説明

帯電装置、帯電装置の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】清掃能力に優れた画像形成装置用の清掃部材を提供すること。
【解決手段】帯電ロール10と、芯体18とシリコーンオイルを含み芯体18の外周面に螺旋状に配置された弾性層20とを有するクリーニングロール12と、を備え、初期状態でのクリーニングロール12の弾性層20と初期状態での帯電ロール10とを24時間接触させた後における、接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量と、非接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量との最大値が6原子%以下である、帯電装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、帯電装置の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、感光体等からなる像保持体の表面を帯電装置によって帯電して電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成する。その後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の被転写体に静電的に転写し、被転写体に定着することにより画像が得られる。
【0003】
特許文献1には、像保持体と、これに圧接して該像保持体および(または)転写材にバイアス電圧を印加する接触型の弾性帯電手段とをそなえた画像形成装置において、前記弾性帯電手段にスポンジ材からなるクリーニング手段を当接してなる画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、像担持体と、前記像担持体に接触しつつ回転して前記像担持体を帯電させる帯電ロールと、前記帯電ロールの表面に接触して前記帯電ロールの表面への付着物を除去するクリーニング部材と、を備えた画像形成装置であって、前記クリーニング部材は発泡体で、平均セル径が0.18mm以上1.0mm以下であり、前記帯電ロールの十点表面粗さ(Rz)が1μm以上17μm以下であることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
また特許文献3及び特許文献4では、スパイラル形状の清掃部材を用いた帯電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−272594号公報
【特許文献2】特開2007−127849号公報
【特許文献3】特開平7−219313号公報
【特許文献4】特開2001−209238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量及び非接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が下記範囲から外れる場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される帯電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
帯電部材と、
芯体とシリコーンオイルを含み前記芯体の外周面に螺旋状に配置された弾性層とを有する帯電部材清掃部材と、を備え、
初期状態での前記帯電部材清掃部材の前記弾性層と初期状態での前記帯電部材とを24時間接触させた後に、前記帯電部材の表面をX線光電子分光分析により分析して得られた、全原子に対するシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量のうち、前記弾性層と接触していた領域である接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量、及び前記弾性層と接触していなかった領域である非接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が6原子%以下である、帯電装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記帯電部材の前記表面における十点平均粗さ(Rz)は、5μm以上17μm以下であり、
前記弾性層は、平均セル径が0.1mm以上1.0mm以下の発泡体である、請求項1に記載の帯電装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記弾性層は、発泡ウレタン樹脂を含んで構成された、請求項1又は請求項2に記載の帯電装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、
前記弾性層は、ポリエーテルポリウレタンを含んで構成された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電装置である。
【0011】
請求項5に係る発明によれば、
芯体の外周面に螺旋状に配置された弾性層を形成する弾性層形成工程と、前記弾性層を洗浄する洗浄工程と、を含む帯電部材清掃部材製造工程を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置の製造方法である。
【0012】
請求項6に係る発明は、
像保持体と、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
を備えた、プロセスカートリッジである。
【0013】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量及び非接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が6原子%以下の範囲から外れる場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、上記十点平均粗さ又は上記平均セル径が上記請求項2の範囲から外れる場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、弾性層が発泡ウレタン樹脂を含まない場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、弾性層がポリエーテルポリウレタンを含まない場合に比べ、帯電装置を高温高湿(例えば45℃/95%)下で保存しても、帯電部材清掃部材の保存性が良好となる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、洗浄工程を含まない場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される帯電装置が得られる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量及び非接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が下記範囲から外れる帯電装置を用いる場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される帯電装置が得られる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量及び非接触部におけるシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が下記範囲から外れる帯電装置を用いる場合に比べ、帯電部材清掃部材の帯電部材に対するクリーニング性が維持される帯電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した側面図である。
【図2】本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した正面図である。
【図3】本実施形態に係る帯電装置に用いる帯電部材清掃部材の一例を示した概略側面図である。
【図4】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図7】図6に示す画像形成装置の帯電装置周辺部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、同じ機能・作用を有する部材には、全図面と通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0023】
[帯電装置]
本実施形態の帯電装置は、帯電部材と、芯体とシリコーンオイルを含み前記芯体の外周面に螺旋状に配置された弾性層とを有する帯電部材清掃部材と、を備え、初期状態での前記帯電部材清掃部材の前記弾性層と初期状態での前記帯電部材とを24時間接触させた後に、前記帯電部材の表面をX線光電子分光分析により分析して得られた、全原子に対するシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量のうち、前記弾性層と接触していた領域である接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量、及び前記弾性層と接触していなかった領域である非接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が6原子%以下である。
以下、「全原子に対するシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量」を「シリコーン濃度」と称する場合がある。また、初期状態での「シリコーン濃度」とは、帯電部材と帯電清掃部材が未使用の状態から、画像をA4サイズで500枚プリントした状態までを指す。
【0024】
本実施形態に係る帯電部材及び帯電部材清掃部材の形状は、上記条件を満たしていれば、特に限定されるものではない。
以下、帯電部材の一例として本実施形態に係る帯電ロール、帯電部材清掃部材の説明をするが、もちろん帯電部材または帯電部材清掃部材が有する各層の構成材料は、他の形状の帯電部材または帯電部材清掃部材についても同様に用いられる。
【0025】
図1は、本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した側面図である。また、図2は、本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した正面図である。図3は、本実施形態に係る帯電装置に用いる帯電部材清掃部材の一例を示した概略側面図である。
【0026】
図1及び図2に示す帯電装置1は、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であって、軸中心に回転する円筒状の帯電部材である帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃するための帯電部材清掃部材であるクリーニングロール12と、を備える。
帯電ロール10は、例えば、導電性芯体14と、導電性芯体14の外周に形成された帯電層16と、を備える。帯電層16は、例えば、導電性弾性層を有し、必要に応じて表面層等が形成されたものである。
クリーニングロール12は、図3に示すように、芯体18と、芯体18の外周に形成された弾性層20と、を備ええたロール状の部材であり、弾性層20は、芯体18の表面に螺旋状に配置されている。具体的には、弾性層20は、例えば、芯体18の一端から他端にかけて、芯体18の軸を螺旋軸とし、間隔を持って螺旋状に巻き回された状態で配置されている。
【0027】
図2に示すように、帯電装置1において、帯電ロール10は、像保持体である感光体24に対して導電性芯体14の両端部に設置したコイルバネ26等の弾性部材により感光体24の表面に押し付けられ、感光体24に従動する。一方、クリーニングロール12は、帯電ロール10の導電性芯体14とクリーニングロール12の芯体18との軸受けの距離でベアリング28によって保持され、クリーニングロール12は、予め定めた食いこみ(ニップ)量で帯電ロール10に接触して従動する。なお、帯電ロール10及びクリーニングロール12はそれぞれ感光体24及び帯電ロール10に従動させてもよいし、別個に駆動させてもよい。
【0028】
一方、螺旋状に配置されたクリーニングロール12の弾性層20は、シリコーンオイルを含む。そのため、図1及び図2に示すように、帯電ロール10に弾性層20が接触すると、弾性層20に含まれるシリコーンオイルが帯電ロール10の表面に移行する場合がある。そして、シリコーンオイルの帯電ロールの表面への移行は、画像形成装置で使用中でも発生し、クリーニングロール内のシリコーンオイルが枯れる迄継続すると考えられる。その為、クリーニングロールのシリコーン含有量が帯電ロール上のシリコーン濃度と一致し、クリーニングロールのシリコーン含有量は初期状態でのシリコーン移行量に依存すると考えられる。
しかし上記の通り、本実施形態の帯電装置1では、初期状態でのクリーニングロール12の弾性層20と初期状態での帯電ロール10とを24時間接触させた後に、帯電ロール10の表面をX線光電子分光分析により分析して得られたシリコーン濃度のうち、接触部における前記シリコーン濃度及び非接触部における前記シリコーン濃度の最大値が6原子%以下である。
【0029】
本実施形態では、弾性層20がシリコーンオイルを含むとともに螺旋状に配置され、かつ、上記24時間後のシリコーン濃度の最大値が上記範囲であるため、クリーニングロール12の帯電ロール10に対するクリーニング性が維持される(すなわちクリーニングロール12が帯電ロール10の表面を清掃することが維持される)。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
【0030】
本実施形態では、上記の通り、螺旋状に弾性層20が配置されたクリーニングロール12を用いているため、弾性層20における螺旋幅方向両端部(以下「エッジ部」と称する場合がある)が帯電ロール10の外周面を摺擦し、汚染や異物を除去することで、帯電ロール10の外周面を清掃する。そのため、例えば従来のように円筒状の弾性層が配置されたクリーニングロールを用いた場合に比べて、クリーニングロール12の帯電ロール10に対するクリーニング性が良好である。
そして、上記のようにシリコーンオイルを含む螺旋状の弾性層20を有するクリーニングロール12を用いた場合、上記エッジ部の帯電ロール10表面に対する摺擦力は、帯電ロール10の表面上に存在するシリコーンオイルの量(すなわち、弾性層20から帯電ロール10の表面に移行したシリコーンオイルの量)に依存することを見出した。
【0031】
すなわち本実施形態では、上記の通り、24時間接触後のシリコーン濃度の最大値が前記範囲内である。そのため、、弾性層20に含まれるシリコーンオイルが帯電ロール10の表面に移行する量(以下「シリコーンオイル移行量」と称する場合がある)が、多すぎず、エッジ部の帯電ロールに対する摺擦力が低下しないと考えられる。その結果、摺擦力が低くなりすぎる事に起因して、帯電ロールを清掃する能力が低下する事が抑制されると考えられる。
【0032】
なお、帯電ロール10とクリーニングロール12との接触によるシリコーンオイルの移行は、接触開始から時間がたつにつれて量が少なくなり、24時間以内で飽和状態に達すると考えられる。そのため、24時間接触後のシリコーン濃度の最大値が前記範囲であれば、画像形成装置内で使用後の帯電ロール上へ移行する度合いを把握する事ができる。
【0033】
以上のように、本実施形態の帯電装置1においては、弾性層20がシリコーンオイルを含み、かつ、螺旋状であることに加えて、24時間接触後のシリコーン濃度の最大値が前記範囲であることにより、帯電ロール10に対するクリーニング性が維持される。そのため、帯電装置1又は帯電装置1を備えたプロセスカートリッジを用いた画像形成装置で画像形成を行うと、帯電ロール10の表面が汚染されることに起因する濃度むらや色点等の画像欠陥の発生が抑制される。
【0034】
上記24時間接触後のシリコーン濃度の最大値は、上記の通り6原子%以下であり、5原子%以下が望ましい。
【0035】
ここで、上記「シリコーン濃度」は、以下のようにして得られた値を言う。
具体的には、まず、帯電ロール10の外周面にクリーニングロール12の弾性層20が接した状態(温度:30℃、湿度:75%)で24時間放置する。
その後、帯電ロール10とクリーニングロール12とを離し、帯電ロール10の外周面のうち、接触部(弾性層20が接触していた領域)及び非接触部(弾性層20が接触していなかった領域)について、それぞれX線光電子分光分析により分析を行う。
【0036】
X線光電子分光分析では、接触部及び非接触部のそれぞれについて、帯電ロール10の帯電層16を導電性芯体14の軸方法に平行かつ等間隔に3カ所を3mm角に切り出して、光電子分光装置JPS−9010MX(日本電子株式会社製)を用いて測定を行う。そして、測定対象である帯電層16の表面を構成する全原子の個数のうち、シロキサン骨格を構成するSi原子の個数の割合(原子%)を求め、その値を上記「シリコーン濃度」とする。具体的には、シロキサン骨格を構成するSi原子に由来するSi2pピークと、帯電層16の表面を構成する他の原子に由来するピークと、を比較することにより、上記シリコーン濃度を求める。
【0037】
ここで、本明細書において「シリコーンオイル」とは、オルガノポリシロキサン構造を有するシリコーン系のオイルである。上記構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン・コポリマ等が挙げられる。上記シリコーン系オイルは、例えば、ポリウレタン等の製造の際にシリコーン系整泡剤として用いられるものが挙げられる。
【0038】
また、本明細書において、「初期状態」とは、未使用の状態から、画像形成装置で画像をA4サイズで500枚プリントした状態迄のことをいう。また、未使用の状態とは、本実施形態に係る帯電装置が画像形成装置に装着された後に画像形成が1度も行われていない状態の他に、帯電装置の製造時または製造後に保管、輸送されている状態であって画像形成が1度も行われていない状態等のことをいう。
【0039】
また、本明細書において、「24時間接触させた後」とは、帯電ロール10の帯電層16と、クリーニングロール12の弾性層20とが接触した状態で24時間経過していることをいう。
【0040】
また本実施形態では、前記の通りシリコーンオイルを含み螺旋状に配置された弾性層20をクリーニングロール12が備え、24時間接触後のシリコーン濃度の最大値が上記範囲であることに加えて、帯電ロール10の表面(外周面)における十点平均粗さ(Rz)が5μm以上17μmであり、かつ、クリーニングロール12の弾性層20が、平均セル径0.18mm以上1.0mm以下の発泡体で構成されていることが望ましい。
帯電装置1が、上記形態であることにより、帯電ロール10に対するクリーニング性が維持されやすいという効果が得られる。
【0041】
具体的には、平均セル径が上記範囲であることにより、帯電ロール10に付着した外添剤やトナーなどの異物が、発泡体である弾性層20のセル内に取り込まれるとともに凝集して適度な大きさの凝集体になると考えられる。そして、その凝集体が帯電ロール10を介して像保持体に戻り、像保持体を清掃する清掃部材によって回収されると考えられる。それによって、クリーニングロール12の弾性層20に異物が堆積しにくく、帯電ロール10に対するクリーニング性が維持されると考えられる。具体的には、平均セル径が上記範囲よりも小さい場合に比べて、異物がセル内に取り込まれやすく、平均セル径が上記範囲よりも大きい場合に比べて、適度な大きさの凝集体が形成し、異物が凝集体となって帯電ロール10に転移されやすいため、上記クリーニング性が維持されやすいと考えられる。
【0042】
そして、平均セル径が上記範囲であることに加えて、上記十点平均粗さが上記範囲であることにより、上記十点平均粗さが上記範囲よりも小さい場合に比べて、クリーニングロール12における螺旋状の弾性層20の螺旋幅方向両端部が帯電ロール10表面を摺擦する力の上昇により、上記クリーニング性が良好となると考えられる。また、上記十点平均粗さが上記範囲よりも大きい場合に比べて、上記発泡体のセル内で凝集した異物の凝集体が帯電ロール10の表面に転移しやすく、弾性層20への異物の堆積が抑制され、上記クリーニング性が維持されやすいと考えられる。
【0043】
ここで、上記「十点平均粗さ(Rz)」は、JIS B−0601(1994年度)で定義される十点平均粗さをいう。即ち、十点平均粗さは、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平均線に平行、且つ断面曲線を横切らない直線から、平均線に垂直な方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
この十点平均粗さ(Rz)は、例えば、表面粗さ測定装置(SURFCOM 1500DX(東京精密社製))を用いて、測定長4mm、カットオフ波長0.8mm、測定倍率1000倍、測定速度0.3mm/sec、カットオフ種類ガウシアン、傾斜補正最小二乗曲線補正の方法で測定が行われる。
なお、上記帯電ロール10の表面における十点平均粗さは、上記の通り5μm以上17μm以下が望ましく、6μm以上15μm以下がより望ましく、8μm以上15μm以下がさらに望ましい。
【0044】
また上記「平均セル径」は、JIS K 6400−1(2004)附属書1に準じて25mm長さ毎のセル数を測定し、25mm/セル数で算出したものである。 なお、上記弾性層20の平均セル径は、上記の通り0.1mm以上1.0mm以下が望ましく、0.2mm以上0.6mm以下がより望ましく、0.25mm以上0.45mm以下がさらに望ましい。
【0045】
−帯電部材清掃部材−
以下、クリーニングロール12等の帯電部材清掃部材を構成する各層等について説明する。帯電部材清掃部材の構成としては、帯電ロール等の帯電部材の清掃機能を有した上で、前記要件を満たしていれば特に制限されるものではなく、画質として現れる帯電ロール表面への傷、汚染等を生じない構成になっていることが好ましい。
【0046】
ロール形状のクリーニングロール12の芯体18に用いる材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等の金属、ポリアセタール(POM)等の樹脂等が挙げられる。摺動性等の用途に応じて、芯体18の材質および表面処理方法等が選択される。特に芯体18の材質が金属である場合、防錆等の観点からメッキ処理をおこなってもよい。また、芯体18の材質が樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
なお、芯体18の外径としては、例えば、φ3mm以上φ6mm以下の範囲が挙げられる。
【0047】
芯体18上の弾性層20の構成としては1層でも2層以上の積層構成でも構わない。弾性層20は、発泡体を含んで構成されてもよいし、ソリッド層と発泡層との2層の構成でも構わない。弾性層20を帯電部材の表面が清掃される構成にすることにより、クリーニングロールとしての機能が得られる。
【0048】
弾性層20を構成する材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、またはポリプロピレン等の発泡性の樹脂、またはシリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリイソプレンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエンゴム、ブチルゴム等のゴム材料を1種類または2種類以上を混合してなる材料を用いてもよい。これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0049】
弾性層20を構成する材料としては、上記材料の中でも特に、異物除去のし易さ等の観点から、気泡を有する材料(いわゆる発泡体)が望ましい。特に、擦れによる帯電部材の表面に傷を付けないために、また、長期にわたり千切れや破損等が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り等に強い、発泡ポリウレタンを用いることが好ましい。
ポリウレタンとしては、特に制限するものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートとの反応により得られるものが挙げられる。また、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなどの鎖延長剤が混合されていてもよい。水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させてもよい。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
また、上記発泡ポリウレタンのなかでも、ウレタンの原料としてポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系ポリウレタン(エーテル系発泡ポリウレタン)がよく、ポリエステル系ポリウレタンに比べて加水分解等を起こしにくいため、高温高湿(例えば湿度45℃・95%)下での保存性が良好である。
【0050】
整泡剤としては、上記シリコーン系オイル等のシリコーン系整泡剤が挙げられる。
特に、ポリエーテル系ポリウレタンを製造する際に、シリコーンオイルが整泡剤として使用されることが多いため、ポリエーテル系ポリウレタンを弾性層20の材料として用いる場合は、弾性層20にシリコーンオイルが含まれることとなる場合が多い。
【0051】
弾性層20は、図3に示すように螺旋状に配置されているが、具体的には、例えば、螺旋角度θが10°以上65°以下(望ましくは20°以上50°以下)、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下(望ましくは3mm以上10mm以下)の螺旋形状が挙げられる。また、螺旋ピッチR2としては、例えば、3mm以上25mm以下(望ましくは15mm以上22mm以下)が挙げられる。
【0052】
なお、上記螺旋角度θとは、弾性層20の長手方向P(螺旋方向)と芯体18の軸方向Q(芯体軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋幅R1とは、弾性層20における芯体18の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、弾性層20における芯体18の軸方向Q(芯体軸方向)に沿った、隣り合う弾性層20間の長さを意味する。
また、弾性層20とは、100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
【0053】
また、弾性層20の被覆率(弾性層20の螺旋幅R1/[弾性層20の螺旋幅R1+弾性層20の螺旋ピッチR2])としては、20%以上70%以下が挙げられ、望ましくは25%以上55%以下である。
上記弾性層20の被覆率が上記範囲であると、上記範囲よりも大きい場合に比べ、弾性層20が帯電ロール10に接触する時間が長くなることに起因してクリーニングロール12の表面に付着した付着物が帯電ロール10へ再汚染ことが抑制される。また上記範囲よりも小さい場合に比べ、弾性層20の厚み(肉厚)のバラツキが少なく、帯電ロール10の清掃能力が良好となる。
【0054】
弾性層20の厚みとしては、例えば0.5mmより厚く4.0mmより薄いことが望ましく、1.0mmより厚く3.0mmより薄いことがより望ましく、1.5mmより厚く2.5mmより薄いことがさらに望ましい。
弾性層20の厚みは、螺旋幅方向に亘って一定でもよく、弾性層20の螺旋幅方向中央部における厚みTa(mm)と弾性層20の螺旋幅方向両端部における厚みTb(mm)とで異なっていてもよいが、下記条件式(A1)及び(A2)を満たすことが望ましく、下記条件式(B1)及び(B2)を満たすことがより望ましく、下記条件式(C1)及び(C2)を満たすことがさらに望ましい。
【0055】
(望ましい条件式)
・条件式(A1):1<Tb/Ta<1.75
・条件式(A2):0.5<Ta<4.0
(より望ましい条件式)
・条件式(B1):1<Tb/Ta<1.75
・条件式(B2):0.5<Ta<4.0
(さらに望ましい条件式)
・条件式(C1):1<Tb/Ta<1.75
・条件式(C2):0.5<Ta<4.0
【0056】
弾性層20の厚みが上記条件を満たすことによって、上記条件を満たさない場合に比べて、帯電ロール10に対するクリーニング性が良好となる。その理由は定かではないが、弾性層20の螺旋幅両端部が螺旋幅中央部よりも、クリーニングロール12の外側に突出した状態となり、その突出部が適度な反発力を有することで、帯電ロール10の表面を摺擦する力が働くためであると推測される。
【0057】
上記弾性層20の厚みは、例えば、次のようにして測定する。
レーザ測定機(ミツトヨ社製レーザースキャンマイクロメータ、型式:LSM6200)を用いて、クリーニングロール12の周方向を固定した状態で、1mm/sのトラバース速度にてクリーニングロール12の長手方向(芯体18の軸方向)へスキャンさせて弾性層厚み(弾性層肉厚)のプロファイルの測定を行う。その後、周方向位置をずらし同様の測定を行う(周方向位置は120°間隔、3箇所)。このプロファイルを基に弾性層20における厚みの算出を行う。
【0058】
−帯電部材清掃部材の製造方法−
クリーニングロール12の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、芯体18の外周面に螺旋状に配置された弾性層20を形成する弾性層形成工程と、弾性層20を洗浄する洗浄工程と、を含む方法が挙げられる。
上記洗浄工程において弾性層20を洗浄し、弾性層20中のシリコーンオイルの含有量を制御することで、上記24時間接触後のシリコーン濃度の最大値が容易に制御される。
【0059】
(弾性層形成工程)
弾性層形成工程としては、例えば、次の方法が挙げられる。
1)角柱状に成型された弾性層用部材(発泡ポリウレタン等)を準備し、弾性層用部材にドリル等によって芯体18を挿入する穴を形成し、次いで、外周表面に接着剤を塗布した芯体18を弾性層用部材の穴に挿入した後、弾性層用部材に対して切削加工を施して螺旋状の弾性層20を形成して、クリーニングロール12を得る方法。
2)金型により螺旋状に成形された弾性層用部材(発泡ポリウレタン等)を準備し、弾性層用部材にドリル等によって芯体18を挿入する穴を形成し、次いで、外周表面に接着剤を塗布した芯体18を弾性層用部材の穴に挿入して、クリーニングロール12を得る方法。
3)シート状の弾性層用部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備し、これに両面テープを貼り付けた後、打ち抜いて短冊状に形成した弾性層(以下単に「短冊」と称する場合がある)を得て、この短冊を芯体18に巻き付けて弾性層20を形成し、クリーニングロール12を得る方法。
【0060】
これらの中でも、短冊を芯体18に巻き付けて弾性層20を形成し、クリーニングロール12を得る方法が簡便でよい。
上記のように短冊を芯体18に巻き付ける際に付与する張力としては、例えば、短冊の長さが元の短冊の長さに対して0%%以上5%の伸びになる張力とすることがよく、5%程度の伸びになる張力とすることがより望ましい。
【0061】
(洗浄工程)
洗浄方法としては特に限定するものではないが、例えば、漂白剤、洗剤、超還元水等により洗浄すればよい。これらの中でも、シリコーン成分の除去性等の観点から、漂白剤を用いた洗浄が好ましい。漂白剤は、化学物質の酸化反応、還元反応を利用して色素を分解する化合物であり、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤、過酸化水素、過炭酸ナトリウム等の酸素系漂白剤等が挙げられる。
洗浄は、例えば、10℃以上60℃以下、2時間以上100時間以下の条件で、浸漬、噴霧等により行えばよい。
【0062】
−帯電部材−
次に、帯電部材である帯電ロール10の説明をするが、被帯電体としての像保持体を帯電するように予め定めた帯電性能を有するものであれば、以下の構成に限定されるものではない。
【0063】
帯電ロール10は、例えば、導電性芯体14と、弾性層又は樹脂層を含む帯電層16と、を含んで構成される。帯電層16は、例えば弾性層の単層構成からなるものであってもよく、いくつもの機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。さらには、弾性層の上に表面処理を行ったものであってもよい。ここで「導電性」とは、20℃における体積抵抗率:1×10Ωcm以下であることを言う。以下同様である。
【0064】
導電性芯体14に用いられる材質としては、例えば、快削鋼、ステンレス鋼等の金属等が挙げられ、摺動性等の用途に応じて材質および表面処理方法等を適時選択してもよい。防錆等の観点から、導電性芯体14にメッキ処理してもよい。導電性芯体14の材料が導電性を有さない材質の場合、例えばメッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0065】
予め定めた帯電性能を得るために、弾性層を導電性弾性層としてもよい。導電性弾性層としては、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電剤等の導電材、並びに必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ、及び炭酸カルシウム等の充填剤等の添加剤を含んで構成されたものが挙げられる。導電性弾性層は、例えば、上記材料の混合物を、導電性芯体14の周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0066】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらの混合ゴム等が挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、及びこれらの混合ゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0067】
導電剤としては、例えば、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等が挙げられる。
【0068】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、例えば1質量部以上60質量部以下の範囲が挙げられ、一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、例えば0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲が挙げられる。
【0069】
帯電ロール10の表面は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂及びゴム等のうち何れを用いてもよく、特に限定するものではない。樹脂又はゴムとしては、例えば、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0070】
これらうちトナーの外添剤の汚れを抑制する等の観点から、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましく用いられる。共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンのうちのいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等の重合単位が共重合体中に含まれる割合は、質量比で合わせて10%以上であるのが好ましい。
【0071】
上記樹脂又はゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、樹脂とゴムとを混合して用いてもよい。また、当該樹脂又はゴムの数平均分子量は、例えば1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。
【0072】
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが好ましい。
【0073】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤としては、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、又はイオン導電剤等の、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
【0074】
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、例えば、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等のpH4.0以下のカーボンブラックが挙げられる。
【0075】
上記抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子としては、例えば、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子が挙げられ、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れを用いてもよく、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、本実施形態の効果を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整および強度等の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、より好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫である。
【0076】
さらに、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂を用い、特に、フッ素変性アクリレートポリマーを含んで構成されることが好ましい。また、表面層の中に粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロール10への異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカ等の絶縁性の粒子を添加して、帯電ロールの表面に凹凸を付与し、感光体ドラムとの摺擦時の負担を小さくして帯電ロールと像保持体との相互の耐磨耗性を向上させてもよい。ここで、「絶縁性」とは、20℃における体積抵抗率:1×1013Ωcm以上であることを言う。以下同様である。
【0077】
帯電ロール10の外径としては、8mm以上16mm以下が好ましい。画像形成装置の小型化の観点からφ14mm以下が好ましく、φ8mm以下では帯電ロール周面1ヶ所当たりの外添剤に接触する回数が増え、また放電回数が増えるので、帯電性能の維持に対して不利となる場合がある。また、外径の測定方法としては市販のノギスやレーザ方式外径測定装置を用いて測定すればよい。
【0078】
帯電ロール10のマイクロ硬度は、45°以上60°以下が好ましい。60°より硬くなると、帯電部材清掃部材を取り付けた場合でも像保持体との接触性が確保されにくくなるために画質濃度むらが発生する場合がある。45°より柔らかくなると、帯電部材清掃部材がない場合でも像保持体との接触性が確保される。しかし、低硬度化にするためには可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴム等の低硬度の材料を使用する方法等が考えられる。前者の場合、可塑剤がブリードし、画質劣化等の問題を引き起こしてしまう場合があり、後者の場合、大幅なコストアップになる場合がある。
また、帯電ロール10のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定した値を用いればよい。
【0079】
以上、帯電装置の一例として帯電ロールについて説明したが、ロール状の帯電装置に限られず、例えば、ブラシ状、ベルト状、ブレード状の帯電装置を用いてもよい。
【0080】
[プロセスカートリッジ]
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する前記帯電装置と、を備える。
本実施形態のプロセスカートリッジは、必要に応じて、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、像保持体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体表面を清掃する像保持体清掃手段と、からなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
【0081】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図4に示し、その構成について説明する。
プロセスカートリッジ3は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体(電子写真感光体)24と、感光体24の表面を接触帯電する帯電部材としての円筒状の帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃する帯電部材清掃部材としてのクリーニングロール12と、感光体24の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置の部材としての現像ロール52と、感光体24の表面に接触して、トナー像の転写後に感光体24に残ったトナーなどを清掃する像保持体清掃装置の部材としてのクリーニングブレード56と、が一体に支持されており、プロセスカートリッジ3は画像形成装置に着脱自在である。また、帯電ロール10とクリーニングロール12とで構成された帯電装置は、上記実施形態にかかる帯電装置である。
【0082】
プロセスカートリッジ3が画像形成装置に装着されたときには、感光体24の周囲に、帯電ロール10、レーザ光又は原稿の反射光などにより感光体24の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置としての露光装置58、現像ロール52、感光体24表面のトナー像を被転写体である記録用紙62に転写処理する転写装置の部材としての転写ロール54、クリーニングブレード56がこの順序で配置されるようになっている。
【0083】
前述のように、帯電ロール10の表面における前記24時間接触後のシリコーン濃度の最大値は前記の範囲内である。なお、図4では、他の電子写真プロセスにおいて必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
以下、図4に示すプロセスカートリッジ3の動作について説明する。
【0084】
まず、感光体24表面に接触された帯電ロール10に対して電圧を電源(図示せず)から給電することによって、感光体24の表面を帯電する。このとき感光体24および帯電ロール10は図4の矢印方向にそれぞれ回転する。
帯電後、感光体24表面に露光装置58により画像情報に応じた画像光(露光)60が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光60は画像の黒/白などに応じた光量の分布であるため、画像光60の照射によって感光体24表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール52を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー像が形成される。
トナー像が形成された部分に、位置あわせロール(図示せず)により記録用紙62が搬送され、感光体24表面のトナー像と記録用紙62とが重なる。このトナー像が、転写ロール54によって記録用紙62に転写された後、記録用紙62は、感光体24から分離される。分離された記録用紙62は搬送経路を通って搬送され、定着装置としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
【0085】
プロセスカートリッジ3に設けられた帯電ロール10にはクリーニングロール12が設置され、電源からベアリング28に電圧が印加され、クリーニングロール12が帯電ロール10と電気的に同極性を有することで、異物をクリーニングロール12および帯電ロール10表面にほとんど蓄積させることなく移行し、クリーニングブレード56で回収させるため、帯電部材に付着したトナーなどの異物を長期にわたって除去する。
このため、長期にわたり帯電ロール10に汚れが蓄積しにくく、帯電性能が維持される。
【0086】
感光体24は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、例えば、円筒状の導電性の基体の外周面に、必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層と、がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、感光層の上に保護層を有してもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜など他の種類の感光層を使用した感光体であってもよい。
【0087】
露光装置58としては、特に制限はなく、例えば、感光体24表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光などを、目的の像様に露光するレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器などが挙げられる。
【0088】
現像装置は、感光体24上に形成された静電潜像を、静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。上記現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択すればよく、トナー層が感光体24に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。現像装置としては、例えば、図4のように静電荷像現像用トナーを現像ロール52を用いて感光体24に付着させる機能を有する現像器、又はブラシなどを用いてトナーを感光体24に付着させる機能を有する現像器など、公知の現像器などが挙げられる。
【0089】
転写装置としては、トナー像を紙などに直接転写する方式のものでもよく、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。図4に示す記録用紙62にトナー像を直接転写する方式としては、例えば、導電性または半導電性のロールなどを用いた転写ロール54及び転写ロール押圧装置(図示せず)を用いた方式が挙げられる。また転写装置として、例えば、記録用紙62の裏側(感光体と反対側)から、トナーとは逆極性の電荷を記録用紙62に与え、静電気力によりトナー像を記録用紙62に転写するものを用いてもよい。転写ロール54は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)などにより、選択される。また、低コスト化の観点から、転写ロール54として単層の発泡ロールを用いてもよい。
【0090】
定着装置としての定着ユニットとしては、例えば、記録用紙62に転写されたトナー像を加熱、加圧、又は加熱加圧により定着するものが挙げられ、特に制限はない。
【0091】
トナー像を転写する被転写体である記録用紙62としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。定着後における画像表面の表面粗さを小さくするためには、転写材の表面の表面粗さも小さいことが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂などでコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙などが好適に使用される。
【0092】
[画像形成装置]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる前記実施形態の帯電装置と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、像保持体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備える。本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて、転写後の像保持体表面を清掃する像保持体清掃装置と、被転写体に転写されたトナー像を被転写体に定着させる定着装置と、からなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを使用するものであってもよい。
【0093】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図5に示し、その構成について説明する。
画像形成装置5は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体24と、感光体24の表面を接触帯電する帯電部材としての円筒状の帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃する帯電部材清掃部材としてのクリーニングロール12と、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体24の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置としての露光装置58と、感光体24の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置の部材としての現像ロール52と、感光体24表面のトナー像を被転写体である記録用紙62に転写処理する転写装置の部材としての転写ロール54と、感光体24の表面に接触して、転写後に感光体24に残ったトナーなどを清掃する像保持体清掃装置の部材としてのクリーニングブレード56とを備える。また、帯電ロール10とクリーニングロール12とで構成された帯電装置は、上記実施形態にかかる帯電装置である。
【0094】
画像形成装置5において、感光体24の周囲に、帯電ロール10、露光装置58、現像ロール52、転写ロール54、クリーニングブレード56がこの順序で配置されている。前述のように、帯電ロール10の表面における前記24時間接触後のシリコーン濃度の最大値は前記範囲内である。なお、図5では、他の電子写真プロセスにおいて必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。画像形成装置5の各構成、画像形成時の動作は図4のプロセスカートリッジ3と同様である。なお図5においては、ベアリング28に電圧を印加する電源63が図示されている。
【0095】
図6には、タンデム方式のカラーの画像形成装置5を示す。また図7には、図6の画像形成装置5における帯電装置周辺部を拡大した拡大図を示す。
図6及び図7に示す画像形成装置5では、例えば、感光体(感光体ドラム)24、帯電ロール10、クリーニングロール12、現像器66Y、及びクリーニングブレード等を含むイエローのカートリッジ64Yが備えられている。そして同様に、現像器66Yの代わりにそれぞれ現像器66M、66C、又は66Kを用いたマゼンタのカートリッジ64M、シアンのカートリッジ64C、及び黒のカートリッジ64Kが備えられている。また、帯電ロール10とクリーニングロール12とで構成された帯電装置は、上記実施形態にかかる帯電装置である。
【0096】
感光体24は、例えば、表面に感光体層が被覆された直径が25mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
感光体24の表面は、帯電ロール10によって予め定めた電位に帯電された後、露光装置58から出射されるレーザビーム等によって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0097】
この感光体24上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器66Y、66M、66C、66Kによって現像され、予め定めた色のトナー像となる。
【0098】
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体24の表面には、帯電、露光、現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体24の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0099】
感光体24上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体24の外周に用紙搬送ベルト68上を搬送される記録用紙62へ転写される。さらに、感光体24上からトナー像が転写された記録用紙62は、定着装置70へと搬送され、この定着装置70によって加熱および加圧されてトナー像が記録用紙62上に定着される。その後、片面印刷の場合には、トナー像が定着された記録用紙62は、排出ロール72によって画像形成装置5の上部に設けられた排出部74上にそのまま排出される。
【0100】
−方、両面印刷の場合には、定着装置70により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙62を、排出ロール72によって排出部74上にそのまま排出せずに、排出ロール72によって記録用紙62の後端部を狭持した状態で、排出ロール72を逆転させるとともに、記録用紙62の搬送径路を両面用の用紙搬送路76に切り替え、この両面用の用紙搬送路76に配設された搬送ロール78によって、記録用紙62の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト68上へ搬送して、記録用紙62の第二面(裏面)に感光体24上からトナー像を転写する。そして、記録用紙62の第二面(裏面)のトナー像を定着装置70によって定着させ、記録用紙62を排出部74上に排出する。
【0101】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体24の表面は、感光体24が1回転する毎に、感光体24の上方に配置されたクリーニングブレード56によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0102】
図7に示すように、感光体24の周囲には、感光体24と接触するように帯電ロール10が配置されている。この帯電ロール10は、回転するように支持されている。帯電ロール10の感光体24と反対側には、帯電ロール10のクリーニングロール12が接触している。クリーニングロール12は、回転するように支持されている。例えば、感光体24が矢印X方向に回転する際に、帯電ロール10が矢印Y方向に回転し、クリーニングロール12が矢印Z方向に回転する。また前述のように、未使用のクリーニングロール12の弾性層と未使用の帯電ロール10とが1日以上接触されている状態で、帯電ロール10上の接触部および非接触部のX線光電子分光分析にて分析した際のシリコーン濃度が、前記の範囲内である。
【0103】
帯電ロール10は導電性芯体14の両端へ予め定めた荷重Fをかけて感光体24へ押付けられ、帯電層の周面に沿って弾性変形して接触部を形成している。さらに、クリーニングロール12は芯体18の両端へ予め定めた荷重F’をかけて帯電ロール10へ押付けられ、弾性層が帯電ロール10の周面に沿って弾性変形して接触部を形成することで、帯電ロール10の撓みを抑えて、帯電ロール10と感光体24の軸方向における接触バラツキを抑制させている。
なお本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0104】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
[実施例1]
(クリーニングロール作製)
材料としてポリエーテルポリオールを用いて製造された、シリコーン系整泡剤を含む発泡ウレタン(品番:EPM−70;株式会社イノアックコーポレーション社製;平均セル径;0.4mm)を漂白剤として花王社製ハイター中に浸して、25℃で24時間放置した。その後に、イオン交換水にて洗浄した後に、厚さ2mmに加工し、そのシートに厚み0.2mmの両面テープを貼付け、幅6mm、長さ353mmの短冊になるように切り出す。この短冊を段付金属シャフト(外径φ6、全長337mm、軸受け部の外径φ4、長さ6mmのシャフトを使用。発泡ウレタンの有効長は320mm。)へ、巻き付け角度25°で、シート全長が0%から5%程度伸びるように張力を付与しつつ巻き付けて、螺旋状に配置した弾性層を形成し、クリーニングロールを作製した。
【0106】
なお、得られたクリーニングロールにおいて、螺旋状の弾性層における螺旋角度θは25°、螺旋幅R1は23,7mm、螺旋ピッチR2は40.4mm、被覆率は59%、螺旋幅方向中央部における厚みTaは1.75mm、螺旋幅方向両端部における厚みTbは2.3mmであった。
【0107】
(帯電ロールの作製)
−弾性層の形成−
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS416からなる直径6mmの導電性芯体表面に、厚さ3mmとなるように円筒状に被覆し、内径18.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫させ、金型から取り出した後、研磨して、円筒状の導電性弾性層を得た。
【0108】
ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106:日本ゼオン社製を75質量部、及びニトリルブタジエンゴム、N250S:JSR社製を25質量部) 100質量部
導電剤(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム:関東化学社製) 0.9質量部
導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製) 15質量部
加硫剤(硫黄、200メッシュ:鶴見化学工業社製) 1質量部
加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) 2.0質量部
加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) 0.5質量部
【0109】
−表面層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液を、メタノールで希釈し、前記導電性弾性層の表面に浸漬塗布した後、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成し、帯電ロールを得た。
高分子材料1(N−メトキシメチル化ナイロン、F30K:ナガセケムテック社製) 100質量部
高分子材料2(ポリビニルブチラール樹脂、エスレックBL−1:積水化学工業社製) 10質量部
導電剤(カーボンブラック、ケッチェンブラックEC:ライオン社製)20質量部
多孔質充填剤(ポリアミド樹脂粒子、2001UDNAT1:アケルマ社製) 30質量部
触媒(燐酸解離、イソプロパノール/イソブタノール触媒、NACURE4167:キングインダストリーズ社製) 7質量部
溶剤(メタノール) 900質量部
得られた帯電ロールの外周面における十点平均粗さ(Rz)は5μmであった。
【0110】
[実施例2]
(帯電ロールの作製)
弾性層の形成において研磨条件を変更し、帯電ロールの外周面における十点平均粗さ(Rz)を17μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電ロールを作成した。
なお、クリーニングロールは実施例1で得られたものと同じものを用いた。
【0111】
[実施例3]
(クリーニングロールの作製)
漂白剤に浸す時間を4時間にした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロールを作製した。
なお、帯電ロールは実施例1で得られたものと同じものを用いた。
【0112】
[実施例4]
帯電ロールは実施例2で得られたものと同じものを用い、クリーニングロールは実施例3で得られたものと同じものを用いた。
【0113】
[実施例5]
(クリーニングロール作製)
漂白剤に浸す時間を2時間にした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロールを作製した。
なお、帯電ロールは実施例1で得られたものと同じものを用いた。
【0114】
[実施例6]
帯電ロールとして実施例2で得られたものと同じものを用いた。
また、クリーニングロールとして実施例5で得られたものと同じものを用いた。
【0115】
[比較例1]
(クリーニングロール作製)
漂白剤に浸さず、イオン交換水での洗浄も行わない以外は、実施例1と同様にして、クリーニングロールを作製した。
なお、帯電ロールは実施例1で得られたものと同じものを用いた。
【0116】
[比較例2]
帯電ロールとして実施例2で得られたものと同じものを用いた。
また、クリーニングロールとして比較例1で得られたものと同じものを用いた。
【0117】
[実施例7]
(帯電ロールの作製)
弾性層の形成において研磨条件を変更し、帯電ロールの外周面における十点平均粗さ(Rz)を4μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電ロールを作製した。
また、クリーニングロールとして実施例3で得られたものと同じものを用いた。
【0118】
[実施例8]
(帯電ロールの作製)
弾性層の形成において研磨条件を変更し、帯電ロールの外周面における十点平均粗さ(Rz)を18μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電ロールを作製した。
また、クリーニングロールとして実施例3で得られたものと同じものを用いた。
【0119】
[比較例3]
(クリーニングロール作製)
材料として、シリコーン系整泡剤を含む発泡ウレタン(品番:RR26:株式会社イノアックコーポレーション製:平均セル径:0.8mm)を使用した以外は、比較例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
なお、帯電ロールは実施例1で得られたものと同じものを用いた。
【0120】
[評価]
−クリーニング性の評価−
帯電ロール及びクリーニングロールを取り付けられるように改造したカラー複写機DocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)用プロセスカートリッジに、実施例及び比較例で作製したクリーニングロール及び帯電ロールをそれぞれ装着した。プロセスカートリッジをカラー複写機DocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)に装着し、A4紙(富士ゼロックス社製、C2紙)で10,000枚の印字テストを行い、その後、ハーフトーン画質にて帯電ロールのクリーニングむらによる濃度むら(クリーニング性評価)を以下の基準で評価した。
【0121】
[濃度むら(クリーニング性評価)の評価基準]
◎:画質上の濃度むら全く発生しない
○:画像上の濃度むらがほとんど発生しない
△:画質上の濃度むらが発生するが、許容レベル
×:画質上の濃度むらが発生し、許容できないレベル
【0122】
実施例及び比較例において、前記方法によって得られた24時間接触後のシリコーン濃度の最大値(原子%)、帯電ロール外周面の十点平均粗さ(μm)、及びクリーニングロールの弾性層の平均セル径(mm)について表1に示す。また、実施例及び比較例における上記評価の結果についても併せて表1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
上記結果から、実施例においては、比較例に比べて、濃度むらの発生が抑制され、帯電ロールに対するクリーニング性が維持されていることが分かる。
【符号の説明】
【0125】
1 帯電装置、3 プロセスカートリッジ、5 画像形成装置、10 帯電ロール(帯電部材)、12 クリーニングロール(帯電部材清掃部材)、18 芯体、20 弾性層、24 感光体(像保持体)、52、66Y、66M、66C、66K 現像ロール(現像装置)、54 転写ロール(転写装置)、58 露光装置(潜像形成装置)、62 記録用紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電部材と、
芯体とシリコーンオイルを含み前記芯体の外周面に螺旋状に配置された弾性層とを有する帯電部材清掃部材と、を備え、
初期状態での前記帯電部材清掃部材の前記弾性層と初期状態での前記帯電部材とを24時間接触させた後に、前記帯電部材の表面をX線光電子分光分析により分析して得られた、全原子に対するシロキサン骨格を構成するSi原子の含有量のうち、前記弾性層と接触していた領域である接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量、及び前記弾性層と接触していなかった領域である非接触部における前記シロキサン骨格を構成するSi原子の含有量の最大値が6原子%以下である、帯電装置。
【請求項2】
前記帯電部材の前記表面における十点平均粗さ(Rz)は、5μm以上17μm以下であり、
前記弾性層は、平均セル径が0.1mm以上1.0mm以下の発泡体である、請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記弾性層は、発泡ウレタン樹脂を含んで構成された、請求項1又は請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記弾性層は、ポリエーテルポリウレタンを含んで構成された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項5】
芯体の外周面に螺旋状に配置された弾性層を形成する弾性層形成工程と、前記弾性層を洗浄する洗浄工程と、を含む帯電部材清掃部材製造工程を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置の製造方法。
【請求項6】
像保持体と、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
を備えた、プロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の帯電装置と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78518(P2012−78518A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222904(P2010−222904)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】