が携帯するので、拠点装置の処理の負荷が増大することを回避できる。
【0069】
また、GPS情報の利用により情報共有の相手を必要な対象に絞り込み、計画立案装置に入力する情報を局所的に限定することで、拠点に一括収集した情報全体で最適化を行うよりも、処理の負荷が軽減できる。
【実施例3】
【0070】
本実施例の巡回作業支援システムの構成を図7に示す。本実施例では、実施例1の構成に無線通信装置、例えばBluetooth(登録商標)通信装置23と現場用形態端末通信装置24が設けられている。
【0071】
携帯電話端末17は現場に設置されたBluetooth(登録商標)通信装置23と通信を行い、Bluetooth(登録商標)通信装置23は通信装置1および通信装置6を通じて拠点に設置された現場用携帯端末通信装置24と通信を行うものである。実施例1で携帯端末通信装置13が行っていた携帯電話端末への情報提供および携帯電話端末からの入力制御を現場用携帯端末通信装置24が代替して行う。
【0072】
本実施例によれば、現場の通信インフラを利用することで、電話回線が不通の場合でも復旧に必要な支援情報を作業員へ伝達できる。
【0073】
上記のように、本発明の実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0074】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0075】
1・・・通信装置
2・・・巡回対象装置
3・・・電話機
4・・・携帯電話端末
5・・・コンピュータ(PC)
6・・・通信装置(例えば、ゲートウェイサーバ)
7・・・監視制御装置(例えば、監視用サーバ)
8・・・監視情報入出力装置(例えば、監視用クライアントとしてのコンピュータ)
9・・・電話機
10・・・電話回線制御装置(例えば、CTIサーバ)
11・・・外部情報共有装置(例えば、社外向けWebサーバ)
12・・・情報共有装置(例えば、社内向けWebサーバ)
13・・・携帯端末通信装置(例えば携帯電話用Webサーバ、携帯用ゲートウェイサーバ)
14・・・情報保存装置(例えば、データベースサーバ)
15・・・コンピュータ(PC)
16・・・電話機
17・・・携帯電話端末
17a・・・作業員Aが携帯する携帯電話端末
17b・・・作業員Bが携帯する携帯電話端末
19・・・通信装置
19a・・・携帯電話端末17aとの通信装置
19b・・・携帯電話端末17bとの通信装置
20・・・計画立案装置
20a・・・作業員Aが携帯する計画立案装置
20b・・・作業員Bが携帯する計画立案装置
23・・・Bluetooth(登録商標)通信装置
24・・・現場用形態端末通信装置
100・・・現場作業員情報
100a・・・当初
100b・・・指示後
101・・・対象装置情報
102・・・対象装置間距離情報
110・・・作業員に提示する現場作業員情報
110a・・・作業員Aに提示する現場作業員情報
110b・・・作業員Bに提示する現場作業員情報
111・・・作業員に提示する対象装置情報
111a・・・作業員Aに提示する対象装置情報
111b・・・作業員Bに提示する対象装置情報
200・・・巡回作業支援システム
201・・・現場装置
202・・・指令部拠点装置
203・・・現場作業員拠点装置
204・・・外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巡回対象装置に設けられたセンサーから出力されたセンサー出力を取得する監視手段と、
前記センサー出力と、前記巡回対象装置の位置情報を対応付けて監視情報として保存する保存手段と、
前記保存手段に保存されている監視情報を表示するとともに、巡回作業員への指示情報として巡回対象装置と巡回の優先度を入力する現場入出力手段と、
前記現場入出力手段に入力された指示情報を表示するとともに、前記巡回対象装置の位置情報と、前記表示した指示情報を変更する入力があれば変更後の指示情報を出力する携帯端末と、
前記携帯端末から出力された位置情報と指示情報にもとづいて、前記保存手段に保存された監視情報を更新する更新手段と
を具備することを特徴とする巡回作業支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−230892(P2011−230892A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102764(P2010−102764)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】