説明

座標測定装置の多座標測定テーブル用前進手段およびそのような前進手段の制御方法

【課題】 座標測定装置の多座標測定テーブル用前進手段およびそのような前進手段の制御方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、座標軸(x、y)毎に摩擦ロッド(10、12)とモータとを有する駆動ユニット(22)を備える多座標測定テーブル用前進手段に関する。モータは、そのモータシャフト(19)で摩擦ロッド(10、12)の一方側と接触し、少なくとも1つの押圧ローラ(20)が、摩擦ロッド(10、12)の他方側と接触する。押圧ローラ(20)と、摩擦ロッド(10、12)と、モータシャフト(19)とを互いに対して押圧力で付勢することにより、モータシャフト(19)を摩擦ロッド(10、12)と摩擦係合させ、モータの回転運動を摩擦ロッド(10、12)の直線運動に変換する少なくとも1つの押圧手段(25)が設けられている。そのような前進手段を制御する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の特徴を有する多座標測定テーブル用前進手段に関する。さらに、本発明は、請求項7の前文の特徴を有する前進手段の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプの座標測定テーブルは、半導体産業で基板を測定する高精度座標測定装置に用いられている。そのような座標測定テーブルを有する座標測定装置が、(非特許文献1)に記載されている。この測定装置は、基板、例えばマスクおよびウェハ上の構造要素のエッジの座標の高精度測定に役立つ。
【0003】
(特許文献1)には、上記のタイプの改良された座標測定テーブル、ならびにマスクおよびウェハなどの基板上の構造要素のエッジの座標の高精度測定用の座標測定装置が記載されている。座標測定装置は、x方向およびy方向に水平変位可能な上記のタイプの座標測定テーブルを備える。座標測定装置は、エッジ座標が測定される構造を有する基板を受容するのに役立つ。さらにまた、別体の干渉計光学測定光路が、測定テーブルの各座標軸(x、y)に関連している。互いに直交する測定テーブルの2辺に、2つの干渉計光学測定光路の端部に位置する測定ミラーが搭載されている。測定テーブルの位置は2つの測定ミラーにより干渉的に決定され得る。座標測定テーブルは座標軸毎に摩擦ロッドとモータとを有する駆動ユニットを備える。モータはそのモータシャフトで摩擦ロッドの一方側と接触する一方で、加圧ローラが摩擦ロッドの他方側と接触する。少なくとも1つのばねが設けられており、このばねは、加圧ローラと、摩擦ロッドと、モータシャフトとを互いに対して押圧力で付勢する。これにより、モータシャフトが摩擦ロッドに摩擦係合するため、モータの回転運動が摩擦ロッドの直線運動に変換される。
【0004】
さらなる座標測定テーブルが、(特許文献2)に記載されている。摩擦ロッドとモータとを有する駆動軸が座標軸毎に設けられている。モータはそのモータシャフトで摩擦ロッドの一方側と接触し、加圧ローラが摩擦ロッドの他方側に接触する。さらにまた、加圧ばねが上記の部分を互いに対して付勢する働きをすることにより、モータシャフトを摩擦ロッドと摩擦係合させ、モータの回転運動を摩擦ロッドの直線運動に変換する。
【0005】
(特許文献3)には、テーブルを位置決めする摩擦駆動装置が開示されている。摩擦バーもモータシャフトまたは摩擦ホイールにより直接駆動される。摩擦バーは、一方側で支持ローラにより支持される。摩擦バーの他方側では、摩擦ホイールが2つの支持ホイールにより支持されている。支持ローラは、ある手段により摩擦バーに対して付勢される。摩擦力の自動適合は可能ではない。
【0006】
(特許文献4)には、摩擦駆動装置が開示されている。摩擦駆動装置は、摩擦ホイールと、少なくとも間歇的に摩擦ホイールと摩擦係合する対抗部とを含む。さらに、摩擦ホイールと対抗部とを互いに押圧するように設計された力要素が設けられている。力要素は、指向された気流60を導く空気路と、空気路内の少なくとも1つの開口とを含む。導かれた気流は、開口の領域に空気圧を生じ、それが摩擦係合を発生させる。この装置は、摩擦ホイールがX座標方向およびY座標方向に移動可能なテーブルの必要な負荷変化に適合することを保証できない。
【0007】
(特許文献5)には、摩擦駆動装置が開示されている。しかし、この文献は、摩擦バーの駆動装置または直線駆動装置にはまったく関係がなく、摩擦駆動装置により一方が他方を駆動する、互いに協働する2つのホイールを記載しているに過ぎない。
【0008】
(特許文献6)には、ソフト手段が設けられた摩擦駆動装置の制御方法および装置が開示されている。この目的のため、他のホイールと協働するホイールには、そのホイールを第2のホイールと近接させるように押圧する可動バーが設けられている。この文献には、本発明で必要であるような構成は何ら開示されていない。
【0009】
上記のタイプの座標測定装置は、5nm未満の範囲の再現性で座標を決定するのに役立つ。この測定精度は、上記したように、主に測定テーブルのx/y位置決め精度および高さ処理精度に依存するため、非常に高い要件が、測定テーブルの構造により満たされなければならない。比較的大きい質量が移動されるのに、モータと摩擦ロッドとの間の摩擦接続が一部失われる場合があるため、本来望ましい位置決め精度の大部分は、付随するスリップのために失われる場合がある。非常に速い前進移動および高いテーブル加速中に望ましくないスリップ効果も発生し得る。
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第101 40 174A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102 36 239A1号明細書
【特許文献3】米国特許第4,378,709号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2005 036 718A1号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/010364A2号パンフレット
【特許文献6】特開2002−310264A号公報
【非特許文献1】K.D.レスロース(RoethRoeth)およびK.リン(RinnRinn)、論文「半導体製造用ライカLMS IPROによるマスク測定学(mask maskmetrology metrology with withLeica LeicaLMS LMSIPRO for semiconductor IPRO for semiconductor production production)」、科学技術報告(Mitteilungen fuer Mitteilungen fuerWissenschaft und Technik Wissenschaft und Technik)、1997年10月、第XI巻、第5号、130〜135頁、1997年10月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、本発明の目的は、より大きいテーブル体積に対しておよび/または高調整速度および/または加速度に対しても、正確な位置決め精度を可能にする多座標測定テーブル用前進手段および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、モータを押圧する力を可変に適合させる制御可能調整手段、および/または摩擦ロッドに対する反軸受を備え、押圧力が摩擦ロッドの加速度に応じて調整可能である多座標測定テーブル用の前進手段により達成される。
【0013】
本発明の多座標測定テーブルは、座標軸毎に摩擦ロッドとモータとを有する駆動ユニットを備える。モータはそのモータシャフトで摩擦ロッドの一方側と接触する一方で、少なくとも1つの加圧ローラまたは押圧ローラが摩擦ロッドの他方側と接触する。さらにまた、加圧ローラと、摩擦ロッドと、モータシャフトとを互いに対して押圧力で付勢することにより、モータシャフトを摩擦ロッドと摩擦係合させ、モータの回転運動を摩擦ロッドの直線運動に変換する少なくとも1つの押圧手段が設けられている。本発明の前進手段において、押圧手段は、押圧力に可変に適合するそれぞれの摩擦ロッドの加速度に応じて駆動可能な調整手段を備える。このようにして、押圧力が必要に応じて増加され得ることにより、回転モータシャフトと直線移動摩擦ロッドとの間の望ましくないスリップを最大限に低減するかまたはなくし得る。モータが静止しているかまたは摩擦ロッドおよびそこに結合された測定テーブルの遅い前進移動を伴ってゆっくり回転している際の押圧力を低減することにより、移動要素、特にモータシャフトおよび摩擦ロッドが受ける応力が低減される。このようにして、これらの要素の寿命が延び、全体としての測定テーブルの移動部の故障の可能性が低下するため、システム全体の信頼性が改善される。最終的には、摩擦ロッドを駆動するローラの押圧力の本発明の制御性は、測定テーブルの精度を改善するのに役立つが、それは測定テーブルを変位させるためのすべての制御命令が一定の精度で実行されるからである。
【0014】
本発明の前進手段の変形例において、加圧ローラが、摩擦ロッドに対する押圧力を変更する調整手段に結合された加圧ローラ保持要素上に配置されている。具体的には、本発明の好適な実施形態は、モータシャフトが1つまたは2つの支持ローラと動作接続され、支持ローラが、モータシャフトを互いに付勢されたシャフトまたはローラの押圧力に対抗して支持して、それらの軸受が過負荷されずに長時間の応力に確実に耐えるようにする。支持ローラおよび押圧ローラは、例えば調整可能な枠内に位置決めされ、支持ローラにより支持されたモータシャフトは摩擦ロッドの一方側に配置され、押圧ローラは他方側に配置される。具体的には、調整手段はリニアモータを含み得る。有利な変形例によれば、調整手段のこのリニアモータはピエゾ駆動装置として実施され得る。しかし、本発明は、他のタイプの直線駆動装置、例えば電磁、液圧または空気圧作動駆動装置も含む。
【0015】
必要な調整進行に応じて、リニアモータとしてのピエゾ駆動装置は、通例、複数の同一ピエゾディスクで構成されたピエゾスタックを含み、その非常に僅かな個々の進行が、直列配列によりまとめられてより大きい全体進行を生じ得る。このようなピエゾ直線駆動装置の特別な利点は、所与の進行の非常に正確な制御および、代替例として記載した直線駆動の調整速度よりかなり高い、非常に高い調整速度である。そのため、調整進行は、通例、同程度の電磁駆動装置に比べて同じ調整進行のための調整時間の約30%しか必要としないようなピエゾ駆動装置で行われ得る。
【0016】
本発明の前進手段の一実施形態は、調整手段が静止軸を中心に枢動可能な枢動アームを含み、リニアモータが枢動アームの自由端上に配置されるようにし得る。この構成により、非常に単純且つ低コストの軸受および部品の配列の実現が可能になる。加えて、ピエゾスタックの自由端は、摩擦ロッドと直接またはその上に配置されたローラを介して協働する必要がない。枢動アーム軸受は構成の点ではるかに容易に実施され得るとともに、対応遊動軸受に所望の精度を提供する。必要に応じて、例えば力測定センサまたはいわゆる負荷セルの形状の力測定手段を、直線駆動装置と調整手段との間に配置し得る。このセンサを用いて、摩擦ロッドに作用する押圧力を常に正確に調節し得る。
【0017】
特に、多座標測定テーブルは、上記の実施形態のうちの1つによる本発明の前進手段を備えるX/Y座標測定テーブルであり得る。この前進手段において、加圧ローラの軸受は、例えば玉軸受または自己調心玉軸受または針状ころ軸受として実施され得る。これらの軸受は、調整精度に影響を及ぼさないように最小量の軸受遊びを有さなければならない。しかし、同時に、軸受は非常に滑らかに移動しなければならず、システム全体に対して静摩擦トルクを生じてはならない。
【0018】
なお、本発明は、そのような前進手段を制御する対応方法にも関し、加圧ローラおよび/またはモータシャフトに対する押圧力は、摩擦ロッドの前進速度および/または加速度に応じて可変に設定される。本発明の前進手段の上記の態様はこの方法にも同様に適用される。
【0019】
以下、実施形態は、添付の図面を参照して本発明およびその利点をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1の概略斜視図が、従来技術による多座標測定装置または多座標測定テーブルを示す一方で、図2、3および4は、そのような多座標測定テーブル用の本発明の前進手段の構造および作用をより詳細に説明するのに役立つ。
【0021】
図1の図は、例えば独国特許出願公開第102 36 239A1号明細書に記載されたような完全に組み立てされた座標測定テーブル1の3次元図を示す。中間部4が上方に配置された基部2が示されている。中間部4は、y案内要素6および追加支持要素13上に敷設されており、それらの要素は両方とも、支持空気軸受7により基部2の平面上に支持されており、その上で摺動変位可能である。中間部4のx方向の変位のために、基部2は溝として実施されるx案内要素3を備える。x方向の移動を案内するx案内要素3と係合する、中間部4上に配列された案内空気軸受8は、本図では隠れている。
【0022】
x移動を達成するために、中間部4は、x駆動要素9の回転運動を中間部4に伝達するx摩擦ロッド10に接続されている。x駆動要素9のモータシャフト19と反対側には、加圧ローラ20が、x摩擦ロッド10と摩擦接続して配置されている。この目的のため、加圧ローラ20、x摩擦ロッド10およびモータシャフト19は、モータシャフト19がx摩擦ロッドと摩擦係合するように、図示しない少なくとも1つのばねの押圧力で互いに付勢されている。
【0023】
x駆動要素9のモータシャフト19は、押圧力と反対方向の補償力を生成する補償手段21と関連しており、補償力はモータシャフト19に向けられて押圧力を補償する。これにより、モータシャフト19および摩擦ロッドの摩耗が最大限に低減するような押圧力の適用が可能になる。
【0024】
中間部4の上方には、中間部4を越えて延びるテーブル本体5が配置されている。テーブル本体5は、数個の支持空気軸受7によって基部2の表面に支持されており、y案内要素6に沿ってy方向に摺動変位可能である。このy案内要素6がx方向に移動可能な中間部4を担持しているため、テーブル本体5は、x方向の中間部4の各移動に追随させられる。
【0025】
y案内要素6に面するテーブル本体5の外側には、y直定規15が搭載された2つの保持要素14が配置されている。y直定規15の外側には、数個の案内空気軸受8が配置されており、軸受8は、y案内要素6の外側に対して位置決めされており、y案内要素6に沿ったテーブル本体5の正確な移動を確実にする。y移動を達成するために、y摩擦ロッド12を用いて回転運動がテーブル本体5に伝達されるy駆動要素11が、基部2上に静止配置されている。
【0026】
その一端で、y摩擦ロッド12が、環状空気軸受16によってx方向に延びるプッシュバー17と係合しているため、y摩擦ロッド12のy移動をテーブル本体5に伝達する。加圧ローラ20がモータシャフト19と反対側でy摩擦ロッド12に摩擦接続されている。この目的のため、加圧ローラ20、y摩擦ロッド12およびモータシャフト19は、モータシャフト19がy摩擦ロッド12と摩擦係合するように、図示しない少なくとも1つのばねの押圧力で互いに付勢されている。
【0027】
y駆動要素11のモータシャフト19も、押圧力と反対方向の補償力を生成する補償手段21と関連しており、補償力はモータシャフト19に向けられて押圧力を補償する。基部2、中間部4およびテーブル本体5は各々、重畳配置された内部開口18を有し、開口は透過光測定のために透過光領域を確保する。
【0028】
図2は、図1による多座標測定装置1の一部であり得る、摩擦ロッド10を有する前進手段の斜視図を示す。前進手段は、続く図を参照して詳細に説明する駆動ユニット22を含む。電動モータの形状の駆動要素9が摩擦ロッド10に直接作用するモータシャフト19を駆動することにより、モータシャフト19の回転運動が摩擦ロッド10の直線前進運動に変換される。駆動要素9は枠23の下方に配置されているが接続されていない。枠23は押圧手段25を備え、押圧手段25は調整手段27と協働して、モータシャフト19を摩擦ロッド10に押圧する一定力を提供するためスリップを防止する。
【0029】
図3は、直線変位可能摩擦ロッド10を有する図2の前進手段の概略斜視図を示す。モータシャフト19用の2つの支持ローラ24が、加圧ローラ保持要素上、または枠部23の枢動アーム26上に配置され、回転可能に位置決めされていることが分かる。枢動アーム26は、モータシャフト19に対する支持ローラ24の押圧力を変更する調整手段27に結合されている。閉鎖枠23の他方側には、押圧ローラ20が配置され、回転可能に位置決めされているため、摩擦ロッド10はモータシャフト19と押圧ローラ20との間に案内され、モータの駆動により直線変位され得る。押圧手段25の枢動アーム26上に2つの支持ローラ24を配置したことにより、モータシャフト19と押圧ローラ20との間に作用する押圧力は変更可能であるため、摩擦ロッド10は滑ることなく案内され得る。
【0030】
一方側で枠23上に搭載された押圧手段25の枢動アーム26は、リニアモータ29として実施される調整手段27により作動される。本発明の好適な実施形態によれば、特にピエゾ駆動装置がリニアモータ29として用いられるが、それはそのようなピエゾ駆動装置が非常に短時間に高精度な調整移動を行い得るため、摩擦ロッド10の前進速度および加速度に応じて、2つの支持ローラ24がモータシャフト19または押圧ローラ20に向かう多少の力で押圧され得るからである。力測定センサ36が、リニアモータ29と枢動アーム26との間に配置され、摩擦ロッド10の前進速度に応じたピエゾ駆動装置における適正な押圧力を設定可能にする。
【0031】
図4の概略図は、個々の構成要素が内部に配置された駆動ユニット22の枠23のさらなる斜視図を示す。図4および図5は、2つの支持ローラ24が、支持ローラ保持要素上または枠部23の枢動アーム26上に配置されていることを示す。枢動アーム26は、モータシャフト(図示せず)に対する支持ローラ24の押圧力を変更する調整手段(図示せず)に結合されている。閉鎖枠23の他方側には、単一押圧ローラ20が、摩擦ロッドがモータシャフト19と押圧ローラ20との間に案内され得るとともにモータの駆動により直線変位され得るように位置決めされている。図4に示した調整手段の部分のみが力測定センサ36であり、リニアモータのアクチュエータにより作用される。枢動アーム26は静止軸28を中心に枢動可能であり、リニアモータは枢動アーム26の自由端に配置されて直線調整移動を枢動アーム26の非常に小さい枢動角度に変換し、最終的にモータシャフト19に対する支持ローラ24の所望の接近移動をもたらす。
【0032】
リニアモータ29および力測定センサ36が搭載可能であるように、力測定センサ36が、枠23の残りの部分に固着された枠部30上に配置され、枠23へのその接続部31が、例えばねじ接続部として実施され得る。この枠部30上への調整手段27の力測定センサ36の固着は、図5の詳細図に図示されている。枠部30の縦延長部に対して平行な方向に直線変位可能である力測定センサ36の調整軸32は、ピエゾ駆動装置の調整移動を結合要素33および接続ロッド34を介して枢動アーム26に伝達する。円板ばねスタック35が階段状接続ロッド34と枢動アーム26の対応レセプタクルとの間に配置されており、その規定ばね定数は一方で調整移動のある減衰を提供し、他方で押圧ローラ20に対する枢動アーム26またはそれらの間の摩擦ロッドの所望の付勢を提供する。
【0033】
図5の詳細図は、この前進手段の詳細を示す一方で、図6は、図5の詳細図であり、円板ばねスタックとその配置を図示している。明瞭化のため摩擦ロッドの図示は図4および5では省略した。しかし、測定テーブルを駆動する摩擦ロッド用の図示の駆動ユニットの基本的機能は、図1に示した既知の変形例と基本的には異ならない。加えて、この点で多座標測定テーブルが必ずしもいわゆるX/Y座標測定テーブルでなければならないことはなく、本発明の前進手段を有利に用い得る一方向またはいくつかの方向に水平変位可能な測定テーブルの他の変形例も考えられることに留意されたい。
【0034】
図6は図5の詳細図Xを縦断面で示す。これは枢動アーム26と力測定センサ36またはリニアモータの接続ロッド34との間に配置された円板ばねスタック35を示す。結合要素33がより詳細に示されており、例えば図示の実施形態と同様にボールジョイントとして実施され得る。
【0035】
本発明によれば、押圧力がそれぞれの摩擦ロッドの加速度に応じて可変制御されるように、調整手段27またはリニアモータ29に押圧手段25を駆動させるように動作する制御手段(図示せず)が提供される。このようにして、必要とされる高押圧力を遅い調整移動に対しても維持する必要なくまたはモータを休止させて、速い調整移動およびそれに付随する摩擦ロッドの高加速度に対しても滑らない動力伝達が確保され得る。不変の高押圧力は、モータシャフト19の軸受に比較的高い応力をもたらすため、比較的強い摩耗を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術の座標測定装置の概略斜視図を示す。
【図2】図1の多座標測定装置の一部であり得る、摩擦ロッドを有する前進手段の斜視図を示す。
【図3】直線変位可能な摩擦ロッドを有する図2の前進手段の概略図を示す。
【図4】図3の前進手段を斜視詳細図で示す。
【図5】図4の前進手段のさらなる詳細図を示す。
【図6】図5の詳細図Xを縦断面で示す。
【符号の説明】
【0037】
1 座標測定テーブル、多座標測定装置
2 基部
3 x案内要素
4 中間部
5 テーブル本体
6 y案内要素
7 支持空気軸受
8 案内空気軸受
9 x駆動要素
10 x摩擦ロッド
11 y駆動要素
12 y摩擦ロッド
13 支持要素
14 保持要素
15 y直定規
16 環状空気軸受
17 プッシュバー
18 内部開口
19 モータシャフト
20 加圧ローラ、押圧ローラ
21 補償手段
22 駆動ユニット
23 枠
24 支持ローラ
25 押圧手段
26 枢動アーム
27 調整手段
28 静止軸
29 リニアモータ
30 枠部
31 接続部
32 調整軸
33 結合要素
34 階段状接続ロッド
35 円板ばねスタック
36 力測定センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標軸毎に摩擦ロッドとモータとを有し、前記モータがそのモータシャフトで前記摩擦ロッドの一方の側と接触する駆動ユニットと、
前記摩擦ロッドの反対側と接触している少なくとも1つの押圧ローラと、
前記モータシャフトと接触し、加圧ローラ保持要素または枠部上に配置された2つの支持ローラと、
前記押圧ローラと、前記摩擦ロッドと、前記2つの支持ローラと、前記モータシャフトとを互いに対して押圧力で付勢することにより、前記モータシャフトを前記摩擦ロッドと摩擦係合させ、前記モータシャフトの回転運動を前記摩擦ロッドの直線運動に変換する少なくとも1つの押圧手段と、
前記押圧手段と関連する調整手段とを備え、前記調整手段が前記押圧力を可変に適合させるように前記それぞれの摩擦ロッドの加速度に応じて駆動可能であり、また前記調整手段が静止軸を中心に枢動可能である、前記2つの支持ローラを有する枢動アームを含む、座標測定装置の多座標測定テーブル用前進手段。
【請求項2】
少なくとも1つの押圧ローラおよび/または前記2つの支持ローラが、各摩擦ロッドに対する前記押圧力を変更するため前記調整手段に結合された、前記加圧ローラ保持要素または前記枠部上に配置される、請求項1に記載の前進手段。
【請求項3】
前記調整手段がリニアモータを含む、請求項1に記載の前進手段。
【請求項4】
前記調整手段の前記リニアモータがピエゾ駆動装置として実施される、請求項3に記載の前進手段。
【請求項5】
前記調整手段が前記静止軸を中心に枢動可能な枢動アームを含み、前記リニアモータが前記枢動アームの自由端上に配置される、請求項4に記載の前進手段。
【請求項6】
前記押圧ローラとおよび前記2つの支持ローラの軸受が、玉軸受または自己調心玉軸受または針状ころ軸受として実施される、請求項1に記載の前進手段。
【請求項7】
座標軸毎に摩擦ロッドとモータとを有し、前記モータがそのモータシャフトで前記摩擦ロッドの一方の側と接触し、少なくとも1つの押圧ローラが前記摩擦ロッドの他方側と接触する、駆動ユニットを設けるステップと、
加圧ローラ保持要素または枠部上に配置された2つの支持ローラを各モータシャフトと接触させるステップと、
前記押圧ローラと、前記摩擦ロッドと、前記2つの支持ローラと、前記モータシャフトとを互いに対して押圧力で付勢することにより、前記モータシャフトを前記摩擦ロッドと摩擦係合させ、それにより前記モータシャフトの回転運動を前記摩擦ロッドの直線運動に変換する少なくとも1つの押圧手段を設けるステップと、
前記押圧手段に作用する前記押圧力を可変に適合させるステップとを含み、前記適合が前記それぞれの摩擦ロッドの加速度に応じ、調整手段が、静止軸を中心に枢動される、前記2つの支持ローラを有する枢動アームを含む、座標測定装置の多座標測定テーブル用前進手段の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−14714(P2009−14714A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159107(P2008−159107)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(502124798)ヴィステック セミコンダクタ システムス ゲーエムベーハー (41)
【Fターム(参考)】