説明

平ベルトコンベア蛇行修正方法及び装置

【課題】本発明は、平ベルトコンベア蛇行修正方法及び装置に関し、簡易な構成で応答性よくかつ適切に平ベルトの蛇行修正を行うことにある。
【解決手段】平ベルト14を搬送方向両端でローラ16,18により支持した平ベルトコンベア12の蛇行を修正する方法において、平ベルト14の蛇行を蛇行検出センサ22で検出し、その蛇行検出センサ22で平ベルト14の蛇行が検出された場合に、その平ベルト14に対してその表面に直交する方向に蛇行修正機構26の有するシリンダ28で押圧力を加えることにより、そのベルト幅方向でその平ベルト14の走行に対する抵抗の不均一な分布を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平ベルトコンベア蛇行修正方法及び装置に係り、特に、平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアの蛇行を修正するうえで好適な平ベルトコンベア蛇行修正方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送用の平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアにおいて平ベルトの蛇行を修正する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。平ベルトコンベアにおいては、被搬送物が平ベルト上に幅方向に偏って載置されたときや経年的な変化によって蛇行が生ずることがあるので、その発生した蛇行を自動的に修正することが便宜である。上記の蛇行修正装置において、平ベルトコンベアの蛇行修正は、その蛇行が検出されたうえで、その検出結果に基づいて旋回体の作動によりローラの位置を変更することにより実現することとしている。
【特許文献1】特開2000−118663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の装置の如く、平ベルトを支持するローラの位置を動かして蛇行修正を行うものとすると、そのローラを適当な位置に動かすのに大きな力が必要となるため、蛇行修正装置自体が過大となり複雑なものとなるおそれがある。
【0004】
また、ガラス板を折割する装置に用いられる平ベルトコンベアでは、停止中の平ベルト上に切線の入ったガラス板を載置してガラス板をプッシャーで押圧して折割するので、その押圧力によって平ベルトがずれて蛇行が生じることがある。更に、ガラス板を折割した後に平ベルト上に残ったガラス屑をカレットタンクへ搬送するために、平ベルトコンベアを高速走行させガラス屑を搬送した後停止させるというような変化の多い動きを繰り返すため、蛇行が生じ易い。ガラス板はバキューム装置に連通する平ベルト下側の貫通孔を介して平ベルトに設けられたスリット孔よりバキュームにより吸着固定されるので、平ベルトの蛇行に起因して、その平ベルトのスリット孔と貫通孔とがずれると、ガラス板を吸引し難いものになる。よって、速やかにその蛇行を修正しないと、ガラス板の折割を適切に行うことが困難になる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で応答性よくかつ適切にベルトコンベアの有するベルトの蛇行修正を行うことが可能な平ベルトコンベア蛇行修正方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアの蛇行修正方法であって、前記平ベルトの蛇行を蛇行検出センサで検出し、前記蛇行検出センサで前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、前記平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力を加えて該平ベルトの幅方向で該平ベルトの走行に対する抵抗の不均一な分布を発生させる平ベルトコンベア蛇行修正方法により達成される。
【0007】
また、上記の目的は、平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアの蛇行修正装置であって、前記平ベルトの蛇行を検出する蛇行検出センサと、前記蛇行検出センサで前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、前記平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力を加えて該平ベルトの幅方向で該平ベルトの走行に対する抵抗の不均一な分布を発生させる押圧力発生手段と、を備える平ベルトコンベア蛇行修正装置により達成される。
【0008】
これらの態様の発明において、蛇行検出センサで平ベルトの蛇行が検出された場合、その平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力が加えられ、そして、その平ベルトの幅方向でその平ベルトの走行に対する抵抗が不均一な分布にされる。かかる構成によれば、その平ベルトに、幅方向について走行抵抗の大きい側から小さい側へ向けて逃げるような力が作用する。このため、本発明によれば、平ベルトの蛇行修正を行うことができる。また、このように平ベルトの蛇行修正が、その平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力が加えられることにより実現されれば、その押圧力付与のための手段を簡素なものとすることができると共に、平ベルトに直接に蛇行修正のための力が加わるので、その蛇行修正を速やかに行うことができる。従って、本発明によれば、簡素な構成で応答性よくかつ適切に平ベルトの蛇行修正を行うことができる。
【0009】
尚、上記した平ベルトコンベア蛇行修正方法において、前記押圧力で前記平ベルトに撓みを生じさせることとすれば、また、上記した平ベルトコンベア蛇行修正装置において、前記平ベルトは、前記押圧力が加えられることにより撓みが生ずる部材であることとすれば、平ベルトの押圧力が加わる付近に大きな撓みが生じて、平ベルトの幅方向について走行抵抗の大きい側から小さい側へ向けて逃げるような力が作用し易くなり、平ベルトの蛇行修正を行い易くすることができる。
【0010】
また、上記した平ベルトコンベア蛇行修正方法において、前記蛇行検出センサにより前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、該蛇行方向に応じた前記平ベルトの幅方向の何れか一方の端部に対して前記押圧力を付与することとすれば、容易に平ベルトの幅方向でその走行抵抗を不均一な分布とすることができる。
【0011】
また、上記した平ベルトコンベア蛇行修正装置において、前記押圧力発生手段は、前記平ベルトの幅方向の両端部位に加える前記押圧力をそれぞれ独立して発生させる構成とすれば、簡単な構成で平ベルトの幅方向でその走行抵抗の不均一な分布を発生させることができる。
【0012】
更に、上記した平ベルトコンベア蛇行修正方法において、前記押圧力を、前記平ベルトのリターン側における下面の搬送方向中央近傍に加えることとすれば、また、上記した平ベルトコンベア蛇行修正装置において、前記押圧力発生手段は、前記平ベルトのリターン側における下面の搬送方向中央近傍に前記押圧力を付与できるように備えられていれば、押圧力付与のための手段を最小限の数に抑えつつ、平ベルトの幅方向における走行抵抗の不均一な分布の発生を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡素な構成で応答性よくかつ適切に平ベルトの蛇行修正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の一実施例である蛇行修正装置10が搭載された平ベルトコンベア12の外観構成図を示す。尚、図1には側面図を、図2(A)には平面図を、また、図2(B)には正面図を、それぞれ示す。更に、図3は、本実施例の蛇行修正装置10のシステム構成図を示す。
【0015】
本実施例の蛇行修正装置10は、平ベルトコンベア12の有する平ベルト14の蛇行を修正する装置である。図1に示す如く、本実施例において、平ベルトコンベア12は、被搬送物(例えば切線の入ったガラス板)が載置される平ベルト14を備えている。平ベルト14は、その表面に垂直な方向に力が作用した際に撓みが生ずる部材により構成されている。平ベルト14は、搬送方向に直交する方向(図2における左右方向;以下、幅方向と称す)にある程度広い幅を有しており、搬送方向の両側において駆動ローラ16及び従動ローラ18により支持されている。
【0016】
駆動ローラ16及び従動ローラ18は共に、平ベルト14の幅方向の長さよりも長い軸長さを有している。駆動ローラ16には、モータ20が取り付けられている。駆動ローラ16は、モータ20の回転により軸中心に回転することができ、平ベルト14を両ローラ16,18間において走行させることが可能である。平ベルト14は、両ローラ16,18間においてその上面側が従動ローラ18側から駆動ローラ16側へ走行し、また、その下面側が駆動ローラ16側から従動ローラ18側へリターンするようになっている。
【0017】
例えば、平ベルト14の表面には、規則的に並んだ複数のスリット孔(図示せず)が設けられている。各スリット孔は、所定の直径長さ(例えば8mm)を有し、隣り合うものと所定の間隔(例えば20mm)を空けて設けられている。スリット孔は、通常、平ベルト14の上に載置される被搬送物のテンプレート(図示せず)に開けられた貫通孔と対向する。上記のスリット孔は、バキュームポンプにより大気よりも低圧にされたテンプレートの真空空間に連通されており、上記のテンプレートの貫通孔を通じて平ベルト14の上に載置される被搬送物を吸着する役割を有している。
【0018】
上記のテンプレートは、被搬送物であるガラス板に入った切線の形状と相似形の凸状部を有しており、切線に沿ってガラス板を折割する際の段差を生じさせるための部材である。テンプレートの内部は、空洞になっており、バキュームポンプに連通している。切線の入ったガラス板が折割されると、そのガラス板は次工程へロボットハンドなどで搬送され、一方、残ったガラス屑は平ベルト14の高速走行により下流のカレットタンクへ搬送される。その後、平ベルトは停止し、次のガラス板が載置される。
【0019】
本実施例の蛇行修正装置10は、平ベルト14の幅方向におけるエッジを確認するための蛇行検出センサ22を備えている。蛇行検出センサ22は、平ベルトコンベア12の本体に対して固定されており、平ベルト14の幅方向における両エッジ近傍のそれぞれに配設されている。蛇行検出センサ22は、平ベルト14の幅方向におけるエッジに応じた信号、すなわち、そのエッジが所望の位置から所定距離(例えば3mm)以上ずれるか否かに応じた信号を出力するセンサである。
【0020】
蛇行検出センサ22には、コンピュータを主体に構成されたコントローラ24が電気的に接続されている。各蛇行検出センサ22の出力信号はそれぞれ、コントローラ24に供給される。コントローラ24は、各蛇行検出センサ22の出力信号に基づいて、平ベルト14の幅方向におけるエッジが所望の位置から所定距離以上ずれたか否かを判別して、平ベルト14の所定以上の蛇行の有無を検出する。
【0021】
また、蛇行修正装置10は、平ベルト14の蛇行を修正するために設けられた蛇行修正機構26を備えている。蛇行修正機構26は、平ベルト14のリターン側の搬送方向中央近傍の下方に設けられている。蛇行修正機構26は、平ベルト14の表面に直交しかつ搬送方向に直交する方向(すなわち上下方向)に伸縮可能なシリンダ28を有している。シリンダ28は、平ベルト14の幅方向の両端にそれぞれ配設されており、それぞれの位置で独立して伸縮可能に構成されている。各シリンダ28それぞれの端部には、平ベルト14と接触し得るローラ(以下、蛇行修正用ローラと称す)30が配設されている。蛇行修正用ローラ30は、その平ベルト14との大きな摩擦力が発生し難い部材(例えばMCナイロン)により構成されており、シリンダ28の伸縮に応じて上下方向に変位することが可能である。
【0022】
各シリンダ28にはそれぞれ、電磁アクチュエータ32が接続されている。電磁アクチュエータ32は、対応のシリンダ28を平ベルト14の表面に直交しかつその搬送方向に直交する方向に伸長させることにより平ベルト14の下面を上方に押圧する押圧力を発生する。電磁アクチュエータ32は、上記したコントローラ24に電気的に接続している。コントローラ24は、後述の如く、上記の押圧力が発生するように電磁アクチュエータ32を駆動する。
【0023】
次に、図4及び図5を参照して、本実施例の蛇行修正装置10の動作について説明する。図4は、本実施例の蛇行修正装置10においてコントローラ24が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図5は、本実施例の蛇行修正装置10による蛇行修正の手法を説明するための図を示す。尚、図5(A)には蛇行修正中の蛇行修正装置10の正面図を、また、図5(B)には蛇行修正中の平ベルト14の平面図を、それぞれ示す。
【0024】
本実施例の蛇行修正装置10において、コントローラ24は、蛇行検出センサ22の出力信号に基づいて、平ベルト14の所定以上の蛇行の有無を検出する(ステップ100)。その検出の結果、平ベルト14の蛇行が生じていないと判定したときは、ベルト幅方向の両シリンダ28が所定の均一な高さとなるように(何れかのシリンダ28がその高さよりも上昇しているときはその高さまで下降して収縮されるように)電磁アクチュエータ32を駆動する(ステップ102)。この場合、平ベルト14は、蛇行修正機構26のシリンダ28から上方に押圧する押圧力が付与されることなく所定のテンションを伴って走行する。
【0025】
一方、上記ステップ100の検出の結果、平ベルト14の蛇行が生じたと判定したときは、まず、その平ベルト14の幅方向におけるエッジの移動方向に基づいて、その蛇行が生じている方向(具体的には、図2(A)に示す状態において平ベルト14が搬送方向に対して左寄りに走行して蛇行しているか或いは右寄りに走行して蛇行しているか)を特定する(ステップ104)。
【0026】
そして、平ベルト14の蛇行が左寄りにあると判定したときは、平ベルト14の搬送方向に対して左側にあるシリンダ28が上昇して伸張されるように、そのシリンダ28に対応する電磁アクチュエータ32を駆動する(ステップ106)。尚、この際、シリンダ28の上昇度合いは、一定の値であってもよいし、また、左寄り蛇行の度合いに応じて変化されるものであってもよい。この場合、平ベルト14のリターン側は、図5に示す如くその左側部分において蛇行修正機構26の左側シリンダ28に配設された蛇行修正用ローラ30から上方に押圧する押圧力が付与されつつその蛇行修正用ローラ30に接しながら走行することとなる。
【0027】
また一方、平ベルト14の蛇行が右寄りにあると判定したときは、平ベルト14の搬送方向に対して右側にあるシリンダ28が上昇して伸張されるように、そのシリンダ28に対応する電磁アクチュエータ32を駆動する(ステップ108)。尚、この際、シリンダ28の上昇度合いは、一定の値であってもよいし、また、右寄り蛇行の度合いに応じて変化されるものであってもよい。この場合、平ベルト14のリターン側は、その右側部分において蛇行修正機構26の右側シリンダ28に配設された蛇行修正用ローラ30から上方に押圧する押圧力が付与されつつその蛇行修正用ローラ30に接しながら走行することとなる。
【0028】
このように本実施例の蛇行修正装置10によれば、平ベルト14のリターン側は、その下面の搬送方向中央近傍において、その蛇行が生じていないときは、シリンダ28に配設された蛇行修正用ローラ30から下面に直交する上方に向けて押圧されることはないが、その蛇行が生じたときは、図5に示す如くその蛇行方向に応じた幅方向の偏った端部のみにおいてシリンダ28に配設された蛇行修正用ローラ30から下面に直交する上方に向けて押圧されることとなる。
【0029】
平ベルト14は、上記の如く、その表面に垂直な方向に力が作用した際に撓みが生ずる部材により構成されている。このため、上記の如く平ベルト14のリターン側の下面の搬送方向中央近傍に上方に向いた押圧力が加えられて、その押圧力がベルト幅方向で不均一なものにされると、その平ベルト14の一部の領域(具体的には、そのリターン側の下面の搬送方向中央近傍)に、その幅方向について、その平ベルト14の走行に対して不均一な分布の抵抗が発生して、下方からの押圧力が加わる側から加わらない側へ向けて逃げるような図5に矢印で示す如き力が作用する。
【0030】
従って、本実施例の蛇行修正装置10によれば、平ベルト14が例えば左寄りに蛇行して走行したときは、その後、平ベルト14に対して幅方向左側のシリンダ28が上昇してその幅方向左側に上方へ向かう押圧力が作用するので、平ベルト14を幅方向右方へ変位させる力が発生する。また、平ベルト14が例えば右寄りに蛇行して走行したときは、その後、平ベルト14に対して幅方向右側のシリンダ28が上昇してその幅方向右側に上方へ向かう押圧力が作用するので、平ベルト14を幅方向左方へ変位させる力が作用する。このため、本実施例の蛇行修正装置10によれば、平ベルトコンベア12の有する平ベルト10が蛇行した際にその蛇行を修正することが可能となる。
【0031】
すなわち、本実施例の蛇行修正装置10において、平ベルト14の蛇行修正は、その平ベルト14の幅方向における偏った部位にその表面に直交する方向に向けて押圧力を加えることにより、すなわち、その平ベルト14に対してその表面に直交する方向に加える押圧力をその平ベルト14の幅方向で不均一にして平ベルト14の走行に対する抵抗をそのベルト幅方向で不均一な分布にすることにより実現される。
【0032】
かかる蛇行修正装置10の如く、平ベルト14の蛇行修正を実現するうえで、その平ベルト14に対して下方からその表面に垂直な方向にシリンダ28により押圧力を付与する構成によれば、例えば平ベルト14の蛇行修正を駆動ローラ16及び従動ローラ18を位置移動させて実現する構成と異なり、平ベルト14の蛇行修正を大きなエネルギを伴うことなく実現することが可能となる。このため、本実施例の蛇行修正装置10によれば、平ベルト14の蛇行修正のための蛇行修正機構26を簡素なものとすることが可能となっており、簡素な構成でかつ低廉な構成で適切に平ベルト14の蛇行修正を実現することが可能となっている。
【0033】
また、上記した構成において、平ベルト14の蛇行修正は、その平ベルト14に対して蛇行修正機構26により直接に蛇行修正のための力が加えられることにより実現される。このため、本実施例の蛇行修正装置10によれば、平ベルト14の蛇行をその蛇行発生後速やかに修正することが可能である。従って、本実施例の蛇行修正装置10によれば、簡素な構成で応答性よくかつ適切に平ベルト14の蛇行修正を行うことが可能となっている。
【0034】
更に、本実施例の蛇行修正装置10の如く、平ベルト14の蛇行修正を実現するうえで、その平ベルト14のリターン側に対して下方からその表面に垂直な方向にシリンダ28により押圧力を付与する構成によれば、シリンダ28、蛇行修正用ローラ30、及び電磁アクチュエータ32からなる蛇行修正機構26を設置するのに、平ベルトコンベア12の有する平ベルト14の下方のスペースを利用することができるので、蛇行修正機構26の設置スペースを十分に確保することができる。
【0035】
尚、本実施例の蛇行修正装置10は、平ベルト14の蛇行が生じたときに、その平ベルト14のリターン側をシリンダ28に配設された蛇行修正用ローラ30が押圧する押圧力を、平ベルト14の幅方向でその蛇行方向に応じた側のみに付与して不均一とし、平ベルト14の走行に対する抵抗のベルト幅方向における分布を不均一なものにするので、幅の比較的狭い平ベルト14の蛇行修正よりも幅の比較的広い平ベルト14の蛇行修正に適したものとなる。
【0036】
ところで、上記の実施例においては、駆動ローラ16及び従動ローラ18が特許請求の範囲に記載した「ローラ」に、シリンダ28、蛇行修正用ローラ30、及び電磁アクチュエータ32からなる蛇行修正機構26が特許請求の範囲に記載した「押圧力発生手段」に、それぞれ相当している。
【0037】
尚、上記の実施例においては、蛇行修正機構26を、平ベルト14の搬送方向中央近傍にのみその下方から上方へ向けて押圧力が付与されるように一対のシリンダ28により構成することとしたが、搬送方向にもシリンダ28を複数並べるものとしてもよい。かかる構成においては、平ベルト14の蛇行が生じたときに、ベルト幅方向の何れか同一側に並ぶ各シリンダ28をすべて上昇させて伸張させることとすれば、平ベルト14に幅方向のその側から他方の側へ力が作用して、その蛇行を修正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例である蛇行修正装置が搭載された平ベルトコンベアの外観構成図である。
【図2】本実施例の蛇行修正装置が搭載された平ベルトコンベアの外観構成図である。
【図3】本実施例の蛇行修正装置のシステム構成図である。
【図4】本実施例の蛇行修正装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図5】本実施例の蛇行修正装置による蛇行修正の手法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0039】
10 蛇行修正装置
12 平ベルトコンベア
14 平ベルト
16 駆動ローラ
18 従動ローラ
22 蛇行検出センサ
24 コントローラ
26 蛇行修正機構
28 シリンダ
30 蛇行修正用ローラ
32 電磁アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアの蛇行修正方法であって、
前記平ベルトの蛇行を蛇行検出センサで検出し、前記蛇行検出センサで前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、前記平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力を加えて該平ベルトの幅方向で該平ベルトの走行に対する抵抗の不均一な分布を発生させることを特徴とする平ベルトコンベア蛇行修正方法。
【請求項2】
前記押圧力で前記平ベルトに撓みを生じさせる請求項1記載の平ベルトコンベア蛇行修正方法。
【請求項3】
前記蛇行検出センサにより前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、該蛇行方向に応じた前記平ベルトの幅方向の何れか一方の端部に対して前記押圧力を付与する請求項1又は2記載の平ベルトコンベア蛇行修正方法。
【請求項4】
前記押圧力を、前記平ベルトのリターン側における下面の搬送方向中央近傍に加える請求項1、2、又は3記載の平ベルトコンベア蛇行修正方法。
【請求項5】
平ベルトを搬送方向両端でローラにより支持した平ベルトコンベアの蛇行修正装置であって、
前記平ベルトの蛇行を検出する蛇行検出センサと、
前記蛇行検出センサで前記平ベルトの蛇行が検出された場合に、前記平ベルトに対してその表面に直交する方向に押圧力を加えて該平ベルトの幅方向で該平ベルトの走行に対する抵抗の不均一な分布を発生させる押圧力発生手段と、
を備えることを特徴とする平ベルトコンベア蛇行修正装置。
【請求項6】
前記平ベルトは、前記押圧力が加えられることにより撓みが生ずる部材である請求項5記載の平ベルトコンベア蛇行修正装置。
【請求項7】
前記押圧力発生手段は、前記平ベルトの幅方向の両端部位に加える前記押圧力をそれぞれ独立して発生させる構成である請求項5又は6記載の平ベルトコンベア蛇行修正装置。
【請求項8】
前記押圧力発生手段は、前記平ベルトのリターン側における下面の搬送方向中央近傍に前記押圧力を付与できるように備えられた請求項5、6、又は7記載の平ベルトコンベア蛇行修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−105786(P2008−105786A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288936(P2006−288936)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】