説明

廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置およびこの廃棄材料供給装置を備える廃棄材料の比重液分別機

【課題】比較的小型で大きな設置場所がなくても設置できるコンパクトな廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置およびこの廃棄材料供給装置を備える比重液分別機を提供する。
【解決手段】比重液槽1内に突入配置して廃棄材料供給円筒14を設け、この廃棄材料供給円筒14の下部先端開口21を比重液槽1内の底部に向けて配置し、廃棄材料供給円筒14内に駆動モーター16により回転する回転軸15を設け、この回転軸15に廃棄材料を押し込み供給する突片17を放射方向に突設してなることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄された各種電子機器、家庭用電気製品等の廃棄材料を破砕して、この廃棄材料を比重液により分別する廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置およびこの廃棄材料供給装置を備える廃棄材料の比重液分別機に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てカメラ、各種小型電子機器あるいは家庭用電気製品等は使用し終わったら廃棄されるが、これらには再使用される材料が多く含まれている。特に廃棄プラスチック材料には再生される材料が多い。
従来から、これら廃棄材料を破砕して種々の材料に分別する手段として、比重液分別手段が公知であり使用されている。即ち、比重液より比重の重い材料を比重液槽内で沈殿させ、比重液より比重の軽い材料を比重液槽上に浮遊させ、これらを分別させる手段である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従前公知の比重液分別機は、比重液槽を多数連接して構成され、比較的大掛かりとなり、装置として設置するのに広い場所が必要となるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、比較的小型で大きな設置場所がなくても設置できるコンパクトな廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置およびこの廃棄材料供給装置を備える比重液分別機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのため、本発明の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置は、比重液槽内に突入配置して廃棄材料供給円筒を設け、この廃棄材料供給円筒の下部先端開口を比重液槽内の底部に向けて配置し、廃棄材料供給円筒内に駆動モーターにより回転する回転軸を設け、この回転軸に廃棄材料を押し込み供給する突片を放射方向に突設してなることを特徴とするものである。
さらに、本発明の廃棄材料の比重液分別機は、比重液槽内の底部から斜めに配置して位置付けた排出用スクリュー筒を設ける一方、比重液槽の上部内に一端を介入して僅かに斜めに配置して位置付けた排出スクリュー筒を設けてあり、さらに上記請求項1乃至5の何れかに記載した廃棄材料供給装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置は、比重液槽内に突入配置して廃棄材料供給円筒を設け、この廃棄材料供給円筒の下部先端開口を比重液槽内の底部に向けて配置し、廃棄材料供給円筒内に駆動モーターにより回転する回転軸を設け、この回転軸に廃棄材料を押し込み供給する突片を放射方向に突設してなることを特徴とするから、廃棄材料供給円筒内に比重液が充満し、廃棄材料を比重液に馴染ませることができ、また、廃棄材料供給円筒内に廃棄材料が詰まって入っている中で回転軸が回転し、突片により廃棄材料を押し込み供給するから、廃棄材料同士が摩擦、揉み合って廃棄材料の表面に付着した油、汚れをよく取り除くことができる効果がある。さらに廃棄材料供給円筒の下部先端開口を比重液槽内の底部に向けて配置してあることにより、廃棄材料は比重液槽内の底で開放され、比重液槽内で長く移動することになり、沈殿物又は浮遊物を正確に分離することができる効果がある。
【0006】
さらに、本発明の廃棄材料の比重液分別機は、比重液槽内の底部から斜めに配置して位置付けた排出用スクリュー筒を設ける一方、比重液槽の上部内に一端を介入して僅かに斜めに配置して位置付けた排出スクリュー筒を設けてあり、さらに上記請求項1乃至5の何れかに記載した廃棄材料供給装置を備えることを特徴とするから、多数の比重液槽を必要とすることなく、比較的小型の1つの比重液槽があれば分別作業ができ、大きな設置場所の必要がなく、コンパクトで経済的な比重液分別機を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の廃棄材料供給装置を備える廃棄材料の比重液分別機の正面図である。
【図2】本発明の廃棄材料供給装置の廃棄材料供給円筒の拡大断面図である。
【図3】同じく廃棄材料供給円筒の軸方向に沿う拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の廃棄材料供給装置を備える廃棄材料の比重液分別機の正面図である。
この図1中に本発明の廃棄材料供給装置Aが示されている。
この廃棄材料供給装置Aは、後述する廃棄材料の比重液分別機の比重液槽1内に突入配置して廃棄材料供給円筒14を設けてあり、この廃棄材料供給円筒14の下部先端開口21を比重液槽1内の底部に向けて配置してあり、廃棄材料供給円筒14内に駆動モーター16により回転する回転軸15を儲け、この回転軸15に廃棄材料を押し込み供給する突片17を放射方向に突設してある。
【0009】
廃棄材料供給円筒14の内面には、4本の等間隔をおき、回転軸15の軸方向に平行する内向きリブ22を設けてある。また、上記突片17は、回転軸15に沿って等寸法、等角度づつ向きを変えて放射方向に配列して設けてあり、図示した実施例では上記等角度が90°である。
上記突片17は、廃棄材料供給円筒14内に供給された廃棄材料を比重液槽1内に押し込み供給するよう、廃棄材料の押し込み方向に対して偏角可能としてある。そのために、突片17の基端に軸23を設け、この軸23を回転軸15に貫通し、ナット24により適宜位置に偏角可能にネジ止めするようにしてある。 また、廃棄材料供給円筒14の上部に廃棄材料の供給を受けるホッパー12に連通する開口13を設けてある。
【0010】
本発明の廃棄材料供給装置では、廃棄材料供給円筒14内に比重液が充満し、
廃棄材料を比重液に馴染ませることができ、また、廃棄材料供給円筒14内に廃棄材料が詰まって入っている中で回転軸15が高速回転し、突片17により廃棄材料を押し込み供給するから、廃棄材料同士が摩擦、揉み合って廃棄材料の表面に付着した油、汚れをよく取り除くことができる。さらに、廃棄材料供給円筒14の下部先端開口21を比重液槽1内の底部に向けて配置してあることにより、廃棄材料は比重液槽1内の底で開放され、比重液槽1内で長く移動することになり、沈殿物又は浮遊物を正確に分離することができる。
【0011】
次に、本発明の廃棄材料の比重液分別機について説明する。
図中符合1が比重液槽で、基礎枠2上に設置してある。この比重液槽1は正面から見て、下側半分以上の部分が逆三角形状をしており、前後方向には平面状長方形となっている。
この比重液槽1中には比重液が収められ、この比重液は分別する廃棄材料によって選択される。この比重液は単なる水の場合もあり、食塩水、アルコール混合水等がある。単なる水の場合は水より比重の重い廃棄材料が沈殿し、水より軽い廃棄材料が浮遊する。食塩水の場合は塩分量にもよるが、比重が1.01〜1.20程になり、この比重より重い材料と軽い材料を分別する。逆に、アルコール混合水は比重が0.99〜0.80程になり、この比重より重い材料と軽い材料を分別する。
【0012】
比重液槽1の傾斜する側壁3に沿って、側壁3の外側に比重液槽1の底部4から斜めに排出用スクリュー筒5を設けてある。この排出用スクリュー筒5は円筒であり、内部にスクリュー軸6を設けてあり、このスクリュー軸6を駆動モータ7により回転する。
上記比重液槽1の側壁3の下半部とスクリュー筒5とにそれぞれ開口部8を設けてあり、比重液槽1とスクリュー筒5とを連通させてある。
【0013】
一方、比重液槽1の上部に浮遊する廃棄材料を排出する排出用スクリュー筒9を設け、その一端を水槽1の上部内に介入しており、この排出用スクリュー筒9は僅かに斜めに配置して位置付けてある。この排出用スクリュー筒9にも内部にスクリュー軸10を設け、このスクリュー軸10を駆動モータ11により回転するようにしてある。
この他図中18は排出用スクリュー筒5上の上端に設けた排出口であり、同じく図中19は排出用スクリュー筒9に設けた排出口であり、図中20,20は浮遊する廃棄材料を排出用スクリュー筒9の方に移動させる回転部材である。
【0014】
上記の通りの構成からなる本発明比重液分別機の作用につき説明する。
先ず、分別する破砕された廃棄材料をホッパー12内に投入すると、この廃棄材料が廃棄材料供給装置Aの破砕材料供給円筒14に供給される。この破砕材料供給円筒14内では突片17を有する回転軸15が回転しているから、廃棄材料は破砕材料供給円筒14内で押し込まれ、比重液内に供給され、比重液槽1内の比重液内に供給される。比重液内に供給された比重液の比重より重い廃棄材料は比重液槽1内に沈殿し、比重液より軽い廃棄材料は比重液槽1内の比重液に浮遊する。
そして、沈澱した廃棄材料は排出用スクリュー筒5のスクリュー軸6により上方に搬送され、排出口18から排出される。同じく比重液上に浮遊した廃棄材料は排出用スクリュー筒9内のスクリュー軸10によって搬送され、排出口19から排出される。
【符号の説明】
【0015】
1 比重液槽
2 基礎枠
3 側壁
4 底部
5 排出用スクリュー筒
6 スクリュー軸
7 駆動モータ
8 開口部
9 排出用スクリュー筒
10 スクリュー軸
11 駆動モータ
12 ホッパー
13 開口
14 廃棄材料供給円筒
15 回転軸
16 駆動モータ
17 突片
18 排出口
19 排出口
20 回転部材
21 下部先端開口
22 内向きリブ
23 軸
24 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕された廃棄材料を比重液槽内により沈殿又は浮遊させて分別する廃棄材料の比重液分別機において、比重液槽内に突入配置して廃棄材料供給円筒を設け、この廃棄材料供給円筒の下部先端開口を比重液槽内の底部に向けて配置し、廃棄材料供給円筒内に駆動モーターにより回転する回転軸を設け、この回転軸に廃棄材料を押し込み供給する突片を放射方向に突設してなることを特徴とする廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置。
【請求項2】
上記突片が回転軸に沿って等寸法、等角度づつ向きを変えて放射方向に配列してある上記請求項1に記載の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置。
【請求項3】
上記等角度が90°である上記請求項2に記載の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置。
【請求項4】
上記各突片が廃棄材料の押し込み方向に対して偏角可能としてある上記請求項1乃至3の何れかに記載の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置。
【請求項5】
上記廃棄材料供給円筒の上部に、廃棄材料の供給を受けるホッパーに連通する開口を設けてある上記請求項1乃至4の何れかに記載の廃棄材料の比重液分別機における廃棄材料供給装置。
【請求項6】
破砕された廃棄材料を比重液槽内により沈殿又は浮遊させて分別する廃棄材料の比重液分別機であって、比重液槽内の底部から斜めに配置して位置付けた排出用スクリュー筒を設ける一方、比重液槽の上部内に一端を介入して僅かに斜めに配置して位置付けた排出スクリュー筒を設けてあり、さらに上記請求項1乃至5の何れかに記載した廃棄材料供給装置を備えることを特徴とする廃棄材料の比重液分別機。
【請求項7】
比重液槽上に浮遊する廃棄材料を排出スクリュー筒の方に移動させる回転部材を設けてある上記請求項6に記載の廃棄材料の比重液分別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11143(P2011−11143A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157406(P2009−157406)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(501346227)協和産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】