説明

工具システムの2つの部分要素間のインタフェース

【課題】工具システムの2つの部分要素間のインタフェース
【解決手段】凹部(31)を有するホルダ(3)と、凹部(31)に挿入可能な突部(33)を含む、ホルダ(3)の軸線方向の延長部に配設される交換ヘッド(5)と、ホルダ(3)に交換ヘッド(5)を固定するための締付装置(19)とを備える工具システム、特に切削工具(1)の2つの部分要素間のインタフェースが提案される。このインタフェースは、締付装置(19)が引張ボルト(41)と、この引張ボルトを軸線方向に移動させる偏心要素(21)とを有し、偏心要素(21)が切削工具(1)の周面(17)を介して操作可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の工具システム、特に切削工具の2つの部分要素間のインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
上記形式のインタフェースが知られている。この用語により、工具システムの部分要素の間、たとえば工作機械に接続可能な接続部と交換ヘッドとの間、または工具部と中間部材との間、または中間部材とアダプタとの間、または工作機械に結合可能なホルダと切削工具の交換ヘッドとの間の接続箇所が記載されている。インタフェースは、工具システムの第2の部分要素の突部、たとえば突部を備える交換ヘッドが差込可能である凹部を備えるホルダとして形成される第1の部分要素を特徴とする。ホルダと上記の交換ヘッドとを備える切削工具において、種々の工具を工作物の切削加工に使用することが可能である。上記形式の公知の交換ヘッドは、ホルダの中に差込可能である短テーパ部として形成される突部を有する。交換ヘッドおよびホルダはインタフェースの領域に、好ましくはリング面として形成され、かつインタフェースの、この場合は切削工具の中心軸に対して垂直に立つ平面を有する。このインタフェースの構成は、交換ヘッドがホルダに対して非常に正確に調整され、かつインタフェースの領域が非常に高い強度であることを特徴とする。インタフェースは、一般的に2つの対向するねじ山(左右ねじ山)を有する差動ねじを含む締付装置も有する。差動ねじは交換ヘッド内のねじ山領域と、そして、ホルダ内の別のねじ山領域と係合する。差動ねじの回動時に交換ヘッドはその切削工具の中心軸と重なる長手軸方向へ移動させられ、突部はホルダの凹部の中に引き入れられる。短テーパ部としての突部の形成によって、ホルダの内壁はその内テーパ部として形成される凹部の領域で、ホルダと交換ヘッドの平面が当接するまで最小の弾力性で拡大される。正反対方向への差動ねじの回動時に、交換ヘッドの突部がホルダの凹部から押し出され、その結果、交換ヘッドが投出される。差動ねじはその表面に操作面、たとえば六角に形成される内面を有し、その中で好適な工具と係合させることができる。しかしながら、多くの場合に交換ヘッドで差動ねじを操作するための表面側の近接が、たとえば交換ヘッドの直径が小さい場合、交換ヘッドがリーマとして形成される場合、その切刃が回転軸上へ達するフライス加工の場合等々において実現不可能であることが欠点として実証されている。その場合には、差動ねじとして形成される締付ねじがホルダ側から操作されなければならない。そのためにはホルダを工作機械から取り外さなければならず、これが長い停止期間をもたらす。この欠点は、工作機械との接続に利用されるホルダが取り付け後にそれぞれ調整する必要のあるフランジとして形成される場合さらに重大になる。長い工具または工具組合せの場合、この長さに基づき通常必要になるトルクを調達できない差動ねじの操作用に非常に長いキーを使用しなければならない。差動ねじのねじ山が非常に微細な場合は、インタフェースに割り当てられる工具システムの部分要素つまり交換ヘッドおよびホルダを互いに固着接続するまで数回まわす必要があり、これが時間を奪う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、容易にアクセスすることができ、かつすばやい締付過程を可能にするインタフェースを構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために請求項1に挙げる特徴を有するインタフェースが提案される。たとえばホルダと交換ヘッドとを含むインタフェースは、引張ボルトと、これと共働する偏心要素とを有する締付装置を有する。好ましくは、引張ボルトが交換ヘッドに組み込まれ、偏心要素がホルダに組み込まれ、引張ボルトが交換ヘッドの突部の延長部となる。偏心要素の操作時に引張ボルトが軸線方向に、つまりインタフェースの中心軸の方向へ移動させられ、その結果、ホルダと交換ヘッドとを相互に締め付けることができる。偏心要素はインタフェースの領域で相互に接続される工具システムの部分要素の周面上でアクセス可能である。つまり、部分要素の表面上または表面から離間する部分要素側上で締付装置に作用することが不要になる。従って、工具の表面が閉じられる工具を実現することが可能である。さらに、この種のインタフェースを備える工具を工作機械の付属のホルダから取り出し、あるいは締付装置を操作するために上記ホルダから取り外すことも不要になる。
【0005】
インタフェースのその他の実施態様は従属請求項から明らかである。
【0006】
本発明は、以下、図面を利用してより詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、ここで実例により切削工具1として形成された工具システムのインタフェースを示す。第1の部分要素としてホルダ3を、かつ第2の部分要素として交換ヘッド5を含む。周方向に延びる線7によって、ホルダ3と交換ヘッド5とが分離可能であることを識別できる。
【0008】
ここに示した実施例において、ホルダ3は調整可能なフランジ9を備えており、それを介して工具システム、つまりこの場合は切削工具1を工作機械に接続可能である。フランジ9は、テーパによって代用してもよく、それによってホルダ3を工作機械のテーパ収容部に接続可能である。
【0009】
フランジ9は、その中心軸が切削工具1の中心軸27と平行に延び、かつ工作機械の固定部の中に係合するねじによって貫通可能である一連の穴25を有する。
【0010】
交換ヘッド5は、少なくとも1つの、この場合は6つの均一に周方向に離間するカッタプレート11を有し、これらは切刃エッジ部15を備える交換ヘッド5の周面15に突出する切刃を有する。カッタプレート11は交換ヘッドの基体の中にはんだ付けまたはその他の方法で、たとえば締付部材によって固定することができる。しかし、カッタヘッドを一体物から製造し、たとえばフライスがその場合であるように、切刃をその基体で研ぎ合わせることも可能である。
【0011】
ここに図示した交換ヘッド5は、たとえばリーマである。しかしながらフライスまたはドリル等として形成することもできる。つまりここに示したインタフェースの場合、工具システムの部分要素の1つが切削工具として形成されており、それによってチップを工作物の表面から、あるいは工作物の中に設けられる穴の穴表面から運び出すことができる。
【0012】
交換ヘッド5の周面13は本実施例においてホルダ13の周面17と連続し、その結果、線の領域に段部が形成されない。交換ヘッド5はここでホルダ5の軸線方向の延長部を形成する。
【0013】
ホルダ3の周面13の中に、ホルダ3から脱落できないようにねじ22によって保持され、安全要素23によって確保される偏心要素21を含む締付装置19が挿入される。
【0014】
切削工具1として形成される工具システムの前部は、図2に展開図で表されている。同じ部分は同じ符号を付けており、繰り返しを避けるために図1の説明を参照されたい。
【0015】
ホルダ3は、好ましくは短テーパ部として形成される交換ヘッド5の突部33が係合する上記ホルダの前面29の中に設けられる凹部31を有する。この種の突部33の構成において、凹部31の内面は同様に円錐形に、すなわち内部円錐体として形成されている。突部33の外部円錐面および凹部31の内部円錐面は、ホルダ3と交換ヘッド5との間の締付時に自己制止が付与されるように相互に調整されている。
【0016】
ホルダ3の前面29に凹部31を取り囲むリング面35として形成され、切削工具1の中心軸25が垂直に立つ仮想平面内にある平面が見える。交換ヘッド5はその前面29に対向する背面に、同様にリング面37として形成される平面を備えており、これは切削工具1の中心軸25が垂直に立つ仮想平面内にある。インタフェースの組立かつ締付状態においてリング面35、37は互いに固着して平面に当接しており、その結果、通常突部33によっても保証される正確な調整精度がホルダ3と交換ヘッド5との間に生じる。この場合、突部33は半径方向の調整を生じ、かつリング面35、37は軸線方向の調整を生じる。
【0017】
突部33は、少なくとも1つの、その周面に設けられる平面39を備えており、これは対応する凹部31の内部に設けられる平面と共働し、交換ヘッド5のあらかじめ設定可能な回転位置をホルダ3に対して生じさせる。すなわち突部33はあらかじめ設定可能な回転位置でのみ凹部31の中に差込可能であり、その結果、規定された回転位置がホルダ3と交換ヘッド5との間に付与される。
【0018】
交換ヘッド5の中に引張ボルト41が取り付け可能である。上記引張ボルトは交換ヘッドまたはその突部33と固定接続、たとえばねじ止めされている。形状嵌合に代わり摩擦係合を実現するために、すべり−、接着−またははんだ付け接合も考えられる。その他の点で突部33と引張ボルト41とを一体に形成することも可能である。
【0019】
引張ボルトのホルダ3に対向する端部に、第1の締付面45を有するキノコ状突起部とも呼ばれる突起部43が設けられている。
【0020】
インタフェースの組込状態において、突起部43は、締付装置19が突起部45と共働できるようなリング面37との間隔にあり、これについて以下より詳しく説明する。それに応じて締付装置19は、上記締付装置が引張ボルト41の突起部35と共働できるようなリング面35に対する間隔で配設されている。
【0021】
締付装置19は、本質的に円筒形の外面47を含む偏心要素21を有する。この外面によって中空部49が偏心要素21の内部でアクセス可能である。
【0022】
偏心要素の上部表面52の中に操作面53を有する凹部51が設けられ、それを介して、たとえば中空キーを利用して偏心要素21を回転させることができる。それぞれの操作面53の構成に応じて、ねじ回しまたはトルクス(登録商標)(Torx)差込キーを使用することもできる。偏心要素21に工具を利用してトルクを伝達できることが重要である。
【0023】
偏心要素21はホルダ3の基体に、中心軸25に対して横に貫通する穴55の中に挿入され、その結果、両側からアクセスすることができる。そのために偏心要素21はここに図示した表面52に対向する表面に同様に操作面を備える凹部を備えている。偏心要素21の長さは損傷を防ぐために好ましくは、上記偏心要素がその周面上に突出しないようにホルダ3の直径に調整されている。
【0024】
切削工具1の組込状態で、突起部43が偏心要素21の中空部49の中に係合し、その結果、上記偏心要素は穴55から脱落できない。取り外し状態で、偏心要素21は安全要素23を利用してホルダ3の基体の中に保持される。これはホルダ3の周面17内の長手方向の凹部57の中に挿入され、かつ偏心要素21の表面52の弾性領域57に噛み合う。
【0025】
図2記載の図示から、リング面35が均一の間隔で配分された複数の開口59を備えており、これは図示しない開口とリング面37で一列に並び、その結果、開口59を介して冷却剤をカッタプレート11に供給することができることが分かる。各カッタプレートに、ここに図示した交換ヘッド5の実施例において流出開口61が組み込まれている。交換ヘッド5の突部33の上記の平面39は、正確な回転調整をホルダ3と交換ヘッド5との間で保証することに利用され、それによって冷却剤の供給が保証されている。
【0026】
図1および図2から、ここに図示した切削工具1として形成される工具システムにおいて、交換ヘッド5がホルダ3の軸線方向の延長部を形成することが明らかである。つまりここに説明したインタフェースの領域に工具システムの2つの部分要素が互いに軸線方向に締め付けられ、各部分要素に組み込まれたリング面35およびリング面37が互いに平面に置かれ、かつ部分要素の正確な調整と、インタフェースの高い強度とが保証されている。短テーパ部としての突部33の形成時にホルダ3の側面は凹部31の領域で最小の弾力性で拡大される。
【0027】
対応して長く形成される交換ヘッドの場合、偏心要素21はその中に設けることもできることが明らかであり、その場合はホルダ3が突部と引張ボルトとによって形成されなければならず、これは交換ヘッド5を利用して図示されている。つまり、ここに図示した形式のインタフェースの機能に対して、両方の部分要素のいずれの中に突部用の凹部が設けられているかと、、上記要素のいずれに突部が形成されるかとは重要ではない。
【0028】
インタフェースの領域で、突部33が短テーパ部として形成される場合、特に正確な工具システムの部分要素の調整が達成される。その場合は、さらに非常にコンパクトな構造も得られる。
【0029】
その他の点で、さらに図2から、冷却剤通路の数は、ここではリング面35の領域の開口59により明らかであるが、好ましくは交換ヘッド5の中のカッタプレート11の数に合わせられ、それによって各切刃を最適に冷却できることが明らかである。同時に特に良好なチップ搬送が保証されている。つまりここに図示した実施例では6つのカッタプレート11と6つの開口59とが図示されており、それらを通して冷却剤を6つの流出開口61に送ることができる。より多いまたはより少ないカッタプレートが設けられている場合、対応してより多いまたはより少ない冷却剤通路が設けられる。
【0030】
図4または図5を利用して締付装置19の本質的な部分を説明する。同じ部分は同じ符号を付けており、その限りにおいて上記各図の説明を参照されたい。
【0031】
図3は引張ボルト41の側面図である。引張ボルト41の中心軸は、ここに切削工具1として記載した工具システムの中心軸25と合致する。引張ボルト41の左側に2つの互いに対向する傾斜面を有する突起部43が見える。すなわち右方へ向く第1の締付面45と左方へ向く押圧面63である。この両方の平面は中心軸25との間に45゜より大きい鋭角を成す。この両方の平面の角度は等しい大きさにしてはならない。押圧面63の機能について以下より詳しく説明する。
【0032】
右方へ第1の締付面45に続き円筒形の領域があり、その外径は突起部43の外径よりも小さい。第1の締付面45は最外部の外方にある突起部43の点と円筒形の領域65までの間に延在する。
【0033】
突起部43に対する間隔で、突起部43から見て、円筒形の領域65の向こう側に、中断することもできる外方へ突出するリング肩部によって形成される係止面67がある。
【0034】
右方へ続き、つまり突起部43に対してより大きい間隔で、ここで交換ヘッド5の突部33内の雌ねじと共働し、かつ突部33内の引張ボルト41の係留部に利用される雄ねじを有するねじ山領域69がある。
【0035】
図4は拡大した偏心要素21の斜視図である。ここに中空部49と外面47が識別可能であり、それらを介して中空部49にアクセスすることができる。外面47から円形の穴69が中空部49の中に通じ、その内径は突起部43の外径より多少大きく、その結果、突起部43は外面47と穴69とによって中空部49の中に挿入可能である。穴69に、偏心要素21の周方向に延びる貫通スリット71の外面47が続き、その偏心要素21の回転軸73の方向に測定した幅は引張ボルト41の円筒形の領域65の直径よりも多少大きい。
【0036】
偏心要素21の表面52の中に、操作面53を有する凹部51が設けられる。弾性領域57は、安全要素23の係合が可能であり、これは図2を利用してすでに説明した。
【0037】
弾性領域57によって、係止面75、77が形成されており、これらは係止面75が一定の回転運動後に安全要素23に係止するために、偏心要素21の、回転軸73周りの回転運動を制限する。つまり偏心要素21に対して、係止面から係止面へ約120゜に制限された回動可能性が生じる。それによってインタフェースの領域に急速な締付が生じる。
【0038】
スリット71を通して中空部49の中を覗き見ることができ、ここに第2の締付面78が見える。図4に、偏心要素21内の外面47と中空部49との間の壁79の厚さが上方から下方へ増加し、その結果、回転軸73に対する第2の締付面78の間隔は上方から下方へ減少する。
【0039】
図4記載の図示は、中空部49の内面のもう1つの領域、すなわち押圧面81も示す。
【0040】
図5は、偏心要素21の断面図を示しており、切断面は回転軸73に対して垂直に延び、スリット71の領域にある。
【0041】
この断面図は、穴81を介してアクセスできる偏心要素21の内部の中空部49を示す。この断面図に第2の締付面78が識別可能である。外面47と中空部49との間の壁79は、領域Aで領域Bよりも薄く、その結果、領域A(第4四分円)の上方での第2の締付面48の間隔は、領域B(第3四分円)での第2の締付面48の間隔よりも大きいことも明らかである。
【0042】
図5に、さらに引張ボルト41の円筒形の領域65と、さらに第1の締付面45と押圧面63とを有する突起部43の部分を記載する。
【0043】
突起部43の第1の締付面45は、偏心要素21の時計回りの回転運動時に、矢印83で示唆しているように、第1の締付面45が第2の締付面78によって回転軸43の近傍にますます近接するように、偏心要素21の第2の締付面78と共働する。それによって突起部43は回転軸73の方向に軸線方向に移動させられる。突起部43を介して、それによって引張力が引張ボルト41に作用し、その結果、図1および図2記載の実施例において切削工具1の交換ヘッドがホルダ3の方向へ引っ張られる。
【0044】
偏心要素21の反時計回りに向かう回転運動時に第2の締付面78が回転軸73に対して外方へ移動させられ、その結果、引張ボルト41上の引張力が低減される。最後に偏心要素21の押圧面81が引張ボルト41の押圧面63を押し、これを回転軸73から半径方向外方へ押し離し、その結果、この偏心要素21の機能位置で引張ボルト41と共に交換ヘッド5の突部33がホルダ3内の凹部31から押し出される。それによって突部33と凹部31の内壁との間の接続領域で、自己制止が無くなり、その結果、交換ヘッド5を難なくホルダ3から取り出すことができる。
【0045】
図6は、垂直平面図にホルダ3の部分と、組み込まれた締付装置19とを示す。明らかに識別できるように、穴55の中に挿入される偏心要素21が見える。表面52に設けられた、操作面53を有する凹部51も識別できる。安全要素23が載る弾性領域57も識別できる。偏心要素21の回転運動は、両方の制限面75、77によって制限される。
【0046】
安全要素23がねじ22を利用してホルダ3の基体の中に係留されていることも識別できる。
【0047】
図6記載の平面図は、締付装置19がホルダ3の周面17を通してアクセスできることを明らかに示す。
【0048】
図7は、工具システムの第2の部分要素のインタフェースの部分縦断面図を示す。ここで第1の部分要素、ホルダ3と、第2の部分要素、交換ヘッド5とを有する切削工具1として形成される工具システムの前部とが識別可能である。上記図面を利用して説明した部分は、上述の符号を付けている。従って、それらの詳しい説明は、ここでは省略する。
【0049】
図7に、偏心要素21をさらに断面図で表しており、その限りにおいて図5の説明を参照されたい。図7記載の図示において、交換ヘッド5は単にホルダ3の中に差し込まれており、引張ボルト41の突起部43は穴69を通して偏心要素21の中空部49の中に突出し、突起部43の押圧面63は中空部49の押圧面81に当接する。
【0050】
図7は、ホルダ3の基体の中にその中心軸27と一列に並ぶ穴87が設けられており、これは冷却−および潤滑剤管の部分である。この穴87に対して半径方向に、穴87が交差する穴部分89a、89bが延在する。この穴部分89a、89bからリング面37への通路91は、交換ヘッド5のリング面37内の開口93と一列に並ぶそこに設けた上記の開口59に通じる。この開口93の中に供給される冷却/潤滑剤は流出開口61から流出し、交換ヘッド5の各カッタプレート11にそれぞれ1つの流出開口61が割り当てられている。
【0051】
通路91の数は、それぞれ1つのカッタプレートに冷却/潤滑剤の流れを供給できるためのカッタプレート11の数に適合される。
【0052】
図8は、工具システムの両方の部分要素、ホルダ3および締付状態での切削工具1の交換ヘッド5を示す。同じ部分は同じ符号を付けており、その説明については上記を参照されたい。
【0053】
図7記載の図示に対する唯一の相違点は、偏心要素21が時計回りに回転することであり、突起部43の第1の締付面45は、引張ボルト41と共に交換ヘッド5が軸線方向に移動させられ、ホルダ3に引っ張られるように、偏心要素21の第2の締付面78と共働する。それによってホルダ3および交換ヘッド5のリング面35、37が大きい力で当接し、その結果、インタフェースの移行領域で密閉接続が構築され、冷却/潤滑剤を穴87、穴部分89a、89bおよび通路91を通して流出開口61へ誘導することができ、これは図8に矢印で示唆されている。
【0054】
開口59がホルダ3のリング面35内で交換ヘッド5のリング面37内の開口93と一列に並ぶことを保証するために、突部33には少なくとも1つの平面39が設けられており、これはホルダ3内の凹部31内の対応する平面と共働し、交換ヘッド5に対するホルダ3の一定の回転調整を保証する。
【0055】
図7および図8記載の図示から、再度、ホルダ3の中への突起部43の侵入深さが偏心要素21の位置とそれに属す締付面とに対して正確に調整されなければならないことが明らかになる。交換ヘッド5の突部33内の引張ボルト41の正確な位置決めは、係止部67によって引張ボルト41で保証される。
【0056】
図7および図8から、インタフェースの締付時に凹部31を取り囲むホルダ3の内壁が交換ヘッド5の円錐台形の突部33の侵入時に容易に拡大されることも明らかである。切削工具1の中心軸に対する凹部31および突部33の内壁の角度は、この場合上記のように自己制止が生じるように選択されている。それに対応して両方の締付面45、78の間の角度も、この場合も自己制止を保証し、かつ偏心要素21が意図せずに回転し、締付力が低下し、あるいは逆に増大することを防ぐために選択されている。
【0057】
図7および図8の図示は、インタフェースが非常にコンパクトに構成され、かつ小さい外径を有する工具システム用としても使用可能であることも示しており、突部33は、円錐台形としてではなく、円筒形等に形成して使用することもできる。
【0058】
また締付装置19は非常に簡単に構成され、かつそれによって障害も発生しにくいことも判明している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】組立状態でのホルダと交換ヘッドとを有する工具システムのインタフェースの第1の実施例である。
【図2】図1記載の工具システムの表面の展開図である。
【図3】図1および図2記載のインタフェースの締付装置の引張ボルトの側面図である。
【図4】締付装置の偏心要素の斜視図である。
【図5】図4に示した偏心要素の断面図である。
【図6】取付状態における偏心要素の平面図である。
【図7】差し込んだ非締付状態でのインタフェースの部分縦断面図である。
【図8】締付状態での図7に示したインタフェースである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部(31)を有するホルダ(3)と、前記凹部(31)に挿入可能な突部(33)を有し、前記ホルダ(3)への軸線方向の延長部に配設される交換ヘッド(5)と、前記ホルダ(3)に交換ヘッド(5)を装着させるための締付装置(19)とを具備する、工具システム、特に切削工具(1)の2つの部分要素間のインタフェースにおいて、
前記締付装置(19)は、引張ボルト(41)と、この引張ボルトを軸線方向に移動させる偏心要素(21)とを有し、この偏心要素(21)は、切削工具(1)の周面(17)を通して操作可能であることを特徴とする、インタフェース。
【請求項2】
前記引張ボルト(41)は、前記偏心要素(21)の中へ挿入可能であり、第1の締付面(45)を有する突起部(43)を有することを特徴とする、請求項1に記載のインタフェース。
【請求項3】
前記引張ボルト(41)は、切削工具(1)の中心軸(27)の方向へ延びている中心軸を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のインタフェース。
【請求項4】
前記第1の締付面(45)は、引張ボルト(41)の前記中心軸(27)との間に鋭角を成すことを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項5】
前記引張ボルト(41)は、工具ヘッド(5)の前記突部(33)に接続されるか、前記突部と一体に形成されていることを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項6】
前記引張ボルト(41)は、係止面(67)を有することを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項7】
前記偏心要素(21)は、第2の締付面(78)を有し、この偏心要素(21)の回転軸(73)に対する間隔が一定でないことを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項8】
前記突起部(43)と偏心要素(21)とは、押圧面(63、81)を有することを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項9】
前記偏心要素(21)の回転軸(73)は、前記切削工具(1)の中心軸(27)に対してほぼ垂直であることを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項10】
前記偏心要素(41)は、回転軸(73)との間に鋭角を成す第2の締付面(78)を形成する面を有する面の側からアクセス可能な中空部(49)を有することを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項11】
前記偏心要素(21)の押圧面(81)は、中空部(49)を規定する内面の部分であることを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項12】
前記偏心要素(21)は、自身の回転運動を制限する係止面(75、77)を有することを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項13】
前記偏心要素(21)は、少なくとも1つの前面(52)に操作面(53)を有することを特徴とする、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のインタフェース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部(31)を有するホルダ(3)と、前記凹部(31)に挿入可能な突部(33)を有し、前記ホルダ(3)への軸線方向の延長部に配設される交換ヘッド(5)と、前記ホルダ(3)にこの交換ヘッド(5)を装着させるための締付装置(19)とを具備する、工具システム、特に切削工具(1)の2つの部分要素間のインターフェースにおいて、
前記締付装置(19)は、引張ボルト(41)と、この引張ボルトを軸線方向に移動させる偏心要素(21)とを有し、この偏心要素(21)は、前記切削工具(1)の周面(17)を通して操作可能であり、また、前記引張ボルト(41)は、第1の締付面(45)を有し、前記偏心要素(21)の中へ挿入可能な、突起部(43)を有し、また、前記偏心要素(21)は、第2の締付面(78)を有し、この第2の締付面(78)と前記偏心要素(21)の回転軸(73)との間の間隔は一定ではなく、また、前記引張ボルト(41)の第1の締付面(45)は、凸状に形成され、前記偏心要素(21)の第2の締付面(78)は、凹状に形成されていることを特徴とするインタフェース。
【請求項2】
前記引張ボルト(41)は、切削工具(1)の中心軸(27)の方向へ延びている中心軸を有することを特徴とする、請求項1に記載のインタフェース。
【請求項3】
前記第1の締付面(45)は、引張ボルト(41)の前記中心軸(27)との間に鋭角を成すことを特徴とする、請求項1又は2に記載のインタフェース。
【請求項4】
前記引張ボルト(41)は、工具ヘッド(5)の前記突部(33)に接続されるか、前記突部と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項5】
前記引張ボルト(41)は、係止面(67)を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項6】
前記突起部(43)と偏心要素(21)とは、押圧面(63、81)を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項7】
前記偏心要素(21)の回転軸(73)は、前記切削工具(1)の中心軸(27)に対してほぼ垂直であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項8】
前記偏心要素(41)は、回転軸(73)との間に鋭角を成す第2の締付面(78)を形成する面を有する面の側からアクセス可能な中空部(49)を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項9】
前記偏心要素(21)の押圧面(81)は、中空部(49)を規定する内面の部分であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項10】
前記偏心要素(21)は、自身の回転運動を制限する係止面(75、77)を有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインタフェース。
【請求項11】
前記偏心要素(21)は、少なくとも1つの前面(52)に操作面(53)を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインタフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−527662(P2006−527662A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515805(P2006−515805)
【出願日】平成16年5月29日(2004.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005844
【国際公開番号】WO2004/113001
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(500002777)マパル・ファブリーク・フューア・プラズィシオンスベルクツォイゲ・ドクトル・クレス・カーゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】MAPAL Fabrik fuer Praezisionswerkzeuge Dr.Kress KG
【Fターム(参考)】