説明

帯状の荷造ひもを用いた結束方法

【課題】帯状の荷造ひもを結束装置へ供給して荷物を縛り、かつ結び目を形成する方法を提供する。
【解決手段】帯状の荷造ひもを円筒状に巻いたリールの中心軸を水平に保持するとともにリールを回転可能に支持し、荷造ひもの外側端部をピンチロールに装入して、ピンチロールの駆動力によって荷造ひもを結束装置へ供給し、さらに荷造ひも誘導具を介して荷造ひもを荷物に圧着させた後、荷造ひも誘導具を捻ることによって荷造ひもに縮狭部を形成し、結び目形成具が縮狭部を把持して結び目を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから供給される荷造ひもを箱状の荷物に巻き付けて更にその荷造ひもを縛る一連の動作を行なう結束方法に関するものである。なお、箱状の荷物とは、直方体または立方体の形状をなすもの(たとえば梱包用の箱に物品を収容したもの,板状の物品を積み重ねたもの,角柱状の物品を束ねたもの等)を指す。
【背景技術】
【0002】
図5に示すような箱状の荷物10に荷造ひも1を縛り付けて結束作業を自動的に行なう結束装置は、従来から種々検討されている(たとえば特許文献1,2参照)。
このような結束装置で使用される荷造ひも1は業務用として製造されたものであり、図6に示すように、芯材11に荷造ひも1を巻き付けて円筒状の成形体2(以下、リールという)として荷造ひも1の製造元から出荷される。業務用のリール2では、大量の荷造ひも1を小さい体積に巻き付けるために、荷造ひも1を幅方向に広げて幅広の帯状にして巻き付ける。
【0003】
また、リール2に巻き付けられた荷造ひも1の両端部のうち、芯材11に接触する側の端部4(以下、内側端部という)は、リール2の外側に引き出されている。その理由は、荷造ひも1を結束装置へ供給する際に、内取りと呼ばれる供給方法を可能にするためである。
以下に、内取り方式の荷造ひも1の供給方法について、図7を参照して説明する。
【0004】
従来から使用されている結束装置では、図7に示すように、リール2は予め芯材11を抜き取られており、それぞれ所定のリール保持具12に静置される。そして、リール2の荷造ひも1の内側端部4を結束装置内(図示せず)に装入して、箱状の荷物10の進入によって荷造ひも1を結束装置へ供給する。このような供給方法は、リール2の内側から荷造ひも1を引き出すので、内取りと呼ばれている。なお、図7中の矢印Aは荷造ひも1の進行方向を示す。
【0005】
内取り方式で荷造ひも1を結束装置へ供給する場合は、荷造ひも1はリール2の内周面から巻き戻される。ところが従来の結束装置では、リール2はリール保持具12に静置されており回転しない。したがって、荷造ひも1はリール2の内周面から巻き戻されるときに捻れが生じ、細い糸状で結束装置へ供給される。その結果、図5に示すような箱状の荷物10に糸状の荷造ひも1を縛り付けたときに、荷物10の角部に応力が集中して窪みが生じて、荷物10が変形する。
【0006】
仮に外取り方式を採用しても、リールが回転しなければ同様の現象が生じる。
たとえば、この荷物10が新品のダンボールを板状に数枚重ねたものである場合は、上記のような糸状の荷造ひも1を使用することによって窪みが生じると、新品のダンボールが変形し、そのダンボールを使用する際に外観を損ねるばかりでなく、ダンボールの組み立て等の作業に支障を来たす。
【0007】
図5に示す状態で荷物10の角部に生じる応力集中を防止するためには、幅の広い帯状の荷造ひも1を使用する必要がある。
そこで特許文献3には、幅3〜4cmの荷造ひもをロール巻きにして、その回転軸が荷造ひもの進行方向に直角になるように設定し、ショックアブソーバーを経て結束装置へ供給する技術が開示されている。この技術は、結束装置内の荷物が所定の位置に到達したことを示す結束装置からの信号に応じて、荷造ひものリールが慣性で回転するのを停止させることによって、余分な荷造ひもが結束装置内に溢れるのを防止する。このようにして帯状の荷造ひもを結束装置に供給することができる。
【0008】
しかしながら特許文献3には、荷造ひもの結び目を形成する方法に関する記載はない。荷造ひもの結び目を形成する部材(以下、結び目形成具という)は、一般にビーク(特許文献2参照)と呼ばれており、
(a) 荷造ひもの荷造ひも拘束具側の端部と荷造ひも誘導具側の端部を把持する、
(b) 荷造ひもを環状に保持して輪を形成する、
(c) 荷造ひもを輪に通す、
(d) 荷造ひもの輪を絞る、
(e) 荷造ひもを切断する
という複雑かつ細かい一連の動作を行なうものである。
【0009】
したがって結び目形成具は比較的小型の機具である。そのため、帯状に広がった荷造ひもを結び目形成具で把持する場合には、全幅にわたって荷造ひもを把持できない。一般に帯状の荷造ひもは長さ方向に切れ目が生じやすいので、荷造ひもを全幅にわたって把持できなければ、荷造ひもが裂けてしまい、十分な強度が得られない。
つまり、帯状の荷造ひもを結束装置へ供給して荷物を縛り、かつ結び目を形成する技術は実用化されていない。
【特許文献1】特開平9-309506号公報
【特許文献2】特開平10-194221号公報
【特許文献3】特開2003-267304 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題を解消し、帯状の荷造ひもを結束装置へ供給し、荷造ひもを幅方向に伸ばした状態を維持しつつ荷物を縛り、かつ結び目を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、帯状の荷造ひもを円筒状に巻いたリールの中心軸を水平に保持するとともにリールを回転可能に支持し、荷造ひもの外側端部をピンチロールに装入して、ピンチロールの駆動力によって荷造ひもを結束装置へ供給し、さらに荷造ひも誘導具を介して荷造ひもを荷物に圧着させた後、荷造ひも誘導具を捻ることによって荷造ひもに縮狭部を形成し、結び目形成具が縮狭部を把持して結び目を形成する結束方法である。
【0012】
本発明の結束方法では、荷造ひもがピンチロールから、2個の固定ロールと1個の可動ロールからなる長さ調整装置を経て結束装置へ供給され、かつ可動ロールからの信号に応じて荷造ひもの供給を停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、帯状の荷造ひもを結束装置へ供給し、荷造ひもを幅方向に広げた状態を維持しつつ荷物を縛り、かつ結び目を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明では、図6に示すような円筒状のリール2から帯状の荷造ひも1を幅方向に広げた状態を維持したまま結束装置へ供給するために、リール2に巻き付けられた荷造ひも1の両端部のうち、外側に位置する端部3(以下、外側端部という)から結束装置へ供給する。このように外側端部3から荷造ひも1を結束装置へ供給する方法は、上記した内取り方式と区別するために、外取りと呼ばれている。
【0015】
つまり本発明では外取り方式を採用する。以下に、図1〜4を参照して、本発明について説明する。
まず図1に示す本発明を適用する荷造ひも供給装置の例を参照して、荷造ひも1を帯状に幅を広げた状態を維持したまま結束装置へ送給する方法について説明する。
本発明では、図1に示すように、水平支持具5にリール2を装着する。リール2は、その中心軸が水平を保ち、かつ回転可能に保持される。なおリール2の回転は、ピンチロール9が荷造ひも1を引っ張ることによって生じるものであり、水平支持具5に回転用の駆動力源を配設する必要はない。
【0016】
水平支持具5に装着されたリール2の荷造ひも1の外側端部3をピンチロール9に装入する。荷造ひも1はピンチロール9の駆動力によって固定ロール6,可動ロール7を経て結束装置(図示せず)へ供給される。図1中の矢印Aは第1荷造ひも1aの進行方向を示す。
図1に示す2個の固定ロール6と1個の可動ロール7からなる長さ調整装置は、リール2からピンチロール9を介して連続的に供給される荷造ひも1の供給長さと、後述する結束装置にて間欠的に使用される使用長さとのバランスを調整するものである。固定ロール6は、その位置が固定されており、可動ロール7は、2個の固定ロール6の間に垂下される荷造ひも1の長さに応じて上下方向に自在に移動する。なお固定ロール6,可動ロール7は、いずれも荷造ひも1の進行に伴って回転するので、回転用の駆動力源を配設する必要はない。
【0017】
このようにして、リール2から連続的に荷造ひも1が供給される一方で、結束装置における結束作業が中断しているときは、2個の固定ロール6の間に垂下される荷造ひも1の長さが延長されて、可動ロール7が自重によって下降する。結束装置にて結束作業が行なわれるときは、荷造ひも1が消費されるので、2個の固定ロール6の間に垂下される荷造ひも1の長さが短縮されて、可動ロール7が上昇する。
【0018】
そして可動ロール7からの信号に応じてリール2とピンチロール9に制動をかけて回転を停止させる。その結果、図2,3に示すように荷物10を移動させる際にトラブル(たとえば、移動速度の低下等)が発生した場合に、可動ロール7が下降して予め設定された下限位置に到達したときに荷造ひも1の送給を停止させることができる。
荷造ひも1の送給を停止するための信号の出力源の選択は重要な意味を持つ。たとえば、テーブル15上を移動する荷物10が所定の位置に到達したときに荷造ひも1の送給を停止する(特許文献3参照)ように設定すると、上記したように荷物10の移動速度が低下した場合には、荷物10が所定の位置に到達するまで長時間にわたって荷造ひも10が供給され、結束装置内や長さ調整装置内に荷造ひも10が溢れることになる。
【0019】
本発明では、可動ロール7からの信号に応じて荷造ひも1の送給を停止するので、小規模なトラブル(たとえば荷物10の搬送トラブル等)が発生したときに速やかに対応することによって、結束装置の大規模な設備故障を防止することが可能となる。
荷造ひも1はリール2に帯状に幅を広げて巻き付けられているので、図1に示すように外取り方式を採用し、かつリール2を回転させることによって、荷造ひも1は帯状に幅を広げた状態を維持したまま結束装置へ送給される。
【0020】
次に図2〜4に示す本発明を適用する結束装置の例を参照して、帯状の荷造ひも1で荷物10を縛り、かつ結び目13を形成する方法について説明する。なお、図2〜4はテーブル15の上方から荷造ひも1を供給する例である。テーブル15の下方から荷造ひも1を供給することも可能であるが、ここでは図2〜4の例について説明する。
本発明では、図2に示すように、テーブル15の下方に荷造ひも拘束具14を配設する。この荷造ひも拘束具14は、荷造ひも1の端部を固定して、荷造ひも1が外れるのを防止する。一方、テーブル15の上方には荷造ひも誘導具8を配設する。この荷造ひも誘導具8は、荷造ひも1を荷物10に圧着させるために誘導するものであり、荷造ひも1の厚さより広くかつ幅より長い開口部を有する。したがって、荷造ひも1は帯状の幅方向に伸びた状態を維持したまま荷造ひも誘導具8の開口部を通過する。
【0021】
荷物10はテーブル15上に載置され、矢印Bの方向へ移動する。荷物10の移動は、所定の機器を使用して自動的に行なっても良いし、あるいは作業員が手作業で行なっても良い。その結果、図3に示すように、テーブル15上を移動する荷物10によって荷造ひも1が荷造ひも誘導具8から引き出される。このとき荷造ひも1には竿あるいは天秤状の機具(特許文献1参照)等を用いて張力が付与されており、かつ荷造ひも1は帯状の幅方向に伸びた状態を維持したまま荷造ひも誘導具8の開口部を通過するので、荷造ひも1が帯状に広がった状態で荷物10に圧着される。
【0022】
さらに図4に示すように、荷造ひも誘導具8を捻ることによって、荷造ひも1の幅が収縮して狭くなる部位16(以下、縮狭部という)を設ける。荷造ひも誘導具8の捻り角が大きすぎる場合は、荷造ひも誘導具8と後述する結び目形成具とが干渉してしまう。一方、捻り角が小さすぎる場合は、荷造ひも1の縮狭部を形成できない。したがって捻り角は90°程度が好ましい。
【0023】
こうして形成された縮狭部16を結び目形成具(図示せず)が把持する。結び目形成具は小型の機具であるが、縮狭部を形成することによって、その縮狭部16を容易に把持でき、荷造ひも1を全幅にわたって確実に把持できる。その結果、結び目13を形成するにあたって、荷造ひも1の亀裂は発生せず、十分な強度を確保することができる。
【実施例】
【0024】
図1に示すような水平支持具5,ピンチロール9,固定ロール6,可動ロール7を有する荷造ひも供給装置を用い、外取り方式を採用して、荷作ひもを連続的に、かつ帯状に幅を広げた状態を維持して結束装置へ供給した。結束装置では、図2〜4に示すように新品のダンボールを板状にして10枚重ねた直方体の荷物10を結束装置で自動的に結束した。
荷造ひも供給装置からリール1個分の荷造ひもを結束装置へ供給した後、荷造ひも供給装置と結束装置を停止し、設備を点検してトラブルの有無を調査するとともに、荷物の結束状態を調査した。その結果、設備のトラブルは皆無であり、結束された荷物の異常は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用する荷造ひも供給装置の例を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明を適用する結束装置の例を模式的に示す斜視図であり、テーブル上に荷造を載置した状態を示す。
【図3】本発明を適用する結束装置の例を模式的に示す斜視図であり、荷造ひもを荷造に圧着した状態を示す。
【図4】本発明を適用する結束装置の例を模式的に示す斜視図であり、荷造ひもに縮狭部を設けた状態を示す。
【図5】箱状の荷物に荷造ひもを縛り付けた例を模式的に示す斜視図である。
【図6】荷造ひもをリールに巻き取った例を模式的に示す斜視図である。
【図7】荷作ひもの内取り方式の例を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 荷造ひも
2 荷造ひものリール
3 荷造ひもの外側端部
4 荷造ひもの内側端部
5 水平支持具
6 固定ロール
7 可動ロール
8 荷造ひも誘導具
9 ピンチロール
10 荷物
11 芯材
12 リール保持具
13 結び目
14 荷造ひも拘束具
15 テーブル
16 縮狭部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の荷造ひもを円筒状に巻いたリールの中心軸を水平に保持するとともに前記リールを回転可能に支持し、前記荷造ひもの外側端部をピンチロールに装入して、前記ピンチロールの駆動力によって前記荷造ひもを結束装置へ供給し、さらに荷造ひも誘導具を介して前記荷造ひもを荷物に圧着させた後、前記荷造ひも誘導具を捻ることによって前記荷造ひもに縮狭部を形成し、結び目形成具が前記縮狭部を把持して結び目を形成することを特徴とする帯状の荷造ひもを用いた結束方法。
【請求項2】
前記荷造ひもが前記ピンチロールから、2個の固定ロールと1個の可動ロールからなる長さ調整装置を経て前記結束装置へ供給され、かつ前記可動ロールからの信号に応じて前記荷造ひもの供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の帯状の荷造ひもを用いた結束方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−106483(P2007−106483A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301512(P2005−301512)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000179317)山田機械工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】