説明

帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法及び装置

【課題】本発明は帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法及び装置に関し、帯電液滴エッチング銃装着チャンバ内の吸着水を除去することを目的としている。
【解決手段】試料表面に形成された汚染物を除去する装置であって、真空環境下に置かれた試料3に対して、帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃5と、試料表面に付着した水滴を離脱させるための近赤外ランプ4とを有し、前記帯電液滴エッチング銃5を用いて試料表面に照射させ、その後前記近赤外ランプ4を用いて試料エッチング面に付着した水滴を離脱させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法及び装置に関し、更に詳しくはXPS、AES等の表面分析機器に帯電液滴エッチング銃を装着し、遷移金属酸化物、半導体材料等に帯電液滴を照射して試料表面の汚染物を除去するようにした帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より試料表面を分析するに当たっては、試料表面の汚染物をイオンエッチングによって除去することが行われる。そして、汚染物を除去して清浄化された試料表面に対してXPSによる分析が行われる。XPSは、試料に軟X線を当てると、表面から光電子が出てくる性質を利用して、物質の組成と共に化学状態を分析する装置である。現在は、金属・半導体・高分子化合物・ハイテク材料等の研究の推進から量産工場で品質管理にいたるまで、かかせない表面分析装置として利用されている。
【0003】
XPSで試料表面を観察するためには、試料表面が清浄な状態であることが必要である。そのために加速したイオンを試料表面に照射しイオンスパッタエッチングにより汚染物を除去することが行われている。照射するイオンは一般的にはアルゴン単原子イオンを用いる。しかしながら、アルゴンイオンを試料面に入射させると試料表面が凸凹に削れたり、試料の化学結合状態の損傷が生じたりすることがあった。
【0004】
近年、試料の損傷や組成の変化が無く試料表面をイオンエッチングする方法として、水クラスタイオンを使った帯電液滴エッチング法が注目されている。帯電液滴エッチングは、帯電させた液滴をエッチング面に入射させることによりエッチングを行なうものである。クラスタイオン水を使った帯電液滴エッチングにより汚染物除去を行なうと、試料表面は極めて高い平坦度を持ち、更に試料の化学結合状態の損傷も生じることはない。
【0005】
従来のこの種の装置としては、電子銃と同軸に配置されたCMA検出器と低速アルゴンイオン銃とを備えたオージェ電子分光装置内の試料設置面上に単結晶を含有する試料を設置し、低速アルゴンイオン銃を用いて該試料の表面のイオンエッチングを行なう技術が記載されている(例えば特許文献1参照)。また、オージェ分光分析用試料台において、該試料台上面に該試料台の中心を通過する直線を頂点とする傾斜面を2面設けることにより、本発明における試料台を使用した測定では、観察対象である断面をエッチングによりクリーニングする技術が記載されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
また、真空加速室41内に導入された帯電液滴Dは加速電極42によって加速されかつ収束(フォーカス)され、試料台43上に設けられた試料Sに斜めに衝突し、試料からイオン化された分子が離脱される技術が記載されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−153858号公報(段落0009)
【特許文献2】特開2008−159294号公報(段落0014)
【特許文献3】WO 2005/083415 A1号広報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した従来の技術は以下に示すような問題を有している。帯電液滴を金属、半導体などの試料の表面に入射させて試料表面の汚染物を除去した直後は、試料表面に入射させた水が付着している。試料面への帯電液滴の照射は真空中で行なうため、照射後そのまま真空チャンバの中で試料を放置し、試料表面から水が離脱するのを待つ。そして、試料表面から水が離脱した後、分析を行っていた。試料の汚染物が除去された清浄な試料表面に長時間水滴が付着していると、試料表面に水酸化物が形成されてしまう。そのため試料表面の汚染物を除去しても再び汚染物が形成されてしまうことになる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、エッチング領域試料表面に付着した液滴を高速に除去することができる帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚物除去方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明は以下のような構成をとっている。
(1)請求項1記載の発明は、試料表面に形成された汚染物を除去する方法であって、真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、その後、近赤外線ランプを用いて近赤外線を試料表面に照射し、液滴を離脱させる、ようにしたことを特徴とする。
【0011】
(2)請求項2記載の発明は、前記近赤外線の波長は、ほぼ0.5μm〜3μmであることを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、試料表面に形成された汚染物を除去する方法であって、真空環境下に置かれた試料に対して、水を帯電液滴エッチング銃を用いて該帯電液滴を試料表面に照射させ、その後、赤外レーザを試料表面に照射し、液滴を離脱させる、ようにしたことを特徴とする。
【0012】
(4)請求項4記載の発明は、前記赤外レーザの波長は、ほぼ10.6μmであることを特徴とする。
(5)請求項5記載の発明は、試料表面に形成された汚染物を除去する装置であって、真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃と、試料表面に付着した液滴を離脱させるための近赤外線ランプ、とを有し、前記帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、その後前記近赤外線ランプを用いて試料表面に付着した液滴を離脱させる、ようにしたことを特徴とする。
【0013】
(6)請求項6記載の発明は、試料表面に形成された汚染物を除去する装置であって、真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃と、試料表面に付着した液滴を離脱させるための赤外レーザを発生する赤外レーザ光源、とを有し、前記帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、その後前記赤外レーザを用いて試料表面に付着した液滴を離脱させる、ようにしたことを特徴とする。
【0014】
(7)請求項7記載の発明は、帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記近赤外線ランプを用いた試料表面の近赤外線照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と前記近赤外線ランプと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする。
【0015】
(8)請求項8記載の発明は、帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記赤外レーザを用いた試料表面の照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と近赤外レーザと試料とを相対的に位置づけしたことを特徴とする。
【0016】
(9)請求項9記載の発明は、帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記近赤外線ランプを用いた試料表面の近赤外線照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と前記近赤外線ランプと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする。
【0017】
(10)請求項10記載の発明は、帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記赤外レーザを用いた試料表面のレーザ照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と近赤外レーザと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下に示すような効果を有する。
(1)請求項1記載の発明によれば、帯電液滴エッチングにより試料表面の汚染物質を除去し、エッチング面に付着している液滴を近赤外ランプを用いて瞬時に離脱させることができるので、試料にダメージを与えずに清浄な試料面が得られる。
【0019】
(2)請求項2記載の発明によれば、前記赤外線の波長をほぼ0.5μm〜3μmとすることで、エッチング面に付着した液滴を瞬時に離脱させることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、試料表面に付着している液滴を赤外レーザを用いて短時間に離脱させることができるので、試料にダメージを与えずに清浄な試料面が得られる。
【0020】
(4)請求項4記載の発明によれば、前記赤外レーザの波長としてほぼ10.6μmのものを用いることでエッチング面に付着した液滴を短時間に離脱させることができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、帯電液滴エッチングにより試料表面の汚染物質を除去し、エッチング面に付着している液滴を近赤外ランプを用いて瞬時に離脱させることができるので、真空チャンバ内を高真空に維持することができる。
【0021】
(6)請求項6記載の発明によれば、帯電液滴エッチングにより試料表面の汚染物質を除去し、エッチング面に付着している液滴を赤外レーザを用いて短時間に離脱させることができるので、試料にダメージを与えずに清浄な試料面が得られる。
【0022】
(7)請求項7記載の発明によれば、試料表面の帯電液滴照射位置の帯電液滴を正確に離脱させることができる。
(8)請求項8記載の発明によれば、試料表面の帯電液滴照射位置の帯電液滴を正確に離脱させることができる。
【0023】
(9)請求項9記載の発明によれば、試料表面の帯電液滴照射位置の帯電液滴を正確に離脱させることができる。
(10)請求項10記載の発明によれば、試料表面の帯電液滴照射位置の帯電液滴を正確に離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例を示す構成図である。
【図2】水滴付着の説明図である。
【図3】エッチングと加熱の動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す構成図である。
【図5】本発明の構成を示す図である。
【図6】光電子スペクトル測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例1)
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例を示す構成図である。図において、1は真空チャンバ(予備排気室)、2は試料交換棒で図の矢印方向に移動可能に構成されている。3は試料交換棒2の先端に取り付けられた試料、4は試料上の帯電液滴を照射した位置に近赤外線を照射するように取り付けられた近赤外ランプである。5は帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃本体(EDI)である。帯電液滴としては、水(H2O)が効果的に用いられる。
【0026】
6はイオン化した液滴の照射方向を設定するラスター機構、7は帯電液滴エッチング銃5の照射部である。8はエッチングされた試料3を分析するXPS分析器、9は表面分析チャンバ(XPSチャンバ)である。真空チャンバ(予備排気室)1と表面分析チャンバ9の内部は、真空ポンプ(図示せず)により真空に保たれている。試料3の分析はXPSチャンバ9内で分光器8により行われる。10は近赤外ランプ4の光を遮断するシャッタである。シャッタ10は近赤外ランプ4の照射を遮断する必要がある場合に用いられる。
【0027】
エッチング銃5により帯電液滴を試料に照射する照射位置7と、近赤外線ランプ4の試料照射位置7が同一になるように、EDI5と近赤外線ランプ4は真空チャンバ1に取り付けられている。この結果、試料表面の帯電液滴照射位置の帯電液滴を正確に離脱させることができる。このように構成された装置の動作を説明すると、以下のとおりである。
【0028】
真空チャンバ1に装着した帯電液滴エッチング銃5から数kVで加速した帯電液滴を試料3上の照射部7に照射する。ラスター機構6を用いて試料照射領域を設定する。このシステムを搭載することにより、クラスターイオンの照射範囲を決定することができる。
【0029】
帯電水滴を試料表面に照射する。この場合において、帯電水滴を試料表面へ照射し、発生する衝撃により試料表面を薄く除去することができ、試料表面の汚染物を除去し、試料の清浄面を得ることができる。この結果、エッチング面には図2に示すように水滴15が付着する。そこで、近赤外ランプ4を試料3に照射することで、水滴15は瞬時に離脱して除去され、試料表面は清浄な面となる。
【0030】
特に近赤外ランプ4の波長を0.5μm〜3μmに設定すれば、水滴15の離脱・除去を瞬時に行なうことができる。近赤外線は水分子での吸収が著しく、短時間で温度上昇が可能である。更に近赤外線は照射された物質に非常に吸収されやすい性質がある。そのため、近赤外線が照射される物質の表面近くで吸収されて熱となる。そのため、試料に帯電液滴を入射した部分に近赤外線を反射板等で収束させて入射させることにより、エッチングした部分のみ加熱させ水滴の離脱が可能である。これらの利点は、従来法の遠赤外線加熱法の欠点を補っている。
【0031】
オペレータは、試料3が照射部7の照射領域にくるように交換棒2を操作する。エッチング・試料加熱後、XPS装置9の分析室へ試料3を搬送し、分光器8でXPS測定を行なう。
【0032】
図2は水滴付着の説明図である。試料3に帯電水滴が照射されると、試料3の表面がエッチングされ、清浄な面が現れる。その清浄面にエッチングのために照射した水滴15が図に示すように付着している。この状態では、まだ水滴は試料3とは結合していない。そこで、近赤外ランプ4を照射する。ここで、若し近赤外ランプではなく、他の種類の加熱手段で加熱すると、試料全体を加熱し、その熱によってエッチング面に付着した水滴を加熱し離脱させることとなる。このように試料全体を加熱させるには時間がかかり、水滴と試料3との間で水酸化物を形成し、試料3の正確な分析ができなくなる。本発明によれば、近赤外ランプ4を照射してエッチング面の水滴15を瞬時に離脱させるため、水酸化物を形成することはない。
【0033】
帯電液滴照射後の表面荒れを抑え、表面クリーニング、均一エッチングを可能とするには、近赤外ランプ4の温度及び照射時間を制御しなくてはならない。本発明に必要な温度は、短時間での昇温で100℃程度が望ましい。
【0034】
図3はエッチングとXPS分析の動作シーケンスを示す図である。(a)はエッチング、(b)は水滴除去、(c)はXPS動作である。エッチングが(a)に示すように所定の周期で繰り返されるものとする。図の時刻t1〜t2がエッチング期間である。このエッチング期間が終了した時刻t2〜t3までが本発明による水滴除去シーケンスになる。この水滴除去シーケンスが終了した時刻t3でXPSの分析が開始され、時刻t4でXPS分析が終了する。以下、このシーケンスの繰り返しである。
【0035】
即ち、先ず(a)に示すようエッチングが行われ、試料表面の汚染物質が除去される。次に(b)に示すように近赤外ランプ4で近赤外光が試料表面に照射される。この結果、図2に示すように試料表面に付着していた水滴15は近赤外光により瞬時に離脱させられる。その後、表面分析チャンバ9に試料3を移動させ、清浄化された試料表面に対してXPS分析を行なう。XPS分析終了後、再び真空チャンバ1に試料を戻し、再びエッチング作業(a)を行なう。帯電液滴エッチングと分析を交互に行なうことにより、試料の損傷や組成の変化を起こさずに、表面から試料内部方向への深さ方向分析が行なえる。
(実施例2)
図4は本発明の第2の実施例を示す構成図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1は真空チャンバ、2は試料交換棒、3は試料、5は帯電液滴エッチング銃本体(EDI)、6はラスター機構、7は照射部、8は分光器、9は表面分析チャンバ(XPS装置)、12は真空チャンバ1内に設けられた窓、11は赤外レーザ、13は反射ミラー、14は赤外レーザ光路である。
【0036】
この実施例は、水滴を離脱させるための発熱源が近赤外ランプではなく、赤外レーザとなっているのが異なる。つまり、この実施例では、赤外レーザ11から照射されたレーザ光が赤外レーザ光路14を介して反射ミラー13に入射され、その反射光が試料3の照射部7に照射されるようになっている。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0037】
この実施例で利用する赤外レーザは波長10.6μmの装置で、水の吸収係数とほぼ同じため、この赤外レーザを試料3に照射することで、吸着水の瞬間気化が促進される。真空内の反射ミラー13は、真空外から反射ミラーの反射角を変更できるようにすることで、照射位置を適時に選定することができる。
【0038】
この実施例によれば、試料表面に付着している水滴を赤外レーザを用いて短時間に離脱させることができるので、試料にダメージを与えず清浄な試料面が得られる。また、前記赤外レーザの波長としてほぼ10.6μmのものを用いることで試料表面に付着した水滴を短時間に離脱させることができる。
【0039】
図5は本発明の構成を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、16は近赤外ランプ4の照射温度を制御する温度制御部、17は試料3の温度を測定する温度測定器である。該温度測定器17としては、例えば放射温度計や熱伝対、更には高速測定が可能なその他の温度測定器が用いられる。温度測定器17の測定した温度データ出力は近赤外線ランプ4の温度制御部16に入力する。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0040】
帯電液滴エッチング銃本体5を用いて試料表面のエッチングを行なう。エッチング終了後、近赤外線ランプ4から試料3の帯電液滴照射部7に近赤外線を入射して付着した水滴を除去する。この時、試料上の温度が100℃程度であると試料の熱による損傷が少なく、かつ水滴はエッチング面から短時間で離脱する。そこで、温度測定器17で近赤外線入射部分7の温度を測定し、温度データを温度制御部16に入力する。温度制御部16は近赤外線入射部分7の温度が100℃となるように制御を行なう。
【0041】
図6は光電子スペクトル測定結果を示す図である。図において、横軸は結合エネルギーを、縦軸は光電子のカウント数を示す。f1は従来の特性を、f2は本発明による特性を示す。従来方法の場合、試料表面に僅かにSiOx成分が残っているため、f1に示すようにSiOx成分が僅かに観測される。これに対して本発明方法の場合、SiOx成分は観測されず、試料の成分のスペクトルのみが観測される。従って、正確な測定ができることを示している。
【0042】
このように、本発明によれば、半導体、金属材料に対して、帯電液滴エッチング法を適応した際、従来の帯電液滴エッチング法で問題となる付着物除去がエッチング時にできることを示している。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、エッチング領域のみの吸着液滴を除去することができる帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法及び装置を提供することができ、実用上の効果が極めて大きい。
【符号の説明】
【0044】
1 真空チャンバ
2 試料交換棒
3 試料
4 近赤外ランプ
5 帯電液滴エッチング銃本体
6 ラスター機構
7 照射部
8 分光器
9 表面分析チャンバ
10 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料表面に形成された汚染物を除去する方法であって、
真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、
その後、近赤外線ランプを用いて近赤外線を試料表面に照射し、液滴を離脱させる、
ようにしたことを特徴とする帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法。
【請求項2】
前記近赤外線の波長は、ほぼ0.5μm〜3μmであることを特徴とする請求項1記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法。
【請求項3】
試料表面に形成された汚染物を除去する方法であって、
真空環境下に置かれた試料に対して、水を帯電液滴エッチング銃を用いて該帯電液滴を試料表面に照射させ、
その後、赤外レーザを試料表面に照射し、液滴を離脱させる、
ようにしたことを特徴とする帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法。
【請求項4】
前記赤外レーザの波長は、ほぼ10.6μmであることを特徴とする請求項3記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚物除去方法。
【請求項5】
試料表面に形成された汚染物を除去する装置であって、
真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃と、
試料表面に付着した液滴を離脱させるための近赤外線ランプ、
とを有し、
前記帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、その後前記近赤外線ランプを用いて試料表面に付着した液滴を離脱させる、
ようにしたことを特徴とする帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去装置。
【請求項6】
試料表面に形成された汚染物を除去する装置であって、
真空環境下に置かれた試料に対して、帯電液滴を照射する帯電液滴エッチング銃と、
試料表面に付着した液滴を離脱させるための赤外レーザを発生する赤外レーザ光源、
とを有し、
前記帯電液滴エッチング銃を用いて帯電液滴を試料表面に照射させ、その後前記赤外レーザを用いて試料表面に付着した液滴を離脱させる、
ようにしたことを特徴とする帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去装置。
【請求項7】
帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記近赤外線ランプを用いた試料表面の近赤外線照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と前記近赤外線ランプと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする請求項1記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法。
【請求項8】
帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記赤外レーザを用いた試料表面の照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と近赤外レーザと試料とを相対的に位置づけしたことを特徴とする請求項3記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去方法。
【請求項9】
帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記近赤外線ランプを用いた試料表面の近赤外線照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と前記近赤外線ランプと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする請求項5記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去装置。
【請求項10】
帯電液滴エッチング銃を用いた試料表面の帯電液滴照射位置と前記赤外レーザを用いた試料表面のレーザ照射位置が同一になるように、帯電液滴エッチング銃と近赤外レーザと試料とを相対的に位置付けしたことを特徴とする請求項6記載の帯電液滴エッチングを用いた試料表面汚染物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−141199(P2011−141199A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1947(P2010−1947)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】