説明

平均波長の安定性が向上したEr添加超蛍光ファイバー光源

エルビウム添加(Er添加)超蛍光性のファイバー光源(SFS)は、高い平均波長安定性を持つ。方法は、SFS(10)の推定平均波長を決定する。方法は、実平均波長を有するEr添加SFS(10)を備えることを含む。方法は、SFS(10)を構成することをさらに含み、実平均波長がEDF(20)の温度に依存する。方法は、EDF(20)の温度への実平均波長の依存度を得ることをさらに含む。方法は、EDF(20)の温度を測定することをさらに含む。方法は、測定したEDF(20)の温度およびEDF(20)の温度に対する実平均波長の依存度を用いて、推定平均波長を算出することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括して、光学系にレーザー光を与えるための方法および装置に関し、より特定的には、平均波長の安定性が向上したレーザー光を与えるための超蛍光ファイバー光源に関する。
【背景技術】
【0002】
Erを添加した超蛍光ファイバー光源(SFSs)は、光ファイバージャイロスコープ(FOGs)に応用するため広範に研究されてきた。SFSsは、高い効率、高い空間コヒーレンス、広いスペクトルの発光、および平均波長の優れた長期安定性を合わせ持つユニークなものである。例えば、D.G. Falquier, " Erbium doped superfluorescent fiber sources for the fiber optic gyroscope"(光ファイバージャイロスコープためのエルビウムを添加した超蛍光ファイバー光源)、博士論文、2000年12月、応用物理学部、スタンフォード大学、スタンフォード、カリフォルニア州、D.C. Hall他, "High-stability Er3+-doped supErfluorescent fiber sources,"(高安定性Er3+添加超蛍光ファイバー光源) J. Lightwave Tech., Vol. 13, No. 7, pp. 1452-1460, July 1995、およびP.F. Wysocki他, "Characteristics of Erbium-doped superfluorescent fiber sources for interferometric sensor applications,"(干渉センサーに利用するためのエルビウム添加超蛍光ファイバー光源の特性) J. Lightwave Tech., Vol. 12, No. 3, pp. 550-567, March 1994を参照されたい。この引用によりそれぞれの内容が本明細書にそっくり記載されたものとする。
【0003】
SFSの平均波長の長期安定性は望ましいことである。というのも、FOGの目盛倍率は該光源の平均波長をもって計測するからである。従って、目盛倍率の正確な情報、そして平均波長の正確な情報は、特に、FOGからの絶対回転速度の正確な測定に有用である。D.C. Hall他(上記で引用)は、Erを添加したSFSの平均波長安定性が、8百万分率(ppm)のオーダーであることを報告している。この平均波長安定性は、低度〜中度の精度のFOGsに適している。しかし、高精度の慣性航法FOGsは、長時間にわたって平均波長のより高い安定性を必要とする。
【0004】
先行技術において、高精度の用途に対し十分な平均波長安定性を有するSFSは報告されていない。その理由の一つは、SFSの平均波長を左右する種々のパラメーター(例えばポンプの波長、出力、および偏光、ファイバーの温度および複屈折、ならびにFOGから戻る光のフィードバック)を安定化することが困難なことである。これまでの努力により、これら各々のパラメーターの平均波長に対する寄与について詳細な研究がなされており、それらの寄与および/またはそれらの寄与の変動を効果的に減少させる種々の方法が報告されている。上記で両者引用したD.C. Hall他およびP.F. Wysocki他の先行の成果についての報告例に加え、以下のような報告例が含まれる。T. Gaiffe他、"Wavelength stabilization of an Erbium-doped Fiber source with a fiber Bragg grating for high-accuracy FOG,"(高精度FOGのためのファイバーブラッググレーティングによるエルビウム添加ファイバー光源の波長安定化)、Proc. SPIE, Vol. 2837, pp. 375-380, 1996;H.J. Patrick他、"Erbium-doped superfluorescent fibre source with long period fibre grating wavelength stabilization"(長期ファイバーグレーティング波長安定化エルビウム添加超蛍光ファイバー光源)、Electron. Lett., Vol. 33, No. 24, pp. 2061-2063, 1997;M.J.F. Digonnet, "Broadband fiber sources," (広帯域ファイバー光源) in Rare-Earth-Doped Fiber Lasers and Amplifiers, pp. 313-340, 2001, 第2版、M.J.F. Digonnet編、Marcel Dekker, Inc., New York;P. Wysocki他、"Wavelength Stability of a High-Output, Broadband, Er-Doped Superfluorescent Fiber Source Pumped near 980 nm"(980nm付近でポンピングされる高出力、広帯域、Er添加超蛍光ファイバー光源の波長安定性)、Opt. Lett., Vol. 16, No. 12, pp. 961-963, June 1991;およびP.Z. Zatta他、"Ultra-high-stability two-stage superfluorescent fibre sources for fibre optic gyroscopes"(光ファイバージャイロスコープのための超高安定性2ステージ超蛍光ファイバー光源)、Electron. Lett., Vol. 38, No. 9, pp. 406-408, April 2002 この引用によりそれぞれの内容が本明細書にそっくり記載されたものとする。
【0005】
平均波長のポンプ波長に対する依存性は、従来適当にポンプ波長を選ぶことにより、そして、レーザーダイオードの温度および電流を安定化することにより減らされてきた。平均波長のポンプ出力依存性は、従来ポンプ出力およびファイバー長の適当な選択により減らされてきた。レーザーダイオードの温度を安定化することおよび電流を安定化することは、平均波長のポンプ出力依存性を減少させるのにも利用されてきた。平均波長に対する光のフィードバックの影響は、SFSの構成を適正に設計し、かつSFSとジャイロコイルとを光学的に分離することにより、減少させることができ、さらには除去することができる。かくして、これらの平均波長に対する寄与は、数ppmレベル以下に減らされてきたが、さらなる安定化がいまだに求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所定の態様において、1つの方法は、超蛍光ファイバー光源(SFS)により発生される光の平均波長を安定化するものである。この方法は、SFSを与えることを含む。該SFSは、第一端部、第二端部および該第一端部と該第二端部との間の長さ部分を有するEr添加ファイバー(EDF)を含む。該SFSはさらに、該EDFの第一端部に光学的に連結されたカプラーを含む。該SFSはさらに、該カプラーに光学的に連結されたポンプ光源を含む。該ポンプ光源はポンプ光を発生させる。平均波長は、該ポンプ光の波長に影響される。該ポンプ光の波長は、該ポンプ光源の温度に依存し、かつ、該ポンプ光の出力に依存する。該ポンプ光は、該カプラーを介して該EDFに伝播する。該EDFは、該ポンプ光源から遠ざかるように伝播する順方向の増幅自発放射(ASE)光および該ポンプ光源に向かって伝播する逆方向のASE光を発生させることにより、該ポンプ光に応答する。該SFSはさらに、該カプラーに光学的に連結されたミラーを含む。該ミラーは、該EDFに伝播する反射ASE光として、該逆方向のASE光を反射する。該反射ASE光は、該EDFを通過する際に増幅される。該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、該EDFの第二端部から外に伝播する。該SFSはさらに、該EDFの第二端部に連結された光アイソレーターを含む。該EDFの第二端部からの該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、SFS出力光として、該光アイソレーターを介して伝達される。該方法はさらに、該EDFの長さを最適化することを含む。該方法はさらに、平均波長の安定性に対するポンプ光波長の影響を減少させることを含む。
【0007】
他の所定の態様において、超蛍光ファイバー光源(SFS)は、選ばれた安定性の平均波長を有する出力光を発生させる。該SFSは、第一端部、第二端部、および該第一端部と該第二端部との間の長さ部分を有するEr添加ファイバー(EDF)を含む。該SFSはさらに、該EDFの第一端部に光学的に連結されたカプラーを含む。該SFSはさらに、該カプラーに光学的に連結されたポンプ光源を含む。該ポンプ光源はポンプ光を発生させる。出力光の平均波長は、該ポンプ光の波長に影響される。該ポンプ光の波長は、該ポンプ光源の温度に依存し、かつ、該ポンプ光の出力に依存する。該ポンプ光は、該カプラーを介して該EDFに伝播する。該EDFは、該ポンプ光源から遠ざかるように伝播する順方向の増幅自発放射(ASE)光および該ポンプ光源に向かって伝播する逆方向のASE光を発生させることにより、該ポンプ光に応答する。該SFSはさらに、該カプラーに光学的に連結されたミラーを含む。該ミラーは、該EDFに伝播する反射ASE光として、該逆方向のASE光を反射する。該反射ASE光は、該EDFを通過する際に増幅される。該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、該EDFの第二端部から外に伝播する。該SFSはさらに、該EDFの第二端部に連結された光アイソレーターを含む。該EDFの第二端部からの該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、出力光として、該光アイソレーターを介して伝達される。該出力光の平均波長の安定性は、該EDFの長さを最適化し、かつ該ポンプ光波長の該平均波長に対する影響を減少させることにより、選ばれたものとなる。
【0008】
所定の態様において、1つの方法は、超蛍光ファイバー光源(SFS)の推定平均波長を決定する。この方法は、ある実平均波長を有するSFSを与えることを含む。該SFSは、ある温度を有するエルビウム添加ファイバー(EDF)とポンプ光源とを含む。該方法はさらに、該実平均波長が該EDFの該温度に対して依存性を有するように該SFSを構成することを含む。該方法はさらに、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を得ることを含む。該方法はさらに、該EDFの温度を測定することを含む。該方法はさらに、測定した該EDFの温度および該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を用いて推定平均波長を算出することを含む。
【0009】
所定の態様において、超蛍光ファイバー光源(SFS)を備える。該SFSは、少なくとも1時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内で安定している平均波長を有する。
【0010】
所定の態様において、超蛍光ファイバー光源(SFS)は、選ばれた安定性の平均波長を有する出力光を発生させる。該SFSは、第一端部と第二端部との間にある長さを有するエルビウム添加ファイバー(EDF)を含み、該EDFはある温度を有する。該SFSはさらに、実質的に一定のポンプ波長でポンプ光を発生するように制御されるポンプ光源を含む。該SFSの平均波長は、該ポンプ波長に影響される。該ポンプ波長は、該ポンプ光源の温度に依存しかつ該ポンプ光の出力に依存する。該ポンプ光は、該EDFの第一端部につながれ、該EDFの第二端部に向かって伝播する。該EDFは、該EDFの第二端部に向かって伝播しかつ該EDFの第二端部から出力される順方向の増幅自発放射(ASE)光を発生するように該ポンプ光に応答する。さらに、該EDFは、該EDFの第一端部に向かって伝播する逆方向のASE光を発生するように該ポンプ光に応答する。該逆方向のASE光は、第一の偏光を有する。該SFSはさらに、該逆方向のASE光を受光するように光学的に連結されたミラーを含む。該ミラーは、該第一の偏光に直交する第二の偏光で反射ASE光を発生するように該逆方向のASE光を反射する。該反射ASE光は、該EDFの第一端部につながれ、かつ、該EDFの長さ部分を通って該EDFの第二端部に伝播する際に増幅される。該EDFの第二端部において、該増幅された反射ASE光は、該順方向のASE光とともに出力される。平均波長の安定性は、該EDFの長さを最適化し、かつ該平均波長に対する該ポンプ波長の影響を減少させることにより、選ばれたものとなる。
【0011】
本発明を要約するために、本発明の所定の状況、利点および新規な特徴について上述した。しかしながら、当然のことながら、必ずしもそのような利点のすべてが本発明のいかなる特有の態様によっても達成されることを必要とするものではない。従って、ここに開示する利点の一つまたは一連の利点を達成するかまたは最適化するように、本発明を具体化または実施することができ、その場合、ここに開示または示唆しうる他の利点を必ずしも達成する必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に模式的に示す超蛍光ファイバー光源(SFS)10は、ここに説明する態様に従って選ばれた安定性の平均波長〈λ〉を有するSFS出力光12を発生させるものである。SFS10は、第一端部22、第二端部24、および第一端部22と第二端部24との間の長さ部分を有するEr添加ファイバー(EDF)20を含む。また、所定の態様において、EDF20は、ある温度を有し、温度依存複屈折および偏光依存利得を有する。さらにSFS10は、EDF20の第一端部22に光学的に連結されたカプラー30を含む。所定の態様において、カプラー30は、温度依存複屈折および偏光依存損失を有する。さらにSFS10は、カプラー30に光学的に連結されたポンプ光源40を含む。ポンプ光源40は、ポンプ光42を発生させる。SFS10の平均波長〈λ〉は、ポンプ光42の波長に影響される。ポンプ光42の波長は、ポンプ光源40の温度に依存しかつポンプ光42の出力に依存する。ポンプ光42は、カプラー30を介してEDF20に伝播する。EDF20は、ポンプ光源40から遠ざかるように伝播する順方向の増幅自発放射(ASE)光44およびポンプ光源40に向かって伝播する逆方向のASE光46を発生させることにより、ポンプ光42に応答する。さらにSFS10は、カプラー30に光学的に連結されたミラー50を含む。ミラー50は、反射ASE光48として逆方向のASE光46を反射し、反射ASE光48は、EDF20に伝播する。さらに反射ASE光48は、EDF20を通過する際に増幅される。順方向のASE光46および増幅された反射ASE光は、EDF20の第二端部24から外に伝播する。さらにSFS10は、EDF20の第二端部24に連結された光アイソレーター60を含む。EDF20の第二端部24からの順方向のASE光46および増幅された反射ASE光は、SFS出力光12として、光アイソレーター60を通じて伝達される。SFS出力光12の平均波長〈λ〉の安定性は、EDF20の長さを最適化しかつ平均波長に対するポンプ光42の波長の影響を減少させることにより、選ばれたものとなる。
【0013】
所定の態様において、SFS10は、約5ミリワットの出力において、約1550ナノメートルの波長および約17ナノメートルの線幅を有する光を放射する。線幅は、上記で引用したD.C. Hall他の説明に従って定義される。約1ナノメートル〜約50ナノメートルの範囲にあるSFS帯域幅の他の値は、この構成、および、他の光源構成で、光源のパラメーター(特にポンプ出力およびEDF長)を適当に選択することにより、達成することができる。所定の態様において、SFS10は、図1に示すように、単光路のSFS構成よりも大きな出力を有する複光路の構成を有する。また、そのような複光路の構成は、単光路の構成よりも用いるEDF20の長さを短くすることができ、さらに、以下でより詳しく説明するように、偏光に関連する影響を排除するためファラデー回転ミラー(FRM)を用いることを可能にする。そのようなFRMsは、SFS10の単光路構成において偏光に関連する影響を排除するのに使用することができるオーバーロング・リオ・ファイバーデポーラライザーが好ましい。
【0014】
所定の態様において、EDF20は、少なくとも約94メートルの長さを有するが、他の長さも、ここに説明する態様に適合する。この長さは、一部、光源のパラメーターに左右され、一部、EDFコア中の3価エルビウムイオンの濃度に左右される。これら特定の態様において、EDFコア中の3価エルビウムイオンの濃度は、約1.53ミクロンの波長において該ファイバーが約3.7デシベル/メートルの小信号吸収を有するようなものである。従って、約1.53ミクロンにおける94メートルファイバーの全小信号吸収は、約348デシベルである。一つの有利な態様において、EDF20は、約1.1ミクロンのコア半径を有し、約0.26の開口数を有する。これらのコアパラメーター値は、348デシベルの全小信号吸収値と合わせて、以下により詳細に説明するように、SFSの平均波長の安定性を最適化するEDFパラメーターの特定の組合せを規定するものである。しかし、当然のことながら、この組合せに限られる訳ではなく、他の組合せのパラメーター値でも、実質的に同じ挙動をもたらすことができる。そのような組合せは、市販のいくつかのEDFシミュレーターの一つを用いてSFS平均波長安定性の数値シミュレーションにより得ることができる。以下により詳細に説明するとおり、EDF20の長さは、順方向のASE光44の出力を減少させるよう選択することができ、それにより、順方向のASE光44からの残留偏光依存利得(PDG)の影響による平均波長のドリフトが減らされる。
【0015】
所定の態様において、カプラー30は、波長分割マルチプレクサー(WDM)を含む。そのようなWDMカプラー30は、第一の波長(例えば1472ナノメートル)においてポンプ光源40からの光のほぼすべてをEDF20に伝達する。また、そのようなWDMカプラー30は、第二の波長(例えば1550ナノメートル)において逆方向のASE光46のほぼすべてをEDF20からミラー50に連結する。また、そのようなWDMカプラー30は、該第二の波長において反射ASE光48のほぼすべてをミラー50からEDF20に連結する。当業者に明らかなとおり、ポンプ光を連結しかつASE光を伝達する選択型WDMを用いることができる。そのような選択型を用いるとき、ポンプ光源40の位置とミラー50の位置とを図1の態様において入れ替える。
【0016】
所定の態様において、ポンプ光源40は、ある温度を有しかつあるレーザーダイオード電流(例えば10マイクロアンペア)を有するレーザーダイオードを含む。所定の態様のポンプ光42は、偏光させられ、赤外波長(例えば約1460ナノメートル〜約1490ナノメートル)を有するレーザー光からなる。典型的なレーザーダイオードには、30ミリワットのファイバーピッグテールド出力を有する1472ナノメートルレーザーダイオードがあるが、これに限定されるものではない。以下により詳細に説明するように、所定の態様において、ポンプ光源40の温度は、約0.01℃の範囲内で安定であるように制御することができる。
【0017】
所定の態様において、ミラー50はファラデー回転ミラー(FRM)を含む。所定の態様のミラー50はファイバーピッグテール型である。FRMsは、いくつかの業者、例えばカルフォルニア州サンノゼのJDS Uniphase社から市販品として購入できるが、多くの製造業者がそのような装置を提供している。所定の態様において、光アイソレーター60は、SFS10の出力において時間依存性の反射により不要な揺らぎがSFS平均波長〈λ〉に生じるのを防いでいる。該アイソレーターの分離比は約40デシベル以上である。光源の設計の詳細に応じてより高いまたはより低い値を許容することができる。
【0018】
[ポンプの影響]
ポンプ光源40(例えばレーザーダイオード)の温度の変動は、ポンプ光源40により発生されるポンプ光42の波長λpに変動の誘因となりうる。この温度によるポンプ光42の波長の変動は、SFSの平均波長〈λ〉の変動の誘因となりうる。
【0019】
所定の態様において、平均波長の安定性に対するポンプ光変動の影響を減少させることが好ましい。そのような所定の態様において、ポンプ光源40の温度は、SFS平均波長〈λ〉の予定された安定性が得られるように、十分な安定度に制御される。所定の態様において、ポンプ光40の温度は、±0.01℃に制御することができる。レーザーダイオード波長の測定温度依存度が約1ナノメートル/℃である場合、従って、ポンプ光42の波長は約±0.01ナノメートルの変動Δλpを有しうる。SFS平均波長〈λ〉の対応する変動の大きさは、ポンプ光42の波長に対するSFS平均波長〈λ〉の依存度に左右される。特にことわらない限り、ここで例示するすべてのノイズおよび変動の値は、ピークからピークまでの値である。
【0020】
所定の態様において、SFS平均波長〈λ〉の安定性に対するポンプ光変動の影響は、ポンプ光42の波長λpを最適波長(例えば1472ナノメートル)に調整することによって減少させることができる。この最適波長において、ポンプ光42の波長に対するSFS平均波長〈λ〉の一次依存度は、小さいかまたはほぼゼロである。ポンプ光42の波長が最適波長と若干異なる態様において、ポンプ光42の波長の温度による変動に対するSFS平均波長〈λ〉の残りの依存度は、予測することができる。この温度による変動は、ポンプ光42の波長が最適波長から1ナノメートルずれていると仮定してSFS10をモデル化することにより、あらかじめ評定した(例えば、M.J.F. Digonnet, "Broadband fiber sources," (広帯域ファイバー光源) in Rare-Earth-Doped FibEr Lasers and Amplifiers, pp. 99-101, 2001, 第二版、M.J.F. Digonnet編, Marcel Dekker, Inc., New Yorkを参照のこと。この引用によりその内容が本明細書にそっくり記載されたものとする)。そして、ポンプ光42の波長λpに対するSFS平均波長〈λ〉の依存度は[式1]と算出された。従って、ポンプ光源40の温度変動によるSFS平均波長〈λ〉の変動は、わずか[下式2]であると予測された。従って、ポンプ光42の波長を最適波長またはその付近に調整する態様において、温度によるポンプ光42波長の揺らぎに起因するSFS平均波長〈λ〉の変動は、無視できるものである。
[式1]

[式2]

【0021】
所定の態様において、SFSの平均波長〈λ〉はポンプ光42の出力に依存し、ポンプ光42の出力は、該依存度が小さいかゼロである最適レベルに設定される。例えば、所定の態様において、ポンプ光源40は、1.3マイクロワットのポンプ出力安定性で電流が10マイクロアンペアに維持されるレーザーダイオードを含む。このポンプ光源40について、ポンプ光42の出力に対するSFS平均〈λ〉の依存度の計算値は、−0.085ナノメートル/ミリワットであるとシミュレーションされる。従って、このポンプ光源40の出力において、ポンプ光42出力の変動のSFS平均波長〈λ〉に対する影響は、ごくわずかなものとなりうる(例えば約0.07ppm)。
【0022】
所定の態様において、ポンプ光源40からの出力が非常に安定であっても、EDF20に入射するポンプ光42の出力は経時的に変化しうる。この変動は、(1)カプラー30における残留偏光依存損失(PDL)と(2)カプラー30に入射するポンプ光42の偏光のランダムな変動とが組み合わさった影響に起因し、ポンプ光源40とEDF20との間におけるファイバーピッグテール複屈折の温度による変動によって引き起こされる。例えば、カプラー30のPDLが低い(例えば約0.01デシベル)場合、25ミリワットの入射出力Ppは、ポンプ偏光が90度回転することにより、約0.05ミリワット変化する。入射ポンプ光42の出力に対するSFS平均波長〈λ〉の依存度|∂〈λ〉/∂Pp|が0.085ナノメートル/ミリワットである態様に対し、EDF20に入射するポンプ光42出力の変動は、約3ppmのSFSの平均波長〈λ〉の変動に相当する。このような変動は、好ましくないほどに高いものでありうる。しかし、留意すべきことは、EDF20に入射するポンプ偏光がそのように大きく変動することは非常にまれであるということである。算出した3ppmの変動は、起こりそうにない限界値である。この影響は、PDLが最小のWDMカプラー30を選ぶことにより減少させることができる。所定の態様において、そのようなWDMカプラー30を選ぶことは、種々の業者からWDMカプラーを入手し試験してPDLが十分に低いカプラーを割り出すことを含む。他の所定の態様において、この影響を減少させるため、ポンプ光源40とEDF20との間のファイバーピッグテールを短くする。また、偏光の変位を最小にするため、ファイバーピッグテールの温度をできるだけ一定に維持することができる。
【0023】
他の所定の態様において、係数|∂〈λ〉/∂Pp|は、EDF20の長さの適当な選択およびポンプ光42出力の適当な選択により、減少させることができる。しかし、以下に説明するように、偏光に関連する影響とのからみで、|∂〈λ〉/∂Pp|を最小にするEDF20の長さは、単光路順方向のASE光44を減少させるのに十分であるかもしれないし、不十分であるかもしれない。ポンプ光42出力に対するSFS平均波長〈λ〉の依存度を減少させることと、単光路順方向のASE光44の寄与を減少させることとが適当に折り合いのつくEDF20の長さを選択するために、モデル化を利用することができる。所定の態様において、|∂〈λ〉/∂Pp|に対するより長い長さの影響を考慮せずに、単光路順方向のASE光44の寄与を大幅に減少させるため、EDF20の長さを選択する。そのような所定の態様において、|∂〈λ〉/∂Pp|は十分に低く、そのため、SFS平均波長〈λ〉の全安定性は大幅に向上する。
【0024】
[偏光関連の影響]
SFS平均波長〈λ〉への偏光関連の影響には、種々の原因が寄与しうる。所定の態様において、ポンプ光42の偏光状態は、EDF20において偏光依存利得(PDG)の影響を引き起こしうる。SFS10が複光路構成を有しかつ標準的な反射体をミラー50(FRMではなく)として用いる態様において、ポンプ光42の偏光からのPDGは、実質的に異なる平均波長を有するSFS10からの出力光12の二つの固有偏光をもたらす。二つの偏光の平均波長の差は、50ppm以上となりうる。所定の態様では、相互性を保つため、FOGの入力において偏光子を用いる。そのような影響は、以下により詳細に説明されている。D.G. Falquier他, "A depolarized Er-doped superfluorescent fiber source with improved long-term polarization stability,"(長期偏光安定性が向上した脱偏光Er添加超蛍光ファイバー光源) IEEE Photon. Tech. Lett., Vol. 13, pp. 25-27, January 2001、およびD.G. Falquier他, "A polarization-stable Er-doped superfluorescent fiber source including a Faraday rotator mirror,"(ファラデー回転ミラーを含む偏光安定Er添加超蛍光ファイバー光源) IEEE Photon. Tech. Lett., Vol. 12, pp. 1465-1467, November 2000。この引用によりそれぞれの内容が本明細書にそっくり記載されたものとする。さらに上記で引用したように、M.J.F. Digonnet, "Broadband fiber sources," (広帯域ファイバー光源) in Rare-Earth-Doped Fiber Lasers and Amplifiers, pp. 99-101, 2001による情報がある。
【0025】
EDF20またはカプラー30の複屈折の温度による変動は、FOGに伝達されるSFS平均波長〈λ〉の変動の誘因となりうる。同様に、SFS10の任意の部分の応力変動は、複屈折を変化させることが可能であり、従って、EDF20におけるポンプ光42の偏光の変動およびSFS平均波長〈λ〉の変動の誘因となる。
【0026】
偏光に関連するドリフトは、リオ・デポーラライザーまたはFRMにより、大幅に減少させることができる。例えば、所定の態様において、FRMをミラー50として用いれば、EDF20に沿うすべての地点で、反射ASE光48の偏光が逆方向のASE光46の偏光と確実に直交するようになり、それにより、PDGの影響が相殺される。従って、FRMをミラー50として用いれば、SFS平均波長〈λ〉の偏光に依存するばらつきを減少させることができる(例えば約20ppmに)。他の態様において、他の改良と組合せてFRMをミラー50として用いれば、SFS平均波長〈λ〉のばらつきはさらに減少する。そのような構成は、D.G. Falquier他, November 2000の上記引用文献およびDigonnet他の米国特許第6,483,628B1号にさらに説明されている。この引用によりその内容がそっくり本明細書に記載されたものとする。
【0027】
FRMをミラー50として利用する態様において、単光路順方向のASE光44はFRMによって反射されず、従って、順方向のASE光44は偏光による平均化を経ず、その平均波長は、やはり偏光に対して敏感である。このSFS平均波長〈λ〉のばらつきへの寄与は、順方向のASE光44がEDF20をたった1回通過するだけであり、従って、複光路逆方向のASE光46よりもかなり出力が低いことから、相対的に小さい。しかし、このSFS平均波長〈λ〉のばらつきへの寄与は、D.G. Falquier他の2000年11月の研究(上記で引用)により明らかにされているように、部分的に、残りの約20ppmの平均波長変動の原因であり、そこでは、摂動がEDF20の複屈折に意図的に加えられている。EDF20の長さは、順方向のASE光44における出力を減少させ、従って、順方向のASE光44からの残りのPDGの影響によるSFS平均波長〈λ〉の変動を減少させることができるように選択することができる。
【0028】
所定の態様において、偏光制御器(PC)を、図1に示すポンプ光源40とEDF20との間の地点Aに設ける。PCは、EDF20中に伝播するポンプ光42の偏光状態(SOP)を変化させるように適合させる。そのようなPCsに関するさらなる情報は、Digonnet他の米国特許第5,701,318号に記載されており、この引用によりその内容はそっくり本明細書に記載されたものとする。しかし、そのような所定の態様において、PCは、偏光依存損失(PDL)を明らかにする。このPDLは、1570ナノメートルにおいて0.1デシベルのオーダーであり、1550ナノメートルでは、より小さい値となる。従って、PCを調節することにより、EDF20に入射するポンプ光42の出力が変わり、従って、SFSの平均波長〈λ〉が変わる。1480ナノメートルでのわずか0.02デシベルのPDLに対し、PCにより導入されるSFS平均波長〈λ〉の変動は、約8ppmまたはそれ以上(例えば10〜22ppm)にまでなり得る。
【0029】
他の態様において、第二のPCは、偏光に対するSFS平均波長〈λ〉の依存度を測定するために、図1に示すSFS10の出力においてBの地点に設ける。第二のPCにおける残留PDLは、SFS平均波長〈λ〉の不安定性について誤った高い測定値の誘因となりうる。SFS平均波長〈λ〉への対応するPDLの影響を回避するため、所定の態様において、SFS平均波長〈λ〉の偏光依存度を上昇させうる、いかなるPCsの使用をやめる。さもなくば、。そのような所定の態様において、SFS10の構成要素の温度が経時的に変化すれば、温度に依存する複屈折に起因してポンプ光42の偏光もまた変化するが、偏光の影響は直接的には測定できない。
【0030】
[EDF温度に関連する影響]
温度によるEDF20またはカプラー30の複屈折の変動のほかに、EDF20の温度変動に起因して、SFS平均波長〈λ〉がさらに不安定となりうる。EDF20の温度の変動は、エルビウムの放射および吸収断面に影響を与えうる。例えば、J. Kemtchou他, "Absorption and emission cross-sections measurements for temperature dependent modeling of Erbium-doped Fibers amplifiers,"(エルビウム添加ファイバー増幅器の温度依存モデル化のための吸収および放射断面測定) in Proceedings of Third Optical Fibre Measurement Conference, Liege, Belgium, Vol. 1, pp. 93-96, 1995(この引用によりその内容はそっくり本明細書に記載されたものとする)を参照されたい。そのような断面変動は、EDF20の平均波長のドリフトおよびSFS平均波長〈λ〉の対応する変動を引き起こしうる。例えば、M.J.F. Digonnet, "Broadband fiber sources," (広帯域ファイバー光源) in Rare-Earth-Doped Fiber Lasers and Amplifiers, pp. 80-94, 2001, 第二版、M.J.F. Digonnet編, Marcel Dekker, Inc., New Yorkを参照されたい。この引用によりその内容が本明細書にそっくり記載されたものとする。
【0031】
SFS平均波長〈λ〉の温度依存性の熱係数は、EDF20の特性に依存するとともに、SFS10の構成および操作パラメーター(例えばポンプ光42の波長および出力)に依存する。−3〜+10ppm/℃の範囲にあるSFS熱係数の値をあらかじめ測定した。例えば、D.C. Hall他, P. Wysocki他(ともに上記で引用)およびP.R. Morkel, "Erbium-doped Fibre superfluorescent for the fibre gyroscope,"(光ファイバージャイロスコープのための超蛍光エルビウム添加ファイバー) in Optical Fiber Sensors, Springer Proc. in Physics, Vol. 44, pp. 143-148, 1989を参照されたい。この引用によりその内容が本明細書にそっくり記載されたものとする。所定の態様において、SFS平均波長〈λ〉の温度依存性の熱係数をさらに減少させるため、光学フィルターを使用することができる。所定の態様のSFS平均波長〈λ〉の温度依存度は相対的に低いが、広い温度範囲(例えば数十℃)にわたってSFS10を運転することが必要な態様では、1ppm/℃の温度依存度でも、容認できない大きなSFS平均波長〈λ〉の変動をもたらしうる。
【0032】
所定の態様において、EDF温度による影響(上述したエルビウムの放射および吸収断面ならびにEDF複屈折の温度に依存する偏光関連の影響を含む)は、EDF温度を安定化することにより減少させる。しかし、そのような態様は、典型的に、SFSの平均波長〈λ〉を十分な安定性で所定の値に維持するため、より高い出力の消費、より長い電源投入時間、より大きなサイズ、およびより高いポンプ光源40コストを要する。
【0033】
他の態様においては、SFSの平均波長〈λ〉を予定された値に維持しようと試みる代わりに、種々の時点でのSFS平均波長〈λ〉の値を知ることで足りる。所定の態様におけるSFSの平均波長は、測定したEDF20の温度を用いて推定することができる。
【0034】
図2は、SFS10の推定平均波長〈λ〉を決定する(例えば、EDF20の温度の変動に起因する平均波長の変動を見積もる)方法100の一態様を示すフロー図である。方法100は操作ブロック110を含み、そこにおいてSFS10を備える。SFS10はある実平均波長〈λ〉を有し、ある温度を有するEDF20とポンプ光源40とを含む。さらに方法100は操作ブロック120を含み、そこにおいてSFS10を、実平均波長〈λ〉がEDF20の温度に依存するように構成する。さらに方法100は操作ブロック130を含み、そこにおいて、EDF20の温度に対する実平均波長〈λ〉の依存度を得る。所定の態様において、EDF20の温度に対する実平均波長〈λ〉の依存度を得ることは、温度依存度を測定することを含む。他の態様において、EDF20の温度に対する実平均波長の依存度を得ることは、他の光源から温度依存度を得ること(例えば、温度依存度をあらかじめ測定した結果にアクセスすること)を含む。さらに方法100は操作ブロック140を含み、そこにおいてEDF20の温度を測定する。さらに方法100は操作ブロック150を含み、そこでは、測定したEDF20の温度およびEDF20の温度に対する実平均波長〈λ〉の依存度を用いて、推定平均波長〈λ〉を算出する。
【0035】
所定の態様において、方法100は、EDF20の温度を制御することを含まず、一方、他の態様において、方法100は、予定された安定性を有するように(例えば±0.5℃の範囲で安定となるように)EDF20の温度を制御することを含む。方法100の所定の態様では、実平均波長〈λ〉が温度とともに変動するのを防いでいないが、そのような態様は、推定平均波長〈λ〉を任意の時間に算出するのを可能にしている。SFS10は、EDF20の温度の変動に主に起因して実平均波長〈λ〉が変動するように構成することが好ましい。もし、実平均波長〈λ〉に対し、他の温度依存影響(例えばファイバー複屈折などの偏光関連の影響)から相当な寄与があると、温度の変動または温度勾配の変動は、SFS10の他の構成要素にも影響しうる。そのような態様では、EDF20の温度に対する実平均波長〈λ〉の相関性が低くなり、推定平均波長〈λ〉は、実平均波長〈λ〉に対して、より芳しくない近似値となる。例えば、M.J.F. Digonnet, "Broadband fiber sources," in Rare-Earth-Doped fiber Lasers and Amplifiers, pp. 80-94, 2001(上記で引用)を参照されたい。
【0036】
[第一の典型的態様]
以下の典型的態様は、周囲温度またはSFS10の温度の制御を試みなかった態様について、推定平均波長〈λ〉と実平均波長〈λ〉との相関性を示すものである。SFS10を光学テーブルに置き、光スペクトル分析器(OSA)を用いて19秒ごとに50時間SFS10の出力スペクトル(および従って実平均波長〈λ〉)を記録した。使用したOSAは安藤電気株式会社(日本国神奈川県川崎市)製の型式番号AQ6327Bであった。周囲温度を測定し、推定平均波長〈λ〉を算出した。
【0037】
図3は、測定した実平均波長〈λ〉および測定した周囲温度Tを50時間運転における時間の関数としてプロットしたものである。所定の態様において、EDF20の温度TEDFは、測定した周囲温度Tにほぼ等しいとみなす。50時間の運転の間、測定した周囲温度Tおよび従って測定したEDF20の温度TEDFは、約2.6℃の範囲にわたって変動した。予想どおり、測定した実平均波長〈λ〉もまた、かなり変動した(例えば±8ppm)。
【0038】
図3において、実平均波長〈λ〉と測定した周囲温度Tとは互いに明らかに強く相関している。図4は、測定した実平均波長〈λ〉を測定した周囲温度Tの関数としてプロットしたものである。測定した実平均波長〈λ〉は、測定した温度Tに対してほぼ直線的に変化することが示される。そのような挙動は、D.G. falquier他, November 2000(上記で引用)でより詳細に説明されるように、小さい摂動に対して予測されるものである。図4に示される少量のヒステリシスは、おそらく、測定した周囲温度TとEDF20の実際の温度TEDFとの間のわずかな時間的ずれによるものである。
【0039】
周囲温度Tの測定値の関数として実平均波長の測定値〈λ〉を直線にあてはめたものが、図4において直線の実線で示されている。従って、EDF20の温度TEDFが測定した周囲温度Tにほぼ等しいとみなすと、EDF20の温度TEDFに対する実平均波長〈λ〉の依存度は、この直線の方程式、例えば次の方程式:
〈λ〉=1564.28055−0.0099149TEDF (1)
(式中、実平均波長〈λ〉の単位はナノメートルであり、EDF20の温度TEDFの単位は℃である)によって表される。かくして、温度に依存するSFSの平均波長〈λ〉の熱係数は、−0.0099ナノメートル/℃、すなわち−6.3ppm/℃である。そのような大きさのSFS平均波長の温度依存度は、以前報告されている値と矛盾しないものである。例えば、D.C. Hall他(上記で引用)を参照されたい。さらに、P.F. Wysocki他, "Broadband fiber Sources for Gyros,"(ジャイロ用広帯域ファイバー光源) in SPIE Proceedings on fiber Optic Gyros: 15th anniversary, Vol. 1585 (SPIE, Washington, 1991), pp. 371-382を参照されたい。この引用によりその内容がそっくり本明細書に記載されたものとする。
【0040】
この典型的な態様において、測定したEDF20の温度TEDFおよびEDF20の温度TEDFに対する実平均波長〈λ〉の依存度を、推定平均波長〈λ〉を算出するのに用いた。EDF20の温度TEDFを式1に代入することにより、図3の打点された曲線によって示される推定平均波長〈λ〉が得られた。図5は、この推定平均波長〈λ〉と測定した実平均波長〈λ〉との差を示している。図5に示すように、50時間の運転全体に対し、推定平均波長と実平均波長との差は、約±1ppmの範囲内にある。
【0041】
この典型的な態様において、同じ測定を9日後に繰り返し、実平均波長〈λ〉と周囲温度Tを48時間にわたって測定した。図6は、これらの測定値を時間に対して示している。測定した実平均波長〈λ〉のEDF20温度TEDF(測定した周囲温度Tにほぼ等しいとみなした)に対する線形回帰を行った結果、次の式が得られた:
〈λ〉=1564.29458−0.010503TEDF (2)。
【0042】
やはり、測定した実平均波長〈λ〉と測定した温度Tとは強く相関している(図6参照)。測定したEDF20の温度TEDFおよび方程式2で表されるようなEDF20の温度TEDFにたいする実平均波長〈λ〉の依存度を用いて、推定平均波長〈λ〉を算出した。図6の「方程式2を用いた推定平均波長」と記した曲線は、この推定平均波長〈λ〉を示しており、測定した実平均波長〈λ〉と非常によく一致している。図7の「方程式2による算出」と記した線は、この推定平均波長〈λ〉と実平均波長〈λ〉との差を時間の関数として示している。この差は、48時間の運転全体に対し、約±1ppmの範囲内にとどまった。
【0043】
FOG用光源としてSFS10を用いる態様において、SFS10の実平均波長および従ってジャイロスコープの目盛倍率は、FOGを運転しながら、図2のアルゴリズムを用いて求めることができる。そのような態様では、上述したように、FOGを運転しながら、EDF20の温度を測定し、推定平均波長を決定する。しかし、平均波長の温度依存度は、一般に、リアルタイムに測定するものではなく、あらかじめ測定するものである。そのような態様がどれだけうまくいくか調べるため、第二の運転用として、方程式2の温度依存度(第二の運転の間測定されたもの)ではなく、方程式1の温度依存度(9日前に測定されたもの)を用いて、推定平均波長〈λ〉を算出した。得られた推定平均波長〈λ〉は、図6において「方程式1を用いた推定平均波長」と記した曲線で示される。この曲線は、方程式2を用いて推定した曲線とほぼ同じ形であるが、「方程式1を用いた推定平均波長」の曲線は、より短い波長の方にシフトしている。このシフトは、0.0013ナノメートルの平均値を有し、約1ppmに相当する。このシフトのため、図7に「方程式1による算出」と記した曲線で示すように、推定平均波長と実平均波長との差は、結果的に、方程式2を用いた算出で得られる差よりも若干悪くなっているが、それでも、48時間の運転全体にわたって約±2ppmの範囲内にとどまっている。
【0044】
図7の二つの曲線間の隔たりは、第一の運転の温度依存性(方程式1)と9日後に測定された第二の運転の温度依存性(方程式2)との間の若干の差に由来する。両方の運転においてSFS10は元のままであったので、この隔たりは、おそらく、主にOSA(その温度は制御されていない)の純粋な波長読み取りの変動の結果と考えられた。
【0045】
OSAを用いて広帯域光源のスペクトルを測定した結果、約0.5〜1ppmの短期ノイズが測定された。高度に安定な1.55ミクロンレーザーダイオードを光源として用いた場合、約2時間のウォームアップタイムの後、OSAの長期読み取り値は、約±3℃内の変動の室温に対し、約±5ppmの範囲内にとどまった。以下により詳細に説明するとおり、このOSAの長期読み取り値の変動は、広帯域光源に対しては、若干より小さいと予測される(例えば約±1ppm/℃)。従って、方程式1と方程式2の温度依存の差は、OSAと周囲温度との間の種々の温度勾配により、容易に引き起こされ得たであろう。図5および7に示すような推定平均波長と実平均波長との間の差の変動の残りの部分は、少なくとも部分的に、OSAの不安定性と温度依存性の非線形性とに起因するものであった。
【0046】
この典型的な態様に示すように、図2の方法100は、48時間にわたって約±2ppmの範囲内の精度で平均波長を推定するのに成功している。加えて、その精度は、実平均波長〈λ〉を測定するのに使用するOSAの安定性を向上させることにより、向上させることができる。また、この典型的な態様が示すところによれば、経時的に周囲温度(EDF20の温度に近いとみなされる)を測定し、測定した平均波長を既知の温度ドリフトに対して補正することにより、SFS10の平均波長を98時間にわたって約±1ppmの範囲内で推定することができる。このような安定性は、実用的な高品位FOGに向けた重要な一歩を意味している。
【0047】
[第二の典型的態様]
上記第一の典型的態様が示すところによれば、EDF20の温度変動の補正の後、SFSの平均波長〈λ〉は約±2ppmの範囲内で安定である。第一の典型的態様からは、SFS10の温度を安定となるよう制御した場合のSFS平均波長〈λ〉の安定性に対する情報からを得ることはできない。SFS10の温度が安定となるよう制御する態様において、SFS平均波長〈λ〉の安定性は、約±2ppmよりも良くなると考えられる。というのも、SFS10の温度を安定化すれば、EDF20の温度ドリフトだけでなく、他の温度影響(例えば、ファイバー複屈折のドリフトおよび対応する残りの偏光関連の影響)も同様に排除されるはずであるからである。
【0048】
以下の典型的態様は、SFS10の温度を相対的に安定に維持した場合の推定平均波長〈λ〉と実平均波長〈λ〉との相関性を示すものである。より低い熱係数を有するEDF20を用いた以外、以下の態様におけるSFS10は、上記第一の典型的態様で説明したSFS10と実質的に同じであった。ポンプ光源40のすべてのパラメーターは、上記第一の典型的態様で示したと同様の許容値に制御した。1.53ミクロンにおけるEDF20の小信号吸収は、第一の典型的態様のEDF20の小信号吸収に相当し(すなわち約348デシベル)、そして、この第二の典型的態様において順方向のASE光44は同様に大きく抑制された。
【0049】
温度変動を減少させるため、EDF20およびWDMカプラー30をともにスタイロフォーム(Styrofoam)の筐体内に設置した。室温は厳密に制御しなかったが、部屋を閉じた状態にして空気の流れを最小限にした。室温は、約±0.5℃の範囲内で安定であると推定された。
【0050】
第一の典型的態様について説明したように、ポンプ光源40の波長安定性は、SFS10からの出力光を測定するのに使用される市販の最新式の光スペクトル分析器(OSAs)の安定性を上回っている。OSAの長期の揺らぎを補正するため、図8に模式的に示す構成200を用いてOSAを校正した。テストされるSFS10からの出力光と、安定な波長の参照光源210からのシグナルとは、ともに非偏光保持(non−PM)ファイバーピッグテール220を介して伝達し、ファイバーカプラー230(例えばLiNbO 1×2カプラー)において混合された。参照光源210は、約0.001ナノメートル(約0.7ppm)の安定性を有する、温度制御された通信グレードの分散型のフィードバック式(DFB)レーザーダイオード(1541.74ナノメートル)であった。次いで、カプラー230からの混合された光は、偏光保持(PM)ファイバーピッグテール240を介してOSA250に送られる。OSA250は、シグナルプロセッサー252(例えばコンピュータ)およびディスプレイ254に接続される。
【0051】
OSA250のディスプレイ254は、SFS10からの出力スペクトルに重ねあわせて参照光源210の参照波長を示し、それにより、OSA250の波長スケールの絶対校正が与えられる。SFS10の全スペクトル(例えば約1520ナノメートル〜約1580ナノメートル)にわたってほぼ均一なOSAの波長変動に対し、OSA250の波長スケール校正のためのこの構成は、波長変動から独立している。OSA250の応答は検出される光の偏光に依存するため、OSA250によって検出される光信号の偏光は確実に経時変化しないことが求められる。このことは、偏光子として働く、偏光保持(PM)ファイバーピッグテールとともにニオブ酸リチウム(LiNbO)Y−接合の構成を有するカプラー230を用いることにより、達成された。
【0052】
この校正スキームの有効性および波長のドリフトの均一性に関する想定の妥当性は、SFS10を、参照レーザーダイオード210と同様の安定性および波長を有する第二のDFBレーザーダイオードに置き換えることにより、確かめられた。図9は、同時に記録された、参照光源210のレーザーダイオード(LD1)と第二のDFBレーザーダイオード(LD2)の平均波長を示している。両方のレーザーダイオードは、(1)短期ノイズ、(2)約3〜4時間の周期および約0.002ナノメートルのピーク−ピーク振幅を有する準周期的振動、および(3)約24時間の周期および約0.005ナノメートルのピーク−ピーク振幅を有する全体の準周期的振動を示す。
【0053】
波長の揺らぎの時間的挙動についてこれら三つの要素のそれぞれは、二つのレーザーダイオードLD1およびLD2について同等の大きさを有する。各要素は、それぞれの時間スケールについてOSAの揺らぎを表している。図10は、OSA読み取り値の揺らぎ要素の3時間〜4時間の揺らぎを模式的に解説している。波長λにおいて、OSAの読み取り値は、約3〜4時間の周期および約0.002ナノメートルの振幅で、準周期的に揺らぐ。異なる波長(λまたはλ)において、揺らぎは、同等の周期および振幅を有する一方、λにおける揺らぎとは異なる位相を有する。この挙動は、図9の二つの波長(3時間〜4時間の互いに位相がほぼ異なる揺らぎを有する)と合致している。また、このことは、SFS平均波長のOSA読み取り値に3時間〜4時間の揺らぎが存在しないという観察結果とも合致する。SFS10からのスペクトルは十分に広く(約10ナノメートルより大きい)、それらの揺らぎは平均化される。
【0054】
約24時間の周期を有するOSA読み取り値のドリフト要素は、OSA温度の周期的変動から生じうる。この可能性を調べるため、±3.5時間の時間ウィンドウを用いて図9の二つの曲線のそれぞれを平均化し、OSAの揺らぎの3時間〜4時間の要素を排除した。得られたより滑らかな曲線は図11に示され、そこにおいて、レーザーダイオードLD2についての曲線は、それを約17ナノメートル平行移動すると、LD1曲線の付近にくるものであった。図11から明らかなように、二つのレーザーダイオードの24時間振動は強く相関している。また図11は、二つの曲線間の差を含むものであり、その差が約±1ppmの範囲内で一定であることを示している。従って、図8の校正プロセスを用いることにより、OSAの長期ドリフトは、その最初の約±5ppmという値からかなり減少している。
【0055】
図8に示される構成を用いて、17時間、SFS10の平均波長の変動および参照レーザーダイオード210の波長の変動を同時に測定した。図12は、SFS10の平均波長およびレーザーダイオード(LD)の波長について、得られた二つの曲線を示している。LD波長曲線は、上述したように数時間の積分ウィンドウを用いてなめらかにされた。予想したとおり、二つの曲線の長期変動は相関しており、これは、SFS平均波長の変動の多くがOSAのドリフトに起因するものであることを示している。
【0056】
所定の態様において、OSA長期ドリフトの寄与をSFS10の平均波長から除くことが好ましい。図13は、LD波長曲線を差し引いた後のSFS10の平均波長を示す。得られた曲線は、SFS10の平均波長安定性が17時間にわたって約±0.5ppmであることを示している。所定の態様において、SFS10は、1時間にわたって約±0.5ppmの平均波長安定性を示すものである。
【0057】
図13に示すSFS10の平均波長の短期ノイズは、約±0.35ppm未満であり、これは、OSAの性能によって制限される。この運転中、SFSの温度変動は、少なくとも約±0.5℃であると推定されたことから、このSFS10の熱係数は最大約0.7ppm/℃であり、すなわち第一のSFS10より約一桁小さかった。SFS10の熱係数のこの値は、以前報告された値の範囲内にある。例えば、それぞれ上記で引用したD.C. Hall他, P. Wysocki他, June 1991およびP.R. Morkelを参照されたい。SFS10の熱係数は、測定が困難な多くのパラメーターに複雑に依存している(例えば、エルビウム断面スペクトルの温度依存度)。従って、理論的に熱係数を予測することは一般に困難であり、あるいは、あるファイバーが他のファイバーよりなぜ性能が良いかについて正当な理由づけを行うのは一般に困難である。
【0058】
上述した典型的態様において、SFS10の平均波長の安定性は、ポンプ光42またはASE光44、46のすべての可能な偏光状態(SOPs)に対して試験したわけではなかった。そのような試験は、一般的に、偏光制御装置を用いることになり、平均波長にPDLの影響を導入し、SFS10の平均波長の不安定性を人為的に増加させる。それにもかかわらず、第一および第二の典型的態様が明らかに示すところによれば、約±0.5℃のSFS温度変位において、SFS10における複屈折は、約±0.5ppmの平均波長安定性を達成するのに十分安定である。温度の揺らぎがより大きい場合、SFS10の温度を測定することにより、SFS10の平均波長を、その実際の値の約±2ppmの範囲内で算出することができる。得られる平均波長の安定性は、おそらく、平均波長を測定するのに用いる装置の安定性に制限される。かくして、慣性航法FOG類に要求される精度を満たすよう、Er添加SFS10を安定化することが可能である。
【0059】
本発明の種々の態様を以上に説明してきた。それらの態様に関して本発明を説明したが、その説明は本発明を具体的に示すためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。種々の変更および応用が、添付の特許請求の範囲に規定するような本発明の真意と範囲から逸脱することなく、当業者には可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ここに説明する態様に従って平均波長〈λ〉を有する出力光を発生させるのに適した超蛍光ファイバー光源(SFS)を模式的に示す。
【図2】SFSの推定平均波長〈λ〉を決定する方法の一態様のフロー図である。
【図3】50時間の運転において、測定した実平均波長〈λ〉および測定した周囲温度Tを時間の関数としてプロットした図である。
【図4】測定した実平均波長〈λ〉を測定した周囲温度Tの関数としてプロットした図である。
【図5】図4の測定した実平均波長〈λ〉と推定平均波長〈λ〉との差を時間の関数としてプロットした図である。
【図6】図5に示す測定の9日後に取られた2組目の測定値について差をプロットした図であり、そこにおいて、実平均波長〈λ〉および周囲温度Tは48時間にわたって測定された。
【図7】図6の実平均波長〈λ〉と推定平均波長〈λ〉との差を時間の関数としてプロットした図である。
【図8】光スペクトル分析器(OSA)の波長測定値の長期変動を補正するための一つの構成を模式的に示す。
【図9】同時に記録された、参照光源のレーザーダイオード(LD1)および第二のレーザーダイオード(LD2)の平均波長を示す。
【図10】OSA測定値の3時間〜4時間変動の可能性のある原因を模式的に示す。
【図11】二つのレーザーダイオードの平均波長および該二つの波長の差をプロットした図である。
【図12】SFSの平均波長およびレーザーダイオード(LD)の波長について得られた二つの曲線を示す。
【図13】LD曲線を差し引いた後のSFSの平均波長をプロットした図である。
【符号の説明】
【0061】
10 超蛍光ファイバー光源(SFS)
12 ASE出力光
20 Er添加ファイバー(EDF)
22 第一端部
24 第二端部
30 WDMカプラー
40 ポンプ光源
42 ポンプ光
44 順方向の増幅自発放射(ASE)光
46 逆方向のASE光
48 反射ASE光
50 ミラー
60 光アイソレーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超蛍光ファイバー光源(SFS)により発生される光の平均波長を安定化する方法であって、該方法は、
該SFSを備えること(該SFSは、
第一端部、第二端部および該第一端部と該第二端部との間の長さ部分を有するEr添加ファイバー(EDF)と、
該EDFの第一端部に光学的に連結されたカプラーと、
該カプラーに光学的に連結されたポンプ光源(該ポンプ光源はポンプ光を発生させ、該平均波長は該ポンプ光の波長に影響され、該ポンプ光の波長は該ポンプ光源の温度に依存しかつ該ポンプ光の出力に依存し、該ポンプ光は該カプラーを介して該EDFに伝播し、それにより、該EDFは、該ポンプ光源から遠ざかるように伝播する順方向の増幅自発放射(ASE)光および該ポンプ光源に向かって伝播する逆方向のASE光を発生させることにより、該ポンプ光に応答する)と、
該カプラーに光学的に連結されたミラー(それにより、該ミラーは該EDFに伝播する反射ASE光として該逆方向のASE光を反射し、該反射ASE光は該EDFを通過する際に増幅され、該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、該EDFの第二端部から外に伝播する)と、
該EDFの第二端部に連結された光アイソレーター(該EDFの第二端部からの該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、SFS出力光として、該光アイソレーターを介して伝達される)と
を含むものであり)、
該EDFの長さを最適化すること、および
該平均波長の安定性に対するポンプ光の波長の影響を減少させること
を含むものである。
【請求項2】
請求項1の方法であって、該EDFの温度の変動を減少させることをさらに含むものである。
【請求項3】
請求項1の方法であって、該EDFの温度の変動に起因する該平均波長の変動を推定することをさらに含むものである。
【請求項4】
請求項1の方法であって、該EDFの長さを最適化することは、該ポンプ光出力に対する該平均波長の依存度を減少させることと該順方向のASE光の該出力光への寄与を減少させることとの間で折り合いがつくように、その長さを選択することを含むものである。
【請求項5】
請求項1の方法であって、該平均波長の安定性に対する該ポンプ光波長の影響を減少させることは、該ポンプ光源の温度の変動を減少させることを含むものである。
【請求項6】
請求項1の方法であって、該平均波長の安定性に対する該ポンプ光波長の影響を減少させることは、該ポンプ光波長に対する該平均波長の一次依存性が小さいか実質的にゼロであるような波長に、該ポンプ光源を調整することを含むものである。
【請求項7】
選ばれた安定性の平均波長を有する出力光を発生させる超蛍光ファイバー光源(SFS)であって、該SFSは、
第一端部、第二端部、および該第一端部と該第二端部との間の長さ部分を有するEr添加ファイバー(EDF)と、
該EDFの第一端部に光学的に連結されたカプラーと、
該カプラーに光学的に連結されたポンプ光源(該ポンプ光源はポンプ光を発生させ、該出力光の平均波長は該ポンプ光の波長に影響され、該ポンプ光の波長は該ポンプ光源の温度に依存しかつ該ポンプ光の出力に依存し、該ポンプ光は該カプラーを介して該EDFに伝播し、それにより、該EDFは、該ポンプ光源から遠ざかるように伝播する順方向の増幅自発放射(ASE)光および該ポンプ光源に向かって伝播する逆方向のASE光を発生させることにより、該ポンプ光に応答する)と、
該カプラーに光学的に連結されたミラー(それにより、該ミラーは該EDFに伝播する反射ASE光として該逆方向のASE光を反射し、該反射ASE光は該EDFを通過する際に増幅され、該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、該EDFの第二端部から外に伝播する)と、
該EDFの第二端部に連結された光アイソレーター(該EDFの第二端部からの該順方向のASE光および該増幅された反射ASE光は、出力光として、該光アイソレーターを介して伝達され、それにより、該出力光の平均波長の安定性は、該EDFの長さを最適化しかつ該ポンプ光波長の該平均波長に対する影響を減少させることにより、選ばれたものとなっている)と
を含むものである。
【請求項8】
請求項7のSFSであって、該出力光の該平均波長の安定性は、該EDFの温度の変動を減少させることにより、さらに選ばれたものとなっている。
【請求項9】
請求項7のSFSであって、該出力光の該平均波長の安定性は、該EDFの温度の変動に起因する該平均波長の変動を推定することにより、さらに選ばれたものとなっている。
【請求項10】
請求項7のSFSであって、該選ばれた安定性は、少なくとも1時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内である。
【請求項11】
請求項7のSFSであって、該選ばれた安定性は、少なくとも17時間以上の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内である。
【請求項12】
請求項7のSFSであって、該EDFは、少なくとも約340デシベルの小信号の吸収を有するものである。
【請求項13】
請求項7のSFSであって、該ポンプ光源は、ある温度およびあるレーザーダイオード電流を有するレーザーダイオードを含み、それにより、該温度は、約±0.01℃の範囲内で安定であるように制御することができ、かつ、該レーザーダイオード電流は、約10マイクロアンペアとなるように制御することができるものである。
【請求項14】
請求項7のSFSであって、該カプラーは波長分割マルチプレクサーを含むものである。
【請求項15】
請求項14のSFSであって、該波長分割マルチプレクサーは約0.01デシベル未満の偏光依存損失(PDL)を有するものである。
【請求項16】
請求項7のSFSであって、該SFSは偏光制御装置を有するものではない。
【請求項17】
超蛍光ファイバー光源(SFS)の推定平均波長を決定する方法であって、該方法は、
ある実平均波長を有するSFSを備えること(該SFSは、ある温度を有するエルビウム添加ファイバー(EDF)とポンプ光源とを含む)、
該実平均波長が該EDFの該温度に対して依存性を有するように該SFSを構成すること、
該EDFの温度に対する該実平均波長の該依存度を得ること、
該EDFの温度を測定すること、および
測定した該EDFの温度および該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を用いて推定平均波長を算出すること
を含むものである。
【請求項18】
請求項17の方法であって、該ポンプ光源は、ある温度およびある入力電流を有し、かつ、該SFSを構成する工程は、
該ポンプ光源の温度を制御すること、
該ポンプ光源の入力電流を制御すること、および
該SFSから偏光制御装置を除外することによって偏光依存損失を減らすこと
を含むものである。
【請求項19】
請求項18の方法であって、該推定平均波長は、少なくとも17時間の期間にわたって、実平均波長に対し約±0.05ppmの範囲内である。
【請求項20】
請求項18の方法であって、該推定平均波長は、少なくとも1時間の期間にわたって、実平均波長に対し約±0.05ppmの範囲内である。
【請求項21】
請求項17の方法であって、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を得ることは、該EDFの温度を変化させること、対応する実平均波長を測定すること、および該EDFの温度に対する該実平均波長の最適な直線を計算することを含むものである。
【請求項22】
請求項17の方法であって、該SFSは複光路の構成を有するものである。
【請求項23】
請求項17の方法であって、該実平均波長の変動は、主に該EDFの温度の変動に起因するものである。
【請求項24】
請求項17の方法であって、約±0.5℃の範囲内で安定となるよう該EDFの温度を制御することをさらに含むものである。
【請求項25】
請求項17の方法であって、該EDFの温度を測定することは、周囲温度を測定することと、該EDFの温度が該測定した周囲温度にほぼ等しいと想定することとを含むものである。
【請求項26】
請求項17の方法であって、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を得ることは、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を測定することを含むものである。
【請求項27】
請求項17の方法であって、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を得ることは、他の光源から、該EDFの温度に対する該実平均波長の依存度を得ることを含むものである。
【請求項28】
少なくとも1時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内で安定である平均波長を有する超蛍光ファイバー光源(SFS)。
【請求項29】
請求項28のSFSであって、該平均波長は、少なくとも17時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内で安定である。
【請求項30】
請求項28のSFSであって、該SFSは複光路の構成を有するものである。
【請求項31】
請求項28のSFSであって、該SFSは、ある温度を有するエルビウム添加(Er添加)ファイバーを含むものである。
【請求項32】
請求項31のSFSであって、該平均波長の変動は、主に該Er添加ファイバーの温度の変動に起因するものである。
【請求項33】
請求項32のSFSであって、該Er添加ファイバーの温度は、約±0.5℃の範囲内で安定となるよう制御されるものである。
【請求項34】
選ばれた安定性の平均波長を有する出力光を発生させる超蛍光ファイバー光源(SFS)であって、該SFSは、
第一端部と第二端部との間にある長さを有し、ある温度を有するエルビウム添加ファイバー(EDF)と、
実質的に一定のポンプ波長でポンプ光を発生するように制御されるポンプ光源(該SFSの平均波長は該ポンプ波長に影響され、該ポンプ波長は該ポンプ光源の温度に依存しかつ該ポンプ光の出力に依存し、該ポンプ光は、該EDFの第二端部に向かって伝播するように該EDFの第一端部に連結され、該EDFは、該EDFの第二端部に向かって伝播しかつ該EDFの第二端部から出力される順方向の増幅自発放射(ASE)光を発生させるように該ポンプ光に応答し、さらに該EDFは、該EDFの第一端部に向かって伝播する逆方向のASE光を発生させるように該ポンプ光に応答して、該逆方向のASE光は第一の偏光を有する)と、
該逆方向のASE光を受光するように光学的に連結されたミラー(該ミラーは、該第一の偏光に直交する第二の偏光で反射ASE光を発生させるように該逆方向のASE光を反射し、該反射ASE光は、該EDFの第一端部に連結されかつ該EDFの長さ部分を通って該EDFの第二端部に伝播する際に増幅され、該EDFの第二端部において該増幅された反射ASE光は該順方向のASE光とともに出力され、それにより、該平均波長の安定性は、該EDFの長さを最適化しかつ該平均波長に対する該ポンプ波長の影響を減少させることにより選ばれたものとなっている)と
を含むものである。
【請求項35】
請求項34のSFSであって、該平均波長の安定性は、該EDFの温度の変動を減少させることにより、さらに選ばれたものとなっている。
【請求項36】
請求項34のSFSであって、該平均波長の安定性は、該EDFの温度の変動を計算に入れることにより、さらに選ばれたものとなっている。
【請求項37】
請求項34のSFSであって、該選ばれた安定性は、少なくとも1時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内である。
【請求項38】
請求項34のSFSであって、該選ばれた安定性は、少なくとも17時間の期間にわたって約±0.5ppmの範囲内である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−502570(P2006−502570A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541654(P2004−541654)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031366
【国際公開番号】WO2004/031827
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(591163122)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (8)
【Fターム(参考)】