説明

底開き可能な物品収納箱

【課題】底開き式廃棄物収納ボックスを、不整地に置いた場合でも底板のロック作業を容易に行えるようにすること、及び上部に取り付けたハンドルを小形化してフォークリフトを使った段積作業を可能にすることである。
【解決手段】ロックシャフトが上下できるようなねじ機構を加える事によって、底板が完全に閉じていなくても小さな力で底板のロック作業が出来、それに伴って大きなハンドルを小さくする事が可能になった。その結果上部の空間が空き、フォークリフトを使用した段積作業が可能になった。また、前記機構とロック金具の嵌合形状の改良により作業中のロック開放事故のない安全確実な底開き廃棄物収納ボックスとなった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は底開き可能な、主に産業廃棄物を収納するためのボックス(以下産廃ボックスと略す)の底板の開閉用ロッククランプ機構に関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来、底開き可能な産廃ボックスの底板をロックするために、てこ式の大きなハンドルが使用されていた(図8、図9及び特許文献1参照)。
しかしながら、従来の底開き産廃ボックスには、次のような欠点があった。
1.従来の底開き産廃ボックスは、ロックさせる時にロックシャフトを回転し、クランプ金具をテコの作用のみでロック作業をする構造だったので、大きな力が必要で開閉作業は容易ではなかった。
2.例えば不整地に産廃ボックスを置いた場合には、底板の片方が少ししか密着しない場合があり、ロックシャフトを回転させるだけではクランプ金具が底板に当ってしまいロックすることができず、他の手段で底板を閉じてからロック作業をせざるを得なかった。
3.又、大きなハンドルが上部にある場合はフォークリフトを使用した段積作業はできなかった。

【特許文献1】実開平6−6305
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような問題点を解決し、不整地に産廃ボックスを置いた場合でも底板のロック作業を容易に行えるようにすること、及び上部に取り付けたハンドルを小形化してフォークリフトを使った段積作業を可能にすることである。

【課題を解決するための手段】
【0004】
折れ曲がり式操作ハンドル10で、途中ねじ部6aのある開閉用ロックシャフト6を回動し、先端のロッククランプ金具5を底板の縁部13に当接させる。
この際、ロックシャフトのねじ部6aは雌ねじ部7と螺合しているので、ハンドル10の回転数を調節することにより、ロックシャフト6の下端部に固定されたロッククランプ金具5の高さを調節することができるので、たとえ産廃ボックスが不整地に置かれていても底板を容易にロックすることができる。
又、固定式の雌ネジ部7の代わりに、高さ調節用ナット8をロックシャフト6に螺合した状態で設置すれば、ハンドル10を廻さなくても、ロッククランプ金具5の高さ、すなわち底板の締め具合を調整することができる。

【発明の効果】
【0005】
ロッククランプ金具5はロックシャフト6の上下動により完全に負荷が開放されるのでハンドル操作は小手先の力でも十分である。
【0006】
平坦地はもとより、不整地でもロックをかける時及び開放の時でも、ハンドル10又は高さ調整ナット8を小さな力で廻すことにより、底板を締め付けて底板を密着させたり、又、開放させたりすることが容易にできる。
【0007】
高さ調節ナットの外径は10cm程度で、しかもハンドルは折れ曲がるのでボックス上部に空間ができ、フォークリフトでの段積も可能になる。
【0008】
さらに小さい折れ曲がり式ハンドル10を開閉表示板を兼ねた受け入板11と本体の間にできた空間12に落とし込む事により作業途中のロック解除事故もなくなる。
【0009】
高さ調節ナット8を使用した場合には、ハンドル10を廻さなくてもロッククランプ金具5の高さを変えられるので、ロッククランプ金具5の先端に突起部5aを設けて、底板の縁部に設けた凸部13aと嵌合させることができる。こうすることで例えば、底板が内容物の重さで少し湾曲しても、強固なロック機能が作用するので底板が開くことを防ぐことができる。
【0010】
不安定な地盤で設置したとき、もし、片方が少し開いていてもロックシャフトの上下可動機能を働かせて確実に底板を閉じられる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ロックシャフト6の操作用折れ曲がり式ハンドル10は使い勝手を良くするため本体1の上部に設置する。ロックシャフト6にはネジ部6aがあり、手にフィットする位の大きさの高さ調整ナット8で、該ナット8を回転させることによりロックシャフト6が上下する。
【0012】
開閉表示板を兼ねたハンドル受け入れ板11と本体1とで挟まれたハンドルを収納するための空間12にハンドル10が落し込まれているので、共廻りせずにロックシャフト6は下がってロッククランプ金具5は底板より離れる。
【0013】
無負荷になったハンドル10を180°廻して反対に落し込むと、ロッククランプ金具5は前方に向きロックは完全に解除される。
【0014】
ハンドル10は折れ曲がって開閉表示を兼ねたハンドル受け入れ板11と本体1とで挟まれた空間12に納まり逆回転せず、又、小さく収納されるのでフォークリフト作業用空間が出来る。
【0015】
ロッククランプ金具5を解除した状態で廃棄物収納箱本体1を吊り上げる事により支軸3を回転軸にして先ず前部より開き出し底板2が傾斜し、底板上の収納物を排出する形態となる。
【0016】
尚、底板が1枚で回転軸が1本の場合と、底板が2分割され回転軸が対向する2辺上にそれぞれ1本ずつある場合があるが、どちらの場合でも本発明によるロック機構を採用することができる。
【0017】
次に上記発明を実施する為の最良の形態の構成に基づく底開きボックスの使用方法について以下説明する。
【0018】
不安定な地盤又は平坦な地盤上に置かれた底開きボックスをロックシャフト6と高さ調整ナット金具8と折れ曲がり式開閉ハンドル10で確実にロックし、開閉表示板を兼ねたハンドル受け入れ板11の底板開放禁止位置(×マーク部)にハンドル10を合わせて設置しておく。やがて収納物が一杯になったらハンドル10そのまま(底板を締めた状態)で処分場へ運搬移動し、廃棄場所に本体1を置き、操作ハンドル10を180°廻して開閉表示板を兼ねたハンドル受け入れ板11の底板開放位置(○マーク)の位置へ挿入する。
尚、ハンドル10を黄色など鮮やかな色に塗装することにより、ハンドル受け入れ板11に開けた○×形状の穴を通して、レバーの位置が見やすくなる。
尚、ハンドルの裏表を別の色に塗り分けるとさらに識別しやすくなる。
【0019】
ハンドルの操作をする際に、底板に荷重がかかってハンドル10が廻らなかったら、高さ調整用ナット8を廻してロッククランプ金具への荷重を無負荷にし、ハンドル10を180°廻して開閉表示板を兼ねたハンドル受け入れ板11部へ落とし込む。
【0020】
これでクランプ金具5は外れたままの状態になったので本体1を、吊り金具4に通したワイヤーで吊り上げると支軸3を軸にして底板2が開き、収納物が排出される。
終了したらハンドルをロック状態に戻して一連の作業が終了する。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による廃棄物収納ボックスの外観斜視図(請求項1に対応)
【図2】本発明による廃棄物収納ボックスの外観斜視図(請求項2に対応)
【図3】本発明によるロック機構の説明図
【図4】図3に対応する正面断面図
【図5】本発明によるロック機構の説明図(請求項4)
【図6】ロッククランプ金具と底板の端部の説明図
【図7】ロッククランプ金具の先端部突起と底板端部の凸部の説明図
【図8】従来の廃棄物収納ボックスの例
【図9】従来のロック機構の例
【符号の説明】
【0022】
1 廃棄物収納箱
2 底板
3 底板の支軸
4 吊り金具を兼ねた段積み時のズレ止め金具
5 ロッククランプ金具
5a ロッククランプ金具の先端に設けた突起部
6 ロックシャフト
6a ロックシャフトの雄ねじ部
7 雌ネジ部
8 高さ調整ナット
9 レバー
9a レバー先端の支点
10 折れ曲がり式操作ハンドル
11 開閉表示板を兼ねたハンドル受け入れ板
11a 開閉状態を示す表示窓
12 ハンドルを収納するための空間
13 底板の縁部
13a 底板の縁部に設けた凸部
20 従来のレバー
21 レバーのストッパー
22 レバーの回り止め凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板のほぼ全面が水平な支軸回りに回動して開閉する物品収納箱において、
前記底板の前記支軸より離れた部分の少なくとも1カ所で、前記底板を閉じた状態で支えるロッククランプ金具と、
前記ロッククランプ金具は、前記収納箱本体を構成する垂直部材にほぼ垂直軸回りに回動可能に保持されたロックシャフトの下端部に固定され、
前記ロックシャフトは、前記収納箱の底部から前記収納箱の上面部まで伸びており、
前記ロックシャフトの外周には雄ねじが加工されており、
前記ロックシャフトの雄ねじが、前記収納箱を構成する垂直部材に保持された雌ねじと螺合することにより、
前記ロックシャフトを回転させると前記ロッククランプ金具の高さ位置が変化することを特徴とする物品収納箱。

【請求項2】
底板のほぼ半面ずつが対向する2本の水平な支軸回りに回動することによりほぼ対称に開閉する物品収納箱において、
前記各底板の前記各支軸より離れた部分の少なくとも2カ所ずつ(少なくとも計4箇所)で、前記底板を閉じた状態で支えるロッククランプ金具と、
前記ロッククランプ金具は、前記収納箱本体を構成する垂直部材にほぼ垂直軸回りに回動可能に保持されたロックシャフトの下端部に固定され、
前記ロックシャフトは、前記収納箱の底部から前記収納箱の上面部まで伸びており、
前記ロックシャフトの外周には雄ねじが加工されており、
前記ロックシャフトの雄ねじが、前記収納箱を構成する垂直部材に保持された雌ねじと螺合することにより、
前記ロックシャフトを回転させると前記ロッククランプ金具の高さ位置が変化することを特徴とする物品収納箱。

【請求項3】
前記ロックシャフトの上端にロックシャフトにほぼ直角にレバーを固定し、
前記レバーの先端にピンで回動可能に連結したハンドルを設け、
前記レバーを180度回動させることにより、ロッククランプ金具が底板をロックする位置とロックを解除する位置を選択することが可能で、
且つ前記ロック位置とロックを解除するレバー位置にそれぞれハンドルを収納するための空間があり、
該空間に前記ハンドルを収納することにより、前記レバーの回転防止機能が得られることを特徴とする請求項1又は2に記載した物品収納箱。

【請求項4】
前記ロックシャフトに螺合する雌ねじ部が、前記収納箱を構成する垂直部材の上部に配置した手で操作しうる外径と形状を持つナットであり、
該ナットを回動させることにより、前記レバーを回転させなくてもロッククランプ金具の位置を上下させることが可能な請求項1、2、3に記載した物品収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−91027(P2009−91027A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265101(P2007−265101)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(307035723)
【Fターム(参考)】