説明

布類展張方法および布類展張機

【課題】複数レーン幅での処理と各レーン幅での処理の切替が可能な布類展張方法および布類展張機の提供。
【解決手段】投入チャックにより布類の一辺の両端角部を把持して上方に移送し、左右に配置されたレールに沿って移動自在な一対のサーボチャックからなる展張装置が投入チャックから布類を受け取り、当該一対のサーボチャックを左右に離間せしめて布類を展張し、展張した布類を水平移動装置により搬送装置に受け渡す布類展張方法および布類展張機であって、前記投入チャックが等間隔で偶数配されたレーンを複数設けることで布類を各レーンで並列的に上方に移送し、各レーンと1対1で対応する複数の展張装置が、各レーンの中央位置において、投入チャックからそれぞれ布類を受け取り、当該位置で前記離間を開始し、その際一対のサーボチャックそれぞれの移動速度および移動距離を制御することでレーン幅または機枠幅の布類を展張することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類のような大面積の布類を展張させるとともにその展張状態でプレス機や折畳み機のような次工程装置側に搬送させるための布類展張方法および布類展張機に関するものである。なお、本発明における布類とは、シーツ、タオル等に代表される方形の布類をいう。
【背景技術】
【0002】
多量の布類を洗濯する場合には、洗濯済みのものを一定のラインに沿って搬送しながら脱水、乾燥、プレス、折り畳み等の処理を行なうこととなる。特にプレスを行う際には、布類を予め展張させた状態でラインへ投入する必要があるが、大型の布類を拡げて乱れなく投入することは困難であり、人手で行うには身体的負荷が大きかった。
そこで、従来の展張搬送装置としては、布類の布類の両端角部をクランプによって掴み、昇降手段によって上方に移動させた後、布類の両端角部を掴んで横方向に展張するクランプに持ち替え、展張した布類を次工程に搬送するためのコンベアに受渡し、コンベアが回転して布類を次工程へと搬送するものが提言されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の装置においては、展張するクランプからコンベア上に移乗した布類の最下端部分がコンベアの始端部から送り出されるまで、投入装置および展張装置は次の布類を移動させる態勢に入ることができず、受渡しのタイミングを合わせるために待機した状態となるので、投入装置が次の布類を掴み展張装置によってコンベア前面に展張させるまでのタイムラグがあり、このタイムラグによって装置の処理能力が低下したり、このタイムラグは布類の巾によっても変化するため待機時間が変化したりするため制御が複雑になるといった問題点があった。
また、上記の様な布類を展張するクランプからコンベア上への受渡しでは、クランプによって布類の両端角部を吊下げた状態から吸引力よってコンベアベルト上に吸付けるために、布自体の重力と吸引力とのために吊り下がった布は中弛みの状態となり、この状態からコンベア上へ移動するので、布類の上辺部分が乱れコンベア上で布類の上辺が揃わない事態がしばしば起きるといった問題点があった。
【0004】
そこで、出願人は、上面に多数の吸引用小孔を形成した吸着ボックスを有する搬送装置を設けることでタイムラグの問題を解消し、併せてバキュームベルトを設けることにより布類の中弛みを解消する布類展張機(特許文献2)、その際投入側チャックと受取側チャックの衝突を回避して処理能力を向上させるための揺動装置を備える布類展張機を提言した(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−71098号公報
【特許文献2】特開2001−159067号公報
【特許文献3】特開2004−162217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
布類展張機で処理する布類の種類は多岐に渡り、シーツを例にとってみても100cm×200cmのシングルサイズから300cm×300cmのキングサイズまである。そのため、大きさの異なる布類の混在する作業環境下においては、小型の布類は2レーンで処理し、大型の布類は1レーンで処理したいというニーズがあった。
【0007】
本発明は、複数レーン幅での処理と各レーン幅での処理の切替が可能な布類展張方法および布類展張機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の布類展張方法は、投入チャックにより布類の一辺の両端角部を把持して上方に移送し、左右に配置されたレールに沿って移動自在な一対のサーボチャックからなる展張装置が投入チャックから布類を受け取り、当該一対のサーボチャックを左右に離間せしめて布類を展張し、展張した布類を水平移動装置により搬送装置に受け渡す布類展張方法であって、前記投入チャックが等間隔で偶数配されたレーンを複数設けることで布類を各レーンで並列的に上方に移送し、各レーンと1対1で対応する複数の展張装置が、各レーンの中央位置において、投入チャックからそれぞれ布類を受け取り、当該位置で前記離間を開始し、その際一対のサーボチャックそれぞれの移動速度および移動距離を制御することでレーン幅または機枠幅の布類を展張することを特徴とする。
【0009】
当該方法において、好ましくは、前記投入チャックが上昇工程中にレーンの中央位置までスライド動し、レーンの中央位置に到達後直線的に上昇して前記一対のサーボチャックに布類を受け渡すこと、同一レーン内の複数の投入チャックが上昇工程にある場合は、最先の投入チャックのみが上昇行程中にスライド動し、他の投入チャックは最先の投入チャックがサーボチャックに布類を受け渡すまで中間位置で待機し、その後レーン中央位置までスライド動してから上昇すること、任意のレーンに対応する展張装置による布類の展張作動時は、他のレーンに対応する展張装置は前記レールの端部で待機することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の布類展張機は、布類の一辺の両端角部を把持して上方に移送する投入チャックが等間隔で偶数配されたレーンと、複数のレーンから構成される機枠と、機枠の左右方向に配されたレールと、当該レールに沿って移動自在であり、投入チャックから布類を受け取り、一対のサーボチャックを左右に離間せしめて布類を展張する、各レーンと1対1で対応する展張装置と、サーボチャックから布類を受け取って搬送装置に受け渡す水平移動装置と、水平移動装置から布類を受け取って次工程に搬送する搬送装置とを備える布類展張機であって、前記展張装置が対応する各レーンの中央位置で布類を受け取り、当該位置で前記離間を開始し、その際一対のサーボチャックそれぞれの移動速度および移動距離を制御することでレーン幅または機枠幅の布類を展張する制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
当該布類展張機の前記制御手段は、好ましくは、前記投入チャックを上昇工程中にレーンの中央位置までスライド動させ、レーンの中央位置に到達後直線的に上昇して前記一対のサーボチャックに布類を受け渡させること、同一レーン内の複数の投入チャックが上昇工程にある場合は、最先の投入チャックのみを上昇行程中にスライド動させ、他の投入チャックは最先の投入チャックがサーボチャックに布類を受け渡すまで中間位置で待機させ、その後レーン中央位置までスライド動してから上昇させること、任意のレーンに対応する展張装置による布類の展張作動時は、他のレーンに対応する展張装置を前記レールの端部で待機させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数レーン幅での処理と各レーン幅での処理の切替が可能な布類展張方法および布類展張機を提供することができる。
また、展張装置の離間速度をモードに応じて制御することにより、最小限の移動距離で布類の展張を行うことを可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面にもとづいて本発明を実施するための最良の形態である布類展張機を説明する。なお、以下の説明において、前後方向とは、処理対象物である布類の移送方向を、左右方向とは、布類の移送方向に直交する方向を意味する。
【0014】
本発明の布類展張機は、図1および図2に示すとおり、布類10の一辺の両端角部を保持して人の背の高さより高位置まで移送する投入装置と、投入装置が等間隔で偶数配されたレーンと、複数のレーンから構成される機枠と、機枠の左右方向に配されたレールと、当該レールに沿って移動自在であり、レーン中央位置で投入装置から布類10を受け取って展張する展張装置と、展調装置から展張された布類10を受取り搬送装置に受け渡す水平移動装置と、水平移動装置で保持された布類を受け取ってプレス機側に搬送する搬送装置と、それらの作動を制御する制御手段とで構成されている。
【0015】
投入装置は、一対の掴持部を有する投入チャック1と、投入チャック1を人の背の高さより高位置まで移送する昇降スライドシリンダ2とから構成される。投入チャック1の掴持部は、ばね付勢された一対のクリップ8a〜8dから構成される。投入チャック1の一方の一対のクリップ8a,8bには、布類10の角部が一定幅展張した状態で投入され、他方の一対のクリップ8c,8dには同一辺上の他の角部が一定幅展張した状態で投入される。布類10が投入された投入チャック1は、昇降スライドシリンダ2により人の背の高さより高位置まで移送される。昇降スライドシリンダ2の上方部には、開放板28が設けられており、布類10の受け渡し時にクリップ8a〜8dと当接し布類を開放する。投入チャック1は、エアシリンダ7により左右方向にスライド動可能であり、サーボチャック3に布類を受け渡すためにレーンの中央位置まで移動する。布類の受け渡し時にはサーボチャック3の把持爪が投入チャック1の掴持部の間に入り込み並列となる。
本発明の最良の形態の布類展張機は、投入装置が前面に4つ設けられており、4人の作業員が各投入装置の前で布類10の投入作業を行うことができる。各作業員が投入装置に設けられた上昇ボタンを押下すると(あるいは自動で)昇降スライドシリンダ2が作動し、投入チャック1が上昇する。
【0016】
展張装置は、レーンの数と同対数のサーボチャック3から構成される。サーボチャック3は、機枠の左右方向に配置されたレール21に設けられた一対の挟持具であり、サーボモータ4を正転側あるいは逆転側に作動させることによりレール21に沿って相互に離間方向あるいは近接方向に移動せしめることが可能である。サーボモータ4の回転数によりサーボチャック3の位置情報を制御手段13は有しており、布類10を1レーン幅で使用する場合と2レーン幅で使用する場合とでサーボチャック3に異なる作動をさせている。
布類10を1レーン幅で展張する場合には、一対のサーボチャック3が左右のレーンに1組ずつ割り充てられる。各レーンのサーボチャック3は、レーン中央位置で投入チャック1から布類を受け取り、左右に同一速度で離間して1レーン幅を最大展張幅として布類10を展張する。
布類10を2レーン幅で展張する場合には、2組のサーボチャックは順番に布類の展張を行う。各レーンの中央位置で投入チャック1から布類を受け取ったサーボチャック3は、各レーンの中央位置から異なる速度で左右に離間して2レーン幅を最大展張幅として布類10を展張する。制御手段13は左右のサーボチャック3,3の位置情報を有しており、当該位置情報に基づき、機枠の略中央で布類が展張されるように左右サ−ボチャック3,3の展開スピ−ドを相違させる。布類10の大きさは厳密には全て異なるが、最大最小を略カバ−できるスピ−ドで展張し、展張完了時の微調整として展張後のサーボチャック3,3の位置と機枠の中央からのずれを瞬時に計算し、布類10の中央が機枠の中央となるように移動することで布類10の中央と機枠の中央を一致させる。
展張した布類10を水平移動装置に受け渡したサーボチャック3は、レール21の端部に設けられた待避場所22または23で他のレーンのサーボチャックの展張・受け渡し作業が終了するまで待機する。
【0017】
サーボチャック3の下辺両角部には一対のクリップ9aおよび9bを有する。布類10の受け渡し時にはサーボチャック3のクリップ9aおよび9bが投入チャック1の掴持部(クリップ8a〜8d)の間に入り込み並列となり、布類10の受け渡しを行う。なお、サーボチャック3のクリップの数は2つに限定されず、偶数個であればよい。
【0018】
水平移動装置は、移送コンベヤ18とサーボチャック3との間を前後方向に進退する水平移動体11と、水平移動体11の吸着ボックス31に吸引力を作用させるバキュームモータ27と、水平移動体11を水平移動させる水平移動体シリンダ32と、エアブロー14とで構成される。水平移動体11は、処理される布類の最大幅程度の左右長さを有しており、前端部上面には多数の吸引用小孔からなる吸着ボックス31が形成されており、バキュームモータ27で水平移動体内11の空気を吸引することで、布類の上辺部を水平移動体11の上面に吸着させることを可能としている。水平移動体シリンダ32の縮小状態では、水平移動体11がサーボチャック3の直下近傍に位置し、該シリンダが伸長すると、水平移動体11が高速で奥側に移動せしめるようになっている。
【0019】
搬送装置は、多数の小孔を形成した孔空きベルトである移送コンベヤ18と、移送コンベヤ18と連設された排出コンベヤ19とから構成される。排出コンベヤ19の終端部は、プレス機側の投入コンベヤ(図示せず)に連続される。
移送コンベヤ18の下側には、バキュームファン43と連通した吸気通路20を設けるのが好ましい。搬送時に吸気通路20内に負圧を発生させて移送コンベヤ18上に供給された布類10を吸引保持することで移送コンベヤ18による布類10の送りを確実にすることができるからである。
【0020】
なお、品質向上のためにはレール21の下方に公知の吸気装置を設けることが好ましい。これにより、水平移動体11の吸着ボックス31による吸引時に布類の上辺部分が固定され、展張された上辺部分が吸引により垂れ下がり整形が崩れるという問題を解消することができる。
吸気装置は、上部に吸引口42を備えたバキュームボックス41と、バキュームボックス内の空気を吸引するバキュームファン43と、バキュームボックス41の吸引口42の近傍正面側(前側壁の上部)に設けられた送込みローラ46とから構成される。図5に吸気装置を備えた構成の布類展張機を開示する。
【0021】
本発明の布類展張機の特徴的な布類の受け渡し作動を、図2〜4を用いて説明する。
(1)2レーンモードの作動
2レーンモードにおいては、左レーン5と右レーン6で並列処理を行うことができる。
まず、作業員が投入装置に設けられた上昇ボタンを押下すると、昇降スライドシリンダ2により、投入チャック1が布類10をクリップ1a〜1dで把持した状態で上昇を開始する(STEP1)。投入チャック1は上昇中、エアシリンダ7によりレーン中央位置までスライド動しながら上昇する(STEP2)。この間、サーボチャック3は、サーボモータ4によりレーン中央位置までレール21上を水平移動し、クリップ9a,9bを開放した状態で待機する(STEP3)。投入チャック1がレーン中央位置に到達後、サーボモータ4の有する位置情報からレーン中央位置にサーボチャック3が配されていることを確認すると、投入チャック1はサーボチャック3の待機位置まで直線的に上昇する(STEP4)。投入チャック1から布類10を受け取ったサーボチャック3は、その位置から左右のレール21に沿って左右に離間することで布類10を展張する(STEP5)。機枠の前後方向に設けた図示しないセンサーにより布類の上辺の撓みが所定以下になったかを検知し、撓みが所定以下になった場合にはサーボチャックを段階的に減速させる(STEP6)。布類10を受け渡した投入チャック1は、若干高さだけ上昇し、エアシリンダ7により昇降スライドシリンダ2までスライド動し、昇降スライドシリンダ2により下降する(STEP7)。この際、投入チャック1が下降時にサーボチャック3と衝突することを回避するために、図1で伸長状態にある伸縮シリンダ29を短縮させて、昇降スライドシリンダ2を移送コンベヤ18と反対方向(図1の矢印方向)に移動せしめる構成とすることが好ましい(STEP8)。
なお、STEP2において、同一レーン内の複数の投入チャック1に上昇命令が出されている場合には、先に命令を受けた投入チャック1のみがエアシリンダ7によるスライド動を行い、他の投入チャック1はスライド動を行わず直線的に上昇し、中間位置で待機し、先に命令を受けた投入チャック1がサーボチャック3に布類を受け渡した後、エアシリンダ7によりレーン中央位置へスライド動し、続いて直線的に上昇する。
【0022】
2レーンモードにおける投入チャック1aおよびサーボチャック3Lの作動を、図3を用いて説明する。布類10の投入時には投入チャック1aは下降位置に位置する。布類10がクリップ8a〜8dに投入されると、昇降シリンダ2aにより中間位置まで上昇しながら、エアシリンダ7aにより左レーン5の中央位置15までスライド動する。投入チャック1aの上昇開始時に、隣接する投入チャック1bが先に上昇を開始している場合には、エアシリンダ7aによるスライド動は行わない。続いて、投入チャック1aが左レーン5の中央位置15で中間位置から直線的に上昇すると、受け渡し位置でクリップ8a,8bの間にサーボチャック3Lのクリップ9aが、クリップ8c,8dの間にクリップ9bが入り込んだ状態となり、クリップ8a〜8dが開放板28と当接することで開放されると共に、クリップ9a,9bが布類を掴持することで布類10の受け渡しが行われる。投入チャック1aは、布類10の受け渡し後も若干高さだけ上昇し、最終的にサーボチャック3Lよりも高い上昇位置(図5の1’参照)において停止することで、サーボチャック3Lの展開作動との干渉を防いでいる。投入チャック1aは、上昇位置にて昇降シリンダ2aまでスライド動して戻り、その後直線的に下降位置まで降下する。この際、伸縮シリンダ29により昇降シリンダ2aが機枠の手前側(図5の2’参照)に変位することでサーボチャック3Lとの衝突を防いでいる。一対のサーボチャック3Lはレール21に沿って、左レーン5の中央位置15から左レーン5の幅で左右に離間することで布類10を展張する。布類10の展張が終わったサーボチャック3Lは、再び左レーン中央位置15に移動し、同様の作動を繰り返す。右レーン6では、左レーン5と同様の作動が並列して行われている。
【0023】
(2)1レーンモードの作動
1レーンモードにおいては、2レーン幅の大型布類の処理を行うことができる。1レーンモードにおける投入チャック1aおよびサーボチャック3L,3Rの作動を、図4を用いて説明する。
1レーンモードにおいても、布類10を投入チャック1aに投入し、サーボチャック3Lに受け渡すまでの作動は2レーンモードと同じである。1レーンモードの作動が相違するのは、サーボチャック3Lに布類10を受け渡した後である。レーンの中央位置で布類10を受け取った一対のサーボチャック3Lは、左右に異なる速度で離間を開始する。制御手段13は左右のサーボチャック9a、9bの位置情報を有しており、当該位置情報に応じた速度(すなわち9aの速度<9bの速度)で布類10の展張を行う。機枠の前後方向に設けた図示しないセンサーにより布類の上辺の撓みが所定以下になったかを検知し、撓みが所定以下になった場合にはサーボチャックを段階的に減速させる。展張完了後、制御手段13は、左右のサ−ボチャック3Lの展開後の位置と機枠の中央からのずれを瞬時に計算し、左右のサ−ボチャック3Lを機枠の中央から同距離となるように移動させることで布類10の中央と機枠の中央を一致させる。
この間、サーボチャック3Rは、待機位置23で待機している。サーボチャック3Lは、水平移動体11に布類10を受け渡すと待機位置22に移動し、続いてサーボチャック3Rが右レーン中央位置16へ移動し、投入チャック1cまたは1dから布類10の受け渡しが行われる。布類10を受け取ったサーボチャック3Rは、先に述べたサーボチャック3Lと同様の作動をする。
なお、布類10を受け取った一対のサーボチャック3Lを受け取り時の間隔のまま機枠中央位置17までレール21に沿って移動し、機枠中央位置17から離間を開始することでサーボチャック3の位置情報の管理は不要となるが(図4の点線参照)、レーン中央位置から展張を即座に開始する場合と比べると移動距離が長くなるため処理効率で劣る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、従来の装置では複数台でなければ実現できなかった異なるサイズの布類展張作業への柔軟な対応が可能となるため、設置スペースや布類のサイズ面での制約上、機械化を躊躇していたユーザーの新規採用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】布類展張機の側面側断面図である。
【図2】布類展張機の布類受け渡し機構の正面図である。
【図3】2レーンモードにおける布類受け渡し作動の説明図である。
【図4】1レーンモードにおける布類受け渡し作動の説明図である。
【図5】布類展張機の他の実施態様の側面側断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 投入チャック
2 昇降スライドシリンダ
3 サーボチャック
4 サーボモータ
5 左レーン
6 右レーン
7 エアシリンダ
8 クリップ(投入チャック)
9 クリップ(サーボチャック)
10 布類
11 水平移動体
12 支持アーム
13 制御手段
14 エアブロー
15 左レーン中央位置
16 右レーン中央位置
17 機枠中央位置
18 移送コンベヤ
19 排出コンベア
20 吸気通路
21 レール
22,23 待避場所
27 バキュームモータ
28 開放板
29 伸縮シリンダ
31 吸着ボックス
32 水平移動体シリンダ
33 吸引機
41 吸引ボックス留
42 吸引口
43 バキュームファン
45 切換ダンパ
46 送り込みローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入チャックにより布類の一辺の両端角部を把持して上方に移送し、左右に配置されたレールに沿って移動自在な一対のサーボチャックからなる展張装置が投入チャックから布類を受け取り、当該一対のサーボチャックを左右に離間せしめて布類を展張し、展張した布類を水平移動装置により搬送装置に受け渡す布類展張方法であって、
前記投入チャックが等間隔で偶数配されたレーンを複数設けることで布類を各レーンで並列的に上方に移送し、各レーンと1対1で対応する複数の展張装置が、各レーンの中央位置において、投入チャックからそれぞれ布類を受け取り、当該位置で前記離間を開始し、その際一対のサーボチャックそれぞれの移動速度および移動距離を制御することでレーン幅または機枠幅の布類を展張することを特徴とする布類展張方法。
【請求項2】
前記投入チャックが上昇工程中にレーンの中央位置までスライド動し、レーンの中央位置に到達後直線的に上昇して前記一対のサーボチャックに布類を受け渡す請求項1の布類展張方法。
【請求項3】
同一レーン内の複数の投入チャックが上昇工程にある場合は、最先の投入チャックのみが上昇行程中にスライド動し、他の投入チャックは最先の投入チャックがサーボチャックに布類を受け渡すまで中間位置で待機し、その後レーン中央位置までスライド動してから上昇する請求項2の布類展張方法。
【請求項4】
任意のレーンに対応する展張装置による布類の展張作動時は、他のレーンに対応する展張装置は前記レールの端部で待機する請求項1、2または3の布類展張方法。
【請求項5】
布類の一辺の両端角部を把持して上方に移送する投入チャックが等間隔で偶数配されたレーンと、複数のレーンから構成される機枠と、機枠の左右方向に配されたレールと、当該レールに沿って移動自在であり、投入チャックから布類を受け取り、一対のサーボチャックを左右に離間せしめて布類を展張する、各レーンと1対1で対応する展張装置と、サーボチャックから布類を受け取って搬送装置に受け渡す水平移動装置と、水平移動装置から布類を受け取って次工程に搬送する搬送装置とを備える布類展張機であって、
前記展張装置が対応する各レーンの中央位置で布類を受け取り、当該位置で前記離間を開始し、その際一対のサーボチャックそれぞれの移動速度および移動距離を制御することでレーン幅または機枠幅の布類を展張する制御手段を有することを特徴とする布類展張機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記投入チャックを上昇工程中にレーンの中央位置までスライド動させ、レーンの中央位置に到達後直線的に上昇して前記一対のサーボチャックに布類を受け渡させることを特徴とする請求項5の布類展張機。
【請求項7】
前記制御手段は、同一レーン内の複数の投入チャックが上昇工程にある場合は、最先の投入チャックのみを上昇行程中にスライド動させ、他の投入チャックは最先の投入チャックがサーボチャックに布類を受け渡すまで中間位置で待機させ、その後レーン中央位置までスライド動してから上昇させることを特徴とする請求項6の布類展張機。
【請求項8】
前記制御手段は、任意のレーンに対応する展張装置による布類の展張作動時は、他のレーンに対応する展張装置を前記レールの端部で待機させることを特徴とする請求項5、6または7の布類展張機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−92255(P2007−92255A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286347(P2005−286347)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】