説明

幕体開閉装置及び幕体開閉制御方法

【課題】 幕体を傾斜状に張架して、外光を遮光させたり、視界を遮断させる用途の幕体開閉装置において、幕体に外力が加わっても、幕体の損傷や、装置自体の損傷を防止できる幕体開閉装置を提供すること。
【解決手段】 幕体の下端部に取り付けられたウェイトバー22と、第2ブラケット31を介して壁面に揺動可能に軸支されたリンクバー32の先部とを係合し、リンクバー32の上方向の振れを検出させるセンサ部4を設け、さらに、リンクバー32に連係してセンサ42を移動させる移動手段41を設けて、リンクバー32が任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出可能にする。そして、幕体21に大きい外力が負荷された場合に生じるリンクバー32の振れをセンサ部4が検出して幕体21を巻き上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の幕体を電動で巻き上げ及び繰り出しを行う幕体開閉装置と、その幕体開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、窓などに配設して外光を遮光させり視界を遮断させるものとして、例えば、シート状の幕体を電動で巻き上げたり、繰り出しを行う幕体開閉装置がある。
【0003】
この幕体開閉装置は様々なタイプのものがあるが、例えば、シート状の幕体と、幕体を巻回させるロール材と、そのロール材を電動で回動させる駆動部と、幕体の下端部の幅方向に亘って取り付けられた棒状のウェイトバーと、先部がウェイトバーに係合され、壁面に固定されたブラケットを介して上下方向に揺動可能に基部が軸支されたリンクバーとを備えて構成され、上記したリンクバーの開閉方向に幕体が傾斜状に張架されるようした幕体開閉装置がある。
【0004】
ところで、この種の幕体開閉装置は、幕体に大きい外力が負荷された場合、装置自体が損傷してしまう場合もあるため、何らかの解決手段を講じる必要がある。
【0005】
そこで、衝撃による幕体の破損を極力防止させた幕体開閉装置として、たとえば、スクリーン材(幕体)の左右両端部に帯状マグネットを設け、その帯状マグネットによってスクリーン材の左右両端部を窓などの開口部の左右に立設されたレールに着脱可能に吸着せしめ、スクリーン材に取り付けられたベルトを巻き上げて開口部を開放可能とした幕体開閉装置がある。なお、この幕体開閉装置は、防災区画に設けて防火・防煙シャッター用としている。
【0006】
この装置によれば、スクリーン材は、その左右両端部が可撓性吸着手段によって開口部の左右に立設されたレールに着脱可能に吸着せしめられるため、これに衝撃が加わった場合には、スクリーン材の両端部がレールから外れるために、スクリーン材に過大な外力が加わることがなく、結果としてスクリーン材の破損が防止できる、としている(例えば特許文献1参照)
【0007】
【特許文献1】特開2005−113509号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、リンクバーの開閉方向に幕体が傾斜状に張架されるようした幕体開閉装置に上記の手段を適用した場合、突風や暴風雨時など際にリンクバーから幕体が外れて幕体が大きくばたつくだけであり、採用することはできない。もちろん、幕体はもとより装置自体が損傷してしまう場合も考えられる。
【0009】
さらに、幕体が傾斜状に張架されるようした幕体開閉装置は、リンクバーを所要の角度で保持させて、ウェイトバーと窓側との間に所要の間隙の通気路を形成させる場合があり、かかる状態時に幕体に大きい外力が負荷された場合においても、装置自体の損傷を防止できる何らかの新規な解決手段を講じる必要があった。
【0010】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる幕体開閉装置及び幕体開閉制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる幕体開閉装置及び幕体開閉制御方法は、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかる幕体開閉装置は、幕体を電動で巻き上げ及び繰り出し可能な機構制御部を備えた幕体開閉装置であって、幕体の下端部に取り付けられたウェイトバーと、前記ウェイトバーに先部が係合され、壁面に固定されたブラケットを介して上下方向に揺動可能に基部が軸支されたリンクバーと、該リンクバーの上方向の振れを検出させるセンサ部が設けられてなり、前記機構制御部は、前記センサ部の上方向の振れ検出に基づいて前記幕体を巻き上げることを特徴とする。
請求項2にかかる幕体開閉装置は、請求項1において、前記機構制御部は、前記幕体を所望量巻き上げまたは繰り出して前記リンクバーを任意の角度で停止可能に構成され、前記センサ部は、前記ブラケット側に配設されたセンサと、前記リンクバーに固定された検出子と、前記リンクバーが任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出可能に、前記リンクバーに連係して前記センサを移動させる移動手段とを備えてなることを特徴とする。
請求項3にかかる幕体開閉装置は、請求項2において、前記移動手段は、前記リンクバーの基部を軸支させた支持軸の中心線上となる前記ブラケットの所要位置に、上下方向に揺動可能かつ任意角度で停止可能に軸支されると共に、揺動方向に所要間隔をおいて突設された一対の被係止部を備えた揺動ブラケットと、前記リンクバーに固定され、前記一対の被係止部に係合可能に係止部とを備えて構成され、前記センサは、前記揺動ブラケットの前記一対の被係止部間に固定されていることを特徴とする。
請求項4にかかる幕体開閉制御方法は、幕体の下端部に取り付けたウェイトバーと、壁面に上下方向に揺動可能に軸支したリンクバーの先部とが係合して、該リンクバーを介して該幕体が傾斜状となるように電動で巻き上げ及び繰り出しする幕体開閉制御方法であって、前記リンクバーの上方向の振れをセンサで検出し、そのセンサの検出結果に基づいて前記幕体を巻き上げることを特徴とする。
請求項5にかかる幕体開閉制御方法は、請求項4において、前記リンクバーに連係して前記センサを移動して、前記リンクバーが任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、幕体の下端部に取り付けられたウェイトバーと、ブラケットを介して壁面に揺動可能に軸支されたリンクバーの先部とを係合し、リンクバーの上方向の振れを検出させるセンサ部を設けて、幕体に大きい外力が負荷された場合に生じるリンクバーの上方向の振れをセンサ部が検出して幕体を巻き上げるから、幕体はもとより装置自体の損傷を防止することができる。
【0013】
しかも、リンクバーに連係してセンサを移動させる移動手段を設けることによって、リンクバーが任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出可能になるから、幕体はもとより装置自体の損傷を幕体の開閉度に関わらず防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明にかかる幕体開閉装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかる幕体開閉装置は、図1に示すように、機構制御部1と、幕体部2と、リンク部3と、センサ部4とを備えて構成される。
【0015】
機構制御部1は、第1ブラケット11と、ロール部材12と、駆動部13と、制御部14とを備えて構成される。
【0016】
第1ブラケット11は、平面視略L字状に折り曲げ形成された帯板部材であり、壁面に取り付ける取付面に上下方向に延びた取付用のビス孔11aが設けられると共に、その取付面と直交する立設面に、後述するロール部材12をベアリング(図示せず)を介して回動可能に支持させている。この第1ブラケット11は、左右一対からなり、窓枠上部または窓枠上方の壁面(幕体21の巻き上げ方向側の壁面)に、取付面同士が内側となるように配設されている。
【0017】
ロール部材12は、帯布状に形成された所要長さの幕体21の一端が止着され、その幕体21を巻回させる軸体であり、上記したように、ロール部材12の両端部がベアリングを介して第1ブラケット11に回動可能に支持されている。
【0018】
駆動部13は、ロール部材12とは反対側の第1ブラケット11立設面に配設された駆動モーター131と、その駆動モーター131の回動軸(図示せず)と第1ブラケット11から突出したロール部材12の端部とを連係させるベベルギア機構やウォーム・ホイールギヤ機構、あるいはタイミングベルト等の機構部(図示せず)とを備え、駆動モーター131の回動出力によってロール部材12が回動するようになっている。
【0019】
なお、この駆動部13は、本実施の形態では図1において右側の第1ブラケット11に配設しているものを例示しているが、左側の第1ブラケット11又は両側に配設しても良い。
【0020】
制御部14は、駆動モーター131と接続されたリモートコントローラーであり、後述するセンサ部4の上方向の振れ検出に基づいて、異常時に幕体21を巻き上げるようになっている。詳細は後述する。
【0021】
幕体部2は、図1及び図2に示すように、幕体21と、ウェイトバー22とを備えて構成される。
【0022】
幕体21は、不燃性あるいは難燃性の所要長さの帯布部材であり、上記したように、一端(上端部)がロール部材12に止着されている。
【0023】
ウェイトバー22は、幕体21の幅より僅かに長い所要長さ及び所要質量の棒状部材であり、幅方向に亘って幕体21の他端(下端部)を止着させている。
【0024】
リンク部3は、第2ブラケット31と、リンクバー32とを備えて構成される。
【0025】
第2ブラケット31は、平面視略コ字状に折り曲げ形成された帯板部材であり、壁面に取り付ける取付面(並設される一対の立設面との間の面)に取付用のビス孔31aが設けられてなる。この第2ブラケット31は、幕体21を挟んで、左右一対からなり、窓枠下部または窓枠下方の壁面(幕体21の繰り出し方向側の壁面)に配設されている。
【0026】
リンクバー32は、ウェイトバー22の端部に先部が回動可能に枢着されると共に、第2ブラケット31の外側の立設面を挟むように該立設面に基部が回動可能に軸支された棒状部材からなる。このリンクバー32は、幕体21を挟んで、左右一対からなる。
【0027】
センサ部4は、図3〜図5に示すように、移動手段41と、センサ42と、検出子43とを備えて構成される。
【0028】
移動手段41は、揺動ブラケット411と、係止部417とを備えて構成される。
揺動ブラケット411は、リンクバー32の基部を軸支させている支持軸の中心線上となる第2ブラケット31の立設面内壁(リンクバー32の基部側と対向した立設面内壁)に揺動可能に軸支され、その揺動中心の基端を中心にして先端が左右に扇状に広がった板状に形成され、その板状の先部両端に一対のピン状の被係止部412が内側に向かって突設されてなる。
【0029】
また、この揺動ブラケット411の基端と第2ブラケット31の立設面内壁との軸支部分は、図4に示すように、頭部414を有する段付軸413を、その頭部414が揺動ブラケット411に当接するように、かつ、揺動ブラケット411と第2ブラケット31とを貫くように遊嵌され、第2ブラケット31から外方へ突出した部分をナット415で螺着させている。さらに、揺動ブラケット411と第2ブラケット31との間に圧縮バネ416が環装されて、揺動ブラケット411を頭部414方向へ付勢させている。このようにすることによって、この揺動ブラケット411は、回動可能かつ任意角度を維持したまま停止可能(固定可能)になっている。
【0030】
係止部417は、基部近くのリンクバー32内側から、一対の被係止部412に係合するように突設されたクランク状の突片からなり、この係止部417が一対の被係止部412間に位置するように、リンクバー32と揺動ブラケット411は組み付けられている。
【0031】
センサ42は、検出子43を検出可能な被接触型センサであり、揺動ブラケット411の一対の被係止部412間に固定されている。また、センシングを行わせる検出子43は、係止部417に固定されており、停止状態のセンサ42に検出子43が移動・近接することにより、リンクバー32の上方向の振れが検出されるようになっている
【0032】
以上のように構成された本実施の形態にかかる幕体開閉装置は、リモートコントローラを使用者が操作することにより、リンクバー32を介して幕体21が傾斜状に繰り出したり、巻き上がる。そして、幕体21が所要位置(繰り出し、巻き上げ)に達したら、駆動モーター131の回動を停止する。なお、第2ブラケット31に上限センサ44や下限センサ45を設けてオーバーランしないようになっている。
【0033】
次に、幕体21に外力が加わった際における幕体21の開閉制御について説明する。
【0034】
まず、リンクバー32を介して幕体21を傾斜状に繰り出すと、リンクバー32の回動に伴って係止部417が下方に移動し、揺動ブラケット411に突設した下部の被係止部412と係合する。
係止部417と下部の被係止部412とが係合すると、リンクバー32の回動に伴って揺動ブラケット411が下方へ移動する。
【0035】
所望の位置に幕体21が達したら、使用者がリモートコントローラを操作して、幕体21の繰り出しを停止する。なお、幕体21の繰り出し度合いは任意である(図6参照)。
このとき、幕体21の繰り出し停止と同時に、揺動ブラケット411は任意角度を維持したまま移動を停止する。
【0036】
そして、仮に、急な突風や強風が吹き始めるなどして幕体21に外力が加わると、ウェイトバー22が持ち上がり、それに伴い、リンクバー32が上方へ移動する(図7参照)。
【0037】
リンクバー32が上方へ移動すると、それに伴い、係止部417に固定された検出子43が上方へ移動し、揺動ブラケット411に固定されたセンサ42が検出子43を検出して異常信号を制御部14へ送信する。この異常信号を受け取った制御部14は、駆動モーター131の回動して幕体21を巻き上げる。なお、検出子43が上方へ移動してセンサ42が検出するまでの角度は任意である。
【0038】
幕体21を巻き上げると、リンクバー32の回動に伴って係止部417が上方に移動し、揺動ブラケット411に突設した上部の被係止部412と係合する。
係止部417と上部の被係止部412とが係合すると、リンクバー32の回動に伴って揺動ブラケット411が上方へ移動して初期位置に戻る。
【0039】
このようにして、本実施の形態にかかる幕体開閉装置は、幕体21に外力が加わっても、幕体21はもとより装置自体の損傷を防止する。
【0040】
以上、本実施の形態にかかる幕体開閉装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0041】
例えば、上記したリンクバー32の上方向の振れをセンサ42で検出し、そのセンサ42の検出結果に基づいて幕体21を巻き上げる幕体開閉制御方法でも良い。この場合においても、センサ42をリンクバー32に連係して移動して、リンクバー32が任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態にかかる幕体開閉装置の正面図である。
【図2】同、側面図である。
【図3】第2ブラケット廻りの拡大側面図である。
【図4】第2ブラケット廻りの拡大正面図である。
【図5】リンクバーが揺動した状態のセンサ部廻りの拡大正面図である。
【図6】幕体を降ろした状態の第2ブラケット廻りの拡大側面図である。
【図7】幕体に外力が加わった状態の第2ブラケット廻りの拡大側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 機構制御部
11 第1ブラケット
11a ビス孔
12 ロール部材
13 駆動部
131 駆動モーター
14 制御部
2 幕体部
21 幕体
22 ウェイトバー
3 リンク部
31 第2ブラケット
31a ビス孔
32 リンクバー
4 センサ部
41 移動手段
411 揺動ブラケット
412 被係止部
413 段付軸
414 頭部
415 ナット
416 圧縮バネ
417 係止部
42 センサ
43 検出子
44 上限センサ
45 下限センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幕体を電動で巻き上げ及び繰り出し可能な機構制御部を備えた幕体開閉装置であって、
幕体の下端部に取り付けられたウェイトバーと、
前記ウェイトバーに先部が係合され、壁面に固定されたブラケットを介して上下方向に揺動可能に基部が軸支されたリンクバーと、
該リンクバーの上方向の振れを検出させるセンサ部が設けられてなり、
前記機構制御部は、前記センサ部の上方向の振れ検出に基づいて前記幕体を巻き上げることを特徴とする幕体開閉装置。
【請求項2】
前記機構制御部は、前記幕体を所望量巻き上げまたは繰り出して前記リンクバーを任意の角度で停止可能に構成され、
前記センサ部は、
前記ブラケット側に配設されたセンサと、
前記リンクバーに固定された検出子と、
前記リンクバーが任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出可能に、前記リンクバーに連係して前記センサを移動させる移動手段と
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の幕体開閉装置。
【請求項3】
前記移動手段は、
前記リンクバーの基部を軸支させた支持軸の中心線上となる前記ブラケットの所要位置に、上下方向に揺動可能かつ任意角度で停止可能に軸支されると共に、揺動方向に所要間隔をおいて突設された一対の被係止部を備えた揺動ブラケットと、
前記リンクバーに固定され、前記一対の被係止部に係合可能に係止部と
を備えて構成され、
前記センサは、前記揺動ブラケットの前記一対の被係止部間に固定されていることを特徴とする請求項2記載の幕体開閉装置。
【請求項4】
幕体の下端部に取り付けたウェイトバーと、壁面に上下方向に揺動可能に軸支したリンクバーの先部とが係合して、該リンクバーを介して該幕体が傾斜状となるように電動で巻き上げ及び繰り出しする幕体開閉制御方法であって、
前記リンクバーの上方向の振れをセンサで検出し、そのセンサの検出結果に基づいて前記幕体を巻き上げることを特徴とする幕体開閉制御方法。
【請求項5】
前記リンクバーに連係して前記センサを移動して、前記リンクバーが任意の角度で停止したその位置から所要角度上方向の振れを検出することを特徴とする請求項4記載の幕体開閉制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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