布地の縫製方法及び縫製製品
【課題】縫合した布地の端がほつれないのは勿論のこと、ロックかがりを施した部分に縫い代ができない生地の縫製方法、及び縫合した部分に縫い代がない縫製製品を提供する。
【解決手段】布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、を備えた布地の縫製方法である。
【解決手段】布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、を備えた布地の縫製方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地の縫製方法及び縫製製品にかかり、特に、縫製した後に縫い代が形成されない布地の縫製方法及び縫製製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の布地を重ね合わせ、これらを縫合する方法として、ロックミシンを使用したロックかがりが知られている。この従来のロックかがりは、縫い代の端がほつれない様に、縫合すべき布地の端をカットしながらかがり縫いするものであり、内側の縫い目が縫合の役割を果たしており、この内側の縫い目から生地のカットされた端部までが、縫い代となっている。
【0003】
このようなロックかがり(かがり縫い)が行われた衣料の製造方法として、例えば、第一の布地の第一表面に第二の布地の第一表面を直接的に又は他の部材を介在させて重ね合わせ、第二の布地の第二表面に熱接着性物質を有するシート状部材の第一表面を直接的に又は他の部材を介在させて重ね合わせ、第一の布地、第二の布地、及びシート状部材をともに裁断することによりこれらの端部を揃える工程と、第一の布地、第二の布地、及びシート状部材の上記端部をかがり縫い(ロックかがり)する工程と、第二の布地を折り返し、折り返された第二の布地の第二表面側をシート状部材の第二表面側に折り重ねる工程と、第一の布地、第二の布地、シート状部材、及び折り返された第二の布地をさらに縫合する工程と、加熱により熱接着性物質を溶融させる工程を有することを特徴とする衣料の製造方法が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−105475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロックかがりを施した部分には、ロック幅の縫い代ができるという特徴がある。また、特許文献1に記載された方法で製造した衣料では、ロックかがりした部分を折り返してさらに縫合するため、他の部分よりも厚くなり、着心地等を悪くする虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、縫合した布地の端がほつれないのは勿論のこと、ロックかがりを施した部分に縫い代ができない生地の縫製方法、及び縫合した部分に縫い代がない縫製製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、を備えた布地の縫製方法を提供するものである。
【0008】
この布地の縫製方法によれば、布地同士を縫合した際に、縫合による縫い代が形成されることがなく、前記布地同士を繋ぎ合わせることができる。また、この縫製方法によって得られた縫製製品の前記第1の縫合工程によって縫合された部分は、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0009】
また、前記縫合工程は、前記第1の積層体の縁近傍をカットすることで、当該第1の積層体の縁を揃えながら前記縁かがりを行う工程を有し、前記第1の展開工程は、前記布地の縁同士が対向するように当該布地を開く工程を有することができる。
【0010】
そしてまた、前記第1の展開工程では、前記第1の積層体の縁を中心として略180度の角度で開くことができる。このようにすることで、前記布地同士を縫合して繋ぎ合わせた布地を形成することができる。この繋ぎ合わされた布地の繋ぎ領域(繋ぎ部分)には、前述したように縫い代がなく、且つ、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0011】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記重ね合わされる布地が、第1の布地と、第2の布地と、前記第1の積層体を形成した際に、当該第1の積層体の縁に沿った方向に対し略直角方向の長さが、前記第1の布地及び第2の布地の長さよりも短い第3の布地とからなり、前記第1の積層体を形成する工程では、前記第1の布地、第3の布地、第2の布地を、この順に重ね合わせ、前記第1の展開工程では、前記第1の積層体の縁を中心として前記第1の布地と前記第2の布地を開くことができる。
【0012】
この布地の縫製方法によれば、第1の布地と、第2の布地との繋ぎ領域(繋ぎ部分)に縫い代を形成することなく、第3の布地を縫合することができる。例えば、第3の布地がレースやリボン等の飾り布の場合、より装飾性のある繋ぎ領域を形成することができる。なお、この場合も、第1の布地、第2の布地及び第3の布地の繋ぎ領域(繋ぎ部分)には、前述したように縫い代がなく、且つ、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の展開工程後、前記第1の縫合工程により形成された縫い目上に、さらにステッチをかける工程を備えることもできる。この場合、前記ステッチをかける工程では、ステッチをジグザグ状にかけることができる。このようにすることで、縫合強度をさらに向上させることができると共に、違ったデザインを提供することができる。
【0014】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の積層体を形成した後、当該第1の積層体の端部上に、前記振り糸の振り幅と略同一の長尺体を載置する工程をさらに備え、前記第1の縫合工程では、前記振り糸により前記長尺体を縫い込みながら前記縁かがりを行うことができる。このようにすることで、前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体を挟持することができる。この時、前記長尺体が、装飾用のテープや、意匠糸、毛糸等であれば、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。
【0015】
また、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の展開工程で、前記第1の積層体の縁を中心として略360度の角度で開くことで重ね合わされた布地により第2の積層体を形成することもできる。この工程により、前記360度の角度で開かれた(ひっくり返された)第1の積層体の縁が、第2の積層体の縁となり、この縁に、地縫い糸によるステッチを形成することができる。
【0016】
そしてまた、この工程の場合、前記第1の展開工程後、前記第2の積層体の縁に対し略平行な折り目が形成されるように、当該第2の積層体を折り曲げる工程と、前記第2の積層体の折り曲げた領域の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、前記折り目から振り糸を外側に延出させて当該第2の積層体の縁かがりを行う第2の縫合工程と、前記第2の縫合工程後、前記折り目を中心として前記第2の積層体を開く第2の展開工程と、をさらに備えることもできる。このようにすることで、前記折り目部分の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。
【0017】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法は、前記第1の積層体を形成する工程は、前記布地を折り曲げることによって、当該布地を重ね合わせる工程を有し、前記第1の積層体の縁は、当該折り曲げることによって形成された折り目から構成してもよい。そしてこの場合、前記第1の積層体を形成する工程は、少なくとも2枚の布地を重ねた状態で折り曲げる工程を有し、前記少なくとも2枚の布地のうち少なくとも1枚は、他の布地よりも幅が狭いものを使用してもよい。
【0018】
また、本発明は、前述した縫製方法によって縫製された部分を有する縫製製品を提供するものである。
【0019】
そしてまた、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と、前記第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0020】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地と第2の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、繋ぎ領域の表面及び裏面でステッチの見え方が異なり美観やデザイン性を向上することができる。
【0021】
さらにまた、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地、第2の布地、及び当該布地及び第2の布地よりも幅が狭い第3の布地が繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、当該第1の布地上に前記第3の布地が重ねられてなり、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0022】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地、第2の布地及び第3の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、第3の布地として、例えば装飾性があるレースやリボン等の装飾性材料を使用すれば、第1の布地と第2の布地との繋ぎ目に装飾性材料を配設することができる。また、前記繋ぎ領域の表面及び裏面でステッチの見え方が異なり美観やデザイン性をさらに向上することができる。
【0023】
また、前述した縫製製品は、前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体を挟持した構成を有していてもよい。この場合、例えば、前記長尺体が、装飾用のテープや、意匠糸、毛糸等であれば、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。
【0024】
また、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して当該第1の布地と第2の布地とが重ね合わされた積層体を形成した際に、前記繋ぎ領域が当該積層体の縁を構成すると共に、当該繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが揃った状態で重ね合わされてなり、前記積層体の一方の面の縁及び他方の面の縁に、地縫い糸によるステッチが形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0025】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地と第2の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、前記積層体の縁の両面に、ステッチを形成することができ、美観やデザイン性を向上することができる。
【0026】
また、前記積層体の縁の両面にステッチが形成されてなる縫製製品の場合、当該積層体の一方の面の前記縁部よりも内側に、当該縁部と所定の間隔をおき且つ当該縁部と略平行に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、当該積層体の他方の面の前記地縫い糸によるステッチが形成された領域に対応する部分に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されていてもよい。
【0027】
なお、本発明でいう「布地」とは、例えば、織物、ジャージ、ニット地、レザー、不織布、紙、ビニール等、その素材は特に限定されるものではない。また、「縫製製品」としては、例えば、洋服、和服、寝具、服飾品、家庭用品一般等、前述した繋ぎ領域を備えていれば、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる布地の縫製方法によれば、布地同士を縫合した際に、縫い代が形成されることなく、前記布地同士を繋ぎ合わせることができると共に、縫合された部分の表面及び裏面に、振り糸によるステッチを形成することができる。この結果、表裏面共に見た目も美しく、リバーシブルに使用することができ、衣服を縫製した場合、着心地を向上することもできる。
【0029】
また、本発明にかかる縫製製品によれば、布地と布地とを縫製により繋ぎ合わせた際に形成される繋ぎ領域に、縫い代が存在せず、当該繋ぎ領域の表裏面にステッチが形成されているため、見た目も美しく、所望によりリバーシブルとして使用することができる。さらに、縫い代がないため、衣服を縫製した場合、着心地を向上することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図2は、図1に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図、図3は、図2に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図、図4は、図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【0032】
本発明の実施の形態1にかかる縫製製品1は、図2〜図4に示すように、第1の布地10と第2の布地20に対し、地縫い糸100と、第1の振り糸200と、第2の振り糸300とを用いたロックかがりを行い、第1の布地10と第2の布地20とを繋ぎ合わせた繋ぎ領域Cを備えて構成されている。すなわち、この縫製製品1は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10と第2の布地20とを縫合するための縫い代が形成されていない。
【0033】
繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設されており、この繋ぎ領域Cの一方の面(図2参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成されている。一方、繋ぎ領域Cの他方の面(図3参照)には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って、図3に示す左側から右側に向けて連続して形成されている。
【0034】
この縫製製品1は、以下の方法によって製造される。
【0035】
先ず、図1に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成する。
【0036】
なお、実施の形態1では、第1の布地10及び第2の布地20として、ジャージ素材を使用した。なお、第1の布地10及び第2の布地20としては、ジャージ素材の他、例えば、滑脱し難い素材、ほつれ難い素材、ストレット性がある素材等が好適に使用できる。
【0037】
また、実施の形態1では、地縫い糸100として、ウーリー糸を使用した。なお、地縫い糸100としては、ウーリー糸の他、比較的強度があり、滑り難い糸を好適に使用することができる。また、9〜11番針で使用可能な太さのものを使用することが好ましい。
【0038】
さらに、実施の形態1では、第1の振り糸200として、ウーリー糸を使用した。この第1の振り糸200は、針穴を通す必要がないので、所望により、様々な太さの糸や、意匠、毛糸等を使用することもできる。
【0039】
そしてまた、実施の形態1では、第2の振り糸300として、ウーリー糸を使用した。なお、第2の振り糸300としては、比較的強度があり、滑り難い糸を好適に使用することができる。この第2の振り糸300も、針穴を通す必要がないので、所望により、様々な太さの糸を使用することが可能であるが、布地の表面には殆ど現れない。
【0040】
次に、積層体50の縁51(揃えられた縁11と縁21とからなる)から間隔A(実施の形態1では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁51から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体50の縁かがりを行う。この時、縁51よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態1では、地縫い糸100の糸調子を、第1の布地10と第2の布地20を約180度の角度で開く事ができるように緩くし、第1の振り糸200の糸調子及び第2の振り糸300の糸調子を、うかないようにセットする。また、縫い目のピッチは、5〜12目/cm程度とした。なお、縫い目のピッチは、細い糸を使用した場合は、ピッチを短くし、太い糸の場合はピッチを長くすることが好ましい。
【0041】
その後、積層体50の縁51を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にすると、図2〜図4に示すように、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設される。そして、繋ぎ領域Cの一方の面(図2参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成され、他方の面(図3参照)には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成される。
【0042】
なお、図5に示すように、繋ぎ領域Cに形成されたステッチ上に、さらにジグザグ状のステッチ500を形成してもよい。また、他のパターンのステッチをかけてもよい。このようにすることで、第1の布地10と第2の布地20との縫合強度をさらに向上させることができると共に、外観上、前記とは異なったデザインを提供することができる。
【0043】
なお、実施の形態1にかかる縫製製品1としては、例えば、洋服、和服、寝具、服飾品、家庭用品一般等、前述した繋ぎ領域を備えていれば、特に限定されるものではないが、実施の形態1では、例えば、図17に示すように、ジャケットを採用した。
【0044】
図17に示すジャケットは、前身頃の切替線よりも脇線側の布(脇身頃)を第1の布地10とし、中央よりの布を第2の布地20として、実施の形態1にかかる縫製方法により、第1の布地10と第2の布地20とを縫合したものである。この場合、前身頃の切替線上には、地縫い糸100によるステッチが形成され(図17参照)、その裏面には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成(図示せず)されている。また、第1の布地10と第2の布地20とを入れ替えて、前身頃の切替線上に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成されるようにしてもよい。
【0045】
また、図18に示すように、縫製製品1がスカートの場合は、複数の第1の布地10と第2の布地20とを交互にはぎ合わせ、はぎ合わせ部分(縫合部分)に、実施の形態1にかかるステッチを形成することもできる。
【0046】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0047】
そしてまた、実施の形態1にかかる縫製製品1は、図23及び図24に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成した後、積層体50の縁51上に、第1の振り糸200の幅とほぼ同一あるいは若干幅の狭い長尺な装飾用のテープ150を載置し、第1の振り糸200により、装飾用のテープ150を縫い込みながら前記縁かがりを行ってもよい。この時、装飾用のテープ150は、第1の振り糸200が、縁51から外側に延出する距離にほぼ等しい距離で、縁51から外側に延出させる。
【0048】
この工程を行うことで、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ150を挟み込むことができ、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。なお、装飾用のテープ150の代わりに、例えば、意匠糸や毛糸等を使用することもできる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0050】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図7は、図6に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【0051】
なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図6及び図7に示すように、実施の形態2にかかる縫製製品2は、第1の布地10と、第2の布地20と、第1の布地10上に重ねられた第3の布地30に対し、地縫い糸100と、第1の振り糸200と、第2の振り糸300とを用いたロックかがりを行い、第1の布地10、第2の布地20、第1の布地10上に重ねられた第3の布地30を繋ぎ合わせた繋ぎ領域Cを備えて構成されている。
【0053】
第3の布地30は、第1の布地10及び第2の布地20よりも幅が狭い(ステッチ形成方向Sに対し垂直方向の長さが短い)布地からなり、実施の形態2では、市販のレースリボンを使用した。
【0054】
繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と、第3の布地30の縁31とが揃えられた状態で第1の布地10上に第3の布地30が配設されており、第1の布地10の縁11及び第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設されており、この繋ぎ領域Cの一方の面(図7参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成されている。一方、繋ぎ領域Cの他方の面(図示せず)には、前述した図3と同様のステッチが形成されている。すなわち、この縫製製品2は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10、第2の布地20、第3の布地30を縫合するための縫い代が形成されていない。また、繋ぎ領域Cに、レース等の装飾部材(第3の布地30)が配設されるため、装飾性をより向上することができる。
【0055】
この縫製製品2は、以下の方法によって製造される。
【0056】
先ず、図6に示すように、第1の布地10の縁11と、第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10、第3の布地30、第2の布地20を、この順に重ね合わせ、積層体60を形成する。なお、実施の形態2では、第1の布地10及び第2の布地20は、実施の形態1と同じものを使用した。また、第3の布地30としては、滑脱し難いものを使用した。なお、第3の布地30として、滑脱し難いものを使用すれば、縁をカットしてもするため、第1の布地10及び第2の布地20から滑脱することをより確実に防止することができる。また、地縫い糸100、第1の振り糸200及び第2の振り糸300は、実施の形態1と同じものを使用した。
【0057】
次に、積層体60の縁61(揃えられた縁11、縁21、縁31とからなる)から間隔A(実施の形態2では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁61から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体60の縁かがりを行う。この時、縁61よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態2では、地縫い糸100、第1の振り糸200の糸調子、第2の振り糸300の糸調子、縫い目のピッチは、実施の形態1と同様にした。
【0058】
その後、図7に示すように、積層体60の縁61を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にすると、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10の縁11及び第1の布地10上に重ねられた第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設される。そして、繋ぎ領域Cの一方の面(図7参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成され、他方の面には、図3に示すステッチと同様のステッチが形成される。
【0059】
なお、実施の形態2にかかる縫製製品2の繋ぎ領域Cにも、形成されたステッチ上に、さらにジグザグ状のステッチ500(図5参照)を形成してもよい。また、他のパターンのステッチをかけてもよい。このようにすることで、第1の布地10、第2の布地20、第3の布地30の縫合強度をさらに向上させることができると共に、外観上、前記とは異なったデザインを提供することができる。
【0060】
また、実施の形態2にかかる縫製製品2として、例えば、図19に示すように、ブラウスを採用した。この場合、ブラウスの前身頃本体を第1の布地10とし、ヨーク部分を第2の布地20とし、前身頃本体とヨーク部分との切替位置に配設されたレースを第3の布地30とすることができる。また、前身頃本体とヨーク部分との切替線上には、地縫い糸100によるステッチが形成され(図19参照)、その裏面には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順で形成(図示せず)されている。そしてまた、前身頃本体とヨーク部分との切替線上に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順で形成されるようにしてもよい。
【0061】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0062】
また、実施の形態2の場合も、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ等を挟み込んでもよい。
【0063】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【0065】
なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本発明の実施の形態3にかかる縫製製品3は、図8に示すように、繋ぎ合わされてなる第1の布地10と第2の布地20の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して、第1の布地10と第2の布地20とが重ね合わされた積層体70を形成した際に、繋ぎ領域Cが、積層体70の縁71を構成すると共に、繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と第2の布地20の縁21とが揃った状態で重ね合わされており、積層体70の縁の両面に地縫い糸100によるはしご状のステッチが形成された構成を備えている。すなわち、この縫製製品1は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10と第2の布地20とを縫合するための縫い代が形成されていない。
【0067】
この縫製製品3は、以下の方法によって製造される。
【0068】
先ず、前述した図1に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成する。なお、実施の形態3では、第1の布地10及び第2の布地20は、実施の形態1と同様のものを使用した。また、地縫い糸100、第1の振り糸200、第2の振り糸300についても、実施の形態1と同様のものを使用した。
【0069】
次に、前述した図1に示すように、積層体50の縁51(揃えられた縁11と縁21とからなる)から間隔A(実施の形態3では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁51から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体50の縁かがりを行う。この時、縁51よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態3では、地縫い糸100、第1の振り糸200の糸調子、第2の振り糸300の糸調子、縫い目のピッチは、実施の形態1と同様にした。
【0070】
その後、前述した図2に示すように、積層体50の縁51を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にした後、さらに約180度の角度で折り曲げて、図8に示すように、合計略360度開いた状態とし、第1の布地10及び第2の布地20を重ね合わせ、積層体70を形成する。なお、積層体70は、積層体50をひっくり返した状態である。この時、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21は、揃えられた状態で重ね合わされており、積層体70の縁71には、地縫い糸100によるはしご状のステッチが形成される。
【0071】
なお、実施の形態3にかかる縫製製品3は、この状態からさらに、図9に示すように、積層体70の縁71から内側に、縁71に対し略平行な折り目が形成されるように、積層体70を折り曲げて、この折り目を縁72として、実施の形態1と同様に、地縫い糸100により地縫いすると共に、折り目(縁72)から第1の振り糸200及び第2の振り糸300外側に延出させて積層体70の縁72の縁かがりを行い、その後、図10に示すように、積層体70を、折り目(縁72)を中心として略180度の角度で開いてもよい。
【0072】
このようにすることで、積層体70の縁71に形成された地縫い糸100によるはしご状のステッチに加え、積層体70の一方の面に、当該ステッチから内側に所定の間隔をおいて、実施の形態1と同様に、地縫い糸100によるステッチ(図10参照)を形成し、他方の面に、図11に示すように、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成することができる。
【0073】
また、実施の形態3にかかる縫製製品3として、例えば、図20に示すように、ジャケットを採用した。この場合、ジャケットの前立ての縁部分、裾、袖口等にステッチを形成することができる。
【0074】
さらに、図21に示すように、前立ての縁部分から内側に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成してもよい。この場合、前立て部分で重なった布地(第1の布地10と第2の布地20)を固定することができ、布地の浮き等を一層防止することができる。
【0075】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0076】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0077】
図12は、本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図13は、図12に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図、図14は、図13に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【0078】
なお、実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0079】
実施の形態4にかかる縫製製品4は、図12〜図14に示すように、布地40を折り曲げることによって重ね合わせ、布地40の折り目を縁41として、実施の形態1と同様の地縫い及び縁かがりを行った後、布地40を約180度の角度で開いて略平面状にした構成を有しており、布地40の一方の面の前記折り目(縁41)となった部分に、地縫い糸100によるステッチが形成され、反対面の同位置に、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って、図14に示す左側から右側に向けて連続して形成されている。
【0080】
また、この縫製製品4は、図15及び図16に示すように、布地40と、布地40よりも幅が狭い布地45(実施の形態4では、レース部材)を重ねた状態で、布地45の長手方向に沿った略中心線が折り目46となるように、布地40と布地45とを折り曲げ、この折り目46と布地40の折り目(縁41)とを合わせて縁47として、実施の形態1と同様の地縫い及び縁かがりを行った後、布地40及び布地45を約180度の角度で開いて略平面状にしてもよい。この場合、図16に示すように、布地40上に配置されて縫合された布地45の折り目46となった部分に、地縫い糸100によるステッチが形成される。また、布地40の反対側の面の同位置には、図14と同様に、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成される。
【0081】
また、実施の形態4にかかる縫製製品4として、例えば、図22に示すように、カットソーやブラウスを採用した。この場合、カットソーやブラウスの前立ての縁部分等にステッチを形成することができる。
【0082】
また、実施の形態4の場合も、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ等を挟み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図2】図1に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図3】図2に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図4】図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図7】図6に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図10】図9に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図11】図10に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図13】図12に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図14】図13に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図16】図15に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態1にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図18】本発明の実施の形態1にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図20】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図22】本発明の実施の形態4にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図23】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図24】本発明の他の実施の形態にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1、2、3、4 縫製製品
10 第1の布地
11、21、31、41、47、51、61、71、72 縁
20 第2の布地
30 第3の布地
40、45 布地
50、60、70 積層体
100 地縫い糸
150 装飾用のテープ
200 第1の振り糸
300 第2の振り糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地の縫製方法及び縫製製品にかかり、特に、縫製した後に縫い代が形成されない布地の縫製方法及び縫製製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の布地を重ね合わせ、これらを縫合する方法として、ロックミシンを使用したロックかがりが知られている。この従来のロックかがりは、縫い代の端がほつれない様に、縫合すべき布地の端をカットしながらかがり縫いするものであり、内側の縫い目が縫合の役割を果たしており、この内側の縫い目から生地のカットされた端部までが、縫い代となっている。
【0003】
このようなロックかがり(かがり縫い)が行われた衣料の製造方法として、例えば、第一の布地の第一表面に第二の布地の第一表面を直接的に又は他の部材を介在させて重ね合わせ、第二の布地の第二表面に熱接着性物質を有するシート状部材の第一表面を直接的に又は他の部材を介在させて重ね合わせ、第一の布地、第二の布地、及びシート状部材をともに裁断することによりこれらの端部を揃える工程と、第一の布地、第二の布地、及びシート状部材の上記端部をかがり縫い(ロックかがり)する工程と、第二の布地を折り返し、折り返された第二の布地の第二表面側をシート状部材の第二表面側に折り重ねる工程と、第一の布地、第二の布地、シート状部材、及び折り返された第二の布地をさらに縫合する工程と、加熱により熱接着性物質を溶融させる工程を有することを特徴とする衣料の製造方法が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−105475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロックかがりを施した部分には、ロック幅の縫い代ができるという特徴がある。また、特許文献1に記載された方法で製造した衣料では、ロックかがりした部分を折り返してさらに縫合するため、他の部分よりも厚くなり、着心地等を悪くする虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、縫合した布地の端がほつれないのは勿論のこと、ロックかがりを施した部分に縫い代ができない生地の縫製方法、及び縫合した部分に縫い代がない縫製製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、を備えた布地の縫製方法を提供するものである。
【0008】
この布地の縫製方法によれば、布地同士を縫合した際に、縫合による縫い代が形成されることがなく、前記布地同士を繋ぎ合わせることができる。また、この縫製方法によって得られた縫製製品の前記第1の縫合工程によって縫合された部分は、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0009】
また、前記縫合工程は、前記第1の積層体の縁近傍をカットすることで、当該第1の積層体の縁を揃えながら前記縁かがりを行う工程を有し、前記第1の展開工程は、前記布地の縁同士が対向するように当該布地を開く工程を有することができる。
【0010】
そしてまた、前記第1の展開工程では、前記第1の積層体の縁を中心として略180度の角度で開くことができる。このようにすることで、前記布地同士を縫合して繋ぎ合わせた布地を形成することができる。この繋ぎ合わされた布地の繋ぎ領域(繋ぎ部分)には、前述したように縫い代がなく、且つ、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0011】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記重ね合わされる布地が、第1の布地と、第2の布地と、前記第1の積層体を形成した際に、当該第1の積層体の縁に沿った方向に対し略直角方向の長さが、前記第1の布地及び第2の布地の長さよりも短い第3の布地とからなり、前記第1の積層体を形成する工程では、前記第1の布地、第3の布地、第2の布地を、この順に重ね合わせ、前記第1の展開工程では、前記第1の積層体の縁を中心として前記第1の布地と前記第2の布地を開くことができる。
【0012】
この布地の縫製方法によれば、第1の布地と、第2の布地との繋ぎ領域(繋ぎ部分)に縫い代を形成することなく、第3の布地を縫合することができる。例えば、第3の布地がレースやリボン等の飾り布の場合、より装飾性のある繋ぎ領域を形成することができる。なお、この場合も、第1の布地、第2の布地及び第3の布地の繋ぎ領域(繋ぎ部分)には、前述したように縫い代がなく、且つ、その一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。したがって、両面共に見た目が美しく、所望によりリバーシブルとしても使用することができる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の展開工程後、前記第1の縫合工程により形成された縫い目上に、さらにステッチをかける工程を備えることもできる。この場合、前記ステッチをかける工程では、ステッチをジグザグ状にかけることができる。このようにすることで、縫合強度をさらに向上させることができると共に、違ったデザインを提供することができる。
【0014】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の積層体を形成した後、当該第1の積層体の端部上に、前記振り糸の振り幅と略同一の長尺体を載置する工程をさらに備え、前記第1の縫合工程では、前記振り糸により前記長尺体を縫い込みながら前記縁かがりを行うことができる。このようにすることで、前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体を挟持することができる。この時、前記長尺体が、装飾用のテープや、意匠糸、毛糸等であれば、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。
【0015】
また、本発明にかかる布地の縫製方法では、前記第1の展開工程で、前記第1の積層体の縁を中心として略360度の角度で開くことで重ね合わされた布地により第2の積層体を形成することもできる。この工程により、前記360度の角度で開かれた(ひっくり返された)第1の積層体の縁が、第2の積層体の縁となり、この縁に、地縫い糸によるステッチを形成することができる。
【0016】
そしてまた、この工程の場合、前記第1の展開工程後、前記第2の積層体の縁に対し略平行な折り目が形成されるように、当該第2の積層体を折り曲げる工程と、前記第2の積層体の折り曲げた領域の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、前記折り目から振り糸を外側に延出させて当該第2の積層体の縁かがりを行う第2の縫合工程と、前記第2の縫合工程後、前記折り目を中心として前記第2の積層体を開く第2の展開工程と、をさらに備えることもできる。このようにすることで、前記折り目部分の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチを形成することができ、他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、をこの順でステッチ形成方向に沿って形成することができる。
【0017】
そしてまた、本発明にかかる布地の縫製方法は、前記第1の積層体を形成する工程は、前記布地を折り曲げることによって、当該布地を重ね合わせる工程を有し、前記第1の積層体の縁は、当該折り曲げることによって形成された折り目から構成してもよい。そしてこの場合、前記第1の積層体を形成する工程は、少なくとも2枚の布地を重ねた状態で折り曲げる工程を有し、前記少なくとも2枚の布地のうち少なくとも1枚は、他の布地よりも幅が狭いものを使用してもよい。
【0018】
また、本発明は、前述した縫製方法によって縫製された部分を有する縫製製品を提供するものである。
【0019】
そしてまた、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と、前記第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0020】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地と第2の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、繋ぎ領域の表面及び裏面でステッチの見え方が異なり美観やデザイン性を向上することができる。
【0021】
さらにまた、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地、第2の布地、及び当該布地及び第2の布地よりも幅が狭い第3の布地が繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、当該第1の布地上に前記第3の布地が重ねられてなり、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0022】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地、第2の布地及び第3の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、第3の布地として、例えば装飾性があるレースやリボン等の装飾性材料を使用すれば、第1の布地と第2の布地との繋ぎ目に装飾性材料を配設することができる。また、前記繋ぎ領域の表面及び裏面でステッチの見え方が異なり美観やデザイン性をさらに向上することができる。
【0023】
また、前述した縫製製品は、前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体を挟持した構成を有していてもよい。この場合、例えば、前記長尺体が、装飾用のテープや、意匠糸、毛糸等であれば、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。
【0024】
また、本発明は、地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して当該第1の布地と第2の布地とが重ね合わされた積層体を形成した際に、前記繋ぎ領域が当該積層体の縁を構成すると共に、当該繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが揃った状態で重ね合わされてなり、前記積層体の一方の面の縁及び他方の面の縁に、地縫い糸によるステッチが形成されてなる縫製製品を提供するものである。
【0025】
この構成を備えた縫製製品は、第1の布地と第2の布地との繋ぎ領域に縫い代が形成されていない。また、前記積層体の縁の両面に、ステッチを形成することができ、美観やデザイン性を向上することができる。
【0026】
また、前記積層体の縁の両面にステッチが形成されてなる縫製製品の場合、当該積層体の一方の面の前記縁部よりも内側に、当該縁部と所定の間隔をおき且つ当該縁部と略平行に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、当該積層体の他方の面の前記地縫い糸によるステッチが形成された領域に対応する部分に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されていてもよい。
【0027】
なお、本発明でいう「布地」とは、例えば、織物、ジャージ、ニット地、レザー、不織布、紙、ビニール等、その素材は特に限定されるものではない。また、「縫製製品」としては、例えば、洋服、和服、寝具、服飾品、家庭用品一般等、前述した繋ぎ領域を備えていれば、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる布地の縫製方法によれば、布地同士を縫合した際に、縫い代が形成されることなく、前記布地同士を繋ぎ合わせることができると共に、縫合された部分の表面及び裏面に、振り糸によるステッチを形成することができる。この結果、表裏面共に見た目も美しく、リバーシブルに使用することができ、衣服を縫製した場合、着心地を向上することもできる。
【0029】
また、本発明にかかる縫製製品によれば、布地と布地とを縫製により繋ぎ合わせた際に形成される繋ぎ領域に、縫い代が存在せず、当該繋ぎ領域の表裏面にステッチが形成されているため、見た目も美しく、所望によりリバーシブルとして使用することができる。さらに、縫い代がないため、衣服を縫製した場合、着心地を向上することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図2は、図1に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図、図3は、図2に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図、図4は、図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【0032】
本発明の実施の形態1にかかる縫製製品1は、図2〜図4に示すように、第1の布地10と第2の布地20に対し、地縫い糸100と、第1の振り糸200と、第2の振り糸300とを用いたロックかがりを行い、第1の布地10と第2の布地20とを繋ぎ合わせた繋ぎ領域Cを備えて構成されている。すなわち、この縫製製品1は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10と第2の布地20とを縫合するための縫い代が形成されていない。
【0033】
繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設されており、この繋ぎ領域Cの一方の面(図2参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成されている。一方、繋ぎ領域Cの他方の面(図3参照)には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って、図3に示す左側から右側に向けて連続して形成されている。
【0034】
この縫製製品1は、以下の方法によって製造される。
【0035】
先ず、図1に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成する。
【0036】
なお、実施の形態1では、第1の布地10及び第2の布地20として、ジャージ素材を使用した。なお、第1の布地10及び第2の布地20としては、ジャージ素材の他、例えば、滑脱し難い素材、ほつれ難い素材、ストレット性がある素材等が好適に使用できる。
【0037】
また、実施の形態1では、地縫い糸100として、ウーリー糸を使用した。なお、地縫い糸100としては、ウーリー糸の他、比較的強度があり、滑り難い糸を好適に使用することができる。また、9〜11番針で使用可能な太さのものを使用することが好ましい。
【0038】
さらに、実施の形態1では、第1の振り糸200として、ウーリー糸を使用した。この第1の振り糸200は、針穴を通す必要がないので、所望により、様々な太さの糸や、意匠、毛糸等を使用することもできる。
【0039】
そしてまた、実施の形態1では、第2の振り糸300として、ウーリー糸を使用した。なお、第2の振り糸300としては、比較的強度があり、滑り難い糸を好適に使用することができる。この第2の振り糸300も、針穴を通す必要がないので、所望により、様々な太さの糸を使用することが可能であるが、布地の表面には殆ど現れない。
【0040】
次に、積層体50の縁51(揃えられた縁11と縁21とからなる)から間隔A(実施の形態1では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁51から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体50の縁かがりを行う。この時、縁51よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態1では、地縫い糸100の糸調子を、第1の布地10と第2の布地20を約180度の角度で開く事ができるように緩くし、第1の振り糸200の糸調子及び第2の振り糸300の糸調子を、うかないようにセットする。また、縫い目のピッチは、5〜12目/cm程度とした。なお、縫い目のピッチは、細い糸を使用した場合は、ピッチを短くし、太い糸の場合はピッチを長くすることが好ましい。
【0041】
その後、積層体50の縁51を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にすると、図2〜図4に示すように、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設される。そして、繋ぎ領域Cの一方の面(図2参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成され、他方の面(図3参照)には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成される。
【0042】
なお、図5に示すように、繋ぎ領域Cに形成されたステッチ上に、さらにジグザグ状のステッチ500を形成してもよい。また、他のパターンのステッチをかけてもよい。このようにすることで、第1の布地10と第2の布地20との縫合強度をさらに向上させることができると共に、外観上、前記とは異なったデザインを提供することができる。
【0043】
なお、実施の形態1にかかる縫製製品1としては、例えば、洋服、和服、寝具、服飾品、家庭用品一般等、前述した繋ぎ領域を備えていれば、特に限定されるものではないが、実施の形態1では、例えば、図17に示すように、ジャケットを採用した。
【0044】
図17に示すジャケットは、前身頃の切替線よりも脇線側の布(脇身頃)を第1の布地10とし、中央よりの布を第2の布地20として、実施の形態1にかかる縫製方法により、第1の布地10と第2の布地20とを縫合したものである。この場合、前身頃の切替線上には、地縫い糸100によるステッチが形成され(図17参照)、その裏面には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成(図示せず)されている。また、第1の布地10と第2の布地20とを入れ替えて、前身頃の切替線上に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って形成されるようにしてもよい。
【0045】
また、図18に示すように、縫製製品1がスカートの場合は、複数の第1の布地10と第2の布地20とを交互にはぎ合わせ、はぎ合わせ部分(縫合部分)に、実施の形態1にかかるステッチを形成することもできる。
【0046】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0047】
そしてまた、実施の形態1にかかる縫製製品1は、図23及び図24に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成した後、積層体50の縁51上に、第1の振り糸200の幅とほぼ同一あるいは若干幅の狭い長尺な装飾用のテープ150を載置し、第1の振り糸200により、装飾用のテープ150を縫い込みながら前記縁かがりを行ってもよい。この時、装飾用のテープ150は、第1の振り糸200が、縁51から外側に延出する距離にほぼ等しい距離で、縁51から外側に延出させる。
【0048】
この工程を行うことで、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ150を挟み込むことができ、前記とは異なったデザインを提供することができると共に、さらに装飾性を向上することもできる。なお、装飾用のテープ150の代わりに、例えば、意匠糸や毛糸等を使用することもできる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0050】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図7は、図6に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【0051】
なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図6及び図7に示すように、実施の形態2にかかる縫製製品2は、第1の布地10と、第2の布地20と、第1の布地10上に重ねられた第3の布地30に対し、地縫い糸100と、第1の振り糸200と、第2の振り糸300とを用いたロックかがりを行い、第1の布地10、第2の布地20、第1の布地10上に重ねられた第3の布地30を繋ぎ合わせた繋ぎ領域Cを備えて構成されている。
【0053】
第3の布地30は、第1の布地10及び第2の布地20よりも幅が狭い(ステッチ形成方向Sに対し垂直方向の長さが短い)布地からなり、実施の形態2では、市販のレースリボンを使用した。
【0054】
繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と、第3の布地30の縁31とが揃えられた状態で第1の布地10上に第3の布地30が配設されており、第1の布地10の縁11及び第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設されており、この繋ぎ領域Cの一方の面(図7参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成されている。一方、繋ぎ領域Cの他方の面(図示せず)には、前述した図3と同様のステッチが形成されている。すなわち、この縫製製品2は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10、第2の布地20、第3の布地30を縫合するための縫い代が形成されていない。また、繋ぎ領域Cに、レース等の装飾部材(第3の布地30)が配設されるため、装飾性をより向上することができる。
【0055】
この縫製製品2は、以下の方法によって製造される。
【0056】
先ず、図6に示すように、第1の布地10の縁11と、第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10、第3の布地30、第2の布地20を、この順に重ね合わせ、積層体60を形成する。なお、実施の形態2では、第1の布地10及び第2の布地20は、実施の形態1と同じものを使用した。また、第3の布地30としては、滑脱し難いものを使用した。なお、第3の布地30として、滑脱し難いものを使用すれば、縁をカットしてもするため、第1の布地10及び第2の布地20から滑脱することをより確実に防止することができる。また、地縫い糸100、第1の振り糸200及び第2の振り糸300は、実施の形態1と同じものを使用した。
【0057】
次に、積層体60の縁61(揃えられた縁11、縁21、縁31とからなる)から間隔A(実施の形態2では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁61から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体60の縁かがりを行う。この時、縁61よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態2では、地縫い糸100、第1の振り糸200の糸調子、第2の振り糸300の糸調子、縫い目のピッチは、実施の形態1と同様にした。
【0058】
その後、図7に示すように、積層体60の縁61を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にすると、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10の縁11及び第1の布地10上に重ねられた第3の布地30の縁31と、第2の布地20の縁21とが、対向した状態(付き合わされた状態)で重なることなく配設される。そして、繋ぎ領域Cの一方の面(図7参照)には、地縫い糸100によるステッチが形成され、他方の面には、図3に示すステッチと同様のステッチが形成される。
【0059】
なお、実施の形態2にかかる縫製製品2の繋ぎ領域Cにも、形成されたステッチ上に、さらにジグザグ状のステッチ500(図5参照)を形成してもよい。また、他のパターンのステッチをかけてもよい。このようにすることで、第1の布地10、第2の布地20、第3の布地30の縫合強度をさらに向上させることができると共に、外観上、前記とは異なったデザインを提供することができる。
【0060】
また、実施の形態2にかかる縫製製品2として、例えば、図19に示すように、ブラウスを採用した。この場合、ブラウスの前身頃本体を第1の布地10とし、ヨーク部分を第2の布地20とし、前身頃本体とヨーク部分との切替位置に配設されたレースを第3の布地30とすることができる。また、前身頃本体とヨーク部分との切替線上には、地縫い糸100によるステッチが形成され(図19参照)、その裏面には、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順で形成(図示せず)されている。そしてまた、前身頃本体とヨーク部分との切替線上に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順で形成されるようにしてもよい。
【0061】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0062】
また、実施の形態2の場合も、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ等を挟み込んでもよい。
【0063】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0064】
図8は、本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【0065】
なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本発明の実施の形態3にかかる縫製製品3は、図8に示すように、繋ぎ合わされてなる第1の布地10と第2の布地20の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して、第1の布地10と第2の布地20とが重ね合わされた積層体70を形成した際に、繋ぎ領域Cが、積層体70の縁71を構成すると共に、繋ぎ領域Cでは、第1の布地10の縁11と第2の布地20の縁21とが揃った状態で重ね合わされており、積層体70の縁の両面に地縫い糸100によるはしご状のステッチが形成された構成を備えている。すなわち、この縫製製品1は、繋ぎ領域Cにおいて、第1の布地10と第2の布地20とを縫合するための縫い代が形成されていない。
【0067】
この縫製製品3は、以下の方法によって製造される。
【0068】
先ず、前述した図1に示すように、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21とを揃えた状態で、第1の布地10と第2の布地20を重ね合わせ、積層体50を形成する。なお、実施の形態3では、第1の布地10及び第2の布地20は、実施の形態1と同様のものを使用した。また、地縫い糸100、第1の振り糸200、第2の振り糸300についても、実施の形態1と同様のものを使用した。
【0069】
次に、前述した図1に示すように、積層体50の縁51(揃えられた縁11と縁21とからなる)から間隔A(実施の形態3では、2〜3mm程度とした)をおいた内側に、地縫い糸100を用いて地縫いを行うと共に、縁51から第1の振り糸200及び第2の振り糸300を外側に間隔B(実施の形態1では、1〜2mm程度とした)をもって延出させながら積層体50の縁かがりを行う。この時、縁51よりも若干内側をカッターNによってカットしてもよい。なお、実施の形態3では、地縫い糸100、第1の振り糸200の糸調子、第2の振り糸300の糸調子、縫い目のピッチは、実施の形態1と同様にした。
【0070】
その後、前述した図2に示すように、積層体50の縁51を中心として、第1の布地10と第2の布地20を略180度の角度で開いて略平面状にした後、さらに約180度の角度で折り曲げて、図8に示すように、合計略360度開いた状態とし、第1の布地10及び第2の布地20を重ね合わせ、積層体70を形成する。なお、積層体70は、積層体50をひっくり返した状態である。この時、第1の布地10の縁11と、第2の布地20の縁21は、揃えられた状態で重ね合わされており、積層体70の縁71には、地縫い糸100によるはしご状のステッチが形成される。
【0071】
なお、実施の形態3にかかる縫製製品3は、この状態からさらに、図9に示すように、積層体70の縁71から内側に、縁71に対し略平行な折り目が形成されるように、積層体70を折り曲げて、この折り目を縁72として、実施の形態1と同様に、地縫い糸100により地縫いすると共に、折り目(縁72)から第1の振り糸200及び第2の振り糸300外側に延出させて積層体70の縁72の縁かがりを行い、その後、図10に示すように、積層体70を、折り目(縁72)を中心として略180度の角度で開いてもよい。
【0072】
このようにすることで、積層体70の縁71に形成された地縫い糸100によるはしご状のステッチに加え、積層体70の一方の面に、当該ステッチから内側に所定の間隔をおいて、実施の形態1と同様に、地縫い糸100によるステッチ(図10参照)を形成し、他方の面に、図11に示すように、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成することができる。
【0073】
また、実施の形態3にかかる縫製製品3として、例えば、図20に示すように、ジャケットを採用した。この場合、ジャケットの前立ての縁部分、裾、袖口等にステッチを形成することができる。
【0074】
さらに、図21に示すように、前立ての縁部分から内側に、地縫い糸100によるステッチと、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成してもよい。この場合、前立て部分で重なった布地(第1の布地10と第2の布地20)を固定することができ、布地の浮き等を一層防止することができる。
【0075】
なお、布地と布地とを縫合する部位であれば、他の部分に前記ステッチを形成することができることは勿論である。
【0076】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法及び縫製製品について図面を参照して説明する。
【0077】
図12は、本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図、図13は、図12に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図、図14は、図13に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【0078】
なお、実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0079】
実施の形態4にかかる縫製製品4は、図12〜図14に示すように、布地40を折り曲げることによって重ね合わせ、布地40の折り目を縁41として、実施の形態1と同様の地縫い及び縁かがりを行った後、布地40を約180度の角度で開いて略平面状にした構成を有しており、布地40の一方の面の前記折り目(縁41)となった部分に、地縫い糸100によるステッチが形成され、反対面の同位置に、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って、図14に示す左側から右側に向けて連続して形成されている。
【0080】
また、この縫製製品4は、図15及び図16に示すように、布地40と、布地40よりも幅が狭い布地45(実施の形態4では、レース部材)を重ねた状態で、布地45の長手方向に沿った略中心線が折り目46となるように、布地40と布地45とを折り曲げ、この折り目46と布地40の折り目(縁41)とを合わせて縁47として、実施の形態1と同様の地縫い及び縁かがりを行った後、布地40及び布地45を約180度の角度で開いて略平面状にしてもよい。この場合、図16に示すように、布地40上に配置されて縫合された布地45の折り目46となった部分に、地縫い糸100によるステッチが形成される。また、布地40の反対側の面の同位置には、図14と同様に、第1の振り糸200によるステッチと、第2の振り糸300によるステッチ及び地縫い糸100によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向Sに沿って連続して形成される。
【0081】
また、実施の形態4にかかる縫製製品4として、例えば、図22に示すように、カットソーやブラウスを採用した。この場合、カットソーやブラウスの前立ての縁部分等にステッチを形成することができる。
【0082】
また、実施の形態4の場合も、第1の振り糸200によるステッチと、繋ぎ領域Cの他方の面との間に、装飾用のテープ等を挟み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図2】図1に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図3】図2に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図4】図2に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図7】図6に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図10】図9に示す第1の布地と第2の布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図11】図10に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態4にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図13】図12に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図14】図13に示す縫製製品の反対側の面を示す平面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図16】図15に示す布地を開いて得た縫製製品の一部を示す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態1にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図18】本発明の実施の形態1にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図20】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態3にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図22】本発明の実施の形態4にかかる縫製製品の一例を示す平面図である。
【図23】本発明の他の実施の形態にかかる布地の縫製方法に含まれる工程の一部を示す平面図である。
【図24】本発明の他の実施の形態にかかる縫製製品の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1、2、3、4 縫製製品
10 第1の布地
11、21、31、41、47、51、61、71、72 縁
20 第2の布地
30 第3の布地
40、45 布地
50、60、70 積層体
100 地縫い糸
150 装飾用のテープ
200 第1の振り糸
300 第2の振り糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、
前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、
前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、
を備えた布地の縫製方法。
【請求項2】
前記縫合工程は、前記第1の積層体の縁近傍をカットすることで、当該第1の積層体の縁を揃えながら前記縁かがりを行う工程を有し、
前記第1の展開工程は、前記布地の縁同士が対向するように当該布地を開く工程を有する請求項1記載の布地の縫製方法。
【請求項3】
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として略180度の角度で開く工程を有する請求項1または請求項2記載の布地の縫製方法。
【請求項4】
前記重ね合わされる布地は、
第1の布地と、
第2の布地と、
前記第1の積層体を形成した際に、当該第1の積層体の縁に沿った方向に対し略直角方向の長さが、前記第1の布地及び第2の布地の長さよりも短い第3の布地と、
からなり、
前記第1の積層体を形成する工程は、前記第1の布地、第3の布地、第2の布地を、この順に重ね合わせる工程を有し、
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として前記第1の布地と前記第2の布地を開く工程を有する請求項3記載の布地の縫製方法。
【請求項5】
前記第1の展開工程後、前記第1の縫合工程により形成された縫い目上に、さらにステッチをかける工程を備えた請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の布地の縫製方法。
【請求項6】
前記ステッチをジグザグ状にかける請求項5記載の布地の縫製方法。
【請求項7】
前記第1の積層体を形成した後、当該第1の積層体の端部上に、前記振り糸の振り幅と略同一の長尺体を載置する工程をさらに備え、
前記第1の縫合工程では、前記振り糸により前記長尺体を縫い込みながら前記縁かがりを行う請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の布地の縫製方法。
【請求項8】
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として略360度の角度で開くことで重ね合わされた布地により第2の積層体を形成する工程を有する請求項1または請求項2記載の布地の縫製方法。
【請求項9】
前記第1の展開工程後、前記第2の積層体の縁に対し略平行な折り目が形成されるように、当該第2の積層体を折り曲げる工程と、
前記第2の積層体の折り曲げた領域の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、前記折り目から振り糸を外側に延出させて当該第2の積層体の縁かがりを行う第2の縫合工程と、
前記第2の縫合工程後、前記折り目を中心として前記第2の積層体を開く第2の展開工程と、
をさらに備えた請求項8記載の布地の縫製方法。
【請求項10】
前記第1の積層体を形成する工程は、前記布地を折り曲げることによって、当該布地を重ね合わせる工程を有し、
前記第1の積層体の縁は、当該折り曲げることによって形成された折り目からなる請求項1記載の布地の縫製方法。
【請求項11】
前記第1の積層体を形成する工程は、少なくとも2枚の布地を重ねた状態で折り曲げる工程を有し、
前記少なくとも2枚の布地のうち少なくとも1枚は、他の布地よりも幅が狭い請求項10記載の布地の縫製方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の縫製方法によって縫製された部分を有する縫製製品。
【請求項13】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と、前記第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品。
【請求項14】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地、第2の布地、及び当該布地及び第2の布地よりも幅が狭い第3の布地が繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、当該第1の布地上に前記第3の布地が重ねられてなり、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品。
【請求項15】
前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体が挟持されてなる請求項13または請求項14記載の縫製製品。
【請求項16】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して当該第1の布地と第2の布地とが重ね合わされた積層体を形成した際に、前記繋ぎ領域が当該積層体の縁を構成すると共に、当該繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが揃った状態で重ね合わされてなり、前記積層体の一方の面の縁及び他方の面の縁に、地縫い糸によるステッチが形成されてなる縫製製品。
【請求項17】
前記積層体の一方の面の前記縁部よりも内側に、当該縁部と所定の間隔をおき且つ当該縁部と略平行に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、当該積層体の他方の面の前記地縫い糸によるステッチが形成された領域に対応する部分に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる請求項14記載の縫製製品。
【請求項1】
布地を重ね合わせて第1の積層体を形成する工程と、
前記第1の積層体の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、当該第1の積層体の縁から振り糸を外側に延出させて当該第1の積層体の縁かがりを行う第1の縫合工程と、
前記第1の縫合工程後、前記第1の積層体の縁を中心として前記布地を開く第1の展開工程と、
を備えた布地の縫製方法。
【請求項2】
前記縫合工程は、前記第1の積層体の縁近傍をカットすることで、当該第1の積層体の縁を揃えながら前記縁かがりを行う工程を有し、
前記第1の展開工程は、前記布地の縁同士が対向するように当該布地を開く工程を有する請求項1記載の布地の縫製方法。
【請求項3】
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として略180度の角度で開く工程を有する請求項1または請求項2記載の布地の縫製方法。
【請求項4】
前記重ね合わされる布地は、
第1の布地と、
第2の布地と、
前記第1の積層体を形成した際に、当該第1の積層体の縁に沿った方向に対し略直角方向の長さが、前記第1の布地及び第2の布地の長さよりも短い第3の布地と、
からなり、
前記第1の積層体を形成する工程は、前記第1の布地、第3の布地、第2の布地を、この順に重ね合わせる工程を有し、
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として前記第1の布地と前記第2の布地を開く工程を有する請求項3記載の布地の縫製方法。
【請求項5】
前記第1の展開工程後、前記第1の縫合工程により形成された縫い目上に、さらにステッチをかける工程を備えた請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の布地の縫製方法。
【請求項6】
前記ステッチをジグザグ状にかける請求項5記載の布地の縫製方法。
【請求項7】
前記第1の積層体を形成した後、当該第1の積層体の端部上に、前記振り糸の振り幅と略同一の長尺体を載置する工程をさらに備え、
前記第1の縫合工程では、前記振り糸により前記長尺体を縫い込みながら前記縁かがりを行う請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の布地の縫製方法。
【請求項8】
前記第1の展開工程は、前記第1の積層体の縁を中心として略360度の角度で開くことで重ね合わされた布地により第2の積層体を形成する工程を有する請求項1または請求項2記載の布地の縫製方法。
【請求項9】
前記第1の展開工程後、前記第2の積層体の縁に対し略平行な折り目が形成されるように、当該第2の積層体を折り曲げる工程と、
前記第2の積層体の折り曲げた領域の端部を地縫い糸により地縫いすると共に、前記折り目から振り糸を外側に延出させて当該第2の積層体の縁かがりを行う第2の縫合工程と、
前記第2の縫合工程後、前記折り目を中心として前記第2の積層体を開く第2の展開工程と、
をさらに備えた請求項8記載の布地の縫製方法。
【請求項10】
前記第1の積層体を形成する工程は、前記布地を折り曲げることによって、当該布地を重ね合わせる工程を有し、
前記第1の積層体の縁は、当該折り曲げることによって形成された折り目からなる請求項1記載の布地の縫製方法。
【請求項11】
前記第1の積層体を形成する工程は、少なくとも2枚の布地を重ねた状態で折り曲げる工程を有し、
前記少なくとも2枚の布地のうち少なくとも1枚は、他の布地よりも幅が狭い請求項10記載の布地の縫製方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の縫製方法によって縫製された部分を有する縫製製品。
【請求項13】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と、前記第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品。
【請求項14】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地、第2の布地、及び当該布地及び第2の布地よりも幅が狭い第3の布地が繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地とを略平面状の布地にした際に、当該第1の布地上に前記第3の布地が重ねられてなり、前記繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが対向して配設されると共に、当該繋ぎ領域の一方の面に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、且つ他方の面に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる縫製製品。
【請求項15】
前記第1の振り糸によるステッチと、前記繋ぎ領域の他方の面との間に、長尺体が挟持されてなる請求項13または請求項14記載の縫製製品。
【請求項16】
地縫い糸と、第1の振り糸及び第2の振り糸とを用いたロックかがりにより、第1の布地と第2の布地とが繋ぎ合わされてなる繋ぎ領域を備えた縫製製品であって、
繋ぎ合わされてなる第1の布地と第2の布地の繋ぎ目を中心として略360度の角度で展開して当該第1の布地と第2の布地とが重ね合わされた積層体を形成した際に、前記繋ぎ領域が当該積層体の縁を構成すると共に、当該繋ぎ領域では、前記第1の布地の縁と第2の布地の縁とが揃った状態で重ね合わされてなり、前記積層体の一方の面の縁及び他方の面の縁に、地縫い糸によるステッチが形成されてなる縫製製品。
【請求項17】
前記積層体の一方の面の前記縁部よりも内側に、当該縁部と所定の間隔をおき且つ当該縁部と略平行に、前記地縫い糸によるステッチが形成され、当該積層体の他方の面の前記地縫い糸によるステッチが形成された領域に対応する部分に、前記地縫い糸によるステッチと、前記第1の振り糸によるステッチと、前記第2の振り糸によるステッチ及び地縫い糸によるステッチと、がこの順でステッチ形成方向に沿って形成されてなる請求項14記載の縫製製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−169812(P2007−169812A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366956(P2005−366956)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(591179189)株式会社ワールド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(591179189)株式会社ワールド (3)
【Fターム(参考)】
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