説明

床用化粧材

【課題】木質板のおもて面に化粧シートが積層されている場合でも、吸湿による膨張や反りの発生が十分に抑制された床用化粧材を提供する。
【解決手段】木質板2のおもて面に化粧シート1が積層されており、前記木質板2の裏面にクッション材3を介して防湿フィルム4が積層されている床用化粧材であって、前記防湿フィルム4は、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下であることを特徴とする床用化粧材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートスラブ上に直貼りするのに適した床用化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木質板を用いた床用化粧材が知られている。特にマンション等においてコンクリートスラブ上に直貼りされる床用化粧材の場合には、防音性やコンクリートスラブへの追従性を考慮して木質板の裏面に切溝が設けられる場合がある。また、歩行感等を高めるために床用化粧材の裏面にクッション材を設ける場合がある。
【0003】
コンクリートスラブ上に床用化粧材を直貼りする場合には、コンクリートスラブの硬化反応が完全に完了していないと施工後に床用化粧材の裏面から水分が吸収されて木質板の膨張や反りが生じるという問題がある。この問題は、木質板のおもて面に化粧シート(特に樹脂層を有して水分透過が少ない化粧シート)を設けた場合には、吸収された水分が床用化粧材のおもて面から放出されにくいため顕著である。
【0004】
このような床用化粧材の膨張や反りを抑制するため、クッション材の裏面に防湿シートを設けて、木質板への水分の吸収を抑制する試みがある。例えば、特許文献1には、「床材基材の裏面にクッション材層が貼着され、該クッション材層の裏面には、防湿層を芯層としその表裏に紙層が形成された防湿シートが接着されてなる床材」が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の床材は未だ防湿性が不十分であり、特に床材おもて面に化粧シートを積層した場合には、木質板の吸湿による弊害(膨張・反り等)を十分に防止できない。よって、木質板のおもて面に化粧シートが積層されている場合でも、吸湿による膨張や反りの発生が十分に抑制された床用化粧材の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−299234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を改善するものであり、木質板のおもて面に化粧シートが積層されている場合でも、吸湿による膨張や反りの発生が十分に抑制された床用化粧材を提供することを目的とする。また、被着体との密着性に優れた床用化粧材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の防湿フィルムを用いる場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の床用化粧材に関する。
1.木質板のおもて面に化粧シートが積層されており、前記木質板の裏面にクッション材を介して防湿フィルムが積層されている床用化粧材であって、
前記防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下である
ことを特徴とする床用化粧材。
2.前記木質板は、裏面に切溝が形成されている、上記項1に記載の床用化粧材。
3.前記防湿フィルムは、少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有する、上記項1又は2に記載の床用化粧材。
4.前記防湿フィルムは、前記合成樹脂製基材層と前記蒸着層との間にプライマー層を有する、上記項3に記載の床用化粧材。
5.前記防湿フィルムは、表面コート層/前記蒸着層/プライマー層/前記合成樹脂製基材層からなる、上記項3に記載の床用化粧材。
6.前記防湿フィルムは、表面コート層/前記合成樹脂製基材層からなる、上記項1又は2に記載の床用化粧材。
7.前記防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を有する、上記項3〜6のいずれかに記載の床用化粧材。

以下、本発明の床用化粧材について詳細に説明する。
【0010】
本発明の床用化粧材は、木質板のおもて面に化粧シートが積層されており、前記木質板の裏面にクッション材を介して防湿フィルムが積層されている床用化粧材であって、前記防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下であることを特徴とする。なお、透湿度は、JIS Z0208(透湿度試験方法(カップ法)に準じて温度40℃、湿度90%RH環境下での測定値である。以下、本明細書における透湿度は当該条件における測定値を示す。
【0011】
上記特徴を有する本発明の床用化粧材は、透湿度が7g/m・24時間以下の防湿フィルムを有することにより、床用化粧材をコンクリートスラブ上に直貼りした場合でも、床用化粧材の裏面からの吸湿(吸水)が抑制されている。よって、床用化粧材のおもて面に化粧シートが積層されている場合でも、木質板が吸湿することによる膨張や反りの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材は、マンション等でコンクリートスラブ上に直貼り施工する用途に適している。
【0012】
以下、本発明の床用化粧材の各構成について説明する。
(木質板)
木質板としては、例えば、杉、檜、ラワン、チーク等の樹木からなる木材単板・合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質板が挙げられる。
【0013】
本発明では、裏面に切溝が形成された木質板が好ましい。この切溝は、床用化粧材の防音性を高めるとともに床用化粧材を施工した際に施工面への追従性を高める。切溝の深さや大きさは、木質板や施工面の種類に応じて適宜設定できる。
【0014】
木質板の厚みは特に限定的ではないが、3〜15mm程度が好ましく、6〜12mm程度がより好ましい。
(化粧シート)
木質板のおもて面には化粧シートが積層されている。化粧シートは限定的ではないが、例えば、基材シート上に絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものが好ましい。以下、この化粧シートを例示的に説明する。
【0015】
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
【0016】
基材シートの厚さは、20〜300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0017】
絵柄層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
【0018】
絵柄層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
【0019】
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
【0020】
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0021】
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄層で用いる顔料又は染料が使用できる。
【0022】
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
【0023】
表面保護層(透明性表面保護層)は、化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
【0024】
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
【0025】
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
【0026】
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
【0027】
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0028】
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が望ましい。
【0029】
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
【0030】
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
【0031】
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
【0032】
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
【0033】
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度である。
【0034】
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
【0035】
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
【0036】
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜80重量部程度である。
【0037】
各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄層(ベタインキ層、柄インキ層)を順に印刷により形成後、絵柄層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、さらに表面保護層を形成する方法により行える。
【0038】
表面保護層側からエンボス加工を施すことにより凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
【0039】
上記化粧シートは、最下層(木質板と接着する層)に厚さ100μm以上の合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を有していてもよい。なお、バッカー層は、床用化粧材において衝撃吸収等を目的とした緩衝層を意味する。バッカー層を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。バッカー層の厚さの上限は限定的ではないが、300〜600μmが適当である。
【0040】
上記化粧シートを木質板に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
(クッション材)
木質板の裏面にはクッション材が設けられている。
【0041】
クッション材は床用化粧材に緩衝性を付与して歩行感等を向上させることができる材質である限り特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエステル、発泡ポリプロピレン、圧縮ポリウレタン等の1種又は2種を積層したものが挙げられる。
【0042】
より具体的には、1)発泡ポリウレタンと発泡ポリエステルの積層体、2)発泡ポリウレタンと発泡ポリプロピレンの積層体、3)発泡ポリウレタンと圧縮ポリウレタンの積層体等が挙げられる。これらの種類は、所望のクッション性の程度に応じて選択する。
【0043】
その他、各種不織布やいわゆるスパンボンド(例えば、ポリスチレンとポリエチレンの混合物)又はそれらの積層体も利用できる。クッション材の厚さは限定的ではないが、2〜7mm程度が適当である。
【0044】
上記クッション材を木質板に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
(防湿フィルム)
防湿フィルムは、上記クッション材を介して木質板の裏面に設けられる。本発明では、防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下のものを用いる。より好ましくは、5g/m・24時間以下のものを用いるとよい。防湿フィルムは透湿度を満たす限り限定されず、後述するオレフィン系熱可塑性樹脂、エステル系熱可塑性樹脂等の合成樹脂製基材層単体;上記合成樹脂製基材層にポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン等の表面コート層を設けたもの;上記合成樹脂製基材層に蒸着層を設けたもの;上記合成樹脂製基材層に蒸着層を設け、さらにポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン等の表面コート層を設けたもの;等が使用できる。防湿フィルムが合成樹脂製基材層及び表面コート層を有する場合、クッション材に接着する防湿フィルム中の層は、合成樹脂製基材層であっても、表面コート層であってもよい。床用化粧材を搬送する上で傷をつけることを防止できるという観点からいえば、クッション材に接着する層は表面コート層であることが好ましい。一方、クッション材に接着する層が合成樹脂製基材層であって、該被着に接着する層が表面コート層である場合、該表面コート層が後述するプライマー層としての機能も有するため、コンクリートスラブ等の被着体(該被着体上に接着剤を塗布した場合は、その接着剤)との密着性が向上する。
【0045】
合成樹脂製基材層としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂;ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂;ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0046】
合成樹脂製基材層は、一軸又は二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよいが、後述する蒸着層が形成される基材であるため、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。合成樹脂製基材層の厚さは、概ね9〜60μmが適当である。
【0047】
表面コート層としては、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA)、ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、一般式RM(OR(ただし、式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜2のアルキル置換基を有するフェニル基又はハロゲン置換基を有するフェニル基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更にゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下でゾルゲル法によって重縮合して調製される組成物が挙げられる。また、ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせることによって、ガスバリア性、耐水性、耐候性などが著しく向上する。上記組成物にはシランカップリング剤等を添加してもよい。また、ウレタン系樹脂は二液硬化型樹脂が好ましい。
【0048】
これらの樹脂又は組成物を合成樹脂製基材層上にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布することにより表面コート層が得られる。その厚さは0.1〜10μmが適当である。なお、ポリビニルアルコール系樹脂はガスバリア性だけではなく接着性を兼ね備えているため、コンクリートスラブ等の被着体(該被着体上に接着剤を塗布した場合は、その接着剤)との密着性に優れ、床用化粧材の耐久性の向上に寄与する。
【0049】
蒸着層としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製基材層に形成される。より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。
【0050】
蒸着層のガスバリアー性を一層向上させる目的で、蒸着層上に上記した表面コート層を設けてもよい。表面コート層は蒸着層の保護層としても機能し、その厚さは概ね0.1〜10μmが適当である。
【0051】
上記合成樹脂製基材層及び/又は上記表面コート層は、必要に応じて、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。このような表面処理によって、更に隣接層との接着強度を高めることができる。
【0052】
本発明では、合成樹脂製基材層と蒸着層との間にプライマー層(プライマー層1)を設けても良い。また、各種防湿フィルムの片面若しくは両面には、プライマー層(プライマー層2、及び/又はプライマー層3)を設けてもよい。例えば、「表面コート層/蒸着層/プライマー層1/合成樹脂製基材層」とすると合成樹脂製基材層と蒸着層との密着性が向上し、「プライマー層2/防湿フィルム/プライマー層3」とすると防湿フィルムとクッション材、及び防湿フィルムとコンクリートスラブ等の被着体(該被着体上に接着剤を塗布した場合は、その接着剤)との密着性が向上する。
【0053】
このようなプライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
【0054】
この中でも、プライマー層は、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と(ii)イソシアネートとから形成するのが好ましい。即ち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成する。
【0055】
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させるのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。
【0056】
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール;1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンテンジオール及び1,4−シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
【0057】
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオール及び1,4−シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
【0058】
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストの点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
【0059】
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
【0060】
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成すればよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、これらの2量体、3量体などの多量体、或いは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0061】
なお、前記プライマー層の乾燥後の塗布量としては、0.1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmである。また、前記プライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
【発明の効果】
【0062】
本発明の床用化粧材は、透湿度が7g/m・24時間以下の防湿フィルムを有することにより、床用化粧材をコンクリートスラブ上に直貼りした場合でも、床用化粧材の裏面からの吸湿(吸水)が抑制されている。よって、床用化粧材のおもて面に化粧シートが積層されている場合でも、木質板が吸湿することによる膨張や反りの発生が十分に抑制されている。このような本発明の床用化粧材は、マンション等でコンクリートスラブ上に直貼り施工する用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の床用化粧材の模式図(一例)である。
【図2】試験例1で行った耐水性試験の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0065】
実施例1
(1)合成樹脂層を含む化粧シート(0.16mm)を、中央理化工業製接着剤(BA-10L/BA-11B,9g/尺角)を用いて9mm厚ラワン合板(5ply)と貼り合わせた。
(2)上記をギャングソーで313mm幅×1840mm長さに三つ割加工した。
(3)上記を裏溝加工機で裏面横溝・裏面縦溝及び小割加工(155mm幅×918mm長さ)を行った。
(4)上記をテノーナ加工機にて、サネ加工及び端部面取り加工(145mm幅×900mm長さ)を行った。
(5)上記を溝塗装ラインにて、四方面取り部に溝塗料を塗布(溝塗料:昭和インク工業所製W-SF)した。
(6)上記裏面に、不織布からなるクッション材を接着剤を介して貼り付け、更に防湿フィルムを積層した。これにより床用化粧材を作製した。
【0066】
防湿フィルムの作製は次の通りとした。即ち、12μm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、片面に2液硬化型ウレタン系樹脂からなるプライマー層1を設けた。更にプライマー層1の上にアルミニウム蒸着層を設けた。これにより得られるフィルムを「蒸着PETフィルム」と呼称する。
【0067】
前記蒸着PETフィルム上にPVA/シリケート系からなる表面コート層(厚さ0.2μm(乾燥状態))を形成し、積層体(合成樹脂製基材層(PET)/蒸着層/表面コート層)を作製した。前記積層体の両面を、コロナ放電処理した後、主剤(ウレタン樹脂及び硝化綿系樹脂の混合物)に硬化剤(イソシアネート)を添加した2液硬化型樹脂をグラビア印刷法にてそれぞれ固形分として5μmの塗布量で塗布し、接着用プライマー層2及び3を両面に形成した。これにより防湿フィルムを得た。この防湿フィルムの透湿度は、1g/m・24時間であった。
【0068】
実施例2
上記(6)において、クッション材として発泡ウレタンと発泡ポリエチレンとの積層体を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。具体的には、クッション材として、アキレス製の発泡ウレタンと東レ製の発泡ポリエチレンの積層体(計5mm厚)を用いた。
【0069】
実施例3
上記(6)において、防湿フィルムの表面コート層をウレタン系樹脂にした以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。この防湿フィルムの透湿度は、3g/m・24時間であった。
【0070】
実施例4
上記(6)において、防湿フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、厚さ20μm)にポリビニルアルコール系樹脂の表面コート(厚さ0.1μm)を設けたものを用いる以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。この防湿フィルムの透湿度は、4.5g/m・24時間であった。
【0071】
実施例5
上記(6)において、防湿フィルムとして、OPPフィルム(厚さ20μm)の一方にはポリビニルアルコール系樹脂の表面コート(厚さ0.1μm)を設け、もう一方には接着用プライマー層3を設けたものを用いる以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。この防湿フィルムの透湿度は、4.5g/m・24時間であった。
【0072】
実施例6
上記(6)において、防湿フィルムとして、OPPフィルム(厚さ30μm)を用いる以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。この防湿フィルムの透湿度は、6g/m・24時間であった。
【0073】
実施例7
上記(6)において、防湿フィルムとして、OPPフィルム(厚さ30μm)に接着用プライマー層3を設けたものであって、該接着用プライマー層3は下地と接着するようにして設けられた上記防湿フィルムを用いる以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。この防湿フィルムの透湿度は、6g/m・24時間であった。
【0074】
実施例8
上記(6)において、防湿フィルムとして、60μmのポリエチレン樹脂フィルム(PE、透湿度7g/m・24時間)を用いる以外は、実施例1と同様に床用化粧材を作製した。
【0075】
比較例1
上記(6)において、クッション材として不織布とスパンボンド(ポリスチレン+ポリエチレン)との積層体を用いて、更に防湿シートを積層しない以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。具体的には、クッション材として、呉羽テック製のL45タイプ用を用いた。参考値として、スパンボンドの透湿度は20g/m・24時間である。
【0076】
比較例2
上記(6)において、防湿シートとして防湿紙(ポリエチレン(厚み30μm)を芯層とし、その両面を紙で積層したもの:透湿度10g/m・24時間)を用いた以外は実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。

<実施例及び比較例の防湿フィルムの層構成>
実施例1:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/プライマー層2/PVA/アルミ蒸着/プライマー層1/PET/プライマー層3/(モルタル下地)
実施例2:(ラワン合板)/(発泡ウレタン/発泡ポリエチレンクッション材)/プライマー層2/PVA/アルミ蒸着/プライマー層1/PET/プライマー層3/(モルタル下地)
実施例3:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/プライマー層2/ウレタン系樹脂/アルミ蒸着/プライマー層1/PET/プライマー層3/(モルタル下地)
実施例4:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/OPP/PVA/(モルタル下地)
実施例5:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/PVA/OPP/プライマー層3/(モルタル下地)
実施例6:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/OPP/(モルタル下地)
実施例7:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/OPP/プライマー層3/(モルタル下地)
実施例8:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/PE/(モルタル下地)
比較例1:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/スパンボンド(ポリスチレン/PE)/(モルタル下地)
比較例2:(ラワン合板)/(不織布クッション材)/紙/PE/紙/(モルタル下地)
試験例1(耐水性試験)
(1)表面にスポンジマットを貼り付けたプラスチック板(1.5m×2m)を用意した。上記台紙上に金属枠を900mm離した状態で固定した。
(2)台紙表面に散水を行い、台板表面が常時濡れた状態にした。
(3)上下の金属枠に床材短尺部が当たる状態で床材をセットした(セットした状態の模式図を図2に示す)。即ち、長手方向の伸びを抑制する状態でセットした。
(4)経時(1週間、2週間)での床材の状況観察(反り、波打ち等)と含水率測定を行った。定期的に散水を行い、台板表面を常時濡れている状態とした。含水率測定は、木材水分計(製品名「ターク」ケット科学研究所製)を用いて行った。
【0077】
結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
[表1中、透湿度の単位はg/m・24時間である。透湿度は透湿フィルムの透湿度を示すが、比較例1はスパンボンドの透湿度を示す参考値である。]
上記表1の結果から明らかなように、透湿度が7g/m・24時間以下の防湿フィルムを設けた本発明の床用化粧材は、防湿フィルムの存在により木質板への吸湿が効果的に抑制されており、その結果、床用化粧材の反りや膨張が防止されている。
【0080】
試験例2(接着性試験)
・ 床用化粧材をモルタル下地にコニシ製接着剤(KU928RS)を用いて施工
した。上記接着剤の塗布量は、400g/mとした。
【0081】
・ 上記で施工した床用化粧材を下記方法で養生した後に、強制剥離にて接着性(剥
離状態)を評価した。
【0082】
・室温環境下に1週間養生する。(常態接着性)
・50℃×90%RH環境下に1週間養生する。(湿熱接着性)
結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
尚、剥離状態における「クッション材・材破」とは、強制的に床用化粧材を剥離したとき、クッション材自体が破壊されたことを意味する。また、「フィルム/接着剤界面」とは、防湿フィルムが、モルタル下地から剥がれてしまったことを意味する。さらに、「防湿紙間で剥離」とは、防湿紙が床用化粧材から剥がれてしまったことを意味する。
【0085】
防湿フィルム上にプライマー層3を設けたものは、モルタル下地との密着性が向上した。また、比較例2の防湿フィルムが防湿紙である場合は、紙が水分を吸収したため防湿紙間の剥離強度が低下した。]
【符号の説明】
【0086】
1.化粧シート
2.裏面に切溝が形成された木質板
3.クッション材
4.防湿フィルム
5.金属枠
6.台板(スポンジ/プラスチック板)
7.床用化粧材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質板のおもて面に化粧シートが積層されており、前記木質板の裏面にクッション材を介して防湿フィルムが積層されている床用化粧材であって、
前記防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下である
ことを特徴とする床用化粧材。
【請求項2】
前記木質板は、裏面に切溝が形成されている、請求項1に記載の床用化粧材。
【請求項3】
前記防湿フィルムは、少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有する、請求項1又は2に記載の床用化粧材。
【請求項4】
前記防湿フィルムは、前記合成樹脂製基材層と前記蒸着層との間にプライマー層を有する、請求項3に記載の床用化粧材。
【請求項5】
前記防湿フィルムは、表面コート層/前記蒸着層/プライマー層/前記合成樹脂製基材層からなる、請求項3に記載の床用化粧材。
【請求項6】
前記防湿フィルムは、表面コート層/前記合成樹脂製基材層からなる、請求項1又は2に記載の床用化粧材。
【請求項7】
前記防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を有する、請求項3〜6のいずれかに記載の床用化粧材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−242484(P2010−242484A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170055(P2009−170055)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】