説明

【課題】 本発明は、単体または看板と一体型のいずれにも使用できて意匠性も高い庇を提供することにある。
【解決手段】 屋根材1と屋根材支持枠2とを備え、屋根材1は、屋根材支持枠2に着脱自在であり、屋根材支持枠2は、躯体7または躯体7に取付けたパネル体13の上部に取付けるものであり、下面躯体側に下向きに開口する凹部12を有すると共に、躯体側端部に位置する立ち上がり壁2dを有し、屋根材支持枠2の凹部12の天壁2cをパネル体13の上部に載置して凹部12にパネル体13の上部を呑み込ませるものと、屋根材支持枠2をパネル体13の上部と離隔して躯体7に取り付けるものとを選択自在にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、看板に設置される庇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
看板の情報表示面を照らす照明装置として、躯体に固定されたパネル体の上方に設置される庇があり、この庇は、内部にLEDや蛍光管などの照明装置や、その照明装置の電源部を内蔵するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実用新案登録第3162304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
看板に照明を取り付けるときに、パネル体を固定してある躯体の屋外側上部に庇を据え付けるものであったが、庇とパネル体を別々に固定することから、取り付けた後の庇と看板を固定する位置調整を要するために施工性が悪い。また、庇をパネル体の上に載せて固定することにより一体型とした場合には、パネル体から庇が屋外側に突き出して固定されることから重心が屋外側に寄るため、上記のように単に載せて固定しただけでは支持が弱く、庇がパネル体から外れて落下する危険性があった。また、パネル体の上側に庇を取り付ける場所がないときには、照明装置を支持するためのブラケットを看板の上部に直接固定する等、一つの庇では対応できず、さらに、統一感が失われて看板の外観意匠を損ねる不都合があった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、単体または看板と一体型のいずれにも使用できて意匠性も高い庇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、屋根材と屋根材支持枠とを備え、屋根材は、屋根材支持枠に着脱自在であり、屋根材支持枠は、躯体または躯体に取付けたパネル体の上部に取付けるものであり、下面躯体側に下向きに開口する凹部を有すると共に、躯体側端部に位置する立ち上がり壁を有し、屋根材支持枠の凹部の天壁をパネル体の上部に載置して凹部にパネル体の上部を呑み込ませるものと、屋根材支持枠をパネル体の上部と離隔して躯体に取り付けるものとを選択自在にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、屋根材支持枠の凹部の天壁をパネル体の上部に載置して凹部に呑み込み自在にしてあることにより、庇をパネル体に強固に固定でき、庇とパネル体が一体型をなす看板を容易に形成できる。また、上述した屋根材支持枠の凹部をパネル体の上部に呑み込ませる他、屋根材支持枠をパネルの上部と離隔して躯体に取り付けることや、さらには、庇のみを躯体に取り付けることを適宜選択できる。これにより、設置のレイアウトの自由度が高い庇を提供できる。さらに、屋根材支持枠から屋根材を着脱できることにより、看板のメンテナンス、躯体やパネル体への取付作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施による庇であり、(a)は、図6のG−G線断面図、(b)は、(a)中Aを拡大して示す縦断面図である。
【図2】本実施による庇をパネル体に取り付けたものであり、(a)は、図6のH−H線断面図、(b)は、(a)中Bを拡大して示す縦断面図である。
【図3】本実施による庇をパネル体に取り付けたものであり、(a)は、正面図、(b)は、C−C線断面図であり、(c)は、(b)中Dを拡大して示す横断面図であり、(d)は、(b)中Eを拡大して示す横断面図である。
【図4】本実施による庇をパネル体に取り付けたものであり、(a)は、背面図、(b)は、(b)中Fを拡大して示す斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、本実施による看板の施工手順を示すものであり、(a)(b)は簡略化した縦断面図、(c)は、斜視図である。
【図6】本実施による看板の全体を示すものであり(a)は、躯体に庇を取り付けた斜視図であり、(b)は、パネル体に庇を取り付けた看板を躯体に取り付けた斜視図である。
【図7】本発明の庇の他の実施形態を示すものであり、(a)は、庇のみを躯体に取り付けた状態を示す縦断面図であり、(b)は、庇とパネル体を一体にして躯体に取り付けた状態を示す縦断面図であり、(c)は、庇とパネル体を離して躯体に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示すものであり、(a)は、正面図であり、(b)は、(a)中Iを示す拡大正面図であり、(c)は、(a)中のJ−J線縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面に基づいて本実施による庇の実施の形態を説明する。
本実施による庇は、図1(a)と図6(a)のように、屋根材1と屋根材支持枠2と塞ぎ材3からなり、屋根材1は、屋外側に向かうに従って下方に傾斜する半円弧状をなすものであり、屋外側先端部には、LED照明枠4を片持ちして支持する挟持部5が設けてあり、また、屋内側端部には、屋根材1を屋根材支持枠2にネジ止め固定するネジ止め部26が設けてある。屋根材支持枠2は、図1(b)もあわせて参照すれば、屋外側にLED照明枠4と電源部6を支持する略水平な水平壁2aと、水平壁2aの屋外側端部から上方に略垂直に延びる垂直壁2bと、垂直壁2bの上端部から躯体側に向けて略水平に延びる天壁2cと、天壁2cの躯体側端部から上方に略垂直に延びる立ち上がり壁2dとからなり、下面躯体側に凹部12に形成するものである。また、垂直壁2bの中間部やや上側には躯体側に向けて突出した係止部24を有しており、さらに、立ち上がり壁2dの上端部には、屋外側に開放したネジ穴部27を有しており、ネジ穴部27は、屋根材1のネジ止め部26と嵌合し、その嵌合した箇所にネジ28でネジ止めすることにより、屋根材1と屋根材支持枠2が固定される。さらに、立ち上がり壁2dを躯体7に打ち込まれたアンカー8のネジ部に挿通し、そのネジ部をナット34で締めして固定することにより、庇を躯体7に取り付けできる。また、塞ぎ材3は、図1(b)のように、断面略矩形状をなし、屋外側と躯体側と外周側の三方に溝10を有するとともに、内周側には屋外側と躯体側に向けてそれぞれ突出する被係止部11aを有し且つ外周側が略フラットに形成された塞ぎ壁11が設けてある。さらに、塞ぎ材3は、屋根材支持枠2の凹部12に配置するものであって、屋根材支持枠2の天壁2cにネジ23で固定することにより、屋根材支持枠2の水平壁2aと塞ぎ材3の塞ぎ壁11によって庇の内周側が略面一となるとともに、塞ぎ材3の被係止部11aが立ち上がり壁2dと略面一になる。また、屋根材1と屋根材支持枠2は、ネジ28を外すことにより、屋根材支持枠2から屋根材1を簡単に取り外すことができ、また、前述した取り外しの手順とは逆の手順を辿れば屋根材1を屋根材支持枠2に取り付けできる。
【0009】
上記の庇は、図2(a)のように、屋根材支持枠2の凹部12の天壁2bをパネル体13の上枠14上面に載置してネジ23で固定することにより、図6(b)のように、パネル体13と一体型をなす看板とすることができる。パネル体13は、図3(a)〜(d)のように、四周を囲むパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)と、表示パネル17と、押縁18,20とからなっており、パネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)すべては、上記した塞ぎ材3と略同一断面のものを使用している。表示パネル17は、パネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)に対応した略矩形状をなし、その屋外側面に広告や案内などの文字や図柄などの情報が印刷してある。押縁18,20は、図2(a)と図3(d)のように、表示パネル17をパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)に保持するものであり、略L字状をなし、L字の一片18a,20aをパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)にネジ25,32で固定するとともに、他片18b,20bで表示パネル17を押さえるものである。また、パネル体13の上枠14と下枠15と縦枠16の枠組みについては、図4(a)(b)のように、各々が付き合わさるコーナー部の躯体側に金属板からなるアングル19,30を用いて固定される。このアングル19,30には、ネジ孔21が設けてあり、アングル19,30を上枠14と縦枠16、及び下枠15と縦枠16に跨る状態で各々配置するとともに、上枠14と下枠15と縦枠16の各溝10と対応するネジ孔21にネジ22を挿入してネジ止めすることにより、パネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)を枠組みするものである。さらに、パネル体13と躯体7の取り付けは、躯体7に打ち込んであるアンカー8のネジ部を縦枠16に固定したL字アングル33に挿通し、そのネジ部をナット34で締めて固定するものである(図2(a)参照)。
【0010】
上記のように構成する看板の施工手順は、第一の手順として図5(a)のように、躯体7に打ち込んだアンカー8に、庇の屋根材支持枠2のみを取り付けたパネル体13を固定する。第二の手順として図5(b)のように、屋根材1を屋根材支持枠2に載置し、そのときに嵌合するネジ止め部26とネジ穴部27をネジ28でネジ止めする。図5(c)のように、庇と上枠14、また、下枠15と押縁18の間の間隙に、表示パネル17を差し入れてスライドし、各々で表示パネル17を位置決めして庇の両側をカバー29で塞ぐとともに、パネル体13の両側(縦枠16外周部)を押縁20で塞ぐことにより、本実施による看板の躯体7への取り付けが完了する。上記の施工手順を経て形成された本実施による看板は、パネル体13の上枠14に庇が載置し、さらに、天壁2cと上枠14がネジ23でネジ止めして固定してあるとともに、庇の垂直壁2bの外周側がパネル体13の屋外側面に重合する。これにより、パネル体13が庇の垂直荷重を受けるとともに、庇の荷重で垂れ下がろうとする庇の屋外側部分をパネル体13の上枠14が受けるので、庇をパネル体13に安定してしっかりと取り付けできる。さらに、垂直壁2bの係止部24と上枠14の被係止部11aが係止することにより、風圧や他物との接触などで庇がパネル体13から持ち上がろうとするときに抑えることができるので、庇とパネル体13の取付状態がより強固となる。また、塞ぎ材3とパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)は、すべて共通形状をなすものが使用されていることから、部品種が少なくなって省コスト化が図れる。さらに、塞ぎ材3とパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)に溝10が設けてあることにより、その溝10の適宜な箇所にアングル19,30やL字アングル33、その他金具を自由に取り付けできることから施工性が高くなる。尚、符号14aは、補強材であり、この補強材についてもパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)と共通形状をなすものが使用されている。また、設計段階で庇と表示パネルの寸法や意匠が対応していることにより、製品のばらつきがなく、庇とパネル体が隙間なく取り付けられるので、庇とパネル体13の統一感が生まれ、看板の外観意匠性も向上する。また、パネル体13は、寸法が大きくなってもパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)に溝10が設けてあることから、パネル体13の大きさに対応して上枠14と下枠15、縦枠16間の適宜な箇所に補強材を取り付けることができる。さらに、屋根材支持枠2から屋根材1を着脱できることから、屋根材1を取り外せば、屋根材支持枠2に取り付けられたLED照明枠4や電源部6が露出するので、これらの交換が簡単に行えるとともに、屋根材3を取り外した状態で看板を躯体7に取り付けできることから、作業時に屋根材1を傷付けることがないので、取付作業が容易に行える。
【0011】
本発明の庇は、図7(a)のように、塞ぎ材3を屋根材支持枠2の凹部12に配置しない状態で躯体7に取り付けることができる。また、庇とパネル体13の躯体7に対する取付状態を下記のように選択することができる。図7(b)のように、庇の凹部12の天壁2cをパネル体13の上部に載置して凹部12にパネル体13の上部を呑み込ませた状態にして躯体7に取り付ける他、図7(c)のように、庇とパネル体13を離隔した状態で躯体7に各々取り付けることもできる。また、上記の図7(a)〜(c)で使用されるコーナー金具19は、図8(a)(b)のように、板状をなすとともに、パネル体13の躯体側に取り付けてあり、その板状の中央部が躯体7側に彎曲変形して躯体当接部19aを形成している。そして、図8(c)のように、パネル体13を躯体7に取り付けたとき、コーナー金具19の躯体当接部19aが躯体7に当接する。このようにすると、パネル体13と躯体7との間に生じた隙間が埋められるので、パネル体13を躯体7に安定した状態で取り付けることができる。尚、符号16aは、縦桟である。
【0012】
また、上記実施形態では、本発明の庇を躯体7として壁面に取り付けるものを挙げたが、支柱や横桟に取り付けるものでもよい。さらに、庇に取り付けるパネル体13を構成するパネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)や屋根材3の形状、パネル体13の大きさについても上記実施形態のものに限らず、また、パネル枠(上枠14、下枠15、縦枠16)に溝10が設けてあることから、上枠14と下枠15間、縦枠16間に補強材を何本でも取り付けることができるので、パネル体13の大きさを自由に設計することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 屋根材
2 屋根材支持枠
2c 天壁(凹部)
2d 立ち上がり壁(凹部)
7 躯体
12 凹部
13 パネル体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材と屋根材支持枠とを備え、屋根材は、屋根材支持枠に着脱自在であり、屋根材支持枠は、躯体または躯体に取付けたパネル体の上部に取付けるものであり、下面躯体側に下向きに開口する凹部を有すると共に、躯体側端部に位置する立ち上がり壁を有し、屋根材支持枠の凹部の天壁をパネル体の上部に載置して凹部にパネル体の上部を呑み込ませるものと、屋根材支持枠をパネル体の上部と離隔して躯体に取り付けるものとを選択自在にしたことを特徴とする庇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−65007(P2013−65007A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191826(P2012−191826)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】