説明

帯電部材及び帯電装置

【課題】苛酷な使用条件下においても高品位な電子写真画像を安定して与える帯電部材及び帯電装置を提供すること。
【解決手段】導電性基体と、最表面層とを有する帯電部材であって、該最表面層が、下記式(1)又は式(2)で表わされる基の少なくとも一方を側鎖に有するポリマーを含有している帯電部材及び該帯電部材を有する帯電装置。


(式中、R1、、R、R及びRは炭素数1乃至7のアルキル基。R、Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−のポリエチレンオキサイド基(nは1乃至3)。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いる帯電部材及び帯電装置に関する。詳しくは、最表面層に特定のポリマーを含有している帯電部材及び該帯電部材を有する帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにおいて、帯電部材を電子写真感光体(以下、場合により単に「感光体」ともいう)に接触或いは近接させた状態で、該帯電部材に電圧を印加して感光体表面を帯電せしめる接触帯電方式が実用化されている。このような接触帯電方式に用いられる帯電部材の例としては、導電性基体と、その導電性基体に支持された最表面層を有している帯電部材が挙げられる。
【0003】
このような帯電部材の最表面層は、適切な帯電性を確保するため、体積抵抗率が中抵抗領域(1×10〜1×1015Ω・cm程度)に調整される場合が多い。
【0004】
体積抵抗率を中抵抗領域とするためには、
・最表面層が高抵抗の高分子バインダーと導電性粒子の混合物からなる構成とする方法、
・高抵抗の高分子バインダーとイオン性の導電剤との混合物からなる構成とする方法、
・高分子バインダー自体が中抵抗である材料で最表面層を構成する方法、
・上記の材料の混合物で最表面層を構成する方法、
等が挙げられる。
【0005】
これらの最表面層を構成するにあたり、高分子バインダーの材料として様々な提案がなされてきた。
【0006】
例えば、特許文献1には最表面層に、スルホン酸基、カルボキシル基、第三級アミノ基及びそれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも一つであるイオン性セグメントを含むウレタンアイオノマーを含む記載がある。
【0007】
また、特許文献2には、最表面層のカーボンブラックを分散するためにアミン変性ポリウレタン樹脂をベースとし、カーボンブラックの高分子分散剤として作用するベースポリマーの記載がある。
【0008】
なお、帯電部材に電圧を印加して感光体表面を帯電せしめる方法としては、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加するAC+DC帯電方式と、帯電部材に直流電圧のみを印加するDC帯電方式とが挙げられる。AC+DC帯電方式は、交流電圧を印加することにより安定した帯電を行える方法であるが、交流の電圧源を使用する分、DC帯電方式に比較して、画像形成装置のコストが高くなってしまう。また、放電の量が多いため、特に高分子バインダー樹脂を主成分とする感光体の帯電に使用した場合、感光体の膜厚の減少(削れ)が大きい。それに対してDC帯電方式は電源コストが安価であるし、感光体の削れも小さいという特徴がある。
【0009】
DC帯電方式は、AC帯電方式に比較して一般的にコストが低いが問題点もある。つまり、AC+DC帯電のようにAC電流の均し効果が無いため、帯電の均一性が、AC+DC帯電方式に比較して劣る。また、やはり均し効果が無いということで、最表面層表面に付着した汚れや、最表面層自身の電気抵抗の不均一性が画像に出易いという問題もある。
【0010】
電子写真装置の出力枚数の増加に伴い、最表面層表面に付着する汚れの量も増加する。汚れの成分としては、紙粉等も挙げられるが、大部分は現像剤(トナー)の成分である。
【0011】
最表面層の汚れを低減する手段としては、帯電部材最表面層の撥水性を大きくする方法が挙げられる。すなわち、トナー由来の樹脂成分が表面に粘着する付着力を小さくする方法である。また、帯電部材最表面層の硬度をある程度大きくしてトナー由来の粉体が帯電部材最表面層へ埋め込まれることを防止する方法等が挙げられる。
【0012】
トナーが最表面層に付着する原理としては粘着と埋め込まれのみではない。すなわちトナーは絶縁性で帯電し易い高分子材料を主成分とするため、電子写真プロセスを経る過程において帯電してしまい、この帯電したトナーが最表面層表面に付着するという、静電的な付着も発生する。また、静電的に付着したトナーが最表面層と感光体との間の圧力により徐々に粘着したり、埋め込まれたりしていく場合もある。
【0013】
この様な、帯電したトナーの静電的な付着を軽微にするためには、帯電部材表面に付着したトナーの電荷を除電すればよい。特にDC帯電部材においては、帯電部材表面を摩擦する部材を帯電部材に接する様に配置してトナーを除電すると効果的である。また、特許文献1に記載されたウレタンアイオノマーや、特許文献2に記載されたアミン変性ポリウレタン樹脂を帯電部材最表面層の高分子バインダーとして用いると、トナーの除電がなされ易い傾向がある。しかし、高品位な画像出力を長期にわたって行おうとすると、除電の持続性の面で更なる特性の向上が必要である。
【特許文献1】特許第3622541号公報
【特許文献2】特許第3092533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
すなわち、通常の使用状態では問題にならない様な帯電部材の汚れに関しても、特殊な使用条件、例えば、低温低湿環境で高印字率の画像を連続して出力するような場合には帯電部材の汚れが課題となる。つまり、低湿度の環境で過剰に帯電したトナーを清掃工程においても感光体表面から充分に取り除くことが出来ずに、前記過剰に帯電したトナーが帯電部材表面に大量に付着し、帯電部材汚れの原因となる場合がある。
【0015】
本発明の目的は、苛酷な使用条件下においても高品位な電子写真画像を安定して与える帯電部材及び帯電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に従って、導電性基体と、最表面層とを有する帯電部材であって、
該最表面層が、下記式(1)又は式(2)で表わされる基の少なくとも一方を側鎖に有するポリマーを含有していることを特徴とする帯電部材が提供される。
【0017】
【化3】

【0018】
式(1)中、R及びRは炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
式(2)中、R、R及びRは炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
【0019】
また、本発明に従って、上記の帯電部材の表面を摩擦する部材を有し、該帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体を帯電することを特徴とする帯電装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特定の構造の三級アミノ基を側鎖に有するポリマーの作用により、トナーを除電する能力が長期間にわたって持続し、苛酷な環境で使用しても、高品位な画像出力を多数出力可能な帯電部材を得られる。また、トナーを除電する能力が長期間にわたって持続し、苛酷な環境で使用しても、高品位な画像出力を多数出力可能な帯電部材及び帯電装置を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
<1>帯電部材
本発明に係る帯電部材の具体的な構成を図1に示す。図1(a)は、帯電部材の横断面を示し、図1の(b)は、縦断面を示したものである。
図1において、1は導電性基体、2は導電性弾性体層、3は導電性弾性体基層の外周を被覆する、導電性の最表面層である。尚、導電性弾性体層2は、本発明に係る帯電部材においては、付加的な構成要素である。即ち、最表面層3が、導電性基体1の外周を被覆している構成もまた、本発明に係る帯電部材の範疇である。
【0023】
<<最表面層3>>
最表面層は、バインダー樹脂と導電剤とを主たる成分として含む。そして該バインダー樹脂は、下記式(1)又は(2)で表される基の少なくとも一方を側鎖に有するポリマーを含有している。
【0024】
【化4】

【0025】
式(1)中、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
式(2)中、R、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
【0026】
本発明に係るポリマーにおいて、好ましくはR及びR、並びにR、R及びRが各々メチル基である。その理由としては、トナーと摩擦してトナーに電荷を付与する場合に、アルキル基の長さがより短い程中心の窒素原子とトナー表面が近くで摩擦し易く、より電荷を付与し易いからであると考えられる。
【0027】
、R及びRは、上記で定義した炭素数或いはn数の範囲内で、基の長さが長いものがより好ましい。上記式(1)又は(2)で表される基が最表面層の表面に配向し易くなるからであると考えられる。
【0028】
「上記ポリマーの合成製法」
式(1)又は(2)で表される基を側鎖に有するポリマーは、下記(ア)または(イ)により得ることができる。
(ア)側鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するポリマーと、イソシアネート基もしくはブロックされたイソシアネート基を複数有する化合物と、下記式(3)又は(4)で表される化合物とを反応させる。
(イ)側鎖にイソシアネート基又はブロックされたイソシアネート基を有するポリマーと、下記式(3)又は(4)で表される化合物とを反応させる。
【0029】
【化5】

【0030】
上記式(3)中、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
式(4)中、R、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
【0031】
「ポリマーの原料」
「側鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するポリマー」
側鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するポリマーの例としては、下記の化合物が挙げられる。
・ポリビニルブチラール;
・ポリビニルアルコール;
・セルロース;
・(メタ)アクリル酸重合体;
・(メタ)アクリル酸ダイマー重合体;
・ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート重合体;
・(メタ)アクリル酸やω−カルボキシカプロラクトンモノ(メタ)アクリル酸と、他の種々のビニル化合物との共重合体。
【0032】
また、上記した(メタ)アクリル酸やω−カルボキシカプロラクトンモノ(メタ)アクリル酸と共重合し得るビニル化合物の例としては、下記の化合物が挙げられる。
・スチレン;
・α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;
・メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系モノマー;
・メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系モノマー;
・メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;
・酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;
・ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;
・ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン。
【0033】
これらのうちの1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの(メタ)アクリル基を含有する(共)重合体の側鎖をカプロラクタム等で鎖延長しても良い。
【0034】
「側鎖にイソシアネート基又はブロックされたイソシアネート基を有するポリマー」
前記側鎖にイソシアネート基又はブロックされたイソシアネート基を有するポリマーは、上記側鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するポリマーに2官能以上のイソシアネートを反応させて得ることが出来る。
【0035】
「イソシアネート」
2官能イソシアネートとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
・テトラメチレンジイソシアネート、
・ペンタメチレンジイソシアネート、
・ヘキサメチレンジイソシアネート、
・ジプロピルエーテルジイソシアネート、
・2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、
・3−メトキシヘキサンジイソシアネート、
・オクタメチレンジイソシアネート、
・2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、
・ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、
・3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、
・1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、
・チオジヘキシルジイソシアネート、
・メタキシリレンジイソシアネート、
・パラキシリレンジイソシアネート、
・テトラメチルキシリレンジイソシアネート、
・メタフェニレンジイソシアネート、
・パラフェニレンジイソシアネート、
・2,4−トリレンジイソシアネート、
・2,6−トリレンジイソシアネート、
・ジメチルベンゼンジイソシアネート、
・エチルベンゼンジイソシアネート、
・イソプロピルベンゼンジイソシアネート、
・トリジンジイソシアネート、
・1,4−ナフタレンジイソシアネート、
・1,5−ナフタレンジイソシアネート、
・2,6−ナフタレンジイソシアネート、
・2,7−ナフタレンジイソシアネート、
・水添キシリレンジイソシアネート、
・イソホロンジイソシアネート、
・ビフェニルジイソシアネート、
・3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、
・3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、
・ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・2,5,2’,5’−テトラメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・シクロヘキシルビス(4−イソシアントフェニル)メタン、
・3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、
・4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、
・2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
・ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアネート。
【0036】
本発明に用いるイソシアネートは、イソシアヌレート型の3量体とすることがより好ましい。分子の剛直な3量体が架橋点となり、最表面層がより密に架橋することができ、イオン性の導電性弾性体基層からの染み出し物質が最表面層を透過してローラ表面に染み出してくることをより一層効果的に防止することができる。
【0037】
更に、本発明に用いるイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートとすることがより好ましい。最表面層形成用の塗料を常温に長時間放置しておいてお、経時的に当該塗料の特性が変化してしまうことを抑制できるからである。即ち、ブロックイソシアネートは、活性なイソシアネート基がブロックされ、ブロック剤の解離温度までは反応しないので、当該塗料の保管、管理、取扱が容易になる。
【0038】
ブロック剤の例は、以下のものを挙げることができる。
・フェノール、クレゾール等のフェノール類;
・ε−カプロラクタム等のラクタム類;
・メチルエチルケトオキシム等のオキシム類。
【0039】
本発明においては、解離温度が比較的低温のオキシム類が好ましい。
【0040】
「バインダー樹脂」
本発明に係るポリマーとして、以下の(ア)乃至(イ)の工程により得られる、前記式(1)又は(2)の少なくとも一方を側鎖に有するウレタン樹脂が特に好適に用いられる。
(ア)ω−カルボキシカプロラクトンモノ(メタ)アクリル酸と、スチレン又は上記したスチレン誘導体とを反応させてラクトン変性(メタ)アクリルポリオールを得る。
(イ)得られたラクトン変性(メタ)アクリルポリオールを、上記式(3)又は(4)で表される化合物の存在下、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートで架橋させてウレタン樹脂を得る。
【0041】
また、ラクトン変性(メタ)アクリルポリオールに対してイソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとがランダムに反応し、架橋構造が形成されている。この構造により、適度な硬度と非汚染性を有する。また、末端に水酸基を有する変性したラクトン基が多数の架橋点となり、イソシアネートで密に架橋することが可能である。そのため、導電性弾性体基層を用いた場合であっても、当該導電性弾性体基層からの未加硫成分が帯電部材の最表面に染み出してくることを有効に抑制することができる。
【0042】
「最表面層のバインダー樹脂」
最表面層のバインダー樹脂は、上記したポリマーのみからなることを基本とする。しかし、他のポリマーとの併用を可とする。
【0043】
他のポリマーとしては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。具体的には、各種のポリアミド、フッ素樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂等が挙げられる。また、該樹脂2種類以上の共重合体も挙げられる。
【0044】
「導電剤」
最表面層には、バインダー樹脂の他に、導電性を発現させるため、導電剤を含有させる。導電剤としては、イオン導電性の導電剤と電子導電性の導電剤とが挙げられる。帯電部材による感光体の汚染を防止する観点から、染み出す恐れの少ない電子導電性の導電剤を用いることが好ましい。
【0045】
電子導電性の導電剤としては、導電性粒子が挙げられ、例えば、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体が挙げられる。また、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉が挙げられる。また、適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウム等で電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体が挙げられる。また、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
最表面層の樹脂に加えるこれらの導電剤の配合量は、最表面層の樹脂の体積抵抗率が低温低湿(L/L:15℃/10%RH)、常温常湿(N/N:23℃/55%RH)、高温高湿(H/H:30℃/80%RH)の環境中で、中抵抗領域になるように決める。本発明における中抵抗領域の体積抵抗率とは1×10〜1×1015Ω・cmである。
【0047】
最表面層の体積抵抗率がこれよりも小さいと、帯電部材として使用した場合、感光体にピンホールがある時にピンホールに過大な電流が流れてリークしてしまい、リークした跡が画像に表れてしまうので好ましくない。逆に体積抵抗率が大き過ぎると、帯電部材に電流が流れず、感光体を所定の電位に帯電することができず画像が所望する濃度にならないという弊害がある。また、ある程度の電位に帯電したとしても帯電が不均一になり画像上に表れてしまうので好ましくない。
【0048】
最表面層の体積抵抗率は、ローラ状態から最表面層を剥がし、5mm×5mm程度の短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し、微小電流計を用いて200Vの電圧を印加して30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。微小電流計としては(株)アドバンテスト社製ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを用いた。
【0049】
本発明における最表面層の塗料の分散としては、加速した塗料を衝突させて顔料を分散する微細オリフィス分散装置や、又はペイントシェーカ、回転式のビーズミル等が挙げられる。サンドミルを用いて分散する場合、分散の再現性を確保するため、分散メディアとして球形のビーズを用いることが好ましい。
【0050】
「絶縁性の粒子」
最表面層には絶縁性の粒子を含有することがより好ましい。絶縁性粒子としては絶縁性無機微粒子と絶縁性有機微粒子が挙げられる。これらをどちらか一方、もしくは両方含有することが好ましい。このうち、絶縁性の無機微粒子は、帯電ローラの帯電電位を高め、被帯電体を均一に帯電させる働きをする。
【0051】
上記絶縁性無機粒子の母材としては、金属酸化物、シリカ微粒子、及びチタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸カルシウム微粒子、チタン酸ケイ素微粒子等の複合酸化物等が挙げられる。特には比誘電率の大きな金属酸化物、複酸化物の絶縁性微粒子が好ましい。この中でも、特に、酸化チタンが好ましい。比誘電率の大きな無機微粒子を母材として用いた場合、帯電ローラの帯電電位を高め、被帯電体を均一に帯電させる上で有効である。
【0052】
絶縁性無機微粒子は最表面層形成用塗料に分散しやすくするため、表面処理を行う事がより好ましい。表面処理としては、カップリング剤による処理や、シリコーンオイルによる処理が挙げられる。
【0053】
「カップリング剤での表面処理」
カップリング剤(珪素、チタン、アルミニウム及びジルコニウム等の中心元素は特に選ばない)としては、特に、アルコキシシランカップリング剤及びフルオロアルキルアルコキシシランカップリング剤が好ましい。
【0054】
カップリング剤の例は、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤を含む。シランカップリング剤としては、例えば、イソブチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシランが挙げられる。また、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、等が挙げられる。カップリング剤処理することで微粒子表面への水分の吸着を抑え、より環境変動の小さい表層材料を得ることができる。
【0055】
微粒子の疎水化処理の方法としては、例えばシランカップリング剤の場合、乾式法と湿式法の2つの方法がある。
【0056】
(a)乾式法
導電剤をよく掻き混ぜながらシランカップリング剤を噴霧するか蒸気状態で吹込む。必要に応じて加熱処理を入れる。より具体的には、シランカップリング剤を水蒸気の存在下、クラウド状にした微粒子と接触させて反応させる乾式法によるものを用いることが好ましい。このシランカップリング剤による処理では、シランカップリング剤を水蒸気の存在下で処理するため、水蒸気が触媒として作用し、シランカップリング剤の反応を高めることができ、均一な表面処理が可能となる。シランカップリング剤の処理時に水蒸気を存在させることは、シランカップリング剤と母材とを良好な反応させる上で好ましい。
【0057】
(b)湿式法
導電剤を溶媒中に分散させ、シランカップリング剤も水や有機溶媒に希釈し、スラリー状態で激しく掻き混ぜながら添加する。均一処理をするにはこちらの方法が好ましい。更に、導電剤表面のシラン前処理としての具体的方法としては、以下の3つの方法がある。
【0058】
(b−1)水溶液法
0.1%以上0.5%以下のシランを、一定pHの水、あるいは水−溶媒に十分撹拌しながら注入溶解させ、加水分解する。フィラーをこの溶液中に浸した後、ろ過あるいは圧搾して、ある程度水を除き、その後120℃以上130℃以下で十分乾燥する。
【0059】
(b−2)有機溶媒法
少量の水と、加水分解用溶媒(塩酸、酢酸)を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素)にシランを溶解する。フィラーをこの溶液に浸した後、ろ過あるいは圧搾し、溶媒を除き、120℃以上130℃以下で十分乾燥する。
【0060】
(b−3)スプレー法
フィラーを激しく撹拌しながら、シランの水溶液あるいは、溶媒液をスプレーする。その後、120℃以上130℃以下で十分乾燥する。
【0061】
本発明において、シランカップリング剤は、微粒子原体100質量部に対して、5質量部以上60質量部以上、更に好ましくは、10質量部以上50質量部以下の範囲で添加して処理することが好ましい。5質量部より少ない場合には、表面処理が充分でなく、沈殿し易くなる傾向があり、表層を塗工する塗液の安定性が悪くなるし、60質量部よりも多い場合には、製造上困難になる場合がある。
【0062】
「シリコーンオイルでの表面処理」
シリコーンオイルの具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル及びフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。それらの変性シリコーンオイルも使用できる。
【0063】
本発明で使用する絶縁性微粒子を製造するための処理形態としては、シランカップリング剤と、シリコーンオイル又はシリコーンワニスとの両者を組み合わせて処理することが好ましい。その中での好ましい処理形態としては、先ず、シランカップリング処理剤で処理した後、シリコーンオイル又はシリコーンワニスで処理することが挙げられる。その中でも特に、イソブチルシランで処理した後、シリコーンオイルで処理する形態が好ましい。
【0064】
シリコーンオイル及び/又はシリコーンワニスによる絶縁性の母材の表面処理方法としては、以下の方法が挙げられる。
・微粒子と溶剤で希釈していないシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合させる方法。
・微粒子へ溶剤で希釈していないシリコーンオイルを噴霧する方法。
【0065】
この場合、シリコーンオイル及び/又はシリコーンワニスは、50℃以上200℃以下の温度に加温して粘度を下げて用いれば、より均一な処理が達成できるので、より好ましい。上記の通り、本発明においては、シリコーンオイル及び/又はシリコーンワニスは、溶剤に希釈しない状態で表面処理に用いられることから、25℃における動粘度500mm/s以下のものを用いることが好ましい。
【0066】
従って、本発明で使用する表面処理した微粒子を得るためには、微粒子をシランカップリング処理剤で処理後、シリコーンオイル又はシリコーンワニスを噴霧し、その後、200℃以上の温度で加熱処理する作製方法が好適に用いられる。この微粒子の処理時にシランカップリング剤で処理後、シリコーンオイル又はシリコーンワニスを噴霧した後、200℃以上の高い温度で加熱する方法によれば、シリコーンオイル又はシリコーンワニスが微粒子表面に均一に且つ強固に付着することが可能となる。
【0067】
シリコーンオイル又はシリコーンワニスは、母材又はカップリング処理した母材100質量部に対して2質量部以上40質量部以下、より好ましくは、5質量部以上35質量部以下の範囲で使用する。この範囲内とすることで、帯電部材が、苛酷な高温高湿度環境中に放置された場合にも、表面処理成分、例えばシリコーンオイルやシリコーンワニス等の、帯電部材の表面への染み出しを抑えることができる。それに加えて、高品質な最表面層の塗布形成が可能であり、最表面層の誘電率を増大させ、帯電時の放電を安定化させ、良好な帯電性をもたらす。
【0068】
本発明で使用する絶縁性無機微粒子の粒子径としては、個数平均粒子径(長さ平均)が1.0μm以下、更には、0.001μm以上0.5μm以下であることが好ましい。微粒子の個数平均粒子径をこの範囲内とすることによって、塗料中で沈降するといった問題が生じ難くなり、また、均一に表面処理することができる。
【0069】
粒子径の測定には、電子顕微鏡を用いる。撮影倍率は10万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に10万倍となる様に拡大する。写真上で一次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0070】
本発明の絶縁性無機微粒子は、単独で配合しても良いし、複数種類を混合して用いてもよい。
【0071】
本発明の帯電部材の最表面層は好ましくは、帯電部材表面を粗面化するための絶縁性有機微粒子を含有する。より好ましくは、該樹脂微粒子が架橋された微粒子であることが好ましい。架橋していないと最表面層塗工用の塗料としたときに溶解する恐れがあるので好ましくない。架橋した高分子微粒子を作るモノマーとしては、特には限定しないが、重合の容易さ等から、ビニル系のモノマーが好適に用いられる。
【0072】
本発明に用いるビニル系モノマーは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸へキシル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。また、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系ビニル単量体、酢酸ビニル及びアクリロニトリル等が挙げられる。
【0073】
樹脂粒子が架橋された高分子微粒子となるために、本発明においては、上記のビニル系モノマー以外に、分子内にビニル基を2つ以上有する架橋性のビニル系モノマーを使用することが好ましい。このような架橋性のビニル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタアクリレート等が挙げられる。これら架橋性のビニル系モノマーの添加量は、非架橋性のビニルモノマーに対して0.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0074】
これらの架橋された高分子微粒子は、シード乳化重合、分散重合、懸濁重合等により重合されるが、低分子の界面活性剤等の残留が少ないので、懸濁重合によって重合されることが好ましい。重合開始剤は、特に限定されないが、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物系触媒、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系触媒が挙げられる。
【0075】
本発明で使用される架橋された高分子微粒子は、形状がより真球形状に近いことがより好ましい。具体的には、平均円形度が0.95以上であることが好ましい。平均円形度が0.95以上となるように高分子微粒子の粒子形状を精密に制御することにより、帯電部材の表面粗さが均一になり、異なるプロセススピードで使用してもより均一な帯電特性を得ることが出来る。
【0076】
更に、円形度標準偏差が0.040未満であることがより好ましい。円形度標準偏差が0.040未満となるように高分子微粒子の粒子形状を精密に制御することにより、真球から大きくかけ離れた樹脂微粒子の存在割合が小さくなる。それにより、帯電部材の表面に突発的に樹脂粒子の突起が発生して帯電を乱す確率を抑制し、帯電部材の表面粗さが更に均一になり、異なるプロセススピードで使用してもより均一な帯電特性を得ることが出来る。
【0077】
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子形状の測定を行い、円形度を下式により求める。更に下式で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
【0078】
【数1】

【0079】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された樹脂粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該樹脂粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0080】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、まず各粒子の円形度を算出する。その後の、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、
0.400以上0.410未満、
0.410以上0.420未満、
・・・
0.990以上1.000未満
及び1.000の如くに61分割した分割範囲に分ける。そして、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。
【0081】
この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少ない。また有ったとしても、実質的には無視できる程度であるため、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこの様な算出法を用いている。
【0082】
本発明における円形度は、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0083】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0084】
樹脂粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時の樹脂粒子濃度が3000個/μl以上1万個/μl以下となる様に該分散液濃度を再調整し樹脂粒子を1000個以上計測する。
【0085】
樹脂粒子の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、更に好ましくは1μm以上25μm以下である。また、質量平均粒径の3倍以上の粒径を有す樹脂粒子が実質的に皆無であることが好ましい。粒径が大き過ぎると帯電部材表面が粗れ過ぎて帯電が不均一になってしまうという弊害がある。また、小さ過ぎると樹脂粒子を添加して低プロセススピードの領域での帯電を安定化させる効果が現れないので好ましくない。
【0086】
以下に、本発明における樹脂粒子の粒径測定の具体例を示す。
【0087】
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理する。その後、コールターカウンターマルチサイザーにより17μm又は100μm等の適宜樹脂粒子サイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3μm以上40μm以下の粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した個数平均粒径、質量平均粒径をコンピュータ処理により求め、体積基準の粒度分布より重量平均粒径の3倍径累積分布以上の累積割合を計算し、3倍径累積分布以上の累積値を求める。
【0088】
樹脂粒子の添加量は塗工後の最表面層中の質量割合として、1質量%以上80質量%以下が好ましい。少な過ぎると樹脂粒子を添加して帯電が安定する効果が得られないし、多過ぎると最表面層塗料の粘度の制御が難しくなり、均一に塗工することが難しくなるので、好ましくない。
【0089】
「最表面層のテトラヒドロフラン可溶分について」
最表面層の架橋反応が充分に進んでいないと、最表面層自体からの染み出し物質の放出も抑制することが困難となる。感光体表面に付着しない程度に最表面層自体からの染み出し物質の放出を抑制するには、最表面層の架橋を充分に行うことにより、最表面層のテトラヒドロフラン可溶分(THF可溶分)を10質量%以下に抑えることが好ましい。最表面層のTHF可溶分を10質量%以下とすることにより、感光体との長期間の当接によっても感光体表面に当接跡が残り難く、電子写真画像に目視で認識し得るスジを生じ難くなる。また、感光体の感光層に割れを生じさせることを有効に抑制することができる。
【0090】
尚、ここでTHF可溶分とは、最表面層を切り取り、常温の冷却水で冷却されるソックスレー抽出を8時間行うことにより減少する質量を測定することにより求める。
【0091】
本発明において最表面層の架橋を充分に行うためには、活性水素を側鎖に有するポリマーと、イソシアネートとの配合比を適切にすると共に、イソシアネートの反応が充分に進む温度に加熱して架橋反応を進めることが好ましい。特にイソシアネートが、イソシアネート基がブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネートである場合には、ブロック剤の解離温度よりも大きい温度で最表面層の架橋反応を行う。より好ましくはブロック剤の解離温度よりも20℃以上大きい温度で反応を行う。
【0092】
「最表面層のガラス転移温度」
最表面層に用いるバインダー樹脂のガラス転移温度Tgは粘弾性測定法で、ピーク温度は45℃以上が好ましく、特には50℃以上あることが好ましい。45℃未満であると、感光体と当接したまま長期間放置した場合に感光体に貼り付いてしまったり、あるいは帯電部材表面がトナー等によって汚れ易くなったりするという弊害があるので、好ましくない。
【0093】
本発明におけるガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下のようにする。まず、測定用の最表面層サンプルは、ローラ状態から最表面層を剥がし、5mm×40mm程度の短冊形に切り出す。測定装置は、動的粘弾性測定装置RSA−II(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製)を用い、また治具としてフィルムテンションフィクスチャーを用いる。測定は、−50℃乃至150℃の温度範囲において測定周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/min、初期歪0.07乃至0.25%のオートテンションモードで行う。損失正接tanδの温度分散を測定し、ピーク温度をTgとする。
【0094】
また特に限定はしないが、あまりTgが高過ぎてもバインダー樹脂の可撓性がなくなり、塗膜が割れ易くなるので好ましくない。Tgは、架橋させるイソシアネートの比率又は量によって調節する。
【0095】
ラクトン変性アクリルポリオール樹脂とイソシアネートとの配合比は、配合した塗料中のイソシアネート中のNCO基の数(A)と、ラクトン変性アクリルポリオール樹脂中のOH基の数(B)との比、NCO/OH比=A/Bが0.1以上2.0以下が好ましい。特に好ましくは0.3以上1.5以下の範囲になるように調整する。
【0096】
「最表面層の膜厚」
最表面層の膜厚は、好ましくは0.3μm以上100μm以下、より好ましくは2μm以上50μm以下、更に好ましくは5μm以上30μm以下である。最表面層の膜厚を上記範囲内とすることで、帯電の均一性が安定し、電子写真画像において、ローラの軸方向に細かい白スジが発生することを有効に抑制し得る。尚、膜厚は、ローラ断面を鋭利な刃物で切り出して、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することで測定できる。
【0097】
「最表面層の成形方法」
最表面層の成形方法としては、下記(ア)、(イ)の方法が挙げられる。
(ア)上記バインダー樹脂を構成するポリマーと導電剤とをチューブ状に押し出して、導電性弾性体基層の周囲に被覆する方法;
(イ)上記バインダー樹脂を構成するポリマーと導電剤とを溶媒と共に分散して塗料を調製し、該塗料を導電性基体や導電性弾性体基層の周面に塗工する方法。
【0098】
上記(イ)の方法では、バインダー樹脂を構成するポリマーと導電剤とを、下記の従来公知の分散装置等を用いて公知の方法により溶媒中に分散させて最表面層形成用の塗料を調製する。このとき、シリコーンオイル等のレベリング剤を混合してもよい。
【0099】
ここで、上記分散装置の例は以下のものを含む。
・モータで回転させる回転羽、ホモジナイザーのごとき攪拌分散装置;
・加速した塗料を衝突させて顔料を分散する微細オリフィス分散装置;
・サンドミル、ペイントシェーカ、ダイノミル及びパールミル等のビーズを利用した分散装置。
【0100】
また、上記塗工の方法としてはスプレー塗工、ロールコータ塗工、突き上げ塗工、リング塗工等が挙げられる。出来上がる最表面層の膜厚の均一性等の理由から、浸漬塗工がより好ましい。
【0101】
最表面層膜厚を上記した範囲に調整するためには、上記した塗料の樹脂の固形分と塗工引き上げ速度を制御する。最表面層塗料中の樹脂の固形分を大きくすると最表面層の膜厚が大きくなり、固形分を小さくすると膜厚も小さくなる。本発明の最表面層塗料においては、揮発する溶媒に対する樹脂の固形分を10%以上40%以下に調整する。また、塗工引き上げ速度を大きくすると膜厚が大きくなり、速度を小さくすると膜厚も小さくなるので、本発明においては塗工引き上げ速度を0.2mm/s以上300mm/s以下に調整することが好ましい。
【0102】
「導電性基体1」
図1に示す本発明で使用する導電性基体1は、炭素鋼合金表面に5μmの厚さのニッケルメッキを施した円柱である。導電性基体を構成する材料として他にも、例えば鉄、アルミニウム、チタン、銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金が使用できる。更にカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の、剛直で導電性を示す公知の材料を使用することもできる。また、形状としては円柱形状の他に、中心部分を空洞とした円筒形状とすることもできる。
【0103】
「導電性弾性体基層2」
本発明では導電性基体と最表面層との間に導電性弾性体層を有していることが好ましい。まず上記導電性基体1の外周面を覆う導電性弾性体層2を成形する。導電性弾性体層2は導電性弾性体からなっている。導電性弾性体は、導電剤と高分子弾性体とを混合して成形される。導電剤は少なくともイオン導電剤が含有されている。高分子弾性体としては特にエピクロルヒドリンゴムが好適に用いられる。エピクロルヒドリンゴムは、ゴム自体に若干の導電性があり、導電剤の添加量が少なくても良好な導電性を発揮することが出来、また、環境や位置による電気抵抗のバラツキも小さくすることが出来るので、高分子弾性体として好適に用いられる。
【0104】
エピクロルヒドリンゴムは、エピクロルヒドリンを中心とする環状のエーテルの開環重合体であり、ゴムを構成する主な単量体には、エピクロルヒドリン、エチレンオキシド及びアクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0105】
重合体であるエピクロルヒドリンゴムとしては、以下のものを挙げることができる。
・エピクロルヒドリン単独重合体、
・エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、
・エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、
・エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体。
【0106】
この中でも安定した中抵抗領域の導電性を示すことから、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が特に好適に用いられる。エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、重合度や組成比を任意に調整することで導電性や加工性を制御できる。
【0107】
高分子弾性体はエピクロルヒドリンゴムを主成分とするが、必要に応じてその他の一般的なゴムを含有されてもよい。
【0108】
その他の一般的なゴムとしては、以下のものを挙げることができる。
・EPM(エチレン・プロピレンゴム)、
・EPDM(エチレン・プロピレンゴム)、
・ノルボーネンゴム、NBR(ニトリルゴム)、
・クロロプレンゴム、
・天然ゴム、
・イソプレンゴム、
・ブタジエンゴム、
・スチレン−ブタジエンゴム、
・クロロスルフォン化ポリエチレン、
・ウレタンゴム、
・スチレン系ブロックコポリマー(SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン−ブロックコポリマー)、SEBS(スチレン・エチレンブチレン・スチレン−ブロックコポリマー)等)、
・シリコーンゴム。
【0109】
上記の一般的なゴムを含有する場合、その含有量は、高分子弾性体全量に対し1質量%以上50質量%以下であるのが好ましい。
【0110】
導電剤としては、導電性弾性体層の電気抵抗率のムラを小さくするという目的により、イオン導電剤を含有することがより好ましい。イオン導電剤が高分子弾性体の中に均一に分散し、導電性弾性体の電子抵抗率を均一化することにより、帯電部材を直流電圧のみの電圧印加で使用したときでも均一な帯電を得ることができる。
【0111】
イオン導電剤としては、例えば、LiClOやNaClO等の過塩素酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。イオン導電剤の中でも、環境変化に対して抵抗が安定なことから特に過塩素酸4級アンモニウム塩が好適に用いられる。
【0112】
イオン導電剤に加えて、導電性弾性体の電気抵抗にムラを生じさせない範囲で、電子導電性の導電剤を添加することができる。電子導電性の導電剤は、電子導電性の導電剤の担う導電性が、イオン導電剤の担う導電性よりも小さい範囲で使用することができる。すなわち、電子導電性の導電剤は、高分子弾性体にイオン導電剤のみを添加した場合の体積抵抗率に対して、電子導電性の導電剤を加えて添加した場合の体積抵抗率が1/2以上であるような配合割合で使用することができる。電子導電性の導電剤としては、例えば、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維が挙げられる。また、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉が挙げられる。また、適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウム等で電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体が挙げられる。また、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0113】
本発明において、これらの導電剤の配合量は導電性弾性体の体積抵抗率が、低温低湿(L/L:15℃/10%RH)、常温常湿(N/N:23℃/55%RH)、高温高湿(H/H:30℃/80%RH)の各環境中で、中抵抗領域になるような量が好ましい。本発明における中抵抗領域の体積抵抗率とは1×10〜1×1015Ω・cmである。
【0114】
導電性弾性体の体積抵抗率は、厚さ1mmのシートに成型した後、両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し、微小電流計を用いて200Vの電圧を印加して30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。微小電流計としては(株)アドバンテスト社製ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを用いた。
【0115】
導電性弾性体の体積抵抗率が上記の数値範囲内であれば、像担持体である感光体にピンホールがあった場合でも大電流がピンホールに一気に集中し、穴をより大きくしてしまうことを避け得る。また、穴以外の場所に電流が流れなくなって高精細なハーフトーン画像上に黒い帯となって帯電電位が不足した部分が顕在化することを抑制できる。更に、導電性弾性層中で印加電圧が降下することを抑制し得る。
【0116】
この他にも導電性弾性体には必要に応じて、可塑剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、分散剤及び離型剤等の配合剤を加えることも好ましい。
【0117】
導電性弾性体基層の成形方法としては、上記の導電性弾性体の原料を混合して、例えば、押し出し成形や射出成形、圧縮成形等の公知の方法が挙げられる。また、導電性弾性体基層は、導電性基体の上に直接導電性弾性体を成形して作製してもよいし、チューブ形状に成形した導電性弾性体を導電性基体に被覆させてもよい。なお、導電性弾性体基層の作製後に表面を研磨して形状を整えてもよい。
【0118】
導電性弾性体基層の形状は、出来上がった帯電部材と感光体との当接ニップ幅が帯電部材の長手方向の分布で出来るだけ均一になるよう、導電性弾性体基層の感光体側中央部の形状が端部よりも感光体側へ凸となっていることが好ましい。帯電部材の形状がローラ形状の場合には、ローラ中央部の直径が端部の直径よりも大きいクラウン形状となっていることが好ましい。また、出来上がったローラの当接ニップ幅が均一となるために、導電性弾性体基層ローラの振れが小さい方が好ましい。
【0119】
ローラの振れの測定値は、図2のように、導電性基体を回転軸として導電性弾性体基層ローラもしくは帯電部材を回転させ、回転軸と垂直に非接触レーザー測長器で測定した導電性弾性体基層の半径の最大値と最小値の差を値として求める。本発明において、非接触レーザー測長器としては(株)キーエンス製 LS−5000を用いた。導電性弾性体基層ローラもしくは帯電部材の軸方向に1cmピッチで前記半径の最大値と最小値の差を求め、その値の中で最大の値を導電性弾性体基層ローラもしくは帯電部材の振れの値とする。
【0120】
また、ローラの直径とは、同様に導電性基体を回転軸として導電性弾性体基層ローラもしくは帯電部材を回転させ、回転軸と垂直に非接触レーザー測長器で測定した導電性弾性体基層もしくは帯電部材の直径の最大値と最小値の平均とする。
【0121】
導電性弾性体基層ローラの軸方向中央部の直径と、弾性体の両端部から10mm中央側の部分の直径の値2つの平均との差を、クラウン量の値として求める。
【0122】
導電性弾性体基層ローラの振れの好ましい値は、ローラ中央部の直径の0.7%以下、より好ましくは0.5%以下である。本発明にかかる帯電部材のローラの直径は9mm程度が好ましいので、振れの値は具体的には63μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下とする。
【0123】
クラウン量の値は出来上がったローラのニップ幅が均一になるように決めるが、好ましくはローラ直径の0.1%以上5.0%以下、具体的には12μm以上600μm以下が好ましい。
【0124】
導電性弾性体のアスカーC硬度は、85°以下が好ましく、より好ましくは80°以下である。帯電部材と感光体との間のニップ幅が小さくなることにより、当接圧力が大きくなり過ぎることを抑制できる。また、表面への現像剤等の付着を抑制できる。
【0125】
なお、「アスカーC硬度」とは、日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠したアスカーC型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定した帯電部材の硬度である。測定は、常温常湿(23℃/55%RH)の環境中に12時間以上放置した帯電部材に対して該硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後に測定した値とする。
【0126】
アスカーC硬度を小さくするため、導電性弾性体に可塑剤を配合する。配合量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。可塑剤としては、例えばセバシン酸とプロピレングリコールの共重合体のような、エステル系の高分子可塑剤を用いることができる。このようなエステル系の可塑剤は、エピクロルヒドリンゴムとの極性が近く、比較的大量に配合することが可能であり、基層の硬度を小さく制御できるメリットがある。高分子可塑剤の分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。可塑剤が最表面層への染み出しを抑制するためである。
【0127】
導電性弾性体基層は、必要に応じて導電性支持体と接着剤を介して接着される。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を有することができる。
【0128】
接着剤のバインダーとしては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられ、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系等の公知の接着剤を用いることができる。
【0129】
導電剤としては、例えば、LiClOやNaClO等の過塩素酸塩、4級アンモニウム塩等のイオン導電剤が挙げられる。また、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀等の金属系の粉体や繊維が挙げられる。また、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉が挙げられる。また、適当な粒子の表面を酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化モリブデン、亜鉛、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、コバルト、鉄、鉛、白金、ロジウム等で電解処理、スプレー塗工、混合振とうにより付着させた粉体が挙げられる。また、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボン等のカーボン粉がある。これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0130】
導電性弾性体基層が完成した後に、その被覆層として前記した最表面層3を設ける。
【0131】
「帯電部材の表面粗さ」
本発明の帯電部材の表面粗さとしては、好ましくはJIS B0601(1982)による十点平均粗さRzで0.5μm以上40μm以下、Raで0.1μm以上5μm以下である。より好ましくは十点平均粗さRzで1μm以上30μm以下、Raで0.4μm以上6μm以下である。帯電ムラとして出力画像に表れ難く、また遅いプロセススピードでも放電が安定するからである。
【0132】
平均粗さ(Ra、Rz)の測定方法としては、JIS B0601(1982)の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE3400にて、軸方向3点×周方向2点の計6点について各々測定し、その平均値をとる。本発明においては、接触針は先端半径2μmのダイヤモンドとし、測定スピード0.5mm/s、カットオフλc0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ8.0mmとした。
【0133】
上記範囲の表面粗さを有する帯電部材とするため、導電性弾性体基層の表面粗さ、最表面層の膜厚、を調整する。導電性弾性体基層の十点平均粗さはRzで20μm以下、より好ましくは15μm以下とする。
【0134】
「帯電ローラの場合の電気抵抗」
また、本発明の帯電部材が特にローラ形状をしている場合の電気抵抗は、図6の様に、下記(a)乃至(b)の工程により求められる。
(a)画像形成装置に用いた場合の使用状態と同様の応力で、感光体と同じ曲率の円柱形金属に当接させる。
(b)使用状態と同様の回転速度で円柱形金属を回転させながら、直流電圧−200Vを印加したときの帯電部材の電気抵抗を測定する。
【0135】
なお、本発明では軸の両端にそれぞれ5Nの力を加えて、直径30mmの円柱形金属に当接させ、該円柱形金属の周速150mm/sで回転させた。
【0136】
帯電部材の好ましい抵抗は以下の通りである。
・温度30℃/湿度80%RHの高温高湿の環境下:1×10Ω以上。感光体にピンホールがあったとしても印加電流がリークせず、ハーフトーン画像上に帯電の濃度ムラが現れ難いからである。
・温度15℃/湿度10%RHの低温低湿の環境下:1×10Ω以下。帯電ムラによるハーフトーン画像上の細かい横白スジの発生が抑制できるからである。
・温度23℃/湿度55%RHの常温常湿の環境下:2×10Ω以上6×10Ω以下。
尚、帯電部材がローラ形状で無い場合には、1平方cmあたりの抵抗で表す。
【0137】
電気抵抗を上記範囲とするには、帯電部材の導電性弾性体基層及び最表面層の物性等を以下のように調整すればよい。帯電部材の導電性弾性体基層の体積抵抗率を1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下、最表面層の体積抵抗率を1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下、かつ最表面層の膜厚が10μm以上50μm以下。
【0138】
「画像形成装置」
図3に本発明の帯電部材の一つの実施の形態である帯電部材6を用いた反転現像方式の画像形成装置を示す。像担持体である感光体ドラム5は矢印の方向に回転しながら、帯電部材6によって一次帯電され、次に露光手段により露光11が照射され静電潜像が形成される。現像手段である現像ローラ4と弾性規制ブレード30との間で摩擦されて帯電され、薄層になったトナーは、感光体ドラム5の表面と接触することによって、静電潜像が現像され、可視化したトナー像が形成される。
【0139】
現像されたトナー像は、転写部材である転写ローラ8と感光体ドラム5の間の現像部において、感光体ドラム5から被転写部材である印刷メディア7に転写され、その後定着部材9で熱と圧力により定着され、永久画像となる。帯電前露光装置21によって感光体ドラムに残った潜像に露光し、感光体ドラムの電位がアース電位に戻る。転写されなかった転写残トナーは、クリーニングブレード10で大部分が回収される。クリーニングブレードをすり抜けた転写残トナーは、帯電部材6の表面に一部付着し、帯電部材と共に回転しポリイミドシートからなる帯電部材の表面を摩擦する部材12と帯電部材表面との間で摩擦され、過剰な電荷を除電される。除電されたトナーは帯電部材への付着力が弱くなり、帯電部材の回転に伴い再び感光体と接触し、感光体表面に移行し、現像部分で現像ローラ4の表面と接触し、新規なトナーに混合していく。
【0140】
現像ローラ4、帯電部材6、転写ローラ8のそれぞれには画像形成装置の電源18、19、20から、それぞれ電圧が印加されている。
【0141】
ここで、本発明の帯電部材である帯電部材6には、電源19から直流電圧が印加され被帯電体を帯電する。印加電圧に直流電圧を用いることで、電源のコストを低く抑えることができるという利点がある。また、交流電圧を印加したときに発生する帯電音が発生しないという利点がある。
【0142】
印加する直流電圧の絶対値は、空気の放電開始電圧と被帯電体表面(感光体表面)の一次帯電電位との和とすることが好ましい。通常、空気の放電開始電圧は600〜700V程度、感光体表面の一次帯電電位は300〜800V程度なので、具体的な一次帯電電圧としては900V以上1500V以下とすることが好ましい。
【0143】
また、フルカラー画像形成装置とする場合は、図4の様に感光体ドラム5a〜d、現像ローラ、転写ローラ8a〜d、帯電部材6a〜d、弾性規制ブレード、露光11a〜d、トナー容器31a〜d等をそれぞれ4色分用意して、直列に配置することもできる。
【0144】
電子写真プロセスカートリッジが使用される前には、図5の様に、使用者が使用前に除去可能な構成としたフィルム状の部材(トナーシール)27で現像ローラ4とトナーの接触を避けておくことが好ましい。
【実施例】
【0145】
以下に本発明を実施例をもって説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中の部は「質量部」を示す。
【0146】
(実施例1)
<帯電部材の作製>
(1)導電性弾性体基層の調製
・エピクロルヒドリンゴム 100部
(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)
・充填剤としての炭酸カルシウム 30部
・滑剤としてのステアリン酸亜鉛 1部
・研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン 4部
(商品名:シーストSO、東海カーボン製)
・酸化亜鉛 5部
・可塑剤としてのセバシン酸とプロピレングリコールの共重合体 5部
(質量平均分子量8000)
・老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾール 1部
・下記式(5)で示される過塩素酸4級アンモニウム塩 2部
【0147】
【化6】

【0148】
をオープンロールで20分間混練し、更に、
・加硫促進剤としてのDM(2−ベンゾチアゾリルジサルファイド) 1部
・加硫促進剤としてのTS(テトラメチルチウラムモノサルファイド) 0.5部
・加硫剤としての硫黄 1.2部
を加えて更に15分間オープンロールで混練した。
【0149】
これをゴム押し出し機を使用して、外径13mm、内径5.5mmの円筒形に押し出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶中を使用して、160℃の水蒸気中で40分間一次加硫し、導電性弾性体基層ゴム一次加硫チューブを得た。
【0150】
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を塗布し、80℃で30分間乾燥した後、120℃で1時間乾燥した。この導電性支持体を、前記導電性弾性体基層ゴム一次加硫チューブに挿入し、その後、電気オーブンの中で160℃で2時間、二次加硫と接着剤の硬化を行い、未研磨層を得た。
【0151】
この未研磨層のゴム部分の両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを231mmとした。その後、ゴム部分をグリーンカーボンランダム#80の回転砥石で研磨し、端部直径8.40mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状で表面の十点平均粗さRz10μm、振れ25μmの導電性弾性体基層を有する基層ローラを得た。
【0152】
導電性弾性体基層を有する基層ローラをN/N(常温常湿:23℃/55%RH)環境に24時間以上放置した後、導電性弾性体基層を有する基層ローラの抵抗を測定したところ、3.0×10Ωであった。また、ゴム部分のアスカーC硬度は74°であった。
【0153】
(2)最表面層塗工液の調製
シリカ粉末(レオシールQS−10 株式会社トクヤマ製)100部に対して、ジメチルジメトキシシラン1部を配合した。これをメカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200回転/分(以下:rpm)、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し70℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学株式会社製、揮発分1.5%)をシリカ粉末に対して100部投入し、70℃を保ちながら100分間混練りした。得られた導電性複合粒子1は比表面積が140m/g、DBP吸油量が90cm/100gであった。
【0154】
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業(株)製)1056部を、2304部のメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、固形分22質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200部に対して、
・前記導電性複合粒子1 5.72部
・シリコーンオイル 0.08部
(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
・イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体
11.79部
(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)
・ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体 10.75部
(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)
・下記式(6)で示される化合物 1部
(商品名:カオーライザー25、花王(株)製)
の割合で混合し、配合液を得た。
【0155】
【化7】

【0156】
上記配合液30リットルを、直径30cmのステンレス円筒容器に入れ、攪拌羽を300rpmで回して30分間攪拌した。この分散液30リットルを、直径0.8mmのガラスビーズを80%充填した内容量2リットルの横型ビーズミルに循環させて分散した。8mm/sの周速度、2リットル/分の循環量、ミルの外壁の温度22℃で回転させながら、8時間分散した。その後、循環しているビーズミルのタンクに平均粒径5μmの架橋ポリメチルメタクリレート(商品名:MBX−5、積水化成品工業(株)製)を、前記アクリルポリオール溶液200部に対して30.8部となるように配合した。更に3mm/sの周速度、2リットル/分の循環量、ミルの外壁の温度22℃で回転させながら、4時間分散した。分散後、液を取り出し、粘度を測定した。塗料の粘度は23℃の環境下で12.0mPa・sであった。
【0157】
この塗液を浸漬塗工用の塗工槽に入れ、12時間ゆっくり循環して液が安定したところで引き続き循環とオーバーフローを継続させながら前記導電性弾性体基層を有する基層ローラに塗工した。その際、下降速度は30mm/s、最下点で4秒間停止した後、初速25mm/s、最終速度(下端部が塗工される速度)2mm/sの条件になるように帯電部材の位置に対して一次関数となる速度勾配をつけて被塗工物の昇降を行った。これにより、最表面層の膜厚が帯電部材の塗工状態における上下でほぼ均一になるように塗工を行った。
【0158】
その後、30分間23℃にて風乾し、80℃のクリーンオーブンで30分間乾燥し、次に160℃のオーブンで60分間乾燥した。
【0159】
得られた帯電部材には、ローラの全画像領域に亘り均一な膜厚20μmの最表面層が形成された。こうして完成したローラを実施例1の帯電部材とした。
【0160】
帯電部材を23℃/50%RHの常温常湿の環境中に12時間放置した。放置後、23℃/50%RHの環境中で帯電部材の抵抗を測定したところ、1.0×10Ωであった。
【0161】
<帯電部材の評価>
「画像評価」
本評価で使用した電子写真式レーザプリンタはA4縦出力用のマシンで、記録メディアの出力スピードは、190mm/s、画像の解像度は1200dpiである。
【0162】
感光体はアルミニウムシリンダーに膜厚16μmのOPC層をコートした反転現像方式の感光ドラムであり、最外層は変性ポリアリレート樹脂をバインダー樹脂とする電荷輸送層である。
【0163】
トナーは、ワックスを中心に荷電制御剤と色素等を含むスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更に表面にポリエステル薄層を重合させシリカ微粒子等を外添した、ガラス転移温度60℃、質量平均粒径6.2μmの重合トナーである。
【0164】
一次帯電は、直流電圧−1150Vを帯電部材に印加した。帯電部材は、その表面をポリイミドシートからなる部材で摩擦されている。
【0165】
上記で得られた実施例1の帯電部材を用い、低温低湿(15℃/10%RH)の環境中DC帯電で、キヤノン(株)のカラーレーザーコピア用紙を使用して、画像の出力と耐久試験を行った。
【0166】
すなわち、初期に高印字率の画像を連続で出力してトナーを付着させ、ついで低印字率で大量の画像を出力して帯電部材を通電や摩擦に曝して劣化を加速して行わせ、最後に再び高印字率の画像を連続で出力して劣化した帯電部材にトナーを付着させる検討を行った。
【0167】
まず、ハーフトーン画像を連続して300枚出力した。ハーフトーン画像は、図7に示すような感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットで1ドット間隔に点を打った1点鎖線を、間隔1ドットかつ、感光体の回転方向で見ると印字したドットとドットの間隔とが互い違い位置する様に横線を描くような画像である。つづいて、301枚目から9999枚目までは、幅2ドット、間隔98ドットの横線を繰り返し描画する耐久用画像出力パターンを連続して出力した。その次に、10000枚目から10300枚目までは1枚目から300枚目と同じハーフトーン画像を出力した。
【0168】
1枚目、100枚目、200枚目、10000枚目、10100枚目、10200枚目、10300枚目、の画像に関して、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。測定の方法としては、画像中の印字領域中で最も濃度の濃い部分と、最も濃度の薄い部分とを測定し、その差を求めた。
【0169】
別の画像の目視結果とマクベス反射濃度との比較から、画像ランクを下記の様にAからEの五段階に分けると反射濃度計の値が、目視の画像ランクと良く相関した。また、耐久後の帯電部材表面汚れ量の目視による観察と、反射濃度計の値と画像の目視結果も良く相関した。
A:非常に良好で画像の濃度ムラが殆ど見えない
:画像濃度差が0.03未満
B:良好で画像の濃度ムラに注意しないと気が付かない
:画像濃度差が0.03以上0.05未満
C:画像の濃度ムラが見るが実用上問題なし
:画像濃度差が0.05以上0.7未満
D:画像の濃度ムラがはっきり見える
:画像濃度差が0.7以上0.10以内
E:画像の濃度ムラが非常にはっきり見える
:画像濃度差が0.10超過
【0170】
実施例1の帯電部材は初期から10300枚耐久後の出力のすべてに対して画像濃度ムラが殆ど見えず、濃度差が0.03未満で、耐久による帯電部材表面汚れに起因する画像不良は発生しなかった。
【0171】
(実施例2)
実施例1における式(6)で示される化合物の量を3部へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0172】
(実施例3)
実施例1における式(6)で示される化合物の量を10部へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0173】
(実施例4)
実施例1における式(6)で示される化合物の量を0.5部へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0174】
(実施例5)
実施例1における式(6)で示される化合物の量を0.1部へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0175】
(実施例6)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(7)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0176】
【化8】

【0177】
(実施例7)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(8)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0178】
【化9】

【0179】
(実施例8)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(9)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0180】
【化10】

【0181】
(実施例9)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(10)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0182】
【化11】

【0183】
(実施例10)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(11)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例10の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0184】
【化12】

【0185】
(実施例11)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(12)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例11の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0186】
【化13】

【0187】
(実施例12)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(13)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例12の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0188】
【化14】

【0189】
(実施例13)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(14)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例13の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0190】
【化15】

【0191】
(実施例14)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(15)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例14の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0192】
【化16】

【0193】
(実施例15)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(16)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例15の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0194】
【化17】

【0195】
(実施例16)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(17)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例16の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0196】
【化18】

【0197】
(実施例17)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(18)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例17の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0198】
【化19】

【0199】
(実施例18)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(19)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例18の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0200】
【化20】

【0201】
(実施例19)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記式(20)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例19の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0202】
【化21】

【0203】
(実施例20)
実施例1における式(6)で示される化合物を下記(21)で示される化合物へ変更した以外は、実施例1と同様にして実施例20の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0204】
【化22】

【0205】
(実施例21)
下記式(22)で表されるポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−3、積水化学工業)100部を、900部のメチルエチルルケトン(MEK)に溶解し、固形分10質量%の溶液とした。
【0206】
【化23】

【0207】
(上記式(22)中、質量平均分子量 Mw=2×10、平均繰り返し単位n:m:l=65:2:33)
【0208】
このブチラール溶液200部に対して、
・前記導電性複合粒子1 5.72部
・シリコーンオイル 0.08部
(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
・イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体
11.79部
(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)
・ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体 10.75部
(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)
・上記式(6)で示される化合物 1部
(商品名:カオーライザー25、花王(株)製)
の割合で混合して、配合液を得た。
【0209】
それ以外は実施例1と同様にして実施例21の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0210】
(実施例22)
実施例1におけるラクトン変性アクリルポリオールをスチレンを含まないポリマー(商品名:プラクセルEPA−2250、ダイセル化学工業(株)製)へと変更し、上記ポリオールの22%MIBK溶液を調整した。
【0211】
このアクリルポリオール溶液200部に対して、
・前記導電性複合粒子1 5.72部
・シリコーンオイル 0.08部
(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
・イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体
7.37部
(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)
・ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体 6.72部
(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)
・上記式(6)で示される化合物 1部
(商品名:カオーライザー25、花王(株)製)
の割合で混合して、配合液を得た。
【0212】
それ以外は、実施例1と同様にして実施例22の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0213】
(実施例23)
実施例1におけるイソシアネートの配合量を、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)を21.22部のみとした。
【0214】
それ以外は、実施例1と同様にして実施例23の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0215】
(比較例1)
実施例1において、式(6)で示される化合物に替えて下記式(23)で示される化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0216】
【化24】

【0217】
(比較例2)
実施例1において、式(6)で示される化合物に替えて下記式(24)で示される化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0218】
【化25】

【0219】
(比較例3)
実施例1において、バインダーに下記式(25)で示される樹脂(重量平均分子量Mw7000、平均繰り返し単位n=45)を5部追加し、式(6)の化合物で示される化合物(商品名:カオーライザー25、花王(株)製)を添加しなかった。それ以外は、実施例1と同様にして比較例3の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例1と同様の方法で評価した。
【0220】
【化26】

【0221】
以上の実施例と比較例の帯電部材の画像評価結果を表1にまとめて記す。
【0222】
【表1】

【0223】
(実施例24)
<帯電部材の作製>
(1)発泡導電性弾性体基層の調製
・エピクロルヒドリンゴム 100部
(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)
・充填剤としての炭酸カルシウム 10部
・滑剤としてのステアリン酸亜鉛 1部
・研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン 4部
(商品名:シーストSO、東海カーボン製)
・酸化亜鉛 5部
・可塑剤としてのセバシン酸とプロピレングリコールの共重合体 5部
(質量平均分子量8000)
・老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾール 1部
・下記式(5)で示されるの過塩素酸4級アンモニウム塩 4部
をオープンロールで20分間混練し、更に、
・加硫促進剤としてのDM(2−ベンゾチアゾリルジサルファイド) 1部
・加硫促進剤としてのTS(テトラメチルチウラムモノサルファイド) 0.5部
・加硫剤としての硫黄 1.2部
・発泡剤としてのアゾジカルボジアミド 20部
を加えて更に15分間オープンロールで混練した。
【0224】
これをゴム押し出し機を使用して、外径9mm、内径5.5mmの円筒形に押し出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶中を使用して、140℃ 0.7MPaの水蒸気中で20分間一次加硫、発泡させ、導電性発泡弾性体基層ゴム一次加硫チューブを得た。
【0225】
直径12.5mm、長さ250mm、中心部の穴の直径4mm、スポンジゴムの発泡径が平均約200μm、アスカーC硬度16度のチューブ状導電性スポンジゴム基層を作成した。
【0226】
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を塗布し、80℃で30分間乾燥した後、120℃で1時間乾燥した。この導電性支持体を、前記導電性弾性体基層ゴム一次加硫チューブに挿入し、その後、電気オーブンの中で140℃で30分間、二次加硫と接着剤の硬化を行い、未研磨発泡基層を得た。
【0227】
この未研磨発泡基層のゴム部分の両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを245mmとした。その後、ゴム部分をグリーンカーボンランダム#80の回転砥石で研磨し、端部直径11.40mm、中央部直径11.50mmのクラウン形状で振れ21μmの発泡導電性弾性体基層を有する発泡基層ローラを得た。
【0228】
発泡導電性弾性体基層を有する発泡基層ローラをN/N(常温常湿:23℃/55%RH)環境に24時間以上放置した後、発泡導電性弾性体基層を有する発泡基層ローラの抵抗を測定したところ、1.0×10Ωであった。また、ゴム部分のアスカーC硬度は17°であった。
【0229】
(2)導電性弾性体中間層チューブの調製
・エピクロルヒドリンゴム 100部
(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)
・充填剤としての炭酸カルシウム 30部
・滑剤としてのステアリン酸亜鉛 1部
・研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン 4部
(商品名:シーストSO、東海カーボン製)
・酸化亜鉛 5部
・可塑剤としてのセバシン酸とプロピレングリコールの共重合体 5部
(質量平均分子量8000)
・老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾール 1部
・上記式(5)で示される過塩素酸4級アンモニウム塩 2部
をオープンロールで20分間混練し、更に、
・加硫促進剤としてのDM(2−ベンゾチアゾリルジサルファイド) 1部
・加硫促進剤としてのTS(テトラメチルチウラムモノサルファイド) 0.5部
・加硫剤としての硫黄 1.2部
を加えて更に15分間オープンロールで混練し、ヒドリンゴム未加硫配合物を得た。
【0230】
外径11.20mm、長さ300mmかつ表面がポリテトラフルオロエチレンでコートされたSUS丸棒を準備した。クロスヘッドゴム押し出し機を使用して、前記ヒドリンゴム未加硫配合物と前記SUS丸棒とを外側のゴム層の外径が13mmとなるように同心円状に押し出し成型した。次にこのゴムを被覆したSUS棒を、加硫缶中を使用して、120℃の水蒸気中で20分間一次加硫した。加硫後、充分に冷却し、棒の端部へ圧縮空気を吹き付けながら、SUS棒からゴムを取り外し、長さを260mmに裁断し、円筒形のヒドリンゴムチューブを得た。
【0231】
このヒドリンゴムチューブを圧縮空気で膨らませながら、前記発泡基層ローラへ被覆した。この被覆済みローラを電気炉に入れ、160℃で1時間加硫を行い、スポンジ層とヒドリンゴムチューブ層を加硫接着した。得られたローラの端部を突っ切り、ゴム長231mmのローラとした。このローラのゴム部分をグリーンカーボンランダム#80の回転砥石で研磨し、端部直径12.20mm、中央部直径12.00mmのクラウン形状で振れ24μmの、発泡導電性弾性体基層と導電性弾性体中間層とからなる未塗工ローラを得た。
【0232】
この未塗工ローラをN/N(常温常湿:23℃/55%RH)環境に24時間以上放置した後、抵抗を測定したところ、3.0×10Ωであった。また、ゴム部分のアスカーC硬度は45°であった。
【0233】
実施例24の帯電部材は、AC+DC帯電方式で評価するため、帯電部材の抵抗を若干大きめにする必要がある。そこで、実施例1の最表面層塗工液の前記導電性複合粒子1の配合量を4.88部へ変更した以外は実施例1と同様にして、実施例24の最表面層塗工液を得た。
【0234】
この実施例24の最表面層塗工液を前記未塗工ローラに塗工することにより実施例24の帯電部材を得た。横断面と縦断面の概略図を図8に示す。
【0235】
実施例24の帯電部材は、AC+DC帯電方式で画像出力と耐久試験を行った。
【0236】
本評価で使用した電子写真式レーザプリンタの概略図を図9に示す。実施例1で使用した電子写真式レーザプリンタとは以下に示す4ヶ所の違いがある。
(1)帯電部材へ電圧を供給する電源をAC+DC電源へ変更した。−580VのDC電圧と2400Hzで1700Vppの交流電圧を印加した。
(2)ポリイミドシートからなる帯電部材の表面を摩擦する部材12は装着しなかった。
(3)前露光装置21は装着しなかった。
(4)感光体のOPC層厚みを26μmへと変更した。
【0237】
画像の耐久と出力画像ランクの評価は実施例1と同様に行った。実施例24の帯電部材は初期から10300枚耐久後の出力のすべてに対して画像濃度ムラが殆ど見えず、濃度差が0.03以内であった。耐久による帯電部材表面汚れに起因する画像不良は発生しなかった。
【0238】
(実施例25)
実施例24における式(6)で示される化合物の量を10部へ変更した以外は、実施例24と同様にして実施例25の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0239】
(実施例26)
実施例24における式(6)で示される化合物の量を0.1部へ変更した以外は、実施例24と同様にして実施例26の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0240】
(実施例27)
実施例24における式(6)で示される化合物を前記式(9)で示される化合物へ変更した以外は、実施例24と同様にして実施例27の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0241】
(実施例28)
実施例24における式(6)で示される化合物を前記式(18)で示される化合物へ変更した以外は、実施例24と同様にして実施例28の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0242】
(実施例29)
実施例24における式(6)で示される化合物を前記式(21)で示される化合物へ変更した以外は、実施例24と同様にして実施例29の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0243】
(比較例4)
実施例24において、式(6)で示される化合物に替えて前記式(23)で示される化合物を使用した以外は、実施例24と同様にして比較例4の帯電部材を得た。得られた帯電部材は実施例24と同様の方法で評価した。
【0244】
以上の実施例24から実施例29と比較例4の帯電部材の画像評価結果を表2にまとめて記す。
【0245】
【表2】

【0246】
DC帯電での耐久評価結果から、式(1)又は(2)で表わされる基を少なくとも一部の側鎖に有するポリマーを最表面層に有する帯電部材は、苛酷な出力条件で画像出力に使用しても、帯電部材の汚れが殆ど発生せず、良好な画像を出力することが判る。
【0247】
それに対して、比較例1は式(1)又は(2)で表わされる基を側鎖に含まないため、ハーフトーン画像を連続で出力するとすぐに帯電部材が汚れてしまい、良好な画像を出力することが出来なくなる。
【0248】
また比較例1と3には式(1)又は(2)で表わされる基ではないが、3級アミノ基が最表面層に含まれている。帯電部材の初期状態においてはハーフトーン画像を300枚程度連続で出力しても帯電部材表面がトナーで汚れることは無く、良好な画像を出力することが出来た。しかしながら、10000枚耐久後からハーフトーン画像を出力すると、帯電部材表面がトナーで汚れ易くなり、急激に出力画像の濃度均一性が悪化してくる。この理由としては、比較例1においては耐久によって最表面層のトリエチレンジアミン(TEDA)が失われてしまい、トナーの帯電性が劣化してしまうことが考えられる。また、比較例3に関しては、3級アミノ基がポリマーの主鎖にエステル結合で結合している。そのため、式(1)又は(2)で表わされる基と比較して、耐久による放電や放電生成物、或いは摩擦によりエステル結合が切れてしまい、3級アミノ基が帯電部材の表面から減少してしまうことにより、トナーの帯電性が劣化してしまうことが考えられる。
【0249】
比較例2の場合は、添加した3級アミン化合物がジオールであったため、最表面層を形成する段階で3級アミノ基が最表面層の内部にとどまり、帯電部材の表面に存在する密度が小さかったため、実施例に比較して初期から帯電部材の汚れが進行したと考えられる。
【0250】
また、AC+DC帯電の耐久評価結果から、DC帯電のみの耐久評価に比較してそれほど顕著に差がついた訳ではないが、本発明の帯電部材は苛酷な出力条件で画像出力に使用しても、帯電部材の汚れが殆ど発生せず、良好な画像を出力することが判る。
【0251】
それに対して比較例4の帯電部材は、耐久末期に急速に帯電部材の汚れが悪化した。比較例1と同様に、耐久によって最表面層のトリエチレンジアミン(TEDA)が失われてしまい、トナーの帯電性が劣化してしまうことが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】本発明の帯電部材の一つの実施の形態の断面を表す概略図を示す。(a)帯電部材の横断図、(b)帯電部材の断面図
【図2】本発明の帯電部材がローラ形状時の振れを測定する際の概略図を示す。
【図3】本発明の帯電部材を有する画像形成装置の概略図である。
【図4】本発明の帯電部材を有するフルカラーの画像形成装置の概略図である。
【図5】本発明の帯電部材を有する使用前のプロセスカートリッジの概略図である。
【図6】本発明の帯電部材がローラ形状時の抵抗測定の概略図である。
【図7】実施例の評価に用いたハーフトーン画像である。
【図8】本発明の帯電部材の一つの実施の形態の断面を表す概略図を示す。
【図9】本発明の帯電部材を有する画像形成装置の別の概略図である。
【符号の説明】
【0253】
1 導電性支持体
2 導電性弾性体基層
2b 発泡導電性弾性体基層
2c 導電性弾性体中間層
3 最表面層
4 現像ローラ
5 電子写真感光体(感光体ドラム)
6 帯電部材
7 印刷メディア(転写材)
8 転写ローラ
9 定着部材
10 クリーニングブレード
11 露光
12 帯電部材表面を摩擦する部材
18、19、20、36 電源
21 前露光装置
30 弾性規制ブレード
31 トナー容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、最表面層とを有する帯電部材であって、
該最表面層が、下記式(1)又は式(2)で表わされる基の少なくとも一方を側鎖に有するポリマーを含有していることを特徴とする帯電部材。
【化1】


(式(1)中、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
式(2)中、R、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。)
【請求項2】
前記式(1)中のR及びRがメチル基である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記式(2)中のR、R及びRがメチル基である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記最表面層のテトラヒドロフラン可溶分が、10質量%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項5】
前記最表面層が、導電性粒子を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項6】
前記最表面層が、絶縁性の粒子を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項7】
少なくとも、導電性基体と、該導電性基体に支持された導電性弾性体層と、該導電性弾性体層に支持された前記最表面層とを有する請求項1乃至6のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項8】
少なくとも、導電性基体と、該導電性基体の外周面を覆う導電性弾性体層と、該導電性弾性体層の外周面を覆う前記最表面層とを有し、ローラ形状である請求項1乃至7のいずれかに記載の帯電部材。
【請求項9】
前記式(1)又は式(2)で表わされる基の少なくとも一方を側鎖に有するポリマーが、
側鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素基を有するポリマーと、
イソシアネート基もしくはブロックされたイソシアネート基を複数有する化合物と、
下記式(3)又は式(4)で示される少なくとも一方の化合物と
を反応させてなるポリマーである請求項1乃至8のいずれかに記載の帯電部材。
【化2】


(式(3)中、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。
式(4)中、R、R及びRは、各々独立に炭素数1乃至7のアルキル基である。Rは炭素数1乃至6のアルキレン基又は−CHCHOCHCH−基である。Rは炭素数1乃至8のアルキレン基又は−(CHCHO)nCHCH−で表されるポリエチレンオキサイド基(但し、nは1乃至3の整数)である。)
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の帯電部材の表面を摩擦する部材を有し、該帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体を帯電することを特徴とする帯電装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の帯電部材を有し、該帯電部材に直流電圧と交流電圧を重畳した電圧を印加して被帯電体を帯電することを特徴とする帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−20336(P2009−20336A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183232(P2007−183232)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】