説明

広告の差し替え印刷方法及び装置、並びにそのためのコンピュータープログラム

【課題】コンテンツページを印刷する際に、ユーザーに過度の作業負担をかけること無く、広告部分における印刷用色材の使用量を削減する技術を提供する。
【解決手段】印刷システムは、コンテンツページソースから取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替えて、差し替え後のコンテンツページを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告を含むコンテンツページの印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、WWW(World Wide Web)等を通じて様々なコンテンツページ(例えばWebページ)を容易に入手することができ、また、それらを印刷することも可能である。Webページには、広告が含まれているものが多く存在する。このようなWebページをユーザーが印刷する場合に、その印刷したい対象は広告以外のメインコンテンツ部分である。しかし、通常はWebページを印刷する場合に、不要な広告部分まで印刷しており、そのために余分な印刷用色材(インクやトナー)を使用してしまうという問題が生じる。
【0003】
Webページ内の不要部分を削除する技術としては、Green Print社のソフトウェアであるグリーンプリントが知られている(非特許文献1)。しかし、このソフトウェアでは、印刷前に専用のプレビュー画面を表示して、ユーザーが手動で不要な部分を指示した後で印刷を実行する必要がある。このように、従来は、不要なコンテンツ部分をユーザーが1つずつ手動で指定する必要があったため、ユーザーの作業負担が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Green Print社Webページ http://www.printgreener.com/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コンテンツページを印刷する際に、ユーザーに過度の作業負担をかけること無く、広告部分における印刷用色材の使用量を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
印刷システムを用いてコンテンツページを印刷する方法であって、
(a)前記印刷システムが、コンテンツページソースから取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替える工程と、
(b)前記印刷システムが、前記差し替え後のコンテンツページを印刷する工程と、
を備える印刷方法。
この構成によれば、印刷システムがコンテンツページ内の広告オブジェクトをより色材使用量の少ない差替画像領域に差し替えてコンテンツページを印刷するので、ユーザーに過度の作業負担をかけること無く、広告部分における印刷用色材の使用量を削減することが可能である。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載の印刷方法であって、
前記差替画像領域は、前記広告オブジェクトと同じ表示サイズであり、かつ、前記広告オブジェクトとは異なる広告内容を表す差替広告オブジェクトである、印刷方法。
この構成によれば、コンテンツページに含まれていた広告オブジェクトを、同じ表示サイズであり、かつ、異なる広告内容を表す差替広告オブジェクトに差し替えて印刷するので、コンテンツページのレイアウト制御を損なうことなく印刷用色材の使用量を削減しつつ、当該異なる広告内容の広告効果を高めることが可能である。
【0009】
[適用例3]
適用例1記載の印刷方法であって、
前記差替画像領域は、空白領域である、印刷方法。
この構成によれば、印刷用色材の使用量を最大限削減することができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記工程(a)は、
(a1)前記印刷システムが、複数のコンテンツページに関して広告オブジェクトの位置を予め解析した解析結果を提供する広告位置解析サーバーから、前記コンテンツページに関する前記解析結果を取得する工程と、
(a2)前記印刷システムが、前記取得した解析結果に基づいて、前記コンテンツページ内の前記広告オブジェクトを前記差替画像領域に差し替える工程と、
を含む、印刷方法。
この構成によれば、広告位置解析サーバーからの解析結果に基づいて差替画像領域への差し替えを実行するので、ユーザーの作業負担を大幅に低減することが可能である。
【0011】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷方法および印刷装置、印刷制御方法および印刷制御装置、広告差し替え方法及び装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、印刷処理に利用されるサーバー等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワークシステムの全体構成を示す説明図である。
【図2】実施例における処理の全体を示すシーケンス図である。
【図3】実施例におけるWebページとその印刷ページの例を示す概念図である。
【図4】広告位置解析処理の対象となるWebページの領域構成の例を示す説明図である。
【図5】HTML文書のボディ部分の階層構造の例と対応する領域構成との関係を示す説明図である。
【図6】Webページの領域の種類とリンク面積比率との関係を示す説明図である。
【図7】広告位置解析サーバーで実行される広告位置解析処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】広告差替実行部によって実行される広告差替処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】オブジェクトの色材使用量の算出手順を示すフローチャートである。
【図10】図9の処理の内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.装置構成と処理の概要:
B.各種の処理の詳細:
C.変形例
【0014】
A.装置構成と処理の概要:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワークシステムの全体構成を示す説明図である。このシステムは、インターネットを介して相互に接続されており、広告位置解析サーバー400と、差替オブジェクト管理サーバー500と、クライアントコンピューター200とを有している。クライアントコンピューター200は、プリンター300に接続されている。プリンター300としては、インクジェットプリンターやレーザープリンターのように、印刷媒体上に色材(インクやトナー)を付着させることによって印刷を行う各種のプリンターを利用することが可能である。なお、プリンター300としてはカラープリンターを用いることが好ましいが、モノクロプリンターも利用可能である。
【0015】
広告位置解析サーバー400は、解析部410と、解析結果記憶部420と、通信部430とを有している。解析部410は、インターネット上の各種のコンテンツページソースからコンテンツページを順次取得するとともに、取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトの有無及び位置を解析する。この解析の内容については後述する。なお、本明細書において、「コンテンツページ」とは、コンテンツを含むページを意味しており、通常は、クライアントコンピューター200のモニター220上に表示されるものである。また、「オブジェクト」とは、参照により取得されるコンテンツを意味しており、「広告オブジェクト」とは、広告として使用されているオブジェクトを意味している。解析部410による解析結果は、コンテンツページのURLと関連づけられて解析結果記憶部420に格納される。通信部430は、必要に応じて外部との各種の通信を実行する。
【0016】
差替オブジェクト管理サーバー500は、差替データ記憶部510と、通信部520とを有している。差替データ記憶部510は、クライアントコンピューター200がコンテンツページを印刷する時に、コンテンツページ内の広告オブジェクトと差し替えられる差替オブジェクトを予め格納している。通信部520は、クライアントコンピューター200からの要求に応じて、差替オブジェクトを差替データ記憶部510から取得して送信する。
【0017】
クライアントコンピューター200は、モニター220とデータ処理部240とを有している。データ処理部240には、ブラウザー250とプリンタードライバー260とが実装されている。プリンタードライバー260は、広告差替実行部262と、印刷データ作成部264とを有している。広告差替実行部262は、コンテンツページの印刷前に、コンテンツページ内の広告オブジェクトを、差替オブジェクトに差し替える処理を実行する。印刷データ作成部264は、この差し替え処理がなされたコンテンツページの印刷データを作成してプリンター300に転送し、印刷実行部としてのプリンター300に印刷を行わせる。なお、クライアントコンピューター200とプリンター300とで構成されるコンピューターシステムを、「印刷システム」とも呼ぶ。
【0018】
図2は、本実施例における処理の全体を示すシーケンス図である。広告位置解析サーバー400の解析部410は、処理(1a)において、Web上の各種のコンテンツページソース(例えばWebサイト)からコンテンツページを取得して、広告オブジェクトの解析を実行する。
【0019】
図3(A)は、コンテンツページとしてのWebページの例を示す概念図である。このWebページは、その右端に、2つの広告オブジェクトA01,AO2を含んでいる。解析部410は、このようなWebページを解析して、広告オブジェクトAO1,AO2の位置を示す広告位置情報を得る機能を有している。この解析の方法については後述する。解析部410による解析結果(広告位置情報)は、図2の処理(1b)において、解析結果記憶部420に保存される。なお、処理(1a),(1b)は繰り返し実行され、Web上の多数のコンテンツページに関する解析結果が順次蓄積されてゆく。
【0020】
図2の処理(2a)では、ユーザーが、クライアントコンピューター200のモニター220上に表示されているWebページの印刷の実行を指示する。この指示に応じて、プリンタードライバー260の広告差替実行部262(図1)は、処理(2b)において、このWebページのURLを広告位置解析サーバー400に送信して、その解析結果を要求する。広告位置解析サーバー400は、処理(3a),(3b)において、このURLに関して予め格納されている解析結果(広告位置情報)をクライアントコンピューター200に返信する。なお、要求された解析結果が存在しない場合には、処理(3a)において解析部410が解析を実行するようにしてもよい。
【0021】
解析結果の返信を受けたクライアントコンピューター200は、処理(4a)において、(A)広告オブジェクトの削除と、(B)広告オブジェクトの差替オブジェクトへの差し替えと、の2つのオプションのうちのいずれかを実行する。なお、これらの2つのオプションのいずれを実行するかは、プリンタードライバー260のユーザーインターフェース(図示省略)上でユーザーが選択できることが好ましい。また、これらのいずれも選択せずに、元のコンテンツページのままで印刷を行うオプションも選択できることが好ましい。
【0022】
広告オブジェクトを差替オブジェクトに差し替える場合には、処理(4a)において、広告差替実行部262が差替オブジェクト管理サーバー500に差替オブジェクトを要求して取得し、広告オブジェクトを差替オブジェクトに差し替える。図3(B)は、図3(A)の広告オブジェクトAO1,AO2が差替オブジェクトRO1,RO2にそれぞれ差し替えられたページ(「印刷ページ」とも呼ぶ)を示している。
【0023】
差替オブジェクトRO1,RO2としては、対応する元の広告オブジェクトAO1,AO2の表示サイズと同じサイズか、または、ほぼ同じサイズか、或いは、やや小さいサイズのものが選択されることが好ましい。こうすれば、他のコンテンツに影響を与えることなく、コンテンツページの印刷物を作成することが可能である。また、差替オブジェクトRO1,RO2としては、対応する元の広告オブジェクトAO1,AO2よりも印刷時の色材の使用量がより少ないものが選択されることが好ましい。こうすれば、広告オブジェクトのために色材を浪費することを抑制できる。
【0024】
なお、広告オブジェクトの削除は、広告オブジェクトを空白領域と差し替える処理であると考えることが可能である。また、空白領域も一種の画像領域である。そこで、広告オブジェクトの削除と、広告オブジェクトの差替オブジェクトへの差し替えとは、「広告オブジェクトを、より色材使用量が少ない差替画像領域に差し替える」という点で共通していることが理解できる。
【0025】
図2の処理(4b)では、こうして差し替えが行われたWebページについて、印刷データ作成部264(図1)が印刷データを作成し、この印刷データをプリンター300に送信して印刷を実行させる。
【0026】
以上のように、本実施例では、コンテンツページ内に広告オブジェクトが存在する場合に、その広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替えてコンテンツページを印刷するので、色材の浪費を抑制することが可能である。特に、本実施例では、ユーザーが広告オブジェクトを指定する必要が無く、自動的に広告オブジェクトが差し替えられるので、従来に比べてユーザーの作業負担を低減することが可能である。また、差替オブジェクトとして、他の広告を表す広告オブジェクトを差替オブジェクトとして使用すれば、その差替オブジェクトが多数のユーザーによって頻繁に印刷されるので、差替オブジェクトによる広告効果を高めることが可能である。
【0027】
B.各種の処理の詳細:
B-1.広告位置解析処理:
図4は、広告位置解析処理の対象となるWebページの領域構成の例を示す説明図である。図4(A),(B)に示すように、典型的なWebページは、5種類の領域SH,SM,MC,AA,SFを含んでいる。サイトヘッダー領域SHは、ページの上端の領域であり、そのページの名称などが表示される。サイトメニュー領域SMは、通常、ページの左端に設けられており、そのページの他の箇所や、関連するページを示すリンク付きのメニューが表示される。メインコンテンツ領域MCには、そのページの主要なコンテンツが表示される。広告領域AAは、通常、ページの右端に設けられており、そのページと関連する広告や、そのページとは無関係な広告が表示される。フッター領域SFは、ページの下端の領域であり、そのページに関連する各種のページへのリンクなどが設定される。なお、広告領域AAが存在しないWebページや、広告領域AAが複数個存在するWebページも多数存在する。以下では、まず「領域」の区分の方法について説明し、その後、個々の領域が広告領域AAに相当するか否かを判別して広告領域AA内の広告オブジェクトを検出する方法について説明する。
【0028】
図5は、Webページを記述するHTML文書のボディ部分の階層構造の例と、これに対応する領域構成との関係を示す説明図である。以下の説明において、Webページ内の「領域」は、以下の判定条件1,2に従って判定される。
<判定条件1>
BODY要素直下の要素もしくはデータで記述されたコンテンツ部分を1つの「領域」とする。
<判定条件2>
但し、BODY要素直下の要素が、ページのレイアウト制御に用いられる要素(レイアウト制御要素)である場合は追加の領域判別処理をおこなう。
(なお、「要素」及び「データ」という用語の定義は、XML(又はXHTML)の仕様に準じている。)
【0029】
レイアウト制御要素には、例えば、div要素やtable要素などがある。図5(A)に示すように、1つのレイアウト制御要素は、さらに他のレイアウト制御要素を子要素として有する場合がある。なお、図5(A)においては記述を省略しているが、HTML文書中にはレイアウト制御要素以外の要素やデータも存在している。
【0030】
このような「子要素にレイアウト制御要素を持つレイアウト制御要素」に対しては、その子要素に対して再帰的な探索をおこない、「子要素にレイアウト制御要素を持たないレイアウト制御要素」が見つかるまで探索をおこなうことで、「領域」の判別をおこなう。具体的には、図5(A)の場合に、BODY要素直下にあり、かつ子要素にレイアウト制御要素を持たない要素div(1),div(3)は「領域」を記述するものであると判別される。一方、要素div(2)は子要素として3つのレイアウト制御要素div(20),div(21),div(22)を持つため、これらの子要素div(20),div(21),div(22)のそれぞれに対して再び領域判別処理(すなわち、子要素にレイアウト制御要素を含むか否か)が行われる。要素div(21),div(22)は、子要素にレイアウト制御要素を持たないため、「領域」を記述するものであると判別される。一方、要素div(20)は子要素にレイアウト制御要素を持つため、さらにその子要素に対して領域判別処理が行われる。この要素div(20)の子要素div(200),div(201)は、子要素にレイアウト制御要素を持たないため、「領域」を記述するものであると判別される。この結果、図5(B)に示されるように、要素div(1),div(200),div(201),div(21),div(22),div(3)が、領域R1,R200,R201,R21,R22,R3を記述するものとしてそれぞれ検出される。このように、BODY要素以下の全ての要素とデータに対して、「領域」を記述するものであるか否かの判別処理が行うことによって、Webページ内の複数の領域を決定することが可能である。
【0031】
以下で説明する広告位置解析処理では、図5(B)の例のように区分された複数の領域のいずれが広告領域AAに該当するかが判定され、更に、その広告領域AA内に含まれるオブジェクトの中から広告オブジェクトに該当するものが判別される。この処理では、次の用語が使用される。
・「オブジェクト」:参照によって取得されるコンテンツ
・「外部リンクオブジェクト」:外部のWebサイトへのリンクを有するオブジェクト
・「自己リンクオブジェクト」:現在のWebページと同じWebサイト内のWebページへのリンクを有するオブジェクト
・「外部リンク面積比率」:Webページ内の特定の領域において、下式によって算出される値。
[全ての外部リンクオブジェクトの面積の合計]/[特定の領域の面積]
・「自己リンク面積比率」:特定の領域において、下式によって算出される値。
[全ての自己リンクオブジェクトの面積の合計]/[特定の領域の面積]
【0032】
広告オブジェクトを有するWebページは、一般に以下のような2つの特徴を有している。
<特徴1>ほとんど全ての広告オブジェクトが、外部のWebサイトへのリンクを有する。
<特徴2>広告オブジェクトは、Webページ内の特定の領域に集中して配置される。
【0033】
広告位置解析処理では、これらの特徴を利用して、広告オブジェクトの有無を判別する。すなわち、広告オブジェクトは、外部のWebサイトへのリンクを有しているのが普通である(上記特徴1)。この特徴1を利用して、「自己リンクオブジェクトは広告でない」と判別することができる。
【0034】
また、外部リンクオブジェクトの中から広告オブジェクトだけを判別する方法としては、例えば以下の方法を採用することができる。この判別方法では、Webページの上記特徴2(Webページでは一般的に、広告オブジェクトが特定の領域に集中的に配置される)を利用する。なお、「広告オブジェクトが集中的に配置される領域」は、図4の広告領域AAに相当する領域である。
【0035】
図6は、Webページの領域の種類とリンク面積比率との関係を示す説明図である。図6(B)に示すように、各領域ごとのリンクオブジェクトの種類とその面積比率に着目すると、以下のような特徴があることがわかる。すなわち、自己リンク面積比率は、サイトヘッダー領域SHとサイトメニュー領域SMとフッター領域SFで高く、メインコンテンツ領域MCでは中程度であり、広告領域AAでは低い傾向にある。また、外部リンク面積比率は、サイトヘッダー領域SHとサイトメニュー領域SMとフッター領域SFで低く、メインコンテンツ領域MCではやや低く、広告領域AAでは高い傾向にある。すわなち、一般的なWebページでは、「外部リンク面積比率の高い領域は、高い確率で広告領域である」と判断することができる。したがって、「外部リンク面積比率の高い領域内に存在する外部リンクオブジェクトは、高い確率で広告オブジェクトである」と判断することができる。
【0036】
以上の基本的な処理方針に従って、広告位置解析処理を以下の手順によって実施することができる。
<ステップ1>
Webページを構成する複数の領域の中から、広告領域AAを選別する。具体的には、各領域ごとに外部リンク面積比率を算出し、外部リンク面積比率の高い領域を、広告領域AAとして選別する。
<ステップ2>
ステップ1で選別された広告領域AA内に存在する外部リンクオブジェクトを、広告オブジェクトと判別する。
【0037】
図7は、広告位置解析処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS110では、Webページ内に設定されている複数の領域の中で、未処理の領域が存在するか否かが判断され、存在する場合には、ステップS120において、そのページ内の次の領域のデータ(HTMLの記述部分)が取得されて、処理対象領域として設定される。ステップS130では、処理対象領域の外部リンク面積比率Xが算出される。ステップS140では、外部リンク面積比率が所定の閾値(ここでは25%)以上か否かが判定される。外部リンク面積比率が閾値未満の場合には、その領域は広告領域AAには該当しないと判断して、ステップS110に戻る。一方、外部リンク面積比率が閾値以上の場合には、ステップS150〜S180において、その領域内に存在する広告オブジェクトの差し替え処理が実行される。
【0038】
まず、ステップS150では、処理対象領域(広告領域AA)内に未処理のオブジェクトが存在するか否かが判定され、存在しなければステップS110に戻る。一方、未処理のオブジェクトが存在する場合には、ステップS160において、そのオブジェクトが処理対象オブジェクトとして設定される。ステップS170では、処理対象オブジェクトが外部リンクを有しているか否かが判定され、外部リンクを有していない場合には、ステップS150に戻り、ステップS150以下の処理が再度実行される。一方、処理対象オブジェクトが外部リンクを有している場合にはステップS180において、その処理対象オブジェクトが広告オブジェクトであると判別される。この結果、そのオブジェクトが広告オブジェクトであることを示す情報(広告位置情報)がそのページのURLと関連付けられて、解析結果記憶部420(図1)内に格納される。その後、ステップS180からステップS150に戻り、ステップS150以下の処理が再度実行される。
【0039】
このように、本実施例の広告位置解析処理では、ページ内に設定された複数の領域の個々の領域について外部リンク面積比率を調べ、この比率に応じて、その領域が広告領域であるか否かを判別する。この結果、かなりの高精度で広告領域か否かを正しく判別することが可能である。
【0040】
なお、上記の広告位置解析処理は、全自動で行われるものとして説明したが、管理者やユーザーの人手を利用して半自動的に行われるものとしてもよい。また、上述した広告位置解析処理のアルゴリズムは単なる一例であり、他のアルゴリズムを利用した広告位置解析処理を採用することも可能である。
【0041】
B-2.広告差替処理:
図8は、広告差替実行部262(図1)によって実行される広告差替処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS210では、広告オブジェクトの印刷に要する色材使用量Zaが算出される。
【0042】
図9は、図8のステップS210の詳細手順を示すフローチャートであり、図10は、その処理内容を示す説明図である。ステップS212では、処理対象である広告オブジェクトがラスタライズされて、ラスタライズ画像が生成される(図10(A),(B))。このラスタライズ画像は、例えば、多値のRGB画素値で表現されたカラー画像である。ステップS214では、ラスタライズ画像に色変換処理が実行され、色材量データが生成される(図10(B),(C))。この色材量データは、画素単位の色材量(例えばインク量を示す)データである。ステップS216では、色材量データの各画素ごとの色材使用量が算出され、その総和Zが、広告オブジェクトの色材使用量と決定される。
【0043】
図8のステップS220では、差替オブジェクト管理サーバー500から差替オブジェクトが取得され、ステップS230では差替オブジェクトの色材使用量Zbが算出される。ステップS230の処理内容は、前述した図9,図10に示したものと同じである。
【0044】
ステップS240では、広告オブジェクトの色材使用量Zaと差替オブジェクトの色材使用量Zbとが比較され、広告オブジェクトの色材使用量Zaの方が少ない場合には、差替オブジェクトに対して色材削減処理が実行される。この色材削減処理としては、例えば以下の処理のうちの1つ以上を採用することが可能である。
(1)画素を間引く。
(2)差替オブジェクトの濃度を下げる (白に近くなるようにする)。
(3)コンポジットグレーを単色グレーに置き換える。
(4)差替オブジェクトのエッジ部分だけを印刷する。
(5)差替オブジェクトの輝度を反転する(これは、背景が黒でベタ塗りされているような場合に有効である)。
【0045】
この色材削減処理の後にステップS230に戻り、ステップS230,S240の処理が再度実行される。こうして、差替オブジェクトの色材使用量Zbが、広告オブジェクトの色材使用量Zaよりも少なくなると、ステップS260において、その差替オブジェクトによって広告オブジェクトが置き換えられ、処理が終了する。この広告差替処理によれば、広告オブジェクトを、それよりも色材使用量の少ない差替オブジェクトに常に差し替えることが可能である。
【0046】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
C1.変形例1:
上記実施例では、Webページをコンテンツページとして印刷する場合について説明したが、本発明は、Webページ以外の各種のコンテンツページを印刷する場合に適用可能であり、例えばWebメールを印刷する場合にも適用可能である。
【0048】
C2.変形例2:
上記実施例で実行されている各種の処理や機能を、他の装置やプログラムで実行するように変形することが可能である。例えば、広告位置解析サーバー400に格納されている解析結果(広告位置情報)の全部又は一部を、ローカルサーバー(図示省略)にダウンロードしておき、このローカルサーバーに対してクライアントコンピューター200が広告位置の問い合わせを行うようにしても良い。こうすれば、広告位置の問い合わせをより高速に実行することができる。また、クライアントコンピューター200がこのローカルサーバーに接続されていれば、クライアントコンピューター200がインターネットに接続されていない状態でも、広告位置情報を取得することが可能となる。また、クライアントコンピューター200にローカルサーバーの機能を兼務させるようにしても良い。こうすれば、クライアントコンピューター200がネットワークに接続されていない状態でも、広告位置情報を取得することが可能となる。同様に、差替オブジェクト管理サーバー500の機能を、ローカルサーバーまたはクライアントコンピューター200で置き換えるようにしても良い。
【0049】
また、上記実施例ではプリンタードライバーが広告の差替処理を実行していたが、プリンタードライバー以外のプログラムや装置が差替処理を実行しても良い。
【符号の説明】
【0050】
200…クライアントコンピューター
220…モニター
240…データ処理部
250…ブラウザー
260…プリンタードライバー
262…広告差替実行部
264…印刷データ作成部
300…プリンター
400…広告位置解析サーバー
410…解析部
420…解析結果記憶部
430…通信部
500…差替オブジェクト管理サーバー
510…差替データ記憶部
520…通信部
A01,AO2…広告オブジェクト
RO1,R02…差替オブジェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムを用いてコンテンツページを印刷する方法であって、
(a)前記印刷システムが、コンテンツページソースから取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替える工程と、
(b)前記印刷システムが、前記差し替え後のコンテンツページを印刷する工程と、
を備える印刷方法。
【請求項2】
請求項1記載の印刷方法であって、
前記差替画像領域は、前記広告オブジェクトと同じ表示サイズであり、かつ、前記広告オブジェクトとは異なる広告内容を表す差替広告オブジェクトである、印刷方法。
【請求項3】
請求項1記載の印刷方法であって、
前記差替画像領域は、空白領域である、印刷方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記工程(a)は、
(a1)前記印刷システムが、複数のコンテンツページに関して広告オブジェクトの位置を予め解析した解析結果を提供する広告位置解析サーバーから、前記コンテンツページに関する前記解析結果を取得する工程と、
(a2)前記印刷システムが、前記取得した解析結果に基づいて、前記コンテンツページ内の前記広告オブジェクトを前記差替画像領域に差し替える工程と、
を含む、印刷方法。
【請求項5】
印刷システムであって、
コンテンツページソースから取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替える差替実行部と、
前記差し替え後のコンテンツページを印刷する印刷部と、
を備える印刷システム。
【請求項6】
印刷システムを用いてコンテンツページを印刷するためのコンピュータープログラムであって、
コンテンツページソースから取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトを、より色材使用量の少ない差替画像領域に差し替える差替実行機能と、
前記差し替え後のコンテンツページを印刷する印刷機能と、
を前記印刷システムに実現させるコンピュータープログラム。
【請求項7】
広告位置解析サーバーであって、
コンテンツページソースからコンテンツページを取得すると共に、前記取得したコンテンツページ内の広告オブジェクトの位置を解析する解析部と、
前記解析部による解析結果を記憶する記憶部と、
クライアントからの要求に応じて、前記コンテンツページに関する解析結果を前記クライアントに転送する通信部と、
を備える広告位置解析サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−191654(P2010−191654A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34866(P2009−34866)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】