干渉フィルタ及び表示装置
【課題】安定した特性を有する干渉フィルタ及び表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、基体と、下側半透過層と、上側半透過層と、を含む干渉フィルタが提供される。前記基体は、主面を有する。前記下側半透過層は、前記主面上に設けられる。前記上側半透過層は、前記下側半透過層の上に設けられる。前記干渉フィルタは、前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有する。前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い。
【解決手段】実施形態によれば、基体と、下側半透過層と、上側半透過層と、を含む干渉フィルタが提供される。前記基体は、主面を有する。前記下側半透過層は、前記主面上に設けられる。前記上側半透過層は、前記下側半透過層の上に設けられる。前記干渉フィルタは、前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有する。前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、干渉フィルタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置などの表示装置において、低消費電力化が望まれている。光利用効率を高め、安定した特性を有する実用的なカラーフィルタが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,924,356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した特性を有する干渉フィルタ及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、基体と、下側半透過層と、上側半透過層と、を含む干渉フィルタが提供される。前記基体は、主面を有する。前記下側半透過層は、前記主面上に設けられる。前記上側半透過層は、前記下側半透過層の上に設けられる。前記干渉フィルタは、前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有する。前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図4】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図6】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図7】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図11】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図12】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図14】第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図15】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の一部の波長選択吸収層の特性を示すグラフ図である。
【図17】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図18】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ310は、基体11と、下側半透過層21と、上側半透過層22と、を備える。
【0009】
基体11は、主面11aを有する。基体11には、例えば、ガラスまたは樹脂などが用いられる。基体11は、例えば光透過性である。
【0010】
下側半透過層21は、主面11a上に設けられる。上側半透過層22は、下側半透過層21の上に設けられる。下側半透過層21及び上側半透過層22は、光に対して、透過性と反射性とを有する。
【0011】
ここで、本願明細書において、上に設けられている状態は、接して上に配置される状態に加え、間に別の要素が挿入されて上に配置される状態を含む。
【0012】
基体11、下側半透過層21及び上側半透過層22は、互いに積層される。
【0013】
本願明細書において、積層されている状態は、直接重ねられる状態に加え、間に別の要素が挿入された状態で重ねられる状態を含む。
【0014】
ここで、主面11aに対して垂直な方向をZ軸方向(第1方向)とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向(第2方向)とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な軸をY軸方向とする。
【0015】
干渉フィルタ310は、複数の領域を有する。具体的には、干渉フィルタは、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cを有する。第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cは、X−Y平面内において互いに並置される。さらに、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれは、X−Y平面内において、複数設けられる。
【0016】
第1領域20aは、例えば、青色光透過領域である。第2領域20bは、例えば、緑色光透過領域である。第3領域20cは、例えば、赤色光透過領域である。
【0017】
すなわち、干渉フィルタ310は、主面11aに平行な平面(X−Y平面内)内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域20aと、緑色光を選択的に透過させる第2領域20bと、赤色光を選択的に透過させる第3領域20cと、を有する。
【0018】
第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれは複数設けられる。複数の第1領域20a、複数の第2領域20b及び複数の第3領域20cのそれぞれは、X−Y平面内の少なくとも1つの方向(例えばX軸方向)に沿って、周期的に繰り返し配置される。複数の第1領域20a、複数の第2領域20b及び複数の第3領域20cのそれぞれが、Y軸方向に沿ってさらに周期的に配置されても良い。実施形態において、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cの配置の順番は任意である。
【0019】
図1に表したように、第2領域20bにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第2距離tb)は、第1領域20aにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第1距離ta)よりも短い。第2距離tbは、第3領域20cにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第3距離tc)よりも短い。すなわち、tb(緑)<ta(青)であり、tb(緑)<tc(赤)である。
【0020】
この例では、第3距離tcは、第1距離taよりも短い。すなわち、tb(緑)<tc(赤)<ta(青)である。ただし、実施形態は、これに限らず、tc(赤)とta(青)との関係は任意である。例えば、tb(緑)<ta(青)<tc(赤)でも良い。
【0021】
干渉フィルタ310においては、例えば、下側半透過層21と上側半透過層22との間における干渉により、特定の波長の光は選択的に透過され、その波長以外の波長の光は反射される。干渉フィルタ310は、例えばファブリペロー型の干渉フィルタである。
【0022】
干渉フィルタ310においては、上記の選択波長は、下側半透過層21と上側半透過層22との間の光学的な距離に基づく。例えば、下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる媒質が同じとき、選択波長は、下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離に基づいて変化する。
【0023】
図1に表したように、干渉フィルタ310は、中間層23をさらに備える。中間層23の厚さは、領域ごとによって異なる。
【0024】
すなわち、干渉フィルタ310は、例えば、第1スペーサ層23aと第3スペーサ層23cとをさらに備えることができる。第1スペーサ層23aは、第1領域20aにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。第3スペーサ層23cは、第3領域20cにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。
【0025】
干渉フィルタ310は、第2スペーサ層23bをさらに含んでも良い。第2スペーサ層23bは、第2領域20bにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。但し、実施形態において、第2スペーサ層23bは設けられなくても良い。例えば、後述するように、第2距離tbは0(零)でも良い。
【0026】
第1スペーサ層23a及び第3スペーサ層23cは中間層23に含まれる。第2スペーサ層23bが設けられる場合は、第2スペーサ層23bは中間層23に含まれる。第1スペーサ層23a、第2スペーサ層23b及び第3スペーサ層23cは、互いに連続していても良く、また、互いに独立していても良い。
【0027】
第2スペーサ層23bが設けられる場合、第2スペーサ層23bの厚さ(第2距離tbと等しい)は、第1スペーサ層23aの厚さ(第1距離taと等しい)よりも薄い。第2スペーサ層23bの厚さは、第3スペーサ層23cの厚さ(第3距離tcと等しい)よりも薄い。
【0028】
これにより、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
干渉フィルタ310の特性に関しては後述する。
【0029】
このように、本実施形態に係る干渉フィルタ310は、基体11と、基体11の主面11aの上に設けられた波長選択透過層20と、を含む。波長選択透過層20は、下側半透過層21と上側半透過層22と中間層23とを含む。
【0030】
波長選択透過層20のうちの第1領域20aに相当する部分を、便宜的に青の透過フィルタと呼ぶことにする。波長選択透過層20のうちの第2領域20bに相当する部分を、便宜的に緑の透過フィルタと呼ぶことにする。波長選択透過層20のうちの第3領域20cに相当する部分を、便宜的に赤の透過フィルタと呼ぶことにする。
【0031】
図1に表したように、干渉フィルタ310において、下側半透過層21は、第1誘電体膜25と、第2誘電体膜26と、を含む。第2誘電体膜26は、第1誘電体膜25と(Z軸に方向に沿って)積層される。第2誘電体膜26の屈折率は、第1誘電体膜25の屈折率とは異なる。以下では、第2誘電体膜26の屈折率が、第1誘電体膜25の屈折率よりも低い場合として説明する。
【0032】
上側半透過層22は、第3誘電体膜27と、第4誘電体膜28と、を含む。第4誘電体膜28は、第3誘電体膜27と(Z軸に方向に沿って)積層される。第4誘電体膜28の屈折率は、第3誘電体膜27の屈折率とは異なる。以下では、第4誘電体膜28の屈折率が、第3誘電体膜27の屈折率よりも低い場合として説明する。
【0033】
図1に示した例では、中間層23の屈折率は、第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率よりも低い。
【0034】
550ナノメートル(nm)の波長における第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率は、例えば、約2.5である。第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27には、例えばTiO2が用いられる。
【0035】
550nmの波長における第2誘電体膜26(低屈折率膜)及び第4誘電体膜28(低屈折率膜)の屈折率は、例えば、約1.46である。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28には、例えば、SiO2が用いられる。
【0036】
このように、干渉フィルタ310においては、屈折率が互いに異なる誘電体の薄層が積層される。干渉フィルタ310は、後述するように、光リサイクル層として機能することができる。
【0037】
このように、干渉フィルタ310は、誘電体積層膜(誘電体多層膜)を含む少なくとも2層の共通の半透過層(下側半透過層21及び上側半透過層22)と、これらの半透過層の間に設けられた中間層23と、を含む。中間層23の厚さを変化させることで、干渉フィルタ310の透過色を赤、緑及び青の3色に変化させる。中間層23の厚さは、緑のスペーサ層厚(第2距離tbに対応する)<赤のスペーサ層厚(第3距離tcに相当する)<青のスペーサ層厚(第1距離taに相当する)の関係を有する。
【0038】
干渉フィルタ310においては、ファブリペロー型の干渉フィルタの構成が利用されるため、それぞれのカラーフィルタ(第1〜第3領域20a〜20c)において、透過色以外は、ほとんど損失されずに反射される。例えば、白色光の中の赤色の成分は、干渉フィルタの赤の透過フィルタ(第3領域20c)を透過できるが、青や緑の波長成分を持った光は、第3領域20cを透過せずに反射される。
【0039】
例えば、反射された緑の光は、例えば干渉フィルタ310と併設される反射層と干渉フィルタ310との間で多重反射され、緑の透過フィルタ(第2領域20b)に到達すると、第2領域20bから出射する。
【0040】
赤の透過フィルタ(第3領域20c)に入射した緑の光及び青の光は、干渉フィルタ310と反射層との間で多重反射され、それぞれ第2領域20b及び第1領域20aから出射する。
【0041】
吸収型のカラーフィルタにおいて、赤色吸収層に入射した青の光及び緑の光は、赤色吸収層で吸収されて損失される。吸収型のフィルタを干渉フィルタ310と組み合わせることで、光はリサイクルされて有効に利用される。例えば、吸収型カラーフィルタでは2/3の光が損失される。これに対し、光が吸収型のフィルタに入射する前に干渉フィルタ310を通過するように吸収型のフィルタと干渉フィルタ310とを配置することで、実質的に損失が無い状態が実現できる。これにより、吸収型フィルタにおける効率の実質的に3倍の効率を得ることが可能になる。
【0042】
図1に表したように、干渉フィルタ310は、上側半透過層22の上に設けられたオーバーコート層29をさらに含むことができる。オーバーコート層29を設けることで、例えば、干渉フィルタ310の上面の平坦性が向上する。なお、オーバーコート層29は、必要に応じて設けられ、場合によっては省略できる。オーバーコート層29を設けることで、干渉フィルタ310の上面の上に、種々のデバイスを形成し易くなる。
【0043】
なお、図1に示した例では、2つの第1誘電体膜25が設けられ、2つの第1誘電体膜25の間に1つの第2誘電体膜26が設けられている。しかし、実施形態においては、第1誘電体膜25及び第2誘電体膜26の数は任意である。例えば、複数の第1誘電体膜25と、複数の第2誘電体膜26と、が設けられ、これらが交互に積層されても良い。また、1つの第1誘電体膜25と、1つの第2誘電体膜26と、が設けられても良い。
【0044】
また、この例では、2つの第3誘電体膜27が設けられ、2つの第3誘電体膜27の間に1つの第4誘電体膜28が設けられている。しかし、実施形態においては、第3誘電体膜27及び第4誘電体膜28の数は任意である。例えば、複数の第3誘電体膜27と、複数の第4誘電体膜28と、が設けられ、これらが交互に積層されても良い。また、1つの第3誘電体膜27と、1つの第4誘電体膜28と、が設けられても良い。
【0045】
以下、干渉フィルタの特性の例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ311においては、下側半透過層21において、1つの第1誘電体膜25と、1つの第2誘電体膜26と、が設けられている。また、上側半透過層22において、1つの第3誘電体膜27と、1つの第4誘電体膜28が設けられている。そして、下側半透過層21と上側半透過層22との間に中間層23が設けられる。この例では、第1誘電体膜25と第3誘電体膜27との間に中間層23が設けられている。第1誘電体膜25と中間層23との間に第2誘電体膜26が設けられている。第3誘電体膜27と中間層23との間に第4誘電体膜28が設けられている。
【0046】
第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27の屈折率(波長550nm)は、例えば、2.5である。第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27の厚さ(Z軸に沿った長さ)は、例えば、53.5nmである。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28の屈折率(波長550nm)は、例えば、1.46である。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28の厚さは、例えば、91.6nmである。
【0047】
これらの層の厚さは、例えばNTSCにおける緑の主波長である535nmの1/4波長の光学距離になる様に調整されている。
【0048】
中間層23の屈折率は、例えば2.5である。中間層23の厚さt0を変えることで、干渉フィルタ311の光学特性が変化する。
【0049】
図3は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
横軸は波長λ(nm)である。縦軸は、干渉フィルタ311の透過率Trである。このグラフには、中間層の厚さt0が、0nm、12nm、84nm、107nm、134nm及び178nmであるときの透過率Trの波長依存性が示されている。グラフ中の数値は、中間層の厚さt0である。
【0050】
中間層23の厚さt0が0nmまたは107nmのとき、干渉フィルタ311は緑光を透過する。厚さt0が12nmまたは134nmのとき、干渉フィルタ311は赤光を透過する。厚さt0が84nmまたは178nmのとき、干渉フィルタ311は青光を透過する。
【0051】
この様に、中間層23の厚さt0によって透過波長は変化する。このとき、干渉フィルタ311を実際に製造する際において、中間層23の厚さt0は製造ばらつきにより変化する。厚さt0が過度に変動すると、干渉フィルタ311の特性は所望の特性からずれてしまう。本願発明者は、干渉フィルタ311を実用化する際に問題となるこのような課題に着目した。
【0052】
以下、中間層23の厚さの変化と光学特性の変化との関係の例について説明する。
図4は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図4は、中間層23の厚さのばらつきの例を示している。横軸は中間層23の厚さt0であり縦軸は確率密度fである。
図4に表したように、中間層23の厚さt0は、例えば、中心値μを中心として標準偏差σの正規分布で分布する。
【0053】
以下では、この正規分布の仮定に基づいて、干渉フィルタ311の特性を計算した結果の例を説明する。この計算では、厚さt0は、製造ばらつきにより標準偏差σが中心値μの10%である正規分布を有すると仮定した。なお、この仮定は、中間層23をCVD(Chemical vapor Deposition)などで形成する場合の厚さt0の面内ばらつきに対応する。
【0054】
図5(a)〜図5(c)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、中間層23の厚さt0の中心値μ(μm)が134nm(赤)、107nm(緑)及び84nm(青)のときにそれぞれ対応する。そして、これらの図は、中心値μ±σ(10%)で厚さt0が変化したときの、透過光の色を示すCEI色度図である。
【0055】
図5(a)〜図5(c)に表したように、厚さt0が±10%で変化すると、色は非常に大きく変化する。例えば、赤及び緑に関しては、±10%の分布がある場合には、全ての色に渡って変化する。つまりこの程度の厚さt0の変化で、干渉フィルタの特性は望んでいない特性になる。
【0056】
図5(a)〜図5(c)では、中間層23の厚さt0の変化に関して例示したが、実際には、下側半透過層21及び上側半透過層22の厚さの変動による光学特性の変化も考えられる。しかし、計算の結果、中間層23の厚さの変動の影響が、下側半透過層21及び上側半透過層22の厚さの変動の影響に比べて非常に大きいことが分かった。
【0057】
本願発明者は、安定した特性のカラーフィルタを得るために、中間層23の厚さt0が変化したときに光学特性の変化が小さくなる構成について検討した。
【0058】
緑の透過フィルタは、535nm程度に透過光のピークがある透過スペクトルを有する。赤や青の透過スペクトルにおいては長波長側や短波長側にピークがあるのに対して、緑の透過フィルタにおいては、視感度の高い部分にピークが存在する。
【0059】
例えば、青の透過フィルタにおいては、厚さt0が薄くなる場合には、透過のピークは、短波長に移動するが、このときの色度は、色度図上では青の周辺に留まる。つまり、青の透過フィルタにおいては、厚さt0が薄くなる場合には、色の変化は小さい。
【0060】
例えば、赤の透過フィルタにおいては、厚さt0が厚くなる場合には、赤から色は大きくは変化しない。但し、図5(a)に示したt0=134nmの例では、短波長側(約400nm)の透過率が高く、厚さt0が厚くなることによりこの部分が青側に移動してしまうため、青側への変化も現れる。
【0061】
これに対して、緑の透過フィルタにおいては、視感度が高い部分にピークがあり、そのピークが厚さt0の変化により移動するために、色の変化が大きい。
【0062】
このとき、緑の透過フィルタにおける中間層23を薄く設定することで、中間層23の厚さt0の変動に起因した色の変化が抑制できる。実施形態においては、例えば、緑の透過フィルタにおいては、中間層23を設けない。すなわち、t0=0nmとする。これにより、中間層23の厚さt0の変動に起因した色の変化は発生しない。
【0063】
図6は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図6に示したように、中間層23の厚さt0の中心値μが0nmのとき、及び、107nmのときに、緑色の透過特性が得られる。すなわち、波長λが535nm程度において透過率Trのピークが現れる。
【0064】
図7は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
この図は、中心値μが0nmのとき、及び、107nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。中心値μが107nmのときに厚さt0が±10%で変化すると、色は大きく変化する。色は、赤から青まで広範囲に変化する。
これに対し、中心値μが0nmのときは製造ばらつきによる厚さt0の変化もないので、色の変化はない。
【0065】
実施形態においては、緑の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0を、赤の透過フィルタ及び青の透過フィルタにおける厚さt0よりも薄く設定する。具体的には、例えば、緑の透過フィルタにおいては中間層23を設けない。これにより、緑の透過フィルタにおける色変化を抑制できる。
【0066】
なお、図6から分かるように、t0=0nmのときの、緑以外の波長領域における透過率Trは、t0=107nmのときよりも高い。このため、t0=0nmのときの色域は、t0=107nmのときの色域よりも小さい。しかしながら、中間層23を設けない構成においては、厚さt0の変動に対するロバスト性が高い。
【0067】
図8(a)及び図8(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図8(a)は、中間層23の厚さt0の中心値μが134nm(赤)のときの透過率Trの波長依存性を例示している。この図に示された特性は、図3に例示した特性と同じである。図8(b)は、中心値μが134nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0068】
図8(a)に表したように、中心値μが134nmのとき、良好な赤の透過スペクトルが得られる。
図8(b)に表したように、中間層23の厚さt0が薄くなった場合(マイナス:−の表記)には、緑の領域まで、色変化が生じている。一方、厚さt0が134nmよりも厚くなった場合(プラス:+の表記)には、青の領域まで、色変化が生じている。この原因は、図8(a)に示した様に、短波長側(約400nm)の透過率Trが高く、厚さt0が厚くなることによりこの部分が青側に移動することである。このように、厚さt0が134nmの場合には、厚さt0の変動により青の光が透過するために色が青色に変化してしまう。
【0069】
図9(a)及び図9(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図9(a)は、中間層23の厚さt0の中心値μが12nm(赤)のときの透過率Trの波長依存性を例示している。この図に示された特性は、図3に例示した特性と同じである。図9(b)は、中心値μが12nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0070】
図9(a)に表したように、中心値μが12nmのとき、赤の透過スペクトルが得られる。
図9(b)に表したように、中間層23の厚さt0が±10%で変化しても、色変化は非常に小さい。
実施形態においては、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の中心値μとして12nmを用いる。これにより、厚さt0の変動に対して色の変化を小さくできる。
【0071】
実施形態においては、緑の透過フィルタにおいては、中間層23を設けず、すなわち、厚さt0=0nmである。そして、赤の透過フィルタにおいては、中間層23の厚さt0を12nmとする。
【0072】
このように、535nmの緑に対応する中間層23の厚さt0は0nmであり、610nmの赤に対応する中間層23の厚さt0は12nmである。すなわち、12nmの厚さt0の変化が、透過光の中心波長の75nmの移動に対応する。
【0073】
例えば、12nmの10%である1.2nmだけ厚さt0が薄くなった場合には、大まかに言って、緑と赤の波長差の10%だけ、赤が短波長側にシフトすることになる。これに対して、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0を134nmとすると、10%(つまり13.4nm)薄くすると、厚さt0は120.6nmになる。一方、t0が107nmのときは緑に対応する。このため、厚さt0が134nmの場合において、10%薄くすると、緑と赤と差の1/4程度まで短波長化することに対応する。
【0074】
従って、色変化を小さくするために、赤の透過フィルタにおいて、中間層23の厚さ10の中心値μとして12nmを用いることが好ましい。
【0075】
図10(a)及び図10(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図10(a)は、中心値μが84nm(青)のときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。図10(b)は、中心値μが76nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0076】
図10(a)に表したように、中心値μが84nm(青)のときにおいて、厚さt0が±10%で変化すると、色が大きく変化する。このとき、厚さt0がプラス(+)側にずれた時と、マイナス(−)側にずれた時と、で色変化の状況が異なることが分かった。すなわち、厚さt0がプラス側にずれた場合には、色の変化が非常に大きいのに対し、マイナス側に変化した場合には色の変化が非常に小さい。つまり、厚さt0が変動する際に、薄くなる場合は大きな色変化は生じない。これは、青の透過スペクトルにおいは、厚さt0が薄くなって透過ピークが短波長化したとしても、青の波長領域において視感度が鈍いためであると考えられる。これにより、例えば、青色の透過フィルタにおいて、短波長化しても、大きな色変化として知覚されないことが分かった。
【0077】
実施形態において、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の目標値をNTSCの青の主波長に相当する厚さよりも小さく設定する。具体的には、中間層23の厚さt0の目標値を、青の主波長である470nmに相当する厚さよりも小さく設定することが好ましい。これにより、青の透過フィルタにおける色変化を小さくすることができる。例えば、NTSCの青に相当する厚さt0は84nmであり、その90%の値(76nm)に、中心値μを設定する。
【0078】
図10(b)に表したように、中間層23の厚さt0の中心値μが76nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化しても、色の変化は小さい。この様に、中間層23の目標の厚さt0を、NTSCの青に相当する厚さよりも小さく設定することにより、中間層23の厚さt0が変動したときの色変化を抑制できる。すなわち、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さに対応する目標波長値Btは、NTSCの青の波長(470nm)よりも短く設定される。
【0079】
なお、赤の透過フィルタにおいても、目標波長値を赤の波長からシフトさせる設計が考えられる。例えば、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さの目標値を、NTSCの赤に対応する厚さの目標値よりも、プラス側にシフトさせる。これにより、厚さt0の変動に対して色変化を抑制できるはずである。
【0080】
しかし、図8(a)及び図8(b)に例示したように、中間層23の厚さt0の中心値μを134nmの近傍に設定した場合は、紫外域においても透過率Trが高い。このため、厚さt0の目標値をプラス側にシフトさせると、青領域の透過率Trが上昇し、目標の赤から離れた色になる。
【0081】
それに対して、図9(a)及び図9(b)に例示したように、中間層23の厚さt0の中心値μを12nmの近傍に設定した場合は、紫外域での透過率Trが低い。このため、目標の厚さt0をプラス側に設定しても、赤からの色のずれは小さい。ただし、厚さt0を目標値からシフトさせたときの色変化の抑制効果よりも、厚さt0の中心値μを134nmから12nmにすることによる色変化の抑制効果の方が大きいため、赤の透過フィルタについては厚さt0を12nmにすることが好ましい。
【0082】
なお、視感度が高い緑については、厚さt0がプラス側及びマイナス側のいずれの方向に変化しても、色の変化が大きい。
【0083】
青の透過フィルタについて、スペーサ層23(第1スペーサ層23a)の厚さを変えたときの光学特性をシミュレーションした結果の例について説明する。以下では、目標とする青の色のピーク波長を、NTSCの標準の青である470nm(λboとする)とする。この波長がピークとなる透過フィルタの光学距離Lbo(厚さと屈折率との積)は、Lbo=λbo/4で表され、117.5nmとなる。この例では、470nmにおけるスペーサ層23の屈折率を1.40とする。このとき、470nmのピーク波長に対応する第1スペーサ層23aの厚さは84nm(=117.5/4)である。このシミュレーションでは、第1スペーサ層23aの厚さの中心値μを、84nmの他に、92nm、76nm、67nm及び59nmと変えた。そして、その中心値μに対して、それぞれの厚さが±10%の標準偏差でばらついているとした。このように厚さがばらついているときに得られる色度を求め、この結果に基づいて、NTSCの青の色度座標(0.14,0.08)と、の色差ΔEのばらつきを求めた。これにより、それぞれの中心値μについて、所定の色差ΔEの範囲に入る発生率が求められる。この結果から、それぞれの厚さがばらついたとき(この例では±10%の標準偏差)において、90%の発生率で生じる色差の最大値ΔEmが求まる。
【0084】
図11は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
図11の横軸は、第1スペーサ層23aの厚さの中心値μにおける透過ピークの波長λp(nm)である。縦軸は、中心値μ±10%の標準偏差で厚さがばらついたときに90%の発生率で生じる色差の最大値ΔEである。
【0085】
図11からわかるように、第1スペーサ層23aの中心値μが84nmである場合には、中心値μにおける透過ピークの波長λpは470nmである(設計通り)。このとき、色差の最大値ΔEmは0.23である。すなわち、中心値μが84nmであるときは、厚さのばらつきに起因して、90%の発生率の特性は、NTSCの青の色度から、最大で0.23の色差ΔEでずれる。
【0086】
これに対して、第1スペーサ層23aの中心値μが76nmである場合には、波長λpは、約450nmである。このとき、色差の最大値ΔEmは約0.05であり、非常に小さい。すなわち、中心値μを76nmにすると、透過ピークの波長λpは目標値の470nmから少しずれるものの、厚さのばらつきがある場合においても、90%の発生率の特性は、NTSCの青の色度からの色差ΔEは0.05に収まる。
【0087】
一方、厚さの中心値μが92nmのときは色差の最大値ΔEmは0.45であり、色のばらつきが著しく大きくなる。
【0088】
厚さの中心値μが67nmのときは、色差の最大値ΔEmは0.06であり、中心値μが59nmのときは、色差の最大値ΔEmは0.15である。中心値μが76nmよりも小さいときの色差の最大値ΔEmの上昇の程度は低い。しかしながら、中心値μmを過度に小さくすると、透過ピークの波長λpと目標とする470nmとの差が過度に大きくなる。
【0089】
以上のように、目標とする波長がNTSCの青(470nm)のときに、厚さにばらつきが無い場合は、厚さの中心値μを84nmに設定することで目標とする色特性が得られる。しかしながら、上記のように、厚さにばらつきがある場合には、厚さの中心値を76nmにしたときに、NTSCの青との色差のばらつきが小さい色が得られ、かつ、NTSCの青の波長(470nm)に近いピークの波長λp(450nm)が得られる。
【0090】
従って、第1スペーサ層23aの厚さのばらつき存在する実用状態を考慮すると、厚さの中心値を470nmから450nmにシフトさせることで、厚さのばらつきがあったときにおいて、目標の色に近い実用的な特性が得られる。このとき、450nmが470nmの90%の値であることを考慮すると、目標とする波長(470nm)の90%の波長に対応する値以上に、中心値μmを設定することが好ましい。
【0091】
上記は、スペーサ層23の屈折率が1.40である場合の例であるが、上記の検討結果は、他の屈折率の場合にも適用できる。すなわち、第1スペーサ層23aの光学距離Lbo(第1距離tbと第1スペーサ層23aの屈折率との積)の中心値を、117.5nm(すなわち470nm/4)の90%(すなわち105.8nm)以上、117.5nm未満に設定する。これにより、製造ばらつきなどに起因して厚さがばらついたときにおいて、適正は色を維持しつつ、ばらつきの小さい実用的な特性が得られる。
【0092】
実施形態においては、第1領域20a内における第1距離taと第1スペーサ層23aの屈折率との積は、105.8nm以上117.5nm未満に設定される。これにより、例えば、厚さのばらつきがある実用的な条件において、目的とする青を得易くなる。
【0093】
図12は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。 図12に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ312においては、緑の透過フィルタにおいては、中間層23が設けられない。すなわち、中間層23の厚さt0を0nmに設定する。すなわち、第2領域20bにおいては、下側半透過層21は上側半透過層22と接する。図12に示した例では、図1と同様に、中間層23の屈折率は、第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率よりも低い。
【0094】
赤の透過フィルタにおいては、例えば、中間層23の厚さt0を、「0nmの次に厚い厚さ」に設定する。上述の通り、赤の透過フィルタの方が青の透過フィルタよりも厚さt0のずれに対する色の変化が大きいためである。具体的には、厚さt0を、例えば約12nmに設定する。この様に、赤の透過フィルタにおける中間層23を134nmではなく、薄い12nmに設定することにより、厚さt0の変動による色変化を小さくすることができるため、赤の透過フィルタについては厚さt0を12nmにすることが好ましい。
【0095】
青の透過フィルタにおいては、中間層23の厚さt0を、「赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の次に厚い厚さ」に設定する。具体的には、厚さt0を約84nmに設定する。このとき、青の透過フィルタにおいては、厚さt0がマイナス側に振れた場合の色変化は小さく、プラス側に振れた場合の色変化が大きい。従って、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の目標値は、NTSCの青に対応する厚さよりも小さく設定することが望ましい。これにより、厚さt0がプラス側に振れた時の色変化を小さくでき、全体の色変化を小さくできる。
【0096】
すなわち、第2距離tb(緑)は、0である。第3距離tc(赤)は、約12nmである。第1距離ta(青)は、約76nm〜約84nmである。すなわち、厚さt0を、tb(緑)<tc(赤)<ta(緑)を満たす関係に設定する。
【0097】
本実施形態に係る干渉フィルタ312によれば、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
【0098】
図13(a)〜図13(c)は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)〜図13(c)は、第1〜第3領域20a〜20cにおける波長選択透過層の構成をそれぞれ例示している。
【0099】
図13(a)〜図13(c)に表したように、本実施形態に係る別の干渉フィルタ313においては、下側半透過層21において、互いに積層された2つの第1誘電体膜25と、2つの第2誘電体膜26と、が設けられている。また、上側半透過層22において、互いに積層された2つの第3誘電体膜27と、2つの第4誘電体膜28と、が設けられている。中間層23は、第2誘電体膜26と第4誘電体膜28とに接している。この例では、中間層23の屈折率は、第2誘電体膜26(低屈折率膜)及び第4誘電体膜28(低屈折率膜)の屈折率よりも高い。
【0100】
第1〜第4誘電体膜25、26、27及び28の屈折率及び厚さは、例えば、干渉フィルタ311に関して説明したものと同じである。
【0101】
図13(a)に表したように、第1領域20aにおける中間層23の厚さ(すなわち第1距離ta)は、約138nmである。図13(b)に表したように、第2領域20bにおいては、中間層23が設けられず、第2距離tbは0である。図13(c)に表したように、第3領域20cにおける中間層23の厚さ(すなわち第3距離tc)は、約27nmである。
【0102】
図14は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。 図14に表したように、干渉フィルタ313においては、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれにおいて、青、緑及び赤を透過する良好な特性が得られる。
干渉フィルタ313においても、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
【0103】
(第2の実施形態)
本実施形態は、表示装置に係る。
図15は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図15に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、第1の実施形態に係る干渉フィルタ(例えば干渉フィルタ310)と、波長選択吸収層40と、光制御層50と、を含む。
【0104】
波長選択吸収層40は、基体11と積層される。光制御層50は、基体11と積層される。この例では、光制御層50は、干渉フィルタ310の波長選択透過層20と波長選択吸収層40との間に設けられる。
【0105】
光制御層50には、例えば液晶層が用いられる。光制御層50は、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれを通過する光の強度を制御する。光制御層50には、液晶の他、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたメカニカルなシャッタなどを用いることもできる。このように、実施形態において、光制御層50の構成は任意である。
【0106】
波長選択吸収層40は、青色の第1吸収層40aと、緑色の第2吸収層40bと、赤色の第3吸収層40cと、を含む。第1吸収層40aは、Z軸(主面11aに対して垂直な方向)に沿って見たときに、第1領域20aと重なる部分を有する。第2吸収層40bは、Z軸方向に沿って見たときに、第2領域20bと重なる部分を有する。第3吸収層40cは、Z軸方向に沿って見たときに、第3領域20cと重なる部分を有する。
【0107】
図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の一部の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、波長選択吸収層40の特性を例示している。図16(a)は、透過スペクトルを示し、図16(b)は、吸収スペクトルを示す。これらの図の横軸は、波長λである。図16(a)の縦軸は、透過率Trであり、図16(b)の縦軸は、吸収率Abである。第1波長帯λa、第2波長帯λb及び第3波長帯λcは、それぞれ青色の波長帯、緑色の波長帯及び赤色の波長帯に対応する。
【0108】
図16(a)に表したように、第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cのそれぞれにおいて、第1波長帯λa、第2波長帯λb及び第3波長帯λcの透過率Trが高い。第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cは、それぞれ、青色、緑色及び赤色の吸収型のカラーフィルタである。
【0109】
図16(b)に表したように、第1波長帯λaの光に対する第1吸収層40aの吸収率Abは、可視光のうちの第1波長帯λaを除く波長帯の光に対する第1吸収層40aの吸収率Abよりも低い。第2波長帯λbの光に対する第2吸収層40bの吸収率Abは、可視光のうちの第2波長帯λbを除く波長帯の光に対する第2吸収層40bの吸収率Abよりも低い。第3波長帯λcの光に対する第3吸収層40cの吸収率Abは、可視光のうちの第3波長帯λcを除く波長帯の光に対する第3吸収層40cの吸収率Abよりも低い。
【0110】
第1の実施形態に関して説明した波長選択透過層20と、図16(a)及び図16(b)に例示した特性を有する波長選択吸収層40と、を積層することで、後述するように、光利用率が向上する。
【0111】
図15に例示した表示装置110の例についてさらに説明する。
主基板10は、基体11と、波長選択透過層20と、回路層30と、を含む。回路層30は、波長選択透過層20の上に設けられる。すなわち、波長選択透過層20は、基体11と回路層30との間に設けられる。
【0112】
回路層30は、複数の画素領域を有する。この例では、回路層30は、第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cを有する。Z軸方向に沿ってみたときに、第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cのそれぞれは、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれと重なる部分を有する。
【0113】
図15に例示したように、この例では、主基板10の主面11aに対向する対向基板12が設けられている。対向基板12の対向主面12a(主面11aに対向する面)に、波長選択吸収層40が設けられている。
【0114】
波長選択吸収層40は、第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cを含む。
【0115】
第1吸収層40aは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第1画素電極31aと重な
第2吸収層40bは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第2画素電極31bと重なる
第3吸収層40cは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第3画素電極31cと重なる部分を有する。
【0116】
この例では、波長選択吸収層40と主基板10との間に光制御層50が設けられている。波長選択吸収層40と光制御層50との間に、対向電極13が設けられている。対向基板12の対向主面12a上に設けられた波長選択吸収層40の上に対向電極13が設けられている。なお、波長選択吸収層40は、主基板10に設けられても良い。波長選択吸収層40は、回路層30と波長選択透過層20との間に設けても良い。
【0117】
図17は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
同図は、主基板10の構成の例を拡大して示している。
図17に例示したように、第1スペーサ層23aと第3スペーサ層23cとが設けられる。図17には第2スペーサ層23bが図示されているが、第2スペーサ層23bは設けられなくても良い。
【0118】
図17に表したように、回路層30は、第1〜第3画素電極31a、31b及び31cに加え、第1〜第3スイッチング素子32a、32b及び32cをさらに含む。
第1〜第3スイッチング素子32a〜32cのそれぞれは、第1〜第3画素電極31a〜31cのそれぞれに接続される。第1〜第3スイッチング素子32a〜32cには、例えば、トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0119】
具体的には、第1スイッチング素子32aは、第1ゲート33aと、第1半導体層34aと、第1信号線側端部35aと、第1画素側端部36aと、を有する。第2スイッチング素子32bは、第2ゲート33bと、第2半導体層34bと、第2信号線側端部35bと、第2画素側端部36bと、を有する。第3スイッチング素子32cは、第3ゲート33cと、第3半導体層34cと、第3信号線側端部35cと、第3画素側端部36cと、を有する。
【0120】
第1〜第3ゲート33a〜33cは、例えば走査線(図示しない)に接続される。第1〜第3信号線側端部35a〜35cは、例えば複数の信号線(図示しない)のそれぞれに接続される。第1ゲート33aと第1半導体層34aとの間、第2ゲート33bと第2半導体層34bとの間、及び、第3ゲート33cと第3半導体層34cとの間に、ゲート絶縁膜37が設けられる。
【0121】
第1〜第3半導体層34a〜34cには、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンなどの半導体が用いられる。
【0122】
第1信号線側端部35aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか一方である。第1画素側端部36aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか他方である。第2信号線側端部35bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか一方である。第2画素側端部36bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか他方である。第3信号線側端部35cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか一方である。第3画素側端部36cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか他方である。
【0123】
第1〜第3画素側端部36a〜36cのそれぞれが、第1〜第3画素電極31a〜31cのそれぞれに電気的に接続される。
【0124】
なお、回路層30は、図示しない補助容量線をさらに含んでも良い。また、回路層30は、スイッチング素子の動作を制御する制御回路をさらに含んでも良い。
【0125】
例えば、画素電極(第1〜第3画素電極31a〜31c)のそれぞれに接続されたスイッチング素子(第1〜第3スイッチング素子32a〜32c)を介して、画素電極のそれぞれに所望の電荷が供給される。画素電極のそれぞれと対向電極13との間に電圧が印加され、光制御層50に電圧(例えば電界)が印加される。印加された電圧(例えば電界)に応じて、光制御層50の光学特性が変化し、それぞれの画素の透過率が変化し表示が行われる。
【0126】
光制御層50として、液晶層が用いられる場合は、印加された電圧(例えば電界)に応じて、液晶層の液晶の配列が変化する。配列の変化に応じて液晶層の光学特性(複屈折率、旋光性、散乱性、回折性及び吸収性などの少なくともいずれかを含む)が変化する。
【0127】
図15に表したように、この例では、第1偏光層61と第2偏光層62とがさらに設けられる。第1偏光層61と第2偏光層62との間に、主基板10、波長選択吸収層40及び光制御層50が配置される。これにより、光制御層50(液晶層)における光学特性の変化が、光透過率の変化に変換され、表示が行われる。なお、偏光層の位置は任意である。なお、対向電極13は、主基板10に設けても良い。この場合には、例えば、X−Y平面に対して平行な成分を有する電界が光制御層50に印加され、光制御層50の光学特性が変化する。
【0128】
図15に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、照明ユニット70をさらに含む。照明ユニット70は、波長選択透過層20から波長選択吸収層40に向かう方向に沿って、波長選択透過層20に照明光70Lを入射させる。
【0129】
照明ユニット70は、例えば、光源73と、導光体71と、照明用反射層72と、進行方向変化部74と、を含む。導光体71には、例えば、透明なアクリル樹脂などが用いられる。
【0130】
光源73は、光を生成する。光源73には、例えば半導体発光素子(例えばLED)が用いられる。光源73は、例えば導光体71の側面に配置される。照明用反射層72と主基板10との間に導光体71が配置される。光源73で生成された光が導光体71に入射する。光は、導光体71中を例えば全反射しながら伝搬する。進行方向変化部74は、導光体71を伝搬する光の進行方向を変え、光を効率良く主基板10に入射させる。進行方向変化部74には、例えば、溝などの凹凸形状を有する構造体が用いられる。例えば、進行方向変化部74によって進行方向が変化した光の一部が、主基板10に向けて進む。なお、照明ユニット70の光源73から出射した光が基体11中を伝搬し、伝搬した光が波長選択透過層20に入射しても良い。
【0131】
図15に例示した表示装置110は、ファブリペロー型干渉フィルタを使用した液晶表示装置である。
表示装置110において、光源73から導光体71に入射した光は、導光体71と空気との界面で全反射する。導光体71の上下の界面で全反射が生じ、導光体71の中を光が伝搬する。導光体71の中を進行する光が進行方向変化部74(突起など)に入射すると、全反射の条件が崩れる。進行方向変化部74において反射した光L1は、表示面側(対向基板12の側)へ進行方向が変えられる。
【0132】
光L1のうちの特定の色の成分の光は、波長選択透過層20の例えば第1領域20aを透過する。このとき、第1画素領域30aにおける光制御層50が透過状態になっている場合には、光は表示面から出射する。光L1のうちの別の色の成分の光は、第1領域20aを透過できず、第1領域20aの波長選択透過層20で反射され、導光体71に入射する。この反射された光L2は、照明用反射層72で反射し、波長選択透過層20と照明用反射層72との間で多重反射を繰り返す。光L2の波長の光が透過できる領域(例えば第2領域20b)において、光L2は、例えば第2領域20bを透過する。第2画素領域30bの光制御層50が透過状態になっている場合には、光は表示面から出射する。
【0133】
このように、表示装置110においては、波長選択透過層20を用いることで、光の利用効率が高い。
【0134】
すなわち、波長選択吸収層40に到達する光は、波長選択透過層20を通過しているので、その波長特性は、波長選択吸収層40の吸収特性に適合するように制御されている。このため、波長選択吸収層40で吸収される光の成分は、波長選択透過層20を用いない場合に比べて低減される。このため、光の損失が抑制できる。また、波長選択吸収層40の吸収率Abが低い場合でも、所望の色特性(例えば色再現性)を得ることができる。
【0135】
表示装置110においては、第1の実施形態に係る干渉フィルタ(例えば干渉フィルタ310)が用いられているため、中間層23の厚さt0が変動した場合でも光学特性(色変化)が抑制される。このため、安定した特性を有し、消費電力を低減した表示装置を提供できる。
【0136】
図18は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図18に表したように、表示装置111においては、干渉フィルタとして、第1の実施形態に係る干渉フィルタ312または313などが用いられる。すなわち、第2スペーサ層23bは設けられず、第2距離tbが0に設定される。これにより、安定した特性を有し、消費電力を低減した表示装置を提供できる。
【0137】
本実施形態に係る表示装置は、パーソナルコンピュータのディスプレイや小型テレビの表示装置として応用できる。特に、電源として電池を用いる機器においては、低消費電力化が望まれている。本実施形態に係る表示装置を用いることで、バックライトの消費電力を低減でき、低消費電力化に貢献できる。
【0138】
実施形態によれば、安定した特性を有する干渉フィルタ及び表示装置が提供される。
【0139】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、干渉フィルタに含まれる基体、波長選択透過層、下側半透過層、上側半透過層、中間層、誘電体膜及びスペーサ層、並びに、表示装置に含まれる波長選択吸収層、回路層、画素電極、スイッチング素子、光制御層、対向基板及び照明ユニットなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0140】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0141】
その他、本発明の実施の形態として上述した干渉フィルタ及び表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての干渉フィルタ及び表示装置法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0142】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
10…主基板、 11…基体、 11a…主面、 12…対向基板、 12a…対向主面、 13…対向電極、 20…波長選択透過層、 20a、20b、20c…第1、第2、第3領域、 21…下側半透過層、 22…上側半透過層、 23…中間層、 23a、23b、23c…第1、第2、第3スペーサ層、 25…第1誘電体膜、 26…第2誘電体膜、 27…第3誘電体膜、 28…第4誘電体膜、 29…オーバーコート層、 30…回路層、 30a、30b、30c…第1、第2、第3画素領域、 31a、31b、31c…第1、第2、第3画素電極、 32a、32b、32c…第1、第2、第3スイッチング素子、 33a、33b、33c…第1、第2、第3ゲート、 34a、34b、34c…第1、第2、第3半導体層、 35a、35b、35c…第1、第2、第3信号線側端部、 36a、36b、36c…第1、第2、第3画素側端部、 37…ゲート絶縁膜、 40…波長選択吸収層、 40a、40b、40c…第1、第2、第3吸収層、 50…光制御層、 61、62…第1、第2偏光層、 70…照明ユニット、 70L…照明光、 71…導光体、 72…照明用反射層、 73…光源、 74…進行方向変化部、 λ…波長、 λa、λb、λc…第1、第2、第3波長帯、 μ…中心値、 110、111…表示装置、 310、311、312、313…干渉フィルタ、 Ab…吸収率、 Bt…目標波長値、 L1、L2…光、 Tr…透過率、 f…確立密度、 t0…厚さ、 ta…第1距離、 tb…第2距離、 tc…第3距離
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、干渉フィルタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置などの表示装置において、低消費電力化が望まれている。光利用効率を高め、安定した特性を有する実用的なカラーフィルタが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,924,356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した特性を有する干渉フィルタ及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、基体と、下側半透過層と、上側半透過層と、を含む干渉フィルタが提供される。前記基体は、主面を有する。前記下側半透過層は、前記主面上に設けられる。前記上側半透過層は、前記下側半透過層の上に設けられる。前記干渉フィルタは、前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有する。前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図4】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図6】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図7】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図8】図8(a)及び図8(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図11】干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図12】第1の実施形態に係る干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタを示す模式的断面図である。
【図14】第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
【図15】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の一部の波長選択吸収層の特性を示すグラフ図である。
【図17】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図18】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ310は、基体11と、下側半透過層21と、上側半透過層22と、を備える。
【0009】
基体11は、主面11aを有する。基体11には、例えば、ガラスまたは樹脂などが用いられる。基体11は、例えば光透過性である。
【0010】
下側半透過層21は、主面11a上に設けられる。上側半透過層22は、下側半透過層21の上に設けられる。下側半透過層21及び上側半透過層22は、光に対して、透過性と反射性とを有する。
【0011】
ここで、本願明細書において、上に設けられている状態は、接して上に配置される状態に加え、間に別の要素が挿入されて上に配置される状態を含む。
【0012】
基体11、下側半透過層21及び上側半透過層22は、互いに積層される。
【0013】
本願明細書において、積層されている状態は、直接重ねられる状態に加え、間に別の要素が挿入された状態で重ねられる状態を含む。
【0014】
ここで、主面11aに対して垂直な方向をZ軸方向(第1方向)とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向(第2方向)とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な軸をY軸方向とする。
【0015】
干渉フィルタ310は、複数の領域を有する。具体的には、干渉フィルタは、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cを有する。第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cは、X−Y平面内において互いに並置される。さらに、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれは、X−Y平面内において、複数設けられる。
【0016】
第1領域20aは、例えば、青色光透過領域である。第2領域20bは、例えば、緑色光透過領域である。第3領域20cは、例えば、赤色光透過領域である。
【0017】
すなわち、干渉フィルタ310は、主面11aに平行な平面(X−Y平面内)内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域20aと、緑色光を選択的に透過させる第2領域20bと、赤色光を選択的に透過させる第3領域20cと、を有する。
【0018】
第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれは複数設けられる。複数の第1領域20a、複数の第2領域20b及び複数の第3領域20cのそれぞれは、X−Y平面内の少なくとも1つの方向(例えばX軸方向)に沿って、周期的に繰り返し配置される。複数の第1領域20a、複数の第2領域20b及び複数の第3領域20cのそれぞれが、Y軸方向に沿ってさらに周期的に配置されても良い。実施形態において、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cの配置の順番は任意である。
【0019】
図1に表したように、第2領域20bにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第2距離tb)は、第1領域20aにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第1距離ta)よりも短い。第2距離tbは、第3領域20cにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離(第3距離tc)よりも短い。すなわち、tb(緑)<ta(青)であり、tb(緑)<tc(赤)である。
【0020】
この例では、第3距離tcは、第1距離taよりも短い。すなわち、tb(緑)<tc(赤)<ta(青)である。ただし、実施形態は、これに限らず、tc(赤)とta(青)との関係は任意である。例えば、tb(緑)<ta(青)<tc(赤)でも良い。
【0021】
干渉フィルタ310においては、例えば、下側半透過層21と上側半透過層22との間における干渉により、特定の波長の光は選択的に透過され、その波長以外の波長の光は反射される。干渉フィルタ310は、例えばファブリペロー型の干渉フィルタである。
【0022】
干渉フィルタ310においては、上記の選択波長は、下側半透過層21と上側半透過層22との間の光学的な距離に基づく。例えば、下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる媒質が同じとき、選択波長は、下側半透過層21と上側半透過層22との間の距離に基づいて変化する。
【0023】
図1に表したように、干渉フィルタ310は、中間層23をさらに備える。中間層23の厚さは、領域ごとによって異なる。
【0024】
すなわち、干渉フィルタ310は、例えば、第1スペーサ層23aと第3スペーサ層23cとをさらに備えることができる。第1スペーサ層23aは、第1領域20aにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。第3スペーサ層23cは、第3領域20cにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。
【0025】
干渉フィルタ310は、第2スペーサ層23bをさらに含んでも良い。第2スペーサ層23bは、第2領域20bにおける下側半透過層21と上側半透過層22との間に設けられる。但し、実施形態において、第2スペーサ層23bは設けられなくても良い。例えば、後述するように、第2距離tbは0(零)でも良い。
【0026】
第1スペーサ層23a及び第3スペーサ層23cは中間層23に含まれる。第2スペーサ層23bが設けられる場合は、第2スペーサ層23bは中間層23に含まれる。第1スペーサ層23a、第2スペーサ層23b及び第3スペーサ層23cは、互いに連続していても良く、また、互いに独立していても良い。
【0027】
第2スペーサ層23bが設けられる場合、第2スペーサ層23bの厚さ(第2距離tbと等しい)は、第1スペーサ層23aの厚さ(第1距離taと等しい)よりも薄い。第2スペーサ層23bの厚さは、第3スペーサ層23cの厚さ(第3距離tcと等しい)よりも薄い。
【0028】
これにより、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
干渉フィルタ310の特性に関しては後述する。
【0029】
このように、本実施形態に係る干渉フィルタ310は、基体11と、基体11の主面11aの上に設けられた波長選択透過層20と、を含む。波長選択透過層20は、下側半透過層21と上側半透過層22と中間層23とを含む。
【0030】
波長選択透過層20のうちの第1領域20aに相当する部分を、便宜的に青の透過フィルタと呼ぶことにする。波長選択透過層20のうちの第2領域20bに相当する部分を、便宜的に緑の透過フィルタと呼ぶことにする。波長選択透過層20のうちの第3領域20cに相当する部分を、便宜的に赤の透過フィルタと呼ぶことにする。
【0031】
図1に表したように、干渉フィルタ310において、下側半透過層21は、第1誘電体膜25と、第2誘電体膜26と、を含む。第2誘電体膜26は、第1誘電体膜25と(Z軸に方向に沿って)積層される。第2誘電体膜26の屈折率は、第1誘電体膜25の屈折率とは異なる。以下では、第2誘電体膜26の屈折率が、第1誘電体膜25の屈折率よりも低い場合として説明する。
【0032】
上側半透過層22は、第3誘電体膜27と、第4誘電体膜28と、を含む。第4誘電体膜28は、第3誘電体膜27と(Z軸に方向に沿って)積層される。第4誘電体膜28の屈折率は、第3誘電体膜27の屈折率とは異なる。以下では、第4誘電体膜28の屈折率が、第3誘電体膜27の屈折率よりも低い場合として説明する。
【0033】
図1に示した例では、中間層23の屈折率は、第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率よりも低い。
【0034】
550ナノメートル(nm)の波長における第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率は、例えば、約2.5である。第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27には、例えばTiO2が用いられる。
【0035】
550nmの波長における第2誘電体膜26(低屈折率膜)及び第4誘電体膜28(低屈折率膜)の屈折率は、例えば、約1.46である。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28には、例えば、SiO2が用いられる。
【0036】
このように、干渉フィルタ310においては、屈折率が互いに異なる誘電体の薄層が積層される。干渉フィルタ310は、後述するように、光リサイクル層として機能することができる。
【0037】
このように、干渉フィルタ310は、誘電体積層膜(誘電体多層膜)を含む少なくとも2層の共通の半透過層(下側半透過層21及び上側半透過層22)と、これらの半透過層の間に設けられた中間層23と、を含む。中間層23の厚さを変化させることで、干渉フィルタ310の透過色を赤、緑及び青の3色に変化させる。中間層23の厚さは、緑のスペーサ層厚(第2距離tbに対応する)<赤のスペーサ層厚(第3距離tcに相当する)<青のスペーサ層厚(第1距離taに相当する)の関係を有する。
【0038】
干渉フィルタ310においては、ファブリペロー型の干渉フィルタの構成が利用されるため、それぞれのカラーフィルタ(第1〜第3領域20a〜20c)において、透過色以外は、ほとんど損失されずに反射される。例えば、白色光の中の赤色の成分は、干渉フィルタの赤の透過フィルタ(第3領域20c)を透過できるが、青や緑の波長成分を持った光は、第3領域20cを透過せずに反射される。
【0039】
例えば、反射された緑の光は、例えば干渉フィルタ310と併設される反射層と干渉フィルタ310との間で多重反射され、緑の透過フィルタ(第2領域20b)に到達すると、第2領域20bから出射する。
【0040】
赤の透過フィルタ(第3領域20c)に入射した緑の光及び青の光は、干渉フィルタ310と反射層との間で多重反射され、それぞれ第2領域20b及び第1領域20aから出射する。
【0041】
吸収型のカラーフィルタにおいて、赤色吸収層に入射した青の光及び緑の光は、赤色吸収層で吸収されて損失される。吸収型のフィルタを干渉フィルタ310と組み合わせることで、光はリサイクルされて有効に利用される。例えば、吸収型カラーフィルタでは2/3の光が損失される。これに対し、光が吸収型のフィルタに入射する前に干渉フィルタ310を通過するように吸収型のフィルタと干渉フィルタ310とを配置することで、実質的に損失が無い状態が実現できる。これにより、吸収型フィルタにおける効率の実質的に3倍の効率を得ることが可能になる。
【0042】
図1に表したように、干渉フィルタ310は、上側半透過層22の上に設けられたオーバーコート層29をさらに含むことができる。オーバーコート層29を設けることで、例えば、干渉フィルタ310の上面の平坦性が向上する。なお、オーバーコート層29は、必要に応じて設けられ、場合によっては省略できる。オーバーコート層29を設けることで、干渉フィルタ310の上面の上に、種々のデバイスを形成し易くなる。
【0043】
なお、図1に示した例では、2つの第1誘電体膜25が設けられ、2つの第1誘電体膜25の間に1つの第2誘電体膜26が設けられている。しかし、実施形態においては、第1誘電体膜25及び第2誘電体膜26の数は任意である。例えば、複数の第1誘電体膜25と、複数の第2誘電体膜26と、が設けられ、これらが交互に積層されても良い。また、1つの第1誘電体膜25と、1つの第2誘電体膜26と、が設けられても良い。
【0044】
また、この例では、2つの第3誘電体膜27が設けられ、2つの第3誘電体膜27の間に1つの第4誘電体膜28が設けられている。しかし、実施形態においては、第3誘電体膜27及び第4誘電体膜28の数は任意である。例えば、複数の第3誘電体膜27と、複数の第4誘電体膜28と、が設けられ、これらが交互に積層されても良い。また、1つの第3誘電体膜27と、1つの第4誘電体膜28と、が設けられても良い。
【0045】
以下、干渉フィルタの特性の例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図2に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ311においては、下側半透過層21において、1つの第1誘電体膜25と、1つの第2誘電体膜26と、が設けられている。また、上側半透過層22において、1つの第3誘電体膜27と、1つの第4誘電体膜28が設けられている。そして、下側半透過層21と上側半透過層22との間に中間層23が設けられる。この例では、第1誘電体膜25と第3誘電体膜27との間に中間層23が設けられている。第1誘電体膜25と中間層23との間に第2誘電体膜26が設けられている。第3誘電体膜27と中間層23との間に第4誘電体膜28が設けられている。
【0046】
第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27の屈折率(波長550nm)は、例えば、2.5である。第1誘電体膜25及び第3誘電体膜27の厚さ(Z軸に沿った長さ)は、例えば、53.5nmである。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28の屈折率(波長550nm)は、例えば、1.46である。第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28の厚さは、例えば、91.6nmである。
【0047】
これらの層の厚さは、例えばNTSCにおける緑の主波長である535nmの1/4波長の光学距離になる様に調整されている。
【0048】
中間層23の屈折率は、例えば2.5である。中間層23の厚さt0を変えることで、干渉フィルタ311の光学特性が変化する。
【0049】
図3は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
横軸は波長λ(nm)である。縦軸は、干渉フィルタ311の透過率Trである。このグラフには、中間層の厚さt0が、0nm、12nm、84nm、107nm、134nm及び178nmであるときの透過率Trの波長依存性が示されている。グラフ中の数値は、中間層の厚さt0である。
【0050】
中間層23の厚さt0が0nmまたは107nmのとき、干渉フィルタ311は緑光を透過する。厚さt0が12nmまたは134nmのとき、干渉フィルタ311は赤光を透過する。厚さt0が84nmまたは178nmのとき、干渉フィルタ311は青光を透過する。
【0051】
この様に、中間層23の厚さt0によって透過波長は変化する。このとき、干渉フィルタ311を実際に製造する際において、中間層23の厚さt0は製造ばらつきにより変化する。厚さt0が過度に変動すると、干渉フィルタ311の特性は所望の特性からずれてしまう。本願発明者は、干渉フィルタ311を実用化する際に問題となるこのような課題に着目した。
【0052】
以下、中間層23の厚さの変化と光学特性の変化との関係の例について説明する。
図4は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図4は、中間層23の厚さのばらつきの例を示している。横軸は中間層23の厚さt0であり縦軸は確率密度fである。
図4に表したように、中間層23の厚さt0は、例えば、中心値μを中心として標準偏差σの正規分布で分布する。
【0053】
以下では、この正規分布の仮定に基づいて、干渉フィルタ311の特性を計算した結果の例を説明する。この計算では、厚さt0は、製造ばらつきにより標準偏差σが中心値μの10%である正規分布を有すると仮定した。なお、この仮定は、中間層23をCVD(Chemical vapor Deposition)などで形成する場合の厚さt0の面内ばらつきに対応する。
【0054】
図5(a)〜図5(c)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、中間層23の厚さt0の中心値μ(μm)が134nm(赤)、107nm(緑)及び84nm(青)のときにそれぞれ対応する。そして、これらの図は、中心値μ±σ(10%)で厚さt0が変化したときの、透過光の色を示すCEI色度図である。
【0055】
図5(a)〜図5(c)に表したように、厚さt0が±10%で変化すると、色は非常に大きく変化する。例えば、赤及び緑に関しては、±10%の分布がある場合には、全ての色に渡って変化する。つまりこの程度の厚さt0の変化で、干渉フィルタの特性は望んでいない特性になる。
【0056】
図5(a)〜図5(c)では、中間層23の厚さt0の変化に関して例示したが、実際には、下側半透過層21及び上側半透過層22の厚さの変動による光学特性の変化も考えられる。しかし、計算の結果、中間層23の厚さの変動の影響が、下側半透過層21及び上側半透過層22の厚さの変動の影響に比べて非常に大きいことが分かった。
【0057】
本願発明者は、安定した特性のカラーフィルタを得るために、中間層23の厚さt0が変化したときに光学特性の変化が小さくなる構成について検討した。
【0058】
緑の透過フィルタは、535nm程度に透過光のピークがある透過スペクトルを有する。赤や青の透過スペクトルにおいては長波長側や短波長側にピークがあるのに対して、緑の透過フィルタにおいては、視感度の高い部分にピークが存在する。
【0059】
例えば、青の透過フィルタにおいては、厚さt0が薄くなる場合には、透過のピークは、短波長に移動するが、このときの色度は、色度図上では青の周辺に留まる。つまり、青の透過フィルタにおいては、厚さt0が薄くなる場合には、色の変化は小さい。
【0060】
例えば、赤の透過フィルタにおいては、厚さt0が厚くなる場合には、赤から色は大きくは変化しない。但し、図5(a)に示したt0=134nmの例では、短波長側(約400nm)の透過率が高く、厚さt0が厚くなることによりこの部分が青側に移動してしまうため、青側への変化も現れる。
【0061】
これに対して、緑の透過フィルタにおいては、視感度が高い部分にピークがあり、そのピークが厚さt0の変化により移動するために、色の変化が大きい。
【0062】
このとき、緑の透過フィルタにおける中間層23を薄く設定することで、中間層23の厚さt0の変動に起因した色の変化が抑制できる。実施形態においては、例えば、緑の透過フィルタにおいては、中間層23を設けない。すなわち、t0=0nmとする。これにより、中間層23の厚さt0の変動に起因した色の変化は発生しない。
【0063】
図6は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図6に示したように、中間層23の厚さt0の中心値μが0nmのとき、及び、107nmのときに、緑色の透過特性が得られる。すなわち、波長λが535nm程度において透過率Trのピークが現れる。
【0064】
図7は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
この図は、中心値μが0nmのとき、及び、107nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。中心値μが107nmのときに厚さt0が±10%で変化すると、色は大きく変化する。色は、赤から青まで広範囲に変化する。
これに対し、中心値μが0nmのときは製造ばらつきによる厚さt0の変化もないので、色の変化はない。
【0065】
実施形態においては、緑の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0を、赤の透過フィルタ及び青の透過フィルタにおける厚さt0よりも薄く設定する。具体的には、例えば、緑の透過フィルタにおいては中間層23を設けない。これにより、緑の透過フィルタにおける色変化を抑制できる。
【0066】
なお、図6から分かるように、t0=0nmのときの、緑以外の波長領域における透過率Trは、t0=107nmのときよりも高い。このため、t0=0nmのときの色域は、t0=107nmのときの色域よりも小さい。しかしながら、中間層23を設けない構成においては、厚さt0の変動に対するロバスト性が高い。
【0067】
図8(a)及び図8(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図8(a)は、中間層23の厚さt0の中心値μが134nm(赤)のときの透過率Trの波長依存性を例示している。この図に示された特性は、図3に例示した特性と同じである。図8(b)は、中心値μが134nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0068】
図8(a)に表したように、中心値μが134nmのとき、良好な赤の透過スペクトルが得られる。
図8(b)に表したように、中間層23の厚さt0が薄くなった場合(マイナス:−の表記)には、緑の領域まで、色変化が生じている。一方、厚さt0が134nmよりも厚くなった場合(プラス:+の表記)には、青の領域まで、色変化が生じている。この原因は、図8(a)に示した様に、短波長側(約400nm)の透過率Trが高く、厚さt0が厚くなることによりこの部分が青側に移動することである。このように、厚さt0が134nmの場合には、厚さt0の変動により青の光が透過するために色が青色に変化してしまう。
【0069】
図9(a)及び図9(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図9(a)は、中間層23の厚さt0の中心値μが12nm(赤)のときの透過率Trの波長依存性を例示している。この図に示された特性は、図3に例示した特性と同じである。図9(b)は、中心値μが12nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0070】
図9(a)に表したように、中心値μが12nmのとき、赤の透過スペクトルが得られる。
図9(b)に表したように、中間層23の厚さt0が±10%で変化しても、色変化は非常に小さい。
実施形態においては、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の中心値μとして12nmを用いる。これにより、厚さt0の変動に対して色の変化を小さくできる。
【0071】
実施形態においては、緑の透過フィルタにおいては、中間層23を設けず、すなわち、厚さt0=0nmである。そして、赤の透過フィルタにおいては、中間層23の厚さt0を12nmとする。
【0072】
このように、535nmの緑に対応する中間層23の厚さt0は0nmであり、610nmの赤に対応する中間層23の厚さt0は12nmである。すなわち、12nmの厚さt0の変化が、透過光の中心波長の75nmの移動に対応する。
【0073】
例えば、12nmの10%である1.2nmだけ厚さt0が薄くなった場合には、大まかに言って、緑と赤の波長差の10%だけ、赤が短波長側にシフトすることになる。これに対して、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0を134nmとすると、10%(つまり13.4nm)薄くすると、厚さt0は120.6nmになる。一方、t0が107nmのときは緑に対応する。このため、厚さt0が134nmの場合において、10%薄くすると、緑と赤と差の1/4程度まで短波長化することに対応する。
【0074】
従って、色変化を小さくするために、赤の透過フィルタにおいて、中間層23の厚さ10の中心値μとして12nmを用いることが好ましい。
【0075】
図10(a)及び図10(b)は、干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。
図10(a)は、中心値μが84nm(青)のときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。図10(b)は、中心値μが76nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化したときの色の変化を例示する色度図である。
【0076】
図10(a)に表したように、中心値μが84nm(青)のときにおいて、厚さt0が±10%で変化すると、色が大きく変化する。このとき、厚さt0がプラス(+)側にずれた時と、マイナス(−)側にずれた時と、で色変化の状況が異なることが分かった。すなわち、厚さt0がプラス側にずれた場合には、色の変化が非常に大きいのに対し、マイナス側に変化した場合には色の変化が非常に小さい。つまり、厚さt0が変動する際に、薄くなる場合は大きな色変化は生じない。これは、青の透過スペクトルにおいは、厚さt0が薄くなって透過ピークが短波長化したとしても、青の波長領域において視感度が鈍いためであると考えられる。これにより、例えば、青色の透過フィルタにおいて、短波長化しても、大きな色変化として知覚されないことが分かった。
【0077】
実施形態において、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の目標値をNTSCの青の主波長に相当する厚さよりも小さく設定する。具体的には、中間層23の厚さt0の目標値を、青の主波長である470nmに相当する厚さよりも小さく設定することが好ましい。これにより、青の透過フィルタにおける色変化を小さくすることができる。例えば、NTSCの青に相当する厚さt0は84nmであり、その90%の値(76nm)に、中心値μを設定する。
【0078】
図10(b)に表したように、中間層23の厚さt0の中心値μが76nmのときにおいて、厚さt0が±10%で変化しても、色の変化は小さい。この様に、中間層23の目標の厚さt0を、NTSCの青に相当する厚さよりも小さく設定することにより、中間層23の厚さt0が変動したときの色変化を抑制できる。すなわち、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さに対応する目標波長値Btは、NTSCの青の波長(470nm)よりも短く設定される。
【0079】
なお、赤の透過フィルタにおいても、目標波長値を赤の波長からシフトさせる設計が考えられる。例えば、赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さの目標値を、NTSCの赤に対応する厚さの目標値よりも、プラス側にシフトさせる。これにより、厚さt0の変動に対して色変化を抑制できるはずである。
【0080】
しかし、図8(a)及び図8(b)に例示したように、中間層23の厚さt0の中心値μを134nmの近傍に設定した場合は、紫外域においても透過率Trが高い。このため、厚さt0の目標値をプラス側にシフトさせると、青領域の透過率Trが上昇し、目標の赤から離れた色になる。
【0081】
それに対して、図9(a)及び図9(b)に例示したように、中間層23の厚さt0の中心値μを12nmの近傍に設定した場合は、紫外域での透過率Trが低い。このため、目標の厚さt0をプラス側に設定しても、赤からの色のずれは小さい。ただし、厚さt0を目標値からシフトさせたときの色変化の抑制効果よりも、厚さt0の中心値μを134nmから12nmにすることによる色変化の抑制効果の方が大きいため、赤の透過フィルタについては厚さt0を12nmにすることが好ましい。
【0082】
なお、視感度が高い緑については、厚さt0がプラス側及びマイナス側のいずれの方向に変化しても、色の変化が大きい。
【0083】
青の透過フィルタについて、スペーサ層23(第1スペーサ層23a)の厚さを変えたときの光学特性をシミュレーションした結果の例について説明する。以下では、目標とする青の色のピーク波長を、NTSCの標準の青である470nm(λboとする)とする。この波長がピークとなる透過フィルタの光学距離Lbo(厚さと屈折率との積)は、Lbo=λbo/4で表され、117.5nmとなる。この例では、470nmにおけるスペーサ層23の屈折率を1.40とする。このとき、470nmのピーク波長に対応する第1スペーサ層23aの厚さは84nm(=117.5/4)である。このシミュレーションでは、第1スペーサ層23aの厚さの中心値μを、84nmの他に、92nm、76nm、67nm及び59nmと変えた。そして、その中心値μに対して、それぞれの厚さが±10%の標準偏差でばらついているとした。このように厚さがばらついているときに得られる色度を求め、この結果に基づいて、NTSCの青の色度座標(0.14,0.08)と、の色差ΔEのばらつきを求めた。これにより、それぞれの中心値μについて、所定の色差ΔEの範囲に入る発生率が求められる。この結果から、それぞれの厚さがばらついたとき(この例では±10%の標準偏差)において、90%の発生率で生じる色差の最大値ΔEmが求まる。
【0084】
図11は、干渉フィルタの特性を示すグラフ図である。
図11の横軸は、第1スペーサ層23aの厚さの中心値μにおける透過ピークの波長λp(nm)である。縦軸は、中心値μ±10%の標準偏差で厚さがばらついたときに90%の発生率で生じる色差の最大値ΔEである。
【0085】
図11からわかるように、第1スペーサ層23aの中心値μが84nmである場合には、中心値μにおける透過ピークの波長λpは470nmである(設計通り)。このとき、色差の最大値ΔEmは0.23である。すなわち、中心値μが84nmであるときは、厚さのばらつきに起因して、90%の発生率の特性は、NTSCの青の色度から、最大で0.23の色差ΔEでずれる。
【0086】
これに対して、第1スペーサ層23aの中心値μが76nmである場合には、波長λpは、約450nmである。このとき、色差の最大値ΔEmは約0.05であり、非常に小さい。すなわち、中心値μを76nmにすると、透過ピークの波長λpは目標値の470nmから少しずれるものの、厚さのばらつきがある場合においても、90%の発生率の特性は、NTSCの青の色度からの色差ΔEは0.05に収まる。
【0087】
一方、厚さの中心値μが92nmのときは色差の最大値ΔEmは0.45であり、色のばらつきが著しく大きくなる。
【0088】
厚さの中心値μが67nmのときは、色差の最大値ΔEmは0.06であり、中心値μが59nmのときは、色差の最大値ΔEmは0.15である。中心値μが76nmよりも小さいときの色差の最大値ΔEmの上昇の程度は低い。しかしながら、中心値μmを過度に小さくすると、透過ピークの波長λpと目標とする470nmとの差が過度に大きくなる。
【0089】
以上のように、目標とする波長がNTSCの青(470nm)のときに、厚さにばらつきが無い場合は、厚さの中心値μを84nmに設定することで目標とする色特性が得られる。しかしながら、上記のように、厚さにばらつきがある場合には、厚さの中心値を76nmにしたときに、NTSCの青との色差のばらつきが小さい色が得られ、かつ、NTSCの青の波長(470nm)に近いピークの波長λp(450nm)が得られる。
【0090】
従って、第1スペーサ層23aの厚さのばらつき存在する実用状態を考慮すると、厚さの中心値を470nmから450nmにシフトさせることで、厚さのばらつきがあったときにおいて、目標の色に近い実用的な特性が得られる。このとき、450nmが470nmの90%の値であることを考慮すると、目標とする波長(470nm)の90%の波長に対応する値以上に、中心値μmを設定することが好ましい。
【0091】
上記は、スペーサ層23の屈折率が1.40である場合の例であるが、上記の検討結果は、他の屈折率の場合にも適用できる。すなわち、第1スペーサ層23aの光学距離Lbo(第1距離tbと第1スペーサ層23aの屈折率との積)の中心値を、117.5nm(すなわち470nm/4)の90%(すなわち105.8nm)以上、117.5nm未満に設定する。これにより、製造ばらつきなどに起因して厚さがばらついたときにおいて、適正は色を維持しつつ、ばらつきの小さい実用的な特性が得られる。
【0092】
実施形態においては、第1領域20a内における第1距離taと第1スペーサ層23aの屈折率との積は、105.8nm以上117.5nm未満に設定される。これにより、例えば、厚さのばらつきがある実用的な条件において、目的とする青を得易くなる。
【0093】
図12は、第1の実施形態に係る干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。 図12に表したように、本実施形態に係る干渉フィルタ312においては、緑の透過フィルタにおいては、中間層23が設けられない。すなわち、中間層23の厚さt0を0nmに設定する。すなわち、第2領域20bにおいては、下側半透過層21は上側半透過層22と接する。図12に示した例では、図1と同様に、中間層23の屈折率は、第1誘電体膜25(高屈折率膜)及び第3誘電体膜27(高屈折率膜)の屈折率よりも低い。
【0094】
赤の透過フィルタにおいては、例えば、中間層23の厚さt0を、「0nmの次に厚い厚さ」に設定する。上述の通り、赤の透過フィルタの方が青の透過フィルタよりも厚さt0のずれに対する色の変化が大きいためである。具体的には、厚さt0を、例えば約12nmに設定する。この様に、赤の透過フィルタにおける中間層23を134nmではなく、薄い12nmに設定することにより、厚さt0の変動による色変化を小さくすることができるため、赤の透過フィルタについては厚さt0を12nmにすることが好ましい。
【0095】
青の透過フィルタにおいては、中間層23の厚さt0を、「赤の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の次に厚い厚さ」に設定する。具体的には、厚さt0を約84nmに設定する。このとき、青の透過フィルタにおいては、厚さt0がマイナス側に振れた場合の色変化は小さく、プラス側に振れた場合の色変化が大きい。従って、青の透過フィルタにおける中間層23の厚さt0の目標値は、NTSCの青に対応する厚さよりも小さく設定することが望ましい。これにより、厚さt0がプラス側に振れた時の色変化を小さくでき、全体の色変化を小さくできる。
【0096】
すなわち、第2距離tb(緑)は、0である。第3距離tc(赤)は、約12nmである。第1距離ta(青)は、約76nm〜約84nmである。すなわち、厚さt0を、tb(緑)<tc(赤)<ta(緑)を満たす関係に設定する。
【0097】
本実施形態に係る干渉フィルタ312によれば、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
【0098】
図13(a)〜図13(c)は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの構成を例示する模式的断面図である。
図13(a)〜図13(c)は、第1〜第3領域20a〜20cにおける波長選択透過層の構成をそれぞれ例示している。
【0099】
図13(a)〜図13(c)に表したように、本実施形態に係る別の干渉フィルタ313においては、下側半透過層21において、互いに積層された2つの第1誘電体膜25と、2つの第2誘電体膜26と、が設けられている。また、上側半透過層22において、互いに積層された2つの第3誘電体膜27と、2つの第4誘電体膜28と、が設けられている。中間層23は、第2誘電体膜26と第4誘電体膜28とに接している。この例では、中間層23の屈折率は、第2誘電体膜26(低屈折率膜)及び第4誘電体膜28(低屈折率膜)の屈折率よりも高い。
【0100】
第1〜第4誘電体膜25、26、27及び28の屈折率及び厚さは、例えば、干渉フィルタ311に関して説明したものと同じである。
【0101】
図13(a)に表したように、第1領域20aにおける中間層23の厚さ(すなわち第1距離ta)は、約138nmである。図13(b)に表したように、第2領域20bにおいては、中間層23が設けられず、第2距離tbは0である。図13(c)に表したように、第3領域20cにおける中間層23の厚さ(すなわち第3距離tc)は、約27nmである。
【0102】
図14は、第1の実施形態に係る別の干渉フィルタの特性を例示するグラフ図である。 図14に表したように、干渉フィルタ313においては、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれにおいて、青、緑及び赤を透過する良好な特性が得られる。
干渉フィルタ313においても、安定した特性を有する干渉フィルタが提供できる。
【0103】
(第2の実施形態)
本実施形態は、表示装置に係る。
図15は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図15に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、第1の実施形態に係る干渉フィルタ(例えば干渉フィルタ310)と、波長選択吸収層40と、光制御層50と、を含む。
【0104】
波長選択吸収層40は、基体11と積層される。光制御層50は、基体11と積層される。この例では、光制御層50は、干渉フィルタ310の波長選択透過層20と波長選択吸収層40との間に設けられる。
【0105】
光制御層50には、例えば液晶層が用いられる。光制御層50は、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれを通過する光の強度を制御する。光制御層50には、液晶の他、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたメカニカルなシャッタなどを用いることもできる。このように、実施形態において、光制御層50の構成は任意である。
【0106】
波長選択吸収層40は、青色の第1吸収層40aと、緑色の第2吸収層40bと、赤色の第3吸収層40cと、を含む。第1吸収層40aは、Z軸(主面11aに対して垂直な方向)に沿って見たときに、第1領域20aと重なる部分を有する。第2吸収層40bは、Z軸方向に沿って見たときに、第2領域20bと重なる部分を有する。第3吸収層40cは、Z軸方向に沿って見たときに、第3領域20cと重なる部分を有する。
【0107】
図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の一部の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、波長選択吸収層40の特性を例示している。図16(a)は、透過スペクトルを示し、図16(b)は、吸収スペクトルを示す。これらの図の横軸は、波長λである。図16(a)の縦軸は、透過率Trであり、図16(b)の縦軸は、吸収率Abである。第1波長帯λa、第2波長帯λb及び第3波長帯λcは、それぞれ青色の波長帯、緑色の波長帯及び赤色の波長帯に対応する。
【0108】
図16(a)に表したように、第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cのそれぞれにおいて、第1波長帯λa、第2波長帯λb及び第3波長帯λcの透過率Trが高い。第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cは、それぞれ、青色、緑色及び赤色の吸収型のカラーフィルタである。
【0109】
図16(b)に表したように、第1波長帯λaの光に対する第1吸収層40aの吸収率Abは、可視光のうちの第1波長帯λaを除く波長帯の光に対する第1吸収層40aの吸収率Abよりも低い。第2波長帯λbの光に対する第2吸収層40bの吸収率Abは、可視光のうちの第2波長帯λbを除く波長帯の光に対する第2吸収層40bの吸収率Abよりも低い。第3波長帯λcの光に対する第3吸収層40cの吸収率Abは、可視光のうちの第3波長帯λcを除く波長帯の光に対する第3吸収層40cの吸収率Abよりも低い。
【0110】
第1の実施形態に関して説明した波長選択透過層20と、図16(a)及び図16(b)に例示した特性を有する波長選択吸収層40と、を積層することで、後述するように、光利用率が向上する。
【0111】
図15に例示した表示装置110の例についてさらに説明する。
主基板10は、基体11と、波長選択透過層20と、回路層30と、を含む。回路層30は、波長選択透過層20の上に設けられる。すなわち、波長選択透過層20は、基体11と回路層30との間に設けられる。
【0112】
回路層30は、複数の画素領域を有する。この例では、回路層30は、第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cを有する。Z軸方向に沿ってみたときに、第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cのそれぞれは、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれと重なる部分を有する。
【0113】
図15に例示したように、この例では、主基板10の主面11aに対向する対向基板12が設けられている。対向基板12の対向主面12a(主面11aに対向する面)に、波長選択吸収層40が設けられている。
【0114】
波長選択吸収層40は、第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cを含む。
【0115】
第1吸収層40aは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第1画素電極31aと重な
第2吸収層40bは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第2画素電極31bと重なる
第3吸収層40cは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第3画素電極31cと重なる部分を有する。
【0116】
この例では、波長選択吸収層40と主基板10との間に光制御層50が設けられている。波長選択吸収層40と光制御層50との間に、対向電極13が設けられている。対向基板12の対向主面12a上に設けられた波長選択吸収層40の上に対向電極13が設けられている。なお、波長選択吸収層40は、主基板10に設けられても良い。波長選択吸収層40は、回路層30と波長選択透過層20との間に設けても良い。
【0117】
図17は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
同図は、主基板10の構成の例を拡大して示している。
図17に例示したように、第1スペーサ層23aと第3スペーサ層23cとが設けられる。図17には第2スペーサ層23bが図示されているが、第2スペーサ層23bは設けられなくても良い。
【0118】
図17に表したように、回路層30は、第1〜第3画素電極31a、31b及び31cに加え、第1〜第3スイッチング素子32a、32b及び32cをさらに含む。
第1〜第3スイッチング素子32a〜32cのそれぞれは、第1〜第3画素電極31a〜31cのそれぞれに接続される。第1〜第3スイッチング素子32a〜32cには、例えば、トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0119】
具体的には、第1スイッチング素子32aは、第1ゲート33aと、第1半導体層34aと、第1信号線側端部35aと、第1画素側端部36aと、を有する。第2スイッチング素子32bは、第2ゲート33bと、第2半導体層34bと、第2信号線側端部35bと、第2画素側端部36bと、を有する。第3スイッチング素子32cは、第3ゲート33cと、第3半導体層34cと、第3信号線側端部35cと、第3画素側端部36cと、を有する。
【0120】
第1〜第3ゲート33a〜33cは、例えば走査線(図示しない)に接続される。第1〜第3信号線側端部35a〜35cは、例えば複数の信号線(図示しない)のそれぞれに接続される。第1ゲート33aと第1半導体層34aとの間、第2ゲート33bと第2半導体層34bとの間、及び、第3ゲート33cと第3半導体層34cとの間に、ゲート絶縁膜37が設けられる。
【0121】
第1〜第3半導体層34a〜34cには、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンなどの半導体が用いられる。
【0122】
第1信号線側端部35aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか一方である。第1画素側端部36aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか他方である。第2信号線側端部35bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか一方である。第2画素側端部36bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか他方である。第3信号線側端部35cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか一方である。第3画素側端部36cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか他方である。
【0123】
第1〜第3画素側端部36a〜36cのそれぞれが、第1〜第3画素電極31a〜31cのそれぞれに電気的に接続される。
【0124】
なお、回路層30は、図示しない補助容量線をさらに含んでも良い。また、回路層30は、スイッチング素子の動作を制御する制御回路をさらに含んでも良い。
【0125】
例えば、画素電極(第1〜第3画素電極31a〜31c)のそれぞれに接続されたスイッチング素子(第1〜第3スイッチング素子32a〜32c)を介して、画素電極のそれぞれに所望の電荷が供給される。画素電極のそれぞれと対向電極13との間に電圧が印加され、光制御層50に電圧(例えば電界)が印加される。印加された電圧(例えば電界)に応じて、光制御層50の光学特性が変化し、それぞれの画素の透過率が変化し表示が行われる。
【0126】
光制御層50として、液晶層が用いられる場合は、印加された電圧(例えば電界)に応じて、液晶層の液晶の配列が変化する。配列の変化に応じて液晶層の光学特性(複屈折率、旋光性、散乱性、回折性及び吸収性などの少なくともいずれかを含む)が変化する。
【0127】
図15に表したように、この例では、第1偏光層61と第2偏光層62とがさらに設けられる。第1偏光層61と第2偏光層62との間に、主基板10、波長選択吸収層40及び光制御層50が配置される。これにより、光制御層50(液晶層)における光学特性の変化が、光透過率の変化に変換され、表示が行われる。なお、偏光層の位置は任意である。なお、対向電極13は、主基板10に設けても良い。この場合には、例えば、X−Y平面に対して平行な成分を有する電界が光制御層50に印加され、光制御層50の光学特性が変化する。
【0128】
図15に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、照明ユニット70をさらに含む。照明ユニット70は、波長選択透過層20から波長選択吸収層40に向かう方向に沿って、波長選択透過層20に照明光70Lを入射させる。
【0129】
照明ユニット70は、例えば、光源73と、導光体71と、照明用反射層72と、進行方向変化部74と、を含む。導光体71には、例えば、透明なアクリル樹脂などが用いられる。
【0130】
光源73は、光を生成する。光源73には、例えば半導体発光素子(例えばLED)が用いられる。光源73は、例えば導光体71の側面に配置される。照明用反射層72と主基板10との間に導光体71が配置される。光源73で生成された光が導光体71に入射する。光は、導光体71中を例えば全反射しながら伝搬する。進行方向変化部74は、導光体71を伝搬する光の進行方向を変え、光を効率良く主基板10に入射させる。進行方向変化部74には、例えば、溝などの凹凸形状を有する構造体が用いられる。例えば、進行方向変化部74によって進行方向が変化した光の一部が、主基板10に向けて進む。なお、照明ユニット70の光源73から出射した光が基体11中を伝搬し、伝搬した光が波長選択透過層20に入射しても良い。
【0131】
図15に例示した表示装置110は、ファブリペロー型干渉フィルタを使用した液晶表示装置である。
表示装置110において、光源73から導光体71に入射した光は、導光体71と空気との界面で全反射する。導光体71の上下の界面で全反射が生じ、導光体71の中を光が伝搬する。導光体71の中を進行する光が進行方向変化部74(突起など)に入射すると、全反射の条件が崩れる。進行方向変化部74において反射した光L1は、表示面側(対向基板12の側)へ進行方向が変えられる。
【0132】
光L1のうちの特定の色の成分の光は、波長選択透過層20の例えば第1領域20aを透過する。このとき、第1画素領域30aにおける光制御層50が透過状態になっている場合には、光は表示面から出射する。光L1のうちの別の色の成分の光は、第1領域20aを透過できず、第1領域20aの波長選択透過層20で反射され、導光体71に入射する。この反射された光L2は、照明用反射層72で反射し、波長選択透過層20と照明用反射層72との間で多重反射を繰り返す。光L2の波長の光が透過できる領域(例えば第2領域20b)において、光L2は、例えば第2領域20bを透過する。第2画素領域30bの光制御層50が透過状態になっている場合には、光は表示面から出射する。
【0133】
このように、表示装置110においては、波長選択透過層20を用いることで、光の利用効率が高い。
【0134】
すなわち、波長選択吸収層40に到達する光は、波長選択透過層20を通過しているので、その波長特性は、波長選択吸収層40の吸収特性に適合するように制御されている。このため、波長選択吸収層40で吸収される光の成分は、波長選択透過層20を用いない場合に比べて低減される。このため、光の損失が抑制できる。また、波長選択吸収層40の吸収率Abが低い場合でも、所望の色特性(例えば色再現性)を得ることができる。
【0135】
表示装置110においては、第1の実施形態に係る干渉フィルタ(例えば干渉フィルタ310)が用いられているため、中間層23の厚さt0が変動した場合でも光学特性(色変化)が抑制される。このため、安定した特性を有し、消費電力を低減した表示装置を提供できる。
【0136】
図18は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図18に表したように、表示装置111においては、干渉フィルタとして、第1の実施形態に係る干渉フィルタ312または313などが用いられる。すなわち、第2スペーサ層23bは設けられず、第2距離tbが0に設定される。これにより、安定した特性を有し、消費電力を低減した表示装置を提供できる。
【0137】
本実施形態に係る表示装置は、パーソナルコンピュータのディスプレイや小型テレビの表示装置として応用できる。特に、電源として電池を用いる機器においては、低消費電力化が望まれている。本実施形態に係る表示装置を用いることで、バックライトの消費電力を低減でき、低消費電力化に貢献できる。
【0138】
実施形態によれば、安定した特性を有する干渉フィルタ及び表示装置が提供される。
【0139】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、干渉フィルタに含まれる基体、波長選択透過層、下側半透過層、上側半透過層、中間層、誘電体膜及びスペーサ層、並びに、表示装置に含まれる波長選択吸収層、回路層、画素電極、スイッチング素子、光制御層、対向基板及び照明ユニットなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0140】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0141】
その他、本発明の実施の形態として上述した干渉フィルタ及び表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての干渉フィルタ及び表示装置法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0142】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
10…主基板、 11…基体、 11a…主面、 12…対向基板、 12a…対向主面、 13…対向電極、 20…波長選択透過層、 20a、20b、20c…第1、第2、第3領域、 21…下側半透過層、 22…上側半透過層、 23…中間層、 23a、23b、23c…第1、第2、第3スペーサ層、 25…第1誘電体膜、 26…第2誘電体膜、 27…第3誘電体膜、 28…第4誘電体膜、 29…オーバーコート層、 30…回路層、 30a、30b、30c…第1、第2、第3画素領域、 31a、31b、31c…第1、第2、第3画素電極、 32a、32b、32c…第1、第2、第3スイッチング素子、 33a、33b、33c…第1、第2、第3ゲート、 34a、34b、34c…第1、第2、第3半導体層、 35a、35b、35c…第1、第2、第3信号線側端部、 36a、36b、36c…第1、第2、第3画素側端部、 37…ゲート絶縁膜、 40…波長選択吸収層、 40a、40b、40c…第1、第2、第3吸収層、 50…光制御層、 61、62…第1、第2偏光層、 70…照明ユニット、 70L…照明光、 71…導光体、 72…照明用反射層、 73…光源、 74…進行方向変化部、 λ…波長、 λa、λb、λc…第1、第2、第3波長帯、 μ…中心値、 110、111…表示装置、 310、311、312、313…干渉フィルタ、 Ab…吸収率、 Bt…目標波長値、 L1、L2…光、 Tr…透過率、 f…確立密度、 t0…厚さ、 ta…第1距離、 tb…第2距離、 tc…第3距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基体と、
前記主面上に設けられた下側半透過層と、
前記下側半透過層の上に設けられた上側半透過層と、
を備え、
前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有し、
前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い干渉フィルタ。
【請求項2】
前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離よりも短い請求項1記載の干渉フィルタ。
【請求項3】
前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離は零である請求項1または2に記載の干渉フィルタ。
【請求項4】
前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第1スペーサ層と、
前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第3スペーサ層と、
をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項5】
前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第1スペーサ層をさらに備え、
前記第1領域内における前記第1距離と前記第1スペーサ層の屈折率との積は、105.8ナノメートル以上117.5ナノメートル未満である請求項1〜4のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項6】
前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域は、それぞれ複数設けられ、
前記複数の第1領域、前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域は、前記平面内で少なくとも1つの方向に沿って周期的に配置されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項7】
前記下側半透過層は、
第1誘電体膜と、
第1誘電体膜と積層され前記第1誘電体膜の屈折率とは異なる屈折率を有する第2誘電体膜と、
を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の干渉フィルタと、
前記基体と積層された波長選択吸収層と、
前記基体と積層された光制御層と、
備え、
前記波長選択吸収層は、
前記主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに前記第1領域と重なる部分を有する青色の第1吸収層と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第2領域と重なる部分を有する緑色の第2吸収層と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第3領域と重なる部分を有する赤色の第3吸収層と、
を含み、
前記光制御層は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域のそれぞれを通過する光の強度を制御する表示装置。
【請求項9】
前記光制御層は、液晶層を含む請求項8記載の表示装置。
【請求項1】
主面を有する基体と、
前記主面上に設けられた下側半透過層と、
前記下側半透過層の上に設けられた上側半透過層と、
を備え、
前記主面に平行な平面内に並置された、青色光を選択的に透過させる第1領域と、緑色光を選択的に透過させる第2領域と、赤色光を選択的に透過させる第3領域と、を有し、
前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短く、前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の距離よりも短い干渉フィルタ。
【請求項2】
前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離は、前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離よりも短い請求項1記載の干渉フィルタ。
【請求項3】
前記第2領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間の前記距離は零である請求項1または2に記載の干渉フィルタ。
【請求項4】
前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第1スペーサ層と、
前記第3領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第3スペーサ層と、
をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項5】
前記第1領域における前記下側半透過層と前記上側半透過層との間に設けられた第1スペーサ層をさらに備え、
前記第1領域内における前記第1距離と前記第1スペーサ層の屈折率との積は、105.8ナノメートル以上117.5ナノメートル未満である請求項1〜4のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項6】
前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域は、それぞれ複数設けられ、
前記複数の第1領域、前記複数の第2領域及び前記複数の第3領域は、前記平面内で少なくとも1つの方向に沿って周期的に配置されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項7】
前記下側半透過層は、
第1誘電体膜と、
第1誘電体膜と積層され前記第1誘電体膜の屈折率とは異なる屈折率を有する第2誘電体膜と、
を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の干渉フィルタ。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の干渉フィルタと、
前記基体と積層された波長選択吸収層と、
前記基体と積層された光制御層と、
備え、
前記波長選択吸収層は、
前記主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに前記第1領域と重なる部分を有する青色の第1吸収層と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第2領域と重なる部分を有する緑色の第2吸収層と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第3領域と重なる部分を有する赤色の第3吸収層と、
を含み、
前記光制御層は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域のそれぞれを通過する光の強度を制御する表示装置。
【請求項9】
前記光制御層は、液晶層を含む請求項8記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−73024(P2013−73024A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212040(P2011−212040)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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