説明

廃棄物を加熱して乾熱滅菌するための廃棄物処理装置、それを搭載した車両及び廃棄物の処理方法

【課題】確実且つ効率的に廃棄物の乾熱滅菌が可能な廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物処理装置20は、乾燥槽30と、滅菌槽40と、制御手段とを備えている。制御手段は乾燥槽30内の廃棄物90に関する物理量変化に基づいて乾燥槽30内の廃棄物90が乾燥したことを判断する。制御手段は、乾燥槽30内の廃棄物90が乾燥したと判断した後に乾燥槽30内の廃棄物90を滅菌槽40に移送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を加熱して乾熱滅菌するための廃棄物処理装置、それを搭載した車両及び廃棄物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療廃棄物等の感染性廃棄物のように滅菌処理を必要とする廃棄物は焼却処理されていた。しかしながら、廃棄物を焼却処理した場合、廃棄物の種類によってはダイオキシン等の有害ガスが発生する虞がある。このため、近年、廃棄物を焼却することなく滅菌する廃棄物処理方法が種々提案されている。具体的には、特許文献1等に記載された乾熱滅菌法や高圧蒸気滅菌法等が提案されている。
【0003】
ここで乾熱滅菌法とは、廃棄物を高温雰囲気中(典型的には乾熱空気雰囲気中。乾熱された不燃性ガス雰囲気中等であってもよい。)で加熱して、廃棄物中に存在する微生物を殺滅させる方法をいう。一方、高圧蒸気滅菌法とは、廃棄物を高圧高温の蒸気に曝すことよって廃棄物中に存在する微生物を殺滅させる方法である。乾熱滅菌法においても、滅菌する際の高温雰囲気中に水蒸気が含まれている場合もあるが、乾熱滅菌法は微生物の殺菌に積極的に水蒸気を利用しない点で高圧蒸気滅菌法とは異なる。
【0004】
上記の滅菌法のなかでも、高温の水蒸気を用いることによって微生物をより効果的に殺滅することができるため、殺滅効率の観点からは高圧蒸気滅菌法が好ましい。しかしながら、高圧蒸気滅菌法では、高圧高温の水蒸気ガス雰囲気を形成する必要があるため、耐圧性の密閉型の滅菌槽が必要となる。それに対して、乾熱滅菌法は、そのような耐圧性の密閉型の滅菌槽を要さず、比較的簡易な設備で容易に実施することができるため、広く実施されている。
【特許文献1】特許第3502339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乾熱滅菌法を行う場合、滅菌処理の対象となる廃棄物が水分を含有していると、滅菌工程において廃棄物に対して付与しようとする熱量の一部又は全部が蒸発潜熱となる。このため、滅菌槽内の廃棄物の温度が安定しなくなる。また、通常廃棄物を滅菌するために必要な温度(以下、「滅菌温度」とすることがある。)は100℃よりもさらに高い温度であるところ、廃棄物が乾燥するまでは、付与する熱量の大部分が蒸発潜熱となり、廃棄物の温度が100℃を上回る滅菌温度にまで上昇しない。よって、滅菌槽における滅菌の効率が低下する。従って、特許文献1に記載のように、滅菌工程に先立って廃棄物を乾燥させておくことが好ましい。具体的に、特許文献1には、滅菌工程を行うに先立って、廃棄物を所定の時間の間(5〜10分間)所定の温度(180〜250℃)の高温熱媒と直接接触させて乾燥させることが記載されている。
【0006】
しかしながら、廃棄物の水分含有量は場合によって異なる。例えば廃棄物が多量の水分を含むものである場合には、特許文献1に記載のように、所定の温度で所定の時間だけ乾燥させる、廃棄物の種類や量によらない画一的な処理では、廃棄物を十分に乾燥できない場合がある。その場合、水分が残存した廃棄物に対して滅菌工程が施されることになる。このため、廃棄物を確実且つ効果的に滅菌できない虞がある。一方、廃棄物の水分含有量が比較的少ない場合は、不必要に長時間に及ぶ乾燥工程を行うこととなってしまう。
【0007】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、確実且つ効率的に廃棄物の滅菌が可能な廃棄物処理装置及び廃棄物の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る廃棄物処理装置は、医療廃棄物等の感染性廃棄物のように滅菌処理を必要とする廃棄物を滅菌処理するための装置である。
【0009】
本発明に係る廃棄物処理装置は、乾燥槽と、滅菌槽と、制御手段とを備えている。乾燥槽は、廃棄物を加熱して乾燥させるものである。滅菌槽は乾燥槽において乾燥させた廃棄物を加熱して乾熱滅菌するためのものである。制御手段は乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて乾燥槽内の廃棄物が乾燥したことを判断する。制御手段は、乾燥槽内の廃棄物が乾燥したと判断した後に、乾燥槽内の廃棄物を滅菌槽に移送させる。
【0010】
上記廃棄物処理装置によれば、滅菌槽には予め乾燥された廃棄物が投入される。従って、滅菌槽内において廃棄物からの水分の蒸発が実質的におこらないため、滅菌槽内の廃棄物の温度は、100℃近辺で留まることなく、速やかに滅菌温度(廃棄物を滅菌するために必要な温度)まで上昇する。すなわち、廃棄物の温度が滅菌温度まで上昇するまでのタイムロスが少なく、また、廃棄物が滅菌温度まで上昇するのに要する時間がほぼ一定となる。従って、廃棄物を滅菌温度に保持する時間を安定して長く確保することができる。その結果、確実かつ効率的な滅菌処理が可能となる。
【0011】
また、乾燥槽内の廃棄物が乾燥したことが乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて判断される。ここで、「乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化」とは、乾燥槽内の廃棄物の温度変化、乾燥槽内の廃棄物の重量(廃棄物の重量を含む乾燥槽の総重量であってもよい)の変化、乾燥槽内の湿度変化等である。具体的に、例えば、乾燥槽内の廃棄物の温度が100℃を超えてさらに上昇したとき、廃棄物の重量変化が実質的になくなったとき、乾燥槽内の湿度変化が実質的になくなったときに乾燥槽内の廃棄物が乾燥したものと判断される。このため、乾燥槽内の廃棄物が乾燥したことを、遅滞なく、確実に検知することができる。従って、水分が残留している廃棄物が滅菌槽に移送されることを確実に規制することができると共に、廃棄物の乾燥に要する時間を必要最小限に留める事ができる。
【0012】
また、乾燥槽が滅菌槽とは独立しているため、複数回にわたって廃棄物の乾燥・滅菌を行うような場合には、乾燥槽と滅菌槽との両方を同時に駆動させて、滅菌工程と、次に滅菌する廃棄物の乾燥工程とを同時に行うことも可能となる。従って、より短い処理時間で効率的に廃棄物を滅菌処理することが可能となる。
【0013】
尚、本明細書において「滅菌」とは滅菌対象物(ここでは廃棄物)中に含まれる菌を完全に除去してしまうことに限定されるものではなく、法令等で求められる程度の菌の量まで滅菌対象物に含まれる菌の量を低減することをいう。さらに具体的に説明すると、「滅菌」とは、求められる無菌性保証レベル(sterility assurance level: SAL)以下にまで滅菌対象物中の微生物の生存量を減少させることをいう。
【0014】
乾燥槽内の廃棄物の温度は、乾燥槽内に設置された乾燥槽の温度検知手段によって検知するようにすることが好ましい。乾燥槽の温度検知手段は、乾燥槽内の廃棄物に直接接触するように配置されていることが好ましい。また、乾燥槽の温度検知手段は、乾燥槽の内壁の温度又は乾燥槽の雰囲気温度を検知するものであり、内壁温度又は雰囲気温度に基づいて乾燥槽内の廃棄物の温度をモニタするようにしてもよい。
【0015】
乾燥槽は、廃棄物を破砕する破砕手段と、破砕された廃棄物を滞留させる滞留部と、滞留部を加熱する乾燥槽の加熱手段とを備えていることが好ましい。この構成によれば、廃棄物の乾燥に先立って、廃棄物が細かく破砕される。このため、廃棄物をムラなく且つ短時間で乾燥させることができる。従って、迅速な廃棄物の滅菌処理が可能となる。
【0016】
乾燥槽は、乾燥槽の加熱手段により滞留部に滞留している廃棄物を加熱して乾燥させる際に、滞留している廃棄物を攪拌するための乾燥槽の攪拌手段をさらに備えていることが好ましい。この構成によれば、攪拌しながら廃棄物を乾燥させることができる。従って、滞留している廃棄物に生じる温度ムラを抑制することができ、均一且つ効率的に廃棄物を乾燥させることが可能となる。
【0017】
滅菌槽の容量は、乾燥槽の容量よりも大きく設定されていることが好ましい。例えば、滅菌槽の容量は乾燥槽の容量の2倍以上であることが特に好ましい。この構成によれば、乾燥槽により数回にわたって乾燥させた廃棄物を滅菌槽に一時貯留し、例えば一定量の廃棄物が滅菌槽に貯留されたときや、所定の時刻に、滅菌槽内に貯留した廃棄物を一括して滅菌処理することが可能となる。従って、より効率的な滅菌処理が可能となると共に、滅菌処理に要するエネルギーコストも削減することができる。
【0018】
尚、滅菌温度は、通常、例えば150℃以上という比較的高い温度である。このため、滅菌槽の内部が通常の空気雰囲気であれば滅菌工程において廃棄物が発火してしまう虞がある。廃棄物が発火し、燃焼すると、ダイオキシン等の有毒ガスが発生する虞もある。従って、廃棄物の発火を抑制するために、滅菌槽内に不燃性ガスを供給するガス供給手段を設け、廃棄物の滅菌を行う際にはガス供給手段を駆動させて滅菌槽内を不燃性ガス雰囲気にしておくことが好ましい。そうすることによって、滅菌工程における廃棄物の発火を抑制することができる。
【0019】
ここで、不燃性ガスとは廃棄物の発火を抑制するガスをいう。具体例としては、例えば、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガス、過熱水蒸気等が挙げられる。また、不燃性ガス雰囲気とは、不燃性ガスが導入されて大気よりも酸素濃度が抑制された雰囲気のこと(つまり、空気雰囲気よりも廃棄物が発火しにくい雰囲気のこと)をいう。
【0020】
尚、滅菌槽に水分を含む廃棄物を投入した場合、蒸発潜熱が生じて廃棄物の温度が不安定になる虞がある。しかし、滅菌槽に気化状態にある過熱水蒸気を導入する場合は、蒸発潜熱は生じないため滅菌槽内の廃棄物の温度が不安定になることはない。滅菌槽内において結露が生じない限りにおいて過熱水蒸気を不燃性ガスとして導入することが好ましい場合もある。
【0021】
また、滅菌温度は上述のように比較的高い温度であるため、廃棄物の組成によっては廃棄物が変性したり溶解したりすることも考えられる。このため、滅菌槽内の廃棄物の温度は滅菌槽内の廃棄物に直接接触する温度検知手段によらずに検知することが好ましい。滅菌槽内の廃棄物に直接接触する温度検知手段では、変性や溶解した廃棄物が付着してしまい、却って正確な温度検知が困難になるからである。従って、例えば、滅菌槽内の雰囲気温度を測定する温度検知手段を設け、それにより間接的に滅菌槽内の廃棄物の温度を制御するようにすることが好ましい。尚、滅菌槽内の雰囲気温度を測定する温度検知手段に代えて、又は当該温度検知手段と共に廃棄物の温度を直接測定する放射温度計等を用いるようにしてもよい。
【0022】
乾燥槽の加熱手段や滅菌槽の加熱手段は、それぞれ電気ヒーター、高温のスチームを循環させるスチーム管又はバーナー等であってもよい。
【0023】
ところで、滅菌槽において、廃棄物を攪拌せずに静止させた状態で加熱した場合、廃棄物に温度ムラが生じてしまう。その場合、滅菌温度に達した廃棄物の部分は効率的に滅菌されるが、比較的低温で滅菌温度に達しない部分はなかなか滅菌が進まず、場合によっては十分に滅菌されていない廃棄物が残留してしまう虞がある。このため、滅菌槽内の廃棄物を攪拌するための滅菌槽の攪拌手段を設けて、滅菌槽内の廃棄物を加熱して滅菌する際に、滅菌槽の攪拌手段により廃棄物を攪拌することが好ましい。そうすることによって、廃棄物を均一に滅菌温度にまで加熱することができる。その結果、確実且つ効率的な滅菌が可能となる。
【0024】
本発明に係る車両は、本発明に係る廃棄物処理装置を搭載したものである。これによれば、任意の場所で廃棄物の滅菌処理を上記のように確実且つ効率的に行うことができる。このため、廃棄物処理装置が備わっていない医療施設等においても、本発明に係る車両を用いることによって医療施設等の敷地内にて確実且つ効率的な廃棄物の滅菌処理を行うことができる。
【0025】
本発明に係る廃棄物の処理方法は、廃棄物を加熱して乾燥させる乾燥槽と、乾燥槽において乾燥させた廃棄物を加熱することにより乾熱滅菌する滅菌槽とを備えた廃棄物処理装置を用いて廃棄物を処理する方法に関する。本発明に係る廃棄物の処理方法は、投入工程と、乾燥工程と、判断工程と、滅菌工程とを備えている。投入工程は、乾燥槽に廃棄物を投入する工程である。乾燥工程は、乾燥槽に投入された廃棄物を加熱して乾燥させる工程である。判断工程は、乾燥工程において、乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて乾燥槽内の廃棄物の乾燥が完了したことを判断する工程である。具体的に、乾燥槽内の廃棄物の温度が100℃からさらに上昇したとき、乾燥槽内の廃棄物の重量変化が実質的になくなったとき、又は乾燥槽内の雰囲気の湿度変化が実質的になくなったときに乾燥槽内の廃棄物が乾燥したものと判断する工程である。滅菌工程は、滅菌槽において、判断工程で乾燥したものと判断された廃棄物を加熱することにより乾熱滅菌する工程である。
【0026】
上記廃棄物の処理方法によれば、滅菌槽には予め乾燥された廃棄物が移送される。このため、滅菌工程において、滅菌槽内の廃棄物の温度は、100℃近辺で留まることなく、速やかに滅菌温度まで上昇する。すなわち、滅菌温度まで上昇するまでのタイムロスが少なく、また、滅菌温度まで上昇するのに要する時間がほぼ一定となる。従って、廃棄物を滅菌温度に保持する時間を安定して長く確保することができる。その結果、確実かつ効率的な滅菌処理が可能となる。
【0027】
また、乾燥槽内の廃棄物の乾燥が終了したことが乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて判断されるため、乾燥工程において廃棄物が確実に乾燥される。また、不必要に長期にわたって乾燥工程が行われることなく、乾燥工程に要する時間が最小限に留められる。
【0028】
さらに確実且つ効率的に廃棄物を乾燥させる観点から、乾燥工程に先立って廃棄物を破砕する破砕工程を行うことが好ましい。そうすることによって、各廃棄物の大きさを比較的小さくすることができ、廃棄物を効率よく乾燥させることができる。
【0029】
また、廃棄物を攪拌しながら乾燥工程を行うことが好ましい。そうすることによって、廃棄物に生じる温度ムラを抑制することができる。
【0030】
滅菌工程は、投入工程及び乾燥工程を一通り行うたびに行ってもよいが、投入工程及び乾燥工程を複数回行った後に、複数回の乾燥工程により乾燥された廃棄物を一括して滅菌工程を行うことが好ましい。そうすることによって、滅菌工程を行う回数を減らすことができ、エネルギーコストを削減できる。また、大量の廃棄物を効率的に滅菌することも可能となる。
【0031】
尚、滅菌工程は、滅菌槽内を不燃性ガス雰囲気として行うことが好ましい。そうすることによって滅菌工程における廃棄物の発火を抑制することができる。
【0032】
また、滅菌工程は、滅菌槽内の廃棄物を攪拌しながら行うことが好ましい。そうすることによって、廃棄物をムラなく加熱することができ、確実且つ効率的に滅菌を行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、確実且つ効率的に廃棄物の滅菌を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
図1は本実施形態に係る廃棄物処理車両10の構成を表す側面図である。
【0036】
図2は廃棄物処理装置20の構成を表す模式図である。
【0037】
まず、図1及び図2を参照しながら本実施形態に係る廃棄物処理車両10の構成について説明する。
【0038】
廃棄物処理車両10は、車両本体11と、廃棄物処理装置20とを備えている。車両本体11は荷台12を備えた自動車(トラック)である。廃棄物処理装置20は、荷台12の上に設置されている。
【0039】
廃棄物処理装置20は、図2に示すように、乾燥槽30と滅菌槽40とを備えている。この廃棄物処理装置20は、乾燥槽30にて予め加熱することにより乾燥させた廃棄物を滅菌槽40にてさらに加熱することにより乾熱滅菌処理するための装置である。
【0040】
乾燥槽30は、廃棄物90を乾燥させるためのものである。具体的に、乾燥槽30には、乾燥槽30の中央よりやや上方に乾燥槽30の内部に開口する廃棄物90の投入口31が設けられている。通常、投入口31は開閉可能な扉31aによって乾燥槽30の内部と仕切られている。廃棄物90を投入する際には扉31aが開かれ、投入口31から乾燥槽30内へと廃棄物90が投入される。
【0041】
乾燥槽30の内部は2つの部分に分けられている。具体的には、破砕手段32aが配置されており、投入された廃棄物90を細かく破砕する破砕部32と、破砕部32よりも下方に位置し、破砕された廃棄物90を滞留させると共に乾燥させる滞留部33とに分けられている。
【0042】
破砕手段32aは、廃棄物90を破砕できるものであれば特に限定されない。破砕手段32aは、例えば二軸剪断方式のものであってもよい。また、破砕手段32aは、図2に示すように、円盤状の蓋部材32bと、廃棄物90を破砕する複数の爪が表面に多数形成された破砕部材32cとにより構成してもよい。蓋部材32bは、上下に変位可能である一方、回転不能であり、その自重により蓋部材32bと破砕部材32cとの間に投入された廃棄物90を破砕部材32c側に押圧するものである。一方、破砕部材32cは、モーター等により構成された駆動手段37に連結された軸38の先端に上下に変位不能に固定されており、駆動手段37によって回転駆動されるようになっている。また、破砕部材32cには、爪によって細かく破砕された廃棄物90が破砕部材32cから下方の滞留部33に落ちるように多数の孔が形成されている。
【0043】
滞留部33には、加熱手段34が配置されている。この加熱手段34により滞留部33に滞留された廃棄物90が加熱され乾燥される。尚、加熱手段34は、特に限定されるものではない。加熱手段34として、高温のスチームを循環させるスチーム管を乾燥槽30の滞留部33の外周に沿って巡らせてもよく、バーナーを滞留部33の下部に配置してもよい。また、加熱手段34として電気ヒーターを滞留部33の外周に配置するようにしてもよい。加熱手段34として電気ヒーターを使用することにより効率よく廃棄物90を加熱することができる。
【0044】
滞留部33には、滞留部33に滞留している廃棄物90を攪拌するための板状の攪拌手段36が設けられている。攪拌手段36は軸38に連結されており、軸38と共に駆動手段37によって回転駆動される。
【0045】
さらに、滞留部33には、滞留している廃棄物90の温度を検知するための温度検知手段35が設けられている。温度検知手段35は、滞留している廃棄物90に接触するように配置されており、滞留している廃棄物90の温度を直接検知できるようになっている。このように、本実施形態では、滞留している廃棄物90に接触しており廃棄物90の温度を直接できる温度検知手段35を用いているが、例えば、滞留部33の雰囲気温度や槽内壁の温度を検知する温度検知手段を設けて、雰囲気温度や槽内壁温度によって廃棄物90の温度を制御するようにしてもよい。
【0046】
乾燥槽30は、滞留部33の排出口39に連結された配管50を介して滅菌槽40と連通している。配管50の内部には、廃棄物90を搬送するための搬送手段としての搬送コンベヤ51が設けられている。乾燥槽30と配管50とは乾燥槽30の排出口39に設置された開閉可能な扉39aによって仕切られている。
【0047】
配管50の外側には、配管50を通過する廃棄物90を加熱するための加熱手段52が設けられている。この加熱手段52によって、配管50を介して移送される廃棄物90が加熱又は保温されるようになっている。
【0048】
尚、搬送コンベヤ51を始め、加熱手段34及び42、攪拌手段41等は図示しない制御手段によって制御されている。尚、制御手段は構成部材ごとに設けてもよいが、すべての構成部材を一つの制御手段で一括して制御するようにしてもよい。
【0049】
滅菌槽40は、乾燥槽30から移送された廃棄物90を滅菌するための槽である。滅菌槽40は乾燥槽30よりも大きな容量(例えば、2倍以上の容量)をもつている。滅菌槽40には、その長手方向に伸びる軸に放射状にのびる複数の攪拌パドル41aが取り付けられた攪拌手段41が設けられている。
【0050】
また、滅菌槽40には、滅菌槽40の外周に沿って配置された加熱手段42が配置されている。この加熱手段42によって滅菌槽40内の廃棄物90が加熱される。尚、本実施形態において、滅菌槽40内の廃棄物90の温度は、滅菌槽40内に設けられ、滅菌槽40内の雰囲気温度を測定する温度検知手段43によって検知される温度に基づいて制御されている。
【0051】
滅菌槽40の下方には、滅菌槽40から滅菌後の廃棄物90を取り出すための排出口44及び開閉可能な扉44aが設けられている。
【0052】
また、滅菌槽40には、配管81を介して不燃性ガスを供給するガス供給手段(例えば、ガスボンベ等)80が連結されている。ガス供給手段80は、図示しない制御手段により制御されており、滅菌槽40において廃棄物90を加熱して滅菌する際に、ガス供給手段80から滅菌槽40内に不燃性ガスが供給され、滅菌槽40内が不燃性ガス雰囲気となるようになっている。尚、不燃性ガスとは、廃棄物90の発火を抑制するためのガスである。具体的に、不燃性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス、過熱水蒸気、及びそれらのガスの混合ガス等が挙げられる。また、不燃性ガス雰囲気とは、不燃性ガスが導入されて大気よりも酸素濃度が抑制された雰囲気のことをいう。
【0053】
乾燥槽30及び滅菌槽40のそれぞれは配管61を介して集塵脱臭装置70に連結されている。この集塵脱臭装置70によって乾燥槽30や滅菌槽40から排出される排気ガス(乾燥槽30から発生する過熱水蒸気を含む)が浄化され、大気に排出されるようになっている。また、配管61の途中には熱風発生器60aが設けられており、その熱風発生器60aによって配管61内を熱風が循環し、配管61内が滅菌されるようになっている。また、乾燥槽30と滅菌槽40とを連結する配管50に対しても熱風発生器60bが設置されており、熱風発生器60bを適宜作動させることによって配管50内を加熱・滅菌することができる構成となっている。
【0054】
次に、廃棄物処理装置20の動作について説明する。
【0055】
図3は廃棄物処理装置20において行われる廃棄物処理のフローチャートである。
【0056】
まず、加熱手段34によって乾燥槽30が所定の温度に予熱される。乾燥槽30の予熱完了後、扉31aが開かれ、蓋部材32bが上方に持ち上げられた状態で投入口31から廃棄物90が乾燥槽30内に投入される(投入工程S1)。
【0057】
投入完了後、扉31aが閉じられると共に蓋部材32bが投入された廃棄物90の上に載置され、蓋部材32bの自重によって廃棄物90が破砕部材32c側に押圧された状態となる。その状態で、駆動手段37によって破砕部材32cが回転駆動され、廃棄物90が破砕される(破砕工程S2)。破砕された廃棄物90は破砕手段32aに形成された複数の孔から落ちて滞留部33に滞留される。
【0058】
破砕され、滞留部33に滞留した廃棄物90は、加熱手段34によって加熱され乾燥される(乾燥工程S3)。この乾燥工程S3は攪拌手段36を回転駆動させることによって滞留した廃棄物90を攪拌しながら行われる。
【0059】
廃棄物90の乾燥は温度検知手段35によって検知される廃棄物90自体の温度を制御手段(図示せず)でモニタすることにより制御されている。
【0060】
図4は温度検知手段35によって検知される温度の経時変化を表すグラフである。
【0061】
図4に示すように、温度検知手段35によって検知される温度は、予熱された乾燥槽30の温度よりも低い温度の廃棄物90が投入されることによって一旦低下する(t1参照)。廃棄物90が水分を含有するものである場合、廃棄物90中の水分が完全に蒸発するまでは廃棄物90に付与される熱量の一部又は全部が蒸発潜熱となるため、廃棄物90の温度はほぼ100℃のままである(t1〜t3参照)。そして、廃棄物90に含まれる水分が完全に蒸発した後に(廃棄物90が乾燥した後に)廃棄物90の温度が100℃を超えてさらに上昇する。すなわち、廃棄物90に水分が残存する間は廃棄物90の温度が100℃を超えてさらに上昇することはなく、廃棄物90の水分が完全に蒸発した後に(すなわち廃棄物90が乾燥した後に)廃棄物90の温度が100℃を超えてさらに上昇していく。
【0062】
制御手段は、この温度検知手段35によって検知される温度をモニタしており、検知される温度(廃棄物90の温度)が100℃を超えてさらに上昇するまで乾燥工程S3
を継続する。そして、制御手段は、廃棄物90の温度が100℃を超えてさらに上昇したとき、具体的には、100℃を超える温度T1(例えば1l0℃)となったとき(t3参照)に、廃棄物90の乾燥が終了したものと判断する。制御手段は、廃棄物90の乾燥が終了したものと判断した後に、扉39aを開けて搬送コンベヤ51によって乾燥した廃棄物90を乾燥槽30から滅菌槽40へと移送させる(移送工程S4)。廃棄物90の移送が完了すると、再び扉39aが閉じられ、乾燥槽30と滅菌槽40とが相互に隔離される。
【0063】
この移送工程S4では、移送中の廃棄物90の温度が所望の温度となるように加熱手段52が駆動される。
【0064】
次に、乾燥槽30と滅菌槽40とが扉39aによって相互に隔離された状態で、移送された廃棄物90が滅菌槽40内にて滅菌温度(廃棄物90の滅菌に必要な温度)にまで加熱されて廃棄物90の滅菌が行われる(滅菌工程S5)。
【0065】
滅菌工程S5は、攪拌手段41によって廃棄物90を攪拌しながら所定の時間(例えば10分〜数時間、典型的には10分〜20分程度)だけ滅菌温度(例えば、120℃〜200℃程度)に加熱することにより行う。そして、滅菌工程S5完了後、扉44aを開いて、排出口44から滅菌された廃棄物90を取り出すことにより、廃棄物90の滅菌処理が完了する。
【0066】
尚、本実施形態では、滅菌工程S5における廃棄物90の加熱は滅菌槽40の外周に沿って配置された加熱手段(例えば、電気ヒーター)42によって行っているが、直接滅菌槽40内に熱風を吹き込むことによって廃棄物90を加熱してもよい。同様に、乾燥槽30においても乾燥槽30内に熱風を吹き込むことによって廃棄物90を加熱するようにしてもよい。
【0067】
通常、滅菌温度は、例えば150℃以上と比較的高い温度であるため、滅菌槽40内において廃棄物90が溶解する場合もある。このため、この滅菌工程S5における廃棄物90の温度は、廃棄物90に直接接触する温度検知手段を用いずに、例えば、廃棄物90とは接触しないように配置された温度検知手段43によって検知される滅菌槽40内の雰囲気温度に基づいて制御するようにすることが好ましい。また、雰囲気温度を検知するための温度検知手段43と共に廃棄物90自体の温度を非接触で測定する放射温度計46を併用してもよく、放射温度計46のみにより廃棄物90の温度を制御してもよい。
【0068】
また、上述のように、通常滅菌温度は比較的高い温度であるため、滅菌槽40内の雰囲気が酸素を含む空気雰囲気であると滅菌槽40内で廃棄物90が発火する虞がある。廃棄物90が発火し、燃焼するとダイオキシン等の通常の集塵脱臭装置70ではトラップできないような有害ガスが大気中に放出されてしまう虞がある。このため、滅菌工程S5は、ガス供給手段80を駆動させて、滅菌槽40内の雰囲気を不燃性ガス雰囲気として行うことが好ましい。そうすることによってダイオキシン等の有害ガスが大気中に放出されることを効果的に抑制することができる。
【0069】
尚、乾燥工程S3を行うたびに、一度の乾燥工程S3によって乾燥させた廃棄物90を滅菌処理するようにしてもよいが、滅菌の作業効率の観点からは、本実施形態のように滅菌槽40の容量を乾燥槽30の容量よりも大きく設定しておいて、投入工程S1〜移送工程S4を複数回繰り返し行って、複数回分の廃棄物90を一旦滅菌槽40内に貯留した後に滅菌工程S5を一括して行うようにすることが好ましい。そうすることによって滅菌工程S5を行う回数を減らせるため、滅菌処理に要するエネルギーコストを削減することができる。また、乾燥工程S3を行うたびに滅菌工程S5を行う場合、次に乾燥した廃棄物90が移送される前に滅菌済みの廃棄物90を滅菌槽40内から取り出す必要がある。このため、取り出した廃棄物90を一旦貯留しておく場所を別途に設ける必要が生じる。一方、一括して滅菌工程S5を行う場合は、滅菌前の状態で廃棄物90を滅菌槽40内に一時貯留することが可能となるため、滅菌後の廃棄物90を貯留しておく場所を別途に設ける必要もなくなる。
【0070】
尚、乾燥槽30の容量を大きくするためには、その乾燥槽30の容量に見合った大きさの破砕手段32aを設ける必要があるため比較的困難であるのに対して、滅菌槽40は、比較的簡単な構成であるため、比較的容易に容量の拡大を行うことができる。また、乾燥槽30を滅菌槽40とは別個に設けて、滅菌槽40にて乾燥済みの廃棄物90を貯留可能にすることによって、乾燥槽30を比較的小さくできるため、比較的高価で大型化が困難な破砕手段32を小型化することが可能となる。
【0071】
以上のように滅菌槽40とは別に、滅菌槽40とは隔離された乾燥槽30を設けて、予め乾燥させた廃棄物90を滅菌槽40に投入するようにすることによって、滅菌槽40に水分を含んだ廃棄物90が投入されることを防止することができる。このため、滅菌槽40に搬送された廃棄物90の温度は100℃付近で留まることなく、滅菌温度にまで遅滞なく速やかに上昇することとなる。また、廃棄物90に付与する熱量が蒸発潜熱となってしまうこともないため、廃棄物90の温度を安定して滅菌温度に保持することができる。従って、確実且つ効果的に廃棄物90の滅菌を行うことが可能となる。
【0072】
また、乾燥槽30を別個に設けず、滅菌槽40において廃棄物90の乾燥と滅菌との両方を行う場合、廃棄物90の乾燥工程S3と滅菌工程S5とを同時に行うことができない。しかしながら、本実施形態のように乾燥槽30を別個に設けることによって、廃棄物90の乾燥工程S3と滅菌工程S5とを同時に行うことも可能となる。従って、例えば、乾燥槽30の容量以上の廃棄物90を処理する場合や、連続して処理するような場合には、本発明に係る廃棄物処理装置20を用いることによってより短い処理時間で効率的に廃棄物90を滅菌処理することが可能となる。
【0073】
上述のように、本実施形態では、制御手段は、廃棄物90の温度(厳密には温度検知手段35によって検知される温度)が100℃を超えてさらに上昇した場合に乾燥槽30内の廃棄物90の乾燥が完了したものと判断する。そして、制御手段は、上述の方法で廃棄物90の乾燥が完了したものと判断した後に搬送コンベヤ51によって乾燥後の廃棄物90を滅菌槽40に移送させる。このため、例えば、所定の温度で所定の時間だけ乾燥工程を行った場合のように、水分を含んだ廃棄物90が滅菌槽40に移送されてしまうことがなくなり、より確実且つ効率的な廃棄物90の滅菌が可能となる。
【0074】
また、このような廃棄物90の乾燥度合いの判別方法であれば、廃棄物90の乾燥が終了すれば遅滞なく乾燥の終了が検知され、無駄に乾燥工程を長く行うことが抑制される。その結果、迅速な廃棄物90の滅菌処理が可能となる。
【0075】
本実施形態では、乾燥槽30内の廃棄物90の温度は、乾燥槽30内の廃棄物90に直接接触するように配置された乾燥槽30の温度検知手段35によって乾燥槽30内の廃棄物90の温度が検知されるようになっているため、例えば、乾燥槽30内のヒーター温度を検知することにより間接的に廃棄物90の温度を測定するような場合と比較して非常に正確かつ厳密に廃棄物90の温度を測定することができる。
【0076】
また、乾燥槽30内に滞留部33と共に破砕部32を設け、乾燥工程S3に先だって廃棄物90を細かく破砕することによって、廃棄物90の乾燥が促進され、廃棄物90の乾燥に要する時間を短縮することができる。その結果、廃棄物90の滅菌に要する時間も短縮することができる。また、廃棄物90を乾燥させるに先立って破砕しておくことによって廃棄物90を均一にムラなく乾燥させることができる。従って、滅菌槽40への水分の混入をより効果的に抑制することができる。その結果、より確実な滅菌が可能となる。
【0077】
さらに、攪拌手段36を回転駆動させて滞留部33に滞留している廃棄物90を攪拌しながら加熱することによって、廃棄物90全体を均一に加熱することができ、より短期間に廃棄物90を確実に乾燥させることが可能となる。
【0078】
また、滅菌工程S5においても、攪拌手段41を駆動させて廃棄物90を攪拌しながら加熱することによってムラなく均一に廃棄物90を滅菌温度にまで加熱することが可能となり、より確実且つ効率的な滅菌が可能となる。
【0079】
また、本実施形態のように廃棄物処理装置20を車載して移動可能とすることによって、任意の場所で任意の時間に廃棄物の滅菌処理を行うことが可能となる。例えば、比較的小規模で廃棄物処理装置20のような処理設備を常設することが困難である医療施設等においても、本実施形態に係る廃棄物処理車両10を利用することによって、院内における廃棄物の滅菌処理が可能となる。廃棄物処理車両10では、滅菌槽40の容量が乾燥槽30の容量よりも大きく設定されているため、乾燥槽30における乾燥処理を複数回行って乾燥済みの廃棄物を滅菌槽40に貯留しておき、例えば、一日の最後にまとめて滅菌処理を施すことも可能となる。
【0080】
例えば、乾燥槽30の容量と滅菌槽40の容量とがほぼ同様であるような場合には、乾燥槽30を駆動させるたびに滅菌槽40を駆動させて滅菌処理を行うと共に、次に乾燥槽30から廃棄物が移送されるまでに滅菌槽40内の滅菌処理済み廃棄物を滅菌槽40から取り出す必要がある。そして、処理済みの廃棄物を、別途、滅菌槽40とは別のスペースに貯留する必要がある。それに対して、本実施形態に係る廃棄物処理車両10では、まとめて滅菌処理を施した廃棄物を、そのまま滅菌槽40内に貯留し、院内から廃棄物最終処分場にまで輸送することも可能となる。すなわち、廃棄物処理車両10を用いることによって、滅菌処理済みの廃棄物の一時貯留及び廃棄物最終処分場までの処理済み廃棄物の輸送も行うことができ、廃棄物の総量にもよるが、別途の貯留場や輸送手段を設けなくともよくなる場合もある。
【0081】
ただし、多量の医療廃棄物が排出されるような大規模な医療施設等において廃棄物の滅菌処理を行うような場合には、廃棄物処理装置20を常設するようにしてもよい。また、廃棄物処理装置20を台車等の上に配置しておいて、必要に応じて廃棄物処理装置20を自動車等により牽引して移動することができるようにしておいてもよい。
【0082】
以上、本実施形態では、制御手段を設けて、その制御手段によって廃棄物90の乾燥が完了したことを判断するようにしている例について説明したしかしながら、例えば、制御手段を設けず、人が温度検知手段35の温度をモニタすることによって廃棄物90の乾燥が完了したことを判断するようにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、移送手段としての搬送コンベヤ51を用いて乾燥された廃棄物90が滅菌槽40に移送されるように構成された例について説明したが、搬送コンベヤ51は必ずしも必須の構成ではない。例えば、乾燥槽30を滅菌槽40の上部に配置するとともに、乾燥槽30と滅菌槽40とを扉等で隔離するようにして、乾燥された廃棄物90を移送する際には、扉を開けて乾燥槽30から廃棄物90を自然落下させて滅菌槽40に移送するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は廃棄物の滅菌処理について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】廃棄物処理車両の構成を表す側面図である。
【図2】廃棄物処理装置の構成を表す模式図である。
【図3】廃棄物処理装置において行われる廃棄物処理のフローチャートである。
【図4】温度検知手段によって検知される温度の経時変化を表すグラフである。
【符号の説明】
【0086】
10 廃棄物処理車両
20 廃棄物処理装置
30 乾燥槽
32 破砕手段
33 滞留部
34、42、52 加熱手段
35、43 温度検知手段
36、41 攪拌手段
40 滅菌槽
51 搬送コンベヤ
80 ガス供給手段
90 廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を加熱して乾熱滅菌するための廃棄物処理装置であって、
廃棄物を加熱して乾燥させる乾燥槽と、
前記乾燥槽において乾燥させた廃棄物を加熱して乾熱滅菌する滅菌槽と、
前記乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて当該廃棄物が乾燥したことを判断し、前記乾燥槽内の廃棄物が乾燥したと判断した後に、前記乾燥槽内の廃棄物を前記滅菌槽に移送させる制御手段と、
を備えた廃棄物処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された廃棄物処理装置において、
前記制御手段は、前記乾燥槽内の廃棄物の温度が100℃を越えてさらに上昇したときに前記廃棄物が乾燥したと判断するものであることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された廃棄物処理装置において、
前記乾燥槽内に設置された乾燥槽の温度検知手段をさらに備え、前記制御手段は前記乾燥槽内の廃棄物の温度を前記乾燥槽の温度検知手段によって検知していることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか―項に記載された廃棄物処理装置において、
前記乾燥槽は、前記廃棄物を破砕する破砕手段と、前記破砕された廃棄物を滞留させる滞留部と、前記滞留部を加熱する乾燥槽の加熱手段とを備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載された廃棄物処理装置において、
前記乾燥槽は、前記乾燥槽の加熱手段により前記滞留している廃棄物を加熱して乾燥させる際に、前記滞留している廃棄物を攪拌するための乾燥槽の攪拌手段をさらに備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置において、
前記滅菌槽は、その容量が前記乾燥槽の容量よりも大きいことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置において、
前記滅菌槽において前記廃棄物を加熱して滅菌する際に、前記滅菌槽内に不燃性ガスを供給するガス供給手段をさらに備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置において、
前記滅菌槽を加熱するための滅菌槽の加熱手段をさらに備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置において、
前記滅菌槽内の雰囲気温度を検知する滅菌槽の温度検知手段をさらに備え、前記制御手段は前記滅菌槽内の廃棄物の温度を前記滅菌槽の温度検知手段で検知された温度に基づいて制御するものである廃棄物処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置において、
前記滅菌槽は、前記滅菌槽内の廃棄物を加熱して滅菌する際に、当該廃棄物を攪拌するための滅菌槽の攪拌手段を備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載された廃棄物処理装置を搭載した車両。
【請求項12】
廃棄物を加熱して乾燥させる乾燥槽と、前記乾燥槽において乾燥させた廃棄物を加熱することにより乾熱滅菌する滅菌槽とを備えた廃棄物処理装置を用いて廃棄物を処理する方法であって、
前記乾燥槽に廃棄物を投入する投入工程と、
前記投入された廃棄物を加熱して乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程において、前記乾燥槽内の廃棄物に関する物理量変化に基づいて前記乾燥槽内の廃棄物が乾燥したものと判断する判断工程と、
前記乾燥したものと判断された廃棄物を前記滅菌槽において加熱することにより乾熱滅菌する滅菌工程と、
を備えた廃棄物の処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載された廃棄物の処理方法において、
前記判断工程は前記乾燥槽内の廃棄物の温度が100℃からさらに上昇したときに前記乾燥槽内の廃棄物が乾燥したものと判断する工程である廃棄物の処理方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載された廃棄物の処理方法において、
前記乾燥工程に先立って、前記廃棄物を破砕する破砕工程をさらに備えていることを特徴とする廃棄物の処理方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか一項に記載された廃棄物の処理方法において、
前記乾燥工程は前記廃棄物を攪拌しながら行うことを特徴とする廃棄物の処理方法。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか一項に記載された廃棄物の処理方法において、
前記投入工程及び乾燥工程を複数回行った後に、前記複数回の乾燥工程により乾燥させた廃棄物に対して前記滅菌工程を一括して行うことを特徴とする廃棄物の処理方法。
【請求項17】
請求項12乃至16のいずれか一項に記載された廃棄物の処理方法において、
前記滅菌工程は前記滅菌槽内を不燃性ガス雰囲気として行うことを特徴とする廃棄物の処理方法。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか一項に記載された廃棄物の処理方法において、
前記滅菌工程は前記滅菌槽内の廃棄物を攪拌しながら行うことを特徴とする廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−36333(P2008−36333A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218113(P2006−218113)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【特許番号】特許第3961550号(P3961550)
【特許公報発行日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【出願人】(505152701)株式会社中央ロジスティクス (1)
【Fターム(参考)】