説明

床パネル位置決めキャップ

【課題】 マンションやビルなどのベランダ・バルコニーに敷設される床パネルの位置決めキャップの提供。
【解決手段】 床パネルPを縦横に敷設し、隣接する床パネルの四つのコーナー部Paを嵩上げ脚10の円形支持台10aで荷受し、床パネル位置決めキャップ1の円形座板部2に四つの定規部3を突設し、各定規部で画成される四つの座面2a上にコーナー部を支持すると共に、各定規部の内端間に形成されたコーナー部逃がし間隔4内へコーナー部を入れ込み、各定規部側面でコーナー部側面を規制する一方、円形座板部は嵩上げ脚の円形支持台に径方向へ自由滑り動可に重ね置きし、円形座板部の周縁部から立ち下げられた下向きフランジ部5をもって嵩上げ脚の円形支持台の周面から遊間11を存して被嵌し、該遊間にて円形座板部の自由滑り動寸法を設定し、下向きフランジ部にて同自由滑り動を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションやビルなどのベランダ・バルコニーに敷設される床パネルの位置決めキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記ベランダやバルコニーに対しては、紫外線を遮断して、ベランダやバルコニーの防水層を熱や劣化から守るために、その床下地面に多数枚の定形で且つ方形の床パネルが縦横に整列して敷設されている。
【0003】
そして、この床パネルの敷設に際しては、上記隣接する四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部を嵩上げ脚の円形支持台で荷受して、一定高さを有する嵩上げ床面を構築している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、今までの嵩上げ脚は、その円形支持台で各床パネルのコーナー部を直に荷受するだけであるから、床パネルの四つのコーナー部の支持が均等に行なえないばかりか、該各コーナー部の支持が不安定となってバラツク恐れがあり、且つ、嵩上げ脚は柔軟性に富む材料で成形されていないので、コーナー部が滑り易いばかりか、歩行音の減少や不陸にも十分に対応することもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、多数枚の定形で且つ方形の床パネルを縦横に整列して敷設し、隣接する四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部を嵩上げ脚の円形支持台で一緒に荷受し、該嵩上げ脚の円形支持台に床パネル位置決めキャップを被嵌し、該床パネル位置決めキャップの円形座板部の円形座面から上方へ突出する四つの定規部を突設し、該四つの定規部を二本の直交する直径線上に互いに独立して配置し、上記四つの定規部で画成される四つの座面上に上記四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部をそれぞれ支持すると共に、各定規部の内端間に形成されたコーナー部逃がし間隔内へ上記床パネルのコーナー部を入れ込み、各定規部側面で上記床パネルのコーナー部側面を規制する構成とした上記床パネル位置決めキャップを提供する。
【0006】
又、詳述すると、上記円形座板部は上記嵩上げ脚の円形支持台の円形支持面に径方向へ自由滑り動可に重ね置きし、該円形座板部の周縁部から環状に立ち下げられた下向きフランジ部をもって上記嵩上げ脚の円形支持台の周面から遊間を存して被嵌し、該遊間にて上記円形座板部の上記自由滑り動寸法を設定し、上記下向きフランジ部にて同自由滑り動を制限する構成とした床パネル位置決めキャップを提供する。
【0007】
好ましくは、上記円形座板部と上記定規部と上記下向きフランジ部とを柔軟性を有する緩衝材で一体成形する。
【0008】
又、上記定規部に床パネルのコーナー部を案内する斜面を形成する。
【0009】
更に、上記四つの定規部の何れかを切除し、その余の定規部で上記隣接する床パネルの側面を規制する。
【発明の効果】
【0010】
依って、本発明にあっては、嵩上げ脚の円形支持台に被嵌される床パネル位置決めキャップにおいて、その円形座板部の円形座面から上方へ突出する四つの定規部を突設し、該四つの定規部を二本の直交する直径線上に互いに独立して配置し、上記四つの定規部で画成される四つの座面上に上記四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部をそれぞれ支持することにより、隣接する四枚の床パネルの各コーナー部の支持が確実且つ均等に行なえなえるばかりか、該各コーナー部の支持が頗る安定するので、支持に不用意なバラツキが生じない。
【0011】
又、各定規部の内端間に形成されたコーナー部逃がし間隔内へ上記床パネルのコーナー部を入れ込むと共に、各定規部側面で上記床パネルのコーナー部側面を規制するので、床パネルをより均等に安定して確実に支持することが可能となる。
【0012】
更に、上記円形座板部は上記嵩上げ脚の円形支持台の円形支持面に径方向へ自由滑り動可に重ね置きし、該円形座板部の周縁部から環状に立ち下げられた下向きフランジ部をもって上記嵩上げ脚の円形支持台の周面から遊間を存して被嵌し、該遊間にて上記円形座板部の上記自由滑り動寸法を設定し、上記下向きフランジ部にて同自由滑り動を制限しているので、位置決めキャップは嵩上げ脚の円形支持台に対して一定の範囲で自由滑り動が保障されて、該嵩上げ脚の円形支持台に対する最適な据付位置が調整できる。
【0013】
又、円形座板部と定規部と下向きフランジ部とを柔軟性を有する緩衝材で一体成形したので、歩行音の減少と不陸には十分に対応できる。
【0014】
又、定規部に床パネルのコーナー部を案内する斜面を形成したので、各定規部の内端間に形成されるコーナー部逃がし間隔内へ床パネルの各コーナー部をスムーズに案内でき、床パネルの確実な支持が一層可能となる。
【0015】
又、上記四つの定規部の何れかを切除し、その余の定規部で上記隣接する床パネルの側面を規制できるので、床パネルの敷設状態に応じて汎用に対応でき、この点からも、床パネルの確実な支持が十二分に保障できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は本発明に係る床パネル位置決めキャップを示す斜視図、(B)は同床パネル位置決めキャップにおいて対向する二つの定規部を切除した状態を示す斜視図である。
【図2】(A)は嵩上げ脚の円形支持台に被嵌されて床パネルを支持した状態を示す説明図、(B)は定規部の要部拡大断面図である。
【図3】(A)は嵩上げ脚の円形支持台に均等な遊間を存して被嵌した状態を底面側から示す説明図、(B)は同自由滑り動が制限された状態を底面側から示す説明図である。
【図4】床パネルを支持している使用例を示す説明図である。
【図5】床下地面上に嵩上げ脚を介して床パネルを支持した状態を示す要部正面図である。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を図示する好適な実施例に基づいて詳述すれば、該実施例に係る床パネル位置決めキャップは、マンションやビルなどのベランダ・バルコニーに敷設される床パネルを嵩上げ支持する嵩上げ脚の円形支持台に被嵌して使用されるもので、全体が柔軟性を有する緩衝材、例えば軟質な熱可塑性エラストマー系樹脂などで一体に成形されている。
【0018】
そして、その具体的な構造は、図1乃至図3に示すように、床パネル位置決めキャップ1は、その円形座板部2の円形座面2aから上方へ突出する四つの定規部3を突設し、該四つの定規部3を二本の直交する直径線上に互いに独立して配置し、上記四つの定規部3で画成される四つの座面2a上に四枚の床パネルPの対置された四つのコーナー部Paを支持する構成となっている。
【0019】
これに加えて、各定規部3の内端間に形成されたコーナー部逃がし間隔4内へ上記床パネルPのコーナー部Paを入れ込み、各定規部3の側面で床パネルPのコーナー部Pa側面を位置決め規制する構成となっている。この為、上記各定規部3に対しては、図2Bに示すように、床パネルPのコーナー部Paを案内する斜面3aを積極的に形成するものとする。
【0020】
そして、上記円形座板部2は上記嵩上げ脚10の円形支持台10aの円形支持面に径方向へ自由滑り動可に重ね置きし、該円形座板部2の周縁部から環状に立ち下げられた下向きフランジ部5をもって嵩上げ脚10の円形支持台10aの周面から遊間11を存して被嵌して、該遊間11にて上記円形座板部2の上記自由滑り動寸法を設定し、且つ、上記下向きフランジ部5にて同自由滑り動を制限する構成となっている。この為、上記下向きフランジ部5の内径R1は嵩上げ脚10の円形支持台10aの外径R2よりも一定量大きく設定されることとなる。
【0021】
依って、斯かる構成の床パネル位置決めキャップ1を用いて多数枚の定形で且つ方形の床パネルPを支持する場合には、まず、図2Aに示すように、床パネル位置決めキャップ1を嵩上げ脚10の円形支持台10aに上記遊間11を介在させて被嵌した後、各嵩上げ脚10を隣接する四枚の床パネルPの対置された四つのコーナー部Paをその円形支持台10aで一緒に荷受けできる位置に据え付ける。
【0022】
従って、後は、この嵩上げ脚10の円形支持台10aに被嵌された位置決めキャップ1の各定規部3で画成されるコーナー部逃がし間隔4内に各床パネルPのコーナー部Paを入れ込めば、これにより、各定規部3の側面で各床パネルPのコーナー部Paの側面を規制するので、各床パネルPは上記四つの定規部3で画成される四つの座面2a上に安定して支持される。
【0023】
尚、床パネルPのコーナー部Paをコーナー部逃がし間隔4内に入れ込む場合には、各定規部3の斜面3aを利用して、床パネルPのコーナー部Paをスムーズに案内できる。
【0024】
又、上記嵩上げ脚10の据付位置に誤差が生じて、この誤差が位置決めキャップ1にも影響したような場合には、図3Bに示すように、上記下向きフランジ部5と円形支持台10a間に画成される遊間11を利用して、下向きフランジ部5が嵩上げ脚10の円形支持台10aの周面に衝突するまで、位置決めキャップ1を自由滑り動させることが可能となるので、この自由滑り動させるだけで、上記誤差を簡単に吸収して、位置決めキャップ1自体の据付位置や向き等を容易に調整できる。
【0025】
そして、床パネルPの支持に際し、四枚の床パネルPの対置された四つのコーナー部Paを支持する場合には、図4に示すように、四つの定規部3をそのまま利用して、各コーナー部Paを支持することとなるが、コーナー部Paでない直線状の側面などを支持する場合には、一本の直径線上に配置された二つの対向する定規部3を切除し、その残りの定規部3で隣接する床パネルPの側面を規制するものとする。又、具体的には図示しないが、一つの定規部3を切除して、残り三つの定規部3で隣接する床パネルPのコーナー部Paを支持することも可能である。特に、位置決めキャップ1は柔軟性を有する緩衝材で成形されているので、切除する場合にもナイフ等で簡単に切断できる。
【0026】
従って、ベランダやバルコニーの床下地面12に多数枚の床パネルPを縦横に整列して敷設することが可能となるので、これにより、図5に示すように、一定の高さを有する嵩上げ床面を構築できることとなるが、既述したように、この床パネル位置決めキャップ1は、軟質な熱可塑性エラストマー系樹脂などで成形されているので、歩行音の減少と不陸に十分に対応できる。
【0027】
尚、本実施例における嵩上げ脚10は、螺合式の高さ調節可能な構造のものを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、円形支持台10aを有するものであれば、固定式の高さ調節不能なものであっても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 床パネル位置決めキャップ
2 円形座板部
2a 円形座面
3 定規部
3a 定規部の斜面
4 コーナー部逃がし間隔
5 下向きフランジ部
10 嵩上げ脚
10a 嵩上げ脚の円形支持台
11 遊間
12 床下地面
P 床パネル
Pa 床パネルのコーナー部
R1 下向きフランジ部の内径
R2 円形支持台の外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚の定形で且つ方形の床パネルを縦横に整列して敷設し、隣接する四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部を嵩上げ脚の円形支持台で一緒に荷受し、該嵩上げ脚の円形支持台に床パネル位置決めキャップを被嵌し、該床パネル位置決めキャップの円形座板部の円形座面から上方へ突出する四つの定規部を突設し、該四つの定規部を二本の直交する直径線上に互いに独立して配置し、上記四つの定規部で画成される四つの座面上に上記四枚の床パネルの対置された四つのコーナー部をそれぞれ支持すると共に、各定規部の内端間に形成されたコーナー部逃がし間隔内へ上記床パネルのコーナー部を入れ込み、各定規部側面で上記床パネルのコーナー部側面を規制する構成とした上記床パネル位置決めキャップであって、上記円形座板部は上記嵩上げ脚の円形支持台の円形支持面に径方向へ自由滑り動可に重ね置きし、該円形座板部の周縁部から環状に立ち下げられた下向きフランジ部をもって上記嵩上げ脚の円形支持台の周面から遊間を存して被嵌し、該遊間にて上記円形座板部の上記自由滑り動寸法を設定し、上記下向きフランジ部にて同自由滑り動を制限する構成としたことを特徴とする床パネル位置決めキャップ。
【請求項2】
上記円形座板部と上記定規部と上記下向きフランジ部とを柔軟性を有する緩衝材で一体成形したことを特徴とする請求項1記載の床パネル位置決めキャップ。
【請求項3】
上記定規部に床パネルのコーナー部を案内する斜面を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の床パネル位置決めキャップ。
【請求項4】
上記四つの定規部の何れかを切除し、その余の定規部で上記隣接する床パネルの側面を規制する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の床パネル位置決めキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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