説明

帯電防止性ポリプロピレンフィルム

【課題】水性インキによる印刷性が優れ、かつ帯電防止性が優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供する。
【解決手段】ポリプロピレンフィルム100質量部に、下記A〜D化合物群の混合物であって溶解度パラメータ(SP値)が11.1〜12.0である帯電防止剤を0.1〜2.0質量部含有しており、
前記A〜D化合物群の混合物が、下記A〜C化合物群の2つ又は3つの化合物群の各々から選択される混合物(A〜C化合物群混合物)と、下記D化合物群から選択されるD化合物との混合物であり、該A〜C化合物群混合物とD化合物との質量比が、(A〜C化合物群混合物)/D化合物=40/60〜80/20である帯電防止性ポリプロピレンフィルムである。
A化合物群:特定のグリセリン脂肪酸モノエステル
B化合物群:特定のジグリセリン脂肪酸部分エステル
C化合物群:特定のソルビタン脂肪酸部分エステル
D化合物群:特定のアミンエステル化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性ポリプロピレンフィルムに関し、詳しくは、帯電防止性が優れ、かつ水性インキとの接着性、転移性の優れたポリプロピレンフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンフィルムは、構造中に極性基を保持していないため、帯電しやすく、そのままで包装フィルムに用いた場合、埃の付着やフィルム同士のブロッキングが生じやすいことからほぼ例外なく帯電防止剤が使用されている。帯電防止剤はフィルム表面にブリードしていなければ効果が得られず、ブリードした帯電防止剤は印刷インキとフィルムとの間に存在する為、印刷性を悪化させる原因や、ブリード過多によるフィルムの透明性を損なう原因となり品質上問題となる。特に、水性インキで印刷した場合は帯電防止剤により印刷性が阻害され、インキの滲み、接着性不良を引き起こす。
【0003】
水性インキの接着性を阻害しないポリプロピレンフィルム用帯電防止剤として、ポリオキシエチレンアルキルアミド、多価アルコールの脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルケニルジエタノールアミドと高級脂肪酸のエステル、アルキルジエタノールアミンと高級脂肪酸のエステル等を添加することが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)が、インキの滲み、インキの転移といった印刷性の面において、未だ満足できるものではない。
【特許文献1】特開平7−164608号公報
【特許文献2】特開2002−210901号公報
【特許文献3】特開2003−268166号公報
【特許文献4】特開2005−187633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、帯電防止性が良好で、且つ水性インキに対する印刷性の良好なポリプロピレンフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、溶解度パラメータ(以下、SP値と略すこともある。)が11.1〜12.0の値を持つ特定の帯電防止剤を0.1〜2.0質量部、ポリプロピレンフィルム中に添加することにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
1.ポリプロピレンフィルム100質量部に、下記A〜D化合物群の混合物であって溶解度パラメータ(SP値)が11.1〜12.0である帯電防止剤を0.1〜2.0質量部含有しており、
前記A〜D化合物群の混合物が、下記A〜C化合物群の2つ又は3つの化合物群の各々から選択される混合物(A〜C化合物群混合物)と、下記D化合物群から選択されるD化合物との混合物であり、該A〜C化合物群混合物とD化合物との質量比が、(A〜C化合物群混合物)/D化合物=40/60〜80/20であることを特徴とする帯電防止性ポリプロピレンフィルム。
【0007】
A化合物群:
グリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が10.5〜11.5であるグリセリン脂肪酸モノエステル
【0008】
B化合物群:
ジグリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が11.0〜12.5であるジグリセリン脂肪酸部分エステル
【0009】
C化合物群:
ソルビタンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が9.0〜13.0であるソルビタン脂肪酸部分エステル
【0010】
D化合物群:
炭素数12〜18 のアルキルアミン又はアルケニルアミン1モルに対し、エチレンオキサイドを2〜3モル付加して得ることができるポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアルケニルアミンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が9.0〜10.0であるアミンエステル化合物。
【0011】
2.前記ポリプロピレンフィルムが、二軸延伸法にて得られ、少なくとも片面に水性インキによる印刷がなされていることを特徴とする前記1に記載の帯電防止性ポリプロピレンフィルム。
【発明の効果】
【0012】
本発明の帯電防止剤を用いることにより、水性インキによる印刷性の優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の帯電防止剤の構成成分について説明する。
本発明のA化合物群は、グリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステル化反応、又はグリセリンと構成脂肪酸の炭素数が12〜18のグリセリン脂肪酸トリエステルのエステル交換反応によって得られる。帯電防止効果面から、モノエステル含量は95質量%以上が好ましい。モノエステル含量が95質量%以上のグリセリン脂肪酸エステルは、上記エステル化反応、又はエステル交換により得られる反応品を分子蒸留、クロマト分別等の方法により得ることができる。
【0014】
炭素数12〜18の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸などが挙げられる。かかるグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノラウレート(SP値:11.46)、グリセリンモノミリステート(SP値:11.18)、グリセリンモノパルミテート(SP値:10.95)、グリセリンモノステアレート(SP値:10.76)、グリセリンモノオレート(SP値:10.64)、グリセリンモノイソステアレート(SP値:10.76)などが挙げられる。脂肪酸の炭素数が12未満の脂肪酸は、加工時の揮発の問題があり、また18を超えると、フィルムのブリード白化の問題が生じて好ましくない。
これらは単独又は混合物で用いることができる。
【0015】
本発明のB化合物群はジグリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とをエステル化反応し、反応液を分子蒸留、クロマトグラフィー等の精製方法を用いることで得ることができる。
炭素数12〜18の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
【0016】
かかるジグリセリン脂肪酸エステルとしてはジグリセリンモノラウレート(SP値:12.17)、ジグリセリンモノミリステート(SP値:11.88)、ジグリセリンモノパルミテート(SP値:11.63)、ジグリセリンモノステアレート(SP値:11.42)、ジグリセリンモノオレート(SP値:11.32)、ジグリセリンモノイソステアレート(SP値:11.37)などが挙げられる。
脂肪酸の炭素数が12未満の脂肪酸は、加工時の揮発の問題があり、また18を超えると、フィルムのブリード白化の問題が生じて好ましくない。
これらは、単独又は混合物で用いることができる。
【0017】
本発明のC化合物群は、ソルビタンと炭素数12〜18の脂肪酸とをエステル化反応し、クロマトグラフィー等の精製方法を用いることで得ることができる。炭素数12〜18の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。かかるソルビタン脂肪酸エステルとしてはソルビタンモノラウレート(SP値:12.81)、ソルビタンモノミリステート(SP値:12.43)、ソルビタンモノパルミテート(SP値:12.12)、ソルビタンモノステアレート(SP値:11.85)、ソルビタンモノオレート(SP値:11.76)、ソルビタンモノイソステアレート(SP値:11.80)、ソルビタンジラウレート(SP値:10.75)、ソルビタンジミリステート(SP値:10.51)、ソルビタンジパルミテート(SP値:10.32)、ソルビタンジステアレート(SP値:10.17)、ソルビタンジオレート(SP値:10.03)、ソルビタンジイソステアレート(SP値:10.10)、ソルビタントリラウレート(SP値:9.80)、ソルビタントリミリステート(SP値:9.65)、ソルビタントリパルミテート(SP値:9.54)、ソルビタントリステアレート(SP値:9.45)、ソルビタントリオレート(SP値:9.28)、ソルビタントリイソステアレート(SP値:9.37)などが挙げられる。
【0018】
脂肪酸の炭素数が12未満の脂肪酸は、加工時の揮発の問題があり、また18を超えると、フィルムのブリード白化の問題が生じて好ましくない。
これらは単独又は混合物で用いることができる。
【0019】
本発明のD化合物群は、炭素数12〜18のアルキルアミン又はアルケニルアミン1モルに対し、エチレンオキサイドを2〜3モル付加して得ることができるポリオキシエチレンアルキルアミンまたはポリオキシエチレンアルケニルアミン1モルと脂肪酸(炭素数12〜18)1モルとのエステル化反応によって得ることのできるアミンエステル化合物である。このとき、アミンエステル化合物の含量は、GPC分析で50%以上であることが望ましい。
【0020】
かかるアミンエステル化合物としてはラウリルジエタノールアミンモノラウレート(SP値:9.56)、ラウリルジエタノールアミンモノミリステート(SP値:9.51)、ラウリルジエタノールアミンモノパルミテート(SP値:9.46)、ラウリルジエタノールアミンモノステアレート(SP値:9.41)、ラウリルジエタノールアミンモノオレート(SP値:9.32)、ミリスチルジエタノールアミンモノラウレート(SP値:9.51)、ミリスチルジエタノールアミンモノミリステート(SP値:9.46)、ミリスチルジエタノールアミンモノパルミテート(SP値:9.41)、ミリスチルジエタノールアミンモノステアレート(SP値:9.37)、ミリスチルジエタノールアミンモノオレート(SP値:9.28)、パルミチルジエタノールアミンモノラウレート(SP値:9.46)、パルミチルジエタノールアミンモノミリステート(SP値:9.41)、パルミチルジエタノールアミンモノパルミテート(SP値:9.37)、パルミチルジエタノールアミンモノステアレート(SP値:9.33)、パルミチルジエタノールアミンモノオレート(SP値:9.25)、ステアリルジエタノールアミンモノラウレート(SP値:9.41)、ステアリルジエタノールアミンモノミリステート(SP値:9.37)、ステアリルジエタノールアミンモノパルミテート(SP値:9.33)、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(SP値:9.30)、ステアリルジエタノールアミンモノオレート(SP値:9.22)、オレイルジエタノールアミンモノラウレート(SP値:9.32)、オレイルジエタノールアミンモノミリステート(SP値:9.28)、オレイルジエタノールアミンモノパルミテート(SP値:9.25)、オレイルジエタノールアミンモノステアレート(SP値:9.22)、オレイルジエタノールアミンモノオレート(SP値:9.15)などが挙げられる。
【0021】
上記アミンエステル化合物のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が12未満の場合、フィルムがブロッキングしやすくなり、加工時の揮発性の問題が生じる。また、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が18を超えると、フィルムの白化が問題となる。
【0022】
ポリオキシエチレンの付加モル数が2未満だと帯電防止効果が落ち、3を超えるとフィルムがブロッキングしやすくなる。
これらは、単独又は混合物で用いることができる。
【0023】
水性インキの印刷性は、インキ中のバインダー樹脂と二軸延伸ポリプロピレンフィルムとの相溶性に起因し、さらに帯電防止剤使用時には帯電防止剤とバインダー樹脂との相溶性に依存する。したがって、A〜D化合物群の混合物のSP値が11.1〜12.0の値を持つ帯電防止剤であって、前記A〜D化合物群の混合物が、A〜C化合物群混合物と、D化合物群から選択されるD化合物との混合物であり、該A〜C化合物群混合物とD化合物との質量比が、(A〜C化合物群混合物)/D化合物=40/60〜80/20である帯電防止剤の使用は、バインダー樹脂との相溶性も阻害せずに、さらには、二軸延伸ポリプロピレン樹脂とのSP値の差から適度なブリードがあり、高い帯電防止効果が得られる。
【0024】
本発明について、A〜C化合物群の1つの化合物群から選択される化合物とD化合物との混合物によって、A〜D化合物群の混合物が構成されても本発明の効果は得られない。
本発明の界面活性剤がA〜C化合物群の2つ又は3つの化合物群から選択された場合、選択された化合物群の界面活性剤が、化合物群毎に配合比10質量%以上であることが好ましい。
【0025】
溶解度パラメータは、FEDORSの方法(R.FEDORS,POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol14,No.2)に従って計算した。
FEDORSらは、溶解度パラメーター(σ)は、凝集エネルギー密度(Ecoh)とモル分子容(V)の両方が、置換基の種類及び数に依存していると考え、以下の式と表1に示す定数を用いる。
【0026】
【数1】

【0027】
【表1】

【0028】
上記の式及び定数を使用し溶解度パラメーターを算出すると、グリセリンモノステアレート:10.76、ジグリセリンモノラウレート:12.17、ソルビタンモノステアレート:11.85、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート:9.52となる。グリセリンモノステアレート及びステアリルジエタノールアミンモノステアレートは、帯電防止効果は高いが、SP値が低いため、水性インキによる印刷性が悪い傾向を示す。そこで、ジグリセリンモノラウレートやソルビタンステアレートなどSP値が高い多価アルコールモノカルボン酸エステルを併用することで上記問題点が改善される。
【0029】
本発明のD化合物群から選択される1又は2以上の界面活性剤が60質量%を超えると溶解度パラメーターが11.1以下になり、印刷性の阻害がみられ、20質量%未満では帯電防止効果が落ち好ましくない。したがって、(A,B,C化合物群の中から選択される2つ又は3つの化合物群の各々から選択される混合物)/D化合物=40/60〜80/20の比率が印刷性の阻害が無く、高い帯電防止性能を有し好ましい。
【0030】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対する添加量は、樹脂100質量部に対し0.1〜2.0質量部である。更に好ましくは、0.5〜1.5質量部である。添加量が0.1質量部未満の場合、帯電防止効果が弱く、2.0質量部を超える場合はブリード白化がみられ、透明性が阻害される。
【0031】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、充填剤、アンチブロッキング剤、本発明外の界面活性剤などの各種添加剤を添加することができる。これら添加剤としては、公知のものを特別の制限なく使用できる。
【0032】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを構成するプロピレン重合体は、通常密度が0.890〜0.930g/cmで、MFRが0.5〜60g/10分のプロピレン単独重合体若しくは、プロピレンと少量の(5モル%以下)α−オレフィンとのランダムあるいは、ブロック共重合体である。
【0033】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、単層フィルムでも、2種類以上の樹脂を積層した多層フィルムでもかまわない。
【0034】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムの少なくとも一方の表面が水性インキで印刷される。二軸延伸ポリプロピレンフィルム表面への印刷は、通常使用されるスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などで行うことができる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムに印刷を行う場合は、印刷に先立ちフィルム表面をコロナ表面処理やフレーム表面処理などの表面活性化処理を施すことにより、インキの接着性を向上させることができる。このため、コロナ表面処理などでフィルム表面の活性化処理を行うことが望ましい。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.帯電防止剤
A成分:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン社製リケマールS−100Aを用いた。ガスクロ組成からSP値を算出したところ、10.82であった。)
B成分:ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン社製ポエムDL−100を用いた。ガスクロ組成からSP値を算出したところ、12.79であった。)
C成分:ソルビタンモノステアレート(理研ビタミン社製リケマールS−300Wを用いた。ガスクロ組成からSP値を算出したところ、11.79であった。)
D成分:ステアリルジエタノールアミンモノステアレート(松本油脂社製エレックス334を用いた。ガスクロ組成からSP値を算出したところ、9.80であった。)
【0036】
ポリオレフィンとしては、メルトインデックス2.0/10分、結晶化度98.4%のポリプロピレンを用いた。帯電防止剤の配合割合は、表2に示した通りに添加し、異方向二軸押出機により溶融混練し、T−ダイよりフィルムを得た。このフィルムを同時二方向延伸機により延伸し(延伸倍率3.5×3.5)、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。
この延伸フィルムに対し、濡れ指数40となるようにコロナ表面処理を行い、グラビア印刷機を用いて水性インキ(東洋インキ社製JW250アクワエコール)を印刷し、インキの接着性、印刷性およびフィルムの帯電防止性(表面固有抵抗)を調べた。印刷性、インキの接着性については印刷後24時間経過後に評価を行なった。また、帯電防止性、ブリードについてはフィルム成形後24時間後に測定した。各項目の測定方法は、以下に示した。
【0037】
(1)インキの接着性
印刷面にセロハン粘着テープを貼り、上から5回擦り、完全に密着させる。その後、セロハン粘着テープを一気に剥ぎ取り、印刷面のインキの残存状態によりインキの接着性を判断した。
評価基準は以下の通りである。
【0038】
◎:インキ残存面積が95%以上
○:インキ残存面積が85%以上〜95%未満
△:インキ残存面積が75%以上〜85%未満
×:インキ残存面積が75%未満
【0039】
(2)インキの印刷性
150ライン/インチの印刷面を顕微鏡にて観察し、各ラインの印刷性(抜け、はじき、広がり)について以下の基準により判断した。
【0040】
◎:インキの抜け、はじき、広がりの生じる割合が10%未満
○:インキの抜け、はじき、広がりの生じる割合が10%以上〜30%未満
△:インキの抜け、はじき、広がりの生じる割合が30%以上〜50%未満
×:インキの抜け、はじき、広がりの生じる割合が50%以上
【0041】
(3)表面固有抵抗
JIS−K6911に準じて測定を行なった。
【0042】
(4)ブリード性
フィルム表面のブリードについて、感覚評価を行なった。
【0043】
◎:べたつきなし
○:僅かにべたつきあるも、実用上問題なし
△:ややべたつき、実用上問題あり
×:べたつく
上記測定結果を表2に示した。
【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンフィルム100質量部に、下記A〜D化合物群の混合物であって溶解度パラメータ(SP値)が11.1〜12.0である帯電防止剤を0.1〜2.0質量部含有しており、
前記A〜D化合物群の混合物が、下記A〜C化合物群の2つ又は3つの化合物群の各々から選択される混合物(A〜C化合物群混合物)と、下記D化合物群から選択されるD化合物との混合物であり、該A〜C化合物群混合物とD化合物との質量比が、(A〜C化合物群混合物)/D化合物=40/60〜80/20であることを特徴とする帯電防止性ポリプロピレンフィルム。
A化合物群:
グリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が10.5〜11.5であるグリセリン脂肪酸モノエステル
B化合物群:
ジグリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が11.0〜12.5であるジグリセリン脂肪酸部分エステル
C化合物群:
ソルビタンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が9.0〜13.0であるソルビタン脂肪酸部分エステル
D化合物群:
炭素数12〜18 のアルキルアミン又はアルケニルアミン1モルに対し、エチレンオキサイドを2〜3モル付加して得ることができるポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアルケニルアミンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルで、かつSP値の範囲が9.0〜10.0であるアミンエステル化合物。
【請求項2】
前記ポリプロピレンフィルムが、二軸延伸法にて得られ、少なくとも片面に水性インキによる印刷がなされていることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性ポリプロピレンフィルム。

【公開番号】特開2008−184478(P2008−184478A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16612(P2007−16612)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】