説明

帯電防止性ポリ乳酸系フィルムおよびシート

【課題】 ポリ乳酸系フィルムおよびシートに帯電防止性を付与する。
【解決手段】 ポリ乳酸系重合体に下記化合物群(1)〜(3)から選ばれる少なくとも1種類の非イオン系帯電防止剤を0.1〜10重量部含有したことを特徴とする帯電防止性ポリ乳酸系フィルムおよびシート。
(1)エチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエルスリット・ソルビット等の多価アルコールおよび/またはその脂肪酸エステル(2)ポリエチレングリコールおよび/またはその脂肪酸エステル(3)高級アルコール・多価アルコール・アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、またはポリプロピレングリコール付加物

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、帯電防止性を有する生分解性のフィルムおよびシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年環境問題の高まりから、プラスチック製品が自然環境中に棄却された場合、経時的に分解・消失し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが求められ始めている。
【0003】従来のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なうといった問題点が指摘されていた。
【0004】そこで、今日注目を集めているのは、生分解性プラスチック材料である。生分解性プラスチックは、土壌中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に崩壊・分解が進行し、最終的に微生物の作用により無害な分解物となることが知られている。
【0005】実用化され始めている生分解性プラスチックとしては、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、およびこれらのブレンド体等がある。これらの生分解性プラスチックはそれぞれ固有の特徴を有し、これらに応じた用途展開が考えられるが、この中でも、脂肪族ポリエステルの一つであるポリ乳酸系重合体は、他の生分解性プラスチックと比較して、透明性・剛性・耐熱性・加工性等が優れていることから、硬質ポリ塩化ビニル(PVC)・ポリスチレン・ポリエチレンテレフタレート(PET)が使用されてきた透明フィルムおよびシート分野への展開が図られようとしている。
【0006】ところが、ポリ乳酸系重合体から作られたフィルムおよびシートは、PVC等の汎用プラスチックでも見られるように、固有抵抗が大きいために摩擦などにより容易に帯電して、次のような欠陥を有していた。
【0007】人が触れた際にショックを受る。火花放電により火災の原因になる。フィルム同士や他の物体に対する反発やくっつきから加工作業性や使用時取り扱い性を低下させる。塵埃の付着により美観や衛生感を損ね商品価値を低下させる。
【0008】汎用プラスチックフィルムおよびシートにおいては、かかる問題点を解決するために、押出工程において帯電防止剤を練り込んだり、表面に塗布するという改良技術が広く採用されている。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】ところが、ポリ乳酸系重合体は押出機中における熱安定性が汎用プラスチックに比べて著しく劣り、分子量低下を引き起こしやすい。通常、帯電防止剤の添加は分子量低下をさらに助長するため、生産安定性の低下、機械物性をはじめとする製品品質の低下やばらつきを生じる。このため、押出工程における帯電防止剤の練り込みは実質上困難であった。
【0010】帯電防止剤は、カチオン系・アニオン系・両性イオン系・非イオン系に大別され、加工法や用途に応じ使い分けがされている。汎用プラスチックフィルムおよびシート用途で、最も一般的に使われるのは、効果と経済性のバランスの良いアニオン系であり、代表的には、1)脂肪酸塩類、2)高級アルコール硫酸エステル塩類、3)液体脂肪油硫酸エステル塩類、4)脂肪族アミンおよび脂肪族アミドの硫酸塩類、5)脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、6)二塩基性脂肪酸エステル塩類、7)脂肪酸アミドスルホン酸塩類、8)アルキルアリールスルホン酸塩類、9)ホルマリン縮合のナフタレンスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0011】また、熱に弱く高コストであるが帯電防止性が高いカチオン系としては、1)脂肪族アミン塩類、2)四級アンモニウム塩類、3)アルキルピリジニウム塩類等が挙げられる。さらには、アニオン系の弱点である耐熱性をやや改良した両性イオン系としては、1)イミダゾリン誘導体類、2)カルボン酸アンモニウム類、3)硫酸エステルアンモニウム類、4)リン酸エステルアンモニウム類、5)スルホン酸アンモニウム類等があげられる。
【0012】これらのイオン性帯電防止剤は、汎用プラスチックフィルムおよびシート用途において、非常に広範かつ大量に使用されているが、本発明のポリ乳酸系重合体には、好適に用いることができない。なぜなら、狙いとする帯電防止効果は得られるものの、これらを練り込むがために、ポリ乳酸系重合体が押出機中で、著しい熱分解を起こし、分子量低下を引き起こすからである。分子量低下は、生産安定性の低下、機械物性・耐熱性をはじめとする製品品質の低下やばらつき、さらには、流れむらの発生等外観の低下につながり、実用上非常に好ましくない。
【0013】また、フィルムおよびシート表面に帯電防止剤を塗布する方法は、次のような問題点がある。塗布設備が必要で、工程も増えるため製造コストが上がる。液状の帯電防止剤が周りに飛散するため、作業環境の維持管理が繁雑である。べとつき・ブルーミンブ・干渉縞・ブロッキング等の品質上の問題が発生しやすい。
【0014】上述したように、生分解性材料であるポリ乳酸系フィルムおよびシートに帯電防止性を付与することは困難であった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0016】本発明の本旨は、ポリ乳酸系重合体に下記化合物群(1)〜(3)から選ばれる少なくとも1種類の非イオン系帯電防止剤を0.1〜10重量部含有したことを特徴とする帯電防止性ポリ乳酸系フィルムおよびシートである。
【0017】(1)エチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエルスリット・ソルビット等の多価アルコールおよび/またはその脂肪酸エステル(2)ポリエチレングリコールおよび/またはその脂肪酸エステル(3)高級アルコール・多価アルコール・アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、またはポリプロピレングリコール付加物
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリ乳酸系重合体とは、ポリ乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、もしくはこれらの組成物であり、本発明の効果を阻害しない範囲で他の高分子材料が混入されても構わない。また、成形加工性、フィルムおよびシートの物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、顔料、蛍光剤などの添加剤、改質剤を添加することも可能である。
【0019】乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸が挙げられ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが代表的に挙げられる。
【0020】これらの重合法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知のいずれの方法を採用することも可能であり、さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。重合体の重量平均分子量としては、50,000から1000,000の範囲が好ましく、かかる範囲を下まわると実用物性がほとんど発現されないなどの問題を生じる。また上まわる場合には、溶融粘度が高くなりすぎ成形加工性に劣る。また、熱安定性を向上させるためには、残存モノマーや触媒が少ない方が好ましい。
【0021】かかるポリ乳酸系重合体は、本発明においては、押出機を用い口金より溶融押出され、フィルムおよびシートに成形される。特殊なケースとして、溶融状態を経るならば、ペレットプレス成形やカレンダー成形されても構わない。
【0022】ポリ乳酸系重合体の押出しに際しては、押出し機中での熱分解(加水分解)を防止するため、あらかじめ原料を十分に乾燥しておくことが望ましい。
【0023】フィルムを得る場合には、Tダイ・Iダイ・丸ダイ等から溶融押出しした平面状物または円筒状物を冷却キャストロールや水、圧空等により急冷し、必要に応じ、引き続いてロール法・テンター法・チューブラー法等により一軸または二軸に延伸する。また、丸ダイから溶融押出しし、まだ溶融状態にある円筒状物に空気を吹き込んで薄肉化する、いわゆるインフレーション法も望ましく採用することができる。
【0024】さらには、特表平5−508819号、特開平6−23836号に開示されているようなフィルムの延伸・熱固定技術を用いれば、透明性・機械強度・剛性・熱寸法安定等の卓越したポリ乳酸系フィルムを得ることができる。フィルムの厚みは、用途に応じ、10〜250μmの範囲で決められる。
【0025】シートを得るのに最も好ましいのは、Tダイを用い平面状に押出して、温調装置を備えた金属キャストロールにより急冷する方法であり、必要に応じシートをキャストロールと別の金属ロールでニップすることにより、透明性・平滑性が非常に優れたポリ乳酸系シートを得ることができる。シートの厚みは、用途に応じ、概ね250μm〜1mmの範囲で決められる。
【0026】用いられる押出機としては、単軸・同方向2軸・異方向2軸押出機等、既知のあらゆる形態を使用することができる。所定の添加剤を配合した原料をあらかじめ、混練効果の高い同方向2軸押出機を用いペレット化しておき、しかる後に、フィルム・シート押出機に供するのが最も一般的な方法であるが、添加剤等をフィルム・シート押出時に直接原料に混ぜても構わない。
【0027】押出機の設定温度は、ポリ乳酸系重合体の化学組成や分子量により適宜決定されるが、170〜230℃の範囲が好ましい。170℃以下では、融点が175℃であるホモポリマーは溶融せず、230℃以上では、熱分解が顕著になる。
【0028】本発明においては、ポリ乳酸系重合体を溶融押出ししてフィルムおよびシートを成形する際に、ポリ乳酸系重合体に特定の帯電防止剤を所定量添加し、成形体中にこれらを練り込む。
【0029】ポリ乳酸系重合体の熱分解を最小限におさえ、実用的なフィルム・シートを作るために、本発明において最も重要な点は、下記(1)〜(3)に示す非イオン系帯電防止剤を採用することである。
【0030】(1)エチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエルスリット・ソルビット等の多価アルコールおよび/またはその脂肪酸エステル(2)ポリエチレングリコールおよび/またはその脂肪酸エステル(3)高級アルコール・多価アルコール・アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、またはポリプロピレングリコール付加物(1)の多価アルコールは、そのままでも使用することができるが、ポリ乳酸系重合体に対する相溶性を上げるために、脂肪酸とのエステル化反応によって脂肪酸エステルとすることがより望ましい。脂肪酸は、特に限定されないが、ラウリン酸(C12)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、ベヘン酸(C22)等の飽和脂肪酸や、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸等が、コスト上有利に用いられる。また、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸、イワシ油脂肪酸等、天然物由来の混合脂肪酸を用いることもできる。
【0031】多価アルコールがこれら脂肪酸でエステル化される場合には、多価アルコールの分子構造単位当たり少なくとも1つの水酸基が残存することが好ましい。すべての水酸基がエステル化されると、特にエチレングリコール、グリセリンの場合において、帯電防止効果が十分に発現しない。
【0032】また、ソルビットをエステル化する際には、同時に分子内で脱水して、ソルビタンとなるので、得られる化合物はソルビタンエステルとなる。
【0033】多価アルコールの脂肪酸エステルは、エステル交換反応によっても製造される。一般に良く知られているモノグリセライドの場合は、動植物性油脂にグリセリンを加え、触媒と共に加熱することによって得られる。
【0034】(2)のポリエチレングリコールは、エチレンオキサイドの繰り返し単位が、4〜1000のものが好ましい。ポリエチレングリコールは、帯電防止剤としてそのままでも使用することができるが、さらに相溶性を上げる等の目的で脂肪酸エステル化する場合は、必ずしも末端の水酸基を残存させる必要はない。
【0035】(3)の高級アルコールは、炭素数6以上のものであれば、特に限定されないが、工業的に入手しやすい代表的なものとして、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の第1アルコールを挙げることができる。マッコウアルコールやホホバアルコール等の混合物や、牛脂アルコール、ヤシアルコール等の還元アルコールを用いることもできる。
【0036】また、多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリット、ソルビット、ショ糖等が挙げられる。アルキルフェノールとしては、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール、オクチルクレゾール等が挙げられる。
【0037】(3)の化合物においては、これらの高級アルコール・多価アルコール・アルキルフェノールとポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールが付加物を作るが、反応としては、2つの方法が挙げられる。すなわち、両者の脱水エーテル化反応と、前者に対する後者モノマーつまりエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応である。工業的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応が、より好適に用いられる。付加されるエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加モル数は、1〜100、好ましくは1〜20の範囲で決められる。
【0038】また、帯電防止剤はあらかじめ十分乾燥しておくことが望ましい。乾燥が不十分であると、ポリ乳酸系重合体の熱分解を惹起する。
【0039】本発明においては、以上のような帯電防止剤の中から1種以上選択して、ポリ乳酸系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部配合する。かかる範囲を下回る場合は、帯電防止効果が十分発現されない。具体的には1014台であるポリ乳酸系フィルムおよびシートの表面抵抗率が5×1013以下に改良されることが重要である。表面抵抗率が5×1013以下になることにより、工程においてフィルムおよびシートに静電気が生じても、電荷が速やかに拡散する。
【0040】逆に上回る場合は熱分解が生じ、粘度低下や相溶化不良を引き起こす。このため、押出しが困難になり、フィルム・シートの外観不良や、シーティング不良が発生する。具体的には、窒素雰囲気中190℃で30分加熱したときの重量平均分子量保持率が、50%以上となることが必要である。50%未満では、溶融押出し時に、外観不良や、シーティング不良を引き起こす。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出した。
【0042】また、押出しに供するポリ乳酸系重合体は、露点−45℃の除湿空気を循環させた乾燥機中140℃で4時間乾燥し、押出し直前まで防湿容器に保管した。帯電防止剤については、48℃で6時間真空乾燥を行い、押出し直前までデシケーター中に保管した。
【0043】(1)重量平均分子量東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8120GPCに、(株)島津製作所製クロマトカラムShim−PackシリーズのGPC−800CPを装着し、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、670000、110000、35000、10000、4000、600である。
【0044】(2)熱安定性(重量平均分子量保持率)
重量平均分子量を測定したポリ乳酸系重合体2gと所定量の帯電防止剤を500mlのクロロホルムに溶解し、十分撹拌した後、エバポレーターでクロロホルムを揮発させ、続いて60℃で6時間真空乾燥を行い、得られた粗粉体を乳鉢ですりつぶして、白色粉末を得た。この白色粉体を50cc試験管に入れ、大過剰の窒素パージをした後、栓をして190℃のヒートブロックで30分加熱した後に、再び重量平均分子量を測定し、次の式により、熱安定性の指標となる重量平均分子量保持率を算出した。単位は%である。
【0045】重量平均分子量保持率(%)={(加熱前重量平均分子量)/(加熱後重量平均分子量)}×100(3)表面抵抗率フィルム状の試験片を23℃50%RHに90時間静置した後、ADVANTEST社製表面固有抵抗測定機を用い、同雰囲気下で、JIS K−6911に準拠して、電極処理は蒸着法、主電極直径5cm、主電極と対電極のすきま1cm、印加電圧500V、印加時間60秒で測定を行った。単位はΩである。
【0046】(実施例1〜3/比較例1〜3)重量平均分子量223000のポリL−乳酸((株)島津製作所製ラクティ1012)を40mmφ単軸押出機を用い、設定温度210℃でTダイ押出し、キャストロールで急冷し、厚み100μmのキャストフィルムを得た。
【0047】同様の方法で、同原料に表1に示す量のグリセリンモノステアレートを添加し、キャストフィルムを得た。これらの評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】


(実施例4〜9)次に、同様の方法で、表2に示す量の各種非イオン系帯電防止剤を添加し、キャストフィルムを得た。これらの評価結果を表2に示す。
【0049】
【表2】


(比較例4〜9)続いて、同様の方法で、表3に示す量の各種アニオン系およびカチオン系帯電防止剤を添加し、キャストフィルムを得た。これらの評価結果を表2に示す。
【0050】
【表3】


表1に示すように、本発明に含まれる非イオン系帯電防止剤を0.1〜10重量部含有すると、表面抵抗率が5×1013以下であり、かつ、重量平均分子量保持率が50%以上である。また表2に示すように、(1)に含まれる化合物群を使用した実施例4〜6、(2)に含まれる化合物群を使用した実施例7、(3)に含まれる化合物群を使用した実施例8および9は、表面抵抗率が5×10以下であり、かつ、重量平均分子量保持率が50%以上である。
【0051】一方、(1)〜(3)の化合物群に含まれない、アニオン系、カチオン系の帯電防止剤を使用した比較例4〜9は表面抵抗率が5×1013を超え、あるいは、重量平均分子量保持率が50%未満である。
【0052】
【発明の効果】以上の結果で明らかなように、本発明の生分解性フィルムおよびシートは溶融押出時の熱安定性が良好で実用上の帯電防止性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリ乳酸系重合体に下記化合物群(1)〜(3)から選ばれる少なくとも1種類の非イオン系帯電防止剤を0.1〜10重量部含有したことを特徴とする帯電防止性ポリ乳酸系フィルムおよびシート。
(1)エチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエルスリット・ソルビット等の多価アルコールおよび/またはその脂肪酸エステル(2)ポリエチレングリコールおよび/またはその脂肪酸エステル(3)高級アルコール・多価アルコール・アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、またはポリプロピレングリコール付加物

【公開番号】特開平9−221587
【公開日】平成9年(1997)8月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−26416
【出願日】平成8年(1996)2月14日
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)