説明

平板蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを利用した液晶表示装置

【課題】ガラス基板からのナトリウム溶出を防止して、寿命及び発光特性を向上させることができる平板蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを利用した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1基板と、前記第1基板と結合され複数の放電空間を形成するために成形加工された第2基板と、成形加工された前記第2基板の内面上に形成され前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過しないようにする第1溶出防止膜と、前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板蛍光ランプ及びその製造方法に関し、より詳細にはガラス基板からナトリウム成分が溶出されることを防止してランプの寿命及び発光特性を向上させることができる平板蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを利用した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置(LCD)は、異方性屈折率、異方性誘電率等の光学的、電気的特性を有する液晶を利用して画像を表示する表示装置である。このような液晶表示装置は、CRT、PDP等の他の表示装置に対して薄くて軽く、低い駆動電圧及び低い消費電力を有するという長所があって、産業全般にかけて広範囲に使用されている。
【0003】
このような液晶表示装置は、画像を表示するための液晶表示パネルがそれ自体は発光しない非発光性素子なので、液晶表示パネルに光を供給するための別の光源を必要とする。
【0004】
最近、液晶表示装置が大型化されるにつれて、面形態に光を発生させる平板蛍光ランプに対する開発が進められている。平板蛍光ランプは、上部ガラス基板と下部ガラス基板の結合によって多数の放電空間を形成する。この際、上部ガラス基板は、放電空間の形成のために成形加工された基板である。
【0005】
平板蛍光ランプに使用される上部ガラス基板及び下部ガラス基板は、成形加工性と原価を考慮して、ソーダライムガラス(soda−lime glass)が使用される。
【0006】
しかし、ソーダライムガラスに含まれる不純物のうち、移動性が最も大きいナトリウム(Na)は、ランプ製造の高温工程及び放電中の電場によって放電空間内部に溶出され、放電空間内に存在する水銀(Hg)と反応してアマルガムを形成する。これによって、放電空間内に存在する水銀の量が減少し、透過率が減少して、平板蛍光ランプの寿命及び発光特性に悪影響を及ぼすという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記従来の平板蛍光ランプにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ガラス基板からのナトリウム溶出を防止して、寿命及び発光特性を向上させることができる平板蛍光ランプを提供することにある。
【0008】
又、本発明の他の目的は、上記平板蛍光ランプを製造する方法及びこれを利用した液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による平板蛍光ランプは、第1基板と、前記第1基板と結合され複数の放電空間を形成するために成形加工された第2基板と、成形加工された前記第2基板の内面上に形成される第1溶出防止膜と、前記第1基板の内面上に形成された第1蛍光膜と、前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを有することを特徴とする。
【0010】
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで構成されることが好ましい。
前記第1基板及び前記第2基板は、ソーダライムガラス(soda−lime glass)からなることが好ましい。
【0011】
前記第2基板は、前記第1基板側と離隔して前記放電空間を形成する放電空間部と、前記放電空間部の間で前記第1基板側と接して前記放電空間を分割する空間分割部と、前記第2基板のエッジに配置されるシーリング部とを含むことが好ましい。

【0012】
前記第1基板と前記第1蛍光膜との間に形成される反射膜を更に有することが好ましい。
前記第1基板と前記反射膜との間に形成される第2溶出防止膜を更に有することが好ましい。
前記反射膜と前記第1蛍光膜との間に形成される第1保護膜と、前記第1溶出防止膜と前記第2蛍光膜との間に形成される第2保護膜とを更に有することが好ましい。
【0013】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による平板蛍光ランプは、第1基板と、前記第1基板と結合され複数の放電空間を形成するために成形加工された第2基板と、前記第2基板の内面に形成され前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過しないようにする第1溶出防止膜とを有することを特徴とする。
【0014】
前記第2基板のナトリウム溶出量は、0〜10重量%(wt%)の範囲であることが好ましい。
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで形成されることが好ましい。
前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを更に有することが好ましい。
【0015】
上記目的を達成するためになされた本発明による液晶表示装置は、画像を表示する液晶表示パネルと、複数のデータ信号及びゲート信号を前記液晶表示パネルに印加する駆動回路と、第1基板と、該第1基板と結合され複数の放電空間を形成する第2基板と、該第2基板の内面上に形成され前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過しないようにする第1溶出防止膜と、前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを有し、前記液晶表示パネルに光を提供する平板蛍光ランプと、前記平板蛍光ランプに放電電圧を印加するインバータとを有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するためになされた本発明による平板蛍光ランプの製造方法は、第1基板の内面上に第1蛍光膜を形成する段階と、第2基板を所定の形状を有するように成形加工する段階と、成形加工された前記第2基板の内面上に第1溶出防止膜を形成する段階と、前記第1溶出防止膜上に第2蛍光膜を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板の内面が互いに向かい合うようにして複数の放電空間を形成するように第1基板と第2基板を結合する段階とを有することを特徴とする。
【0017】
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで形成されることが好ましい。
前記第1基板及び前記第2基板は、ソーダライムガラスからなることが好ましい。
前記第1溶出防止膜は、化学蒸着(CVD)工程によって形成されることが好ましい。
【0018】
前記第1基板と前記第1蛍光膜との間に反射膜を形成する段階を更に有することが好ましい。
前記第1基板と前記反射膜との間に第2溶出防止膜を形成する段階を更に有することが好ましい。
前記反射膜と前記第1蛍光膜との間に第1保護膜を形成する段階と、前記第1溶出防止膜と前記第2蛍光膜との間に第2保護膜を形成する段階とを更に有することが好ましい。
前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過することを防止する段階を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る平板蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを利用した液晶表示装置によれば、ソーダライムガラスからなる第1基板又は第2基板にナトリウムの溶出を防止するための溶出防止膜を形成することにより、平板蛍光ランプの寿命及び発光特性を向上させることができるという効果がある。
又、第2基板の成形加工後、溶出防止膜を形成することにより、ナトリウムに対する溶出防止効率を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る平板蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを利用した液晶表示装置を実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による平板蛍光ランプを示す斜視図であり、図2は、図1のI−I’線に沿って切断した断面図であり、図3は図1のII−II’線に沿って切断した断面図である。
【0022】
図1、図2、及び図3を参照すると、本発明の一実施形態による平板蛍光ランプ100は、第1基板110及び第1基板110と結合され複数の放電空間130を形成する第2基板120を含む。この際、第2基板120は、放電空間130を形成するために成形加工された基板である。
【0023】
平板蛍光ランプ100は、互いに離隔した複数の放電空間130に分割され光を発生する。平板蛍光ランプ100は面形態で光を出射するために、上から見た平面が四角形の形状を有する。
【0024】
平板蛍光ランプ100は、外部のインバータから印加される駆動電源に反応して放電空間130でプラズマ放電を発生させ、プラズマ放電によって発生した紫外線を可視光に変換して外部に出射する。平板蛍光ランプ100は広い発光面積を有するので、発光効率を向上させ、均一な発光のために内部空間が複数の放電空間130に分割された構造を有する。
【0025】
第1基板110は四角形の平板形状を有する。第1基板110は、ソーダライムガラスで形成される。第1基板110は、放電空間130から発光された紫外線が漏洩しないように紫外線を遮断する物質を含むことができる。
【0026】
第2基板120は、放電空間130の形成のために成形加工された基板である。第2基板120は、ソーダライムガラスからなる。第2基板120は、放電空間130で発生した紫外線が漏洩しないように紫外線を遮断する物質を含むことができる。
【0027】
第2基板120の成形加工は、平板形状のソーダライムガラスを軟化点以上の高温で圧縮空気を用いたブローモールディング(blow molding)技術を利用して、所望する形状に成形する工程が行われる。ここで、軟化点とは、ガラスが流動性を有することができる温度でガラスを他の形態に変形可能な温度を意味する。
これとは異なり、第2基板120は、平板形状のガラスを一定温度に加熱した後、所望する金型を通じて成形する方法等の多様な方法によって加工することができる。
【0028】
ガラスの軟化点は、含まれた不純物の含量によって変わる。即ち、不純物の含量が高いほど、軟化点の温度は低くなる。ソーダライムガラスからなる第2基板120は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等の不純物を含む。このような不純物を含む第2基板120の軟化点は約727℃である。
【0029】
第2基板120に含まれた不純物のうち、移動性が最も大きいナトリウムは、平板蛍光ランプ100の製造の高温工程と放電中の電場によって放電空間130の内部に溶出してしまう可能性がある。第2基板120から溶出されたナトリウムは、放電空間130内に存在する水銀(Hg)と反応してアマルガムを形成するので、水銀を減少させ透過率を減少させて平板蛍光ランプ100の寿命及び発光特性に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0030】
従って、平板蛍光ランプ100は、第2基板120からナトリウムが溶出することを防止するための第1溶出防止膜140を含む。
【0031】
第1溶出防止膜140は、第1基板110と向かい合う第2基板120の内面上に形成される。第1溶出防止膜140は、ナトリウムの溶出を防止するために、純粋酸化シリコン(SiO)からなる。これとは異なり、第1溶出防止膜140は、窒化シリコン(SiNx)又は酸化アルミニウム(Al)等で形成することもできる。第1溶出防止膜140は、例えば、化学蒸着(CVD)工程を通じて約300Åの厚みに形成される。
【0032】
成形加工された第2基板120は、複数の放電空間130を形成するために、放電空間部122、空間分割部124、及びシーリング部126を含む。放電空間部122は、第1基板110側と離隔して放電空間130を形成する領域である。空間分割部124は、放電空間部122の間で第1基板110側と接して放電空間130を分割する領域である。シーリング部126は、放電空間部122及び空間分割部124のエッジ(縁部)で第1基板110側と結合される領域である。
【0033】
図2に示す成形加工された第2基板120の断面は、アーチ形状の放電空間部122が一定間隔に離隔して連続的に連結される形態を有する。しかし、これとは異なり、第2基板120は、放電空間部122の断面が半円、四角形、梯形等の多様な形態を有するように形成することもできる。
【0034】
第2基板120には、互いに隣接した放電空間130を連結するための連結通路128を形成することができる。連結通路128は、各空間分割部124に少なくとも一つ以上が形成される。連結通路128は、放電空間130に存在する空気を排気するか、放電空間130に放電ガスを注入する時、空気又は放電ガスが移動することができる通路を提供する。
【0035】
連結通路128は、第2基板120の成形加工時に同時に形成される。連結通路128は、隣接した放電空間130を互いに連結することができれば、多様な形状を有することができる。例えば、連結通路128は、「S」字形状に曲げられた構造を有する。このように、連結通路128が「S」字形状に曲げられた構造を有すると、放電ガスが移動することができる移動経路が長くなって、隣接した放電空間130間の相互干渉による還流現象を効果的に防止することができる。
【0036】
第1基板110と第2基板120は、接着部材150を通じて互いに結合される。例えば、接着部材150は、ガラスより低い融点を有するガラスと金属の混合物であるフリット(frit)からなる。
【0037】
接着部材150は、第1基板110と第2基板120の結合のために、第1基板110と第2基板120の間のシーリング部126と対応する位置に配置される。第1基板110と第2基板120との間に配置された接着部材150は、外部から印加された熱によって溶融され第1基板110と第2基板120を結合させる。このような結合工程は、約400℃〜約600℃で行われる。
【0038】
第1基板110と第2基板120の結合後、放電空間130に存在する空気を排気して真空状態を作り、以後、放電空間130にはプラズマ放電のための多様な種類の放電ガスが注入される。例えば、放電ガスは、水銀(Hg)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)等を含む。
【0039】
第2基板120の空間分割部124は、平板蛍光ランプ100の内部と外部間の圧力差によって第1基板110側に密着される。即ち、放電空間130に存在する放電ガスのガス圧は約50Torr〜約70Torr程度で、外部大気圧である760Torrと比較して圧力差が発生される。このような圧力差によって平板蛍光ランプ100の外部から内部に向かう力が発生され、このような力によって空間分割部124は、第1基板110側に密着される。
【0040】
平板蛍光ランプ100は、第2基板120と向かい合う第1基板110の内面上に形成された第1蛍光膜160、及び第1基板110と向かい合う第2基板120の内面上に形成された第2蛍光膜165を含む。第2蛍光膜165は、第1溶出防止膜140上に形成される。従って、第1溶出防止膜140は、第2基板120と第2蛍光膜165との間に形成される。第1蛍光膜160及び第2蛍光膜165は、放電空間130でプラズマ放電を通じて発生する紫外線によって励起され可視光を放出する。
【0041】
平板蛍光ランプ100は、第1基板110と第1蛍光膜160との間に形成される反射膜170を更に含む。反射膜170は、第1蛍光膜160及び第2蛍光膜165で発生した可視光を反射させて第1基板110を通じて可視光が漏洩することを防止する。
【0042】
第1基板110上に形成される反射膜170は約80μmの厚みを有し、第1蛍光膜160は約40μmの厚みを有する。第2基板120上に形成された第2蛍光膜165は約15μmの厚みを有する。たとえば、第2蛍光膜165の厚みが相対的に薄いが、第1溶出防止膜140を通じて第2基板120からのナトリウムの溶出を効率的に防止することができる。反面、反射膜170及び第1蛍光膜160は、相対的に厚い厚みを有するので、別途の溶出防止膜がなくても、第1基板110からのナトリウムの溶出を防止することができる。
【0043】
平板蛍光ランプ100は、放電空間130に放電電源を印加するための外部電極180を含む。外部電極180は、第1基板110及び第2基板120のうち、少なくとも1つの外面に形成される。外部電極180は、放電空間130の長手方向の両端部にそれぞれ形成される。外部電極180は、複数の放電空間130に放電電源を印加するために、放電空間130と交差するように形成される。
【0044】
第1基板110及び第2基板120にそれぞれ形成された外部電極180は、導電クリップ(図示せず)等の連結手段を通じて互いに電気的に連結することができる。
【0045】
外部電極180は、外部のインバータからの放電電圧の印加を受けるために、導電性物質からなる。例えば、外部電極180は、銀(Ag)と酸化シリコン(SiO)の混合物である銀ペーストからなるか、金属又は金属混合物からなる。又、外部電極180は、スプレー(Spray)方式、スピンコーティング(Spin coating)方式、又はディッピング(Dipping)方式等の多様な方式によって形成することができる。又、外部電極180は、金属ソケットを利用して形成することもできる。
【0046】
図4は、本発明の他の実施形態による平板蛍光ランプを示す断面図である。図4において、第1及び第2保護膜と、第2溶出防止膜を除いた残りの構成は、図2に示したものと同じなので、同じ構成要素には同じ参照番号を付与し、その重複説明は省略する。
【0047】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態による平板蛍光ランプ200は、第1基板110、第1基板110と結合され複数の放電空間130を形成するために成形加工された第2基板120、第1基板110の内面上に形成された第1蛍光膜160、第2基板120の内面上に形成された第2蛍光膜165、及び第2基板120と第2蛍光膜165との間に形成された第1溶出防止膜140を含む。
【0048】
平板蛍光ランプ200は、第1基板110と反射膜170との間に形成された第2溶出防止膜210を更に含むことができる。第2溶出防止膜210は、第1基板110からナトリウムが溶出することを防止する。
【0049】
第2溶出防止膜210は、ナトリウムの溶出を防止するために、純粋酸化シリコン(SiO)からなる。これとは異なり、第2溶出防止膜210は、窒化シリコン(SiNx)又は酸化アルミニウム(Al)等で形成することもできる。第2溶出防止膜210は、例えば、化学蒸着(CVD)工程を通じて約300Åの厚みに形成される。
【0050】
平板蛍光ランプ200は、反射膜170と第1蛍光膜160との間に形成される第1保護膜220を更に含むことができる。第1保護膜220は、放電空間130内に存在する水銀が第1基板110に浸透して、第1基板110と化学的に反応することを防止して、水銀の損失及び黒化現象等を防止する。例えば、第1保護膜220は、酸化イットリウム(Y)からなり、約2μmの厚みに形成される。
【0051】
平板蛍光ランプ200は、第1溶出防止膜140と第2蛍光膜165との間に形成された第2保護膜230を更に含むことができる。第2保護膜230は、放電空間130内に存在する水銀が第2基板120に浸透して、第2基板120と化学的に反応することを防止して、水銀の損失及び黒化現象等を防止する。例えば、第2保護膜230は、酸化イットリウム(Y)からなり、約1μmの厚みに形成される。
【0052】
以下、図5及び図6を参照して、本発明の一実施形態による平板蛍光ランプの製造方法について説明する。
【0053】
図5を参照すると、ソーダライムガラスからなる第1基板110上に反射膜170と第1蛍光膜160を順次に形成する。例えば、反射膜170は約80μmの厚みに形成し、第1蛍光膜160は約40μmの厚みに形成する。
【0054】
図6を参照すると、第1基板と別に、平板形状のソーダライムガラスを成形加工して成形された第2基板120を製造する。第2基板120の成形加工は、平板形状のソーダライムガラスを軟化点以上の高温、例えば、約750℃で空気による圧縮力を用いるブローモールディング技術を利用して、所望する形状に成形する工程が行われる。これとは異なり、第2基板120の成形加工は、平板形状のソーダライムガラスを一定温度に加熱した後、所望する金型を通じて成形する方法等の多様な方法によって加工することもできる。
【0055】
以下、成形された第2基板120上にナトリウムの溶出を防止するための第1溶出防止膜140を形成する。第1溶出防止膜140は、例えば、化学蒸着(CVD)工程を通じて約300Åの厚みに形成される。第1溶出防止膜140は、ナトリウムの溶出を防止するために、純粋酸化シリコン(SiO)からなる。これとは異なり、第1溶出防止膜140は、窒化シリコン(SiNx)又は酸化アルミニウム(Al)等からなることもできる。
【0056】
下記に示す表1は、第1溶出防止膜を形成しない比較例1と、平板形状のソーダライムガラスに第1溶出防止膜を形成した状態で、成形加工を実施した比較例2と、平板形状のソーダライムガラスを成形加工した後、第1溶出防止膜を形成した実施例の場合に対して、約700℃の温度で第2基板の表面から検出されたナトリウムの量を比較した表である。
【0057】
【表1】

【0058】
表1を参照すると、平板形状のソーダライムガラスに第1溶出防止膜を形成した後、成形工程を実施した比較例2の場合、18.1wt%のナトリウムが検出され、ナトリウムの溶出を防止するための第1溶出防止膜がその機能を発揮しなくて、平板蛍光ランプの寿命延長にあまり役に立たないことがわかる。
【0059】
反面、平板形状のソーダライムガラスを成形した後、第1溶出防止膜を形成した実施例の場合、第2基板の表面で検出されるナトリウムの量が殆どないと測定され、これは第1溶出防止膜がナトリウムの溶出を防止する機能を充分に発揮していることがわかる。
【0060】
上述の結果からわかるように、ソーダライムガラスを成形した後、第1溶出防止膜を形成する場合、比較例1及び比較例2に対してよりも、ナトリウムの溶出を防止することができ、最小限約10重量%(wt%)以下にナトリウムの溶出量を制御することにより、平板蛍光ランプの寿命をより延長させることができる効果を得ることができる。
【0061】
次に、第1溶出防止膜140上に第2蛍光膜165を形成する。例えば、第2蛍光膜165は、約15μmの厚みに形成される。
【0062】
以後、図2に示すように、反射膜170及び第1蛍光膜160が形成された第1基板110と第1溶出防止膜140及び第2蛍光膜165が形成された第2基板120を接着部材150を利用して結合する。
【0063】
一方、図4を参照すると、反射膜170を形成する前に、第1基板110上に第2溶出防止膜210を更に形成することができる。第2溶出防止膜210は、第1基板110からナトリウムが溶出することをより効果的に防止する。第2溶出防止膜210は、例えば、化学蒸着(CVD)工程を通じて約300Åの厚みに形成する。第2溶出防止膜210は、ナトリウムの溶出を防止するために、純粋酸化シリコン(SiO)で形成する。これとは異なり、第2溶出防止膜210は、窒化シリコン(SiNx)又は酸化アルミニウム(Al)等で形成することもできる。
【0064】
又、第1蛍光膜160を形成する前に、反射膜170上に第1保護膜220を更に形成することができる。第1保護膜220は、放電空間130内に存在する水銀が第1基板110に浸透することを防止して水銀の損失及び黒化現象等を防止する。例えば、第1保護膜220は酸化イットリウム(Y)からなり、約2μmの厚みに形成する。
【0065】
又、第2蛍光膜165を形成する前に、第1溶出防止膜140上に第2保護膜230を更に形成することができる。第2保護膜230は、放電空間130内に存在する水銀が第2基板120に浸透することを防止して、水銀の損失及び黒化現象等を防止する。例えば、第2保護膜230は酸化イットリウム(Y)からなり、約1μmの厚みに形成する。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態による液晶表示装置を示す分解斜視図である。
【0067】
図7を参照すると、本発明の一実施形態による液晶表示装置500は、収納容器510、平板蛍光ランプ520、及びディスプレイユニット600を含む。
【0068】
収納容器510は、平板蛍光ランプ520を収納するために、底部512及び底部512のエッジから延長され収納空間を形成する側部514で構成される。側部514は、一例として、他の構成要素との結合空間を提供して結合力を向上させるために、2段に折り曲げられた構造を有する。収納容器510は、例えば、強度に優れて変形が少ない金属からなる。
【0069】
平板蛍光ランプ520は収納容器510に収納され、インバータ530から印加される放電電圧に応じて光を発生する。平板蛍光ランプ520は、図1〜図4に示すものと同じ構成を有するので、その重複される詳細な説明は省略する。
【0070】
ディスプレイユニット600は、平板蛍光ランプ520から供給される光を利用して画像を表示する液晶表示パネル610及び液晶表示パネル610を駆動するための駆動回路部620を含む。
【0071】
液晶表示パネル610は、第1基板612、第1基板612と対向して結合される第2基板614、及び第1基板612と第2基板614との間に介在する液晶層616を含む。
【0072】
第1基板612は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)がマトリックス形態に形成されたTFT基板である。TFTのソース端子及びゲート端子には、それぞれデータライン及びゲートラインが連結され、ドレイン端子には透明な導電性材質からなる画素電極が連結される。
【0073】
第2基板614は、色を具現するためのRGB画素が薄膜形態に形成されたカラーフィルタ基板である。第2基板614には、透明な導電性材質からなる共通電極が形成される。
【0074】
このような構成を有する液晶表示パネル610は、TFTのゲート端子に電源が印加されTFTがターンオンされると、画素電極と共通電極との間には電界が形成される。このような電界によって第1基板612と第2基板614との間に介在された液晶層616の液晶分子の配列が変化され、液晶分子の配列変化によって平板蛍光ランプ520から供給される光の透過度が変更され、所望する階調の画像を表示することになる。
【0075】
駆動回路部620は、液晶表示パネル610にデータ駆動信号を供給するデータ印刷回路基板622、液晶表示パネル610にゲート駆動信号を供給するゲート印刷回路基板624、データ印刷回路基板622を液晶表示パネル610に連結するデータ駆動回路フィルム626、及びゲート印刷回路基板624を液晶表示パネル610に連結するゲート駆動回路フィルム628を含む。
【0076】
データ駆動回路フィルム626及びゲート駆動回路フィルム628は、例えば、テープキャリアパッケージ(TCP)又はチップオンフィルム(COF)からなる。一方、ゲート印刷回路基板624は、液晶表示パネル610及びゲート駆動回路フィルム628に別の信号配線を形成することにより、除去することもできる。
【0077】
液晶表示装置500は、平板蛍光ランプ520の発光のための放電電圧を出力するインバータ530を更に含む。インバータ530は、収納容器510の背面に配置される。インバータ530は、外部から印加される低電位の交流電圧を平板蛍光ランプ520の発光に適合した高電位の交流電圧に昇圧して放電電圧として出力する。インバータ530から発生した放電電圧は、ランプワイヤーを通じて平板蛍光ランプ520の外部電極に印加される。
【0078】
液晶表示装置500は、平板蛍光ランプ520の上部に配置された拡散板540及び拡散板540の上部に配置された少なくとも一つの光学シート550を更に含むことができる。
【0079】
拡散板540は、平板蛍光ランプ520から出射される光を拡散させて輝度均一性を向上させる。拡散板540は、所定の厚みを有するプレート形状に形成され、平板蛍光ランプ520と一定間隔に離隔するように配置される。
【0080】
拡散板540は光の透過のために透明な材質で形成され、光の拡散のための拡散剤を含む。拡散板540は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)材質で形成される。
【0081】
光学シート550は、拡散板540を通じて拡散された光の経路をもう一度変更して輝度特性を向上させる。光学シート550は、拡散板540を通じて拡散された光を正面方向に集光させて光の正面輝度を向上させるためのプリズムシートを含むことができる。
【0082】
又、光学シート550は、拡散板540を通じて拡散された光をもう一度拡散させて、輝度均一性をより向上させるための拡散シートを含むことができる。
【0083】
又、光学シート550は、特定条件を満足する光は透過させ、残り光は反射させる方式で、光の輝度を増加させる反射偏光シートを含むことができる。一方、液晶表示装置500には要求される輝度特性によって多様な機能の光学シートが追加するか、又は除去することができる。
【0084】
液晶表示装置500は、平板蛍光ランプ520と収納容器510との間に配置され平板蛍光ランプ520のエッジを支持する緩衝部材560を更に含むことができる。
【0085】
緩衝部材560は、平板蛍光ランプ520のエッジに対応するように配置され、平板蛍光ランプ520を収納容器510と一定距離に離隔させて平板蛍光ランプ520と金属材質の収納容器510間の電気的な接触を遮断する。
【0086】
緩衝部材560は、外部から加わる衝撃を吸収するために、ある程度の弾性を有する物質で形成することが好ましい。緩衝部材560は、平板蛍光ランプ520の絶縁及び緩衝のために、例えば、シリコン材質からなる。
【0087】
液晶表示装置500は、平板蛍光ランプ520と拡散板540との間に配置された第1モールド570を更に含むことができる。
【0088】
第1モールド570は、平板蛍光ランプ520のエッジを固定しながら、拡散板540のエッジを支持する。この際、第1モールド570は実質的に光が出射されない平板蛍光ランプ520の外部電極領域を遮って暗部発生を防止する。
【0089】
第1モールド570は、図に示したように、フレーム形状の一体型で形成される。これとは異なり、第1モールド570は、「コ」又は「L」字形状を有する2つの片で構成するか、各辺に対応する4つの片に分割された構造を有することができる。
【0090】
液晶表示装置500は、第1モールド570の上部に配置され拡散板540及び光学シート550のエッジを固定する第2モールド580を更に含むことができる。
【0091】
第2モールド580は、第1モールド570と同様に、フレーム形状の一体型に形成されるか、2つ又は4つの片に分割された構造を有することができる。
【0092】
液晶表示装置500は、ディスプレイユニット600を固定するためのトップシャーシ590を更に含むことができる。トップシャーシ590は、収納容器510と結合され液晶表示パネル610のエッジを固定する。この際、データ印刷回路基板622は、データフレキシブル回路フィルム626によってベンディングされ、収納容器510の側面又は背面に固定される(ゲート印刷回路基板624も同様)。トップシャーシ590は、一例として、変形が少なく、強度に優れた金属で形成される。
【0093】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態による平板蛍光ランプを示す斜視図である。
【図2】図1のI−I’線に沿って切断した断面図である。
【図3】図1のII−II’線に沿って切断した断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態による平板蛍光ランプを示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による平板蛍光ランプの製造工程を説明するための断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による平板蛍光ランプの製造工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による液晶表示装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
100、200 平板蛍光ランプ
110 第1基板
120 第2基板
122 放電空間部
124 空間分割部
126 シーリング部
128 連結通路
140 第1溶出防止膜
150 接着部材
160 第1蛍光膜
165 第2蛍光膜
170 反射膜
180 外部電極
210 第2溶出防止膜
220 第1保護膜
230 第2保護膜
500 液晶表示装置
510 収納容器
530 インバータ
540 拡散板
550 光学シート
560 緩衝部材
570 第1モールド
580 第2モールド
590 トップシャーシ
600 ディスプレイユニット
610 液晶表示パネル
620 駆動回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と結合され複数の放電空間を形成するために成形加工された第2基板と、
成形加工された前記第2基板の内面上に形成される第1溶出防止膜と、
前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、
前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを有することを特徴とする平板蛍光ランプ。
【請求項2】
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで構成されることを特徴とする請求項1に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項3】
前記第1基板及び前記第2基板は、ソーダライムガラス(soda−lime glass)からなることを特徴とする請求項1に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項4】
前記第2基板は、前記第1基板側と離隔して前記放電空間を形成する放電空間部と、
前記放電空間部の間で前記第1基板側と接して前記放電空間を分割する空間分割部と、
前記第2基板のエッジに配置されるシーリング部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項5】
前記第1基板と前記第1蛍光膜との間に形成される反射膜を更に有することを特徴とする請求項1に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項6】
前記第1基板と前記反射膜との間に形成される第2溶出防止膜を更に有することを特徴とする請求項5に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項7】
前記反射膜と前記第1蛍光膜との間に形成される第1保護膜と、
前記第1溶出防止膜と前記第2蛍光膜との間に形成される第2保護膜とを更に有することを特徴とする請求項5に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板と結合され複数の放電空間を形成するために成形加工された第2基板と、
前記第2基板の内面に形成され前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過しないようにする第1溶出防止膜とを有することを特徴とする平板蛍光ランプ。
【請求項9】
前記第2基板のナトリウム溶出量は、0〜10重量%(wt%)の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項10】
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項8に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項11】
前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、
前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを更に有することを特徴とする請求項8に記載の平板蛍光ランプ。
【請求項12】
画像を表示する液晶表示パネルと、
複数のデータ信号及びゲート信号を前記液晶表示パネルに印加する駆動回路と、
第1基板と、該第1基板と結合され複数の放電空間を形成する第2基板と、該第2基板の内面上に形成され前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過しないようにする第1溶出防止膜と、前記第1基板の内面上に形成される第1蛍光膜と、前記第1溶出防止膜上に形成される第2蛍光膜とを有し、前記液晶表示パネルに光を提供する平板蛍光ランプと、
前記平板蛍光ランプに放電電圧を印加するインバータとを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
第1基板の内面上に第1蛍光膜を形成する段階と、
第2基板を所定の形状を有するように成形加工する段階と、
成形加工された前記第2基板の内面上に第1溶出防止膜を形成する段階と、
前記第1溶出防止膜上に第2蛍光膜を形成する段階と、
前記第1基板と前記第2基板の内面が互いに向かい合うようにして複数の放電空間を形成するように第1基板と第2基板を結合する段階とを有することを特徴とする平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項14】
前記第1溶出防止膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び酸化アルミニウムの内から選択される少なくとも一つで形成されることを特徴とする請求項13に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項15】
前記第1基板及び前記第2基板は、ソーダライムガラスからなることを特徴とする請求項13に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項16】
前記第1溶出防止膜は、化学蒸着(CVD)工程によって形成されることを特徴とする請求項13に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項17】
前記第1基板と前記第1蛍光膜との間に反射膜を形成する段階を更に有することを特徴とする請求項13に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項18】
前記第1基板と前記反射膜との間に第2溶出防止膜を形成する段階を更に有することを特徴とする請求項17に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項19】
前記反射膜と前記第1蛍光膜との間に第1保護膜を形成する段階と、
前記第1溶出防止膜と前記第2蛍光膜との間に第2保護膜を形成する段階とを更に有することを特徴とする請求項17に記載の平板蛍光ランプの製造方法。
【請求項20】
前記第2基板のナトリウム溶出量が一定量を超過することを防止する段階を更に有することを特徴とする請求項13に記載の平板蛍光ランプの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−188881(P2007−188881A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343064(P2006−343064)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】