巻線機及び巻線方法
【課題】第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレートの先端を磁極の内周側にまで十分に進入させて、その磁極に線材を安定して整列巻きする。
【解決手段】本発明の巻線装置は、多極電機子1における磁極2の周囲を回動しながら線材3を繰り出して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、磁極2を多極電機子1の軸方向から挟むように配設されフライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に案内する一対のセンタフォーマ15,16と、磁極2を多極電機子1の周方向から挟むように配設されフライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に案内する一対のサイドプレート39とを備える。一対のサイドプレートは,多極電機子1の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜し,かつフライヤの回転軸に対する傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成される。
【解決手段】本発明の巻線装置は、多極電機子1における磁極2の周囲を回動しながら線材3を繰り出して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、磁極2を多極電機子1の軸方向から挟むように配設されフライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に案内する一対のセンタフォーマ15,16と、磁極2を多極電機子1の周方向から挟むように配設されフライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に案内する一対のサイドプレート39とを備える。一対のサイドプレートは,多極電機子1の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜し,かつフライヤの回転軸に対する傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として多極電機子にコイル形成用の線材を巻き付けるための巻線機及び巻線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多極電機子の磁極にコイル形成用の線材を巻きつけるために、磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出してその磁極に対して線材を巻線するフライヤを備えたフライヤ式の巻線機が拡く使用されている。そして、モータ等、電機子の限られた大きさで性能をより良くするためには、多極電機子の限られた巻線スペースにいかに多くの巻線ができるかということが巻線機に要求される。それには、磁極に対して隣り合う線材同士を隙間なく整列して巻く、いわゆる整列巻きが有効である。このために、フライヤ式の巻線機において、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設された一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設された互いに平行な一対のサイドプレートとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
即ち、このフライヤ式の巻線機では、センタフォーマが多極電機子の巻線すべき磁極を多極電機子の軸方向から挟み込むことにより、フライヤから繰り出された線材をセンタフォーマの案内面に滑動させ、その先端から巻線すべき磁極の所望の位置に案内する。一方、サイドプレートは多極電機子の巻線すべき磁極を多極電機子の周方向から挟み込むことにより、フライヤから繰り出された線材を多極電機子の内周側に臨む先端から巻線すべき磁極の所望の位置に案内する。そして、回動しながら線材を繰り出すフライヤをこのセンタフォーマ及びサイドプレートとともにその回転軸方向に移動することにより整列巻きが成されるとしている。
【0004】
ここで、磁極に線材が複数層に亘って巻線される場合を具体的に説明すると、先ず、センタフォーマとサイドプレートのそれぞれの先端を多極電機子の内周側にまで進入させ、その状態からフライヤを回動させて線材を繰り出し、それとともにそのフライヤをセンタフォーマ及びサイドプレートとともに多極電機子の外側に向かって移動させることにより第一層目の巻線を行う。そして、線材が磁極における外周側鍔部と接すると第一層目の巻線が終了することになり、その後、第二層目はセンタフォーマ及びサイドプレートが第一層目の巻線とは反対方向に移動することで巻線される。センタフォーマ及びサイドプレートは線材を案内しつつ磁極の外周側鍔部から内周側に向かって離れていくことにより、第一層目のコイルの上に第二層目が巻線されるものであり、センタフォーマ及びサイドプレートのそれぞれの先端が磁極内周側まで移動すると、その移動方向を逆にすることにより第三層目が巻線され、必要に応じ同様に第四層目等の複層目も巻線されるようになってる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−34211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図22に示すように、磁極201の外周側には巻線の巻幅を規定する鍔部201aが形成されるので、互いに平行な一対のサイドプレート202,202は外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟み込むことになり、そのサイドプレート202は隣接する磁極201に接近する不具合がある。即ち、磁極201の数が4〜6個のような比較的少ない多極電機子200である場合には問題とならないが、磁極201の数が12個や18個又はそれを越えるような多極電機子200である場合には、巻線が行われる一の磁極201とそれに隣接する磁極201との成す角度が小さくなって互いが接近することになる。このため、巻線が行われる磁極201に隣接する磁極201に既に巻線203が成されている場合には、外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟む互いに平行な一対のサイドプレート202,202が、フライヤの回転軸方向に移動して、実線矢印で示すように多極電機子200の内周側に向かうと、線材を磁極201に案内するサイドプレート202の先端が隣接する磁極201の既に成された巻線203に接触し、巻線しようとする磁極201の内周側にまで十分にそのサイドプレート202を進入させることができなくなる。すると、線材のサイドプレート202による磁極201への案内は磁極201の内周側において行われることはなく、その内周側において線材を本来巻線したい部分へ案内することができなくなるおそれがあった。
【0007】
この点を解消するために、図23に示すように、外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟む一対のサイドプレート202,202を多極電機子200の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにして、フライヤの回転軸に対して傾斜させ、その傾斜角度に沿って、そのサイドプレート202,202を実線及び破線矢印で示すように、フライヤの回転軸に対して斜めに移動させることが考えられる。このように一対のサイドプレート202,202をフライヤの回転軸に対して傾斜させることにより、多極電機子200の内周側に向かう先端を隣接する磁極201の既に成された巻線203に接触させることなく、第一層目の巻線において一対のサイドプレート202,202を巻線しようとする磁極201の内周側にまで進入させることが可能になる。そして、その第一層目の巻線時には、巻線しようとする磁極の内周側にまでサイドプレート202が進入するので、線材を案内するサイドプレート202の先端はその線材が実際に巻線される磁極202に近づくことになるので、線材を本来巻線したい部分へ確実に案内することが期待できる。
【0008】
しかし、サイドプレート202をフライヤの回転軸に対して傾斜させると、その傾斜角度に沿って、そのサイドプレート202をフライヤの回転軸に対して斜めに移動させることが必要となる。すると、磁極201に巻線された第一層目の巻線の上に更に第二層目を巻線しようとすると、サイドプレート202の先端がその第一層目に接触して、第二層目の巻線時には磁極201の内周側にまでサイドプレート202を進入させることができない。そして、更に、第三層目を巻線しようとすると、サイドプレート202の先端は更にその第二層目に接触して、磁極201の内周側に進入するサイドプレート202の進入距離が更に短くなる。このように、上層の巻線に従ってサイドプレート202の進入距離が順次短くなり、上層の巻線における内周側において線材を本来巻線したい部分へ案内することができなくなるという未だ解決すべき課題が残存していた。
【0009】
本発明の目的は、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレートの先端を磁極の内周側にまで十分に進入させて、その磁極に線材を安定して整列巻きし得る巻線装置及び巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多極電機子における磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出して磁極に対して線材を巻線するフライヤと、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のサイドプレートとを備えた巻線装置の改良である。
【0011】
その特徴ある構成は、一対のサイドプレートを、多極電機子の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤの回転軸に対して傾斜させ,かつフライヤの回転軸に対する傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成されたところにある。
【0012】
この場合、一対のサイドプレートの対向面に磁極の外周側鍔部が進入可能な凹溝がフライヤの回転軸方向に伸びてそれぞれ形成されることが好ましく、巻線される磁極に対向するサイドプレート支持部材がフライヤの回転軸方向に移動可能に設けられ、そのサイドプレート支持部材に一対のサイドプレートがそれぞれ枢支されることが好ましい。
【0013】
そして、サイドプレート支持部材が磁極から遠ざかる時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を拡大させ、サイドプレート支持部材が磁極に接近する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させるプレート角度変更手段を備えることもできる。
【0014】
このプレート角度変更手段は、磁極の外端面に当接する押え部材と、一対のサイドプレートが押え部材を挟持するように一対のサイドプレートを付勢するサイドプレート付勢手段とを有することが好ましい。また、プレート角度変更手段は、サイドプレート支持部材の磁極側にサイドプレート支持部材と所定の間隔を空けて重なり合いサイドプレート支持部材と別に独立してフライヤの回転軸方向に移動可能な板状部材と、サイドプレート支持部材と板状部材の間隔を拡大させるように付勢する板状部材付勢手段とを更に備えることができ、この場合、板状部材に押え部材が設けられる。
【0015】
本発明の巻線方法は、多極電機子における磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出して磁極に対して線材を巻線するフライヤと、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のサイドプレートとを備えた巻線装置を用いて多極電機子の各磁極に線材を巻線する巻線方法である。
【0016】
その特徴ある点は、一対のサイドプレートを多極電機子の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤの回転軸に対して傾斜させ、巻線時にフライヤの回転軸に対する一対のサイドプレートの傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更させるところにある。
【0017】
具体的には、一対のサイドプレートが多極電機子の内周側から外周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を拡大させ、一対のサイドプレートが多極電機子の外周側から内周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させる巻線方法である。
【0018】
磁極に線材を複数層巻線する巻線方法である場合には、全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマを磁極の全巻幅に亘って移動させ、少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに磁極の全巻幅に亘って移動させ、第二層目以降のいずれかの層の巻線時に磁極の全巻幅の内の少なくとも一部で一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることができる。
【0019】
一方、磁極に線材を複数層巻線する巻線方法である場合には、全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマを磁極の全巻幅に亘って移動させ、少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに磁極の全巻幅に亘って移動させ、第二層目以降の巻線であって、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径未満になる時に、磁極の全巻幅の内の磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越える少なくとも一部において、一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の巻線機及び巻線方法では、一対のサイドプレートをフライヤの回転軸に対して傾斜させたので、一対のサイドプレートが磁極における外周側鍔部を挟んだとしても、フライヤの回転軸に対して一対のサイドプレートを斜めに移動させることにより、多極電機子の内周側に向かうサイドプレートの先端を、隣接する磁極の既に成された巻線に接触させることなく、巻線しようとする磁極の内周側にまで進入させることができる。このため、その一対のサイドプレートの先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマとともにその一対のサイドプレートを磁極の全巻幅に亘って移動させることにより、その一対のセンタフォーマと一対のサイドプレートの双方により線材を磁極に案内することができ、これにより安定した整列巻きが可能となる。
【0021】
そして、その傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む一対のサイドプレートにおける先端間隔を変更可能にしたので、磁極に巻線された第一層目以上の下層巻線の上に更に上層の巻線しようとする場合であっても、一対のサイドプレートにおける先端間隔を拡げることにより、その下層巻線を挟むんだ状態で磁極の内周側にまで一対のサイドプレートを進入させることができる。よって、本発明の巻線機及び巻線方法では、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレートの先端を磁極の内周側にまで十分に進入させることができ、そのサイドプレートを用いて線材を磁極に案内することにより安定した整列巻きが可能となる。
【0022】
この場合、一対のサイドプレートが多極電機子の外周側から内周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させると、多極電機子の内周側に向かう一対のサイドプレートのそれぞれの先端は円弧状を描いて互いの間隔を狭めることになる。このため、傾斜角度を変化させることなくサイドプレートを直線的に移動させる場合に比較して、下層の巻線にそのサイドプレートの先端を接触させることなく磁極の内周側にまで進入する距離を増加させることができる。
【0023】
一方、多極電機子では磁極が放射状に設けられるため、隣接する磁極間の隙間は内周側において狭まる。このため、第一層目以上の巻線が成されると、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が内周側において線材の線径未満となる場合が生じる。すると、内周側におけるその隙間への巻線は不能になる。けれども、外周側にあっては、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越えていれば、その外周側において更なる巻線が可能である。よって、第二層目以降の巻線時に、磁極の全巻幅の内の一部において、具体的には、磁極の全巻幅の内の磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越える電機子の外周側における一部において、一対のサイドプレートの先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることにより、その一部の範囲において一対のセンタフォーマと一対のサイドプレートの双方により線材を磁極に案内し、より安定した整列巻きが可能となる。
【0024】
そして、一対のサイドプレートの対向面に磁極の外周側鍔部が進入可能な凹溝をフライヤの回転軸方向に伸びてそれぞれ形成すれば、サイドプレートの強度を確保しつつ磁極と磁極の間に進入するサイドプレートの厚さを減少させて、そのサイドプレートと隣接する磁極に成された巻線材との距離を拡大し、そのサイドプレートにより線材の案内が可能な全巻幅の内の一部の範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明実施形態の巻線機を示す側面図である。
【図2】押え部材を磁極の外端面に当接させた図1のA部の拡大側面図である。
【図3】押え部材を磁極の外端面に当接させた図1のA部の拡大上面図である。
【図4】図1のA部における正面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】一対のサイドプレートが押え部材とともに磁極を挟持する斜視図である。
【図7】一対のサイドプレートの先端が狭められた状態を示す上面図である。
【図8】一対のサイドプレートが先端が拡げられた状態を示す上面図である。
【図9】その一対のサイドプレートが挟持して巻線を開始する磁極の水平断面図である。
【図10】その一対のサイドプレートが移動して磁極に第一層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図11】その一対のサイドプレートが逆方向に移動して磁極に第二層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図12】その一対のサイドプレートが更に逆方向に移動して磁極に第三層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図13】一対のセンタフォーマが挟持して巻線を開始する磁極の鉛直断面図である。
【図14】その一対のセンタフォーマの先細部が鍔部に当接する状態を示す図13に対応する断面図である。
【図15】一対のセンタフォーマの互いの間隔を拡げて第一層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図16】第二層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図17】第三層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図18】一対のサイドプレートの動きを示す上面図である。
【図19】サイドプレートが全巻幅の内の一部に残存する状態を示す図9に対応する断面図である。
【図20】サイドプレートを巻幅の内の一部に残存させた状態で一対のセンタフォーマを更に前進させた状態を示す図13に対応する断面図である。
【図21】磁極に四層の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図22】従来の平行な一対のサイドプレートを示す図9に対応する断面図である。
【図23】フライヤの回転軸に対してサイドプレートを傾斜させた図22に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1に本発明の巻線装置100を示す。この巻線装置100は、発電機や電動機を構成する多極電機子1(ステーター)の複数の磁極2の周囲に線材3を多層に巻線する装置である。そして、この巻線装置100は、線材3を繰り出しながら磁極2の周囲を回動するフライヤ4を用いて巻線を行うフライヤ式の巻線装置である。この実施の形態における多極電機子1は、環状部1aと、この環状部1aから径方向外側に向かって放射状に突出した18個の磁極2とを備えるものとする(図3に5個の磁極を示す)。図3に示すように、この多極電機子1における各磁極2の間にはスロット1bが開口してなる。磁極2の断面は4角形であり、磁極2の外周面は平滑状の4平面からなる(図6)。そして、各磁極2の先端には鍔部2aが形成される。
【0028】
図1に戻って、この巻線装置100は、各部材が配置される基台5上に、多極電機子1の磁極2に対して線材3を自動で巻線する巻線機構6と、多極電機子1を回転させることによって磁極2を順次に巻線位置に送るインデックス機構7とを備える。図1におけるインデックス機構7は多極電機子1をその軸方向を鉛直にして支持するものであり、巻線機構6に対向する磁極2に巻線が行われるものとする。各図にあっては、互いに直交するX、Y及びZの3軸を設定し、X軸が多極電機子1の径方向であって巻線する磁極2と巻線機構6とを連通する略水平前後方向、Y軸がその巻線する磁極2における多極電機子1の周方向である略水平横方向、Z軸が多極電機子1の軸方向である鉛直方向に延びるものとし、この巻線装置100の構成について説明する。
【0029】
図1に示すように、インデックス機構7は、インデックスモータ9と、インデックスモータ9の出力軸9aに連結され多極電機子1の回転軸と同軸上に延在する支持軸10と、支持軸10に連結され多極電機子1を水平に載置するインデックス台11とを備える。多極電機子1は、環状部1aの貫通孔1cにインデックス台11の軸11aが挿通した状態にてインデックス台11上に載置される。これと共に、多極電機子1は、後述する電機子押え部材96にてインデックス台11とは反対方向(図1では上方)からインデックス台11に対して押圧される。これにより、多極電機子1は、インデックス台11上に支持可能に構成される。
【0030】
このインデックス機構7では、インデックスモータ9が駆動することによって、インデックス台11に支持された多極電機子1はインデックス台11の軸11aを回転軸として回転するように構成される。多極電機子1は、インデックス台11に支持された状態にて磁極2への巻線が行われ、その磁極2への巻線作業終了後には、インデックスモータ9の駆動によって回転し、次に巻線される磁極2が巻線位置に送られるようになっている。このように、インデックス機構7は、多極電機子1の磁極2を巻線機構6に対向する巻線位置に順次に送り、巻線機構6は巻線位置に送られた磁極2に対して巻線を行うように構成される。
【0031】
巻線機構6は、線材3を繰り出すと共に磁極2の周囲を回動して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、フライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に対して案内する一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39と、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39をX軸方向に移動させるトラバース機構18と、トラバース機構18と別にセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39を個別に移動させる移動機構17とを備える。
【0032】
基台5上には移動台21がX軸方向に移動可能に設けられ、この移動台21に第一ヘッド22が立設される。第一ヘッド22は、軸受23を介して回転自在である円筒形状の第一スピンドル軸24を支持すると共に、第一スピンドル軸24の内周に軸受25を介して回転不能の第一中心体26を支持している(第一中心体26を回転不能とする構造については後述する)。第一スピンドル軸24の多極電機子1に臨む先端には環状のフランジ部24aが一体に設けられ、このフランジ部24aに多極電機子1に向けて延在するフライヤ4が取付けられる。フライヤ4は、第一スピンドル軸24の回転軸から偏心した位置に取付けられる。このフライヤ4には、線材3の案内用のローラ4aが設けられ、その先端には線材3を繰り出すノズル27が設けられる。
【0033】
第一スピンドル軸24の先端近傍には、プーリ28が取付けられる。また、移動台21にはフライヤ回転モータ29が設けられ、フライヤ回転モータ29の出力軸にはプーリ30が取付けられる。プーリ28とプーリ30とはベルト31を介して連結される。これにより、フライヤ回転モータ29が駆動すると、第一スピンドル軸24が回転し、フライヤ4が第一スピンドル軸24の回転軸を中心に回動するように構成される。なお、フライヤ4が取付けられた第一スピンドル軸24には、そのフライヤ4の近傍であって回転軸に平行に線材3が挿通する貫通孔24bが形成される。
【0034】
第一中心体26には第一スピンドル軸24の回転軸と同軸上に貫通孔26aが形成される。その貫通孔26aには円筒体43が圧入され、その円筒体43には第一ロッド44が挿通される。第一ロッド44は円筒体43にスプライン係合してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるけれども回転不能に構成され(第一ロッド44の移動機構については後述する)、これにより第一ロッド44は、第一中心体26に対して相対移動可能に構成される。そして第一ロッド44の端部には、先端がテーパ形状45a(図2)に形成された第一カム45が連結される。この第一ロッド44は中空の筒状に形成され、その内部には第二ロッド47が摺動自在に挿入される。この第二ロッド47は第一ロッド44にスプライン係合してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるけれども回転不能に構成される。そして、第一中心体26の先端面には、センタフォーマ15,16を支持するセンタフォーマ支持板33が取付けられる。
【0035】
図2〜図5に示すように、センタフォーマ支持板33の多極電機子1に臨む前面には、多極電機子1の回転軸方向(Z軸方向)に延在したガイドレール34が設けられ、ガイドレール34にはガイドレール34に沿って移動可能な一対の鉛直移動板35a,35bが係合している。一対の鉛直移動板35a,35bは、双方に連結された弾性部材としてのスプリング36にて互いに近づく方向に付勢されている。そして、一対の鉛直移動板35a,35bのそれぞれには、磁極2をZ軸方向から挟持するセンタフォーマ15,16が、フライヤ4の回転軸を中心として互いに対称な位置に取付けられる。
【0036】
図2に示すように、上方における一方のセンタフォーマ15は、鉛直移動板35aから多極電機子1に向かうように前方に伸びた後に下方に向かう略L字状に形成され、その上面から前面に至る外面が曲面状に形成される。また、図4に示すように、この一方のセンタフォーマ15の先端部は下方に向かって先細りに形成され、その下方に向かう先細部15aの幅Hが巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しく形成される。そして、フライヤ4から繰り出された線材3は、このセンタフォーマ15の曲面に沿って滑り落ちて先端における先細部15aから磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0037】
一方、他方のセンタフォーマ16も、図2に示すように、鉛直移動板35bから前方に伸びた後に上方に向かう略L字状に形成され、その下面から前面に至る外面が曲面状に形成される。また、図4に示すように、この他方のセンタフォーマ16の先端部も上方に向かって先細りに形成され、その上方に向かう先細部16aの幅Hも巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しく形成される。そして、フライヤ4から繰り出された線材3は、このセンタフォーマ16の曲面に沿って滑り落ちて先端における先細部16aから磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0038】
図5に示すように、このようなセンタフォーマ15,16が取付けられた一対の鉛直移動板35a,35bは、互いに対向する部分の中央に開口部が形成され、それらの開口部が上下から互いに対向するようにガイドレール34に係合される。そして、それらの対向する部分であってそのY軸方向の両内側にはローラ35cがそれぞれ設けられる。そして、第一ロッド44先端の第一カム45は、前進することによってセンタフォーマ支持板33の開口部33a(図2)を挿通してそのテーパ形状45aがローラ35cに当接するように配置される。図2に示すように、第一カム45のテーパ形状45aは、多極電機子1に向かって先細りに形成され、ローラ35cに当接したテーパ形状45aが多極電機子1に向かって前進することによって、一対の鉛直移動板35a,35bは、スプリング36の付勢力に抗して押し拡げられてZ軸方向に互いに離れる方向、つまり鉛直方向に移動するように構成される。
【0039】
このように、第一カム45を前進させることによって一対のセンタフォーマ15,16は互いに離れる方向に移動し、第一カム45を後退させることによって一対のセンタフォーマ15,16はスプリング36の付勢力によって近づく方向に移動するように構成される。なお、鉛直移動板35a,35b、スプリング36、及び第一カム45が、一対のセンタフォーマ15,16を多極電機子1の回転軸方向に互いに離接するように移動させる第一の移動機構41に該当する。
【0040】
図2〜図4に示すように、センタフォーマ支持板33には、そのY軸方向の両側に電機子1に向かう側壁32,32がそれぞれ立設され、その側壁32,32の互いの対向面にはX軸方向に伸びるレール32a,32aが設けられる。それらのレール32a,32aにはスライダ32b,32bがそれぞれ移動可能に設けられ、これらのスライダ32b,32bには、取付部材32cがそれぞれ設けられる。そして、Y軸方向の両側における側壁32,32のそれぞれの取付部材32c,32cにサイドプレート支持部材37がセンタフォーマ支持板33と平行になるように架け渡されて固定される。
【0041】
図2及び図3に示すように、第二ロッド47の電機子1側端部には固定部材47aが取付けられ、この固定部材47aがサイドプレート支持部材37に固定される。このようにして、サイドプレート支持部材37には固定部材47aを介して第二ロッド47の電機子1側端部が固定され、その第二ロッド47の移動によりサイドプレート支持部材37は、センタフォーマ支持板33と独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能に構成される。そして、このサイドプレート支持部材37に、磁極2を多極電機子1の周方向から挟む一対のサイドプレート39,39が、フライヤ4の回転軸を中心として互いに対称な位置に配設される。
【0042】
一対のサイドプレート39,39は対象構造であり、その一方を代表してその側面視を説明すると、図2に示すように、サイドプレート39の側面視における外縁は、先端39bが鉛直方向に伸びて直線状を成しその上下方向になだらかな円弧状を成すように形成される。直線を成す先端39bは磁極2の厚さD(図6)より長くなるように形成され、その上下方向における円弧状部39cは一対のセンタフォーマ15,16におけるそれぞれの先細部15a,16aをY軸方向から挟むように形成される。そして、このサイドプレート39の外面及び周囲はその表面が研磨されて仕上げられ、フライヤ4から繰り出されてセンタフォーマ16の曲面に沿って滑り落ちた線材3が、このサイドプレート39外面及び周囲に沿って滑り落ちて磁極2に案内されるように構成される。
【0043】
図2〜図6に示すように、このようなサイドプレート39は、磁極2を多極電機子1の周方向から挟む板状のものであって、その全長を延長させる延長部材38を介してサイドプレート支持部材37に枢支される。サイドプレート支持部材37はX軸方向からみた前面視においてH字状を成し、そのY軸方向の両端部が取付部材32c,32cにそれぞれ取付けられる。延長部材38には、Y軸方向からみた側面視において、センタフォーマ支持板33に臨む後端に、サイドプレート支持部材37の中央部分37aが進入する切り欠き38aが形成される。サイドプレート39は、その後端39dが延長部材38の先端に取付けられてその全長が延長される。サイドプレート支持部材37の中央部分37aが切り欠き38aに進入した状態で、Z軸方向に伸びる枢支ピン38bにより、その延長部材38の略中央部がサイドプレート支持部材37に枢支される(図2,図3,図6)。これにより一対のサイドプレート39,39は、枢支ピン38bを中心として回転可能に設けられる。
【0044】
一対のサイドプレート39,39は、図3に示す上面視において、磁極2に臨む先端が多極電機子1の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜して設けられる。そして、フライヤ4の回転軸に対するサイドプレート39の傾斜角度を変更して多極電機子1の内周側に臨む先端間隔を変更させるプレート角度変更手段42が設けられる。
【0045】
図3及び図6に示すように、この実施の形態におけるプレート角度変更手段42は、サイドプレート支持部材37の磁極2側にサイドプレート支持部材37と所定の間隔を空けて重なり合う板状部材48と、その板状部材48に支柱49aを介して取付けられた押え部材49と、その押え部材49を磁極2の外端面に当接させるように板状部材48を付勢する押え部材付勢手段40aと、一対のサイドプレート39,39がその押え部材49を挟むように、その一対のサイドプレート39,39を付勢するサイドプレート付勢手段40bとを備える。
【0046】
サイドプレート支持部材37にはフライヤ4の回転軸に平行な4本のスライドピン48aが一対のサイドプレート39,39を包囲するようにその四隅に挿通され、その4本のスライドピン48aの磁極2側端部が板状部材48にネジ止めされる。板状部材48には一対のサイドプレート39,39が別々に遊挿される比較的大きな一対の孔48b,48bが形成され、これにより板状部材48はサイドプレート支持部材37と別に独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能に構成される。サイドプレート支持部材37と板状部材48の間には、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させるように付勢する押え部材付勢手段であるコイルスプリング40aが介装される。そして、サイドプレート支持部材37を通過した4本のスライドピン48aの他端には、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔が所定値以上に拡大することを禁止するストッパ部材48c(図3)が設けられる。
【0047】
押え部材49は、板状部材48の多極電機子1に臨むに前面であって、フライヤ4の回転軸上に、支柱49aを介して取付けられる。図6に示すように、押え部材49は、磁極2における鍔部2aの周方向における幅と略同一の幅に形成される。板状部材48を電機子1側に移動させようとする押え部材付勢手段であるコイルスプリング40aは、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させようとする付勢力により、フライヤ4の回転軸上にあって巻線の対象となる磁極2の外端面に押え部材49を当接させるように構成される。そして、一対のサイドプレート39,39は、巻線の対象である磁極2を挟むものであるので、この一対のサイドプレート39,39は、その磁極2に当接する押え部材49をその幅方向であるY軸方向から挟むように構成される。
【0048】
一方、サイドプレート付勢手段40bは、サイドプレート支持部材37に枢支された延長部材38の枢支点である枢支ピン38bよりセンタフォーマ支持板33側の端部の間に圧縮状態で介装されたコイルスプリング40bである。このコイルスプリング40bの伸長しようとする力によって、延長部材38の先端側における間隔は狭められ、この先端に取付けられた一対のサイドプレート39,39は互いに近づくように付勢される。このため、このコイルスプリング40bにより、一対のサイドプレート39,39は押え部材49を磁極2の幅方向から挟持するように構成される。ここで、一対のサイドプレート39,39は、先端に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜して設けられるので、そのサイドプレート39,39が押え部材49を挟持する位置が異なると、一対のサイドプレート39,39は枢支点である枢支ピン38bを中心としてそれぞれが回転し、その先端39b,39bにおける間隔は変更されることになる。
【0049】
ここで、実際の巻線時に押え部材49は磁極2に当接して移動しないので、一対のサイドプレート39,39の押え部材49に対する位置は、その押え部材49に対するサイドプレート支持部材37の位置により定まる。即ち、図8に示すように、スプリング40aの付勢力により板状部材48からサイドプレート支持部材37が遠ざかって、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにより押え部材49を挟持するようになると、それらの先端39b,39bにおける間隔は拡大するので、枢支ピン38bを中心として一対のサイドプレート39,39は実線矢印で示すように回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は減少する(図8では、図7における角度α2が減少してα1になる場合を示す)。逆に、スプリング40aの付勢力に抗して板状部材48にサイドプレート支持部材37を接近させると、図7に示すように、一対のサイドプレート39,39の延長部材38側において押え部材49を挟持するようになるので、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにおける間隔は減少し、枢支ピン38bを中心として一対のサイドプレート39,39は実線矢印で示すように回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度α2は増加することになる(図7では、図8における角度α1が増加してα2になる場合を示す)。
【0050】
従って、このようなサイドプレート支持部材37を含むプレート角度変更手段42は、押え部材49が磁極2に当接して移動しない実際の巻線時において、サイドプレート支持部材37が磁極2から遠ざかる時に、図8に示すように一対のサイドプレート39,39のフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレート39,39の先端間隔を拡大させ、サイドプレート支持部材37が磁極2に接近する時に、図7に示すように一対のサイドプレート39,39のフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレート39,39の先端間隔を減少させるようなものである。
【0051】
図6に示すように、磁極2を周方向、即ちY軸方向から挟持する一対のサイドプレート39,39には、その対向面に磁極2の外周側鍔部2aが進入可能な凹溝39aがフライヤ4の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成される。この凹溝39aのZ軸方向の幅Mは鍔部2aのZ軸方向の寸法Lより大きくしてその鍔部2aが進入可能な大きさとされる。また、この凹溝39aは、サイドプレート39の先端39bから始まって、X軸方向の寸法Nは、図9に示すように、その凹溝39aに鍔部2aが進入した状態でサイドプレートの先端39bが環状部1aに近接可能な長さに形成される。
【0052】
一方、図2及び図4に示すように、一対のセンタフォーマ15,16には、磁極2を幅方向から挟持する一対のサイドプレート39,39の両側における円弧状部39cを鉛直方向から覆う、即ち図2における一対のサイドプレート39,39の上縁及び下縁を多極電機子1の回転軸方向である鉛直方向から覆う覆い部15b,16bがそれぞれ形成される。
【0053】
図1に戻って、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39を多極電機子1の径方向であるX軸方向に移動させるトラバース機構18は、基台5に設けられたトラバースモータ50と、トラバースモータ50の出力軸に連結されフライヤ4の回転軸方向に延在するボールねじ51と、ボールねじ51が螺合する移動体52aと、基台5上にボールねじ51と平行に配置され移動体52aを案内するガイドレール53と、そのガイドレール53に案内される移動体52bとを備える。そして、それらの移動体52a,52bに移動台21が取付けられる。
【0054】
このトラバース機構18では、トラバースモータ50が駆動すると、移動体52a,52bはガイドレール53に案内され、第一ヘッド22を載置する移動台21はフライヤ4の回転軸方向に移動するように構成される。このように、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39をフライヤ4の回転軸方向に移動させることができる。このトラバース機構18は、磁極2への線材3の巻線中、磁極2の周囲に線材3を一周巻線する毎に線材3をX軸方向へ線材3の線径分だけ移動させるために用いられる。
【0055】
一方、センタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39をトラバース機構18と別に個別に移動させる移動機構17は、第一ロッド44を軸方向に移動させることによって一対のセンタフォーマ15,16を鉛直方向に移動させる第一ロッド移動機構55と、第二ロッド47を軸方向に移動させることによってサイドプレート39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を変更する第二ロッド移動機構56からなる。この第一ロッド移動機構55及び第二ロッド移動機構56を備える移動機構17は、移動台21とともに移動する第一ヘッド22の後方に設けられたフレーム57に支持される。
【0056】
フレーム57には、フライヤ4の回転軸と平行なガイド軸58が上方にその中心軸を中心に回転可能に架設される。第一ヘッド22に支持された第一スピンドル軸24の第一ヘッド22より後方に存在する後端にはプーリ59aが取付けられ、ガイド軸58には別のプーリ59bがガイド軸58に対して回転不能に取付けられる。そして、プーリ59aとプーリ59bとはベルト59cを介して連結され、第一スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するように構成される。
【0057】
第一ロッド移動機構55は第一ヘッド22と略平行な第二ヘッド60を有し、ガイド軸58はその第二ヘッド60に挿通される。第二ヘッド60はガイド軸58に支持されると共に、そのガイド軸58に沿って移動可能に構成される。第二ヘッド60は、軸受61を介して回転自在である円筒形状の第二スピンドル軸62を支持すると共に、第二スピンドル軸62の内周に軸受63を介して回転不能である第二中心体64を支持している(第二中心体64を回転不能とする構造については後述する)。
【0058】
第二スピンドル軸62の後端には、プーリ65が取付けられる。また、第二ヘッド60のガイド軸58が挿通された部分には、その第二ヘッド60に対して回転可能であってかつ軸方向に移動不能にプーリ67が取付けられる。このプーリ67はガイド軸58に対しては回転不能であってかつ軸方向に移動可能に構成される。そして、プーリ65とプーリ67とはベルト68を介して連結される。これにより、ガイド軸58が回転すると、第二スピンドル軸62も回転するように構成される。
【0059】
第二スピンドル軸62は、回転軸が第一スピンドル軸24の回転軸と偏心して設けられる。そして、第一スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するので、このガイド軸58の回転により第一スピンドル軸24の回転に同期して第二スピンドル軸62も回転するように構成される。なお、第二スピンドル軸62には、線材3が挿通する貫通孔62aが形成される。また、第二中心体64には、第一中心体26の貫通孔26aと同軸上に貫通孔64aが形成され、貫通孔64aには第一ロッド44の後端が軸方向に移動不能に固定される。
【0060】
フレーム57に覆われる移動台21にはフォーマ鉛直移動モータ71が固定され、フォーマ鉛直移動モータ71の出力軸にはガイド軸58に平行なボールねじ72が連結される。そして、このボールねじ72は、第二ヘッド60の下部に螺合している。これにより、フォーマ鉛直移動モータ71が駆動すると、第二ヘッド60はガイド軸58に沿って移動し、第二中心体64に固定された第一ロッド44を軸方向に移動させるように構成される。このように、フォーマ鉛直移動モータ71を駆動することによって、第一ロッド44先端の第一カム45を前進又は後退させることができ、一対のセンタフォーマ15,16を鉛直方向に移動させて互いに離れ又は接近させるように構成される。
【0061】
一方、第二ロッド移動機構56は、第二ヘッド60と略平行な第三ヘッド75を有する。ガイド軸58は第三ヘッド75も挿通しており、第三ヘッド75も第二ヘッド60と同様、ガイド軸58に支持されると共に、そのガイド軸58に沿って移動可能に構成される。第三ヘッド75は、軸受76を介して回転自在である円筒形状の第三スピンドル軸77を支持すると共に、第三スピンドル軸77の内周に軸受78を介して回転不能である第三中心体79が支持される。
【0062】
第三スピンドル軸77の後端には、プーリ80が取付けられる。また、第三ヘッド75のガイド軸58が挿通された部分には、その第三ヘッド75に対して回転可能であってかつ軸方向に移動不能にプーリ82が取付けられる。このプーリ82はガイド軸58に対しては回転不能であってかつ軸方向に移動可能に構成される。そして、プーリ80とプーリ82とはベルト83を介して連結される。これにより、ガイド軸58が回転すると、第三スピンドル軸77も回転するように構成される。
【0063】
第三スピンドル軸77は、第三スピンドル軸77の回転軸が、第二スピンドル軸62の回転軸と同軸であって、フライヤ4の回転軸、つまり第一スピンドル軸24の回転軸とは偏心するように、第三ヘッド75に支持される。一方、第三スピンドル軸77は、第一スピンドル軸24及び第二スピンドル軸62の回転に同期して回転するように構成される。なお、第三スピンドル軸77には、線材3が挿通する貫通孔77aが形成される。第三中心体79には、第二ロッド47の後端部が連結される。このように、第一中心体26の中心軸と、第二中心体64及び第三中心体79の中心軸とは偏心して連結されるため、それぞれの中心体26,64,79の回転は拘束され、それらの中心体26,64,79が回転するようなことを防止可能に構成される。
【0064】
フレーム57に覆われる移動台21にはプレート角度変更モータ85が固定され、プレート角度変更モータ85の出力軸にはガイド軸58に平行なボールねじ86が連結され、このボールねじ86は、第三ヘッド75の下部に螺合している。これにより、プレート角度変更モータ85が駆動すると、第三ヘッド75はガイド軸58に沿って移動し、第三中心体79に連結された第二ロッド47が軸方向に移動するように構成される。このように、プレート角度変更モータ85を駆動することによって、第二ロッド47の先端に固定されたサイドプレート支持部材37を後退又は前進させることができ、それにより一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する角度(図3)を変更可能に構成される。ここで、図1における87は、移動台21に設けられ、ボールねじ72の後端部とボールねじ86の前端部を突き合わせ状態で枢支する枢支部材87を示す。
【0065】
また、インデックス機構7近辺には、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧することによって、インデックス台11との間にて保持するワーク押え機構88が用いられる。このワーク押え機構88は、基台5上に立設した支柱89の端部に固定された電機子押えモータ90と、電機子押えモータ90の出力軸に連結され多極電機子1の回転軸方向に延在するボールねじ91と、ボールねじ91が螺合する移動体92と、支柱89に鉛直方向に延在して配置され移動体92を案内するガイドレール93とを備える。移動体92の側面には軸受94を介して回転自在なロッド95が設けられる。ロッド95は、多極電機子1の回転軸と同軸上に配置され、ロッド95の下端には多極電機子1の環状部1aに当接する電機子押え部材96が連結されている。
【0066】
そして、電機子押えモータ90が駆動すると、移動体92がガイドレール93に案内され、電機子押え部材96は多極電機子1の回転軸方向に移動する。このように、電機子押えモータ90を駆動することによって、電機子押え部材96はインデックス台11上に載置された多極電機子1の環状部1a上面に当接し、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧する。これにより、多極電機子1は、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて保持されるように構成される。なお、電機子押え部材96に連結されたロッド95は軸受94を介して支持されているため、電機子押えモータ90の駆動による多極電機子1の回転中、電機子押え部材96は多極電機子1に従属して回転することになる。
【0067】
多極電機子1の周囲には、フライヤ4から繰り出される線材3が、巻線すべき磁極2の両側にある磁極に引っかかることを防止するために、巻線すべき磁極2の両側にある磁極の鍔部2aをそれぞれ覆う一対のサイドフォーマ97が配設される(図1及び図3参照)。サイドフォーマ97は、先端に向かって先細となるような曲面状に形成され、基台5に立設した支柱98に支持され、図示しない機構によって移動可能に構成される。
【0068】
また、巻線装置100は、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸と一致させるための電機子移動機構99を備える。この電機子移動機構99は、基台5上に配置された支柱101と、支柱101の頂面に配置された電機子移動モータ102と、電機子移動モータ102の出力に連結され多極電機子1の回転軸方向(鉛直方向)に延在するボールねじ103と、ボールねじ103が螺合する移動体104と、支柱101に鉛直方向に延在して配置され移動体104を案内するガイドレール105とを備える。
【0069】
移動体104は、インデックスモータ9を載置するインデックスモータ載置台106に連結される。また、インデックスモータ載置台106を中心としてボールねじ103の反対側には鉛直方向に延在するガイドロッド107が配置され、ガイドロッド107にはインデックスモータ載置台106に連結された移動体108が摺動自在に挿入される。そして、電機子移動モータ102が駆動すると、移動体104がガイドレール105に案内されると共に移動体108がガイドロッド107を摺動し、インデックスモータ載置台106は鉛直方向に移動する。これにより、インデックス台11に支持された多極電機子1は、鉛直方向に移動する。このように、電機子移動機構99における電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸と一致させることが可能となるように構成される。
【0070】
次に、巻線装置100の動作について説明する。この巻線装置100の動作は、巻線装置100に搭載された図示しないコントローラによって自動制御されるものとする。
【0071】
まず、巻線を行う前の準備として、線材供給源(図示せず)から供給される線材3を、テンション装置(図示せず)を経てフレーム57の後部から、第三スピンドル軸77の貫通孔77a、第二スピンドル軸62の貫通孔62a、第一スピンドル軸24の貫通孔24bに順番に通す。そして、フライヤ4に設けられた複数のローラ4aを介してフライヤ先端のノズル27に導く。そして、ノズル27から繰り出した線材3を、多極電機子1の環状部1aに設けられたピン1dに係止させる。
【0072】
次に、多極電機子1を、貫通孔1cに軸11aが挿通するようにしてインデックス台11に載置する。この状態にて、多極電機子1と巻線機構6との位置合せを行う。即ち、電機子移動機構99の電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)とフライヤ4の回転軸とを一致させる。つまり、巻線すべき磁極2の巻中心軸とフライヤ4の回転軸とが同じ高さとなるように調整する。調整後、電機子押えモータ90を駆動することによって電機子押え部材96を多極電機子1に向けて下降させ環状部1aに押し付ける。このようにして、多極電機子1を、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて支持する。
【0073】
次に、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、複数の磁極2のうち巻線すべき磁極2を巻線位置に設定する。具体的には、巻線すべき磁極2をフライヤ4の回転軸方向に一致させる。このように、フライヤ4の回転軸に対向する位置が巻線位置である。図示しないが、このような多極電機子1の巻線位置への位置合せは、磁極2近傍に設けたセンサ等の図示しない検知器を用いて磁極2の位置を検出し、その検出した情報を基に行うことができる。
【0074】
次に、第二ロッド移動機構56により第二ロッド47とともにサイドプレート支持部材37(図3)をセンタフォーマ支持板33と別に移動させ、センタフォーマ15,16の先端にサイドプレート39,39の先端39b,39bを一致させる(図2)。この状態で、トラバース機構18のトラバースモータ50を駆動することによって移動台21とともに第一ヘッド22を前進させる。それにより、センタフォーマ支持板33、サイドプレート支持部材37及び板状部材48も前進し、図2及び図3に示すように、板状部材48に支柱49aを介して設けられた押え部材49を磁極2の外端面に当接させる。その後、第一ヘッド22を更に前進させて、図9及び図13に示すように、一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を磁極2の基端部に配置させる。
【0075】
具体的には、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16a及び一対のサイドプレート39,39の先端39bと多極電機子1における環状部1aとの間に線材3が進入可能な隙間を空けるように配置する。このとき、一対のセンタフォーマ15,16にあっては、第一カム45(図2)が一対の鉛直移動板35a,35bに当接していない状態にして、図13に示すように、互いの先細部15a,16aにて磁極2を厚さ方向であるZ軸方向から挟持するように配置する。
【0076】
一方、図9に示すように、一対のサイドプレート39,39にあっては、先端に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜しているので、押え部材49が磁極2に当接した後に、スプリング40aの付勢力に抗して更にサイドプレート支持部材37が前進して磁極2に接近すると、一対のサイドプレート39,39の延長部材38側において押え部材49を挟持するようになり、スプリング40bの付勢力により一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は増加する。これにより、一対のサイドプレート39,39は、その先端間隔を減少させつつ前進することになり、この結果、一対のサイドプレート39,39は、図9の実線矢印で示すようにフライヤ4の回転軸に対して斜めに移動することになる。すると、コイルスプリング40bの付勢力により磁極2における外周側鍔部2aを挟んでいたとしても、一対のサイドプレート39,39は巻線しようとする磁極2の内周側にまで進入して、互いの先端39b,39bにて磁極2を幅方向であるY軸方向から挟むようになる。この結果、隣接する磁極2に既に巻線が成されていたとしても、多極電機子1の内周側に向かうサイドプレート39の先端39bをその巻線に接触させることなく、巻線しようとする磁極2の内周側にまで進入させることができる。
【0077】
一方、押え部材49にあっては、スプリング40aの付勢力により、磁極2の外端面に当接して磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止することになる。また、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16aの幅H(図4)は巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しいで、図13に示すように、一対のサイドプレート39,39はその磁極2とともに先細部15a,16aも挟むことになる。そして、図9に示すように、一対のサイドフォーマ97を移動させて、巻線すべき磁極2の両側にある磁極2の鍔部2aをそれぞれ覆うように一対のサイドフォーマ97を配置する。以上が巻線を行う前の準備である。
【0078】
次に、前述した状態で開始される巻線について説明する。
【0079】
図1に示すように、フライヤ4が磁極2の鉛直上方に位置した状態にて、フライヤ回転モータ29を駆動して第一スピンドル軸24とともにフライヤ4を回転させ、フライヤ4から繰り出される線材3を磁極2の周囲に巻回する。第一スピンドル軸24の回転はガイド軸58を介して第二スピンドル軸62及び第三スピンドル軸77に伝達され、フライヤ4の回転に同期させて、第二スピンドル軸62及び第三スピンドル軸77も回転することになる。これにより、線材供給源から供給される線材3を捻ることなく、ノズル27に案内することができる。
【0080】
フライヤ4が磁極2の鉛直上方から鉛直下方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰り出された線材3は、サイドフォーマ97に当接しその斜面に沿って案内されると共に、次にセンタフォーマ15及びサイドプレート39に当接しその曲面を滑り落ちてそれらの先端から磁極2に案内され、磁極2に巻き付けられる。そして、フライヤ4が磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰り出された線材3は、サイドフォーマ97に当接しその斜面に沿って案内されると共に、次にセンタフォーマ16及びサイドプレート39に当接しその曲面を滑り落ちてそれらの先端から磁極2に案内され、磁極2に巻き付けられる、このようにして、フライヤ4が1回転するに伴い、線材3は磁極2に1巻きされる。
【0081】
磁極2への1巻きにおいて、磁極2の4面のうち最後に巻線される面(例えば上面)に線材3を巻線するときには、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸方向)に線材3の線径分だけ多極電機子1から遠ざけるように移動させる。このように、フライヤ4の1回転に付き、磁極2の4面のうちの所定の1面(例えば上面)にて線材3の線径分の送りをかけて巻き進めることによって、磁極2には線材3が整列に巻線されることになる。
【0082】
この整列巻きに際して、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16aは磁極2をZ軸方向から僅かな隙間を持って挟持し、一対のサイドプレート39,39はその磁極2をY軸方向から挟むので、巻線が成される磁極2の周囲はこれらにより包囲されることとなり、いわゆるボックス構造を成す。このため、このボックス構造を成す一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39の外面に線材3を滑動させて磁極2に案内することにより、線材3にキズを生じさせることなく磁極2の所望の位置に線材3を巻回して、その線材3を磁極2に整列巻きすることが可能となる。
【0083】
そして、一対のサイドプレート39,39における円弧状部39cが、一対のセンタフォーマ15,16におけるそれぞれの先細部15a,16aをY軸方向から挟むように形成し、その一対のサイドプレート39,39における円弧状部39cの側縁を多極電機子1の軸方向から覆う覆い部15b,16bをそれぞれのセンタフォーマ15,16に形成したので、サイドプレート39の側縁とセンタフォーマ15,16との境の部分に隙間が生じることはない。このため、サイドプレート39の側縁とセンタフォーマ15,16との間に線材3が進入することは防止される。よって、センタフォーマ15,16及びサイドプレート39の表面における案内面を滑動する線材3は磁極2の所定の位置に滑らかに移動することになる。
【0084】
このような整列巻きを繰り返すと、一対のセンタフォーマ15,16はフライヤ4の回転軸方向であるX軸方向に移動し、図14に示すように、第一層目の巻線が完了する以前にその先細部15a,16aが鍔部2aに当接することになる。更に第一層目の整列巻きを続行させるために、一対のセンタフォーマ15,16における先細部15a,16aが鍔部2aに当接する直前に、図15に示すように、一対のセンタフォーマ15,16を移動させて互いの間隔を拡げる。
【0085】
一対のセンタフォーマ15,16の移動は、図1に示すフォーマ鉛直移動モータ71を駆動して第一カム45を前進させ、一対の鉛直移動板35a,35bのローラ35cに当接させる。これにより、一対のセンタフォーマ15,16は、鉛直方向(多極電機子1の回転軸方向)に互いに離れるように移動する。一対のセンタフォーマ15,16のそれぞれのZ軸方向の移動量は、第一カム45の前進量によって調節され、一対のセンタフォーマ15,16が鍔部2aを僅かな隙間を持って多極電機子1の軸方向であるZ軸方向から挟むように設定される。このように、一対のセンタフォーマ15,16をZ軸方向に移動させることにより第一層目の整列巻きが続行可能となる。そして、図15に示すように、第一層目の巻線は、線材3が磁極2の鍔部2aに当接することにより終了する。
【0086】
この第一層目の巻線時において、一対のサイドプレート39,39は、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに磁極2の全巻幅に亘ってX軸方向に移動する。このとき、押え部材49は、スプリング40aの付勢力により磁極2の外端面に当接した状態が維持されてそこに残存する。このため、この押え部材49により第一層目の巻線時に磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止することができる。そして、スプリング40bの付勢力により押え部材49を挟む一対のサイドプレート39,39は、サイドプレート支持部材37に延長部材38を介して枢支されているので、サイドプレート支持部材37とともに磁極2から遠ざかる時に、その先端間隔を拡大させる。すると、一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度も減少することになり、この一対のサイドプレート39,39は、図10の実線矢印で示すように、フライヤ4の回転軸に対して斜めに移動することとなる。そして、図10に示すように、一対のサイドプレート39,39の拡大した先端39b,39bが鍔部2aを挟み、その先端39bから案内された線材3が磁極2の鍔部2aに当接することにより第一層目の巻線が終了する。
【0087】
続いて、第二層目の巻線が行われるけれども、この第二層目の巻線は、フライヤ4を第一層目における場合と同方向に回転させて線材3を磁極2の周囲に巻回しつつ、トラバースモータ50を第一層目の巻線とは逆方向に回転させ、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を多極電機子1に近づける方向に移動させる。
【0088】
この第二層目の巻線の開始にあって、一対のセンタフォーマ15,16は、図15に示す状態から多極電機子1に近づく方向に移動する。すると、その先細部15a,16aが鍔部2aからずれた位置に移動した段階で、一対のセンタフォーマ15,16は互いの間隔を狭め、磁極2に巻回された第一層目の巻線をそれらの先細部15a,16aがZ軸方向から僅かな隙間を持って挟むようにする。これにより、線材3を磁極2に案内して第二層目における安定した整列巻きが可能となる。そして、図16に示すように、第二層目の巻線は、線材3が環状部1aに当接するまで行われる。
【0089】
この第二層目の巻線時において、一対のサイドプレート39,39は、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1に近づく方向に移動する。このとき、押え部材49は、スプリング40aの付勢力により磁極2の外端面に当接して磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止する。そして、スプリング40bの付勢力により押え部材49を挟む一対のサイドプレート39,39は、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端39b,39bにおける間隔を減少させる。このようにして、この一対のサイドプレート39,39は、図11の実線矢印で示すように、フライヤ4の回転軸に対して斜めに移動する。そして、間隔が減少するそれらの先端39b,39bはその後第一層目の巻線に当接することになる。
【0090】
しかし、一対のサイドプレート39,39は、その傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端39b,39bの間隔を変更可能にしたので、第一層目の巻線に先端39bが接触した状態で更に前進する。即ち、第一層目の巻線に先端39bが接触した後に、一対のサイドプレート39,39は、第一層目の巻線時よりも先端39b,39bの間隔を拡げた状態でその第一層目の巻線を挟み、その状態で磁極2の内周側に向かって移動しつつ線材3を案内する。よって、本発明の巻線機及び巻線方法では、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレート39,39の先端39b,39bを磁極2の内周側にまで十分に進入させることができ、そのサイドプレート39,39を用いて線材3を磁極2に案内することにより安定した整列巻きが可能となる。
【0091】
この場合、一対のサイドプレート39,39は、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端間隔39b,39bを減少させる。即ち、図18の一点鎖線で示すように、一対のサイドプレート39,39が外周側にあって、その先端39b,39bにより押え部材49を挟持した状態では、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は減少している。けれども、一対のサイドプレート39,39が多極電機子1の外周側から内周側に移動すると、スプリング40b(図6)の付勢力により、二点鎖線で示す中間の状態を通過した後、一対のサイドプレート39,39が押え部材49をその延長部材38側において挟持する実線で示す状態となる。すると、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにおける間隔は減少し、枢支ピン38b(図6)を中心として一対のサイドプレート39,39は回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は増加することになる(図18では、フライヤ4の回転軸に対する角度が比較的小さいα1から徐々に増加して、α1.5を介してα2になる場合を示す)。
【0092】
このように、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端間隔39b,39bを減少させると、図18の破線矢印で示すように、多極電機子1の内周側に向かう一対のサイドプレート39,39のそれぞれの先端39b,39bは、円弧状を描いて互いの間隔を狭めることになる。すると、傾斜角度を変化させることなくサイドプレート202,202を直線的に移動させる図23に示す場合に比較して、第一層目の巻線にそのサイドプレート39の先端39bを接触させることなく磁極2の内周側にまで進入する距離を増加させることができる。このため、サイドプレート39の先端39bが接触して移動する第一層目の巻線の範囲を減少させることができる。そして、図11に示すように、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bが第一層目の巻線を挟み、その先端39bから案内された線材3が環状部1aに当接することにより第二層目の巻線が終了する。
【0093】
続いて、第三層目の巻線が行われるけれども、この第三層目の巻線は第一層目の巻線手順と同一であり、第四層目の巻線を行う場合には第二層目の巻線手順と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。そして、図12及び図17に第三層目の巻線が完了してその磁極2に予定していた巻線の全てが完了した状態を示す。けれども、更に第四層目以上の巻線を行っても良い。
【0094】
以上にて説明した要領で磁極2に線材3を多層に巻線し、一の磁極2への巻線が終了したら、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、その一の磁極2と別の磁極2を巻線位置に配置し、新たに巻線を開始する。
【0095】
なお、図21に四層の巻線がなされる場合を示す。この図21に示すように、多極電機子1は磁極2が放射状に設けられるため、磁極2と磁極2の間の隙間であるスロット1bは内周側において狭まる。このため、第一層目以上の巻線が成されると、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが内周側において線材3の線径未満となる場合が生じる。すると、内周側におけるその隙間Fへの巻線は不能になる。けれども、外周側にあっては、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越えていれば、その外周側において更なる巻線が可能である。
【0096】
このように、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが内周側において線材3の線径未満になる場合の第二層目以降の巻線時には、磁極2の全巻幅の内の一部において、具体的には、磁極2の全巻幅の内の磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越える電機子1の外周側における一部において、一対のサイドプレート39,39を、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに移動させることにより、その一部の範囲において一対のセンタフォーマ15,16と一対のサイドプレート39,39の双方により線材3を磁極2に案内することが可能となる。
【0097】
ここで、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間が線材3の線径を越えていても、その隙間にサイドプレート39を進入させた場合に、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線との距離Gが線材3の線径未満になる場合には、サイドプレート39の表面に線材3が滑動しないので、そのサイドプレート39を用いて線材3を案内することができない。このため、全巻幅の内の一部の範囲とは、スロット1bに進入させたサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gが線材3の線径を越える範囲となる。けれども、一対のサイドプレート39,39の対向面に磁極2の外周側鍔部2aが進入可能な凹溝39a,39aをフライヤ4の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成すれば、磁極2と磁極2の間に実際に進入するサイドプレート39の厚さtは減少し、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gは拡大する。この結果、そのサイドプレート39により線材3の案内が可能な全巻幅の内の一部の範囲を拡大することができる。また、このような凹溝39a,39aを形成しても、その凹溝39a,39aを挟む両側の厚肉部39e,39e(図6)によってサイドプレート39の強度を確保することができる。
【0098】
一方、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gが線材3の線径未満であるけれども、サイドプレート39が進入しない状態で、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越えていれば、その範囲における巻線は可能である。この場合における巻線は、図19及び図20に示すように、サイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離F(図21)が線材3の線径を越える外周側に一対のサイドプレート39,39を残存させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16のみをフライヤ4の回転軸方向に移動させ、その一対のセンタフォーマ15,16により線材3を磁極2に案内することにより巻線が成される。センタフォーマ15,16の移動は、上述したように、トラバース機構18のトラバースモータ50を駆動することによって移動台21及び、第一ヘッド22とともにセンタフォーマ支持板33を移動させることにより行われる。けれども、一対のサイドプレート39,39を外周側に残存させるには、図1に示すプレート角度変更モータ85を駆動して第二ロッド47とともにサイドプレート支持部材37を、センタフォーマ支持板33の移動速度と同一の速度で逆方向に移動させる。これにより、磁極2に対して一対のサイドプレート39,39は静止してその外周側に残存することになる。
【0099】
このように、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間F(図21)が内周側において減少しても、その外周側の一部の範囲において一対のセンタフォーマ15,16と一対のサイドプレート39,39の双方により線材3を磁極2に案内することができる。そして、一対のセンタフォーマ15,16は一対のサイドプレート39,39と別に独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるので、外周側に一対のサイドプレート39,39を残存させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16のみをフライヤ4の回転軸方向に移動させることにより、その一部の範囲を超えた巻線も可能である。よって、本発明にあっては、上層の巻線であっても、十分に整列巻きを可能とすることができる。
【0100】
なお、上述した実施の形態では、サイドプレート付勢手段40b及び板状部材付勢手段40aとして、コイルスプリングからなるを例示したけれども、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させるように付勢する限り、又は一対のサイドプレート39,39が押え部材49を挟持するように一対のサイドプレート39,39を付勢する限り、板状部材付勢手段及びサイドプレート付勢手段はエア圧により付勢力を生じるエアシリンダ等であっても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 多極電機子
2 磁極
2a 鍔部
3 線材
4 フライヤ
15,16 センタフォーマ
37 サイドプレート支持部材
39 サイドプレート
39a 凹溝
40a 板状部材付勢手段
40b サイドプレート付勢手段
42 プレート角度変更手段
48 板状部材
49 押え部材
100 巻線装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として多極電機子にコイル形成用の線材を巻き付けるための巻線機及び巻線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多極電機子の磁極にコイル形成用の線材を巻きつけるために、磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出してその磁極に対して線材を巻線するフライヤを備えたフライヤ式の巻線機が拡く使用されている。そして、モータ等、電機子の限られた大きさで性能をより良くするためには、多極電機子の限られた巻線スペースにいかに多くの巻線ができるかということが巻線機に要求される。それには、磁極に対して隣り合う線材同士を隙間なく整列して巻く、いわゆる整列巻きが有効である。このために、フライヤ式の巻線機において、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設された一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設された互いに平行な一対のサイドプレートとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
即ち、このフライヤ式の巻線機では、センタフォーマが多極電機子の巻線すべき磁極を多極電機子の軸方向から挟み込むことにより、フライヤから繰り出された線材をセンタフォーマの案内面に滑動させ、その先端から巻線すべき磁極の所望の位置に案内する。一方、サイドプレートは多極電機子の巻線すべき磁極を多極電機子の周方向から挟み込むことにより、フライヤから繰り出された線材を多極電機子の内周側に臨む先端から巻線すべき磁極の所望の位置に案内する。そして、回動しながら線材を繰り出すフライヤをこのセンタフォーマ及びサイドプレートとともにその回転軸方向に移動することにより整列巻きが成されるとしている。
【0004】
ここで、磁極に線材が複数層に亘って巻線される場合を具体的に説明すると、先ず、センタフォーマとサイドプレートのそれぞれの先端を多極電機子の内周側にまで進入させ、その状態からフライヤを回動させて線材を繰り出し、それとともにそのフライヤをセンタフォーマ及びサイドプレートとともに多極電機子の外側に向かって移動させることにより第一層目の巻線を行う。そして、線材が磁極における外周側鍔部と接すると第一層目の巻線が終了することになり、その後、第二層目はセンタフォーマ及びサイドプレートが第一層目の巻線とは反対方向に移動することで巻線される。センタフォーマ及びサイドプレートは線材を案内しつつ磁極の外周側鍔部から内周側に向かって離れていくことにより、第一層目のコイルの上に第二層目が巻線されるものであり、センタフォーマ及びサイドプレートのそれぞれの先端が磁極内周側まで移動すると、その移動方向を逆にすることにより第三層目が巻線され、必要に応じ同様に第四層目等の複層目も巻線されるようになってる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−34211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図22に示すように、磁極201の外周側には巻線の巻幅を規定する鍔部201aが形成されるので、互いに平行な一対のサイドプレート202,202は外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟み込むことになり、そのサイドプレート202は隣接する磁極201に接近する不具合がある。即ち、磁極201の数が4〜6個のような比較的少ない多極電機子200である場合には問題とならないが、磁極201の数が12個や18個又はそれを越えるような多極電機子200である場合には、巻線が行われる一の磁極201とそれに隣接する磁極201との成す角度が小さくなって互いが接近することになる。このため、巻線が行われる磁極201に隣接する磁極201に既に巻線203が成されている場合には、外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟む互いに平行な一対のサイドプレート202,202が、フライヤの回転軸方向に移動して、実線矢印で示すように多極電機子200の内周側に向かうと、線材を磁極201に案内するサイドプレート202の先端が隣接する磁極201の既に成された巻線203に接触し、巻線しようとする磁極201の内周側にまで十分にそのサイドプレート202を進入させることができなくなる。すると、線材のサイドプレート202による磁極201への案内は磁極201の内周側において行われることはなく、その内周側において線材を本来巻線したい部分へ案内することができなくなるおそれがあった。
【0007】
この点を解消するために、図23に示すように、外周側鍔部201aを多極電機子200の周方向から挟む一対のサイドプレート202,202を多極電機子200の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにして、フライヤの回転軸に対して傾斜させ、その傾斜角度に沿って、そのサイドプレート202,202を実線及び破線矢印で示すように、フライヤの回転軸に対して斜めに移動させることが考えられる。このように一対のサイドプレート202,202をフライヤの回転軸に対して傾斜させることにより、多極電機子200の内周側に向かう先端を隣接する磁極201の既に成された巻線203に接触させることなく、第一層目の巻線において一対のサイドプレート202,202を巻線しようとする磁極201の内周側にまで進入させることが可能になる。そして、その第一層目の巻線時には、巻線しようとする磁極の内周側にまでサイドプレート202が進入するので、線材を案内するサイドプレート202の先端はその線材が実際に巻線される磁極202に近づくことになるので、線材を本来巻線したい部分へ確実に案内することが期待できる。
【0008】
しかし、サイドプレート202をフライヤの回転軸に対して傾斜させると、その傾斜角度に沿って、そのサイドプレート202をフライヤの回転軸に対して斜めに移動させることが必要となる。すると、磁極201に巻線された第一層目の巻線の上に更に第二層目を巻線しようとすると、サイドプレート202の先端がその第一層目に接触して、第二層目の巻線時には磁極201の内周側にまでサイドプレート202を進入させることができない。そして、更に、第三層目を巻線しようとすると、サイドプレート202の先端は更にその第二層目に接触して、磁極201の内周側に進入するサイドプレート202の進入距離が更に短くなる。このように、上層の巻線に従ってサイドプレート202の進入距離が順次短くなり、上層の巻線における内周側において線材を本来巻線したい部分へ案内することができなくなるという未だ解決すべき課題が残存していた。
【0009】
本発明の目的は、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレートの先端を磁極の内周側にまで十分に進入させて、その磁極に線材を安定して整列巻きし得る巻線装置及び巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多極電機子における磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出して磁極に対して線材を巻線するフライヤと、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のサイドプレートとを備えた巻線装置の改良である。
【0011】
その特徴ある構成は、一対のサイドプレートを、多極電機子の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤの回転軸に対して傾斜させ,かつフライヤの回転軸に対する傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成されたところにある。
【0012】
この場合、一対のサイドプレートの対向面に磁極の外周側鍔部が進入可能な凹溝がフライヤの回転軸方向に伸びてそれぞれ形成されることが好ましく、巻線される磁極に対向するサイドプレート支持部材がフライヤの回転軸方向に移動可能に設けられ、そのサイドプレート支持部材に一対のサイドプレートがそれぞれ枢支されることが好ましい。
【0013】
そして、サイドプレート支持部材が磁極から遠ざかる時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を拡大させ、サイドプレート支持部材が磁極に接近する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させるプレート角度変更手段を備えることもできる。
【0014】
このプレート角度変更手段は、磁極の外端面に当接する押え部材と、一対のサイドプレートが押え部材を挟持するように一対のサイドプレートを付勢するサイドプレート付勢手段とを有することが好ましい。また、プレート角度変更手段は、サイドプレート支持部材の磁極側にサイドプレート支持部材と所定の間隔を空けて重なり合いサイドプレート支持部材と別に独立してフライヤの回転軸方向に移動可能な板状部材と、サイドプレート支持部材と板状部材の間隔を拡大させるように付勢する板状部材付勢手段とを更に備えることができ、この場合、板状部材に押え部材が設けられる。
【0015】
本発明の巻線方法は、多極電機子における磁極の周囲を回動しながら線材を繰り出して磁極に対して線材を巻線するフライヤと、磁極を多極電機子の軸方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のセンタフォーマと、磁極を多極電機子の周方向から挟むように配設されフライヤから繰り出された線材を磁極に案内する一対のサイドプレートとを備えた巻線装置を用いて多極電機子の各磁極に線材を巻線する巻線方法である。
【0016】
その特徴ある点は、一対のサイドプレートを多極電機子の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤの回転軸に対して傾斜させ、巻線時にフライヤの回転軸に対する一対のサイドプレートの傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端間隔を変更させるところにある。
【0017】
具体的には、一対のサイドプレートが多極電機子の内周側から外周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を拡大させ、一対のサイドプレートが多極電機子の外周側から内周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させる巻線方法である。
【0018】
磁極に線材を複数層巻線する巻線方法である場合には、全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマを磁極の全巻幅に亘って移動させ、少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに磁極の全巻幅に亘って移動させ、第二層目以降のいずれかの層の巻線時に磁極の全巻幅の内の少なくとも一部で一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることができる。
【0019】
一方、磁極に線材を複数層巻線する巻線方法である場合には、全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマを磁極の全巻幅に亘って移動させ、少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに磁極の全巻幅に亘って移動させ、第二層目以降の巻線であって、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径未満になる時に、磁極の全巻幅の内の磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越える少なくとも一部において、一対のサイドプレートをその先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の巻線機及び巻線方法では、一対のサイドプレートをフライヤの回転軸に対して傾斜させたので、一対のサイドプレートが磁極における外周側鍔部を挟んだとしても、フライヤの回転軸に対して一対のサイドプレートを斜めに移動させることにより、多極電機子の内周側に向かうサイドプレートの先端を、隣接する磁極の既に成された巻線に接触させることなく、巻線しようとする磁極の内周側にまで進入させることができる。このため、その一対のサイドプレートの先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマとともにその一対のサイドプレートを磁極の全巻幅に亘って移動させることにより、その一対のセンタフォーマと一対のサイドプレートの双方により線材を磁極に案内することができ、これにより安定した整列巻きが可能となる。
【0021】
そして、その傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む一対のサイドプレートにおける先端間隔を変更可能にしたので、磁極に巻線された第一層目以上の下層巻線の上に更に上層の巻線しようとする場合であっても、一対のサイドプレートにおける先端間隔を拡げることにより、その下層巻線を挟むんだ状態で磁極の内周側にまで一対のサイドプレートを進入させることができる。よって、本発明の巻線機及び巻線方法では、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレートの先端を磁極の内周側にまで十分に進入させることができ、そのサイドプレートを用いて線材を磁極に案内することにより安定した整列巻きが可能となる。
【0022】
この場合、一対のサイドプレートが多極電機子の外周側から内周側に移動する時に一対のサイドプレートのフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレートの先端間隔を減少させると、多極電機子の内周側に向かう一対のサイドプレートのそれぞれの先端は円弧状を描いて互いの間隔を狭めることになる。このため、傾斜角度を変化させることなくサイドプレートを直線的に移動させる場合に比較して、下層の巻線にそのサイドプレートの先端を接触させることなく磁極の内周側にまで進入する距離を増加させることができる。
【0023】
一方、多極電機子では磁極が放射状に設けられるため、隣接する磁極間の隙間は内周側において狭まる。このため、第一層目以上の巻線が成されると、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が内周側において線材の線径未満となる場合が生じる。すると、内周側におけるその隙間への巻線は不能になる。けれども、外周側にあっては、磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越えていれば、その外周側において更なる巻線が可能である。よって、第二層目以降の巻線時に、磁極の全巻幅の内の一部において、具体的には、磁極の全巻幅の内の磁極に巻回された線材と隣接する磁極に成された巻線との隙間が線材の線径を越える電機子の外周側における一部において、一対のサイドプレートの先端を一対のセンタフォーマの先端に一致させた状態で一対のセンタフォーマとともに移動させることにより、その一部の範囲において一対のセンタフォーマと一対のサイドプレートの双方により線材を磁極に案内し、より安定した整列巻きが可能となる。
【0024】
そして、一対のサイドプレートの対向面に磁極の外周側鍔部が進入可能な凹溝をフライヤの回転軸方向に伸びてそれぞれ形成すれば、サイドプレートの強度を確保しつつ磁極と磁極の間に進入するサイドプレートの厚さを減少させて、そのサイドプレートと隣接する磁極に成された巻線材との距離を拡大し、そのサイドプレートにより線材の案内が可能な全巻幅の内の一部の範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明実施形態の巻線機を示す側面図である。
【図2】押え部材を磁極の外端面に当接させた図1のA部の拡大側面図である。
【図3】押え部材を磁極の外端面に当接させた図1のA部の拡大上面図である。
【図4】図1のA部における正面図である。
【図5】図2のB−B線断面図である。
【図6】一対のサイドプレートが押え部材とともに磁極を挟持する斜視図である。
【図7】一対のサイドプレートの先端が狭められた状態を示す上面図である。
【図8】一対のサイドプレートが先端が拡げられた状態を示す上面図である。
【図9】その一対のサイドプレートが挟持して巻線を開始する磁極の水平断面図である。
【図10】その一対のサイドプレートが移動して磁極に第一層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図11】その一対のサイドプレートが逆方向に移動して磁極に第二層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図12】その一対のサイドプレートが更に逆方向に移動して磁極に第三層目の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図13】一対のセンタフォーマが挟持して巻線を開始する磁極の鉛直断面図である。
【図14】その一対のセンタフォーマの先細部が鍔部に当接する状態を示す図13に対応する断面図である。
【図15】一対のセンタフォーマの互いの間隔を拡げて第一層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図16】第二層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図17】第三層目の巻線が終了した状態を示す図13に対応する断面図である。
【図18】一対のサイドプレートの動きを示す上面図である。
【図19】サイドプレートが全巻幅の内の一部に残存する状態を示す図9に対応する断面図である。
【図20】サイドプレートを巻幅の内の一部に残存させた状態で一対のセンタフォーマを更に前進させた状態を示す図13に対応する断面図である。
【図21】磁極に四層の巻線が成された図9に対応する水平断面図である。
【図22】従来の平行な一対のサイドプレートを示す図9に対応する断面図である。
【図23】フライヤの回転軸に対してサイドプレートを傾斜させた図22に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1に本発明の巻線装置100を示す。この巻線装置100は、発電機や電動機を構成する多極電機子1(ステーター)の複数の磁極2の周囲に線材3を多層に巻線する装置である。そして、この巻線装置100は、線材3を繰り出しながら磁極2の周囲を回動するフライヤ4を用いて巻線を行うフライヤ式の巻線装置である。この実施の形態における多極電機子1は、環状部1aと、この環状部1aから径方向外側に向かって放射状に突出した18個の磁極2とを備えるものとする(図3に5個の磁極を示す)。図3に示すように、この多極電機子1における各磁極2の間にはスロット1bが開口してなる。磁極2の断面は4角形であり、磁極2の外周面は平滑状の4平面からなる(図6)。そして、各磁極2の先端には鍔部2aが形成される。
【0028】
図1に戻って、この巻線装置100は、各部材が配置される基台5上に、多極電機子1の磁極2に対して線材3を自動で巻線する巻線機構6と、多極電機子1を回転させることによって磁極2を順次に巻線位置に送るインデックス機構7とを備える。図1におけるインデックス機構7は多極電機子1をその軸方向を鉛直にして支持するものであり、巻線機構6に対向する磁極2に巻線が行われるものとする。各図にあっては、互いに直交するX、Y及びZの3軸を設定し、X軸が多極電機子1の径方向であって巻線する磁極2と巻線機構6とを連通する略水平前後方向、Y軸がその巻線する磁極2における多極電機子1の周方向である略水平横方向、Z軸が多極電機子1の軸方向である鉛直方向に延びるものとし、この巻線装置100の構成について説明する。
【0029】
図1に示すように、インデックス機構7は、インデックスモータ9と、インデックスモータ9の出力軸9aに連結され多極電機子1の回転軸と同軸上に延在する支持軸10と、支持軸10に連結され多極電機子1を水平に載置するインデックス台11とを備える。多極電機子1は、環状部1aの貫通孔1cにインデックス台11の軸11aが挿通した状態にてインデックス台11上に載置される。これと共に、多極電機子1は、後述する電機子押え部材96にてインデックス台11とは反対方向(図1では上方)からインデックス台11に対して押圧される。これにより、多極電機子1は、インデックス台11上に支持可能に構成される。
【0030】
このインデックス機構7では、インデックスモータ9が駆動することによって、インデックス台11に支持された多極電機子1はインデックス台11の軸11aを回転軸として回転するように構成される。多極電機子1は、インデックス台11に支持された状態にて磁極2への巻線が行われ、その磁極2への巻線作業終了後には、インデックスモータ9の駆動によって回転し、次に巻線される磁極2が巻線位置に送られるようになっている。このように、インデックス機構7は、多極電機子1の磁極2を巻線機構6に対向する巻線位置に順次に送り、巻線機構6は巻線位置に送られた磁極2に対して巻線を行うように構成される。
【0031】
巻線機構6は、線材3を繰り出すと共に磁極2の周囲を回動して磁極2に対して線材3を巻線するフライヤ4と、フライヤ4から繰り出された線材3を磁極2に対して案内する一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39と、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39をX軸方向に移動させるトラバース機構18と、トラバース機構18と別にセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39を個別に移動させる移動機構17とを備える。
【0032】
基台5上には移動台21がX軸方向に移動可能に設けられ、この移動台21に第一ヘッド22が立設される。第一ヘッド22は、軸受23を介して回転自在である円筒形状の第一スピンドル軸24を支持すると共に、第一スピンドル軸24の内周に軸受25を介して回転不能の第一中心体26を支持している(第一中心体26を回転不能とする構造については後述する)。第一スピンドル軸24の多極電機子1に臨む先端には環状のフランジ部24aが一体に設けられ、このフランジ部24aに多極電機子1に向けて延在するフライヤ4が取付けられる。フライヤ4は、第一スピンドル軸24の回転軸から偏心した位置に取付けられる。このフライヤ4には、線材3の案内用のローラ4aが設けられ、その先端には線材3を繰り出すノズル27が設けられる。
【0033】
第一スピンドル軸24の先端近傍には、プーリ28が取付けられる。また、移動台21にはフライヤ回転モータ29が設けられ、フライヤ回転モータ29の出力軸にはプーリ30が取付けられる。プーリ28とプーリ30とはベルト31を介して連結される。これにより、フライヤ回転モータ29が駆動すると、第一スピンドル軸24が回転し、フライヤ4が第一スピンドル軸24の回転軸を中心に回動するように構成される。なお、フライヤ4が取付けられた第一スピンドル軸24には、そのフライヤ4の近傍であって回転軸に平行に線材3が挿通する貫通孔24bが形成される。
【0034】
第一中心体26には第一スピンドル軸24の回転軸と同軸上に貫通孔26aが形成される。その貫通孔26aには円筒体43が圧入され、その円筒体43には第一ロッド44が挿通される。第一ロッド44は円筒体43にスプライン係合してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるけれども回転不能に構成され(第一ロッド44の移動機構については後述する)、これにより第一ロッド44は、第一中心体26に対して相対移動可能に構成される。そして第一ロッド44の端部には、先端がテーパ形状45a(図2)に形成された第一カム45が連結される。この第一ロッド44は中空の筒状に形成され、その内部には第二ロッド47が摺動自在に挿入される。この第二ロッド47は第一ロッド44にスプライン係合してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるけれども回転不能に構成される。そして、第一中心体26の先端面には、センタフォーマ15,16を支持するセンタフォーマ支持板33が取付けられる。
【0035】
図2〜図5に示すように、センタフォーマ支持板33の多極電機子1に臨む前面には、多極電機子1の回転軸方向(Z軸方向)に延在したガイドレール34が設けられ、ガイドレール34にはガイドレール34に沿って移動可能な一対の鉛直移動板35a,35bが係合している。一対の鉛直移動板35a,35bは、双方に連結された弾性部材としてのスプリング36にて互いに近づく方向に付勢されている。そして、一対の鉛直移動板35a,35bのそれぞれには、磁極2をZ軸方向から挟持するセンタフォーマ15,16が、フライヤ4の回転軸を中心として互いに対称な位置に取付けられる。
【0036】
図2に示すように、上方における一方のセンタフォーマ15は、鉛直移動板35aから多極電機子1に向かうように前方に伸びた後に下方に向かう略L字状に形成され、その上面から前面に至る外面が曲面状に形成される。また、図4に示すように、この一方のセンタフォーマ15の先端部は下方に向かって先細りに形成され、その下方に向かう先細部15aの幅Hが巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しく形成される。そして、フライヤ4から繰り出された線材3は、このセンタフォーマ15の曲面に沿って滑り落ちて先端における先細部15aから磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0037】
一方、他方のセンタフォーマ16も、図2に示すように、鉛直移動板35bから前方に伸びた後に上方に向かう略L字状に形成され、その下面から前面に至る外面が曲面状に形成される。また、図4に示すように、この他方のセンタフォーマ16の先端部も上方に向かって先細りに形成され、その上方に向かう先細部16aの幅Hも巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しく形成される。そして、フライヤ4から繰り出された線材3は、このセンタフォーマ16の曲面に沿って滑り落ちて先端における先細部16aから磁極2に案内されるように表面が研磨されて仕上げられる。
【0038】
図5に示すように、このようなセンタフォーマ15,16が取付けられた一対の鉛直移動板35a,35bは、互いに対向する部分の中央に開口部が形成され、それらの開口部が上下から互いに対向するようにガイドレール34に係合される。そして、それらの対向する部分であってそのY軸方向の両内側にはローラ35cがそれぞれ設けられる。そして、第一ロッド44先端の第一カム45は、前進することによってセンタフォーマ支持板33の開口部33a(図2)を挿通してそのテーパ形状45aがローラ35cに当接するように配置される。図2に示すように、第一カム45のテーパ形状45aは、多極電機子1に向かって先細りに形成され、ローラ35cに当接したテーパ形状45aが多極電機子1に向かって前進することによって、一対の鉛直移動板35a,35bは、スプリング36の付勢力に抗して押し拡げられてZ軸方向に互いに離れる方向、つまり鉛直方向に移動するように構成される。
【0039】
このように、第一カム45を前進させることによって一対のセンタフォーマ15,16は互いに離れる方向に移動し、第一カム45を後退させることによって一対のセンタフォーマ15,16はスプリング36の付勢力によって近づく方向に移動するように構成される。なお、鉛直移動板35a,35b、スプリング36、及び第一カム45が、一対のセンタフォーマ15,16を多極電機子1の回転軸方向に互いに離接するように移動させる第一の移動機構41に該当する。
【0040】
図2〜図4に示すように、センタフォーマ支持板33には、そのY軸方向の両側に電機子1に向かう側壁32,32がそれぞれ立設され、その側壁32,32の互いの対向面にはX軸方向に伸びるレール32a,32aが設けられる。それらのレール32a,32aにはスライダ32b,32bがそれぞれ移動可能に設けられ、これらのスライダ32b,32bには、取付部材32cがそれぞれ設けられる。そして、Y軸方向の両側における側壁32,32のそれぞれの取付部材32c,32cにサイドプレート支持部材37がセンタフォーマ支持板33と平行になるように架け渡されて固定される。
【0041】
図2及び図3に示すように、第二ロッド47の電機子1側端部には固定部材47aが取付けられ、この固定部材47aがサイドプレート支持部材37に固定される。このようにして、サイドプレート支持部材37には固定部材47aを介して第二ロッド47の電機子1側端部が固定され、その第二ロッド47の移動によりサイドプレート支持部材37は、センタフォーマ支持板33と独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能に構成される。そして、このサイドプレート支持部材37に、磁極2を多極電機子1の周方向から挟む一対のサイドプレート39,39が、フライヤ4の回転軸を中心として互いに対称な位置に配設される。
【0042】
一対のサイドプレート39,39は対象構造であり、その一方を代表してその側面視を説明すると、図2に示すように、サイドプレート39の側面視における外縁は、先端39bが鉛直方向に伸びて直線状を成しその上下方向になだらかな円弧状を成すように形成される。直線を成す先端39bは磁極2の厚さD(図6)より長くなるように形成され、その上下方向における円弧状部39cは一対のセンタフォーマ15,16におけるそれぞれの先細部15a,16aをY軸方向から挟むように形成される。そして、このサイドプレート39の外面及び周囲はその表面が研磨されて仕上げられ、フライヤ4から繰り出されてセンタフォーマ16の曲面に沿って滑り落ちた線材3が、このサイドプレート39外面及び周囲に沿って滑り落ちて磁極2に案内されるように構成される。
【0043】
図2〜図6に示すように、このようなサイドプレート39は、磁極2を多極電機子1の周方向から挟む板状のものであって、その全長を延長させる延長部材38を介してサイドプレート支持部材37に枢支される。サイドプレート支持部材37はX軸方向からみた前面視においてH字状を成し、そのY軸方向の両端部が取付部材32c,32cにそれぞれ取付けられる。延長部材38には、Y軸方向からみた側面視において、センタフォーマ支持板33に臨む後端に、サイドプレート支持部材37の中央部分37aが進入する切り欠き38aが形成される。サイドプレート39は、その後端39dが延長部材38の先端に取付けられてその全長が延長される。サイドプレート支持部材37の中央部分37aが切り欠き38aに進入した状態で、Z軸方向に伸びる枢支ピン38bにより、その延長部材38の略中央部がサイドプレート支持部材37に枢支される(図2,図3,図6)。これにより一対のサイドプレート39,39は、枢支ピン38bを中心として回転可能に設けられる。
【0044】
一対のサイドプレート39,39は、図3に示す上面視において、磁極2に臨む先端が多極電機子1の内周側に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜して設けられる。そして、フライヤ4の回転軸に対するサイドプレート39の傾斜角度を変更して多極電機子1の内周側に臨む先端間隔を変更させるプレート角度変更手段42が設けられる。
【0045】
図3及び図6に示すように、この実施の形態におけるプレート角度変更手段42は、サイドプレート支持部材37の磁極2側にサイドプレート支持部材37と所定の間隔を空けて重なり合う板状部材48と、その板状部材48に支柱49aを介して取付けられた押え部材49と、その押え部材49を磁極2の外端面に当接させるように板状部材48を付勢する押え部材付勢手段40aと、一対のサイドプレート39,39がその押え部材49を挟むように、その一対のサイドプレート39,39を付勢するサイドプレート付勢手段40bとを備える。
【0046】
サイドプレート支持部材37にはフライヤ4の回転軸に平行な4本のスライドピン48aが一対のサイドプレート39,39を包囲するようにその四隅に挿通され、その4本のスライドピン48aの磁極2側端部が板状部材48にネジ止めされる。板状部材48には一対のサイドプレート39,39が別々に遊挿される比較的大きな一対の孔48b,48bが形成され、これにより板状部材48はサイドプレート支持部材37と別に独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能に構成される。サイドプレート支持部材37と板状部材48の間には、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させるように付勢する押え部材付勢手段であるコイルスプリング40aが介装される。そして、サイドプレート支持部材37を通過した4本のスライドピン48aの他端には、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔が所定値以上に拡大することを禁止するストッパ部材48c(図3)が設けられる。
【0047】
押え部材49は、板状部材48の多極電機子1に臨むに前面であって、フライヤ4の回転軸上に、支柱49aを介して取付けられる。図6に示すように、押え部材49は、磁極2における鍔部2aの周方向における幅と略同一の幅に形成される。板状部材48を電機子1側に移動させようとする押え部材付勢手段であるコイルスプリング40aは、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させようとする付勢力により、フライヤ4の回転軸上にあって巻線の対象となる磁極2の外端面に押え部材49を当接させるように構成される。そして、一対のサイドプレート39,39は、巻線の対象である磁極2を挟むものであるので、この一対のサイドプレート39,39は、その磁極2に当接する押え部材49をその幅方向であるY軸方向から挟むように構成される。
【0048】
一方、サイドプレート付勢手段40bは、サイドプレート支持部材37に枢支された延長部材38の枢支点である枢支ピン38bよりセンタフォーマ支持板33側の端部の間に圧縮状態で介装されたコイルスプリング40bである。このコイルスプリング40bの伸長しようとする力によって、延長部材38の先端側における間隔は狭められ、この先端に取付けられた一対のサイドプレート39,39は互いに近づくように付勢される。このため、このコイルスプリング40bにより、一対のサイドプレート39,39は押え部材49を磁極2の幅方向から挟持するように構成される。ここで、一対のサイドプレート39,39は、先端に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜して設けられるので、そのサイドプレート39,39が押え部材49を挟持する位置が異なると、一対のサイドプレート39,39は枢支点である枢支ピン38bを中心としてそれぞれが回転し、その先端39b,39bにおける間隔は変更されることになる。
【0049】
ここで、実際の巻線時に押え部材49は磁極2に当接して移動しないので、一対のサイドプレート39,39の押え部材49に対する位置は、その押え部材49に対するサイドプレート支持部材37の位置により定まる。即ち、図8に示すように、スプリング40aの付勢力により板状部材48からサイドプレート支持部材37が遠ざかって、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにより押え部材49を挟持するようになると、それらの先端39b,39bにおける間隔は拡大するので、枢支ピン38bを中心として一対のサイドプレート39,39は実線矢印で示すように回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は減少する(図8では、図7における角度α2が減少してα1になる場合を示す)。逆に、スプリング40aの付勢力に抗して板状部材48にサイドプレート支持部材37を接近させると、図7に示すように、一対のサイドプレート39,39の延長部材38側において押え部材49を挟持するようになるので、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにおける間隔は減少し、枢支ピン38bを中心として一対のサイドプレート39,39は実線矢印で示すように回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度α2は増加することになる(図7では、図8における角度α1が増加してα2になる場合を示す)。
【0050】
従って、このようなサイドプレート支持部材37を含むプレート角度変更手段42は、押え部材49が磁極2に当接して移動しない実際の巻線時において、サイドプレート支持部材37が磁極2から遠ざかる時に、図8に示すように一対のサイドプレート39,39のフライヤの回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ一対のサイドプレート39,39の先端間隔を拡大させ、サイドプレート支持部材37が磁極2に接近する時に、図7に示すように一対のサイドプレート39,39のフライヤの回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ一対のサイドプレート39,39の先端間隔を減少させるようなものである。
【0051】
図6に示すように、磁極2を周方向、即ちY軸方向から挟持する一対のサイドプレート39,39には、その対向面に磁極2の外周側鍔部2aが進入可能な凹溝39aがフライヤ4の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成される。この凹溝39aのZ軸方向の幅Mは鍔部2aのZ軸方向の寸法Lより大きくしてその鍔部2aが進入可能な大きさとされる。また、この凹溝39aは、サイドプレート39の先端39bから始まって、X軸方向の寸法Nは、図9に示すように、その凹溝39aに鍔部2aが進入した状態でサイドプレートの先端39bが環状部1aに近接可能な長さに形成される。
【0052】
一方、図2及び図4に示すように、一対のセンタフォーマ15,16には、磁極2を幅方向から挟持する一対のサイドプレート39,39の両側における円弧状部39cを鉛直方向から覆う、即ち図2における一対のサイドプレート39,39の上縁及び下縁を多極電機子1の回転軸方向である鉛直方向から覆う覆い部15b,16bがそれぞれ形成される。
【0053】
図1に戻って、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39を多極電機子1の径方向であるX軸方向に移動させるトラバース機構18は、基台5に設けられたトラバースモータ50と、トラバースモータ50の出力軸に連結されフライヤ4の回転軸方向に延在するボールねじ51と、ボールねじ51が螺合する移動体52aと、基台5上にボールねじ51と平行に配置され移動体52aを案内するガイドレール53と、そのガイドレール53に案内される移動体52bとを備える。そして、それらの移動体52a,52bに移動台21が取付けられる。
【0054】
このトラバース機構18では、トラバースモータ50が駆動すると、移動体52a,52bはガイドレール53に案内され、第一ヘッド22を載置する移動台21はフライヤ4の回転軸方向に移動するように構成される。このように、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39をフライヤ4の回転軸方向に移動させることができる。このトラバース機構18は、磁極2への線材3の巻線中、磁極2の周囲に線材3を一周巻線する毎に線材3をX軸方向へ線材3の線径分だけ移動させるために用いられる。
【0055】
一方、センタフォーマ15,16及びサイドプレート39,39をトラバース機構18と別に個別に移動させる移動機構17は、第一ロッド44を軸方向に移動させることによって一対のセンタフォーマ15,16を鉛直方向に移動させる第一ロッド移動機構55と、第二ロッド47を軸方向に移動させることによってサイドプレート39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を変更する第二ロッド移動機構56からなる。この第一ロッド移動機構55及び第二ロッド移動機構56を備える移動機構17は、移動台21とともに移動する第一ヘッド22の後方に設けられたフレーム57に支持される。
【0056】
フレーム57には、フライヤ4の回転軸と平行なガイド軸58が上方にその中心軸を中心に回転可能に架設される。第一ヘッド22に支持された第一スピンドル軸24の第一ヘッド22より後方に存在する後端にはプーリ59aが取付けられ、ガイド軸58には別のプーリ59bがガイド軸58に対して回転不能に取付けられる。そして、プーリ59aとプーリ59bとはベルト59cを介して連結され、第一スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するように構成される。
【0057】
第一ロッド移動機構55は第一ヘッド22と略平行な第二ヘッド60を有し、ガイド軸58はその第二ヘッド60に挿通される。第二ヘッド60はガイド軸58に支持されると共に、そのガイド軸58に沿って移動可能に構成される。第二ヘッド60は、軸受61を介して回転自在である円筒形状の第二スピンドル軸62を支持すると共に、第二スピンドル軸62の内周に軸受63を介して回転不能である第二中心体64を支持している(第二中心体64を回転不能とする構造については後述する)。
【0058】
第二スピンドル軸62の後端には、プーリ65が取付けられる。また、第二ヘッド60のガイド軸58が挿通された部分には、その第二ヘッド60に対して回転可能であってかつ軸方向に移動不能にプーリ67が取付けられる。このプーリ67はガイド軸58に対しては回転不能であってかつ軸方向に移動可能に構成される。そして、プーリ65とプーリ67とはベルト68を介して連結される。これにより、ガイド軸58が回転すると、第二スピンドル軸62も回転するように構成される。
【0059】
第二スピンドル軸62は、回転軸が第一スピンドル軸24の回転軸と偏心して設けられる。そして、第一スピンドル軸24が回転すると、ガイド軸58も回転するので、このガイド軸58の回転により第一スピンドル軸24の回転に同期して第二スピンドル軸62も回転するように構成される。なお、第二スピンドル軸62には、線材3が挿通する貫通孔62aが形成される。また、第二中心体64には、第一中心体26の貫通孔26aと同軸上に貫通孔64aが形成され、貫通孔64aには第一ロッド44の後端が軸方向に移動不能に固定される。
【0060】
フレーム57に覆われる移動台21にはフォーマ鉛直移動モータ71が固定され、フォーマ鉛直移動モータ71の出力軸にはガイド軸58に平行なボールねじ72が連結される。そして、このボールねじ72は、第二ヘッド60の下部に螺合している。これにより、フォーマ鉛直移動モータ71が駆動すると、第二ヘッド60はガイド軸58に沿って移動し、第二中心体64に固定された第一ロッド44を軸方向に移動させるように構成される。このように、フォーマ鉛直移動モータ71を駆動することによって、第一ロッド44先端の第一カム45を前進又は後退させることができ、一対のセンタフォーマ15,16を鉛直方向に移動させて互いに離れ又は接近させるように構成される。
【0061】
一方、第二ロッド移動機構56は、第二ヘッド60と略平行な第三ヘッド75を有する。ガイド軸58は第三ヘッド75も挿通しており、第三ヘッド75も第二ヘッド60と同様、ガイド軸58に支持されると共に、そのガイド軸58に沿って移動可能に構成される。第三ヘッド75は、軸受76を介して回転自在である円筒形状の第三スピンドル軸77を支持すると共に、第三スピンドル軸77の内周に軸受78を介して回転不能である第三中心体79が支持される。
【0062】
第三スピンドル軸77の後端には、プーリ80が取付けられる。また、第三ヘッド75のガイド軸58が挿通された部分には、その第三ヘッド75に対して回転可能であってかつ軸方向に移動不能にプーリ82が取付けられる。このプーリ82はガイド軸58に対しては回転不能であってかつ軸方向に移動可能に構成される。そして、プーリ80とプーリ82とはベルト83を介して連結される。これにより、ガイド軸58が回転すると、第三スピンドル軸77も回転するように構成される。
【0063】
第三スピンドル軸77は、第三スピンドル軸77の回転軸が、第二スピンドル軸62の回転軸と同軸であって、フライヤ4の回転軸、つまり第一スピンドル軸24の回転軸とは偏心するように、第三ヘッド75に支持される。一方、第三スピンドル軸77は、第一スピンドル軸24及び第二スピンドル軸62の回転に同期して回転するように構成される。なお、第三スピンドル軸77には、線材3が挿通する貫通孔77aが形成される。第三中心体79には、第二ロッド47の後端部が連結される。このように、第一中心体26の中心軸と、第二中心体64及び第三中心体79の中心軸とは偏心して連結されるため、それぞれの中心体26,64,79の回転は拘束され、それらの中心体26,64,79が回転するようなことを防止可能に構成される。
【0064】
フレーム57に覆われる移動台21にはプレート角度変更モータ85が固定され、プレート角度変更モータ85の出力軸にはガイド軸58に平行なボールねじ86が連結され、このボールねじ86は、第三ヘッド75の下部に螺合している。これにより、プレート角度変更モータ85が駆動すると、第三ヘッド75はガイド軸58に沿って移動し、第三中心体79に連結された第二ロッド47が軸方向に移動するように構成される。このように、プレート角度変更モータ85を駆動することによって、第二ロッド47の先端に固定されたサイドプレート支持部材37を後退又は前進させることができ、それにより一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する角度(図3)を変更可能に構成される。ここで、図1における87は、移動台21に設けられ、ボールねじ72の後端部とボールねじ86の前端部を突き合わせ状態で枢支する枢支部材87を示す。
【0065】
また、インデックス機構7近辺には、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧することによって、インデックス台11との間にて保持するワーク押え機構88が用いられる。このワーク押え機構88は、基台5上に立設した支柱89の端部に固定された電機子押えモータ90と、電機子押えモータ90の出力軸に連結され多極電機子1の回転軸方向に延在するボールねじ91と、ボールねじ91が螺合する移動体92と、支柱89に鉛直方向に延在して配置され移動体92を案内するガイドレール93とを備える。移動体92の側面には軸受94を介して回転自在なロッド95が設けられる。ロッド95は、多極電機子1の回転軸と同軸上に配置され、ロッド95の下端には多極電機子1の環状部1aに当接する電機子押え部材96が連結されている。
【0066】
そして、電機子押えモータ90が駆動すると、移動体92がガイドレール93に案内され、電機子押え部材96は多極電機子1の回転軸方向に移動する。このように、電機子押えモータ90を駆動することによって、電機子押え部材96はインデックス台11上に載置された多極電機子1の環状部1a上面に当接し、多極電機子1をインデックス台11に対して押圧する。これにより、多極電機子1は、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて保持されるように構成される。なお、電機子押え部材96に連結されたロッド95は軸受94を介して支持されているため、電機子押えモータ90の駆動による多極電機子1の回転中、電機子押え部材96は多極電機子1に従属して回転することになる。
【0067】
多極電機子1の周囲には、フライヤ4から繰り出される線材3が、巻線すべき磁極2の両側にある磁極に引っかかることを防止するために、巻線すべき磁極2の両側にある磁極の鍔部2aをそれぞれ覆う一対のサイドフォーマ97が配設される(図1及び図3参照)。サイドフォーマ97は、先端に向かって先細となるような曲面状に形成され、基台5に立設した支柱98に支持され、図示しない機構によって移動可能に構成される。
【0068】
また、巻線装置100は、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸と一致させるための電機子移動機構99を備える。この電機子移動機構99は、基台5上に配置された支柱101と、支柱101の頂面に配置された電機子移動モータ102と、電機子移動モータ102の出力に連結され多極電機子1の回転軸方向(鉛直方向)に延在するボールねじ103と、ボールねじ103が螺合する移動体104と、支柱101に鉛直方向に延在して配置され移動体104を案内するガイドレール105とを備える。
【0069】
移動体104は、インデックスモータ9を載置するインデックスモータ載置台106に連結される。また、インデックスモータ載置台106を中心としてボールねじ103の反対側には鉛直方向に延在するガイドロッド107が配置され、ガイドロッド107にはインデックスモータ載置台106に連結された移動体108が摺動自在に挿入される。そして、電機子移動モータ102が駆動すると、移動体104がガイドレール105に案内されると共に移動体108がガイドロッド107を摺動し、インデックスモータ載置台106は鉛直方向に移動する。これにより、インデックス台11に支持された多極電機子1は、鉛直方向に移動する。このように、電機子移動機構99における電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)をフライヤ4の回転軸と一致させることが可能となるように構成される。
【0070】
次に、巻線装置100の動作について説明する。この巻線装置100の動作は、巻線装置100に搭載された図示しないコントローラによって自動制御されるものとする。
【0071】
まず、巻線を行う前の準備として、線材供給源(図示せず)から供給される線材3を、テンション装置(図示せず)を経てフレーム57の後部から、第三スピンドル軸77の貫通孔77a、第二スピンドル軸62の貫通孔62a、第一スピンドル軸24の貫通孔24bに順番に通す。そして、フライヤ4に設けられた複数のローラ4aを介してフライヤ先端のノズル27に導く。そして、ノズル27から繰り出した線材3を、多極電機子1の環状部1aに設けられたピン1dに係止させる。
【0072】
次に、多極電機子1を、貫通孔1cに軸11aが挿通するようにしてインデックス台11に載置する。この状態にて、多極電機子1と巻線機構6との位置合せを行う。即ち、電機子移動機構99の電機子移動モータ102を駆動することによって、多極電機子1の鉛直位置(高さ)とフライヤ4の回転軸とを一致させる。つまり、巻線すべき磁極2の巻中心軸とフライヤ4の回転軸とが同じ高さとなるように調整する。調整後、電機子押えモータ90を駆動することによって電機子押え部材96を多極電機子1に向けて下降させ環状部1aに押し付ける。このようにして、多極電機子1を、インデックス台11と電機子押え部材96との間にて支持する。
【0073】
次に、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、複数の磁極2のうち巻線すべき磁極2を巻線位置に設定する。具体的には、巻線すべき磁極2をフライヤ4の回転軸方向に一致させる。このように、フライヤ4の回転軸に対向する位置が巻線位置である。図示しないが、このような多極電機子1の巻線位置への位置合せは、磁極2近傍に設けたセンサ等の図示しない検知器を用いて磁極2の位置を検出し、その検出した情報を基に行うことができる。
【0074】
次に、第二ロッド移動機構56により第二ロッド47とともにサイドプレート支持部材37(図3)をセンタフォーマ支持板33と別に移動させ、センタフォーマ15,16の先端にサイドプレート39,39の先端39b,39bを一致させる(図2)。この状態で、トラバース機構18のトラバースモータ50を駆動することによって移動台21とともに第一ヘッド22を前進させる。それにより、センタフォーマ支持板33、サイドプレート支持部材37及び板状部材48も前進し、図2及び図3に示すように、板状部材48に支柱49aを介して設けられた押え部材49を磁極2の外端面に当接させる。その後、第一ヘッド22を更に前進させて、図9及び図13に示すように、一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を磁極2の基端部に配置させる。
【0075】
具体的には、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16a及び一対のサイドプレート39,39の先端39bと多極電機子1における環状部1aとの間に線材3が進入可能な隙間を空けるように配置する。このとき、一対のセンタフォーマ15,16にあっては、第一カム45(図2)が一対の鉛直移動板35a,35bに当接していない状態にして、図13に示すように、互いの先細部15a,16aにて磁極2を厚さ方向であるZ軸方向から挟持するように配置する。
【0076】
一方、図9に示すように、一対のサイドプレート39,39にあっては、先端に向かうほど互いの距離が近づくようにフライヤ4の回転軸に対して傾斜しているので、押え部材49が磁極2に当接した後に、スプリング40aの付勢力に抗して更にサイドプレート支持部材37が前進して磁極2に接近すると、一対のサイドプレート39,39の延長部材38側において押え部材49を挟持するようになり、スプリング40bの付勢力により一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は増加する。これにより、一対のサイドプレート39,39は、その先端間隔を減少させつつ前進することになり、この結果、一対のサイドプレート39,39は、図9の実線矢印で示すようにフライヤ4の回転軸に対して斜めに移動することになる。すると、コイルスプリング40bの付勢力により磁極2における外周側鍔部2aを挟んでいたとしても、一対のサイドプレート39,39は巻線しようとする磁極2の内周側にまで進入して、互いの先端39b,39bにて磁極2を幅方向であるY軸方向から挟むようになる。この結果、隣接する磁極2に既に巻線が成されていたとしても、多極電機子1の内周側に向かうサイドプレート39の先端39bをその巻線に接触させることなく、巻線しようとする磁極2の内周側にまで進入させることができる。
【0077】
一方、押え部材49にあっては、スプリング40aの付勢力により、磁極2の外端面に当接して磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止することになる。また、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16aの幅H(図4)は巻線対象である磁極2の幅W(図6)と略等しいで、図13に示すように、一対のサイドプレート39,39はその磁極2とともに先細部15a,16aも挟むことになる。そして、図9に示すように、一対のサイドフォーマ97を移動させて、巻線すべき磁極2の両側にある磁極2の鍔部2aをそれぞれ覆うように一対のサイドフォーマ97を配置する。以上が巻線を行う前の準備である。
【0078】
次に、前述した状態で開始される巻線について説明する。
【0079】
図1に示すように、フライヤ4が磁極2の鉛直上方に位置した状態にて、フライヤ回転モータ29を駆動して第一スピンドル軸24とともにフライヤ4を回転させ、フライヤ4から繰り出される線材3を磁極2の周囲に巻回する。第一スピンドル軸24の回転はガイド軸58を介して第二スピンドル軸62及び第三スピンドル軸77に伝達され、フライヤ4の回転に同期させて、第二スピンドル軸62及び第三スピンドル軸77も回転することになる。これにより、線材供給源から供給される線材3を捻ることなく、ノズル27に案内することができる。
【0080】
フライヤ4が磁極2の鉛直上方から鉛直下方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰り出された線材3は、サイドフォーマ97に当接しその斜面に沿って案内されると共に、次にセンタフォーマ15及びサイドプレート39に当接しその曲面を滑り落ちてそれらの先端から磁極2に案内され、磁極2に巻き付けられる。そして、フライヤ4が磁極2の鉛直下方から鉛直上方までの180°回転する過程では、フライヤ4から繰り出された線材3は、サイドフォーマ97に当接しその斜面に沿って案内されると共に、次にセンタフォーマ16及びサイドプレート39に当接しその曲面を滑り落ちてそれらの先端から磁極2に案内され、磁極2に巻き付けられる、このようにして、フライヤ4が1回転するに伴い、線材3は磁極2に1巻きされる。
【0081】
磁極2への1巻きにおいて、磁極2の4面のうち最後に巻線される面(例えば上面)に線材3を巻線するときには、トラバースモータ50を駆動することによって、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を巻線方向(磁極2の径方向であってフライヤ4の回転軸方向)に線材3の線径分だけ多極電機子1から遠ざけるように移動させる。このように、フライヤ4の1回転に付き、磁極2の4面のうちの所定の1面(例えば上面)にて線材3の線径分の送りをかけて巻き進めることによって、磁極2には線材3が整列に巻線されることになる。
【0082】
この整列巻きに際して、一対のセンタフォーマ15,16の先細部15a,16aは磁極2をZ軸方向から僅かな隙間を持って挟持し、一対のサイドプレート39,39はその磁極2をY軸方向から挟むので、巻線が成される磁極2の周囲はこれらにより包囲されることとなり、いわゆるボックス構造を成す。このため、このボックス構造を成す一対のセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39の外面に線材3を滑動させて磁極2に案内することにより、線材3にキズを生じさせることなく磁極2の所望の位置に線材3を巻回して、その線材3を磁極2に整列巻きすることが可能となる。
【0083】
そして、一対のサイドプレート39,39における円弧状部39cが、一対のセンタフォーマ15,16におけるそれぞれの先細部15a,16aをY軸方向から挟むように形成し、その一対のサイドプレート39,39における円弧状部39cの側縁を多極電機子1の軸方向から覆う覆い部15b,16bをそれぞれのセンタフォーマ15,16に形成したので、サイドプレート39の側縁とセンタフォーマ15,16との境の部分に隙間が生じることはない。このため、サイドプレート39の側縁とセンタフォーマ15,16との間に線材3が進入することは防止される。よって、センタフォーマ15,16及びサイドプレート39の表面における案内面を滑動する線材3は磁極2の所定の位置に滑らかに移動することになる。
【0084】
このような整列巻きを繰り返すと、一対のセンタフォーマ15,16はフライヤ4の回転軸方向であるX軸方向に移動し、図14に示すように、第一層目の巻線が完了する以前にその先細部15a,16aが鍔部2aに当接することになる。更に第一層目の整列巻きを続行させるために、一対のセンタフォーマ15,16における先細部15a,16aが鍔部2aに当接する直前に、図15に示すように、一対のセンタフォーマ15,16を移動させて互いの間隔を拡げる。
【0085】
一対のセンタフォーマ15,16の移動は、図1に示すフォーマ鉛直移動モータ71を駆動して第一カム45を前進させ、一対の鉛直移動板35a,35bのローラ35cに当接させる。これにより、一対のセンタフォーマ15,16は、鉛直方向(多極電機子1の回転軸方向)に互いに離れるように移動する。一対のセンタフォーマ15,16のそれぞれのZ軸方向の移動量は、第一カム45の前進量によって調節され、一対のセンタフォーマ15,16が鍔部2aを僅かな隙間を持って多極電機子1の軸方向であるZ軸方向から挟むように設定される。このように、一対のセンタフォーマ15,16をZ軸方向に移動させることにより第一層目の整列巻きが続行可能となる。そして、図15に示すように、第一層目の巻線は、線材3が磁極2の鍔部2aに当接することにより終了する。
【0086】
この第一層目の巻線時において、一対のサイドプレート39,39は、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに磁極2の全巻幅に亘ってX軸方向に移動する。このとき、押え部材49は、スプリング40aの付勢力により磁極2の外端面に当接した状態が維持されてそこに残存する。このため、この押え部材49により第一層目の巻線時に磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止することができる。そして、スプリング40bの付勢力により押え部材49を挟む一対のサイドプレート39,39は、サイドプレート支持部材37に延長部材38を介して枢支されているので、サイドプレート支持部材37とともに磁極2から遠ざかる時に、その先端間隔を拡大させる。すると、一対のサイドプレート39,39のフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度も減少することになり、この一対のサイドプレート39,39は、図10の実線矢印で示すように、フライヤ4の回転軸に対して斜めに移動することとなる。そして、図10に示すように、一対のサイドプレート39,39の拡大した先端39b,39bが鍔部2aを挟み、その先端39bから案内された線材3が磁極2の鍔部2aに当接することにより第一層目の巻線が終了する。
【0087】
続いて、第二層目の巻線が行われるけれども、この第二層目の巻線は、フライヤ4を第一層目における場合と同方向に回転させて線材3を磁極2の周囲に巻回しつつ、トラバースモータ50を第一層目の巻線とは逆方向に回転させ、フライヤ4及びセンタフォーマ15,16及び一対のサイドプレート39,39を多極電機子1に近づける方向に移動させる。
【0088】
この第二層目の巻線の開始にあって、一対のセンタフォーマ15,16は、図15に示す状態から多極電機子1に近づく方向に移動する。すると、その先細部15a,16aが鍔部2aからずれた位置に移動した段階で、一対のセンタフォーマ15,16は互いの間隔を狭め、磁極2に巻回された第一層目の巻線をそれらの先細部15a,16aがZ軸方向から僅かな隙間を持って挟むようにする。これにより、線材3を磁極2に案内して第二層目における安定した整列巻きが可能となる。そして、図16に示すように、第二層目の巻線は、線材3が環状部1aに当接するまで行われる。
【0089】
この第二層目の巻線時において、一対のサイドプレート39,39は、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに多極電機子1に近づく方向に移動する。このとき、押え部材49は、スプリング40aの付勢力により磁極2の外端面に当接して磁極2がフライヤ4の回転軸からずれる移動を防止する。そして、スプリング40bの付勢力により押え部材49を挟む一対のサイドプレート39,39は、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端39b,39bにおける間隔を減少させる。このようにして、この一対のサイドプレート39,39は、図11の実線矢印で示すように、フライヤ4の回転軸に対して斜めに移動する。そして、間隔が減少するそれらの先端39b,39bはその後第一層目の巻線に当接することになる。
【0090】
しかし、一対のサイドプレート39,39は、その傾斜角度を変更して多極電機子の内周側に臨む先端39b,39bの間隔を変更可能にしたので、第一層目の巻線に先端39bが接触した状態で更に前進する。即ち、第一層目の巻線に先端39bが接触した後に、一対のサイドプレート39,39は、第一層目の巻線時よりも先端39b,39bの間隔を拡げた状態でその第一層目の巻線を挟み、その状態で磁極2の内周側に向かって移動しつつ線材3を案内する。よって、本発明の巻線機及び巻線方法では、第一層目のみならず、第二層目以降の巻線時においても、サイドプレート39,39の先端39b,39bを磁極2の内周側にまで十分に進入させることができ、そのサイドプレート39,39を用いて線材3を磁極2に案内することにより安定した整列巻きが可能となる。
【0091】
この場合、一対のサイドプレート39,39は、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端間隔39b,39bを減少させる。即ち、図18の一点鎖線で示すように、一対のサイドプレート39,39が外周側にあって、その先端39b,39bにより押え部材49を挟持した状態では、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は減少している。けれども、一対のサイドプレート39,39が多極電機子1の外周側から内周側に移動すると、スプリング40b(図6)の付勢力により、二点鎖線で示す中間の状態を通過した後、一対のサイドプレート39,39が押え部材49をその延長部材38側において挟持する実線で示す状態となる。すると、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bにおける間隔は減少し、枢支ピン38b(図6)を中心として一対のサイドプレート39,39は回転し、フライヤ4の回転軸に対する傾斜角度は増加することになる(図18では、フライヤ4の回転軸に対する角度が比較的小さいα1から徐々に増加して、α1.5を介してα2になる場合を示す)。
【0092】
このように、多極電機子1の外周側から内周側に移動する時にフライヤ4の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつその先端間隔39b,39bを減少させると、図18の破線矢印で示すように、多極電機子1の内周側に向かう一対のサイドプレート39,39のそれぞれの先端39b,39bは、円弧状を描いて互いの間隔を狭めることになる。すると、傾斜角度を変化させることなくサイドプレート202,202を直線的に移動させる図23に示す場合に比較して、第一層目の巻線にそのサイドプレート39の先端39bを接触させることなく磁極2の内周側にまで進入する距離を増加させることができる。このため、サイドプレート39の先端39bが接触して移動する第一層目の巻線の範囲を減少させることができる。そして、図11に示すように、一対のサイドプレート39,39の先端39b,39bが第一層目の巻線を挟み、その先端39bから案内された線材3が環状部1aに当接することにより第二層目の巻線が終了する。
【0093】
続いて、第三層目の巻線が行われるけれども、この第三層目の巻線は第一層目の巻線手順と同一であり、第四層目の巻線を行う場合には第二層目の巻線手順と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。そして、図12及び図17に第三層目の巻線が完了してその磁極2に予定していた巻線の全てが完了した状態を示す。けれども、更に第四層目以上の巻線を行っても良い。
【0094】
以上にて説明した要領で磁極2に線材3を多層に巻線し、一の磁極2への巻線が終了したら、インデックスモータ9を駆動することによって多極電機子1を回転させ、その一の磁極2と別の磁極2を巻線位置に配置し、新たに巻線を開始する。
【0095】
なお、図21に四層の巻線がなされる場合を示す。この図21に示すように、多極電機子1は磁極2が放射状に設けられるため、磁極2と磁極2の間の隙間であるスロット1bは内周側において狭まる。このため、第一層目以上の巻線が成されると、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが内周側において線材3の線径未満となる場合が生じる。すると、内周側におけるその隙間Fへの巻線は不能になる。けれども、外周側にあっては、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越えていれば、その外周側において更なる巻線が可能である。
【0096】
このように、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが内周側において線材3の線径未満になる場合の第二層目以降の巻線時には、磁極2の全巻幅の内の一部において、具体的には、磁極2の全巻幅の内の磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越える電機子1の外周側における一部において、一対のサイドプレート39,39を、その先端39b,39bを一対のセンタフォーマ15,16の先端に一致させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16とともに移動させることにより、その一部の範囲において一対のセンタフォーマ15,16と一対のサイドプレート39,39の双方により線材3を磁極2に案内することが可能となる。
【0097】
ここで、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間が線材3の線径を越えていても、その隙間にサイドプレート39を進入させた場合に、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線との距離Gが線材3の線径未満になる場合には、サイドプレート39の表面に線材3が滑動しないので、そのサイドプレート39を用いて線材3を案内することができない。このため、全巻幅の内の一部の範囲とは、スロット1bに進入させたサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gが線材3の線径を越える範囲となる。けれども、一対のサイドプレート39,39の対向面に磁極2の外周側鍔部2aが進入可能な凹溝39a,39aをフライヤ4の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成すれば、磁極2と磁極2の間に実際に進入するサイドプレート39の厚さtは減少し、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gは拡大する。この結果、そのサイドプレート39により線材3の案内が可能な全巻幅の内の一部の範囲を拡大することができる。また、このような凹溝39a,39aを形成しても、その凹溝39a,39aを挟む両側の厚肉部39e,39e(図6)によってサイドプレート39の強度を確保することができる。
【0098】
一方、そのサイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離Gが線材3の線径未満であるけれども、サイドプレート39が進入しない状態で、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間Fが線材3の線径を越えていれば、その範囲における巻線は可能である。この場合における巻線は、図19及び図20に示すように、サイドプレート39と隣接する磁極2に成された巻線110との距離F(図21)が線材3の線径を越える外周側に一対のサイドプレート39,39を残存させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16のみをフライヤ4の回転軸方向に移動させ、その一対のセンタフォーマ15,16により線材3を磁極2に案内することにより巻線が成される。センタフォーマ15,16の移動は、上述したように、トラバース機構18のトラバースモータ50を駆動することによって移動台21及び、第一ヘッド22とともにセンタフォーマ支持板33を移動させることにより行われる。けれども、一対のサイドプレート39,39を外周側に残存させるには、図1に示すプレート角度変更モータ85を駆動して第二ロッド47とともにサイドプレート支持部材37を、センタフォーマ支持板33の移動速度と同一の速度で逆方向に移動させる。これにより、磁極2に対して一対のサイドプレート39,39は静止してその外周側に残存することになる。
【0099】
このように、磁極2に巻回された線材3と隣接する磁極2に成された巻線110との隙間F(図21)が内周側において減少しても、その外周側の一部の範囲において一対のセンタフォーマ15,16と一対のサイドプレート39,39の双方により線材3を磁極2に案内することができる。そして、一対のセンタフォーマ15,16は一対のサイドプレート39,39と別に独立してフライヤ4の回転軸方向に移動可能であるので、外周側に一対のサイドプレート39,39を残存させた状態で、一対のセンタフォーマ15,16のみをフライヤ4の回転軸方向に移動させることにより、その一部の範囲を超えた巻線も可能である。よって、本発明にあっては、上層の巻線であっても、十分に整列巻きを可能とすることができる。
【0100】
なお、上述した実施の形態では、サイドプレート付勢手段40b及び板状部材付勢手段40aとして、コイルスプリングからなるを例示したけれども、サイドプレート支持部材37と板状部材48の間隔を拡大させるように付勢する限り、又は一対のサイドプレート39,39が押え部材49を挟持するように一対のサイドプレート39,39を付勢する限り、板状部材付勢手段及びサイドプレート付勢手段はエア圧により付勢力を生じるエアシリンダ等であっても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 多極電機子
2 磁極
2a 鍔部
3 線材
4 フライヤ
15,16 センタフォーマ
37 サイドプレート支持部材
39 サイドプレート
39a 凹溝
40a 板状部材付勢手段
40b サイドプレート付勢手段
42 プレート角度変更手段
48 板状部材
49 押え部材
100 巻線装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動しながら線材(3)を繰り出して前記磁極(2)に対して前記線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、
前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)と、
前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の周方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のサイドプレート(39,39)と
を備えた巻線装置であって、
前記一対のサイドプレート(39,39)は,前記多極電機子(1)の内周側に向かうほど互いの距離が近づくように前記フライヤ(4)の回転軸に対して傾斜し,かつ前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を変更して前記多極電機子(1)の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成された
ことを特徴とする巻線装置。
【請求項2】
巻線される磁極(2)に対向するサイドプレート支持部材(37)がフライヤ(4)の回転軸方向に移動可能に設けられ、前記サイドプレート支持部材(37)に一対のサイドプレート(39,39)がそれぞれ枢支された請求項1記載の巻線装置。
【請求項3】
サイドプレート支持部材(37)が磁極(2)から遠ざかる時に一対のサイドプレート(39,39)のフライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を拡大させ、前記サイドプレート支持部材(37)が前記磁極(2)に接近する時に前記一対のサイドプレート(39,39)の前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を減少させるプレート角度変更手段(42)を備えた請求項2記載の巻線装置。
【請求項4】
プレート角度変更手段(42)は、磁極(2)の外端面に当接する押え部材(49)と、一対のサイドプレート(39,39)が前記押え部材(49)を挟持するように前記一対のサイドプレート(39,39)を付勢するサイドプレート付勢手段(40b)とを有する請求項3記載の巻線装置。
【請求項5】
プレート角度変更手段(42)は、サイドプレート支持部材(37)の磁極(2)側に前記サイドプレート支持部材(37)と所定の間隔を空けて重なり合い前記サイドプレート支持部材(37)と別に独立して前記フライヤ(4)の回転軸方向に移動可能な板状部材(48)と、前記サイドプレート支持部材(37)と前記板状部材(48)の間隔を拡大させるように付勢する板状部材付勢手段(40a)とを更に備え、前記板状部材(48)に押え部材(49)が設けられた請求項4記載の巻線装置。
【請求項6】
一対のサイドプレート(39,39)の対向面に磁極(2)の外周側鍔部(2a)が進入可能な凹溝(39a,39a)がフライヤ(4)の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成された請求項1ないし5いずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項7】
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動しながら線材(3)を繰り出して前記磁極(2)に対して前記線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の周方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のサイドプレート(39,39)とを備えた巻線装置(100)を用いて前記多極電機子(1)の各磁極(2)に前記線材(3)を巻線する巻線方法であって、
前記一対のサイドプレート(39,39)を前記多極電機子(1)の内周側に向かうほど互いの距離が近づくように前記フライヤ(4)の回転軸に対して傾斜させ、
巻線時に前記フライヤ(4)の回転軸に対する前記一対のサイドプレート(39,39)の傾斜角度を変更して前記多極電機子(1)の内周側に臨む先端間隔を変更させる
ことを特徴とする巻線方法。
【請求項8】
一対のサイドプレート(39,39)が多極電機子(1)の内周側から外周側に移動する時に前記一対のサイドプレート(39,39)のフライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を拡大させ、
前記一対のサイドプレート(39,39)が前記多極電機子(1)の外周側から内周側に移動する時に前記一対のサイドプレート(39,39)の前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を減少させる
請求項7記載の巻線方法。
【請求項9】
磁極(2)に線材(3)を複数層巻線する巻線方法であって、
全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマ(15,16)を前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
第二層目以降のいずれかの層の巻線時に前記磁極(2)の全巻幅の内の少なくとも一部で一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに移動させる請求項8記載の巻線方法。
【請求項10】
磁極(2)に線材(3)を複数層巻線する巻線方法であって、
全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマ(15,16)を前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
第二層目以降の巻線であって、前記磁極(2)に巻回された線材(3)と隣接する磁極(2)に成された巻線との隙間が前記線材(3)の線径未満になる時に、前記磁極(2)の全巻幅の内の前記磁極(2)に巻回された前記線材(3)と前記隣接する磁極(2)に成された巻線との隙間が前記線材(3)の線径を越える少なくとも一部において、前記一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに移動させる請求項8記載の巻線方法。
【請求項1】
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動しながら線材(3)を繰り出して前記磁極(2)に対して前記線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、
前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)と、
前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の周方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のサイドプレート(39,39)と
を備えた巻線装置であって、
前記一対のサイドプレート(39,39)は,前記多極電機子(1)の内周側に向かうほど互いの距離が近づくように前記フライヤ(4)の回転軸に対して傾斜し,かつ前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を変更して前記多極電機子(1)の内周側に臨む先端間隔を変更可能に構成された
ことを特徴とする巻線装置。
【請求項2】
巻線される磁極(2)に対向するサイドプレート支持部材(37)がフライヤ(4)の回転軸方向に移動可能に設けられ、前記サイドプレート支持部材(37)に一対のサイドプレート(39,39)がそれぞれ枢支された請求項1記載の巻線装置。
【請求項3】
サイドプレート支持部材(37)が磁極(2)から遠ざかる時に一対のサイドプレート(39,39)のフライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を拡大させ、前記サイドプレート支持部材(37)が前記磁極(2)に接近する時に前記一対のサイドプレート(39,39)の前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を減少させるプレート角度変更手段(42)を備えた請求項2記載の巻線装置。
【請求項4】
プレート角度変更手段(42)は、磁極(2)の外端面に当接する押え部材(49)と、一対のサイドプレート(39,39)が前記押え部材(49)を挟持するように前記一対のサイドプレート(39,39)を付勢するサイドプレート付勢手段(40b)とを有する請求項3記載の巻線装置。
【請求項5】
プレート角度変更手段(42)は、サイドプレート支持部材(37)の磁極(2)側に前記サイドプレート支持部材(37)と所定の間隔を空けて重なり合い前記サイドプレート支持部材(37)と別に独立して前記フライヤ(4)の回転軸方向に移動可能な板状部材(48)と、前記サイドプレート支持部材(37)と前記板状部材(48)の間隔を拡大させるように付勢する板状部材付勢手段(40a)とを更に備え、前記板状部材(48)に押え部材(49)が設けられた請求項4記載の巻線装置。
【請求項6】
一対のサイドプレート(39,39)の対向面に磁極(2)の外周側鍔部(2a)が進入可能な凹溝(39a,39a)がフライヤ(4)の回転軸方向に伸びてそれぞれ形成された請求項1ないし5いずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項7】
多極電機子(1)における磁極(2)の周囲を回動しながら線材(3)を繰り出して前記磁極(2)に対して前記線材(3)を巻線するフライヤ(4)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の軸方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のセンタフォーマ(15,16)と、前記磁極(2)を前記多極電機子(1)の周方向から挟むように配設され前記フライヤ(4)から繰り出された前記線材(3)を前記磁極(2)に案内する一対のサイドプレート(39,39)とを備えた巻線装置(100)を用いて前記多極電機子(1)の各磁極(2)に前記線材(3)を巻線する巻線方法であって、
前記一対のサイドプレート(39,39)を前記多極電機子(1)の内周側に向かうほど互いの距離が近づくように前記フライヤ(4)の回転軸に対して傾斜させ、
巻線時に前記フライヤ(4)の回転軸に対する前記一対のサイドプレート(39,39)の傾斜角度を変更して前記多極電機子(1)の内周側に臨む先端間隔を変更させる
ことを特徴とする巻線方法。
【請求項8】
一対のサイドプレート(39,39)が多極電機子(1)の内周側から外周側に移動する時に前記一対のサイドプレート(39,39)のフライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を減少させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を拡大させ、
前記一対のサイドプレート(39,39)が前記多極電機子(1)の外周側から内周側に移動する時に前記一対のサイドプレート(39,39)の前記フライヤ(4)の回転軸に対する傾斜角度を増加させつつ前記一対のサイドプレート(39,39)の先端間隔を減少させる
請求項7記載の巻線方法。
【請求項9】
磁極(2)に線材(3)を複数層巻線する巻線方法であって、
全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマ(15,16)を前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
第二層目以降のいずれかの層の巻線時に前記磁極(2)の全巻幅の内の少なくとも一部で一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに移動させる請求項8記載の巻線方法。
【請求項10】
磁極(2)に線材(3)を複数層巻線する巻線方法であって、
全ての層の巻線時に一対のセンタフォーマ(15,16)を前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
少なくとも第一層目の巻線時に一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに前記磁極(2)の全巻幅に亘って移動させ、
第二層目以降の巻線であって、前記磁極(2)に巻回された線材(3)と隣接する磁極(2)に成された巻線との隙間が前記線材(3)の線径未満になる時に、前記磁極(2)の全巻幅の内の前記磁極(2)に巻回された前記線材(3)と前記隣接する磁極(2)に成された巻線との隙間が前記線材(3)の線径を越える少なくとも一部において、前記一対のサイドプレート(39,39)をその先端を一対のセンタフォーマ(15,16)の先端に一致させた状態で前記一対のセンタフォーマ(15,16)とともに移動させる請求項8記載の巻線方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−135077(P2012−135077A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282774(P2010−282774)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]