説明

床用面発光照明器具

【課題】床面に配置される床用面発光照明器具において、低コストで、かつ、直射光や導光路による光減衰に基づく輝度むらの抑制を図る。
【解決手段】床面照明器具1は、光出射用の透光板24を上面に有する筐体2と、筐体2内の対向する両側面側にそれぞれ収容される光源3と、光源3からの直射光31を透光板24に照射することなく透光板24に対向する下蓋板22の光拡散性の底反射板25に照射させる反射板4とを備える。底反射板25は光源3からの直射光及び反射板4で反射された反射光をそれぞれ拡散して透光板24を均一に照射する。これにより、多数の光源や大面積の導光体を用いることなく床用の大面積の均一な照射面を形成でき、低コストで、かつ、直射光や導光路による光減衰に基づく輝度むらの抑制を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に配置される一畳程度の大面積の床用面発光照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅のリビングダイニング室などにおいては、モノスペース内を異なる目的で同時に使用するなど、その空間利用が多様化されてきており、そのために、照明を利用した空間のゾーン分けが一つの有効な手段として利用される。例えば、図4に示すように、リビングダイニング室200のダイニング空間では、天井照明器具202による直下照明が行われる一方、リビング空間においては、その一画における一畳程度の大面積の床面を発光させて照射する床用面発光照明器具(以下、床面照明器具という)201による床面照明などが行われる。
【0003】
ところで、このような床面照明器具においては、大面積を均一に発光させる均一照射方式として、例えば、器具の照射面に対向するように多数の光源を配置して照射する方法(内照方式という)が知られている。また、このような内照式の器具においては、例えば、光源として直管蛍光灯を多灯配置し、光の照射面を光拡散乳白パネルで形成して、光源を照射面に対向して均等配置し、各光源からの直射光を光拡散パネルに照射して直射光による輝度むらの均等化を図っている。また、他の内照式器具の例として、有機ELパネルのような面光源体、又はLEDモジュールなどをそれぞれ多数個用い、アレイ化して配置した光源により床面照明することも可能である。
【0004】
しかしながら、これらの内照式の床面照明器具は、床用の大面積を照射するために、多数の光源を必要とし、コスト高となると共に、照射面を各光源からの明るい直射光により直接的に床面側から照らし上げるため、例えば光拡散パネルを用いた場合等でも、照射面において個々の光源間の直射光による輝度むらが顕著となることがある。また、アレイ化による光源は、構成が複雑となり、よりコスト高になる。
【0005】
また、他の均一照射方式の例として、導光体の側面側にLED等の光源を配設して導光体により光源の光をガイドし、導光体の対向する上下の一方面で反射し、他方の開口面から光を照射する方法(導光式という)を用いた面発光照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし、このような導光式の面発光照明器具は、発光面が小面積の場合は上記内照式より面輝度の均一性は良いが、面発光部が大型化すると導光部材も大型化するため、コスト高となると共に、導光体内の光伝送損失が増加し、光源からの距離とともに輝度値そのものが低下していくため、均一な発光を得ることが困難となり、光減衰による輝度むらを生じ易い。
【特許文献1】特開2007−87726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、床面に配置されて照射する床用面発光照明器具において、低コストで、かつ、直射光や導光路による光減衰に基づく輝度むらを抑制することができる床用面発光照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光出射用の開口面を上面に有する筐体と、前記筐体に収容される光源と、前記光源からの直射光を前記筐体の開口面に照射することなく該開口面に対向する底面に照射させる光学部材と、を備え、前記筐体の底面で反射される前記光源からの光の反射光が前記開口面から出射されるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の床用面発光照明器具において、前記筐体の底面は光拡散性を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、光源からの直射光による開口面の直接照射をなくして、光源からの光を底面で反射させた反射光により開口面を照射するので、多数の光源や大面積の導光体を必要とすることなく、床用の大面積の発光面を形成することができる。これにより、低コストで、かつ、直射光や導光路による光減衰に基づく輝度むらを抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、底面からの反射光が拡散されて開口面を照射するので、より輝度むらを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る床用面発光照明器具について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態の床用面発光照明器具(以下、床面照明器具という)1の使用状態を示し、図2及び図3は床面照明器具1の構成を示す。
【0013】
図1に示すように、床面照明器具1は、ダイニングリビング室100のリビング空間101近傍の床面102に設置され、矩形の筐体2と、筐体2内の対向する側面にそれぞれ配設された光源3と、光源3からの光を筐体2の底面側に照射するための反射板4(光学部材)とを備える。ここでは、床面照明器具1は、光源3からの光を筐体2の底面側で反射させ、その反射光を筐体2の上面側の開口面に設けられた透光板24から出射して、床面側から上方の室内空間を照明する。筐体2及び透光板24は、人や一部の家具の重量にも耐えられる程度に堅固に構成されている。
【0014】
図2に示すように、床面照明器具1の筐体2は、光源3および反射板4を収納する矩形を成す中空の本体20と、本体20を上下からそれぞれ覆うための上蓋板21(上面)及び下蓋板22(底面)を備える。上蓋板21は、光出射用の矩形の開口23(開口面)と、この開口23に取り付けられた透光板24とを有する。下蓋板22は、光源3からの直射光31を反射する底反射板25を有し、透光板24に対向して配設され、底反射板25で反射された反射光32は筐体2内から透光板24を照射する。この透光板24は、床面照明用として1畳程度の大面積を成し、筐体2内から照射されることにより等価的に面発光を成して光出射する照射面を形成する。光源3は、本体20の長手方向に沿って筐体2内の両側面側に配設されると共に、光源3からの光が筐体2内の下蓋板22に向けて反射されるように樋状の反射板4により覆われている。
【0015】
図3に示すように、光源3は、下蓋板22の短手方向の中心に対して左右対称に配設される。また、筐体2内の短手方向の向かい合う側面には、それぞれ光源3を取り付けるためのソケット部(不図示)と、反射板4を取り付けるための取付部(不図示)とを備えている。また、底反射板25は、下蓋板22に埋め込まれた形で形成される。また、底反射板25の表面と筐体2内の各側面には、反射板4に使用される拡散反射材が内張りされ、光源3からの光が各面で反射するときに減衰しないようにしている。この拡散反射材の反射特性は、正反射率が殆ど0%で全反射率が95〜99%であり、その99%以上が、拡散反射成分である。なお、拡散反射率は少なくとも30%以上であることが望ましい。
【0016】
透光板24は、透光部材から成り、例えば、ポリカーボネート樹脂やポリメタクリル酸メチル樹脂(Poly Methyl Methacrylate)、又は強化ガラス板等が使用される。また、光拡散材を添加した乳白板や表面にショットブラストにより凹凸を付けた艶消し板でもよい。また、ユーザの好みに合わせて任意な絵柄をプリントすることで意匠性を高めることも可能である。
【0017】
光源3は、例えば直管蛍光灯を用いる。この直管蛍光灯としては、例えば、110Wの一灯使いや40Wの2灯を連結するような構成が望ましい。また、2本以上の蛍光管ランプを連結する場合は、ランプフィラメント部が暗くなり連結部で極端に輝度バラツキが生じるため、シームレスランプ(例えば、松下電器産業製FRT850、FRT125)を用いることが望ましい。光源3は、それらが配設される筐体2の側面間の間隔が短い場合は片側面のみの配置でもよい。
【0018】
反射板4は、樋状に賦形された凹形状の反射面を成し、互いに異なる反射材質を有する上部反射板41と下部反射板42とを有し、それぞれが光源3からの光を反射して底反射板25に向けて照射する。上部反射板41は、鏡面反射材から成り、光源3となる直管蛍光灯の円形断面の中心を通る底反射板25に平行なライン51より上方向の反射板部分を成す。下部反射板42は、拡散反射材から成り、ライン51より下方向の反射板部分を成す。
【0019】
上部反射板41の鏡面反射材としては、例えば、高純度アルミニウム材を電解研磨により低温アルマイト処理したものや、ALANOD社製高反射アルミニウム板「MIRO」等が使用される。また、アルミニウムや鋼板を所定の形状に賦形した後、脱脂、洗浄、乾燥し内面にアンダーコート塗料をスプレー塗装・焼付けて塗膜を形成し、その上に高純度のアルミニウムまたは銀を蒸着し、スパッタリングして反射面を形成し、更にその上にクリア保護膜(塗膜、透明無機薄膜など)を施したもの等も使用される。それら鏡面反射材の反射特性は、正反射率が全反射率の99%以上であり拡散反射成分は殆ど含まれていない。
【0020】
下部反射板42の拡散反射材としては、アルミニウムや鋼板を所定の形状に賦形した後、脱脂、洗浄、乾燥し、内面に塩素法により製造された高純度酸化チタンをポリエステル樹脂、エポキシポリエステル樹脂に分散して得られる白色粉体塗装を、60ミクロンの塗膜厚で塗装焼付けして得られる高反射拡散反射材等が使用される。また、東レ株式会社製白色高反射フィルム「ルミラー」や古河電気工業製「MCPET」に代表される高反射白色フィルム又はシートを所定の形状に賦形したものも使用できる。それら拡散反射材の反射特性は、正反射率が殆ど0%で全反射率が95〜99%であり、その99%以上が、拡散反射成分である。
【0021】
上記反射板4において、それぞれの上部反射板41の先端43は、それらと光源3の中心とを結ぶ線が透光板24の短手方向の端部26間に入らないように形成されている。これにより、上部反射板41は、光源3からの直射光31が透光板24を直接照射しないようにすると共に、上部反射板41で反射した光源3の光の反射光が底反射板25を照射するように形成されている。なお、上部反射板41を長手方向に沿って透光板24側に折り返すなどして、左右側それぞれの先端43と端部26間をそれぞれ面接続して反射面としてもよい。
【0022】
また、下部反射板42は、直射光31を反射した反射光が底反射板25及び透光板24を照射するように形成されている。また、下部反射板42は、拡散反射面を成しているので、この下部反射板42による光源3からの光の反射光は、拡散光となって輝度が略均一化されて底反射板25及び透光板24を照射する。
【0023】
従って、反射板4は光源3からの直射光31を透光板24へ直接照射せず、上部反射板41で反射された光を底反射板25で反射させてから透光板24を照射すると共に、下部反射板42で拡散された拡散光、又はこの拡散光を底反射板25で再反射させた反射光により透光板24を照射する。即ち、反射板4は、反射した直射光31の反射光及びこの反射光の底反射板25による反射光により、透光板24が均一な照度になるように照射する配光を成す。
【0024】
ここで、底反射板25が高反射の光拡散性を有することにより、底反射板25で反射された光は拡散光となる。従って、底反射板25に入射する光源3からの直射光31及び上部反射板41で反射された反射光は、底反射板25で反射されると、拡散光となって透光板24を略均一に照射する。また、下部反射板42からの拡散光は、底反射板25で反射されると、再度拡散され、より均一な輝度を成して透光板24を照射する。
【0025】
また、光源3からの光は、少なくとも反射板4又は底反射板25で反射されてから透光板24に到達するので、到達までの光路長が直射光に比べて長くなる。このとき、光の性質上、自由空間では光路長が長い程、光源3からの光は自然に広がり、拡散された形で透光板24を照射するので、光路長の長い反射光により照射することにより、直接光の照射に比べて輝度の均一性が良くなる。
【0026】
また、光源3は筐体2の左右の両側面側から底反射板25を略対称に照射するので、光源3の個別の輝度分布が混ざることにより、底反射板25上の輝度が均等化され、より輝度均一性を良くして透光板24を照射することができる。
【0027】
また、筐体2内の各側面も高反射光拡散性を有するので、各側面で反射された一部の光源3からの光は、反射損失を少なくして拡散され、筐体2内で多重反射されて底反射板25に入射すると、底反射板25で拡散されて透光板24を照射することにより、輝度のアップと均一化に寄与する。
【0028】
このように、本実施形態の床面照明器具1によれば、光源3からの直射光による透光板24の直接照射をなくして、光源3からの光を底反射板25で反射させた反射光により透光板24を照射するので、多数の光源や大面積の導光体を必要とすることなく、床用の大面積の発光面を形成することができる。これにより、低コストで、かつ、直射光や導光路による光減衰に基づく輝度むらを抑制することができる。
【0029】
また、底反射板25及び下部反射板42が光拡散性を有することにより、底反射板25上の輝度均一性が高くなるので、透光板24から出射される光の輝度むらをより低減することができる。
【0030】
なお、本発明は上記各種の実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。上記実施形態では、蛍光灯を向かい合う側面にそれぞれ設けたが、筐体の向かい合う2組の両側面にそれぞれ設けることにより、照明をより明るくできる。また、光源を上下2段等の複数段構成にしてもよい。また、反射板と底反射板を一体化構成にしてもよい。また、光源として蛍光灯以外に冷陰極ランプや、LEDラインモジュールなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る床用面発光照明器具の使用状態を示す図。
【図2】同照明器具の分解斜視図。
【図3】図2のI−I線断面図。
【図4】従来の床用面発光照明器具の使用状況を示す斜視図。
【符号の説明】
【0032】
1 床面照明器具(床用面発光照明器具)
2 筐体
21 上蓋板(上面)
22 下蓋板(底面)
23 開口(開口面)
24 透光板
25 底反射板
3 光源
31 直射光
4 反射板(光学部材)
41 上部反射板(光学部材)
42 下部反射板(光学部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射用の開口面を上面に有する筐体と、前記筐体に収容される光源と、前記光源からの直射光を前記筐体の開口面に照射することなく該開口面に対向する底面に照射させる光学部材と、を備え、前記筐体の底面で反射される前記光源からの光の反射光が前記開口面から出射されることを特徴とする床用面発光照明器具。
【請求項2】
前記筐体の底面は光拡散性を有することを特徴とする請求項1に記載の床用面発光照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−123400(P2010−123400A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296087(P2008−296087)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】