説明

座標入力パネル

【課題】 押下されたときにクリック感を発生させることでタッチパネルが押下されていることをユーザに通知することができる、丈夫で低コストの座標入力パネルを実現する。
【解決手段】 接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力するタッチパネルと、タッチパネルの一辺付近上に設けられる突起部と、タッチパネル上方に架設され、中央付近に向かうにつれてタッチパネルから離間するよう湾曲したカバーパネルであって、タッチパネルの一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺と、この固定端辺に対向し、突起部の近傍に位置する自由端辺とを有するカバーパネルと、を備え、カバーパネルが押下されると、自由端辺は非押下時における位置から摺動して突起部を乗り越えるとともに、カバーパネルは前記の押下位置でタッチパネルの接触検知面上に接触し、前記の押下が解除されると、自由端辺は摺動して突起部を乗り越えて非押下時における位置に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等の処理装置への入力用のタッチ操作面を有する座標入力パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の各種情報処理装置に対する座標入力装置の1つとして座標入力パネル(平面入力パネル、平面入力パッドもしくは平面入力マウスとも称する。)が用いられている。座標入力パネルは、座標入力装置としての機能を有するタッチ操作面が透明もしくは不透明なタッチパネルと、このタッチパネルの背後に設けられ、タッチパネルに向けて画像を表示する表示手段とを有する。ユーザは、座標入力パネルのタッチパネルのタッチ操作面上を指もしくはペン(スタイラス)等で押下もしくは接触することでコンピュータに対して座標入力が可能であるとともに、タッチパネルを介して表示手段が表示する画面を閲覧することも可能である。座標入力パネルによれば、相対座標入力によるマウスなどのようなポインティングデバイスとは異なり、絶対座標を簡単に入力することができるので、より多くの人の感覚にあった操作を実現することができる。現在、座標入力パネルは、PDA(Personal Degital Assistants)などの情報携帯端末、ノート型パソコン、携帯電話、銀行のATM、切符の自動券売機や自動精算機など、装置本体に体積的制限がある小型もしくは薄型の情報処理装置や、幅広い世代のユーザに使用される機会を有する情報処理装置に多用されている。
【0003】
通常のマウスでは、クリック操作の際にはクリック感があるが、座標入力パネルには、そのようなクリック感はない。したがって、ユーザは、座標入力パネルへの入力操作が正常に行われたか否かについて、座標入力パネルの表示の変化を目視する以外確認することができない。このため、正常にタッチパネルの押下が行われているにもかかわらず、その確認ができないために、タッチパネルの操作面を必要以上に押下してしまい、その結果、座標入力パネルを傷つけたり、指やペンを傷めたりすることがある。
【0004】
一方、この問題を解決すべく、タッチパネルの押下を、電子音や、あるいは圧電素子などで発生された振動によりユーザに知らせる方法が提案されている。またあるいは、タッチパネルの操作面を垂直方向に平衡移動可能な構造とし、その操作面の背面に機械的スイッチを設け、タッチパネルの押下の際には機械的スイッチが作動してクリック感を生じるようにした座標入力パネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−328743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチパネルが押下されているか否かをユーザに知らせる方法として、上述の電子音による方法を用いた場合は、目の不自由な人や騒音下での使用に問題がある。また、圧電素子による方法は、回路構成および振動機構が複雑であり、大幅なコストアップが避けられない。さらに、上記特許文献1に記載された方法では、機械的スイッチの耐久性が特に重要であり、経年変化や外部振動に起因する故障も生じない。
【0007】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、押下されたときにクリック感を発生させることでタッチパネルが押下されていることをユーザに通知することができる、丈夫で低コストの座標入力パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様における座標入力パネルは、接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力するタッチパネルと、タッチパネルの一辺付近上に設けられる突起部と、タッチパネル上方に架設され、中央付近に向かうにつれてタッチパネルから離間するよう湾曲したカバーパネルであって、タッチパネルの一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺と、この固定端辺に対向し、突起部の近傍に位置する自由端辺とを有するカバーパネルと、を備える。カバーパネルが押下されると、自由端辺は非押下時における位置から摺動して突起部を乗り越えるとともに、カバーパネルは前記の押下位置でタッチパネルの接触検知面上に接触し、前記の押下が解除されると、自由端辺は摺動して突起部を乗り越えて非押下時における位置に戻る。
【0009】
また、本発明の第2の態様における座標入力パネルは、接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力するタッチパネルと、タッチパネル上方に架設される可撓性を有するカバーパネルであって、中央付近に向かうにつれてタッチパネルから離間するようなドーム形状を有するカバーパネルと、を備える。カバーパネルが所定の強度以上の力で押下されて変形すると、カバーパネルのドーム形状がタッチパネルの方向に変形するとともに、カバーパネルは前記の押下位置でタッチパネルの接触検知面上に接触し、前記の押下が解除されると、カバーパネルは中央付近に向かうにつれてタッチパネルから離間するようなドーム形状に戻る。
【0010】
また、本発明の第3の態様においては、第1のパネルと、この第1のパネルに対面する第2のパネルとを有し、第1のパネルが押下されて第1のパネルと第2のパネルとが接触もしくは最も近接する位置に対応する座標入力信号を出力する座標入力パネルは、第2のパネルは、その一辺付近に突起部を備え、第1のパネルは、第2のパネルの前記の一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺と、この固定端辺に対向し、突起部の近傍に位置する自由端辺とを備えるとともに、中央付近に向かうにつれて第1のパネルが第2のパネルから離間するよう湾曲する形状を有する。第1のパネルが押下されると、自由端辺は非押下時における位置から摺動して突起部を乗り越えるとともに、第1のパネルは前記の押下位置で第2のパネルの接触検知面上に接触し、前記の押下が解除されると、自由端辺は摺動して突起部を乗り越えて非押下時における位置に戻る。
【0011】
また、本発明の第4の態様においては、第1のパネルと、この第1のパネルに対面する第2のパネルとを有し、第1のパネルが押下されて第1のパネルと第2のパネルとが接触もしくは最も近接する位置に対応する座標入力信号を出力する座標入力パネルは、第1のパネルは、可撓性を有するとともに、中央付近に向かうにつれて第2のパネルから離間するようなドーム形状を有する。第1のパネルが所定の強度以上の力で押下されて変形すると、第1のパネルのドーム形状が第2のパネルの方向に変形するとともに、第1のパネルは前記の押下位置で第2のパネルの接触検知面上に接触し、前記の押下が解除されると、第1のパネルは中央付近に向かうにつれて第2のパネルから離間するようなドーム形状に戻る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、押下されたときにクリック感を発生させることでタッチパネルが押下されていることをユーザに通知することができる丈夫な座標入力パネルを低コストで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例による座標入力パネルの概略的な図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0014】
本発明の第1の実施例では、座標入力パネル1は、タッチパネル11と、突起部12と、カバーパネル13とを備える。
【0015】
タッチパネル11は、接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力する。タッチパネルには、押下検出方式により、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、超音波方式、および赤外線方式などに分類されるが、本発明はこれら押下検出方式に限定されるものではなく、どれを用いてもよい。本実施例では、タッチパネル11は、上部フィルム39と下部ガラス40とが両面テープ31によって貼着されて構成される抵抗膜方式を示す。
【0016】
突起部12は、タッチパネル11の一辺付近上に設けられる。突起部12は例えば曲げ弾性率が定常状態で7000kg/cmである硬質プラスチックなどで構成すればよく、あるいは、スチロール樹脂もしくはアクリル樹脂等でもよい。
【0017】
カバーパネル13は、タッチパネル11上方に架設され、中央付近に向かうにつれてタッチパネル11から離間するよう湾曲した形状を有する。そして、カバーパネル13は、タッチパネル11の前記の一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺21と、この固定端辺21に対向し、突起部12近傍に位置する自由端辺22とを有する。カバーパネル13は、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネイトなどで構成すればよい。カバーパネル13の寸法については、例えば60mm×50mmのタッチパネルに対して、カバーパネル13の大きさを55mm×45mm、厚さを約1mm、非押下時におけるカバーパネルとタッチパネルとの最大離間幅を2mmとする。カバーパネルの大きさがほぼ座標入力パネルの操作可能領域に相当することになる。
【0018】
カバーパネル13の固定端辺21は、カバーパネル13とタッチパネル11とを固定するものであるが、例えばカバーパネル13とタッチパネル11とは例えば両面テープや接着剤を用いて固定すればよい。図1に示す第1の実施例では、両面テープ31で固定している。また、図2は本発明の第1の実施例におけるカバーパネル13の固定端辺21の拡大図である。図示のように、カバーパネル13とタッチパネル11とを強固に固定するために両面テープ31で貼着することに加えて、ストッパー32をタッチパネル11上に設け、このストッパー32によりカバーパネル13を繋止してもよい。
【0019】
カバーパネル13の自由端辺22は、詳細については後述するが、カバーパネル13の押下により摺動する。
【0020】
突起部12は、カバーパネル13の非押下時に自由端辺が位置する側の傾斜面がその反対側の傾斜面より急な傾斜を有する。なお、図1の例では、突起部12を1つの部材で構成したが、これ以外の構成であってもよい。図3は、本発明の第1の実施例における突起部の変形例を示す斜視図である。図3の例では、タッチパネル11上に、複数の突起部13が、カバーパネル13の自由端辺22に沿う方向に一列に並んで設けられる。
【0021】
図4は、本発明の第1の実施例による座標入力パネルの動作を説明する断面図である。
【0022】
図4(a)は、カバーパネル13の非押下時を示している。カバーパネル13が押下されると、カバーパネル13の自由端辺22は、図4(a)の非押下時における位置から図4(b)および4(c)に示すように徐々に摺動し、図4(d)に示すように突起部22を乗り越える。上述のように、突起部12は、カバーパネル13の非押下時に自由端辺22が位置する側の傾斜面がその反対側の傾斜面より急な傾斜を有しているので、図4(c)に示す状態よりも図4(b)に示す状態の方が、カバーパネル13の自由端辺22を摺動させるために大きな力が必要である。また、図4(b)と図4(c)とを比較して分かるように突起部12の最上部で傾斜面の傾斜の向きが変わる。したがって、カバーパネル13の自由端辺22が突起部12の最上部を乗り越えるときに、カバーパネル13からユーザの指もしくはペンへ伝達する反発力は急激に変化することになる。これが「クリック感」としてユーザに伝達される。
【0023】
図4(d)に示すように突起部22を乗り越えると、カバーパネル13はユーザの指もしくはペンの押下位置(図示せず)でタッチパネル11の接触検知面上に接触する。これにより、接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力する。
【0024】
ユーザの指もしくはペンによる前記の押下が解除されると、カバーパネル13の自由端辺22は上述の押下中の場合とは逆方向に摺動して突起部12を乗り越え、図4(a)に示すような非押下時における位置に戻る。
【0025】
本発明の第1の実施例では、上述のようにしてカバーパネルの押下時にクリック感を得ることができる。なお、説明を簡便にするために、例えば図1では、タッチパネル11、突起部12およびカバーパネル13を剥き出しの状態で図示しているが、実際の構成ではこれらを覆うための化粧版などを適宜設けてもよい。また、本実施例では、タッチパネル11上に突起部12およびカバーパネル13を設置しているが、突起部12およびカバーパネル13を支持するための台枠を設け、この台枠を介してカバーパネル13をタッチパネル11上方に架設し、あるいはこの台枠上に突起部12を設置してもよい。また、カバーパネル13の非押下時においては、カバーパネル13の自由端辺22が、突起部12に掛止されるようにしてもよく、また、単に突起部12の近傍に位置するようにしてもよい。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施例による座標入力パネルの概略的な図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0027】
本発明の第2の実施例では、座標入力パネル1は、タッチパネル11と、カバーパネル41とを備える。なお、図5(a)においてはタッチパネル11については省略する。
【0028】
タッチパネル11は、上述の第1の実施例の場合と同様である。
【0029】
カバーパネル41は、タッチパネル11上方に架設され、中央付近に向かうにつれてタッチパネル11から離間するようなドーム形状を有する。このドーム形状の底面がタッチパネル11全面を覆うようにするのが好ましい。また、カバーパネル41は、可撓性を有する透明な部材であって、かつ、所定の強度以上の力でカバーパネル41が押下されたときに、カバーパネル41のドーム形状が急激に変化して、それまでタッチパネル11から離れるような方向に湾曲していたものが、タッチパネルに向かう方向に変形するような部材を用いる。この部材の例としては、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネイトなどがある。
【0030】
カバーパネル41の寸法については、例えば60mm×60mmのタッチパネルに対して、カバーパネル41のドーム形状の底面の半径を55mm、厚さを約1mm、非押下時におけるカバーパネルとタッチパネルとの最大離間幅を1mmとする。カバーパネルの大きさがほぼ座標入力パネルの操作可能領域に相当することになる。
【0031】
カバーパネル41とタッチパネル11とは例えば両面テープや接着剤を用いて固定すればよい。なお、図示しないが、カバーパネル13とタッチパネル11とを強固に固定するために両面テープ31で貼着することに加えて、カバーパネル41を繋止するストッパーをタッチパネル11上に設けてもよい。
【0032】
図6は、本発明の第2の実施例による座標入力パネルの動作を説明する断面図である。
【0033】
図6(a)は、カバーパネル41の非押下時を示している。カバーパネル41が押下されると、図6(a)の非押下時における形状から図6(b)に示すように徐々に変形し、図6(c)に示すようにカバーパネル31のドーム形状がタッチパネル11の方向に変形する。上述のように、カバーパネル41は、所定の強度以上の力で押下されたときに、そのドーム形状が急激に変化して、それまでタッチパネル11から離れるような方向に湾曲していたものが、タッチパネルに向かう方向に変形する。したがって、カバーパネル41の形状が急激に変化するときに、カバーパネル41からユーザの指もしくはペンへ伝達する反発力は急激に変化することになる。これが「クリック感」としてユーザに伝達される。
【0034】
図6(c)に示すようにカバーパネル41の形状が変形すると、カバーパネル41はユーザの指もしくはペンの押下位置でタッチパネル11の接触検知面上に接触する。これにより、接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力する。
【0035】
ユーザの指もしくはペンによる前記の押下が解除されると、カバーパネル41は、図6(c)に示すような中央付近に向かうにつれてタッチパネルから離間するようなドーム形状に戻る。
【0036】
本発明の第2の実施例では、上述のようにしてカバーパネルの押下時にクリック感を得ることができる。なお、説明を簡便にするために、例えば図1では、タッチパネル11およびカバーパネル41を剥き出しの状態で図示しているが、実際の構成ではこれらを覆うための化粧版などを適宜設けてもよい。また、本実施例では、タッチパネル11上にカバーパネル41を設置しているが、カバーパネル13を支持するための台枠を設け、この台枠を介してカバーパネル41をタッチパネル11上方に架設してもよい。
【0037】
図7は、本発明におけるカバーパネルの製造の一実施例を説明する図である。
【0038】
上述の第1および第2の実施例におけるカバーパネル13および41は、それぞれ湾曲状またはドーム状というようにそれぞれ曲面形状を有する。図7(a)に示すように、まず、熱収縮率の異なる部材を積層する。そして、図7(b)に示すように、積層された部材を加熱処理することでこの部材を熱主薄くさせ、所望の形状に仕上げる。
【0039】
本発明の第3および第4の実施例は、第1のパネルと、この第1のパネルに対面する第2のパネルとを有し、第1のパネルが押下されて第1のパネルと第2のパネルとが接触もしくは最も近接する位置に対応する座標入力信号を出力する座標入力パネルに適用するものである。ここでは一例として、アナログ抵抗膜方式の座標入力パネルを取り上げる。
【0040】
図8は、本発明の第3の実施例による座標入力パネルの概略的な断面図である。
【0041】
本発明の第3の実施例による座標入力パネル1は、第1のパネル51と、この第1のパネル51に対面する第2のパネル52とを有し、第1のパネル51が押下されて第1のパネル51と第2のパネル52とが接触する位置に対応する座標入力信号を出力する。
【0042】
第2のパネル52は、第1のパネル51に対面する側に透明導電物質であるITO(インジウム錫酸化物)(参照符号62)が成膜されたガラス板からなる。第2のパネル52は、その一辺付近に突起部12を備える。
【0043】
第1のパネル51は、第2のパネル52に対面する側に透明導電物質であるITO(参照符号61)が成膜されたフィルムからなり、中央付近に向かうにつれて第1のパネル51が第2のパネル52から離間するよう湾曲する形状を有する。また、第1のパネル51は、第2のパネル52の前記の一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺21と、この固定端辺21に対向し、突起部12の近傍に位置する自由端辺22とを備える。
【0044】
第1のパネル51が押下されると、自由端辺22は非押下時における位置から摺動して突起部12を乗り越えるとともに、前記の押下位置で第1のパネル51のITO61と第2のパネル52のITO62とが接触する。前記の押下が解除されると、自由端辺22は摺動して突起部12を乗り越えて非押下時における位置に戻る。
【0045】
なお、説明を簡便にするために、図8では、各構成要素を剥き出しの状態で図示しているが、実際の構成ではこれらを覆うための化粧版などを適宜設けてもよい。また、本実施例では、第2のパネル52上に突起部12および第1のパネル51を設置しているが、突起部12および第1のパネル51を支持するための台枠を設け、この台枠を介して第1のパネル51を第2のパネル52上方に架設し、あるいはこの台枠上に突起部12を設置してもよい。また、第1のパネル51の非押下時においては、第1のパネル51の自由端辺22が、突起部12に掛止されるようにしてもよく、また、単に突起部12の近傍に位置するようにしてもよい。
【0046】
図9は、本発明の第4の実施例による座標入力パネルの概略的な断面図である。
【0047】
本発明の第4の実施例による座標入力パネル1は、第1のパネル53と、この第1のパネル53に対面する第2のパネル52とを有し、第1のパネル53が押下されて第1のパネル51と第2のパネル52とが接触する位置に対応する座標入力信号を出力する。
【0048】
第2のパネル52は、第1のパネル53に対面する側に透明導電物質であるITO(参照符号52)が成膜されたガラス板からなる。
【0049】
第1のパネル53は、第2のパネル52に対面する側に透明導電物質であるITO(参照符号63)が成膜された可撓性を有するフィルムからなり、中央付近に向かうにつれて第2のパネル52から離間するようなドーム形状を有する。
【0050】
第1のパネル53が所定の強度以上の力で押下されて変形すると、第1のパネル53のドーム形状が第2のパネル52の方向に変形するとともに、前記の押下位置で第1のパネル53のITO63と第2のパネル52のITO62とが接触する。前記の押下が解除されると、第1のパネル53は元のドーム形状に戻る。
【0051】
なお、説明を簡便にするために、図9では、各構成要素を剥き出しの状態で図示しているが、実際の構成ではこれらを覆うための化粧版などを適宜設けてもよい。また、本実施例では、第2のパネル52上に第1のパネル53を設置しているが、突起部12および第1のパネル53を支持するための台枠を設け、この台枠を介して第1のパネル53を第2のパネル52上方に架設し、あるいはこの台枠上に突起部12を設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、押下されたときにクリック感を発生させることでタッチパネルが押下されていることをユーザに通知することができる丈夫な座標入力パネルを低コストで実現することができる。そのシンプルな構造ゆえ、外部からの振動にも強いので、例えばPDAなどの情報携帯端末、ノート型パソコン、携帯電話などにおける座標入力パネルとして特に適する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施例による座標入力パネルの概略的な図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるカバーパネル13の固定端辺21の拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施例における突起部の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例による座標入力パネルの動作を説明する断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例による座標入力パネルの概略的な図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例による座標入力パネルの動作を説明する断面図である。
【図7】本発明におけるカバーパネルの製造の一実施例を説明する図である。
【図8】本発明の第3の実施例による座標入力パネルの概略的な断面図である。
【図9】本発明の第4の実施例による座標入力パネルの概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…座標入力パネル
11…タッチパネル
12…突起部
13、41…カバーパネル
21…固定端辺
22…自由端辺
31…両面テープ
51、53…第1のパネル
52…第2のパネル
61、62…ITO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力するタッチパネルと、
前記タッチパネルの一辺付近上に設けられる突起部と、
該タッチパネル上方に架設され、中央付近に向かうにつれて前記タッチパネルから離間するよう湾曲したカバーパネルであって、前記タッチパネルの前記一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺と、該固定端辺に対向し、前記突起部の近傍に位置する自由端辺とを有するカバーパネルと、
を備え、
前記カバーパネルが押下されると、前記自由端辺は非押下時における位置から摺動して前記突起部を乗り越えるとともに、前記カバーパネルは前記の押下位置で前記タッチパネルの前記接触検知面上に接触し、
前記の押下が解除されると、前記自由端辺は摺動して前記突起部を乗り越えて前記非押下時における位置に戻ることを特徴とする座標入力パネル。
【請求項2】
前記突起部は、非押下時に前記自由端辺が位置する側の傾斜面がその反対側の傾斜面より急な傾斜を有する請求項1に記載の座標入力パネル。
【請求項3】
接触検知面上の接触位置に対応した座標入力信号を出力するタッチパネルと、
該タッチパネル上方に架設される可撓性を有するカバーパネルであって、中央付近に向かうにつれて前記タッチパネルから離間するようなドーム形状を有するカバーパネルと、
を備え、
前記カバーパネルが所定の強度以上の力で押下されて変形すると、前記カバーパネルのドーム形状が前記タッチパネルの方向に変形するとともに、前記カバーパネルは前記の押下位置で前記タッチパネルの前記接触検知面上に接触し、
前記の押下が解除されると、前記カバーパネルは中央付近に向かうにつれて前記タッチパネルから離間するような前記ドーム形状に戻ることを特徴とする座標入力パネル。
【請求項4】
前記カバーパネルは、熱収縮率の異なる部材を積層し、加熱処理することで生成される請求項1または3に記載の座標入力パネル。
【請求項5】
第1のパネルと、該第1のパネルに対面する第2のパネルとを有し、前記第1のパネルが押下されて前記第1のパネルと前記第2のパネルとが接触もしくは最も近接する位置に対応する座標入力信号を出力する座標入力パネルであって、
前記第2のパネルは、その一辺付近に突起部を備え、
前記第1のパネルは、前記第2のパネルの前記一辺に対向する他の一変付近に固定される固定端辺と、該固定端辺に対向し、前記突起部の近傍に位置する自由端辺とを備えるとともに、中央付近に向かうにつれて前記第1のパネルが前記第2のパネルから離間するよう湾曲する形状を有し、
前記第1のパネルが押下されると、前記自由端辺は非押下時における位置から摺動して前記突起部を乗り越えるとともに、前記第1のパネルは前記の押下位置で前記第2のパネルの前記接触検知面上に接触し、
前記の押下が解除されると、前記自由端辺は摺動して前記突起部を乗り越えて前記非押下時における位置に戻ることを特徴とする座標入力パネル。
【請求項6】
前記突起部は、非押下時に前記自由端辺が位置する側の傾斜面がその反対側の傾斜面より急な傾斜を有する請求項5に記載の座標入力パネル。
【請求項7】
第1のパネルと、該第1のパネルに対面する第2のパネルとを有し、前記第1のパネルが押下されて前記第1のパネルと前記第2のパネルとが接触もしくは最も近接する位置に対応する座標入力信号を出力する座標入力パネルであって、
前記第1のパネルは、可撓性を有するとともに、中央付近に向かうにつれて前記第2のパネルから離間するようなドーム形状を有し、
前記第1のパネルが所定の強度以上の力で押下されて変形すると、前記第1のパネルのドーム形状が前記第2のパネルの方向に変形するとともに、前記第1のパネルは前記の押下位置で前記第2のパネルの前記接触検知面上に接触し、
前記の押下が解除されると、前記第1のパネルは中央付近に向かうにつれて前記第2のパネルから離間するような前記ドーム形状に戻ることを特徴とする座標入力パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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