庇
【課題】昼間は日差しが庇板を透過して明るく、また、昼夜を問わず、優れた美感が得られ、庇板として板ガラスのような透光性を有する板材を用いたことの利点を十分に生かすことのできる庇を提供する。
【解決手段】庇1は、建物の外壁面に取り付けられた支持枠3の内部に庇板としての板ガラス2の基端部が挿入されて支持されるとともに、板ガラス2の2箇所がそれぞれアーム4,4により吊持されている。前記支持枠3の内部には、板ガラス2の基端面と対向する位置に、投光部を構成するLED71が設けられている。
【解決手段】庇1は、建物の外壁面に取り付けられた支持枠3の内部に庇板としての板ガラス2の基端部が挿入されて支持されるとともに、板ガラス2の2箇所がそれぞれアーム4,4により吊持されている。前記支持枠3の内部には、板ガラス2の基端面と対向する位置に、投光部を構成するLED71が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の外壁面より張り出すように設けられる庇に関し、特にこの発明は、板ガラスのような透光性を有する庇板を用いて構成される庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の庇は、庇板の基端部が建物の外壁面に取り付けられた支持枠により支持されるとともに、庇板の少なくとも2箇所がアームにより水平ないしは水平に近い角度で吊持されている(例えば、特許文献1参照)。各アームは、上端部が建物の外壁面に、下端部が庇板の板面に、それぞれ自在継ぎ手を介して接続されている。庇板の板面には、自在継ぎ手を取り付けるために取付孔が貫通して設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−160993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構成の庇は、庇板が板ガラスで構成されているので、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、そのデザインも軽快でスマートであるが、夜間は暗くて意匠的効果はない。また、庇の周辺を明るくするには、適所に照明器具を設置する必要があるが、板ガラス製の庇板に照明器具を取り付けるのは容易でなく、仮に取り付けても庇の軽快かつスマートなデザインを損ねるだけである。しかも、庇板の表面に沿って電気コードを伝わせるので、庇の美感を著しく低下させてしまう。夜間の照明や庇のライトアップのために、庇の上方の壁面に照明器具を設置することもできるが、昼間、照明器具が庇板を透して見えるので、見栄えが著しく悪くなる。
このように、夜間の機能や美感の向上は昼間の美感の低下を招き、庇板として板ガラスを用いたことの利点を十分に生かすことができない。
【0005】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、また、昼夜を問わず、優れた美感が得られ、庇板として板ガラスのような透光性を有する板材を用いたことの利点を十分に生かすことのできる庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による庇は、建物の外壁面に取り付けられた支持枠の内部に透光性を有する庇板の基端部が挿入されて支持されるとともに、前記庇板の少なくとも2箇所がそれぞれアームにより吊持されて成るものであり、前記支持枠の内部には、庇板の基端面と対向する位置に、投光部が設けられている。
【0007】
上記した構成の庇では、昼間、庇板の上方より差し込んでくる日差しは庇板を透過するので、庇の下方が陽光によって明るく照らされる。夜間、投光部を作動させると、投光部からの光が庇板の基端面より庇板の内部に導入され、庇板の内部で全反射を繰り返しつつ進み、庇板の先端面や側端面より出る。これにより庇板は先端面や側端面が光り輝き、その周辺も明るくなる。
【0008】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記庇板は透明な板ガラスにより構成されているが、これに限らず、透明な合成樹脂板を用いることもできる。また、板ガラスは1枚ものに限らず、2枚以上を貼り合わせたものであってもよい。さらに、板ガラスや合成樹脂板は、必ずしも無色である必要はなく、着色されたものであってもよい。さらにまた、透明なものに限らず、半透明なものであってもよい。
なお、庇板の平面形状は、典型的には長方形状であるが、これに限定されるものではない。
【0009】
この発明の上記した構成において、前記支持枠は庇板を全幅にわたって支持するために庇板の幅に相当する長さであるのが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。また、必ずしも単一のものである必要はなく、複数に分割されたものであってもよい。
【0010】
この発明の好ましい実施態様においては、前記庇板は、その先端縁に少なくとも1個の縁枠が装着され、前記縁枠に各アームの下端部が連結されている。
この実施態様によると、庇板にアームの下端部を接続するための穿孔などの特別な加工を必要としないので、庇板を板ガラスで構成した場合、穿孔による板ガラスの強度低下を招くおそれがない。
なお、各アームの下端部は、庇板の板面に直接連結する態様のものであってもよい。
【0011】
前記縁枠は、さらに望ましくは、長さ方向に沿う摺動溝を有し、その摺動溝内に位置決め部材が摺動自由に保持されるとともに、前記位置決め部材には、各アームの下端部が連結される連結部材が前記摺動溝の溝開口に臨ませるように設けられている。
前記庇板の先端縁に1個の縁枠を装着する場合、前記縁枠の摺動溝内に2個の位置決め部材が摺動自由に保持される。また、前記庇板の先端縁に2個の縁枠を左右対称位置に装着する場合、各縁枠の摺動溝内にそれぞれ1個の位置決め部材が摺動自由に保持される。
この実施態様において、各アームの上端部を建物の外壁面に固定したとき、その固定位置に応じて位置決め部材を縁枠の摺動溝に沿って移動させて適所に位置決めする。各位置決め部材の連結部材を溝開口に臨ませているので、その連結部材にアームの下端部を連結して庇板を支持する。
この実施態様によると、位置決め部材を移動させてアームの下端部の接続位置が変更できるので、建物の外壁面に各アームの上端部を固定するうえで配線や構造上の障害があっても、その建物の外壁の状態に対応させることができる。
【0012】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記投光部は、支持枠の内部に庇板の基端面に沿って取外し可能に配備されるホルダーと、前記ホルダーの複数箇所に庇板の基端面へ向けて取り付けられる複数個の光源とから成るものである。
この実施態様によると、支持枠より取外しが可能なホルダー上に全ての光源が取り付けてあるので、光源の交換など、投光部の保守や管理のための作業が容易に行える。
【0013】
この発明の好ましい他の実施態様においては、前記投光部は、支持枠の内部または外部に設けられる少なくとも1個の光源と、前記光源が発する光を支持枠の内部の庇板の基端面と対向する複数の位置へ導く複数本の光ファイバーとから成るものである。
この実施態様によると、光源を支持枠の外部に設けるか、または、支持枠の内部であって取外しが容易な位置に設けることにより、光源の交換など、投光部の保守や管理のための作業が容易に行える。なお、光源を支持枠の外部に設ける場合は、光ファイバーを支持枠の外部へ引き出すことになる。
【0014】
上記した各実施態様において、光源としてLEDを用いるのが望ましいが、これに限らず、豆電球などを用いることも可能である。また、LEDは青色など、種々の発光色のものを単一あるいは組み合わせて用いることが可能であり、さらには、光輝度タイプのもの、点滅タイプのものなど、自在に採択し得る。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、透光性を有する庇板を用いたから、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、そのデザインも軽快でスマートなものとなる。また、投光部からの光を庇板の基端面より内部へ導入するので、庇板の先端面や側端面が光り輝いて周辺が明るくなり、夜間においても優れた美感のものとなる。さらに、投光部は支持枠の内部に組み込まれているので、投光部やその電気配線が外部に露出せず、軽快かつスマートなデザインが損ねられたり、美感が低下したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3は、この発明の一実施例である庇1の外観とその設置状態を示している。
図示例の庇1は、建物の外壁面aから張り出すように取り付けられる庇板としての板ガラス2と、建物の外壁面aに取り付けられ前記板ガラス2の基端部を支持する支持枠3と、前記板ガラス2を2箇所で支持して水平ないしは水平に近い角度で吊持する2本のアーム4,4と、前記板ガラス2の先端縁の左右対称位置にそれぞれ装着されている縁枠5A,5Bとで構成されている。前記支持枠3、アーム4、および縁枠5A,5Bは金属製であるが、必要な強度が確保できるのであれば、必ずしも金属製である必要はなく、合成樹脂製であってもよい。
【0017】
前記板ガラス2は、平面形状が横に長い矩形状であり、図4に示すように、2枚の透明な強化ガラス板20,21を強靱かつ無色透明なシート材22を中間に挟んで一体接合して成るものである。前記シート材22の表裏面には粘着層が設けられ、この粘着層によって各強化ガラス板20,21とシート材22とが接合されるので、たとえ強化ガラス板20,21が強い衝撃を受けて破損しても、その破片が散乱することがない。なお、強化ガラス板20,21やシート材22は透光性を有していれば、必ずしも無色透明である必要はない。
【0018】
前記支持枠3は、板ガラス2の横幅と一致する長さを有するもので、板ガラス2の基端部を支持する本体フレーム30と、本体フレーム30の前面の上半分を覆う蓋板6とを含んでいる。支持枠3の両端面は開放され、各開放部は板状のキャップ65,65で塞がれねじ止めされている。
【0019】
前記本体フレーム30は、背板部32の上端縁にやや下向きの上壁部33が、高さ中央部および下端縁に水平な中間壁部34および下壁部35が、それぞれ突設されたものである。前記背板部32には、上壁部33と中間壁部34との間に、アンカーボルト100が挿入されるボルト挿通孔36が一定間隔毎に設けられている。前記アンカーボルト100上には前記蓋板6が被せられており、これによりアンカーボルト100は外部から見えないようになっている。前記中間壁部34と下壁部35とは蓋板6より前方へ突き出ている。
【0020】
前記中間壁部34と下壁部35との間には、投光部7が組み込まれる中空室37と、板ガラス2の基端部が差し込まれる支持溝31とが中間に仕切壁38を介在させて形成されている。前記仕切壁38には本体フレーム30の全長にわたって連通孔39が形成されている。この連通孔39を介して支持溝31と中空室37とが連通し、板ガラス2の基端部が支持溝31へ差し込まれたとき、板ガラス2の基端面は前記連通孔39を介して中空室37に面するようになっている。
【0021】
前記支持溝31内にはゴムなどのクッション材102が装填されるとともに、支持溝31の開口部はシリコンなどのコーキング材103により密封されている。前記クッション材102は板ガラス2に作用する衝撃や振動を吸収するためのものであり、コーキング材103は支持溝31内への雨水の浸入を防止するためのものである。
【0022】
前記蓋板6は、アンカーボルト100上を覆う前面部6aと、上壁部33の上面に支持される上面部6bとを備えている。上面部6bの先端縁には上壁部33の基端部に形成された段部60に係合する鈎状部61が形成されている。蓋板6の前面部6aには中間壁部34の上面に突設された突壁部34aに係合する係合部63が形成されている。蓋板6の上面部6bは複数箇所が上壁部33にねじ64により止め固定されるもので、蓋板6の上面部6bには前記ねじ64の頭部を支持する孔62が、前記本体フレーム30の上壁部33にはねじ64がねじ込まれるねじ孔67が、それぞれ形成されている。
【0023】
前記投光部7は、本体フレーム30の中空室37に配備される長手形状の金属製のホルダー70と、前記ホルダー70の複数箇所に取り付けられる複数個のLED71とから成る。この実施例ではLED71は青色発光のLEDを用いているが、赤色発光のLEDや緑色発光のLEDを用いてもよい。前記ホルダー70は、前面側が全長にわたって開口する凹溝72を有し、背面側には一対の突片73,73が全長にわたって突設されたものであり、中空室37内を長さ方向へ摺動して一端部より挿脱できるようになっている。
【0024】
前記ホルダー70の凹溝72には、図5に示すように、合成樹脂製のソケット74が一定間隔毎に固定されており、各ソケット74にLED71が支持されている。各LED71は前記仕切壁38の連通孔39に臨ませており、連通孔39を介して板ガラス2の基端面と対向位置する。隣り合うソケット74,74間は給電のためのコード線75によって電気接続されている。一方の端部のコード線78はホルダー70の一端部の切欠76より後方へ引き出され、互いに抜き差しが可能な連結プラグ77A,77Bを介して外部引出用のコード線104に電気接続されている。コード線104は本体フレーム30に形成された引出孔79より引き出され、外壁面aの内側へ引き込まれて電源(図示せず。)に接続される。
【0025】
各アーム4は、長さ調節が可能な構成のものであり、図3および図6に示すように、金属製パイプより成るアーム本体40の両端にねじ軸41,42を介して取付金具8,80がそれぞれ取り付けられている。各ねじ軸41,42は一端部に前記取付金具8,80の連結板81が取り付けられ、他端部はアーム本体40の両端に装着されたナット部材43,44にねじ込まれている。各ねじ軸41,42はねじの方向が逆方向であり、アーム本体40を一方向へ回転させたとき、各ねじ軸41,42がアーム本体40の両端より突き出てアーム4の長さが長くなる。また、アーム本体40を反対方向へ回転させたとき、ねじ軸41,42がアーム本体40の内部へ入り込んでアーム4の長さが短くなる。
【0026】
アーム4の下端部側の取付金具8は、図6および図7に示すように、枢軸82上に連結板81と取付板83とを回動自由に取り付けることにより連結板81に対して取付板83を屈曲可能としたものである。取付板83は、基板部83b上に前記連結板81を両側から挟む一対の支持板部83a,83aが一体形成されたものである。前記基板部83bには2個の貫通孔85,85が形成され、各貫通孔85に後述する位置決め部材9のねじ軸90,90を挿通させてナット86を装着する。
【0027】
アームの上端部側の取付金具80は、図1および図3に示すように、枢軸82上に前記連結板81と取付板84とを回動自由に取り付けることにより連結板81に対して取付板84を屈曲可能としたものである。前記取付板84は、基板部84b上に前記連結板81を両側から挟む一対の支持板部84a,84aが一体形成されたものである。前記基板部84bには2個の貫通孔89,89が形成され、各貫通孔89にアンカーボルト101をそれぞれ挿通して基板部84bを建物の外壁面aに固定する。
【0028】
前記板ガラス2の先端縁には2個の縁枠5A,5Bが左右対称位置に装着されている。各縁枠5A,5Bは、図6に示すように、板ガラス2の先端縁が挿入される取付溝50と、位置決め部材9を長さ方向へ摺動自由に保持する摺動溝51とが全長にわたって形成されたものである。前記取付溝50は、前面部52と下壁部53と上壁部54との間に形成されており、この取付溝50内には板ガラス2に作用する衝撃や振動を吸収するためのゴムなどのクッション材55が装填されるとともに、取付溝50の開口部は取付溝50内への雨水の浸入を防止するシリコンなどのコーキング材56により密封されている。なお、図中、59は、前面部52の外面に対向して突設された突壁であり、この突壁59,59間に化粧板などを取り付けることが可能である。
【0029】
前記摺動溝51は、上壁部54の外面に全長にわたって突設された囲い壁57内に形成されている。前記囲い壁57は全長にわたる溝開口58を備えており、この溝開口58は、位置決め部材9が脱出しないように、前記位置決め部材9の幅より小さな溝幅に設定されている。
前記位置決め部材9は、前記摺動溝51の溝幅とほぼ同一幅を有する金属製の板状体であり、アーム4の下端部との連結位置に位置決めされる。位置決め部材9の板面上には左右対称位置にねじ軸90,90が上向きに突設されている。各ねじ軸90は前記摺動溝51の溝開口58より囲い壁57の上方へ突出している。各ねじ軸90はアーム4の下端に取り付けられた取付金具8に接続されるもので、取付金具8の取付板83に形成された貫通孔85にねじ軸90を通し、その先端にナット86を装着して締め付ける。
【0030】
なお、上記した実施例は、板ガラス2の先端縁には2個の縁枠5A,5Bを装着して、各縁枠5A,5Bの摺動溝51に位置決め部材9をそれぞれ摺動自由に設けたものであるが、図8に示すように、板ガラス2の先端縁に板ガラス2の横幅よりやや短い長さの1個の縁枠5を、板ガラス2と中心線を揃えて装着し、縁枠5の摺動溝51に2個の位置決め部材9を摺動自由に設けるようにしてもよい。この実施例では、縁枠5の前面部52に複数の透光孔(図示せず。)を開設し、板ガラス2の先端面より出る光が各透光孔を通って外部へ出るようにしている。なお、図8の実施例における縁枠5は上記した実施例の縁枠5A,5Bと同様の構成であり、ここでは説明を省略する。
さらに、図示していないが、幅の大きな庇については、3本以上のアーム4を用いて板ガラス2を吊持してもよく、その場合に、板ガラス2の先端縁にアーム4の本数に応じた個数の縁枠を装着する。
【0031】
上記の実施例は、板ガラス2の基端面より各LED71が発する光を直接、板ガラス2の内部に導入する構成のものであるが、図9および図10に示す実施例のように、LED71が発する光を光ファイバー110を介して板ガラス2の内部へ導入するように構成することもできる。
【0032】
図示例の投光部7は、本体フレーム30の内部の一方のキャップ65の内側位置にプリント基板111を配置し、そのプリント基板111上に複数のLED71を実装するとともに、各LED71が発する光を複数の光ファイバー110により板ガラス2の基端面と対向する複数の位置へ導くように構成したものである。
全本数の光ファイバー110は、本体フレーム30の中空室37内に配備されており、一方の端面は全本数が束ねられてLED71に対向位置させ、他方の端面は1本ずつまたは複数本ずつ束ねて一定間隔毎に並べ、仕切壁38の連通孔39より支持溝31内へ突出させて板ガラス2の基端面に対向位置させる。
なお、図示していないが、前記プリント基板111には電源供給用のコード線が接続され、そのコード線は本体フレーム30の外部へ引き出されている。
【0033】
図11は、投光部7の他の実施例を示している。この実施例もLED71が発する光を光ファイバー110を介して板ガラス2の内部へ導入する構成のものであるが、光ファイバー110は本体フレーム30の外部へ引き出されかつ外壁面aの内側へ引き込まれ、外壁面aの内側にて光ファイバー110の端面にLED71を対向させている。
【0034】
図12は、支持枠3の他の実施例を示している。この実施例の支持枠3は2個の支持枠3A,3Bに分割して構成されたものであり、各支持枠3A,3Bに投光部7が個別に組み込まれている。
なお、板ガラス2は平面形状が長方形状のものに限らず、例えば図13に示すように、平面形状が半円形のものなど、任意の形状のものを採択できる。
【0035】
上記した構成の庇1を建物の外壁面aに設けるには、板ガラス2の設置位置に合わせて支持枠3を、アーム4の上端の固定位置に合わせて取付金具80を、それぞれ外壁面aに取り付ける。一方、板ガラス2はその先端縁を縁枠5A,5Bの取付溝50にそれぞれ挿入することにより縁枠5A,5Bが装着される。次に、板ガラス2の基端部を前記支持枠3の支持溝31に挿入して支持させるとともに、2本のアーム4により板ガラス2を吊持する。
【0036】
まず、各アーム4の位置に応じて各縁枠5A,5Bの位置決め部材9を摺動溝51に沿って移動させて位置決めする。次に、各位置決め部材9のねじ軸90,90が摺動溝51の溝開口58より突出しているので、各ねじ軸90にアーム4の下端部に取り付けた取付金具8を接続する。
庇の取付に際して、建物の外壁面aにアーム4の上端部を固定する上で配線や構造上の支障があるときは、各アーム4の上端部の固定位置をずらせ、それに合わせて各位置決め部材9を適所に移動させれば、板ガラス2に対する各アーム4の下端部の接続位置も自由に変更できる。
【0037】
上記した構成の庇1では、昼間、板ガラス2の上方より差し込んでくる日差しは板ガラス2を透過するので、庇1の下方が陽光によって明るく照らされる。夜間、投光部7のLED71を点灯させると、各LED71が発する光が板ガラス2の基端面より板ガラス2の内部に導入され、板ガラス2の内部を全反射を繰り返しつつ進み、板ガラス2の先端面や側端面より出る。これにより板ガラス2の先端面や側端面が光り輝き、その周辺も明るくなる。
なお、LED71を交換する場合は、キャップ65を外した後、ホルダー70を支持枠3より抜き取る。図9の実施例では、キャップ65を外してプリント基板111を取り出す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施例である庇の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の庇を建物の外壁面に設置した状態を示す平面図である。
【図3】図1の庇を建物の外壁面に設置した状態を示す側面図である。
【図4】板ガラスと支持枠の構成を示す断面図である。
【図5】ホルダーの構成を示す斜視図である。
【図6】縁枠の構成とアームの取付状態とを示す断面図である。
【図7】アームの下端部の取付金具の構成を示す分解斜視図である。
【図8】縁枠の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】投光部の他の実施例を示す断面図である。
【図10】図8の投光部の構成を示す平面図である。
【図11】投光部の他の実施例を示す平面図である。
【図12】支持枠の他の実施例を示す平面図である。
【図13】庇板の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 庇
2 板ガラス(庇板)
3 支持枠
4 アーム
5,5A,5B 縁枠
7 投光部
9 位置決め部材
51 摺動溝
58 溝開口
70 ホルダー
71 LED
90 ねじ軸
110 光ファイバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の外壁面より張り出すように設けられる庇に関し、特にこの発明は、板ガラスのような透光性を有する庇板を用いて構成される庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の庇は、庇板の基端部が建物の外壁面に取り付けられた支持枠により支持されるとともに、庇板の少なくとも2箇所がアームにより水平ないしは水平に近い角度で吊持されている(例えば、特許文献1参照)。各アームは、上端部が建物の外壁面に、下端部が庇板の板面に、それぞれ自在継ぎ手を介して接続されている。庇板の板面には、自在継ぎ手を取り付けるために取付孔が貫通して設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−160993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構成の庇は、庇板が板ガラスで構成されているので、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、そのデザインも軽快でスマートであるが、夜間は暗くて意匠的効果はない。また、庇の周辺を明るくするには、適所に照明器具を設置する必要があるが、板ガラス製の庇板に照明器具を取り付けるのは容易でなく、仮に取り付けても庇の軽快かつスマートなデザインを損ねるだけである。しかも、庇板の表面に沿って電気コードを伝わせるので、庇の美感を著しく低下させてしまう。夜間の照明や庇のライトアップのために、庇の上方の壁面に照明器具を設置することもできるが、昼間、照明器具が庇板を透して見えるので、見栄えが著しく悪くなる。
このように、夜間の機能や美感の向上は昼間の美感の低下を招き、庇板として板ガラスを用いたことの利点を十分に生かすことができない。
【0005】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、また、昼夜を問わず、優れた美感が得られ、庇板として板ガラスのような透光性を有する板材を用いたことの利点を十分に生かすことのできる庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による庇は、建物の外壁面に取り付けられた支持枠の内部に透光性を有する庇板の基端部が挿入されて支持されるとともに、前記庇板の少なくとも2箇所がそれぞれアームにより吊持されて成るものであり、前記支持枠の内部には、庇板の基端面と対向する位置に、投光部が設けられている。
【0007】
上記した構成の庇では、昼間、庇板の上方より差し込んでくる日差しは庇板を透過するので、庇の下方が陽光によって明るく照らされる。夜間、投光部を作動させると、投光部からの光が庇板の基端面より庇板の内部に導入され、庇板の内部で全反射を繰り返しつつ進み、庇板の先端面や側端面より出る。これにより庇板は先端面や側端面が光り輝き、その周辺も明るくなる。
【0008】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記庇板は透明な板ガラスにより構成されているが、これに限らず、透明な合成樹脂板を用いることもできる。また、板ガラスは1枚ものに限らず、2枚以上を貼り合わせたものであってもよい。さらに、板ガラスや合成樹脂板は、必ずしも無色である必要はなく、着色されたものであってもよい。さらにまた、透明なものに限らず、半透明なものであってもよい。
なお、庇板の平面形状は、典型的には長方形状であるが、これに限定されるものではない。
【0009】
この発明の上記した構成において、前記支持枠は庇板を全幅にわたって支持するために庇板の幅に相当する長さであるのが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。また、必ずしも単一のものである必要はなく、複数に分割されたものであってもよい。
【0010】
この発明の好ましい実施態様においては、前記庇板は、その先端縁に少なくとも1個の縁枠が装着され、前記縁枠に各アームの下端部が連結されている。
この実施態様によると、庇板にアームの下端部を接続するための穿孔などの特別な加工を必要としないので、庇板を板ガラスで構成した場合、穿孔による板ガラスの強度低下を招くおそれがない。
なお、各アームの下端部は、庇板の板面に直接連結する態様のものであってもよい。
【0011】
前記縁枠は、さらに望ましくは、長さ方向に沿う摺動溝を有し、その摺動溝内に位置決め部材が摺動自由に保持されるとともに、前記位置決め部材には、各アームの下端部が連結される連結部材が前記摺動溝の溝開口に臨ませるように設けられている。
前記庇板の先端縁に1個の縁枠を装着する場合、前記縁枠の摺動溝内に2個の位置決め部材が摺動自由に保持される。また、前記庇板の先端縁に2個の縁枠を左右対称位置に装着する場合、各縁枠の摺動溝内にそれぞれ1個の位置決め部材が摺動自由に保持される。
この実施態様において、各アームの上端部を建物の外壁面に固定したとき、その固定位置に応じて位置決め部材を縁枠の摺動溝に沿って移動させて適所に位置決めする。各位置決め部材の連結部材を溝開口に臨ませているので、その連結部材にアームの下端部を連結して庇板を支持する。
この実施態様によると、位置決め部材を移動させてアームの下端部の接続位置が変更できるので、建物の外壁面に各アームの上端部を固定するうえで配線や構造上の障害があっても、その建物の外壁の状態に対応させることができる。
【0012】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記投光部は、支持枠の内部に庇板の基端面に沿って取外し可能に配備されるホルダーと、前記ホルダーの複数箇所に庇板の基端面へ向けて取り付けられる複数個の光源とから成るものである。
この実施態様によると、支持枠より取外しが可能なホルダー上に全ての光源が取り付けてあるので、光源の交換など、投光部の保守や管理のための作業が容易に行える。
【0013】
この発明の好ましい他の実施態様においては、前記投光部は、支持枠の内部または外部に設けられる少なくとも1個の光源と、前記光源が発する光を支持枠の内部の庇板の基端面と対向する複数の位置へ導く複数本の光ファイバーとから成るものである。
この実施態様によると、光源を支持枠の外部に設けるか、または、支持枠の内部であって取外しが容易な位置に設けることにより、光源の交換など、投光部の保守や管理のための作業が容易に行える。なお、光源を支持枠の外部に設ける場合は、光ファイバーを支持枠の外部へ引き出すことになる。
【0014】
上記した各実施態様において、光源としてLEDを用いるのが望ましいが、これに限らず、豆電球などを用いることも可能である。また、LEDは青色など、種々の発光色のものを単一あるいは組み合わせて用いることが可能であり、さらには、光輝度タイプのもの、点滅タイプのものなど、自在に採択し得る。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、透光性を有する庇板を用いたから、昼間は日差しが庇板を透過して明るく、そのデザインも軽快でスマートなものとなる。また、投光部からの光を庇板の基端面より内部へ導入するので、庇板の先端面や側端面が光り輝いて周辺が明るくなり、夜間においても優れた美感のものとなる。さらに、投光部は支持枠の内部に組み込まれているので、投光部やその電気配線が外部に露出せず、軽快かつスマートなデザインが損ねられたり、美感が低下したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3は、この発明の一実施例である庇1の外観とその設置状態を示している。
図示例の庇1は、建物の外壁面aから張り出すように取り付けられる庇板としての板ガラス2と、建物の外壁面aに取り付けられ前記板ガラス2の基端部を支持する支持枠3と、前記板ガラス2を2箇所で支持して水平ないしは水平に近い角度で吊持する2本のアーム4,4と、前記板ガラス2の先端縁の左右対称位置にそれぞれ装着されている縁枠5A,5Bとで構成されている。前記支持枠3、アーム4、および縁枠5A,5Bは金属製であるが、必要な強度が確保できるのであれば、必ずしも金属製である必要はなく、合成樹脂製であってもよい。
【0017】
前記板ガラス2は、平面形状が横に長い矩形状であり、図4に示すように、2枚の透明な強化ガラス板20,21を強靱かつ無色透明なシート材22を中間に挟んで一体接合して成るものである。前記シート材22の表裏面には粘着層が設けられ、この粘着層によって各強化ガラス板20,21とシート材22とが接合されるので、たとえ強化ガラス板20,21が強い衝撃を受けて破損しても、その破片が散乱することがない。なお、強化ガラス板20,21やシート材22は透光性を有していれば、必ずしも無色透明である必要はない。
【0018】
前記支持枠3は、板ガラス2の横幅と一致する長さを有するもので、板ガラス2の基端部を支持する本体フレーム30と、本体フレーム30の前面の上半分を覆う蓋板6とを含んでいる。支持枠3の両端面は開放され、各開放部は板状のキャップ65,65で塞がれねじ止めされている。
【0019】
前記本体フレーム30は、背板部32の上端縁にやや下向きの上壁部33が、高さ中央部および下端縁に水平な中間壁部34および下壁部35が、それぞれ突設されたものである。前記背板部32には、上壁部33と中間壁部34との間に、アンカーボルト100が挿入されるボルト挿通孔36が一定間隔毎に設けられている。前記アンカーボルト100上には前記蓋板6が被せられており、これによりアンカーボルト100は外部から見えないようになっている。前記中間壁部34と下壁部35とは蓋板6より前方へ突き出ている。
【0020】
前記中間壁部34と下壁部35との間には、投光部7が組み込まれる中空室37と、板ガラス2の基端部が差し込まれる支持溝31とが中間に仕切壁38を介在させて形成されている。前記仕切壁38には本体フレーム30の全長にわたって連通孔39が形成されている。この連通孔39を介して支持溝31と中空室37とが連通し、板ガラス2の基端部が支持溝31へ差し込まれたとき、板ガラス2の基端面は前記連通孔39を介して中空室37に面するようになっている。
【0021】
前記支持溝31内にはゴムなどのクッション材102が装填されるとともに、支持溝31の開口部はシリコンなどのコーキング材103により密封されている。前記クッション材102は板ガラス2に作用する衝撃や振動を吸収するためのものであり、コーキング材103は支持溝31内への雨水の浸入を防止するためのものである。
【0022】
前記蓋板6は、アンカーボルト100上を覆う前面部6aと、上壁部33の上面に支持される上面部6bとを備えている。上面部6bの先端縁には上壁部33の基端部に形成された段部60に係合する鈎状部61が形成されている。蓋板6の前面部6aには中間壁部34の上面に突設された突壁部34aに係合する係合部63が形成されている。蓋板6の上面部6bは複数箇所が上壁部33にねじ64により止め固定されるもので、蓋板6の上面部6bには前記ねじ64の頭部を支持する孔62が、前記本体フレーム30の上壁部33にはねじ64がねじ込まれるねじ孔67が、それぞれ形成されている。
【0023】
前記投光部7は、本体フレーム30の中空室37に配備される長手形状の金属製のホルダー70と、前記ホルダー70の複数箇所に取り付けられる複数個のLED71とから成る。この実施例ではLED71は青色発光のLEDを用いているが、赤色発光のLEDや緑色発光のLEDを用いてもよい。前記ホルダー70は、前面側が全長にわたって開口する凹溝72を有し、背面側には一対の突片73,73が全長にわたって突設されたものであり、中空室37内を長さ方向へ摺動して一端部より挿脱できるようになっている。
【0024】
前記ホルダー70の凹溝72には、図5に示すように、合成樹脂製のソケット74が一定間隔毎に固定されており、各ソケット74にLED71が支持されている。各LED71は前記仕切壁38の連通孔39に臨ませており、連通孔39を介して板ガラス2の基端面と対向位置する。隣り合うソケット74,74間は給電のためのコード線75によって電気接続されている。一方の端部のコード線78はホルダー70の一端部の切欠76より後方へ引き出され、互いに抜き差しが可能な連結プラグ77A,77Bを介して外部引出用のコード線104に電気接続されている。コード線104は本体フレーム30に形成された引出孔79より引き出され、外壁面aの内側へ引き込まれて電源(図示せず。)に接続される。
【0025】
各アーム4は、長さ調節が可能な構成のものであり、図3および図6に示すように、金属製パイプより成るアーム本体40の両端にねじ軸41,42を介して取付金具8,80がそれぞれ取り付けられている。各ねじ軸41,42は一端部に前記取付金具8,80の連結板81が取り付けられ、他端部はアーム本体40の両端に装着されたナット部材43,44にねじ込まれている。各ねじ軸41,42はねじの方向が逆方向であり、アーム本体40を一方向へ回転させたとき、各ねじ軸41,42がアーム本体40の両端より突き出てアーム4の長さが長くなる。また、アーム本体40を反対方向へ回転させたとき、ねじ軸41,42がアーム本体40の内部へ入り込んでアーム4の長さが短くなる。
【0026】
アーム4の下端部側の取付金具8は、図6および図7に示すように、枢軸82上に連結板81と取付板83とを回動自由に取り付けることにより連結板81に対して取付板83を屈曲可能としたものである。取付板83は、基板部83b上に前記連結板81を両側から挟む一対の支持板部83a,83aが一体形成されたものである。前記基板部83bには2個の貫通孔85,85が形成され、各貫通孔85に後述する位置決め部材9のねじ軸90,90を挿通させてナット86を装着する。
【0027】
アームの上端部側の取付金具80は、図1および図3に示すように、枢軸82上に前記連結板81と取付板84とを回動自由に取り付けることにより連結板81に対して取付板84を屈曲可能としたものである。前記取付板84は、基板部84b上に前記連結板81を両側から挟む一対の支持板部84a,84aが一体形成されたものである。前記基板部84bには2個の貫通孔89,89が形成され、各貫通孔89にアンカーボルト101をそれぞれ挿通して基板部84bを建物の外壁面aに固定する。
【0028】
前記板ガラス2の先端縁には2個の縁枠5A,5Bが左右対称位置に装着されている。各縁枠5A,5Bは、図6に示すように、板ガラス2の先端縁が挿入される取付溝50と、位置決め部材9を長さ方向へ摺動自由に保持する摺動溝51とが全長にわたって形成されたものである。前記取付溝50は、前面部52と下壁部53と上壁部54との間に形成されており、この取付溝50内には板ガラス2に作用する衝撃や振動を吸収するためのゴムなどのクッション材55が装填されるとともに、取付溝50の開口部は取付溝50内への雨水の浸入を防止するシリコンなどのコーキング材56により密封されている。なお、図中、59は、前面部52の外面に対向して突設された突壁であり、この突壁59,59間に化粧板などを取り付けることが可能である。
【0029】
前記摺動溝51は、上壁部54の外面に全長にわたって突設された囲い壁57内に形成されている。前記囲い壁57は全長にわたる溝開口58を備えており、この溝開口58は、位置決め部材9が脱出しないように、前記位置決め部材9の幅より小さな溝幅に設定されている。
前記位置決め部材9は、前記摺動溝51の溝幅とほぼ同一幅を有する金属製の板状体であり、アーム4の下端部との連結位置に位置決めされる。位置決め部材9の板面上には左右対称位置にねじ軸90,90が上向きに突設されている。各ねじ軸90は前記摺動溝51の溝開口58より囲い壁57の上方へ突出している。各ねじ軸90はアーム4の下端に取り付けられた取付金具8に接続されるもので、取付金具8の取付板83に形成された貫通孔85にねじ軸90を通し、その先端にナット86を装着して締め付ける。
【0030】
なお、上記した実施例は、板ガラス2の先端縁には2個の縁枠5A,5Bを装着して、各縁枠5A,5Bの摺動溝51に位置決め部材9をそれぞれ摺動自由に設けたものであるが、図8に示すように、板ガラス2の先端縁に板ガラス2の横幅よりやや短い長さの1個の縁枠5を、板ガラス2と中心線を揃えて装着し、縁枠5の摺動溝51に2個の位置決め部材9を摺動自由に設けるようにしてもよい。この実施例では、縁枠5の前面部52に複数の透光孔(図示せず。)を開設し、板ガラス2の先端面より出る光が各透光孔を通って外部へ出るようにしている。なお、図8の実施例における縁枠5は上記した実施例の縁枠5A,5Bと同様の構成であり、ここでは説明を省略する。
さらに、図示していないが、幅の大きな庇については、3本以上のアーム4を用いて板ガラス2を吊持してもよく、その場合に、板ガラス2の先端縁にアーム4の本数に応じた個数の縁枠を装着する。
【0031】
上記の実施例は、板ガラス2の基端面より各LED71が発する光を直接、板ガラス2の内部に導入する構成のものであるが、図9および図10に示す実施例のように、LED71が発する光を光ファイバー110を介して板ガラス2の内部へ導入するように構成することもできる。
【0032】
図示例の投光部7は、本体フレーム30の内部の一方のキャップ65の内側位置にプリント基板111を配置し、そのプリント基板111上に複数のLED71を実装するとともに、各LED71が発する光を複数の光ファイバー110により板ガラス2の基端面と対向する複数の位置へ導くように構成したものである。
全本数の光ファイバー110は、本体フレーム30の中空室37内に配備されており、一方の端面は全本数が束ねられてLED71に対向位置させ、他方の端面は1本ずつまたは複数本ずつ束ねて一定間隔毎に並べ、仕切壁38の連通孔39より支持溝31内へ突出させて板ガラス2の基端面に対向位置させる。
なお、図示していないが、前記プリント基板111には電源供給用のコード線が接続され、そのコード線は本体フレーム30の外部へ引き出されている。
【0033】
図11は、投光部7の他の実施例を示している。この実施例もLED71が発する光を光ファイバー110を介して板ガラス2の内部へ導入する構成のものであるが、光ファイバー110は本体フレーム30の外部へ引き出されかつ外壁面aの内側へ引き込まれ、外壁面aの内側にて光ファイバー110の端面にLED71を対向させている。
【0034】
図12は、支持枠3の他の実施例を示している。この実施例の支持枠3は2個の支持枠3A,3Bに分割して構成されたものであり、各支持枠3A,3Bに投光部7が個別に組み込まれている。
なお、板ガラス2は平面形状が長方形状のものに限らず、例えば図13に示すように、平面形状が半円形のものなど、任意の形状のものを採択できる。
【0035】
上記した構成の庇1を建物の外壁面aに設けるには、板ガラス2の設置位置に合わせて支持枠3を、アーム4の上端の固定位置に合わせて取付金具80を、それぞれ外壁面aに取り付ける。一方、板ガラス2はその先端縁を縁枠5A,5Bの取付溝50にそれぞれ挿入することにより縁枠5A,5Bが装着される。次に、板ガラス2の基端部を前記支持枠3の支持溝31に挿入して支持させるとともに、2本のアーム4により板ガラス2を吊持する。
【0036】
まず、各アーム4の位置に応じて各縁枠5A,5Bの位置決め部材9を摺動溝51に沿って移動させて位置決めする。次に、各位置決め部材9のねじ軸90,90が摺動溝51の溝開口58より突出しているので、各ねじ軸90にアーム4の下端部に取り付けた取付金具8を接続する。
庇の取付に際して、建物の外壁面aにアーム4の上端部を固定する上で配線や構造上の支障があるときは、各アーム4の上端部の固定位置をずらせ、それに合わせて各位置決め部材9を適所に移動させれば、板ガラス2に対する各アーム4の下端部の接続位置も自由に変更できる。
【0037】
上記した構成の庇1では、昼間、板ガラス2の上方より差し込んでくる日差しは板ガラス2を透過するので、庇1の下方が陽光によって明るく照らされる。夜間、投光部7のLED71を点灯させると、各LED71が発する光が板ガラス2の基端面より板ガラス2の内部に導入され、板ガラス2の内部を全反射を繰り返しつつ進み、板ガラス2の先端面や側端面より出る。これにより板ガラス2の先端面や側端面が光り輝き、その周辺も明るくなる。
なお、LED71を交換する場合は、キャップ65を外した後、ホルダー70を支持枠3より抜き取る。図9の実施例では、キャップ65を外してプリント基板111を取り出す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施例である庇の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の庇を建物の外壁面に設置した状態を示す平面図である。
【図3】図1の庇を建物の外壁面に設置した状態を示す側面図である。
【図4】板ガラスと支持枠の構成を示す断面図である。
【図5】ホルダーの構成を示す斜視図である。
【図6】縁枠の構成とアームの取付状態とを示す断面図である。
【図7】アームの下端部の取付金具の構成を示す分解斜視図である。
【図8】縁枠の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】投光部の他の実施例を示す断面図である。
【図10】図8の投光部の構成を示す平面図である。
【図11】投光部の他の実施例を示す平面図である。
【図12】支持枠の他の実施例を示す平面図である。
【図13】庇板の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 庇
2 板ガラス(庇板)
3 支持枠
4 アーム
5,5A,5B 縁枠
7 投光部
9 位置決め部材
51 摺動溝
58 溝開口
70 ホルダー
71 LED
90 ねじ軸
110 光ファイバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面に取り付けられた支持枠の内部に透光性を有する庇板の基端部が挿入されて支持されるとともに、前記庇板の少なくとも2箇所がそれぞれアームにより吊持されて成る庇において、前記支持枠の内部には、庇板の基端面と対向する位置に、投光部が設けられて成る庇。
【請求項2】
前記庇板は、透明な板ガラスにより構成されている請求項1に記載された庇。
【請求項3】
前記庇板は、その先端縁に少なくとも1個の縁枠が装着され、前記縁枠に各アームの下端部が連結されている請求項1または2に記載された庇。
【請求項4】
前記縁枠は、長さ方向に沿う摺動溝を有し、その摺動溝内に位置決め部材が摺動自由に保持されるとともに、前記位置決め部材には、各アームの下端部が連結される連結部材が前記摺動溝の溝開口に臨ませるように設けられている請求項3に記載された庇。
【請求項5】
前記投光部は、支持枠の内部に庇板の基端面に沿って取外し可能に配備されるホルダーと、前記ホルダーの複数箇所に庇板の基端面へ向けて取り付けられる複数個の光源とから成る請求項1に記載された庇。
【請求項6】
前記投光部は、支持枠の内部または外部に設けられる少なくとも1個の光源と、前記光源が発する光を支持枠の内部の庇板の基端面と対向する複数の位置へ導く複数本の光ファイバーとから成る請求項1に記載された庇。
【請求項1】
建物の外壁面に取り付けられた支持枠の内部に透光性を有する庇板の基端部が挿入されて支持されるとともに、前記庇板の少なくとも2箇所がそれぞれアームにより吊持されて成る庇において、前記支持枠の内部には、庇板の基端面と対向する位置に、投光部が設けられて成る庇。
【請求項2】
前記庇板は、透明な板ガラスにより構成されている請求項1に記載された庇。
【請求項3】
前記庇板は、その先端縁に少なくとも1個の縁枠が装着され、前記縁枠に各アームの下端部が連結されている請求項1または2に記載された庇。
【請求項4】
前記縁枠は、長さ方向に沿う摺動溝を有し、その摺動溝内に位置決め部材が摺動自由に保持されるとともに、前記位置決め部材には、各アームの下端部が連結される連結部材が前記摺動溝の溝開口に臨ませるように設けられている請求項3に記載された庇。
【請求項5】
前記投光部は、支持枠の内部に庇板の基端面に沿って取外し可能に配備されるホルダーと、前記ホルダーの複数箇所に庇板の基端面へ向けて取り付けられる複数個の光源とから成る請求項1に記載された庇。
【請求項6】
前記投光部は、支持枠の内部または外部に設けられる少なくとも1個の光源と、前記光源が発する光を支持枠の内部の庇板の基端面と対向する複数の位置へ導く複数本の光ファイバーとから成る請求項1に記載された庇。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−274579(P2006−274579A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92081(P2005−92081)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(591181562)株式会社共和 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(591181562)株式会社共和 (23)
【Fターム(参考)】
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