説明

帳票管理システム、帳票画像管理方法、及びプログラム

【課題】証跡情報として利用される帳票画像データの保管のためのデータ量を削減する。
【解決手段】マスタ画像取得部401は、マスタ画像を取得する。分割部402は、このマスタ画像を分割する。分割マスタ画像格納部403は分割部402で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する。検索部405は、帳票画像取得部404が取得した帳票の画像を分割した複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を検索する。差分データ生成部406は、この検索結果である分割マスタ画像との間の差分データを生成する。帳票画像データ格納部407は、帳票の画像のデータとして、この検索結果である分割マスタ画像の識別情報と、差分データ生成部406が生成した差分データとを、当該帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で議論される実施態様は、画像情報の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージスキャナ装置で紙の帳票の読み取りを行って電子文書化し、得られた帳票画像データを証跡情報として保管する帳票管理システムが知られている。このような帳票管理システムでは、帳票画像データの保管用のストレージの容量が肥大化し、システムコストの増大や、システム運用の煩雑化を招く要因となっている。このため、ストレージ装置に保管する帳票画像データのデータ量を減らすことが求められているが、その一方で、保管されている帳票画像データから再現される元の帳票の画像には、証跡情報としての利用ができる程度の画質の高さが要求される。
【0003】
帳票画像データのデータ量を減らすために、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式のような、静止画像の圧縮技術を用いた帳票画像データのデータ量の圧縮が行われている。しかしながら、昨今の帳票管理システムにおけるストレージ容量の肥大化は深刻であり、静止画像の圧縮技術を流用して得られる程度のデータ圧縮率では、その対策が十分とはいえないのが現状である。
【0004】
ところで、帳票画像データのデータ量を減らす他の技術として、データが未記入である既知の帳票の画像と、その帳票にデータが記入された後の画像との差分画像を生成し、その差分画像データを記録装置で記録するという技術が知られている。
【0005】
また、上述したようにして生成される差分画像の情報量の低減化を図る技術が知られている。この技術は、まず、電子文書の原稿画像における文字領域とその他の領域とを識別する。次に、当該電子文書に手書きの加筆が重畳された加筆重畳画像における文字領域とその他の領域とを識別する。そして、原稿画像における各々の領域と加筆重畳画像における各々の領域とについてのそれぞれの位置ズレ量を検出し、検出した位置ズレ量に基づいて位置を補正して差分処理を行うようにして、差分処理における引き残しの発生を防止するというものである。
【0006】
なお、この他の背景技術として、帳票の管理の技術が知られている。この技術は、帳票名の選択を行うと、選択した帳票の画像と保管場所名を示すバーコードとを印刷した印刷媒体を出力し、その印刷媒体にデータが記入された画像が入力されると、その帳票の画像を、バーコードで示されている保管場所に記憶するというものである。
【0007】
また、この他の背景技術として、帳票の作成の技術が知られている。この技術は、帳票テンプレートから作成されるテンプレートIDとオーバレイする帳票データから作成される帳票データIDとから、作成される帳票の帳票IDを生成し、生成される帳票の帳票テンプレートと帳票データとを識別可能に管理するというものである。
【0008】
また、この他の背景技術として、マスタ文書の一部を変更して派生文書を作成するときに、派生文書中の共通部分の情報の分散を抑えるという技術が知られている。この技術は、当該マスタ文書を分割した複数のブロックに対する変更内容を示す差分情報と、当該変更箇所が含まれているブロックを特定する情報とを当該派生文書の情報として保持するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−175701号公報
【特許文献2】特開2004−287682号公報
【特許文献3】特開平10−162087号公報
【特許文献4】特開2009−110387号公報
【特許文献5】特開2008−117051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した差分画像の生成及び記録の技術は、手書きの加筆のみを記録しておくに過ぎない技術であって、加筆重畳画像を後に再現することについては考慮されていない。このため、この技術は、原本性の保証が求められる証跡情報として記録データを扱う用途としての利用には適していない。
【0011】
また、前述した差分画像の生成及び記録の技術では、差分画像データのデータ量を少なくするために、既知の帳票の画像と、その帳票にデータが記入された後の画像との間での位置合わせが行われる。このために、前述の技術では、2つの画像の各々について文字領域とその他の領域との識別をまず行い、次に両者の位置ずれ量を識別結果に基づいて求め、続いて両者の位置合わせを行って、その後に差分画像の生成を行うという煩雑な工程が必要である。
【0012】
上述した問題に鑑み、本明細書で後述する帳票画像管理システムは、証跡情報として利用される帳票画像データの保管のためのデータ量を削減する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書で後述する帳票画像管理システムのひとつに、マスタ画像取得部、分割部、分割マスタ画像格納部、帳票画像取得部、検索部、差分データ生成部、及び帳票画像データ格納部を備えるというものがある。ここで、マスタ画像取得部は、マスタ画像を取得する。分割部は、この取得されたマスタ画像を分割する。分割マスタ画像格納部は、分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する。帳票画像取得部は、帳票の画像を取得する。検索部は、この帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部から検索する。差分データ生成部は、この部分画像との相関が高い分割マスタ画像との間の差分データを、当該部分画像の各々について生成する。そして、帳票画像データ格納部は、帳票の画像を表現している帳票画像データとして、部分画像との相関が高い分割マスタ画像を特定する識別情報と、差分データ生成部が生成した差分データとを格納する。なお、この識別情報と差分データとは、当該帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納される。
【0014】
また、本明細書で後述する帳票画像管理システムの別のひとつに、マスタ画像取得部、分割部、分割マスタ画像格納部、相関度算出部、及び格納制御部を備えるというものがある。ここで、マスタ画像取得部は、マスタ画像を取得する。分割部は、このマスタ画像を分割する。分割マスタ画像格納部は、分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として複数格納する。相関度算出部は、マスタ画像を分割することにより取得した一の分割マスタ画像と、分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する。そして、格納制御部は、この相関度が所定値よりも低い場合に、前述の一の分割マスタ画像を、分割マスタ画像格納部に格納する制御を行う。
【0015】
また、本明細書で後述する帳票画像管理システムの更なる別のひとつに、マスタ画像取得部、分割部、分割マスタ画像格納部、帳票画像取得部、差分データ生成部、及び、帳票画像データ格納部を備えるというものがある。ここで、マスタ画像取得部は、マスタ画像を取得する。分割部は、取得されたマスタ画像を分割する。分割マスタ画像格納部は、分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する。帳票画像取得部は、帳票の画像を取得する。差分データ生成部は、帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、分割マスタ画像格納部に格納された複数の分割マスタ画像との間で、差分データが最も少なくなる分割マスタ画像との間の差分データを生成する。そして、帳票画像データ格納部は、帳票の画像を表現している帳票画像データとして、部分画像との差分データが最も少ない分割マスタ画像を特定する識別情報と、差分データ生成部が生成した差分データとを格納する。なお、この識別情報と差分データとは、帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納される。
【0016】
また、本明細書で後述する帳票画像管理方法のひとつは、まず、マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておく。次に、帳票の画像を取得する。次に、この帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索する。次に、部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての当該部分画像との間の差分データを、当該部分画像の各々について生成する。そして、この帳票の画像を表現している帳票画像データとして、部分画像との間で差分データの生成に用いた分割マスタ画像を特定する識別情報と、当該部分画像についての前述の生成された差分データとを帳票画像データ格納部に格納する。なお、この識別情報と差分データとは、当該帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納される。
【0017】
また、本明細書で後述する帳票画像管理方法の別のひとつは、まず、マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておく。次に、新たに一の分割マスタ画像を獲得する。次に、この一の分割マスタ画像と、分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する。そして、この相関度が所定値よりも低い場合に、当該一の分割マスタ画像を、当該分割マスタ画像格納部に格納する。
【0018】
また、本明細書で後述するプログラムのひとつは、以下の処理をコンピュータに行わせる。この処理は、まず、マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておく。次に、帳票の画像を取得する。次に、この帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索する。次に、部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての当該部分画像との間の差分データを、当該部分画像の各々について生成する。そして、この帳票の画像を表現している帳票画像データとして、部分画像との間で差分データの生成に用いた高い分割マスタ画像を特定する識別情報と、当該部分画像についての前述の生成された差分データとを帳票画像データ格納部に格納する。なお、この識別情報と差分データとは、当該帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納される。
【0019】
また、本明細書で後述するプログラムの別のひとつは、以下の処理をコンピュータに行わせる。この処理は、まず、マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておく。次に、新たに一の分割マスタ画像を獲得する。次に、この一の分割マスタ画像と、分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する。そして、この相関度が所定値よりも低い場合に、当該一の分割マスタ画像を、当該分割マスタ画像格納部に格納する。
【発明の効果】
【0020】
本明細書で後述する帳票画像管理システムは、証跡情報として利用される帳票画像データの保管のためのデータ量が削減されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】帳票画像管理システムの一実施例のシステム構成図である。
【図2】帳票画像管理システムに使用可能なコンピュータの一例の構成図である。
【図3】図1の帳票画像管理システムの詳細機能ブロック構成の第一の例である。
【図4】帳票画像格納制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【図5】帳票画像表示制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【図6】帳票画像管理システムの別の一実施例の機能ブロック図である。
【図7】図1の帳票画像管理システムの詳細機能ブロック構成の第二の例である。
【図8】図7における帳票分類処理部が行う処理の説明図である。
【図9】図7における差分生成処理部が行う処理の説明図である。
【図10】分割マスタ画像格納制御処理の処理内容を図解したフローチャートである。
【図11】帳票画像格納制御処理の第二の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【図12】帳票画像表示制御処理の第二の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、「帳票」の語の意味について定義する。帳票とは、一般的には、各種の事務処理・会計処理のために使用される帳簿や伝票の総称を意味する。但し、本願では、帳票とは、上述した一般的な意味だけではなく、各種試験に用いる答案用紙や、選挙に用いる投票用紙などといった、所定の様式の画像が予め印刷されており、手書き、押印、印刷等によって情報が追加される用紙一般を意味するものとする。
【0023】
次に図1について説明する。図1は、帳票画像管理システムの一実施例のシステム構成図である。この帳票画像管理システム1は、スキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300を備えて構成されている。なお、スキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300は、不図示の通信ネットワークを介して接続されており、この通信ネットワークを介して各種のデータの授受を行うことができる。
【0024】
スキャン端末装置100は、帳票の画像を取得して、当該画像についての保管用のデータを生成する。このスキャン端末装置100は、マスタ画像格納部110を備えており、スキャナ装置50が接続されている。
【0025】
マスタ画像格納部110は、複数種類のマスタ画像の画像データを格納しておく記憶部である。なお、マスタ画像格納部110に格納されたマスタ画像の画像データは、各画像データを個々に識別する識別情報であるID(Identification Data )情報を用いることで個々に識別可能である。なお、このID情報として、例えば、マスタ画像の画像データファイルのファイル名や、当該ファイル名と関連付けされているインデックス情報が利用可能である。
【0026】
なお、スキャナ装置50は、帳票の読み取りを行って当該帳票の画像を表現しているスキャンデータ51を出力する。
スキャン端末装置100は、帳票分類処理部101及び差分生成処理部102を、機能ブロックとして備えている。
【0027】
帳票分類処理部101は、スキャナ装置50から出力されたスキャンデータ51と最も似ているマスタ画像の画像データを、マスタ画像格納部110に格納されている複数種類の画像データから検索する処理を行う。
【0028】
差分生成処理部102は、まず、スキャナ装置50から出力されたスキャンデータ51についての、帳票分類処理部101によってマスタ画像格納部110から読み出されたマスタ画像の画像データに対する差分データを生成する処理を行う。そして、次に、生成した差分データに、帳票分類処理部101によってマスタ画像格納部110から読み出されたマスタ画像の画像データを識別する識別情報であるID情報を対応付けて保管データ61を生成してストレージ装置200に送付する処理を行う。この保管データ61は、スキャナ装置50が読み取った帳票の画像を表現しており、ストレージ装置200において、スキャナ装置50から出力されたスキャンデータ51の代わりに記憶されて保管されるデータである。
【0029】
ストレージ装置200は、スキャン端末装置100が生成した、帳票の画像についての保管用のデータを記憶して保管する。
マスタ画像格納部210は、複数種類のマスタ画像の画像データを格納しておく記憶部である。なお、スキャン端末装置100のマスタ画像格納部110と、ストレージ装置200のマスタ画像格納部210と、後述する表示端末装置300のマスタ画像格納部310とには、同一のマスタ画像の画像データを事前に配置しておく。また、スキャン端末装置100において、後述するようにして新たなマスタ画像の画像データがマスタ画像格納部110に格納された場合には、同一のマスタ画像データがマスタ画像格納部210及び310にも格納される。
【0030】
なお、本実施例において、スキャン端末装置100のマスタ画像格納部110と表示端末装置300のマスタ画像格納部310とに同一のマスタ画像が予め格納されているのであれば、ストレージ装置200のマスタ画像格納部210は必須ではない。
【0031】
差分データ格納部220は、スキャン端末装置100から送付された保管データ61を格納して保管する。
表示端末装置300は、ストレージ装置200で保管されているデータを読み出して、当該データで表現されている元の帳票の画像を復元して表示する。この表示端末装置300は、マスタ画像格納部310を備えている。
【0032】
マスタ画像格納部310は、前述したように、マスタ画像格納部110及び210と同一の複数種類のマスタ画像の画像データを格納しておく記憶部である。なお、マスタ画像格納部310に格納されたマスタ画像の画像データは、マスタ画像格納部110に格納されたマスタ画像の画像データの識別に用いるものと同一のID情報を用いることで個々に識別可能である。
【0033】
表示端末装置300は、表示画像データ生成処理部301を機能ブロックとして備えている。
表示画像データ生成処理部301は、まず、保管データ61をストレージ装置200の差分データ格納部220から読み出す処理を行う。次に、保管データ61に含まれているID情報により特定されるマスタ画像の画像データをマスタ画像格納部310から読み出す処理を行う。そして、保管データ61に含まれている差分データとマスタ画像格納部310から読み出したマスタ画像の画像データとから、スキャナ装置50が読み取った帳票の画像を復元して当該画像を表現している表示画像データ71を生成する処理を行う。
【0034】
なお、図1の帳票画像管理システム1が備えているスキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300を、標準的なハードウェア構成のコンピュータを用いて構成することができる。図2は、帳票画像管理システム1に使用可能なコンピュータの一例の構成図である。
【0035】
このコンピュータ80は、MPU81、ROM82、RAM83、ハードディスク装置84、入力装置85、表示装置86、インタフェース装置87、及び記録媒体駆動装置88を備えている。なお、これらの構成要素はバスライン89を介して接続されており、MPU81の管理の下で各種のデータを相互に授受することができる。
【0036】
MPU(Micro Processing Unit)81は、このコンピュータ80全体の動作を制御する演算処理装置であり、コンピュータ80の制御処理部として機能する。
ROM(Read Only Memory)82は、所定の基本制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリである。MPU81は、この基本制御プログラムをコンピュータ80の起動時に読み出して実行することにより、このコンピュータ80の各構成要素の動作制御が可能になる。
【0037】
RAM(Random Access Memory)83は、MPU81が各種の制御プログラムを実行する際に、必要に応じて作業用記憶領域として使用する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
【0038】
ハードディスク装置84は、MPU81によって実行される各種の制御プログラムや各種のデータを記憶しておく記憶装置である。MPU81は、ハードディスク装置84に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、後述する各種の制御処理を行えるようになる。このコンピュータ80を図1のストレージ装置200として使用する場合には、このハードディスク装置84が、マスタ画像格納部210及び差分データ格納部220として利用もされる。また、このコンピュータ80を図1のスキャン端末装置100若しくは表示端末装置300として使用する場合には、このハードディスク装置84が、マスタ画像格納部110及び310として利用もされる。
【0039】
入力装置85は、例えばマウス装置やキーボード装置であり、図1の帳票画像管理システム1の利用者により操作されると、その操作内容に対応付けられている各種情報の入力を取得し、取得した入力情報をMPU81に送付する。
【0040】
表示装置86は例えば液晶ディスプレイであり、MPU81から送付される表示データに応じて各種のテキストや画像を表示する。例えば、このコンピュータ80を図1の表示端末装置300として使用する場合には、表示画像データ生成処理部301により復元された表示画像データ71で表されている、スキャナ装置50が読み取った帳票の復元画像の表示を行う。
【0041】
インタフェース装置87は、このコンピュータ80に接続される各種機器との間での各種情報の授受の管理を行う。より具体的には、インタフェース装置87は、例えば、図1のスキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300の間で通信ネットワークを介して行われる、マスタ画像データや前述の保管データ61等の各種のデータの授受の管理を行う。また、このコンピュータ80を図1のスキャン端末装置100として使用する場合には、スキャナ装置50から出力されるスキャンデータ51を受け取ってMPU81に送付する。
【0042】
記録媒体駆動装置88は、可搬型記録媒体90に記録されている各種の制御プログラムやデータの読み出しを行う装置である。MPU81は、可搬型記録媒体90に記録されている所定の制御プログラムを、記録媒体駆動装置88を介して読み出して実行することによって、後述する各種の制御処理を行うようにすることもできる。なお、可搬型記録媒体90としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などがある。
【0043】
このようなコンピュータ80を用いてスキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300を構成するには、例えば、後述する各種の制御処理をMPU81に行わせるための制御プログラムを作成する。作成された制御プログラムはハードディスク装置84若しくは可搬型記録媒体90に予め格納しておく。そして、MPU81に所定の指示を与えてこの制御プログラムを読み出させて実行させる。こうすることで、スキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300が各々備えている機能がMPU81により提供される。従って、このコンピュータ80がスキャン端末装置100、ストレージ装置200、及び表示端末装置300として機能するようになる。
【0044】
次に図3について説明する。図3は、図1の帳票画像管理システム1の詳細ブロック構成の第一の例を図解したものである。これらの機能ブロックの機能を、図2の構成を有するコンピュータ80で提供することは可能である。
【0045】
なお、図3においては、説明を簡単にするため、前述したように同一のマスタ画像データ及びマスタ画像を識別する情報が格納されているマスタ画像格納部110、210、及び310を総称して「マスタ画像格納部210」と称することとする。
【0046】
コンピュータ80は、マスタ画像データ生成処理部120、帳票分類処理部130、差分生成処理部140、表示画像データ生成処理部150、マスタ画像データ自動学習処理部160、及び仮想マスタ画像データ自動生成処理部170の各機能を提供する。なお、本実施例においては、マスタ画像データ生成処理部120、帳票分類処理部130、差分生成処理部140、及びマスタ画像データ自動学習処理部160は、図1におけるスキャン端末装置100に備えられている。そして、表示画像データ生成処理部150は、図1における表示端末装置300に備えられている。なお、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、図1におけるスキャン端末装置100と表示端末装置300とに各々備えられている。
【0047】
マスタ画像データ生成処理部120は、手書き等による情報の追加前(未記入)の複数種類の帳票の画像のデータ(帳票画像データ91)を、画像の識別情報と共に、マスタ画像データ92としてマスタ画像格納部210に格納する処理を行う。また、後述するマスタ画像データ自動学習処理部160から、新たなマスタ画像の画像データを受け取った場合には、受け取った画像データを、マスタ画像データ92としてマスタ画像格納部210に新たに格納する処理を行う。
【0048】
帳票分類処理部130は、図1の帳票分類処理部101に相当する処理部である。より具体的には、帳票分類処理部130は以下の処理を行う。
まず、帳票分類処理部130は、スキャナ装置50から出力される、手書き等により情報の追加が行われた後(記入済)の帳票の画像を表現しているスキャンデータ51を取得する処理を行う。
【0049】
また、帳票分類処理部130は、マスタ画像格納部210にマスタ画像データ92が格納されている複数種類の帳票の画像から、スキャナ装置50から取得したスキャンデータ51で表現されている帳票の画像に最も類似しているものを選択する処理を行う。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0050】
まず、帳票分類処理部130は、画像を構成している各画素の画素値を表している配列についての、マスタ画像データ92の各々とスキャンデータ51との間での相互相関係数を算出する処理を行う。そして、次に、帳票分類処理部130は、この相互相関係数の算出処理において、最大の正の相関を示す係数が得られたマスタ画像データ92を選択する処理を行う。このようにして、スキャンデータ51で表現されている帳票の画像に最も類似しているものの選択が行われる。
【0051】
なお、帳票分類処理部130が、他の手法を用いて前述の選択の処理を行ってもよい。
帳票分類処理部130は、このようにして選択したマスタ画像データ92を識別する情報であるID情報をマスタ画像格納部210から取得して差分生成処理部140に送付する処理を行う。
【0052】
なお、帳票分類処理部130は、システムの利用者から、マスタ画像を指定するID情報の指定の入力を受け取った場合には、上述した選択の処理を行わずに、受け取ったID情報を、そのまま差分生成処理部140に送付する処理を行う。
【0053】
また、帳票分類処理部130は、後述する差分生成処理部140が生成した保管データ61のデータサイズを取得し、このデータサイズが所定の閾値以上であるか否か判定する処理を行う。ここで、このデータサイズが当該所定の閾値以上であった場合には、帳票分類処理部130は、所定の指示と、この保管データ61に対応するスキャンデータ51とをマスタ画像データ自動学習処理部160に与えて、後述する動作を開始させる処理を行う。
【0054】
また、帳票分類処理部130が、システムの利用者から、マスタ画像格納部210に格納されているマスタ画像データ92を使用しない旨の指示の入力を受け取る場合がある。また、マスタ画像格納部210にマスタ画像データ92が全く格納されていない場合がある。このような場合には、帳票分類処理部130は、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170に所定の指示を与えて後述する動作を開始させる処理を行う。そして、この指示に応じて仮想マスタ画像データ自動生成処理部170で生成されて送られてくる仮想マスタ画像データと、この仮想マスタ画像データに対応する画像を識別する情報であるID情報とを差分生成処理部140に転送する処理を行う。
【0055】
差分生成処理部140は、図1の差分生成処理部102に相当する処理部である。より具体的には、差分生成処理部140は以下の処理を行う。
まず、差分生成処理部140は、帳票分類処理部130が取得したものと同一のスキャンデータ51をスキャナ装置50から取得する処理を行う。
【0056】
また、差分生成処理部140は、帳票分類処理部130から送られてくるマスタ画像を識別する情報であるID情報を受け取る処理を行う。更に、差分生成処理部140は、マスタ画像格納部210を参照して、当該マスタ画像を識別する情報であるID情報に対応するマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部210から読み出す処理を行う。なお、差分生成処理部140は、仮想マスタ画像データが帳票分類処理部130から送られてきた場合には、この仮想マスタ画像データを受け取る処理を行い、マスタ画像格納部210に対する読み出し処理は行わない。そして、以降の処理では、受け取った仮想マスタ画像データを、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92の代わりに用いる。
【0057】
次に、差分生成処理部140は、スキャナ装置50から取得したスキャンデータ51についての、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92(若しくは上述した仮想マスタ画像データ)に対する差分データを生成する処理を行う。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0058】
まず、差分生成処理部140は、スキャナ装置50から取得したスキャンデータ51で表現されている帳票の画像についての、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92で表現されているマスタ画像に基づく動き補償フレーム間予測処理を行う。動き補償フレーム間予測処理は、例えば以下のようにして行われる。
【0059】
まず、この帳票の画像とこのマスタ画像との各々の画像領域を所定サイズの複数の要素に分割する処理が行われる。次に、マスタ画像が移動して帳票の画像が生成されたと仮定したときの各要素の動き方向及び動き量を求める処理が行われる。そして、得られた動き方向及び動き量に基づき、マスタ画像から帳票の画像に至るまでの移動における動きベクトルを獲得する処理が行われる。続いて、獲得した動きベクトルに従ってマスタ画像を移動させることで、当該動きベクトルに基づいた帳票の予測画像を作成する処理が行われる。そして、作成された予測画像と帳票の画像との差分を計算して、動き補償フレーム間予測誤差を求める処理が行われる。
【0060】
差分生成処理部140は、この動き補償フレーム間予測処理により得られる、動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを、上述の帳票の画像についての、上述のマスタ画像に対する差分データとして生成する処理を行う。差分データの生成は、このようにして行われる。
【0061】
次に、差分生成処理部140は、生成した差分データに、帳票分類処理部130から受け取ったマスタ画像を識別する情報であるID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理を行う。更に、差分生成処理部140は、生成した保管データ61を、ストレージ装置200に送付して差分データ格納部220に格納する処理を行う。なお、差分生成処理部140は、仮想マスタ画像データを用いて差分データを生成していた場合には、当該差分データに、その仮想マスタ画像データに付与されているマスタ画像を識別する情報であるID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理をまず行う。その後、差分生成処理部140は、差分データ格納部220に格納する処理を行う。
【0062】
なお、差分生成処理部140は、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を行い、当該圧縮処理が施された差分データとマスタ画像を識別するID情報を対応付けて保管データ61を生成して差分データ格納部220に格納する処理を行うようにしてもよい。このデータ圧縮処理の圧縮方式やデータ圧縮率の選定は任意であるが、本実施例においては、後の帳票の画像の復元画像が証跡情報としての利用に十分である程度の画質を備えている必要があることを考慮して選定することが好ましい。
【0063】
また、差分生成処理部140は、新たなマスタ画像データ92がマスタ画像データ生成処理部120によってマスタ画像格納部210に格納された場合には、以下の処理を行う。
【0064】
まず、差分生成処理部140は、スキャナ装置50から取得したスキャンデータ51についての、この新たなマスタ画像データ92に対する差分データを生成する処理を行う。そして、差分生成処理部140は、生成した差分データと、この新たなマスタ画像データ92を識別するID情報とを対応付けて保管データ61を生成し、生成した保管データ61を差分データ格納部220に格納する処理を行う。
【0065】
表示画像データ生成処理部150は以下の処理を行う。
まず、表示画像データ生成処理部150は、システムの利用者からの所定の指示の入力を受け取ると、ストレージ装置200の差分データ格納部220を参照し、当該指示により特定される保管データ61を、差分データ格納部220から読み出す処理を行う。なお、読み出した保管データ61に含まれている差分データに対してデータ圧縮処理が施されている場合には、当該差分データに対してデータ伸張処理を施して元の差分データを復元しておく。
【0066】
次に、表示画像データ生成処理部150は、差分データ格納部220から読み出した保管データ61に含まれているID情報により特定されるマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部210から読み出す処理を行う。
【0067】
但し、差分データ格納部220から読み出した保管データ61に含まれているID情報が、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170により生成された仮想マスタ画像データを特定するものである場合がある。この場合には、表示画像データ生成処理部150は、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170に所定の指示を与えて後述する動作を開始させる処理を行う。そして、この指示に応じて仮想マスタ画像データ自動生成処理部170で生成されて送られてくる仮想マスタ画像データを取得する処理を行う。そして、以降の処理では、受け取った仮想マスタ画像データを、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92の代わりに用いる。
【0068】
次に、表示画像データ生成処理部150は、読み出された保管データ61に含まれている差分データと、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92(若しくは上述した仮想マスタ画像データ)とから、元の帳票の画像を復元する処理を行う。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0069】
まず、表示画像データ生成処理部150は、差分生成処理部140で行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像を生成する処理を行う。この予測画像は、マスタ画像格納部210から読み出したマスタ画像データ92(若しくは上述した仮想マスタ画像データ)と、読み出された保管データ61に含まれている差分データのうちの動きベクトルの情報とを用いることによって生成することができる。
【0070】
次に、表示画像データ生成処理部150は、生成した予測画像に対し、読み出された保管データ61のうちの差分データに含まれている動き補償フレーム間予測誤差の情報に表されている予測誤差を加算する処理を行う。この処理により、表示画像データ71が生成される。
【0071】
次に、表示画像データ生成処理部150は、以上のようにして得られた表示画像データ71で表されている、スキャナ装置50で取得した帳票の画像についての復元画像を、表示端末装置300が備えている表示装置86に表示させる処理を行う。
【0072】
マスタ画像データ自動学習処理部160は、帳票分類処理部130から前述の所定の指示を受け取ったときに、当該指示と共に受け取ったスキャンデータ51を、新たなマスタ画像の画像データとして、マスタ画像データ生成処理部120に転送する処理を行う。
【0073】
仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、帳票分類処理部130から前述の所定の指示を受け取ったときに、数式で表現されているマスタ画像である仮想マスタ画像データを、その数式の計算を行うことによって生成する処理を行う。本実施例では、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、画像を構成する各画素の輝度値を全て最大値とする計算を行うことで、前述したような、何の画像も記録されていない全くの白紙の画像の画像データを、生成する処理を行う。その後、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、このようにして生成された仮想マスタ画像データに、この仮想マスタ画像データを他のマスタ画像データから識別するID情報を対応付けて、帳票分類処理部130に送付する処理を行う。
【0074】
また、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、表示画像データ生成処理部150から前述の処理の指示を受け取ったときには、帳票分類処理部130からの指示に応じて生成したものと同一の仮想マスタ画像を、同様にして生成する処理を行う。その後、仮想マスタ画像データ自動生成処理部170は、このようにして生成された仮想マスタ画像データを、表示画像データ生成処理部150に送付する処理を行う。
【0075】
図3に図解した帳票画像管理システム1の各部は、それぞれ以上のような機能を提供する。
次に図4について説明する。図4は、図1の帳票画像管理システム1におけるスキャン端末装置100として図2のコンピュータ80を使用する場合にMPU81によって行われる、帳票画像格納制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【0076】
図4の処理は、スキャン端末装置100の使用者が入力装置85を介して所定の処理開始の指示を入力したことをMPU81が検出すると開始される。なお、この処理の開始前までに、マスタ画像データ92をマスタ画像格納部110、210、及び310へ格納する処理が既に完了しているものとする。また、この図4の処理では、マスタ画像データ92を使用する場合には、マスタ画像格納部110からマスタ画像データ92を読み出すものとする。更に、この図4の処理では、マスタ画像格納部110へのマスタ画像データ92の格納によって、他のマスタ画像格納部210及び310への格納も行われるものとする。
【0077】
図4において、S101からS104までの処理は、図3の構成においては帳票分類処理部130が行う処理である。
まず、S101では、スキャナ装置50から出力される、手書き等により情報の追加が行われた後(記入済)の帳票の画像を表現しているスキャンデータ51を取得する処理が行われる。
【0078】
次に、S102では、スキャン端末装置100の使用者から、入力装置85を介して、マスタ画像を指定するID情報の入力を受け取ったか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、ID情報によるマスタ画像の指定の入力を受け取ったと判定した場合には、S106に処理が進む。一方、この判定処理において、ID情報によるマスタ画像の指定の入力を受け取らなかったと判定した場合には、S103に処理が進む。
【0079】
次に、S103では、マスタ画像格納部110に格納されているマスタ画像データ92を使用して、帳票の画像についての保管データ61の生成を行うか否かを判定する処理が行われる。
【0080】
本実施例においては、マスタ画像格納部110にマスタ画像データ92が全く格納されていない場合には、このS103の判定処理において、マスタ画像データ92を使用しないで保管データ61の生成を行うとの判定が下される。また、スキャン端末装置100の使用者から、入力装置85を介して、マスタ画像データ92を使用しない旨の指示を受け取った場合にも、このS103の判定処理において、マスタ画像データ92を使用しないで保管データ61の生成を行うとの判定が下される。そして、この2つの場合を除いた場合には、このS103の判定処理において、マスタ画像データ92を使用して保管データ61の生成を行うとの判定結果が下される。
【0081】
S103の判定処理において、マスタ画像データ92を使用して保管データ61の生成を行うとの判定が下された場合には、S104に処理が進む。一方、このS103の判定処理において、マスタ画像データ92を使用しないで保管データ61の生成を行うとの判定が下された場合には、S105に処理が進む。
【0082】
S104では、S101の処理で取得したスキャンデータ51で表現されている帳票の画像に最も類似しているマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部110から検索する処理が行われる。具体的には、この処理では、帳票分類処理部130が行う動作として前述したように、まず、画像を構成している各画素の画素値を表している配列についての、マスタ画像データ92の各々とスキャンデータ51との間での相互相関係数を算出する処理が行われる。そして、次に、最大の正の相関を示す係数が得られたマスタ画像データ92が、マスタ画像格納部110から選択されて、そのマスタ画像データ92に対応するID情報を取得する処理が行われる。
【0083】
このS104の処理が完了すると、S106に処理が進む。
一方、S105では、仮想マスタ画像データを生成すると共に、この仮想マスタ画像データを他のマスタ画像データから識別するID情報を生成する処理が行われる。この処理は、図3の構成においては仮想マスタ画像データ自動生成処理部170が行う処理であり、数式で表現されているマスタ画像である仮想マスタ画像データを、その数式の計算を行うことによって生成する処理である。S105の処理が完了すると、S106に処理が進む。
【0084】
S106では差分データの生成処理が行われる。この処理は、図3の構成においては差分生成処理部140が行う処理であり、より詳細には、以下の処理が行われる。
まず、マスタ画像格納部110を参照して、S104の処理の実行によって取得されたID情報に対応するマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部110から読み出す処理が行われる。但し、S102の判定処理において、ID情報によるマスタ画像の指定の入力を受け取ったと判定していた場合には、前述の処理を実行する代わりに、受け取ったID情報に対応するマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部110から読み出す処理が行われる。また、S105の処理の実行によって仮想マスタ画像データを生成していた場合には、生成された仮想マスタ画像データが、以降の処理においてのマスタ画像格納部110から読み出したマスタ画像データ92として使用される。更に、後述するS108の処理が直近に実行されて新規のマスタ画像の画像データが生成されていた場合には、この新規のマスタ画像の画像データが、以降の処理においてのマスタ画像格納部110から読み出したマスタ画像データ92として使用される。
【0085】
次に、S101の処理により取得されたスキャンデータ51で表現されている帳票の画像についての、マスタ画像格納部110から読み出したマスタ画像データ92で表現されているマスタ画像に基づく動き補償フレーム間予測処理が行われる。そして、この予測処理により得られる、動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを、上述の帳票の画像についての、上述のマスタ画像に対する差分データとして生成する処理が行われる。
【0086】
次に、生成した差分データに、S104の処理によって取得していたID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理が行われる。但し、S102の判定処理において、ID情報によるマスタ画像の指定の入力を受け取ったと判定していた場合には、生成した差分データに、受け取ったID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理が行われる。また、S105の処理の実行によって仮想マスタ画像データを生成していた場合には、この処理の実行の際に仮想マスタ画像データと共に生成していたID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理が行われる。更に、後述するS108の処理が直近に実行されて新規のマスタ画像の画像データが生成されていた場合には、この処理の実行の際に新規のマスタ画像の画像データと共に生成していたID情報を対応付けて保管データ61を生成する処理が行われる。
【0087】
以上までの処理がS106の差分データの生成処理である。
なお、このS106の処理において、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を行い、当該圧縮処理が施された差分データにID情報を対応付けて保管データ61を生成して差分データ格納部220に格納する処理を行うようにしてもよい。
【0088】
次に、S107では、S106の処理によって生成された保管データ61のデータサイズを取得し、このデータサイズが所定の閾値以上であるか否か判定する処理が行われる。この判定処理は、図3の構成においては帳票分類処理部130が行う処理である。この判定処理において、このデータサイズが当該所定の閾値以上であったと判定された場合にはS108に処理が進み、このデータサイズが当該所定の閾値未満であったと判定された場合にはS109に処理が進む。
【0089】
S108では、新規のマスタ画像データ92を生成する処理が行われる。この処理は、図3の構成においては仮想マスタ画像データ自動生成処理部170及びマスタ画像データ生成処理部120が行う処理である。
【0090】
このS108の処理では、まず、S106の処理において差分データの生成に使用したスキャンデータ51を、他のマスタ画像データから識別するID情報を生成する処理が行われる。次に、そのスキャンデータ51から新規のマスタ画像データ92を生成する処理が行われる。そして次に、新たに生成したマスタ画像データ92とID情報とをマスタ画像格納部110に格納する処理が行われる。
以上までの処理がS108の新規マスタ画像データ生成処理である。
【0091】
次に、S109では、直近のS106の処理の実行によって生成された、差分データとID情報とを含む保管データ61を、ストレージ装置200に送付して差分データ格納部220に格納する処理が行われる。この処理が完了すると、図4の帳票画像格納制御処理が終了する。
【0092】
以上の帳票画像格納制御処理をMPU81が行うことにより、図2のコンピュータ80がスキャン端末装置100として動作し、帳票の画像についての保管用のデータの生成とストレージ装置200での保管とが行えるようになる。
【0093】
次に図5について説明する。図5は、図1の帳票画像管理システム1における表示端末装置300として図2のコンピュータ80を使用する場合にMPU81によって行われる帳票画像表示制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【0094】
図5の処理は、表示端末装置300の使用者が、入力装置85を介して、表示対象の帳票の画像を指定する情報と所定の処理開始の指示とを入力したことをMPU81が検出すると開始される。なお、この図5の処理では、マスタ画像データ92を使用する場合には、マスタ画像格納部310からマスタ画像データ92を読み出すものとする。
【0095】
図5におけるS301からS304まで並びにS306及びS307の各処理は、図3の構成においては表示画像データ生成処理部150が行う処理である。一方、S305の処理は、図3の構成においては仮想マスタ画像データ自動生成処理部170が行う処理である。
【0096】
図5において、まず、S301では、ストレージ装置200の差分データ格納部220を参照して、表示端末装置300の使用者により入力された表示対象の帳票の画像を指定する情報によって特定される保管データ61を読み出す処理が行われる。なお、読み出した保管データ61に含まれている差分データに対してデータ圧縮処理が施されている場合には、当該差分データに対してデータ伸張処理を施して元の差分データを復元しておく。
【0097】
次に、S302では、S301の処理の実行によって差分データ格納部220から読み出された保管データ61から、そこに含まれているID情報を取り出す処理が行われる。
次に、S303では、S302の処理の実行によって取得したID情報が、仮想マスタ画像データを示すものであるか否かを判定する処理が行われる。ここで、ID情報が仮想マスタ画像データを示すものであったと判定された場合にはS305に処理が進み、ID情報が通常の(すなわち仮想マスタ画像データではない)マスタ画像データを示すものであったと判定された場合にはS304に処理が進む。
【0098】
S304では、S302の処理の実行によって取得した保管データ61に含まれているID情報により特定されるマスタ画像データ92を、マスタ画像格納部310から読み出す処理を行う。このS304の処理が完了するとS306に処理が進む。
【0099】
S305では、前述した図4のS105の処理の実行によって生成したものと同一の仮想マスタ画像を、同様にして生成する処理が行われる。S305の処理が完了するとS306に処理が進む。
【0100】
次に、S306では、表示端末装置300の使用者に指定された帳票の画像を表現している表示画像データ71を復元する処理が行われる。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0101】
まず、前述した図4のS106の差分データ生成処理の実行において行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像を生成する処理を行う。この予測画像は、S304の処理の実行によって取得したマスタ画像データ92と、S301の処理の実行によって読み出された保管データ61に含まれている差分データのうちの動きベクトルの情報とを用いることで生成することができる。但し、S305の処理の実行によって仮想マスタ画像データを生成していた場合には、この仮想マスタ画像データをマスタ画像データ92の代わりに用いて、予測画像を生成する処理を行う。
【0102】
次に、生成された予測画像に対し、S301の処理の実行によって読み出された保管データ61のうちの差分データに含まれている動き補償フレーム間予測誤差の情報に表されている予測誤差を加算する処理が行われる。
以上の処理によって表示画像データ71が復元される。
【0103】
次に、S307では、S306の処理の実行によって復元された表示画像データ71で表現されている元の帳票の画像を、表示端末装置300が備えている表示装置86に表示させる処理を行う。この処理が完了すると、図5の帳票画像表示制御処理が終了する。
【0104】
以上の帳票画像表示制御処理をMPU81が行うことにより、図2のコンピュータ80が表示端末装置300として動作し、ストレージ装置200で保管されているデータの読み出しと、当該データで表現されている元の帳票の画像表示とが行えるようになる。
【0105】
次に図6について説明する。図6は、帳票画像管理システムの別の一実施例の機能ブロック図である。
この帳票画像管理システム1は、マスタ画像取得部401、分割部402、分割マスタ画像格納部403、帳票画像取得部404、検索部405、差分データ生成部406、及び帳票画像データ格納部407を備えている。
【0106】
マスタ画像取得部401は、イメージスキャナ装置等の画像読取装置からマスタ画像を取得する。なお、本実施例において、マスタ画像は、手書き、押印、印刷等によって情報が追加される前の、所定の様式の画像が予め印刷されている帳票の画像である。
【0107】
分割部402は、マスタ画像取得部401により取得されたマスタ画像を分割する。
分割マスタ画像格納部403は、分割部402で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する。
【0108】
帳票画像取得部404は、手書き、押印、印刷等によって情報が追加された後の帳票の画像を、イメージスキャナ装置等の画像読取装置から取得する。この帳票画像取得部404が取得した画像を、以降の説明では、「記入済帳票画像」と称することとする。
【0109】
検索部405は、記入済帳票画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い(最大の正の相関である)分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部403から検索する。
【0110】
差分データ生成部406は、上述の部分画像との相関が高い分割マスタ画像との間の差分データを、当該部分画像の各々について生成する。
帳票画像データ格納部407は、上述の記入済帳票画像を表現している帳票画像データとして、上述の部分画像との相関が高い分割マスタ画像を特定する識別情報と、差分データ生成部406が生成した差分データとを格納しておく。なお、帳票画像データ格納部407では、この識別情報と差分データとが、当該記入済帳票画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けられて格納される。
【0111】
以上の機能ブロックを有する図6の帳票画像管理システム1では、分割マスタ画像格納部403に格納されている複数種類の分割マスタ画像から、帳票画像取得部404が取得した記入済帳票画像の部分画像との相関が高い分割マスタ画像が選択される。そして、当該記入済帳票画像の部分画像についての、選択された分割マスタ画像に対する差分データが生成されて帳票画像データ格納部407に格納されて保管される。つまり、図6の帳票画像管理システム1では、差分データの生成対象として、保管対象である記入済帳票画像との相関が高いマスタ画像が選択されるので、マスタ画像に対して相違する部分だけが差分データとして抽出されるので、保管すべきデータ量が少なくなる。
【0112】
ところで、例えば、異なる種類の帳票であっても、氏名や住所の記入欄などといった共通の様式が部分的に採用されていることが少なくない。また、例えば、以前から使用されていた帳票の部分領域に印刷されていた説明文のみが変更され、残余の部分領域は従前の様式が維持されて新たに帳票が作成されることがある。このような帳票における共通の様式が印刷されている領域の分割マスタ画像は、別々の帳票間で同一の画像となる。
【0113】
図6の構成を有する帳票画像管理システム1では、帳票のマスタ画像を分割した分割マスタ画像が分割マスタ画像格納部403に格納される。従って、上述したような共通の様式が印刷されている領域を含む別種の帳票間では、差分データの生成に、当該領域についての分割マスタ画像を共用することができる。このようにして、分割マスタ画像を別種の帳票間で共用することで、記入済帳票画像のデータの保管のために間接的に必要となる、分割マスタ画像格納部403での保管データ量も削減することができる。
【0114】
なお、図6に図解されているように、この帳票画像管理システム1が、相関度算出部411と格納制御部412とを更に備えていてもよい。
相関度算出部411は、前述のマスタ画像を分割することにより得られた一の分割マスタ画像と、分割マスタ画像格納部403に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度(前述の相互相関係数)を算出する。
【0115】
格納制御部412は、この相関度(最大の正の相関を示す係数)が所定値よりも低い場合に、上述の一の分割マスタ画像を、分割マスタ画像格納部403に格納する制御を行う。
【0116】
この相関度算出部411と格納制御部412とを備える帳票画像管理システム1では、既に分割マスタ画像格納部403に格納されている分割マスタ画像と同一のものを重複して分割マスタ画像格納部403に格納することが防止される。従って、記入済帳票画像のデータの保管のために間接的に必要となる、分割マスタ画像格納部403の格納データ量が削減される。
【0117】
なお、この図6の帳票画像管理システム1において、差分データ生成部406が、前述の部分画像との相関が高い分割マスタ画像に基づいた動き補償フレーム間予測を当該部分画像について行うようにしてもよい。この場合には、差分データ生成部406は、前述の差分データとして、当該部分画像についての当該分割マスタ画像に対する動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成するようにする。この場合には、帳票画像取得部404が取得した記入済帳票画像の部分画像と分割マスタ画像との位置に多少のズレがある場合でも、生成される差分データのデータ量の増加が抑制される。
【0118】
なお、図6の帳票画像管理システム1において、差分データ生成部406が、更に、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を施すようにしてもよい。なお、この場合には、帳票画像データ格納部407は、差分データ生成部406によってデータ圧縮処理が施された差分データを格納するようにする。このようにすると、帳票画像データ格納部407に保管すべき差分データのデータ量が更に少なくなる。
【0119】
また、分割マスタ画像格納部403に格納された分割マスタ画像と帳票画像取得部404で取得された帳票画像の部分画像との相関は、複数の分割マスタ画像と部分画像の間で、差分が最も小さくなる画像について相関が高いと判断することも可能である。よって、部分画像に対して差分が小さくなる分割マスタ画像を識別する識別情報と当該部分マスタ画像との間の差分データを帳票画像データ格納部407に格納できる。
【0120】
なお、帳票画像データ格納部407の格納データから元の記入済帳票画像を復元するために、図6に図解のように、帳票画像管理システム1が、差分データ読出部421、特定分割マスタ画像読出部422、及び帳票画像再現部423を更に備えていてもよい。
【0121】
差分データ読出部421は、帳票画像データ格納部407から、前述の差分データと当該差分データに対応付けられている前述の識別情報とを読み出す。
特定分割マスタ画像読出部422は、差分データ読出部421が読み出した識別情報により特定される分割マスタ画像を、分割マスタ画像格納部403から読み出す。
【0122】
帳票画像再現部423は、まず、前述の複数の部分画像の各々を、差分データ読出部421が読み出した差分データと特定分割マスタ画像読出部422が読み出した分割マスタ画像とから復元する。そして、当該復元された部分画像を結合して、帳票画像取得部404により取得された帳票の画像を再現する。
【0123】
例えば、差分データ生成部406が、前述のように動き補償フレーム間予測を行って、差分データとして、動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成していた場合には、帳票画像再現部423は、以下の動作を行う。
【0124】
すなわち、この場合、帳票画像再現部423は、まず、特定分割マスタ画像読出部422が読み出した分割マスタ画像と、差分データ読出部421が読み出した差分データに含まれている動きベクトルの情報とを用いて予測画像を生成する。次に、生成された予測画像に対し、差分データに含まれている動き補償フレーム間予測誤差の情報を用いて予測誤差分の加算を行う。すると、記入済帳票画像の部分画像が復元される。その後、帳票画像再現部423は、復元された複数の部分画像を結合することで、帳票画像取得部404が取得していた記入済帳票画像が再現される。
【0125】
なお、この図6の帳票画像管理システム1の各機能ブロックについても、図2に図解した構成を備えているコンピュータ80を用いて構成することができる。コンピュータ80を用いて帳票画像管理システム1を構成するには、例えば、後述する各種の制御処理をMPU81に行わせるための制御プログラムを作成する。なお、この制御プログラムでは、例えば、ハードディスク装置84が、分割マスタ画像格納部403及び帳票画像データ格納部407として機能させるようにしておく。また、イメージスキャナ装置等の画像読取装置が接続されるインタフェース装置87を、マスタ画像取得部401及び帳票画像取得部404として機能させるようにしておく。そして、作成された制御プログラムはハードディスク装置84若しくは可搬型記録媒体90に予め格納しておき、MPU81に所定の指示を与えてこの制御プログラムを読み出させて実行させる。こうすることで、図6の帳票画像管理システム1の各機能ブロックが各々備えている機能がMPU81により提供され、このコンピュータ80が帳票画像管理システム1として機能するようになる。
【0126】
次に図7について説明する。図7は、図1の帳票画像管理システム1の詳細機能ブロック構成の第二の例である。この第二の例は、図1の帳票画像管理システム1を利用して図6に図解した帳票画像管理システム1を実現するためのものである。これらの機能ブロックの機能を、図2の構成を有するコンピュータ80で提供することは可能である。
【0127】
なお、図7においても、図3と同様に、説明を簡単にするため、前述したように同一のマスタ画像データ及びマスタ画像を識別する情報が格納されているマスタ画像格納部110、210、及び310を総称して「マスタ画像格納部210」と称することとする。
【0128】
コンピュータ80は、帳票画像データ分割処理部510、分割マスタ画像データ生成処理部520、分割マスタ画像データ比較処理部530、帳票分類処理部540、差分生成処理部550、及び表示画像データ生成処理部560の各機能を提供する。なお、本実施例においては、帳票画像データ分割処理部510、分割マスタ画像データ生成処理部520、分割マスタ画像データ比較処理部530、帳票分類処理部540、及び差分生成処理部550は、図1におけるスキャン端末装置100に備えられている。そして、表示画像データ生成処理部560は、図1における表示端末装置300に備えられている。
【0129】
帳票画像データ分割処理部510は、図6における分割部402に相当する機能を提供する。すなわち、帳票画像データ分割処理部510は、手書き等による情報の追加前(未記入)の帳票の画像のデータ(帳票画像データ91)が入力されると、まず、当該帳票の画像を分割して複数の分割画像(分割マスタ候補画像)を獲得する処理を行う。そして、この分割マスタ候補画像を表しているデータ(分割マスタ候補画像データ95)を出力する処理を行う。
【0130】
分割マスタ画像データ生成処理部520は、分割マスタ候補画像データ95を、画像の識別情報(ID情報)と画像のサイズ(大きさ)の情報と共に、分割マスタ画像データ97としてマスタ画像格納部210に格納する処理を行う。このマスタ画像格納部210は、図6における分割マスタ画像格納部403に相当する。
【0131】
分割マスタ画像データ比較処理部530は、まず、分割マスタ候補画像と、マスタ画像格納部210に格納されている全ての分割マスタ画像データ97で各々表されている分割マスタ画像との相関度を当該分割マスタ候補画像の各々について算出する処理を行う。そして、一の分割マスタ候補画像について算出された相関度が所定値よりも低い場合には、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、当該一の分割マスタ候補画像をマスタ画像格納部210に格納させる処理を行う。一方、一の分割マスタ候補画像について算出された相関度が所定値よりも低い場合には、当該一の分割マスタ候補画像のマスタ画像格納部210への格納は行わない。
【0132】
この分割マスタ画像データ比較処理部530による処理内容について、図7に図示した画像例を用いて更に説明する。
図7には、一例として、帳票画像M1、M2、及びM3の各々についての帳票画像データ91が示されており、分割マスタ候補画像M11〜M14、M21〜M24、及びM31〜M34の各々についての分割マスタ候補画像データ95が示されている。ここで、分割マスタ候補画像M11〜M14は帳票画像M1を分割したものであり、分割マスタ候補画像M21〜M24は帳票画像M2を分割したものであり、分割マスタ候補画像M31〜M34は帳票画像M3を分割したものである。
【0133】
分割マスタ画像データ比較処理部530は、まず、分割マスタ候補画像M11と、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されている分割マスタ画像との相関度の算出を行う。但し、このときには、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されていない。この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M11の分割マスタ候補画像データ95を、マスタ画像格納部210に、分割マスタ画像データ97として格納する。
【0134】
次に、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M12と、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されている分割マスタ画像との相関度の算出を行う。このときには、マスタ画像格納部210には分割マスタ画像M11の分割マスタ画像データ97が格納されているので、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M12と分割マスタ画像M11との相関度の算出を行う。図7の例では、この相関度が所定値よりも小さかったものとしている。従って、この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M12の分割マスタ候補画像データ95を、マスタ画像格納部210に、分割マスタ画像データ97として格納する。
【0135】
次に、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M13と、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されている分割マスタ画像との相関度の算出を行う。このときには、マスタ画像格納部210には分割マスタ画像M11及びM12の分割マスタ画像データ97が格納されているので、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M13と分割マスタ画像M11及びM12との相関度の算出を行う。図7の例では、この相関度の両者が、どちらも所定値よりも小さかったものとしている。従って、この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M13の分割マスタ候補画像データ95を、マスタ画像格納部210に、分割マスタ画像データ97として格納する。
【0136】
次の分割マスタ候補画像M14の場合についても同様であり、分割マスタ候補画像M14の分割マスタ候補画像データ95が、マスタ画像格納部210に、分割マスタ画像データ97として格納される。
【0137】
次に、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M21と、分割マスタ画像M11〜M14との相関度の算出を行う。図7の例では、算出された相関度のうち、分割マスタ画像M11との相関度が最も高く、且つ、所定値よりも大きかったものとしている。従って、この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M21の分割マスタ候補画像データ95のマスタ画像格納部210への格納を禁止する。
【0138】
以降の分割マスタ候補画像M22〜M32ついては、分割マスタ画像データ比較処理部530は、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されている分割マスタ画像との相関度の算出値が、いずれも所定値よりも小さかったものとしている。従って、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M22〜M32の分割マスタ候補画像データ95を、マスタ画像格納部210に、分割マスタ画像データ97として格納する。
【0139】
次に、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ候補画像M33と、分割マスタ画像M11〜M32との相関度の算出を行う。図7の例では、算出された相関度のうち、分割マスタ画像M23との相関度が最も高く、且つ、所定値よりも大きかったものとしている。従って、この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M33の分割マスタ候補画像データ95のマスタ画像格納部210への格納を禁止する。
【0140】
次の分割マスタ候補画像M34の場合についても同様であり、図7の例では、算出された相関度のうち、分割マスタ画像M24との相関度が最も高く、且つ、所定値よりも大きかったものとしている。従って、この場合には、分割マスタ画像データ比較処理部530は、分割マスタ画像データ生成処理部520を制御して、分割マスタ候補画像M34の分割マスタ候補画像データ95のマスタ画像格納部210への格納を禁止する。
【0141】
分割マスタ画像データ比較処理部530は、以上のような処理を行う。この結果、分割マスタ画像M11、M23、及びM24との相関が顕著に高かった分割マスタ候補画像M21、M33、及びM34についての分割マスタ候補画像データ95については、マスタ画像格納部210への格納が抑制される。この結果、マスタ画像格納部210での分割マスタ画像データ97の保管量が削減される。
【0142】
なお、図7の例においては、帳票画像M1〜M3を帳票画像データ分割処理部510が分割して得られた分割マスタ候補画像M11〜M34のサイズが同一であるように描かれているが、これらのサイズは同一でなくてもよい。
【0143】
帳票分類処理部540は、図1の帳票分類処理部101に相当する処理部である。この帳票分類処理部540が行う処理について、図8を参照しながら説明する。
まず、帳票分類処理部540は、スキャナ装置50から出力される、手書き等により情報の追加が行われた後の帳票の画像(記入済帳票画像)を表現しているスキャンデータ51を取得する処理を行う。
図8の例では、2種類の記入済帳票画像についてのスキャンデータ51a及び51bが帳票分類処理部540により取得された様子を表している。
【0144】
次に、帳票分類処理部540は、マスタ画像格納部210に分割マスタ画像データ97が格納されている分割マスタ画像から、スキャンデータ51で表現されている記入済帳票画像の部分画像に最も類似しているものを選択する処理を行う。より具体的には、帳票分類処理部540は、画像を構成している各画素の画素値を表している配列についての、分割マスタ画像と記入済帳票画像の部分画像との間での相互相関係数を算出する処理を行う。そして、次に、帳票分類処理部540は、この相互相関係数の算出処理において、最大の正の相関を示す係数が得られた分割マスタ画像についての分割マスタ画像データ97を選択する処理を行う。
【0145】
図8の例では、スキャンデータ51aで表されている記入済帳票画像の部分画像に最も類似しているものとして、分割マスタ画像M11、M12、M13、及びM14が帳票分類処理部540により選択された様子を表している。なお、この例では、分割マスタ画像M11は、帳票の画像の左上部の部分画像に最も類似していたものであり、分割マスタ画像M12、M13、及びM14は、それぞれ、帳票の画像の右上部、左下部、及び右下部の部分画像に最も類似していたものである。従って、記入済帳票画像の部分画像の配置位置に従って分割マスタ画像11、M12、M13、及びM14をこのように並べた画像は、スキャンデータ51aで表されている記入済帳票画像に極めて類似した画像になる。
【0146】
また、スキャンデータ51bで表されている記入済帳票画像の部分画像に最も類似しているものとして、分割マスタ画像M21、M12、及びM14が帳票分類処理部540により選択された様子を表している。なお、この例では、分割マスタ画像M21は、記入済帳票画像の左部の部分画像に最も類似していたものであり、分割マスタ画像M12及びM14は、それぞれ、記入済帳票画像の右上部及び右下部の部分画像に最も類似していたものである。従って、記入済帳票画像の部分画像の配置位置に従って分割マスタ画像M21、M12、及びM14をこのように並べた画像は、スキャンデータ51bで表されている記入済帳票画像に極めて類似した画像になる。
【0147】
以上のように、図8の例では、分割マスタ画像M12及びM14は、スキャンデータ51a及び51bでそれぞれ表されている2種類の記入済帳票画像のどちらにおいても選択されたことを表している。
【0148】
帳票分類処理部540は、上述した処理の後、選択された分割マスタ画像データ97のID情報をマスタ画像格納部210から取得して差分生成処理部550に送付する処理を行う。なお、このとき、帳票分類処理部540は、選択された分割マスタ画像を記入済帳票画像に従って並べるときの各分割マスタ画像の配置位置を表す座標情報も、差分生成処理部550に併せて送付する。
【0149】
差分生成処理部550は、図1の差分生成処理部102に相当する処理部である。この差分生成処理部550が行う処理について、図9を参照しながら説明する。
まず、差分生成処理部550は、帳票分類処理部540が取得したものと同一のスキャンデータ51をスキャナ装置50から取得する処理を行う。
【0150】
図9の例では、スキャンデータ51で表されている、部分画像A、B、C、及びDからなる帳票の画像を差分生成処理部550が取得した様子を表している。
また、差分生成処理部550は、帳票分類処理部540から送られてくる、分割マスタ画像のID情報と当該分割マスタ画像の配置位置の座標情報とを受け取る処理を行う。そして、マスタ画像格納部210を参照して、当該ID情報に対応する分割マスタ画像データ97と、分割マスタ画像のサイズの情報とをマスタ画像格納部210から読み出す処理を行う。
【0151】
図9の例では、マスタ画像格納部210から読み出した分割マスタ画像データ97で表されている分割マスタ画像M11、M12、M13、及びM14を差分生成処理部550が取得した様子を表している。なお、ここで、分割マスタ画像M11、M12、M13、及びM14の各々の配置位置の座標として、各画像の左上隅の頂点の座標(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、及び(X4,Y4)を差分生成処理部550が取得したものとする。
【0152】
次に、差分生成処理部550は、帳票分類処理部540が分割マスタ画像の選択に用いた記入済帳票画像の部分画像についての、分割マスタ画像データ97で表されている分割マスタ画像に対する差分データを生成する処理を行う。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0153】
まず、差分生成処理部550は、当該部分画像についての、当該分割マスタ画像データ97で表現されている分割マスタ画像に基づく動き補償フレーム間予測処理を行う。なお、この動き補償フレーム間予測処理は、図3の第一の例における差分生成処理部140が行うものと同様の処理である。そして、差分生成処理部140は、この動き補償フレーム間予測処で得られる、動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを、上述の記入済帳票画像の部分画像についての、上述の分割マスタ画像に対する差分データとして生成する処理を行う。
【0154】
図9の例では、差分生成処理部550が、部分画像Aについての分割マスタ画像M11に対する差分データaを生成したことを示している。また、同様に、差分生成処理部550が、部分画像B、C、及びDの各々についての、分割マスタ画像M12、M13、及びM14に対する差分データb、c、及びdを生成したことを示している。
【0155】
次に、差分生成処理部550は、生成した差分データに、帳票分類処理部540が選択した分割マスタ画像のID情報とそのサイズの情報とを対応付けて保管データ62を生成する処理を行う。そして、生成した保管データ62を、ストレージ装置200に送付して差分データ格納部220に格納する処理を行う。なお、この保管データ62は、図1における保管データ61に相当するものであるが、データの構造に違いがあるので、ここでは「保管データ62」として説明する。
【0156】
図9には、保管データ62のデータ構造も図解されている。図9の例では、保管データ62には、元の記入済帳票画像について生成された4つの差分データa、b、c、及びdが含まれている。また、この保管データ62にはヘッダ部が設けられている。このヘッダ部には、差分生成処理部550が差分データの生成に用いた4つの分割マスタ画像M11、M12、M13、及びM14の各々について、前述の配置位置の座標情報、画像サイズの情報、及びID情報(マスタID)が含まれている。
【0157】
なお、差分生成処理部550は、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を行い、当該圧縮処理が施された差分データに、上述の情報を含むヘッダ部を付加して保管データ62を生成して差分データ格納部220に格納する処理を行うようにしてもよい。なお、このデータ圧縮処理の圧縮方式やデータ圧縮率の選定は任意であるが、本実施例においては、後の記入済帳票画像の再現画像が証跡情報としての利用に十分である程度の画質を備えている必要があることを考慮して選定することが好ましい。
【0158】
図7の説明に戻る。
表示画像データ生成処理部560は以下の処理を行う。
まず、表示画像データ生成処理部560は、システムの利用者からの所定の指示の入力を受け取ると、ストレージ装置200の差分データ格納部220を参照し、当該指示により特定される保管データ62を、差分データ格納部220から読み出す処理を行う。なお、読み出した保管データ62に含まれている差分データに対してデータ圧縮処理が施されている場合には、当該差分データに対してデータ伸張処理を施して元の差分データを復元しておく。
【0159】
次に、表示画像データ生成処理部560は、差分データ格納部220から読み出した保管データ62に含まれているID情報により特定される分割マスタ画像データ97を、マスタ画像格納部210から読み出す処理を行う。
【0160】
次に、表示画像データ生成処理部560は、読み出された保管データ62に含まれている差分データと、マスタ画像格納部210から読み出した分割マスタ画像データ97とから、元の記入済帳票画像の部分画像を復元する処理を行う。この処理は、具体的には以下のように行われる。
【0161】
まず、表示画像データ生成処理部560は、差分生成処理部550で行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像を生成する処理を行う。この予測画像は、マスタ画像格納部210から読み出した分割マスタ画像データ97と、読み出された保管データ62に含まれている差分データのうちの動きベクトルの情報とを用いることによって生成することができる。
【0162】
次に、表示画像データ生成処理部560は、生成した予測画像に対し、読み出された保管データ62のうちの差分データに含まれている動き補償フレーム間予測誤差の情報に表されている予測誤差を加算する処理を行う。この処理により、元の記入済帳票画像の部分画像が復元される。
【0163】
表示画像データ生成処理部560は、次に、復元された部分画像を結合して、元の記入済帳票画像(スキャンデータ51で表現されていた帳票の画像)を再現し、当該元の記入済帳票画像を表している表示画像データ71を生成する処理を行う。
【0164】
次に、表示画像データ生成処理部560は、以上のようにして得られた表示画像データ71で表されている、スキャンデータ51で表現されていた帳票の画像についての再現画像を、表示端末装置300が備えている表示装置86に表示させる処理を行う。
【0165】
図7に図解した帳票画像管理システム1の各部は、それぞれ以上のような機能を提供する。
次に図10について説明する。図10は、図1の帳票画像管理システム1におけるスキャン端末装置100として図2のコンピュータ80を使用する場合にMPU81によって行われる、分割マスタ画像格納制御処理の処理内容を図解したフローチャートである。
【0166】
なお、この図10の処理では、分割マスタ画像データ97を使用する場合には、マスタ画像格納部110から分割マスタ画像データ97を読み出すものとする。更に、この図10の処理では、マスタ画像格納部110への分割マスタ画像データ97の格納によって、他のマスタ画像格納部210及び310への格納も行われるものとする。
【0167】
この図10の処理は、スキャナ装置50が、手書き、押印、印刷等によって情報が追加される前の、所定の様式の画像が予め印刷されている帳票のスキャンを行って、当該帳票の画像(未記入帳票画像)を表現している帳票画像データ91を得ると開始される。
【0168】
図10において、S501からS503までの処理は、図7の構成においては帳票画像データ分割処理部510が行う処理である。
まず、S501では、スキャナ装置50から出力される、前述の未記入帳票画像を表現している帳票画像データ91を取得する処理が行われる。
【0169】
次に、S502では、スキャン端末装置100の使用者が入力装置85を介して入力する、未記入帳票画像の分割方法に関する指示を取得する処理が行われる。この分割方法に関する指示には、例えば、矩形形状の未記入帳票画像を左右2つに等分する指示や、そのうちの右側部分のみを更に上下2つに等分する指示、当該矩形形状の未記入帳票画像を縦及び横のどちらも2つずつに等分する指示など、様々なものがある。
【0170】
次に、S503では、S502の処理で取得した指示に従って未記入帳票画像を分割してRAM83に一時的に格納する処理が行われる。この処理により分割された未記入帳票画像が、分割マスタ候補画像となる。なお、以下の説明では、この分割マスタ候補画像の各々を、変数nを用いて「分割マスタ候補画像Dn」とする。
【0171】
以降のS504からS510までの処理のうち、S508の処理は、図7の構成においては分割マスタ画像データ生成処理部520が行う処理であり、その他の処理は、図7の構成においては分割マスタ画像データ比較処理部530が行う処理である。
【0172】
まず、S504では、変数nに初期値「1」を代入する処理が行われる。
次に、S505では、RAM83に格納されている分割マスタ候補画像Dnを参照する処理が行われる。そして、続くS506において、この分割マスタ候補画像Dnと、マスタ画像格納部110に格納されている分割マスタ画像データ97で表されている全ての分割マスタ画像の各々との相関度を算出する処理が行われる。
【0173】
次に、S507において、S506の処理で算出された相関度に、予め設定されている所定値以上のものが存在したか否かを判定する処理が行われる。ここで、所定値以上の相関度が算出されていたと判定されたとき(判定結果がYesのとき)には、分割マスタ候補画像Dnのマスタ画像格納部110への格納は行わずに、このままS509に処理が進む。一方、所定値以上の相関度が算出されていたと判定されたとき(判定結果がYesのとき)には、分割マスタ候補画像Dnのマスタ画像格納部110への格納は行わずに、このままS509に処理が進む。一方、算出された相関度のいずれもが当該所定値よりも小さいと判定されたとき(判定結果がNoのとき)には、S508に処理が進み、分割マスタ候補画像Dnの画像データを、分割マスタ画像データ97としてマスタ画像格納部110に格納する処理が行われる。
【0174】
次に、S509では、変数nの値を「1」だけ増加させる処理が行われる。
次に、S510では、変数nの値が、S503の処理により得られた分割マスタ候補画像の総数を超えたか否かを判定する処理が行われる。ここで、変数nの値が分割マスタ候補画像の総数を超えたと判定されたとき(判定結果がYesのとき)には、この分割マスタ画像格納制御処理が終了する。一方、ここで、ここで、変数nの値が、未だ分割マスタ候補画像の総数以下である判定されたとき(判定結果がNoのとき)には、S505へと処理が戻って上述した処理が繰り返される。
【0175】
以上の分割マスタ画像格納制御処理をMPU81が行うことにより、図2のコンピュータ80がスキャン端末装置100として動作して、分割マスタ画像のマスタ画像格納部110への格納が行われる。
【0176】
次に図11について説明する。図11は、図1の帳票画像管理システム1におけるスキャン端末装置100として図2のコンピュータ80を使用する場合にMPU81によって行われる、帳票画像格納制御処理の第二の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【0177】
なお、この図11の処理では、分割マスタ画像データ97を使用する場合には、マスタ画像格納部110から分割マスタ画像データ97を読み出すものとする。
この図11の処理は、スキャナ装置50が、手書き、押印、印刷等によって情報が追加された後の帳票のスキャンを行って、当該帳票の画像(記入済帳票画像)を表現しているスキャンデータ51を得ると開始される。なお、ここでは、記入済帳票画像は矩形形状であって、横方向の長さがX、縦方向の長さがYであるとする。また、記入済帳票画像上に直交2次元座標を定義し、当該矩形形状の4つの頂点の座標が、それぞれ(0,0)、(X,0)、(0,Y)、及び(X,Y)であるとする。
【0178】
図11において、S701からS716までの処理のうち、S704及びS714の処理は、図7の構成においては差分生成処理部550が行う処理であり、その他の処理は、図7の構成においては帳票分類処理部540が行う処理である。
【0179】
まず、S701では、スキャナ装置50から出力される、前述の記入済帳票画像を表現しているスキャンデータ51を取得すると共に、この記入済帳票画像の画像サイズの情報(前述したX及びYの値)を取得する処理が行われる。
【0180】
次に、S702では、変数x及び変数yに初期値「0」を代入すると共に、フラグ情報F(0,0)からF(X,Y)の全てを「0」にセットする処理が行われる。なお、フラグ情報F(x,y)(0≦x<X,0≦y<Y)は、記入済帳票画像における(x,y)の位置の画素のための差分データの未生成・生成済を識別する情報であり、「0」は未生成、「1」は生成済を表している。
【0181】
次に、S703では、変数yが前述のYよりも値が小さいか否かを判定する処理が行われる。ここで、yがYよりも値が小さいと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS705に処理が進む。一方、ここで、yの値がYの値以上であると判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS704に処理が進む。
【0182】
このS703の処理の判定結果がNoとなる場合は、記入済帳票画像についての全ての差分データの生成が完了した場合である。S704では、この場合において、生成された差分データに、図9に図解したヘッダ部の情報を付して保管データ62を生成してストレージ装置200の差分データ格納部220に格納する処理が行われる。このS704の処理を終えると、この帳票画像格納制御処理が終了する。
【0183】
一方、S705では、変数xが前述のXよりも値が小さいか否かを判定する処理が行われる。ここで、xがXよりも値が小さいと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS707に処理が進む。一方、ここで、xの値がXの値以上であると判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS706に処理が進む。
【0184】
S706では、変数xに初期値「0」を代入すると共に、変数yの値を「1」だけ増加させる処理が行われ、その後はS703に処理を戻して上述した処理が再度行われる。
S707では、このときの変数x及びyの値に対応するフラグ情報F(x,y)が「0」にセットされているか否かを判定する処理が行われる。ここで、F(x,y)が「0」にセットされていると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS708に処理が進む。一方、F(x,y)が「0」にセットされていない(すなわち「1」にセットされている)と判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS716に処理が進む。
【0185】
S708では、記入済帳票画像における(x,y)の位置を基準位置とする部分画像に最も類似する分割マスタ画像を、マスタ画像格納部110から検索する処理が行われる。
この処理では、まず、マスタ画像格納部110から分割マスタ画像を1つ取得する処理が行われる。この処理においては、取得される分割マスタ画像のサイズの情報(矩形形状である分割マスタ画像の横の長さXaと縦の長さYa)の取得も行われる。そして、記入済帳票画像における(x,y)と(Xa,Ya)とを対角点とする矩形部分の領域の画像(部分画像)と、取得された分割マスタ画像との間での相互相関係数を、相関度として算出する処理が行われる。この相関度の算出処理はマスタ画像格納部110に分割マスタ画像データ97が格納されている全ての分割マスタ画像について行われる。そして、算出された相関度が高い(最大の正の相関)分割マスタ画像が、検索結果として取得される。
【0186】
以降の説明では、このS708の検索処理により取得された分割マスタ画像を、「最類似分割マスタ画像Mn」と称することとする。また、この最類似分割マスタ画像Mnのサイズの情報として、横の長さをXnとし、縦の長さをYnとする。
【0187】
次に、S709では、最類似分割マスタ画像Mnについて算出された相関度が、予め設定されていた所定値以上であるか否かを判定する処理が行われる。ここで、当該相関度が当該所定値以上であると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS711に処理が進む。一方、当該相関度が当該所定値に満たないと判定されたとき(判定結果がNoのとき)にはS710に処理が進む。
【0188】
S710では、記入済帳票画像における部分画像に類似する分割マスタ画像がマスタ画像格納部110に存在しなかった旨を表現している所定のエラー表示を表示装置86で表示させる処理が行われ、その後はこの帳票画像格納制御処理が終了する。
【0189】
S711では、このときの変数x及びyの値について、x+XnがX以下であり、且つ、y+YnがY以下であるか否かを判定する処理が行われる。この処理は、最類似分割マスタ画像Mnに類似している部分画像が記入済帳票画像に含まれる画像であることを確認するための処理である。ここで、x+XnがX以下であり、且つ、y+YnがY以下であると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS712に処理が進み、その他のとき(判定結果がNoのとき)にはS713に処理が進む。
【0190】
次に、S712では、フラグ情報F(x,y)からF(x+Xn,y+Yn)までが全て「0」にセットされているか否かを判定する処理が行われる。この処理は、最類似分割マスタ画像Mnに類似している部分画像を構成する画素のための差分データが未生成であることを確認するための処理である。ここで、フラグ情報F(x,y)からF(x+Xn,y+Yn)までが全て「0」にセットされていると判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS714に処理が進み、その他のとき(判定結果がNoのとき)にはS713に処理が進む。
【0191】
S713では、S708の検索処理による検索対象から、このときの最類似分割マスタ画像Mnを除外する処理が行われ、その上でS708に処理を戻して検索処理が行われる。
【0192】
次に、S714では差分データの生成処理が行われる。この処理では、まず、前述の部分画像についての、最類似分割マスタ画像Mnに基づく動き補償フレーム間予測処理が行われる。そして、この予測処理により得られる、動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを、当該部分画像についての最類似分割マスタ画像Mnに対する差分データとして生成する処理が行われる。
【0193】
なお、このS714の処理において、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を行うようにし、前述したS704の処理では、当該圧縮処理が施された差分データから保管データ62を生成して差分データ格納部220に格納する処理を行うようにしてもよい。
【0194】
次に、S715では、フラグ情報F(x,y)からF(x+Xn,y+Yn)までを全て「1」にセットして、前述の部分画像を構成する画素のための差分データが生成済であることを確認する処理が行われる。
【0195】
次に、S716では、変数xの値を「1」だけ増加させる処理が行われ、その後はS705に処理を戻して上述した処理が再度行われる。
以上までの処理が帳票画像格納制御処理の第二の例である。この帳票画像格納制御処理をMPU81が行うことにより、図2のコンピュータ80がスキャン端末装置100として動作して、記入済帳票の画像についての保管用のデータの生成とストレージ装置200での保管とが行えるようになる。
【0196】
次に図12について説明する。図12は、図1の帳票画像管理システム1における表示端末装置300として図2のコンピュータ80を使用する場合にMPU81によって行われる帳票画像表示制御処理の第二の例の処理内容を図解したフローチャートである。なお、この処理は、図7の構成においては表示画像データ生成処理部560が行う処理である。
【0197】
図12の処理は、表示端末装置300の使用者が、入力装置85を介して、表示対象の記入済帳票の画像を指定する情報と所定の処理開始の指示とを入力したことをMPU81が検出すると開始される。なお、この図12の処理では、分割マスタ画像データ97を使用する場合には、マスタ画像格納部310から分割マスタ画像データ97を読み出すものとする。
【0198】
図12において、まず、S901では、ストレージ装置200の差分データ格納部220を参照して、表示端末装置300の使用者により入力された表示対象の記入済帳票の画像を指定する情報によって特定される保管データ62を読み出す処理が行われる。なお、読み出した保管データ62に含まれている各差分データに対してデータ圧縮処理が施されている場合には、当該差分データの各々に対してデータ伸張処理を施して元の差分データを復元しておく。
【0199】
次に、S902では、S901の処理の実行によって差分データ格納部220から読み出された保管データ62から、そこに含まれているID情報を取り出す処理が行われる。
次に、S903では、S902の処理によって取得した保管データ62に含まれているID情報により特定される分割マスタ画像データ97を、マスタ画像格納部310から読み出す処理を行う。
【0200】
次に、S904では、表示端末装置300の使用者に指定された記入済帳票の画像の部分画像を復元する処理が行われる。この処理は、具体的には以下のように行われる。
まず、前述した図11のS714の差分データ生成処理の実行において行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像を生成する処理を行う。この予測画像は、S903の処理の実行によって取得した分割マスタ画像データ97と、S901の処理の実行によって読み出された保管データ62に含まれている差分データのうちの動きベクトルの情報とを用いることで生成することができる。
【0201】
次に、生成された予測画像に対し、S901の処理の実行によって読み出された保管データ62のうちの差分データに含まれている動き補償フレーム間予測誤差の情報に表されている予測誤差を加算する処理が行われる。
【0202】
以上の処理によって記入済帳票の画像についての複数の部分画像が復元される。
次に、S905では、S904の処理によって復元された複数の部分画像を、保管データ62に含まれていた前述の配置位置の座標情報と画像サイズの情報とに基づいて並べて結合することで、記入済帳票画像を再現する処理が行われる。
【0203】
次に、S906では、S905の処理の実行によって再現された記入済帳票画像を、表示端末装置300が備えている表示装置86に表示させる処理を行う。この処理が完了すると、この帳票画像表示制御処理が終了する。
【0204】
以上の帳票画像表示制御処理をMPU81が行うことにより、図2のコンピュータ80が表示端末装置300として動作し、ストレージ装置200で保管されているデータの読み出しと、当該データで表現されている記入済帳票の画像の表示とが行えるようになる。
【0205】
なお、帳票画像管理システム1において、マスタ画像格納部110、210、及び310に格納されているマスタ画像若しくは分割マスタ画像の画像データを、例えば、前述のJPEG方式等のデータ圧縮処理が施された状態で格納しておくようにしてもよい。このようにすることで、マスタ画像格納部110、210、及び310の記憶容量の節約となる。なお、このようにする場合には、マスタ画像若しくは分割マスタ画像の画像データをマスタ画像格納部110、210、及び310から読み出したときに、データ伸張処理を行って元の画像データの復元を行うようにする。
【0206】
なお、図3の帳票画像管理システム1の構成において、差分生成処理部140は、スキャンデータ51についてのマスタ画像データ92に対する差分データの生成を、動き補償フレーム間予測を行うことによって実現している。そして、表示画像データ生成処理部150は、元の帳票の画像を復元するために、差分生成処理部140で行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像の生成を行っている。同様に、図7の帳票画像管理システム1の構成において、差分生成処理部550は、記入済帳票画像の部分画像についての分割マスタ画像データ97に対する差分データの生成を、動き補償フレーム間予測を行うことによって実現している。また、表示画像データ生成処理部560は、記入済帳票画像の部分画像を復元するために、差分生成処理部550で行われた動き補償フレーム間予測処理において生成されたものと同一の予測画像の生成を行っている。
【0207】
この動き補償フレーム間予測の手法としては、広く知られている各種の手法を用いてもよく、前述したものに限定されるものではない。例えば、この動き補償フレーム間予測の手法として、各種の汎用の動画圧縮符号化方式(例えば、ITU−T(国際電気通信連合−電気通信標準化部門)によって標準化されたH.262規格やH.264規格など)で採用されているものを採用してもよい。
【0208】
なお、以上までに説明した実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
取得された前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
帳票の画像を取得する帳票画像取得部、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部から検索する検索部、
前記部分画像と前記相関が高い分割マスタ画像との間の差分データを、前記部分画像の各々について生成する差分データ生成部、及び
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像を特定する識別情報と、前記差分データ生成部が生成した差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納する帳票画像データ格納部
を備えることを特徴とする帳票画像管理システム。
(付記2)
前記マスタ画像を分割することにより取得した一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する相関度算出部、及び
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する制御を行う格納制御部
を更に備えることを特徴とする付記1に記載の帳票管理システム。
(付記3)
前記差分データ生成部は、前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に基づいた動き補償フレーム間予測を該部分画像について行い、前記差分データとして、該部分画像についての該分割マスタ画像に対する動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成することを特徴とする付記1又は2に記載の帳票画像管理システム。
(付記4)
前記差分データ生成部は、更に、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を施し、
前記帳票画像データ格納部は、前記差分データ生成部によってデータ圧縮処理が施された差分データを格納する、
ことを特徴とする付記1から3のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理システム。
(付記5)
前記帳票画像データ格納部から、前記差分データと該差分データに対応付けられている前記識別情報とを読み出す差分データ読出部、
前記差分データ読出部が読み出した識別情報により特定される分割マスタ画像を前記分割マスタ画像格納部から読み出す特定分割マスタ画像読出部、及び
前記複数の部分画像の各々を、前記差分データ読出部が読み出した差分データと前記特定分割マスタ画像読出部が読み出した分割マスタ画像とから復元し、該復元された部分画像を結合して前記帳票画像取得部により取得された帳票の画像を再現する帳票画像再現部、
を更に備えることを特徴とする付記1から4のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理システム。
(付記6)
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
前記マスタ画像を分割することにより取得した一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する相関度算出部、及び
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する制御を行う格納制御部
を備えることを特徴とする帳票管理システム。
(付記7)
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
取得された前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
帳票の画像を取得する帳票画像取得部、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、前記分割マスタ画像格納部に格納された複数の分割マスタ画像との間で、差分データが最も少なくなる分割マスタ画像との間の差分データを生成する差分データ生成部、及び
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との差分データが最も少ない分割マスタ画像を特定する識別情報と、前記差分データ生成部が生成した差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納する帳票画像データ格納部
を備えることを特徴とする帳票画像管理システム。
(付記8)
マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておき、
帳票の画像を取得し、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、前記登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索し、
前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての前記部分画像との間の差分データを、該部分画像の各々について生成し、
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との間で差分データの生成に用いた分割マスタ画像を特定する識別情報と、該部分画像についての前記生成された差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて、帳票画像データ格納部に格納する、
ことを特徴とする帳票画像管理方法。
(付記9)
前記登録しておいた複数の分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
ことを特徴とする付記8に記載の帳票管理方法。
(付記10)
前記差分データの生成では、前記部分画像との相関が最高である分割マスタ画像に基づいた動き補償フレーム間予測を該部分画像について行い、前記差分データとして、該部分画像についての該分割マスタ画像に対する動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成することを特徴とする付記8又は9に記載の帳票画像管理方法。
(付記11)
前記差分データの生成では、更に、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を施し、
前記帳票画像データ格納部への格納では、前記データ圧縮処理が施された差分データを格納する、
ことを特徴とする付記8から10のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理方法。
(付記12)
前記帳票画像データ格納部から、前記差分データと該差分データに対応付けられている前記識別情報とを読み出し、
前記読み出された識別情報により特定される特定分割マスタ画像を、前記獲得しておいた複数の分割マスタ画像から抽出し、
前記複数の部分画像の各々を、前記読み出された差分データと前記特定分割マスタ画像とから復元し、該復元された部分画像を結合して前記取得された帳票の画像を再現する、
ことを特徴とする付記8から11のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理方法。
(付記13)
マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
ことを特徴とする帳票管理方法。
(付記14)
マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておき、
帳票の画像を取得し、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、前記登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索し、
前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての前記部分画像との間の差分データを、該部分画像の各々について生成し、
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との間で差分データの生成に用いた分割マスタ画像を特定する識別情報と、該部分画像についての前記生成された差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて、帳票画像データ格納部に格納する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記15)
前記登録しておいた複数の分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
処理を前記コンピュータに更に実行させる付記14に記載のプログラム。
(付記16)
前記差分データの生成では、前記部分画像との相関が最高である分割マスタ画像に基づいた動き補償フレーム間予測を該部分画像について行い、前記差分データとして、該部分画像についての該分割マスタ画像に対する動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成することを特徴とする付記14又は15に記載のプログラム。
(付記17)
前記差分データの生成では、更に、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を施し、
前記帳票画像データ格納部への格納では、前記データ圧縮処理が施された差分データを格納する、
ことを特徴とする付記14から16のうちのいずれか一項に記載のプログラム。
(付記18)
前記帳票画像データ格納部から、前記差分データと該差分データに対応付けられている前記識別情報とを読み出し、
前記読み出された識別情報により特定される特定分割マスタ画像を、前記獲得しておいた複数の分割マスタ画像から抽出し、
前記複数の部分画像の各々を、前記読み出された差分データと前記特定分割マスタ画像とから復元し、該復元された部分画像を結合して前記取得された帳票の画像を再現する、
処理を前記コンピュータに更に実行させる付記14から17のうちのいずれか一項に記載のプログラム。
(付記19)
マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0209】
1 帳票画像管理システム
50 スキャナ装置
51、51a、51b スキャンデータ
61、62 保管データ
71 表示画像データ
80 コンピュータ
81 MPU
82 ROM
83 RAM
84 ハードディスク装置
85 入力装置
86 表示装置
87 インタフェース装置
88 記録媒体駆動装置
89 バスライン
90 可搬型記録媒体
91 帳票画像データ
92 マスタ画像データ
95 分割マスタ候補画像データ
97 分割マスタ画像データ
100 スキャン端末装置
101、130、540 帳票分類処理部
102、140、550 差分生成処理部
110、210、310 マスタ画像格納部
120 マスタ画像データ生成処理部
150、560 表示画像データ生成処理部
160 マスタ画像データ自動学習処理部
170 仮想マスタ画像データ自動生成処理部
200 ストレージ装置
220 差分データ格納部
300 表示端末装置
301 表示画像データ生成処理部
401 マスタ画像取得部
402 分割部
403 分割マスタ画像格納部
404 帳票画像取得部
405 検索部
406 差分データ生成部
407 帳票画像データ格納部
411 相関度算出部
412 格納制御部
421 差分データ読出部
422 特定分割マスタ画像読出部
423 帳票画像再現部
510 帳票画像データ分割処理部
520 分割マスタ画像データ生成処理部
530 分割マスタ画像データ比較処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
取得された前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
帳票の画像を取得する帳票画像取得部、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を分割マスタ画像格納部から検索する検索部、
前記部分画像と前記相関が高い分割マスタ画像との間の差分データを、前記部分画像の各々について生成する差分データ生成部、及び
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像を特定する識別情報と、前記差分データ生成部が生成した差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納する帳票画像データ格納部
を備えることを特徴とする帳票画像管理システム。
【請求項2】
前記マスタ画像を分割することにより取得した一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する相関度算出部、及び
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する制御を行う格納制御部
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の帳票管理システム。
【請求項3】
前記差分データ生成部は、前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に基づいた動き補償フレーム間予測を該部分画像について行い、前記差分データとして、該部分画像についての該分割マスタ画像に対する動きベクトルの情報と動き補償フレーム間予測誤差の情報とを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の帳票画像管理システム。
【請求項4】
前記差分データ生成部は、更に、生成した差分データに対してデータ圧縮処理を施し、
前記帳票画像データ格納部は、前記差分データ生成部によってデータ圧縮処理が施された差分データを格納する、
ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理システム。
【請求項5】
前記帳票画像データ格納部から、前記差分データと該差分データに対応付けられている前記識別情報とを読み出す差分データ読出部、
前記差分データ読出部が読み出した識別情報により特定される分割マスタ画像を前記分割マスタ画像格納部から読み出す特定分割マスタ画像読出部、及び
前記複数の部分画像の各々を、前記差分データ読出部が読み出した差分データと前記特定分割マスタ画像読出部が読み出した分割マスタ画像とから復元し、該復元された部分画像を結合して前記帳票画像取得部により取得された帳票の画像を再現する帳票画像再現部、
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の帳票画像管理システム。
【請求項6】
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
前記マスタ画像を分割することにより取得した一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出する相関度算出部、及び
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する制御を行う格納制御部
を備えることを特徴とする帳票管理システム。
【請求項7】
マスタ画像を取得するマスタ画像取得部、
取得された前記マスタ画像を分割する分割部、
前記分割部で分割されたマスタ画像の各々を分割マスタ画像として格納する分割マスタ画像格納部、
帳票の画像を取得する帳票画像取得部、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、前記分割マスタ画像格納部に格納された複数の分割マスタ画像との間で、差分データが最も少なくなる分割マスタ画像との間の差分データを生成する差分データ生成部、及び
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との差分データが最も少ない分割マスタ画像を特定する識別情報と、前記差分データ生成部が生成した差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて格納する帳票画像データ格納部
を備えることを特徴とする帳票画像管理システム。
【請求項8】
マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておき、
帳票の画像を取得し、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、前記登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索し、
前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての前記部分画像との間の差分データを、該部分画像の各々について生成し、
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との間で差分データの生成に用いた分割マスタ画像を特定する識別情報と、該部分画像についての前記生成された差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて、帳票画像データ格納部に格納する、
ことを特徴とする帳票画像管理方法。
【請求項9】
マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
ことを特徴とする帳票管理方法。
【請求項10】
マスタ画像を分割して複数の分割マスタ画像を登録しておき、
帳票の画像を取得し、
前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像の各々について、相関が高い分割マスタ画像を、前記登録しておいた複数の分割マスタ画像から検索し、
前記部分画像との相関が高い分割マスタ画像に対しての前記部分画像との間の差分データを、該部分画像の各々について生成し、
前記帳票の画像を表現している帳票画像データとして、前記部分画像との間で差分データの生成に用いた分割マスタ画像を特定する識別情報と、該部分画像についての前記生成された差分データとを、前記帳票の画像を分割して得られる複数の部分画像毎に対応付けて、帳票画像データ格納部に格納する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
マスタ画像を分割することで複数の分割マスタ画像を取得し分割マスタ画像格納部に格納しておき、
新たに一の分割マスタ画像を獲得し、
前記一の分割マスタ画像と、前記分割マスタ画像格納部に格納されている複数の分割マスタ画像の各々との相関度を算出し、
前記相関度が所定値よりも低い場合に、前記一の分割マスタ画像を、前記分割マスタ画像格納部に格納する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−208729(P2012−208729A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73826(P2011−73826)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】