希釈のための遠心力基盤の微細流動装置及びそれを備える微細流動システム
【課題】希釈のための遠心力基盤の微細流動装置及びそれを備える微細流動システムを提供する。
【解決手段】回転可能なディスク型プラットホーム10と、プラットホーム10上に配置された混合チャンバー50と、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心に近くに配置され、チャンネルを通じて混合チャンバー50と連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を混合チャンバー50に供給するバッファ液保存部と、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心から遠くに配置され、それぞれが混合チャンバー50の一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて混合チャンバー50と連結されて、混合チャンバー50で少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバー61〜67と、を備える。
【解決手段】回転可能なディスク型プラットホーム10と、プラットホーム10上に配置された混合チャンバー50と、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心に近くに配置され、チャンネルを通じて混合チャンバー50と連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を混合チャンバー50に供給するバッファ液保存部と、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心から遠くに配置され、それぞれが混合チャンバー50の一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて混合チャンバー50と連結されて、混合チャンバー50で少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバー61〜67と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力基盤の微細流動装置に係り、特にディスク状のプラットホームに設けられれた微細流動構造物内で、試料の希釈を自動的に行えるようにする微細流動装置及びその微細流動装置を備える微細流動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、微細流動装置を構成する微細流動構造物には、少量の流体を溜めるチャンバーと、流体が流れるチャンネルと、流体の流れを調節できる弁と、流体を受けて所定の機能を行える色々な機能性ユニットと、が備えられる。小型のチップ上で生化学的反応を含めた試験を行えるように、チップ形態の基板にかかる微細流動構造物を配置したものをバイオチップといい、特に色々な段階の処理及び操作を一つのチップで行えるように製作された装置をラボオンチップ(lab−on−a chip)という。
【0003】
微細流動構造物内で流体を移送するためには、駆動圧力が必要であるが、駆動圧力として毛細管圧が利用されてもよく、別途のポンプによる圧力が利用されてもよい。近年では、コンパクトディスク状のプラットホームに微細流動構造物を配置して、遠心力を利用する微細流動装置が提案されている。それをラボCDまたはラボオンディスクという。しかし、この場合には、フレームに固定されずに回転するため、底に固定されたままで作動するラボオンチップと色々な面で異なる。
【0004】
一方、化学的または生物学的実験には、多様な濃度の試料が要求される場合が多い。その代表的な例として、細胞数の計数または遺伝子発現などの定量分析のためのキャリブレーションなどが挙げられる。微細流動チップ上で多様な濃度の試料を作る装置を提供するためには、下記特許文献1及び2が提案されている。しかし、前者は、電気浸透現象を利用したものであるので、高い駆動電圧を必要とし、後者は、指数関数形態の濃度勾配を提供できないなどの課題がある。また、前記装置は、ディスク状のプラットホーム上に具現し難い。
【0005】
近年、ディスク状のプラットホーム上で、遠心力を利用して流体を容易に移動させる多様な遠心力基盤の微細流動装置が開発されることによって、前記ディスク状のプラットホーム上で自動的に多様な濃度の試料を提供できる装置が要求されている。
【特許文献1】米国特許第5836004号明細書
【特許文献2】米国特許第6705357号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、最初に試料を注入する一回の手作業以外に別途の手作業なしに、自動的に多様な濃度の試料を提供できる希釈のための遠心力基盤の微細流動装置及びそれを備える微細流動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る希釈のための微細流動装置は、回転可能なディスク型プラットホームと、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、を備える。
【0008】
前記微細流動装置は、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備える。
【0009】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることもでき、それと異なり、前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることもできる。
【0010】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられることが望ましい。前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備える。
【0011】
ここで、前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備える。前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであり、前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmである。前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つでありうる。
【0012】
本発明に係る希釈のための微細流動装置を備える微細流動システムは、回転可能なディスク型プラットホーム、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバー、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部、及び前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーを備える微細流動装置と、前記微細流動装置を支持して制御可能に回転させる回転駆動部と、前記微細流動装置内で選択された弁を個別的に駆動する弁駆動ユニットと、を備える。
【0013】
前記弁駆動ユニットは、前記弁内の発熱粒子の発熱を誘導できる波長帯の電磁波を放出する外部エネルギー源と、前記外部エネルギー源から照射された電磁波が前記選択された弁に対応する領域に集中的に達するように、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整する外部エネルギー源調整手段と、を備える。
【0014】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームの半径方向に移動させる直線移動手段を備えることもでき、それと異なり、前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームと平行な平面上で直交座標に沿って二方向に移動させる平面移動手段を備えることもできる。
【0015】
前記微細流動システムにおいて、前記微細流動装置は、前記プラットホーム上に前記混合チャンバーより中心に近く配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備える。
【0016】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることもでき、それと異なり、前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることもできる。
【0017】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられることが望ましい。前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備える。
【0018】
ここで、前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備える。前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであり、前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmである。前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成された本発明に係る希釈のための微細流動装置及びそれを備える微細流動システムは、最初に試料を注入する一回の手作業以外に別途の手作業なしに、自動的に多様な濃度の試料を提供できる。また、手作業による希釈に比べて精密度が高くて濃度誤差を減らすことができる。また、遺伝子の定量的分析のために全自動化されたラボオンディスクに採用される場合、キャリブレータサンプルを自動的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。添付された図面で、同じ図面符号は同じ構成要素を表す。図示したチャンバー及びチャンネルなどの構造物は、その形状が単純化され、その大きさの比が実際と異なって拡大または縮少されたものでありうる。なお、本明細書において、バッファ液は、試料を希釈する溶媒を意味し、希釈溶液は、バッファ液と試料との混合液を意味する。連続希釈とは、試料とバッファ液とを一定な体積比で希釈し、このように希釈された希釈溶液とバッファ液とを再び同じ体積比で希釈する過程を複数回反復しつつ、互いに指数関数の関係にある色々な濃度の希釈溶液を得る作業を意味する。
【0021】
図1は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の一実施形態を示す平面図である。本実施形態に係る微細流動装置は、ディスク状のプラットホーム10と、プラットホーム10上に設けられた複数のチャンバー21〜23、50、61〜67と、前記複数のチャンバーの間を連結する複数のチャンネル40、41、43、45と、前記複数のチャンネルを通じた流体の流れを統制する複数の弁と、を備える。
【0022】
プラットホーム10は、成形が容易であり、その表面が生物学的に不活性であるアクリル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのプラスチック素材で形成される。しかしながら、上記プラスチック素材に限定されるものではなく、化学的、生物学的安定性、光学的透明性、及び機械的加工性を有する素材であれば良い。プラットホーム10は、複数層の板からなりうる。板と板とが接触する面にチャンバーやチャンネルなどに該当する陰刻構造物を形成し、それらを接合することによって、プラットホーム10の内部に、空間と通路とを提供できる。上記板と板との接合は、接着剤や両面接着テープを利用して接合したり、超音波融着したりするなど多様な方法で行われる。
【0023】
プラットホーム10上に、試料とバッファ液との混合のための混合チャンバー50が設けられる。プラットホーム10上で、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心に近い側には、チャンネル40を通じて混合チャンバー50と連結され、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を混合チャンバー50に供給するバッファ液保存部が設けられ、さらに外部から注入された試料を混合チャンバー50に供給する試料保存部が設けられる。
【0024】
前記バッファ液保存部は、多様な形態を有するが、本実施形態によれば、その内部の体積が一定な体積B1、すなわち一回に混合チャンバー50に移送されるバッファ液の体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁221〜223、231〜233が設けられたメータリングチャンバー22、23を備える。
【0025】
図1の正面から見て左側のメータリングチャンバー22を参照してさらに具体的に説明する。メータリングチャンバー22の各出口弁221〜223は、それぞれの進入チャンネル421〜423及びチャンネル40を通じ、混合チャンバー50と連結される。個別的に駆動される複数の出口弁221〜223としては、外部エネルギー源により駆動される相転移弁はいうまでもなく、毛細管弁、疎水性弁、機械式弁、ジオメトリック弁など多様な弁を採用できる。例えば、毛細管弁を採用する場合、開放回転数が最も低い弁を最も高い水位に対応する弁221として採用し、開放回転数が最も高い弁を最も低い水位に対応する弁223として採用される。
【0026】
前記試料保存部は、具体的には、試料チャンバー21、及び試料チャンバー21と混合チャンバー50とを連結するチャンネル41を通じた流体の流れを制御する試料チャンバー21の出口弁211で構成される。ただし、希釈しようとする最初の試料を混合チャンバー50に直接注入する場合、前記試料保存部は省略することもできる。
【0027】
プラットホーム10上で混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心から遠い側には、希釈された試料溶液が濃度別に受容される複数の希釈溶液チャンバー61〜67が設けられる。複数の希釈溶液チャンバー61〜66と混合チャンバー50との連結は、混合チャンバー50の中間排出口に直接連結されたチャンネル43と、チャンネル43から分かれて複数の希釈溶液チャンバー61〜66にそれぞれ対応する複数の分岐チャンネル431〜436とを通じて行われる。ただし、最も濃度の低い希釈溶液を受容する希釈溶液チャンバー67は、混合チャンバー50の最外郭に設けられた出口弁671に直接連結されたチャンネル45を通じて混合チャンバー50と連結される。
【0028】
混合チャンバー50の中間排出口とは、遠心力を利用して混合チャンバー50内の溶液を前記中間排出口を通じて外部に放出する場合、前記中間排出口と混合チャンバー50の最外郭との空間に一定な体積R1の溶液を残す位置をいう。チャンネル43は、混合チャンバー50の一方または両方の中間排出口に連結される。すなわち、チャンネル43と混合チャンバー50とが連結される前記中間排出口の位置によって、一回の希釈後に混合チャンバー50に残される希釈溶液の体積R1が決定される。
【0029】
チャンネル43は、前述した複数の分岐チャンネル431〜436と共に、混合チャンバー50から複数の希釈溶液チャンバー61〜66にそれぞれ連結される複数の流路を形成する。それぞれの流路には、流体の流れを個別的に制御するための一つの弁または複数の弁からなる弁群が設けられる。本実施形態によれば、それぞれの流路(例えば、チャンネル43と第1分岐チャンネル431とからなる流路)には、一つの開放弁611と一つの閉鎖弁612とで構成された弁群が設けられている。開放弁611と閉鎖弁612とは、いずれも外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁でありうる。
【0030】
図2A〜図2Cは、図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す。まず、矢印「丸数字1」のように、試料チャンバー21の出口弁211を開け、遠心力を利用して最初の濃度の試料を混合チャンバー50に移送する。次いで、第1希釈溶液チャンバー61に連結された流路43、431の開放弁611を開け、遠心力を利用して、矢印「丸数字2」のように第1希釈溶液(最初の濃度)を移送する。移送が終われば、第1希釈溶液チャンバー61に連結された第1分岐チャンネル431の閉鎖弁612を閉じる。このとき、混合チャンバー50内には、一定な体積R1の試料が残る。
【0031】
次いで、メータリングチャンバー22の第1出口弁221を開け、矢印「丸数字3」のように一定な体積B1のバッファ液を混合チャンバー50に移送して混合する。その結果、試料の最初濃度のR1/(R1+B1)倍に希釈された第2希釈溶液が形成される。次いで、第2希釈溶液チャンバー62に連結された流路43、432の開放弁621を開け、遠心力を利用して矢印「丸数字4」のように第2希釈溶液を移送する。移送が終われば、第2希釈溶液チャンバー62に連結された第2分岐チャンネル432の閉鎖弁622を閉じる。このとき、やはり混合チャンバー50内には、一定な体積R1の第2希釈溶液が残る。
【0032】
次いで、メータリングチャンバー22の第2出口弁222を開け、矢印「丸数字5」のように一定な体積B1のバッファ液を混合チャンバー50に移送して混合する。その結果、試料の最初濃度の(R1/(R1+B1))2倍に希釈された第3希釈溶液が形成される。次いで、第3希釈溶液チャンバー63に連結された流路43、433の開放弁631を開け、遠心力を利用して矢印「丸数字6」のように前記第3希釈溶液を移送する。移送が終われば、第3希釈溶液チャンバー63に連結された第3分岐チャンネル433の閉鎖弁632を閉じる。このときにも、混合チャンバー50内には、一定な体積R1の第3希釈溶液が残る。
【0033】
前記と類似した過程を反復することによって、第4〜第6希釈溶液チャンバー64〜66にも、それぞれ直前の希釈溶液よりR1/(R1+B1)倍ずつ希釈された希釈溶液を提供できる。混合チャンバー50で最後に希釈された希釈溶液は、混合チャンバー50の半径方向の最外郭に設けられた出口弁671及びそれと連結されたチャンネル45を通じて第7希釈溶液チャンバー67に移送される。
【0034】
前述したように、希釈作業の濃度スケールを定める要素は、B1及びR1である。一回の希釈過程を経る度に、R1/(R1+B1)倍ずつ溶液の濃度が希釈される。例えば、R1及びB1がそれぞれ40μlと同じであれば、第1〜第7希釈溶液チャンバー61〜67には、それぞれ最初の試料濃度の1倍、2−1倍、2−2倍、2−3倍、2−4倍、2−5倍、2−6倍に該当する濃度の希釈溶液が含まれる。他の例として、R1が10μlであり、B1が90μlであれば、前記第1〜第7希釈溶液チャンバー61〜67には、それぞれ最初の試料濃度の1倍、10−1倍、10−2倍、10−3倍、10−4倍、10−5倍、10−6倍に該当する濃度の希釈溶液が含まれる。
【0035】
このように形成された多様な濃度の希釈溶液は、多様な用途に活用される。例えば、細胞の計数や遺伝子の定量的分析のためのリアルタイムPCR用検量線(standard curveまたはcalibration curve)の作成にも活用される。また、本発明による微細流動装置は、他の機能を行う遠心力基盤の微細流動装置と共に、一つのプラットホーム上に集積されて、多様な濃度の試料を活用した結果物を容易に提供することもできる。
【0036】
図3は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前述した図1の実施形態と比較して、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とをそれぞれ連結する複数の流路で、流体の流れを制御する弁の種類及びその配置に相違点がある。本実施形態によれば、混合チャンバー50の両中間排出口に直接連結されたチャンネル44から分かれた複数の分岐チャンネル441〜446にそれぞれ一つずつの開閉型弁613、623、633、643、653、663を配置する。開閉型弁613、623、633、643、653、663は、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁の一例であって、流路を開閉する動作をいずれも行え、必要に応じては開閉する動作を数回反復することもできる。
【0037】
図4は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前記図4の実施形態と比較して、バッファ液保存部の形態に差がある。本実施形態によれば、メータリングチャンバー22、23を使用した前記図4の実施形態とは異なり、バッファ液の供給回数に対応する個数のバッファ液チャンバー24〜29を備え、それぞれのバッファ液チャンバー24〜29に個別的に駆動される出口弁241、251、261、271、281、291を備える。かかる出口弁としては、前記図1の実施形態と同様に、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁(開放弁)だけでなく、異なる回転数条件で開放される毛細管弁、疎水性弁など多様な弁が採用される。
【0038】
図5は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前記図5の実施形態と比較して、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とをそれぞれ連結する複数の流路で、流体の流れを制御する弁の種類及びその配置に相違点がある。本実施形態によれば、混合チャンバー50の両中間排出口に直接連結されたチャンネル46にそれぞれ一つずつの開閉型弁601,602を配置し、チャンネル46で開閉型弁601、602より下流から分かれた複数の分岐チャンネル461〜466にそれぞれ個別的に駆動される閉鎖弁612、622、632、642、652、662を配置する。開閉型弁601、602は、少なくとも三回ずつ開放と閉鎖とを反復することが望ましい。反復的に作動する開閉型弁601,602と複数の閉鎖弁612,622,632,642,652,662との組み合わせにより、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とを連結するそれぞれの流路を個別的に開閉できる。
【0039】
図6は、図1、図3〜図5の微細流動装置に採用された開放弁を示す平面図であり、図7A及び図7Bは、図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。開放弁631は、常温で固状である弁物質からなる弁プラグ83を備える。前記弁物質としては、常温で固状である相転移物質からなる分散媒に発熱粒子が分散されている材料を使用できる。チャンネル43は、第1深さD1の第1領域43Aと、第1領域43Aに隣接した一対の第2領域43Bと、を備える。第2領域43Bは、第1深さD1より深い第2深さD2を有する。
【0040】
弁プラグ83は、常温で開口部83Aと重ならない第1領域43Aの一部分を間隙なしに塞いで入口I側から流入される流体Fの流れを遮断する。弁プラグ83は、高温で溶融されて第1領域43Aから第2領域43Bに移動して、流体Fの流路を開放したままで再び凝固(図8Bの83’を参考)される。開口部83Aは、微細流動装置の製作時に溶融された弁物質を投入して弁プラグを形成できる注入口の役割を行う。開口部83Aを通じて第1領域43Aに注入された弁物質は、毛細管力により開口部83Aと重なる第1領域43Aの一部分に残される。
【0041】
弁プラグ83に熱を加えるために、微細流動装置100の外部には、外部エネルギー源(図16の130Lを参考)が配置され、外部エネルギー源130Lが弁プラグ83の初期位置、すなわち開口部83Aとその周辺とを含む領域に電磁波を照射する。このとき、外部エネルギー源130Lは、例えばレーザービームを照射するレーザー光源であり、その場合、少なくとも一つのレーザーダイオードを備える。前記レーザー光源は、パルスレーザーを照射する場合、1mJ/パルス以上のエネルギーを有するパルスレーザーを、連続波動レーザーを照射する場合、10mW以上の出力を有する連続波動レーザーを照射できる。
【0042】
400〜1300nmの波長を有するレーザーを照射するレーザー光源であれば、前記微細流動システムの外部エネルギー源130Lとして採用される。
【0043】
前述したチャンネル43は、ディスク型プラットホーム10をなす上板12または下板11の内面に形成された立体パターンにより提供される。上板12は、外部エネルギー源から照射された電磁波が弁プラグ83に入射できるように透過させ、外部から流体Fの流れを観測可能にする光学的に透明な材料で形成されることが望ましい。その例として、ガラスまたは透明プラスチック素材は、光学的な透明性に優れており、製造コストが低いという面で有利である。
【0044】
弁プラグ83に分散された発熱粒子は、数千μmの幅を有するチャンネル43内で自由に流動可能に1nm〜100μmの直径を有するものでありうる。前記発熱粒子は、レーザーが照射されれば、その輻射エネルギーにより温度が急激に上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。このような性質を有するために、前記発熱粒子は、金属成分を含むコアと、疎水性を有するシェルとを備える構造を有する。例えば、前記発熱粒子は、強磁性物質であるFeからなるコアと、前記Feに結合されてFeを取り囲む複数の界面活性成分からなるシェルと、を備える構造を有する。通常、前記発熱粒子は、キャリアオイルに分散された状態で保管される。疎水性の表面構造を有する前記発熱粒子が均一に分散されるように、キャリアオイルも疎水性であることが望ましい。ワックスに前記発熱粒子が分散されたキャリアオイルを注いで混合することによって、弁プラグ83の素材を製造できる。前記発熱粒子の粒子形態は、前記例として挙げた形態に限定されるものではなく、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、または磁性ビードでありうる。前記炭素粒子には、黒鉛粒子も含まれる。
【0045】
弁プラグ83をなす相転移物質は、ワックスでありうる。前記発熱粒子が吸収した電磁波のエネルギーを熱エネルギーの形態で周囲に伝達すれば、ワックスは、これによって溶融されて流動性を有し、これにより、プラグ83が崩壊され、流体Fの流路が開放される。プラグ83を構成するワックスは、適度な溶融点を有することが望ましい。溶融点が高すぎる場合には、レーザーを照射し始めてから溶融されるまで長時間がかかって開放時点の精密な制御が困難になり、逆に溶融点が低すぎる場合には、レーザーが照射されていない状態で部分的に溶融されて、流体Fが漏れることもあるためである。前記ワックスとしては、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、または天然ワックスなどが採用される。
【0046】
一方、前記相転移物質は、ゲルまたは熱可塑性樹脂でありうる。前記ゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリビニルアミドなどが採用される。また、前記熱可塑性樹脂としては、サイクリックオレフィンコポリマー(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタールエンジニアリングポリマー(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが採用される。
【0047】
図8は、図1、図3〜図5の微細流動装置に採用された閉鎖弁を示す平面図であり、図9は、図8の閉鎖弁の作動状態を示す断面図である。
【0048】
閉鎖弁632は、入口I及び出口Oを有するチャンネル433の中間に連結された弁物質コンテナ85と、常温である初期には、固状として弁物質コンテナ85内に充填されていて加熱されれば、溶融及び膨脹されつつ、弁連結路86を通じてチャンネル433に流入され、再び凝固されつつチャンネル433を遮断する弁物質Vと、を含む。
【0049】
閉鎖弁632も、前述した開放弁631と同様に、微細流動装置100のプラットホーム10をなす上板12または下板11の内面に形成された立体パターンにより提供される。上板12は、外部エネルギー源から照射された電磁波を透過させ、外部から流体Fを観測可能にする光学的に透明な材料で形成されることが望ましい。また、上板12は、前記電磁波(例えば、レーザービーム)が前記弁物質Vにさらによく入射できるように、弁物質コンテナ85に対応する開口部85Aを有することもできる。開口部85Aは、微細流動装置の製作時に溶融された弁物質を投入する注入口の役割を担う。
【0050】
前記弁物質Vをなす相転移物質P及び発熱粒子Mに関する事項は、開放弁631の例を通じて前述した通りである。また、前記弁物質Vに電磁波を提供する外部エネルギー源に関する事項も前述した通りである。
【0051】
弁物質コンテナ85内に凝固されている弁物質Vにレーザービームが照射されれば、前記発熱粒子Mがエネルギーを吸収して前記相転移物質Pを加熱させる。これにより、前記弁物質Vは、溶融されつつ体積が膨脹し、弁連結路86を通じてチャンネル433に流入される。チャンネル433内で流体Fと接触しつつ、再び凝固された弁物質Vは、チャンネル433を通じた流体Fの流れを遮断する。
【0052】
前述した開放及び閉鎖弁の反応時間を測定した実験の結果は次の通りである。実験のためのテストチップで、作動流体の圧力は46kPaに維持した。圧力維持のために、シリンジポンプ(Havard PHD2000,USA)と圧力センサー(MPX 5500DP,Freescale semiconductor Inc.,AZ,USA)とを使用した。前記弁に電磁波を照射する外部エネルギー源としては、放出波長が808nmであり、出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。弁の反応時間に関するデータは、高速撮影装置(Fastcam−1024,Photron,CA,USA)の結果物分析を通じて得た。前記弁プラグとしては、発熱粒子である平均直径10nmの磁性ビードがキャリアオイルに分散された、いわゆる磁性流体とパラフィンワックスとが1対1の割合で混合された、すなわち磁性流体の体積比が50%である、いわゆる磁性ワックスを使用した。
【0053】
実験結果、前記開放弁の弁プラグにレーザービームを照射し始めてから、前記弁プラグが溶融されてチャンネルが開くまでの反応時間は、0.012秒であった。前記閉鎖弁の弁物質コンテナにレーザービームを照射し始めてから、前記弁物質が溶融及び膨脹されてチャンネルを閉じるまでの反応時間は、0.444秒であった。従来のワックス弁の反応時間が2〜10秒であった点を比較すれば、はるかに速い反応であるということが分かる。
【0054】
図10は、図6の開放弁で弁プラグに含まれた磁性流体の体積比と弁反応時間との関係を示すグラフである。一般的に、磁性流体の体積比が大きくなりつつ反応時間が短くなる推移を表す。しかしながら、これと別個に磁性流体の体積比が70%以上に大きくなれば、弁プラグの最大許容圧力が低くなる傾向がある。したがって、前記弁ユニットで弁プラグに含まれる磁性流体の体積比は、反応時間に対する要求と最大許容圧力に対する要求との折衝により決まる。
【0055】
図11は、図6の開放弁で外部エネルギー源として使われたレーザー光源のパワーと弁反応時間との関係を示すグラフである。出力が高くなるほど、反応時間が短くなる推移を表す。しかしながら、レーザー光源の出力が1.5Wに近接すれば、反応時間の変化が緩慢になり、図示はしていないが、1.5Wを超えれば、所定の最小反応に収束する。パラフィンワックスを通じた熱伝導率の制約があるためである。前記実験では、かかる理由により出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。しかし、本発明の外部エネルギー源がこれに限定されるものではない。
【0056】
図12A〜図12Fは、図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【0057】
図12A〜図12Fに示すように、図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁601は、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁の一例であって、弁物質コンテナ95と、弁物質コンテナ95に注入される弁物質Vと、流体Fの流路を形成するチャンネル46と弁物質コンテナ95とを連結する弁連結路96と、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのエネルギー源の一例として、レーザー光源130と、を備える。レーザー光源130は、電磁波の一種であるレーザーLを照射するが、本発明のエネルギー源は、レーザー光源130に限定されず、赤外線(IR)を照射するか、または高温ガスを噴射して弁物質Vにエネルギーを供給するものでありうる。
【0058】
弁物質コンテナ95、チャンネル46及び弁連結路96は、互いに接合された上板12及び下板11を備えるディスク型プラットホーム10に形成される。上板12と下板11との接合方法は、接着剤や両面接着テープを利用してもよく、超音波融着によってもよい。具体的に、下板11に弁物質コンテナ95、チャンネル46及び弁連結路96が陰刻パターンに形成され、上板12には、弁物質コンテナ95に弁物質Vを注入するための開口部95Aが形成されている。チャンネル46は、第1深さD1の第1領域46Aと、第1領域46Aに隣接した一対の第2領域46Bと、を備える。第2領域46Bは、第1深さD1より深い第2深さD2を有する。
【0059】
図12Aに示したように、弁物質コンテナ95に注入されて硬化された弁物質Vにレーザー光源130を利用してレーザービームLを照射すれば、前記弁物質Vが爆発的に溶融膨脹して弁連結路96を通じてチャンネル46の第1領域46Aに流入される。図12Bに示したように、チャンネル46に流入された弁物質Vは、毛細管現象によりもチャンネル46の第1領域46Aに残されて硬化されることによって、チャンネル46を閉鎖する弁プラグを形成する。したがって、流体Fは、チャンネル46に沿って流れない状態となる。
【0060】
図12Cに示したように、第1領域46Aで硬化された弁物質Vにレーザー光源130を利用して再びレーザービームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び爆発的に溶融膨脹し、チャンネル46の第2領域46Bに流れることにより、チャンネル46が再び開放され(図12D参照)、流体Fがチャンネル46に沿って流れる状態となる。
【0061】
さらに図12Eに示したように、弁物質コンテナ95と弁連結路96とに残っている弁物質Vにレーザー光源130を利用してレーザービームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び爆発的に溶融膨脹して前記第1領域46Aに流入され、図12Fに示したように、前記第1領域46Aに残されて硬化された弁物質Vが再びチャンネル46を閉鎖する。このように、弁物質Vがほとんどチャンネル46の第2領域46Bに流れるまで、レーザービームLの照射を反復的に行ってチャンネル46を反復的に開閉できる。
【0062】
図13は、前記図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの一実施形態を示す斜視図である。本発明の一実施形態による微細流動システムは、前述した本発明の微細流動装置100を備える。本実施形態による微細流動システムは、前述した個別駆動方式の相転移弁211、221〜223、231〜233、601、602、611、612、613に所定の電磁波を照射してエネルギーを供給する外部エネルギー源130Lを含む。前記外部エネルギー源130Lは、マイクロウエーブ、赤外線、可視光線、紫外線、及びX線など多様な波長の電磁波のうち選択された所定の波長帯の電磁波を照射できる装置でありうる。また、かかる電磁波を近距離の標的に集中的に照射可能な装置であれば、さらに望ましい。前記外部エネルギー源130Lの波長は、前記弁物質Vに含まれた発熱粒子Mによりもよく吸収される範囲であることが望ましい。したがって、前記外部エネルギー源130Lで電磁波を発生させる素子は、発熱粒子Mの素材及び表面条件によって適切に選択される。前記外部エネルギー源130Lは、例えばレーザービームを照射するレーザー光源であり、その場合、少なくとも一つのレーザーダイオードを備えうる。レーザービームの波長及び出力など細部的な事項は、主な使用対象である微細流動装置100の相転移弁に含まれた発熱粒子の種類によって決まる。
【0063】
前記微細流動システムは、前記外部エネルギー源130Lの位置または方向を調整して、そこから照射された電磁波が前記微細流動装置100のうち所望の領域に、具体的には、微細流動装置100に備えられた複数の相転移弁のうち選択されたいずれか一つに該当する領域に集中的に達するようにする外部エネルギー源調整手段(図示せず)を備える。図13の微細流動システムにおいて、外部エネルギー源調整手段(図示せず)は、微細流動装置100のプラットホーム10に向かって設置された前記外部エネルギー源130Lをその上に表示された矢印方向、すなわちプラットホーム10の半径方向に移動させる。前記外部エネルギー源130Lを直線移動させるメカニズムは、多様に提供され、当業者に自明なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
一方、前記微細流動システムは、プラットホーム10を駆動する回転駆動部140を備える。回転駆動部140は、プラットホーム10を載置させ、回転力を伝達するための一部分であり、図示していないが、プラットホーム10を所望の速度、または所望の角度に回転させるモーター及びそれと関連した部品を備える。前記外部エネルギー源調整手段(図示せず)と同様に、回転駆動部140についての具体的な構成についての説明は既に公知であるので詳細な説明は省略する。
【0065】
図13の微細流動システムにおいて、前記外部エネルギー源130Lは、前記外部エネルギー源調整手段(図示せず)と前記回転駆動部140との機能により電磁波を微細流動装置100のうち選択された領域に集中的に照射できる。
【0066】
一方、本発明による微細流動システムは、微細流動装置100を利用した希釈の結果物である希釈溶液の濃度、または希釈溶液を利用した多様な実験の結果を光学的に観測できる光検出部150をさらに備える。例えば、染色された細胞溶液の希釈時に、光検出部150を利用して各希釈溶液チャンバー61〜67を観測することによって、希釈された細胞溶液の濃度を検証することもできる。
【0067】
図14は、図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態による微細流動システムにおいて、微細流動装置100、回転駆動部140及び外部エネルギー源130P自体に関する事項は、前述した図13に示した実施形態の通りである。ただし、本実施形態による微細流動システムの場合、外部エネルギー源調整手段(図示せず)は、プラットホーム10に向かって設置された前記外部エネルギー源130Pをプラットホーム10と平行な平面上で互いに直交する二方向(例えば、図面上のx軸とy軸方向、矢印参照)に移動させて、プラットホーム10上の目標地点に電磁波を達させる平面移動手段を備える。
【0068】
また、図示していないが、外部エネルギー源調整手段は、プラットホーム10の上側のいずれか一つの地点にその位置が固定された外部エネルギー源の方向を変化させて放出された電磁波が目標地点に達するように構成されることもある。
【0069】
以上、図面を参照して本発明に係るいくつかの望ましい実施形態が説明されたが、これは、単に例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、生化学分析関連の技術分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2A】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図2B】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図2C】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図3】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図6】図1及び図3〜図5の微細流動装置に採用された開放弁を示す平面図である。
【図7A】図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。
【図7B】図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。
【図8】図1及び図3〜図5の微細流動装置に採用された閉鎖弁を示す平面図である。
【図9】図8の閉鎖弁の作動状態を示す断面図である。
【図10】図6の開放弁で弁プラグに含まれた磁性流体の体積比と弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図11】図6の開放弁で外部エネルギー源として使われたレーザー光源のパワーと弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図12A】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12B】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12C】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12D】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12E】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12F】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図13】図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの一実施形態を示す斜視図である。
【図14】図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
10 ディスク状のプラットホーム、
21、22、23、50、61、62、63、64、65、66、67 チャンバー、
40、41、43、45、431、432、433、434、435、436 チャンネル、
211、221、222、223、231、232、233、611、612、621、622、631、632、641、642、651、652、661、662、671 弁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力基盤の微細流動装置に係り、特にディスク状のプラットホームに設けられれた微細流動構造物内で、試料の希釈を自動的に行えるようにする微細流動装置及びその微細流動装置を備える微細流動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、微細流動装置を構成する微細流動構造物には、少量の流体を溜めるチャンバーと、流体が流れるチャンネルと、流体の流れを調節できる弁と、流体を受けて所定の機能を行える色々な機能性ユニットと、が備えられる。小型のチップ上で生化学的反応を含めた試験を行えるように、チップ形態の基板にかかる微細流動構造物を配置したものをバイオチップといい、特に色々な段階の処理及び操作を一つのチップで行えるように製作された装置をラボオンチップ(lab−on−a chip)という。
【0003】
微細流動構造物内で流体を移送するためには、駆動圧力が必要であるが、駆動圧力として毛細管圧が利用されてもよく、別途のポンプによる圧力が利用されてもよい。近年では、コンパクトディスク状のプラットホームに微細流動構造物を配置して、遠心力を利用する微細流動装置が提案されている。それをラボCDまたはラボオンディスクという。しかし、この場合には、フレームに固定されずに回転するため、底に固定されたままで作動するラボオンチップと色々な面で異なる。
【0004】
一方、化学的または生物学的実験には、多様な濃度の試料が要求される場合が多い。その代表的な例として、細胞数の計数または遺伝子発現などの定量分析のためのキャリブレーションなどが挙げられる。微細流動チップ上で多様な濃度の試料を作る装置を提供するためには、下記特許文献1及び2が提案されている。しかし、前者は、電気浸透現象を利用したものであるので、高い駆動電圧を必要とし、後者は、指数関数形態の濃度勾配を提供できないなどの課題がある。また、前記装置は、ディスク状のプラットホーム上に具現し難い。
【0005】
近年、ディスク状のプラットホーム上で、遠心力を利用して流体を容易に移動させる多様な遠心力基盤の微細流動装置が開発されることによって、前記ディスク状のプラットホーム上で自動的に多様な濃度の試料を提供できる装置が要求されている。
【特許文献1】米国特許第5836004号明細書
【特許文献2】米国特許第6705357号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、最初に試料を注入する一回の手作業以外に別途の手作業なしに、自動的に多様な濃度の試料を提供できる希釈のための遠心力基盤の微細流動装置及びそれを備える微細流動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る希釈のための微細流動装置は、回転可能なディスク型プラットホームと、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、を備える。
【0008】
前記微細流動装置は、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備える。
【0009】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることもでき、それと異なり、前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることもできる。
【0010】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられることが望ましい。前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備える。
【0011】
ここで、前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備える。前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであり、前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmである。前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つでありうる。
【0012】
本発明に係る希釈のための微細流動装置を備える微細流動システムは、回転可能なディスク型プラットホーム、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバー、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部、及び前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーを備える微細流動装置と、前記微細流動装置を支持して制御可能に回転させる回転駆動部と、前記微細流動装置内で選択された弁を個別的に駆動する弁駆動ユニットと、を備える。
【0013】
前記弁駆動ユニットは、前記弁内の発熱粒子の発熱を誘導できる波長帯の電磁波を放出する外部エネルギー源と、前記外部エネルギー源から照射された電磁波が前記選択された弁に対応する領域に集中的に達するように、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整する外部エネルギー源調整手段と、を備える。
【0014】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームの半径方向に移動させる直線移動手段を備えることもでき、それと異なり、前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームと平行な平面上で直交座標に沿って二方向に移動させる平面移動手段を備えることもできる。
【0015】
前記微細流動システムにおいて、前記微細流動装置は、前記プラットホーム上に前記混合チャンバーより中心に近く配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備える。
【0016】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることもでき、それと異なり、前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることもできる。
【0017】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられることが望ましい。前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備える。
【0018】
ここで、前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備える。前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであり、前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmである。前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成された本発明に係る希釈のための微細流動装置及びそれを備える微細流動システムは、最初に試料を注入する一回の手作業以外に別途の手作業なしに、自動的に多様な濃度の試料を提供できる。また、手作業による希釈に比べて精密度が高くて濃度誤差を減らすことができる。また、遺伝子の定量的分析のために全自動化されたラボオンディスクに採用される場合、キャリブレータサンプルを自動的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。添付された図面で、同じ図面符号は同じ構成要素を表す。図示したチャンバー及びチャンネルなどの構造物は、その形状が単純化され、その大きさの比が実際と異なって拡大または縮少されたものでありうる。なお、本明細書において、バッファ液は、試料を希釈する溶媒を意味し、希釈溶液は、バッファ液と試料との混合液を意味する。連続希釈とは、試料とバッファ液とを一定な体積比で希釈し、このように希釈された希釈溶液とバッファ液とを再び同じ体積比で希釈する過程を複数回反復しつつ、互いに指数関数の関係にある色々な濃度の希釈溶液を得る作業を意味する。
【0021】
図1は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の一実施形態を示す平面図である。本実施形態に係る微細流動装置は、ディスク状のプラットホーム10と、プラットホーム10上に設けられた複数のチャンバー21〜23、50、61〜67と、前記複数のチャンバーの間を連結する複数のチャンネル40、41、43、45と、前記複数のチャンネルを通じた流体の流れを統制する複数の弁と、を備える。
【0022】
プラットホーム10は、成形が容易であり、その表面が生物学的に不活性であるアクリル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのプラスチック素材で形成される。しかしながら、上記プラスチック素材に限定されるものではなく、化学的、生物学的安定性、光学的透明性、及び機械的加工性を有する素材であれば良い。プラットホーム10は、複数層の板からなりうる。板と板とが接触する面にチャンバーやチャンネルなどに該当する陰刻構造物を形成し、それらを接合することによって、プラットホーム10の内部に、空間と通路とを提供できる。上記板と板との接合は、接着剤や両面接着テープを利用して接合したり、超音波融着したりするなど多様な方法で行われる。
【0023】
プラットホーム10上に、試料とバッファ液との混合のための混合チャンバー50が設けられる。プラットホーム10上で、混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心に近い側には、チャンネル40を通じて混合チャンバー50と連結され、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を混合チャンバー50に供給するバッファ液保存部が設けられ、さらに外部から注入された試料を混合チャンバー50に供給する試料保存部が設けられる。
【0024】
前記バッファ液保存部は、多様な形態を有するが、本実施形態によれば、その内部の体積が一定な体積B1、すなわち一回に混合チャンバー50に移送されるバッファ液の体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁221〜223、231〜233が設けられたメータリングチャンバー22、23を備える。
【0025】
図1の正面から見て左側のメータリングチャンバー22を参照してさらに具体的に説明する。メータリングチャンバー22の各出口弁221〜223は、それぞれの進入チャンネル421〜423及びチャンネル40を通じ、混合チャンバー50と連結される。個別的に駆動される複数の出口弁221〜223としては、外部エネルギー源により駆動される相転移弁はいうまでもなく、毛細管弁、疎水性弁、機械式弁、ジオメトリック弁など多様な弁を採用できる。例えば、毛細管弁を採用する場合、開放回転数が最も低い弁を最も高い水位に対応する弁221として採用し、開放回転数が最も高い弁を最も低い水位に対応する弁223として採用される。
【0026】
前記試料保存部は、具体的には、試料チャンバー21、及び試料チャンバー21と混合チャンバー50とを連結するチャンネル41を通じた流体の流れを制御する試料チャンバー21の出口弁211で構成される。ただし、希釈しようとする最初の試料を混合チャンバー50に直接注入する場合、前記試料保存部は省略することもできる。
【0027】
プラットホーム10上で混合チャンバー50よりもプラットホーム10の中心から遠い側には、希釈された試料溶液が濃度別に受容される複数の希釈溶液チャンバー61〜67が設けられる。複数の希釈溶液チャンバー61〜66と混合チャンバー50との連結は、混合チャンバー50の中間排出口に直接連結されたチャンネル43と、チャンネル43から分かれて複数の希釈溶液チャンバー61〜66にそれぞれ対応する複数の分岐チャンネル431〜436とを通じて行われる。ただし、最も濃度の低い希釈溶液を受容する希釈溶液チャンバー67は、混合チャンバー50の最外郭に設けられた出口弁671に直接連結されたチャンネル45を通じて混合チャンバー50と連結される。
【0028】
混合チャンバー50の中間排出口とは、遠心力を利用して混合チャンバー50内の溶液を前記中間排出口を通じて外部に放出する場合、前記中間排出口と混合チャンバー50の最外郭との空間に一定な体積R1の溶液を残す位置をいう。チャンネル43は、混合チャンバー50の一方または両方の中間排出口に連結される。すなわち、チャンネル43と混合チャンバー50とが連結される前記中間排出口の位置によって、一回の希釈後に混合チャンバー50に残される希釈溶液の体積R1が決定される。
【0029】
チャンネル43は、前述した複数の分岐チャンネル431〜436と共に、混合チャンバー50から複数の希釈溶液チャンバー61〜66にそれぞれ連結される複数の流路を形成する。それぞれの流路には、流体の流れを個別的に制御するための一つの弁または複数の弁からなる弁群が設けられる。本実施形態によれば、それぞれの流路(例えば、チャンネル43と第1分岐チャンネル431とからなる流路)には、一つの開放弁611と一つの閉鎖弁612とで構成された弁群が設けられている。開放弁611と閉鎖弁612とは、いずれも外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁でありうる。
【0030】
図2A〜図2Cは、図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す。まず、矢印「丸数字1」のように、試料チャンバー21の出口弁211を開け、遠心力を利用して最初の濃度の試料を混合チャンバー50に移送する。次いで、第1希釈溶液チャンバー61に連結された流路43、431の開放弁611を開け、遠心力を利用して、矢印「丸数字2」のように第1希釈溶液(最初の濃度)を移送する。移送が終われば、第1希釈溶液チャンバー61に連結された第1分岐チャンネル431の閉鎖弁612を閉じる。このとき、混合チャンバー50内には、一定な体積R1の試料が残る。
【0031】
次いで、メータリングチャンバー22の第1出口弁221を開け、矢印「丸数字3」のように一定な体積B1のバッファ液を混合チャンバー50に移送して混合する。その結果、試料の最初濃度のR1/(R1+B1)倍に希釈された第2希釈溶液が形成される。次いで、第2希釈溶液チャンバー62に連結された流路43、432の開放弁621を開け、遠心力を利用して矢印「丸数字4」のように第2希釈溶液を移送する。移送が終われば、第2希釈溶液チャンバー62に連結された第2分岐チャンネル432の閉鎖弁622を閉じる。このとき、やはり混合チャンバー50内には、一定な体積R1の第2希釈溶液が残る。
【0032】
次いで、メータリングチャンバー22の第2出口弁222を開け、矢印「丸数字5」のように一定な体積B1のバッファ液を混合チャンバー50に移送して混合する。その結果、試料の最初濃度の(R1/(R1+B1))2倍に希釈された第3希釈溶液が形成される。次いで、第3希釈溶液チャンバー63に連結された流路43、433の開放弁631を開け、遠心力を利用して矢印「丸数字6」のように前記第3希釈溶液を移送する。移送が終われば、第3希釈溶液チャンバー63に連結された第3分岐チャンネル433の閉鎖弁632を閉じる。このときにも、混合チャンバー50内には、一定な体積R1の第3希釈溶液が残る。
【0033】
前記と類似した過程を反復することによって、第4〜第6希釈溶液チャンバー64〜66にも、それぞれ直前の希釈溶液よりR1/(R1+B1)倍ずつ希釈された希釈溶液を提供できる。混合チャンバー50で最後に希釈された希釈溶液は、混合チャンバー50の半径方向の最外郭に設けられた出口弁671及びそれと連結されたチャンネル45を通じて第7希釈溶液チャンバー67に移送される。
【0034】
前述したように、希釈作業の濃度スケールを定める要素は、B1及びR1である。一回の希釈過程を経る度に、R1/(R1+B1)倍ずつ溶液の濃度が希釈される。例えば、R1及びB1がそれぞれ40μlと同じであれば、第1〜第7希釈溶液チャンバー61〜67には、それぞれ最初の試料濃度の1倍、2−1倍、2−2倍、2−3倍、2−4倍、2−5倍、2−6倍に該当する濃度の希釈溶液が含まれる。他の例として、R1が10μlであり、B1が90μlであれば、前記第1〜第7希釈溶液チャンバー61〜67には、それぞれ最初の試料濃度の1倍、10−1倍、10−2倍、10−3倍、10−4倍、10−5倍、10−6倍に該当する濃度の希釈溶液が含まれる。
【0035】
このように形成された多様な濃度の希釈溶液は、多様な用途に活用される。例えば、細胞の計数や遺伝子の定量的分析のためのリアルタイムPCR用検量線(standard curveまたはcalibration curve)の作成にも活用される。また、本発明による微細流動装置は、他の機能を行う遠心力基盤の微細流動装置と共に、一つのプラットホーム上に集積されて、多様な濃度の試料を活用した結果物を容易に提供することもできる。
【0036】
図3は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前述した図1の実施形態と比較して、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とをそれぞれ連結する複数の流路で、流体の流れを制御する弁の種類及びその配置に相違点がある。本実施形態によれば、混合チャンバー50の両中間排出口に直接連結されたチャンネル44から分かれた複数の分岐チャンネル441〜446にそれぞれ一つずつの開閉型弁613、623、633、643、653、663を配置する。開閉型弁613、623、633、643、653、663は、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁の一例であって、流路を開閉する動作をいずれも行え、必要に応じては開閉する動作を数回反復することもできる。
【0037】
図4は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前記図4の実施形態と比較して、バッファ液保存部の形態に差がある。本実施形態によれば、メータリングチャンバー22、23を使用した前記図4の実施形態とは異なり、バッファ液の供給回数に対応する個数のバッファ液チャンバー24〜29を備え、それぞれのバッファ液チャンバー24〜29に個別的に駆動される出口弁241、251、261、271、281、291を備える。かかる出口弁としては、前記図1の実施形態と同様に、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁(開放弁)だけでなく、異なる回転数条件で開放される毛細管弁、疎水性弁など多様な弁が採用される。
【0038】
図5は、本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。本実施形態は、前記図5の実施形態と比較して、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とをそれぞれ連結する複数の流路で、流体の流れを制御する弁の種類及びその配置に相違点がある。本実施形態によれば、混合チャンバー50の両中間排出口に直接連結されたチャンネル46にそれぞれ一つずつの開閉型弁601,602を配置し、チャンネル46で開閉型弁601、602より下流から分かれた複数の分岐チャンネル461〜466にそれぞれ個別的に駆動される閉鎖弁612、622、632、642、652、662を配置する。開閉型弁601、602は、少なくとも三回ずつ開放と閉鎖とを反復することが望ましい。反復的に作動する開閉型弁601,602と複数の閉鎖弁612,622,632,642,652,662との組み合わせにより、混合チャンバー50と複数の希釈溶液チャンバー61〜66とを連結するそれぞれの流路を個別的に開閉できる。
【0039】
図6は、図1、図3〜図5の微細流動装置に採用された開放弁を示す平面図であり、図7A及び図7Bは、図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。開放弁631は、常温で固状である弁物質からなる弁プラグ83を備える。前記弁物質としては、常温で固状である相転移物質からなる分散媒に発熱粒子が分散されている材料を使用できる。チャンネル43は、第1深さD1の第1領域43Aと、第1領域43Aに隣接した一対の第2領域43Bと、を備える。第2領域43Bは、第1深さD1より深い第2深さD2を有する。
【0040】
弁プラグ83は、常温で開口部83Aと重ならない第1領域43Aの一部分を間隙なしに塞いで入口I側から流入される流体Fの流れを遮断する。弁プラグ83は、高温で溶融されて第1領域43Aから第2領域43Bに移動して、流体Fの流路を開放したままで再び凝固(図8Bの83’を参考)される。開口部83Aは、微細流動装置の製作時に溶融された弁物質を投入して弁プラグを形成できる注入口の役割を行う。開口部83Aを通じて第1領域43Aに注入された弁物質は、毛細管力により開口部83Aと重なる第1領域43Aの一部分に残される。
【0041】
弁プラグ83に熱を加えるために、微細流動装置100の外部には、外部エネルギー源(図16の130Lを参考)が配置され、外部エネルギー源130Lが弁プラグ83の初期位置、すなわち開口部83Aとその周辺とを含む領域に電磁波を照射する。このとき、外部エネルギー源130Lは、例えばレーザービームを照射するレーザー光源であり、その場合、少なくとも一つのレーザーダイオードを備える。前記レーザー光源は、パルスレーザーを照射する場合、1mJ/パルス以上のエネルギーを有するパルスレーザーを、連続波動レーザーを照射する場合、10mW以上の出力を有する連続波動レーザーを照射できる。
【0042】
400〜1300nmの波長を有するレーザーを照射するレーザー光源であれば、前記微細流動システムの外部エネルギー源130Lとして採用される。
【0043】
前述したチャンネル43は、ディスク型プラットホーム10をなす上板12または下板11の内面に形成された立体パターンにより提供される。上板12は、外部エネルギー源から照射された電磁波が弁プラグ83に入射できるように透過させ、外部から流体Fの流れを観測可能にする光学的に透明な材料で形成されることが望ましい。その例として、ガラスまたは透明プラスチック素材は、光学的な透明性に優れており、製造コストが低いという面で有利である。
【0044】
弁プラグ83に分散された発熱粒子は、数千μmの幅を有するチャンネル43内で自由に流動可能に1nm〜100μmの直径を有するものでありうる。前記発熱粒子は、レーザーが照射されれば、その輻射エネルギーにより温度が急激に上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。このような性質を有するために、前記発熱粒子は、金属成分を含むコアと、疎水性を有するシェルとを備える構造を有する。例えば、前記発熱粒子は、強磁性物質であるFeからなるコアと、前記Feに結合されてFeを取り囲む複数の界面活性成分からなるシェルと、を備える構造を有する。通常、前記発熱粒子は、キャリアオイルに分散された状態で保管される。疎水性の表面構造を有する前記発熱粒子が均一に分散されるように、キャリアオイルも疎水性であることが望ましい。ワックスに前記発熱粒子が分散されたキャリアオイルを注いで混合することによって、弁プラグ83の素材を製造できる。前記発熱粒子の粒子形態は、前記例として挙げた形態に限定されるものではなく、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、または磁性ビードでありうる。前記炭素粒子には、黒鉛粒子も含まれる。
【0045】
弁プラグ83をなす相転移物質は、ワックスでありうる。前記発熱粒子が吸収した電磁波のエネルギーを熱エネルギーの形態で周囲に伝達すれば、ワックスは、これによって溶融されて流動性を有し、これにより、プラグ83が崩壊され、流体Fの流路が開放される。プラグ83を構成するワックスは、適度な溶融点を有することが望ましい。溶融点が高すぎる場合には、レーザーを照射し始めてから溶融されるまで長時間がかかって開放時点の精密な制御が困難になり、逆に溶融点が低すぎる場合には、レーザーが照射されていない状態で部分的に溶融されて、流体Fが漏れることもあるためである。前記ワックスとしては、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、または天然ワックスなどが採用される。
【0046】
一方、前記相転移物質は、ゲルまたは熱可塑性樹脂でありうる。前記ゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリビニルアミドなどが採用される。また、前記熱可塑性樹脂としては、サイクリックオレフィンコポリマー(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタールエンジニアリングポリマー(POM)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが採用される。
【0047】
図8は、図1、図3〜図5の微細流動装置に採用された閉鎖弁を示す平面図であり、図9は、図8の閉鎖弁の作動状態を示す断面図である。
【0048】
閉鎖弁632は、入口I及び出口Oを有するチャンネル433の中間に連結された弁物質コンテナ85と、常温である初期には、固状として弁物質コンテナ85内に充填されていて加熱されれば、溶融及び膨脹されつつ、弁連結路86を通じてチャンネル433に流入され、再び凝固されつつチャンネル433を遮断する弁物質Vと、を含む。
【0049】
閉鎖弁632も、前述した開放弁631と同様に、微細流動装置100のプラットホーム10をなす上板12または下板11の内面に形成された立体パターンにより提供される。上板12は、外部エネルギー源から照射された電磁波を透過させ、外部から流体Fを観測可能にする光学的に透明な材料で形成されることが望ましい。また、上板12は、前記電磁波(例えば、レーザービーム)が前記弁物質Vにさらによく入射できるように、弁物質コンテナ85に対応する開口部85Aを有することもできる。開口部85Aは、微細流動装置の製作時に溶融された弁物質を投入する注入口の役割を担う。
【0050】
前記弁物質Vをなす相転移物質P及び発熱粒子Mに関する事項は、開放弁631の例を通じて前述した通りである。また、前記弁物質Vに電磁波を提供する外部エネルギー源に関する事項も前述した通りである。
【0051】
弁物質コンテナ85内に凝固されている弁物質Vにレーザービームが照射されれば、前記発熱粒子Mがエネルギーを吸収して前記相転移物質Pを加熱させる。これにより、前記弁物質Vは、溶融されつつ体積が膨脹し、弁連結路86を通じてチャンネル433に流入される。チャンネル433内で流体Fと接触しつつ、再び凝固された弁物質Vは、チャンネル433を通じた流体Fの流れを遮断する。
【0052】
前述した開放及び閉鎖弁の反応時間を測定した実験の結果は次の通りである。実験のためのテストチップで、作動流体の圧力は46kPaに維持した。圧力維持のために、シリンジポンプ(Havard PHD2000,USA)と圧力センサー(MPX 5500DP,Freescale semiconductor Inc.,AZ,USA)とを使用した。前記弁に電磁波を照射する外部エネルギー源としては、放出波長が808nmであり、出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。弁の反応時間に関するデータは、高速撮影装置(Fastcam−1024,Photron,CA,USA)の結果物分析を通じて得た。前記弁プラグとしては、発熱粒子である平均直径10nmの磁性ビードがキャリアオイルに分散された、いわゆる磁性流体とパラフィンワックスとが1対1の割合で混合された、すなわち磁性流体の体積比が50%である、いわゆる磁性ワックスを使用した。
【0053】
実験結果、前記開放弁の弁プラグにレーザービームを照射し始めてから、前記弁プラグが溶融されてチャンネルが開くまでの反応時間は、0.012秒であった。前記閉鎖弁の弁物質コンテナにレーザービームを照射し始めてから、前記弁物質が溶融及び膨脹されてチャンネルを閉じるまでの反応時間は、0.444秒であった。従来のワックス弁の反応時間が2〜10秒であった点を比較すれば、はるかに速い反応であるということが分かる。
【0054】
図10は、図6の開放弁で弁プラグに含まれた磁性流体の体積比と弁反応時間との関係を示すグラフである。一般的に、磁性流体の体積比が大きくなりつつ反応時間が短くなる推移を表す。しかしながら、これと別個に磁性流体の体積比が70%以上に大きくなれば、弁プラグの最大許容圧力が低くなる傾向がある。したがって、前記弁ユニットで弁プラグに含まれる磁性流体の体積比は、反応時間に対する要求と最大許容圧力に対する要求との折衝により決まる。
【0055】
図11は、図6の開放弁で外部エネルギー源として使われたレーザー光源のパワーと弁反応時間との関係を示すグラフである。出力が高くなるほど、反応時間が短くなる推移を表す。しかしながら、レーザー光源の出力が1.5Wに近接すれば、反応時間の変化が緩慢になり、図示はしていないが、1.5Wを超えれば、所定の最小反応に収束する。パラフィンワックスを通じた熱伝導率の制約があるためである。前記実験では、かかる理由により出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。しかし、本発明の外部エネルギー源がこれに限定されるものではない。
【0056】
図12A〜図12Fは、図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【0057】
図12A〜図12Fに示すように、図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁601は、外部エネルギー源により個別的に駆動される相転移弁の一例であって、弁物質コンテナ95と、弁物質コンテナ95に注入される弁物質Vと、流体Fの流路を形成するチャンネル46と弁物質コンテナ95とを連結する弁連結路96と、前記弁物質Vにエネルギーを供給するためのエネルギー源の一例として、レーザー光源130と、を備える。レーザー光源130は、電磁波の一種であるレーザーLを照射するが、本発明のエネルギー源は、レーザー光源130に限定されず、赤外線(IR)を照射するか、または高温ガスを噴射して弁物質Vにエネルギーを供給するものでありうる。
【0058】
弁物質コンテナ95、チャンネル46及び弁連結路96は、互いに接合された上板12及び下板11を備えるディスク型プラットホーム10に形成される。上板12と下板11との接合方法は、接着剤や両面接着テープを利用してもよく、超音波融着によってもよい。具体的に、下板11に弁物質コンテナ95、チャンネル46及び弁連結路96が陰刻パターンに形成され、上板12には、弁物質コンテナ95に弁物質Vを注入するための開口部95Aが形成されている。チャンネル46は、第1深さD1の第1領域46Aと、第1領域46Aに隣接した一対の第2領域46Bと、を備える。第2領域46Bは、第1深さD1より深い第2深さD2を有する。
【0059】
図12Aに示したように、弁物質コンテナ95に注入されて硬化された弁物質Vにレーザー光源130を利用してレーザービームLを照射すれば、前記弁物質Vが爆発的に溶融膨脹して弁連結路96を通じてチャンネル46の第1領域46Aに流入される。図12Bに示したように、チャンネル46に流入された弁物質Vは、毛細管現象によりもチャンネル46の第1領域46Aに残されて硬化されることによって、チャンネル46を閉鎖する弁プラグを形成する。したがって、流体Fは、チャンネル46に沿って流れない状態となる。
【0060】
図12Cに示したように、第1領域46Aで硬化された弁物質Vにレーザー光源130を利用して再びレーザービームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び爆発的に溶融膨脹し、チャンネル46の第2領域46Bに流れることにより、チャンネル46が再び開放され(図12D参照)、流体Fがチャンネル46に沿って流れる状態となる。
【0061】
さらに図12Eに示したように、弁物質コンテナ95と弁連結路96とに残っている弁物質Vにレーザー光源130を利用してレーザービームLを照射すれば、硬化された弁物質Vが再び爆発的に溶融膨脹して前記第1領域46Aに流入され、図12Fに示したように、前記第1領域46Aに残されて硬化された弁物質Vが再びチャンネル46を閉鎖する。このように、弁物質Vがほとんどチャンネル46の第2領域46Bに流れるまで、レーザービームLの照射を反復的に行ってチャンネル46を反復的に開閉できる。
【0062】
図13は、前記図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの一実施形態を示す斜視図である。本発明の一実施形態による微細流動システムは、前述した本発明の微細流動装置100を備える。本実施形態による微細流動システムは、前述した個別駆動方式の相転移弁211、221〜223、231〜233、601、602、611、612、613に所定の電磁波を照射してエネルギーを供給する外部エネルギー源130Lを含む。前記外部エネルギー源130Lは、マイクロウエーブ、赤外線、可視光線、紫外線、及びX線など多様な波長の電磁波のうち選択された所定の波長帯の電磁波を照射できる装置でありうる。また、かかる電磁波を近距離の標的に集中的に照射可能な装置であれば、さらに望ましい。前記外部エネルギー源130Lの波長は、前記弁物質Vに含まれた発熱粒子Mによりもよく吸収される範囲であることが望ましい。したがって、前記外部エネルギー源130Lで電磁波を発生させる素子は、発熱粒子Mの素材及び表面条件によって適切に選択される。前記外部エネルギー源130Lは、例えばレーザービームを照射するレーザー光源であり、その場合、少なくとも一つのレーザーダイオードを備えうる。レーザービームの波長及び出力など細部的な事項は、主な使用対象である微細流動装置100の相転移弁に含まれた発熱粒子の種類によって決まる。
【0063】
前記微細流動システムは、前記外部エネルギー源130Lの位置または方向を調整して、そこから照射された電磁波が前記微細流動装置100のうち所望の領域に、具体的には、微細流動装置100に備えられた複数の相転移弁のうち選択されたいずれか一つに該当する領域に集中的に達するようにする外部エネルギー源調整手段(図示せず)を備える。図13の微細流動システムにおいて、外部エネルギー源調整手段(図示せず)は、微細流動装置100のプラットホーム10に向かって設置された前記外部エネルギー源130Lをその上に表示された矢印方向、すなわちプラットホーム10の半径方向に移動させる。前記外部エネルギー源130Lを直線移動させるメカニズムは、多様に提供され、当業者に自明なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
一方、前記微細流動システムは、プラットホーム10を駆動する回転駆動部140を備える。回転駆動部140は、プラットホーム10を載置させ、回転力を伝達するための一部分であり、図示していないが、プラットホーム10を所望の速度、または所望の角度に回転させるモーター及びそれと関連した部品を備える。前記外部エネルギー源調整手段(図示せず)と同様に、回転駆動部140についての具体的な構成についての説明は既に公知であるので詳細な説明は省略する。
【0065】
図13の微細流動システムにおいて、前記外部エネルギー源130Lは、前記外部エネルギー源調整手段(図示せず)と前記回転駆動部140との機能により電磁波を微細流動装置100のうち選択された領域に集中的に照射できる。
【0066】
一方、本発明による微細流動システムは、微細流動装置100を利用した希釈の結果物である希釈溶液の濃度、または希釈溶液を利用した多様な実験の結果を光学的に観測できる光検出部150をさらに備える。例えば、染色された細胞溶液の希釈時に、光検出部150を利用して各希釈溶液チャンバー61〜67を観測することによって、希釈された細胞溶液の濃度を検証することもできる。
【0067】
図14は、図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態による微細流動システムにおいて、微細流動装置100、回転駆動部140及び外部エネルギー源130P自体に関する事項は、前述した図13に示した実施形態の通りである。ただし、本実施形態による微細流動システムの場合、外部エネルギー源調整手段(図示せず)は、プラットホーム10に向かって設置された前記外部エネルギー源130Pをプラットホーム10と平行な平面上で互いに直交する二方向(例えば、図面上のx軸とy軸方向、矢印参照)に移動させて、プラットホーム10上の目標地点に電磁波を達させる平面移動手段を備える。
【0068】
また、図示していないが、外部エネルギー源調整手段は、プラットホーム10の上側のいずれか一つの地点にその位置が固定された外部エネルギー源の方向を変化させて放出された電磁波が目標地点に達するように構成されることもある。
【0069】
以上、図面を参照して本発明に係るいくつかの望ましい実施形態が説明されたが、これは、単に例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、生化学分析関連の技術分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2A】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図2B】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図2C】図1の微細流動装置を利用して希釈を行う過程を示す図面である。
【図3】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明による希釈のための遠心力基盤の微細流動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図6】図1及び図3〜図5の微細流動装置に採用された開放弁を示す平面図である。
【図7A】図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。
【図7B】図6の開放弁の作動状態を示す断面図である。
【図8】図1及び図3〜図5の微細流動装置に採用された閉鎖弁を示す平面図である。
【図9】図8の閉鎖弁の作動状態を示す断面図である。
【図10】図6の開放弁で弁プラグに含まれた磁性流体の体積比と弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図11】図6の開放弁で外部エネルギー源として使われたレーザー光源のパワーと弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図12A】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12B】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12C】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12D】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12E】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図12F】図3及び図5の微細流動装置に採用された開閉型弁の作動過程を順次に示す斜視図である。
【図13】図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの一実施形態を示す斜視図である。
【図14】図1または図3〜図5のうちいずれか一つの微細流動装置を備える微細流動システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
10 ディスク状のプラットホーム、
21、22、23、50、61、62、63、64、65、66、67 チャンバー、
40、41、43、45、431、432、433、434、435、436 チャンネル、
211、221、222、223、231、232、233、611、612、621、622、631、632、641、642、651、652、661、662、671 弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なディスク型プラットホームと、
前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、
を備えることを特徴とする希釈のための遠心力基盤の微細流動装置。
【請求項2】
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項3】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項4】
前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項5】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項6】
前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備えることを特徴とする請求項5に記載の微細流動装置。
【請求項7】
前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備えることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項8】
前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項9】
前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項10】
前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項11】
回転可能なディスク型プラットホームと、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、を備える微細流動装置と、
前記微細流動装置を支持して制御可能に回転させる回転駆動部と、
前記微細流動装置内で選択された弁を個別的に駆動する弁駆動ユニットと、
を備えることを特徴とする遠心力基盤の微細流動システム。
【請求項12】
前記弁駆動ユニットは、
前記弁内の発熱粒子の発熱を誘導できる波長帯の電磁波を放出する外部エネルギー源と、
前記外部エネルギー源から照射された電磁波が前記選択された弁に対応する領域に集中的に達するように、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整する外部エネルギー源調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項13】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームの半径方向に移動させる直線移動手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の微細流動システム。
【請求項14】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を、前記プラットホームと平行な平面上で直交座標に沿って二方向に移動させる平面移動手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の微細流動システム。
【請求項15】
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項16】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項17】
前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項18】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられたことを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項19】
前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備えることを特徴とする請求項18に記載の微細流動システム。
【請求項20】
前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備えることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項21】
前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項22】
前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項23】
前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項1】
回転可能なディスク型プラットホームと、
前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、
を備えることを特徴とする希釈のための遠心力基盤の微細流動装置。
【請求項2】
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項3】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項4】
前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項5】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項6】
前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備えることを特徴とする請求項5に記載の微細流動装置。
【請求項7】
前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備えることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項8】
前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項9】
前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項10】
前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項11】
回転可能なディスク型プラットホームと、前記プラットホーム上に配置された混合チャンバーと、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、チャンネルを通じて前記混合チャンバーと連結されて、少なくとも一回一定量ずつのバッファ液を前記混合チャンバーに供給するバッファ液保存部と、前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心から遠くに配置され、それぞれが前記混合チャンバーの一定水位に対応する中間排出口から延びた流路を通じて前記混合チャンバーと連結されて、前記混合チャンバーで少なくとも一回希釈された溶液を順次に受容する複数の希釈溶液チャンバーと、を備える微細流動装置と、
前記微細流動装置を支持して制御可能に回転させる回転駆動部と、
前記微細流動装置内で選択された弁を個別的に駆動する弁駆動ユニットと、
を備えることを特徴とする遠心力基盤の微細流動システム。
【請求項12】
前記弁駆動ユニットは、
前記弁内の発熱粒子の発熱を誘導できる波長帯の電磁波を放出する外部エネルギー源と、
前記外部エネルギー源から照射された電磁波が前記選択された弁に対応する領域に集中的に達するように、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整する外部エネルギー源調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項13】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を前記プラットホームの半径方向に移動させる直線移動手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の微細流動システム。
【請求項14】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記微細流動装置のプラットホームに向かって設置された前記外部エネルギー源を、前記プラットホームと平行な平面上で直交座標に沿って二方向に移動させる平面移動手段を備えることを特徴とする請求項12に記載の微細流動システム。
【請求項15】
前記プラットホーム上で前記混合チャンバーよりも前記プラットホームの中心に近くに配置され、外部から注入された試料を遠心力により前記混合チャンバーに供給する試料保存部をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項16】
前記バッファ液保存部は、その内部の体積が一定な体積のn倍(nは、自然数)に該当する複数の水位段階ごとに個別的に駆動される出口弁が設けられたメータリングチャンバーを備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項17】
前記バッファ液保存部は、それぞれ個別的に駆動される出口弁を備え、同じ体積を有する複数のバッファ液チャンバーを備えることを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項18】
前記混合チャンバーの中間排出口から前記複数の希釈溶液チャンバーに連結されるそれぞれの流路には、それらを個別的に開閉する弁または弁群が設けられたことを特徴とする請求項11に記載の微細流動システム。
【請求項19】
前記弁または弁群は、常温で固状である相転移物質分散媒に発熱粒子が分散された弁物質を含み、前記弁物質が外部エネルギー源から照射された電磁波による熱により溶融された状態に移動して、前記チャンネルを開閉する相転移弁を備えることを特徴とする請求項18に記載の微細流動システム。
【請求項20】
前記弁群は、開放弁と閉鎖弁とからなる一対の相転移弁を備えることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項21】
前記相転移物質分散媒は、ワックス、ゲル、熱可塑性樹脂からなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項22】
前記発熱粒子は、直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【請求項23】
前記発熱粒子は、重合体ビード、量子ドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子、及び磁性ビードからなる群から選択された少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の微細流動システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−197097(P2008−197097A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26810(P2008−26810)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]