説明

廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法

【課題】各種廃棄物を同一場所、同一建屋においてリサイクル処理を可能にした廃棄物処理プラントを提供することにある。
【解決手段】廃棄物を車両で搬入することが可能な搬入エリア11a、廃棄物をリサイクル可能に処理する処理エリア12a,12b,12c,12d、リサイクル処理された廃棄物を搬出する搬出エリア13を具備し、処理エリア12a,12b,12c,12dを建屋内に配置し、建屋内にリサイクル処理に伴って発生する臭気を含む空気から臭気を除去して建屋外に放出する脱臭装置20aを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下水処理施設、食品工場、大型店舗、ホテル、レストラン、工場等で生じる各種廃棄物を同一建屋に設置した各種装置によりリサイクル処理する廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活廃水、し尿を中心とした下水処理は、原水を沈殿槽で粗大物、固形物を除去した後、生物反応槽で微生物による曝気(生物)処理をし、それを沈殿槽で余剰汚泥と分離水に分離し、余剰汚泥は埋め立て又は焼却処理し、分離水は塩素で殺菌処理をして放流する標準的な活性汚泥法が採用されている。この処理方法の問題点は、この処理によって発生する膨大な余剰汚泥を焼却処理又は埋め立て処理をするため環境破壊を招くという問題を有していることである。
【0003】
この問題点を解決するために、各種廃棄物を資源として再利用するリサイクル処理方式が検討されている。例えば、一般住宅及び集合住宅から排出されるごみを汚水と一般ごみに分別収集して人口5〜10万人のエリアーに1個所の割合で設置した中継ステーションにおいて、汚水を汚泥と中水に分離処理し、一般ごみを粉砕・裁断して汚泥と一緒にカプセル化し、中水とカプセル化したごみを人口100万人のエリアーに1箇所の割合で設置した中央処理センターへ別々に輸送してリサイクル処理をする廃棄物および汚水の総合リサイクルシステム(特許文献1)、下水汚泥を第1処理施設で曝気処理をした後に脱水処理をして脱水ケーキを製造し、脱水ケーキを車両により第2処理施設へ輸送して脱水ケーキを解砕処理、固液分離処理の後炭化処理をする下水汚泥の炭化処理方法(特許文献2)が提案されている。
【0004】
これら従来技術はごみ、汚泥などの廃棄物を資源として再利用するシステムを提案しているが、いずれも汚水、汚泥を処理する施設と炭化処理をする施設が離間して配置されたシステムになっている。汚水、汚泥を処理する施設と炭化処理をする施設が離間して配置される理由は、(1)汚水、汚泥を処理する施設は沈殿槽及び生物処理槽に広大な面積を必要とすることから適度の規模にして分散配置せざるを得ないこと、(2)生物処理の効率が低く処理に長時間を要するに対して、炭化処理に要する時間は短時間であり、両者を1箇所に設置して効率よく運転するのが難しいこと、にあると推測する。
【特許文献1】特開平5−192649号
【特許文献2】特開平11−11922号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は廃棄物を複数の場所に分散配置した設備を用いて処理していたが、これを一箇所において連続的にかつ資源として再利用可能に処理するための廃棄物処理プラントが実現できれば、搬送コストの低減が図れ、廃棄物の保管及び処理過程で発生する臭気を1箇所で効率よく処理でき、かつ処理に使用する各種設備を効率的に運転できる利点がある。自治体、活性汚泥を大量に出す事業体において、このような廃棄物処理プラントの実現が期待されている。
本発明の1つの目的は各種廃棄物を同一場所、同一建屋においてリサイクル処理を可能にした廃棄物処理プラントを提供することにある。
本発明の他の目的は同一建屋内において廃棄物をリサイクル可能に処理する新規な廃棄物処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は実施例の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明廃棄物処理プラントの特徴とするところは、廃棄物を車両で搬入することが可能な搬入エリアと、廃棄物をリサイクル可能に処理する処理エリアと、リサイクル処理された廃棄物の生成物を搬出する搬出エリアを具備し、少なくとも処理エリアが建屋内に配置され、建屋内にリサイクル処理に伴って発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段の少なくとも一部を設けた点にある。この構成により、廃棄物の保管及びリサイクル処理において発生する臭気が建屋外に漏れるのを阻止することが可能になる。搬入エリアを建屋内に配置すると、搬入時に廃棄物から生じる臭気を建屋外に漏れるのを防止できる利点がある。搬入エリアを建屋外に配置するか建屋内に配置するかは、廃棄物処理プラントを建設する場所が住宅の密集している地域であるか山間部であるかにより、周りの環境や法律と照らし合わせて選択される。ここでいうリサイクル処理とは、汚泥から脱水汚泥を製造すること、汚泥から有機系スカムを取り出して炭化処理すること、汚泥を曝気処理及び膜処理をして事業所内で使用可能な中水を製造すること、脱水汚泥を炭化処理すること、木屑を炭化処理すること等廃棄物から再利用可能な資材を生成する処理をいう。
【0007】
本発明廃棄物処理プラントの他の特徴とするところは、汚泥を車両で搬入することが可能な搬入エリアと、汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを分離し、有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された汚泥を浄化処理する第1処理エリアと、有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する第2処理エリアと、炭化物を搬出する搬出エリアを具備し、少なくとも第1処理エリア及び第2処理エリアが建屋内に配置され、建屋内に各処理エリアで発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段の一部が設けられた点にある。この構成により、廃棄物特に汚泥の保管及びリサイクル処理において発生する臭気が建屋外に漏れるのを阻止することが可能になる。熱分解処理をする有機系スカムに別途車両で搬入された脱水汚泥、木屑等の可燃性廃棄物を粉砕・裁断して混合してもよい。汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去する前に、汚泥から固形物及び油分、砂を除去する工程を実行してもよい。有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された汚泥を浄化処理するために、汚泥に凝集剤を添加・攪拌して汚泥に含まれる有機物スカム及び/又は無機系スカムを凝集分離する工程、及び生物処理及び/又は膜処理する工程を実行している。この場合においても、搬入エリアを建屋内に配置する構成にして搬入時に廃棄物から生じる臭気を建屋外に漏れるのを防止するようにしてもよい。搬入エリアを建屋外に配置するか建屋内に配置するかは、廃棄物処理プラントを建設する場所が住宅の密集している地域であるか山間部であるかにより、周りの環境や法律と照らし合わせて選択される。
【0008】
本発明廃棄物処理プラントの更に他の特徴とするところは、建屋内に配置する臭気を除
去する脱臭手段として、処理エリアで発生する臭気を集めて脱臭機能を持つ炭群の間を通過させる構成の脱臭装置を使用する点にある。脱臭に使用する炭群としては、熱分解処理して生成された炭化物を使用することが可能で、かつ脱臭機能がなくなった時には炭として外販できる利点があり、脱臭機能の維持費用を節約できる利点がある。炭群の脱臭機能を長い時間維持するために、炭群を攪拌するのが好ましい。
【0009】
本発明廃棄物処理方法の特徴とするところは、搬入エリアに汚泥を車両で搬入する工程、
搬入された汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程、粗大固形物及び/又は油分が除去された汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去する工程、有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された汚泥を生物処理及び/又は膜処理を施して中水又は浄水にする工程、汚泥から除去された有機系スカムを熱分解処理をして炭化物を生成する工程及び炭化物を搬出する工程を具備し、汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程から炭化物を生成する工程までを処理に伴って発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段の少なくとも一部が設けられた建屋内で実行する点にある。この場合においても、搬入する工程を建屋内で実行するようにして搬入時に廃棄物から生じる臭気を建屋外に漏れるのを防止するようにしてもよい。搬入工程を建屋外で実行するか建屋内で実行するかは、廃棄物処理プラントを建設する場所が住宅の密集している地域であるか山間部であるかにより、周りの環境や法律と照らし合わせて選択される。
【発明の効果】
【0010】
本発明廃棄物処理プラントによれば、廃棄物を車両で搬入することが可能な搬入エリア、廃棄物をリサイクル可能に処理する処理エリアを同一建屋内に配置し、建屋内に臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段の少なくとも1部を配置しているため、建屋内の空気は脱臭手段を通して建屋外に排気され、これにより建屋内は実質的に負圧の状態になり、廃棄物の保管及びリサイクル処理によって発生する臭気を建屋外に漏れるのを防止でき、環境にやさしい廃棄物処理プラントを実現できる。
【0011】
本発明廃棄物処理プラントによれば、汚泥を車両で搬入することが可能な搬入エリア、汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを分離し、残りの汚泥を浄化処理する第1処理エリア、有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する第2処理エリアを同一建屋内に並設しているため、従来技術で必要とした汚水、汚泥を処理するための広大な面積の沈殿槽及び生物処理槽が不要になり、第1処理エリアを格段に縮小化でき、これにより同一建屋内に搬入エリア、汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去し、残りの汚泥を生物処理するための第1処理エリア及び有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する第2処理エリアを併設することが可能になる。
【0012】
本発明廃棄物処理方法によれば、搬入エリアに汚泥を車両で搬入する工程、搬入された汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程、粗大固形物及び/又は油分が除去された汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去する工程、有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された汚泥を生物処理及び/又は膜処理を施して中水又は浄水にする工程、汚泥から除去された有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する工程及び炭化物を建屋外に搬出する工程を具備し、汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程から炭化物を生成する工程までを処理に伴って発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段の少なくとも一部が設けられた建屋内で実行するため、建屋外に臭気を漏らせることなく廃棄物処理を狭い占有面積でリサイクル可能に処理することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明廃棄物処理プラントの最良の実施形態は、汚泥を車両で搬入することが可能な搬入エリア、汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを分離し、残りの汚泥を浄化処理する第1処理エリア、有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する第2処理エリアを同一建屋内に並設し、建屋内に臭気を含む空気をそれから臭気を除去して建屋外に放出する脱臭手段を配置し、これによって建屋内を実質的に負圧の状態に維持したプラントである。この構成により、同一建屋内で廃棄物をリサイクル可能に処理が可能になり、かつ廃棄物の保管及び処理により発生する臭気を建屋外に漏洩せず、人家の存在する都市エリアにおいても建設可能な環境に優しい廃棄物処理プラントを実現できる。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明廃棄物処理プラントの一実施例を説明するための建屋内の平面レイアウトを示す概略図、図2は建屋内の臭気を除去する脱臭システムを示す概略図、図3は図2のIII―III線に沿う概略断面図である。図において、10は廃棄物処理プラントを設置する建屋で、内部に車両によって廃棄物を搬入するための搬入エリア11、廃棄物をリサイクル可能に処理する処理エリア12、リサイクル処理された廃棄物を搬出するための搬出エリア13を備えている。搬入エリア11は無機系汚泥を搬入する汚泥吸引車11T1、有機系汚泥を搬入する汚泥吸引車11T2及び有機系の脱水汚泥を搬入するトラック11T3を案内する第1搬入エリア11aと、汚泥以外の可燃性ごみ等を搬入するトラック11T4を案内する第2搬入エリア11bを備えている。11S1、11S2及び11S3は第1搬入エリア11aへの汚泥吸引車11T1、11T2及びトラック11T3の出入り口に設けたシャッター、11S4は第2搬入エリア11bへのトラック11T4の出入り口に設けたシャッターである。処理エリア12は第1搬入エリア11aに隣接する第1処理エリア12aと、第1処理エリア12aに仕切りを介して隣接する第2処理エリア12bと、第1処理エリア12a及び第2処理エリア12bに仕切りを介して隣接する第3処理エリア12cと、第2搬入エリア11bに隣接する第4処理エリア12dに分けられている。第1処理エリア12aには有機系汚泥から固形物、油分及び有機系スカムを除去するための地下水槽及び機器から成る有機系汚泥処理施設12a1及び無機系汚泥から砂及び無機系スカムを除去するための地下水槽及び機器から成る無機系汚泥処理施設12a2が設置されている。第2処理エリア12bには固形物、油分、有機系スカム、砂、無機系スカムが除去された汚泥(処理水)を生物処理する曝気槽及び機器から成る汚泥(処理水)処理施設12b1が設置されている。第3処理エリア12cには汚泥(処理水)を放流又は中水として再使用可能な水にするための膜処理機器(図示せず)が設置されている。第4処理エリア12dには第2搬入エリア11bから搬入された可燃性ごみ等を所定の大きさに粉砕・裁断する粉砕裁断装置12d1及び有機スカム及び木屑等の可燃物を炭化処理するための熱分解処理装置12d2が設置されている。搬出エリア13には熱分解処理装置で生成した炭化物を袋詰めする機器(図示せず)を配置すると共に搬出待ちの袋詰めされた炭化物の置き場として利用される。13Sは搬出用の出入り口に設けたシャッターである。20a及び20bは第1搬入エリア11a及び第4処理エリア12dに設置された脱臭装置である。
【0015】
建屋10内の第1処理エリア12a、第2処理エリア12b及び第3処理エリア12cは脱臭装置20aの稼動により実質的に外気より低い気圧即ち負圧の状態に維持されている。図2において、21a1は第1処理エリア12aの有機系汚泥処理施設12a1の上方に設けた吸気口、21a2は第1処理エリア12aの無機系汚泥処理施設12a2の上方に設けた吸気口、21a3は第2処理エリア12bの上方の設けた吸気口、21a4は第3処理エリア12cの上方に設けた吸気口で、下端に矩形状の開口を有しその面積が上方に向かって減少する角錐形状を有している。22a0は脱臭装置20aに連なる共通ダクト、22a1は吸気口21a1と共通ダクト22a0を連結するダクト、22a2は吸気口21a2と共通ダクト22a0を連結するダクト、22a3は吸気口21a3と共通ダクト22a0を連結するダクト、22a4は吸気口21a4と共通ダクト22a0を連結するダクトである。また、22bは脱臭装置20bと熱分解処理装置12d2の排気口(図8のK131)とを連結するダクトである。脱臭装置20a及び20bは各処理エリアで発生する臭気を空気と共に吸気口及びダクトを通して収集し、臭気を除去した空気を建屋外に放出する機能を有する。脱臭装置20a及び20bを稼動することにより建屋内が実質的に負圧の状態になり、これによって建屋内に存在する臭気を含む空気が建屋の出入り口、窓、隙間を通して建屋外に漏れるのを防止することが出来、臭気漏れに起因する環境問題の発生を未然に防止することが出来る。脱臭装置20a及び20bを設置する場所は建屋内外を問わず設置スペースのある場所であれば何処でもよい。また、脱臭装置20aは処理エリア12a、12b及び12cで発生する臭気を一括して除去するために使用しているが、エリア毎又は吸気口毎に分割して設置してもよい。その場合には、臭気の発生状況に応じて脱臭装置の能力を設定できる利点のほかに、1台の脱臭装置が故障した時にダクトの連結を切り替えることで脱臭動作を連続することが出来る利点がある。
【0016】
建屋10は図2のIII―III線に沿う断面で見ると図3に示すようになっている。第1搬入エリア11a及び第2搬入エリア11bは汚泥吸引車が荷台を上昇出来るように他のエリアより天井を高くしてある。第1処理エリア12a及び第2処理エリア12bは地下に形成した水槽12a1及び12b1を有し、水槽上に必要な処理機器(図示せず)を設置して、二階構造にすることで建屋面積の縮小化を図っている。第2処理エリア12bの天井には外光を取り入れる窓12wが設けられて、好気性生物処理の促進が図れるようにしてある。
【実施例2】
【0017】
図4は本発明廃棄物処理プラントに使用する脱臭システムの1実施例を示す概略構成図である。脱臭装置20aは脱臭機201、送付ファン202及び両者を連結するダクトから構成されている。脱臭機201は円筒状部2011aと円筒状部2011aの下方に一体に形成された漏斗状部2011bからなり、脱臭機能を有する炭群が収納された容器2011、容器2011の内側に容器から所定間隔を有して配置された内筒部2012、容器2011内に回転可能に配置された回転羽根2013、回転羽根2013を回転駆動するモータ2014、容器2011の上端に設けた排気ダクト2015からなっている。送付ファン202には共通ダクト22a0、ダクト22a1、22a2、22a3、22a4を通じて吸気口21a1、21a2、21a3、21a4に連結し、これによって矢印に示すように送付ファン202は処理エリア内で発生する臭気を含む空気を吸引し、脱臭機201へ送る働きをする。脱臭機201では、ダクト203から送られて来る臭気を含む空気を円筒状部2011a内に充填された炭群2016内に放出し、炭群に接触することによって空気に含まれる臭気が除去され、臭気を含まない空気が排気ダクト2015から建屋外に放出される。内筒部2012によって円筒状部2011aと内筒部2012との間に環状で上下方向に伸びる空間部2017が形成されており、ダクト203から円筒状部2011a内に案内された空気は空間部2016によって容器201の全周に回り、かつ下方の漏斗状部2011bにおいて炭群の中に放出される。空気に含まれる臭気は炭群に吸着され、炭群を通過した空気は臭気を含まない清浄化された空気になる。炭群は回転羽根2013によって攪拌され、空気の流れを固定せず炭群の各炭粒と略平等に接触するように配慮している。従って、良好な脱臭効果を実現できる。ここで使用する炭郡は使用時間が長くなると脱臭効果が低下するため定期的に交換する必要がある。炭群の交換は1週間〜2週間に1度行うのが好ましく、交換の頻度は高いものとなる。従って、炭群として熱分解処理装置12d2で生成した炭化物を使用するのが好ましい。その理由は、炭群を必要に応じて容易に得られること、脱臭処理に使用した炭群は廃棄物をリサイクル処理して得られた炭としてそのまま販売できることにある。脱臭機20bも脱臭機20aと同じ構成になっている。
【0018】
図4に示す脱臭機201は容器2011内に炭群を収納してそれを回転羽根2013で攪拌する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステンレス網で円盤状に形成されたケースに炭群を案内したカートリッジを容器2011内に所定間隔で多数個積層した構成、ステンレス網で中空円筒状に形成されたケースに炭群を案内したカートリッジを容器2011内に同心上に多数個所定間隔で案内した構成にしてもよい。炭群の頻繁な交換を考慮すると図4の構成が好ましい。
【実施例3】
【0019】
図5は図1の第1処理エリア12aに設置される有機系汚泥処理施設12a1の一実施例で、図において、a1は汚泥吸引車で運ばれてきた有機系汚泥を受け入れる投入路、a2は投入路の端部に設けられた貯蔵部、a3は投入路a1と貯蔵部a2の間に設けられ有機系汚泥から粗大物を除去する例えば数mmメッシュの篩粗取器、a4は有機系汚泥から油分を除去するための油除去水槽、a41は油除去水槽a4の底部付近を除いて油除去水槽a4を有機系汚泥の流れ方向と直角方向に仕切る仕切壁、p1は貯蔵部a2から有機系汚泥を油除去水槽a4に送るパイプで、ポンプは図示を省略してある。貯蔵部a2から油除去水槽a4に送られて来た有機系汚泥に含まれる油分は水面に存在しておりスクラバーで簡単に除去できる。油除去水槽a4を水面において仕切壁a41で複数の領域に仕切る理由は油分の除去を確実にするためである。事前処理工程Aは粗大物及び油分を除去する工程であり、篩粗取器a3と油除去水槽a4を備えている。有機系汚泥には油分が含まれることが多いが、油分を含まない有機系汚泥が搬入された場合には汚泥が油除去水槽a4を通過する際スクラバーが動作しても油分を除去する処理には該当しない。
【0020】
図5において、b1は油除去水槽a4をオーバーフローした汚泥を貯蔵する水質安定槽で、この槽は比較的大きい収容量を有し外部からタンクローリーで搬入されて来る各種有機系汚泥を混合することにより、性状(水質)の安定した汚泥にしてこの後に続く処理工程を高効率で実行する役割を果たしている。b2は水質安定槽b1をオーバーフローした汚泥を貯蔵する脱水調整槽、b3は脱水調整槽b2の上に配置した遠心分離機、b4は脱水調整槽b2の上に配置した中和処理機、p2は脱水調整槽b2の底部付近から処理水を遠心分離機b3に送るパイプ、p3は遠心分離機b3で遠心分離された有機系スカム(通常スカムは浮上している汚濁物を言うが、液中に存在するもの及び沈降している汚濁物を含める広い意味で使用)を置場へ送るパイプ、p4は遠心分離機b3で微細な固形分が遠心分離された汚泥を中和処理機b4に送るパイプ、p5は中和処理機b4で中和処理された汚泥を次工程に送るパイプである。中和処理機b4は例えば苛性ソーダ又は希硫酸を添加してpH7前後の汚泥を得るもので、この後に続く処理を高効率化する役割を果たす。前処理工程Bは汚泥を遠心分離処理及び中和処理をする工程であり、遠心分離機b3と中和処理機b4によって実現される。中和処理は遠心分離処理された汚泥のpHを次の処理工程に相応しい値に調整することを目的にしており、遠心分離処理された汚泥のpHが所定値になっていれば中和処理は不要である。遠心分離機b3は3600〜6,000rpmの高速回転が可能で、汚泥に混合している微細な固形物及び溶け込んでいる有機物を遠心分離する働きをし、含水率の低い有機系スカムを得る役割を果たしている。含水率の低い有機系スカムは焼却処理をする場合及び再利用のために処理をする場合に省エネルギー及び短時間処理を実現できるメリットがある。
【0021】
図5において、c1は中和処理機b4で中和処理されパイプp5から送られて来る汚泥を一次貯蔵する凝集処理調整槽、c2は凝集処理調整槽c1の上に配置した凝集剤を用いた物理的水質浄化装置、p6は凝集処理調整槽c1から物理的水質浄化装置c2へ汚泥を送るパイプ、p7は物理的水質浄化装置c2で凝集分離した有機系スカムを置場へ送るパイプ、p8はパイプp7から分岐して有機系スカムの一部、好ましくは全部を水質安定槽b1へ返送するパイプ、p9は物理的水質浄化装置c2で有機系スカムが除去された汚泥を次工程に送るパイプである。物理的水質浄化装置c2は汚泥に含まれる有機物の凝集に適した凝集剤を添加して攪拌することにより、有機物を凝集して有機系スカムとし、これを沈殿濾過することにより、汚泥から有機系スカムを除去する装置で、例えばワイレックス・リウォター(株)製の物理的水質浄化装置「彗星」が好ましい。この彗星は凝集剤を投与する前に中和処理をする機能を持つ機種があり、汚泥のpHをより正確に調整して有機物の凝集・分離を高効率化できるメリットを有している。また、使用する凝集剤については、市販されている多種の凝集剤の中から処理する汚泥に適した凝集剤を選択使用することが出来るが、例えばワイレックス・リウォター(株)製のエレクサイトが好ましい。廃棄物処理の省エネルギー、省処理時間を考えると、物理的水質浄化装置c2で凝集除去された有機系スカムの全てを水質安定槽b1へ返送して、有機系スカムを遠心分離機b3により汚泥から分離して含水率を低くすることが好ましい。
【実施例4】
【0022】
図6は図1の第1処理エリア12aに設置される無機系汚泥処理施設12a2の一実施例で、図において、e1は汚泥吸引車で運ばれてきた上澄みの砂を含まない無機系汚泥を受け入れる投入路、e2は汚泥吸引車で運ばれている途中で沈殿した砂分を主として含む無機系汚泥を受け入れる投入路e1に隣接して設けられた貯蔵部、e3は貯蔵部e2に設けられ無機系汚泥から砂を除去する砂水分離器、e4は投入路e1からパイプp20を通して送られて来る無機系汚泥から砂を除く振動粗取機で、これらにより事前処理工程Eが実行される。p21は砂を置場へ送るパイプ、p22は砂を除去した汚泥を送るパイプである。
【0023】
図6において、f1は貯蔵部e2からパイプp23で送られて来る汚泥及び振動粗取機e4からパイプp22で送られて来る汚泥を貯蔵する遠心分離処理用一次槽、f2は遠心分離処理用一次槽f1の上に配置された遠心分離機、p23は遠心分離処理用一次槽f1から汚泥e1を遠心分離機f2に送るパイプ、p24は遠心分離された無機系スカムを置場に送るパイプ、p25は無機系スカムが除去された汚泥を遠心分離処理用一次槽f1に戻すパイプである。f3は遠心分離処理用一次槽f1からオーバーフローして来る汚泥を貯蔵する遠心分離処理用二次槽、f4は遠心分離処理用二次槽f3の上に配置した遠心分離機、p26は遠心分離処理用二次槽f3の汚泥を遠心分離機f4へ送るパイプ、p27は遠心分離された無機系スカムを置場に送るパイプ、p28は無機系スカムが除去された汚泥を遠心分離処理用二次槽f3に戻すパイプである。これら遠心分離機f2、f4によって前処理工程Fが実行される。ここで使用する遠心分離機は汚泥に油分が少ないので3000rpm程度の回転数で充分機能する。
【0024】
図6において、g1は遠心分離処理用二次槽f3からオーバーフローして来る汚泥を一時貯蔵する凝集処理調整槽、g2は凝集処理調整槽g1の上に配置した凝集剤を用いた物理的水質浄化装置、p29は凝集処理調整槽g1から物理的水質浄化装置g2へ汚泥を送るパイプ、p30は物理的水質浄化装置g2で凝集分離した無機系スカムを置場へ送るパイプ、P31は物理的水質浄化装置g2で無機系スカムが除去された汚泥を次工程に送るパイプである。物理的水質浄化装置g2は汚泥に無機物の凝集に適した凝集剤を添加して攪拌することにより、無機物を凝集し、これを沈殿濾過することにより、汚泥から無機系スカムを除去する装置で、例えばワイレックス・リウォター(株)製の物理的水質浄化装置「彗星」が好ましい。また、使用する凝集剤については、市販されている多種の凝集剤の中から無機系汚泥の処理に適した凝集剤を選択使用することが出来るが、例えばワイレックス・リウォター(株)製のエレクサイトが好ましい。尚、汚泥には無機系汚濁物だけでなく有機系汚濁物が含まれており、凝集剤としては有機系汚濁物及び無機系汚濁物の凝集に適したものを使用するとよい。
【実施例5】
【0025】
図7は固形物、油分及び有機系スカムが除去された有機系汚泥及び砂及び無機系スカムが除去された無機系汚泥を生物処理及び膜処理する設備の一実施例で、図において、d1は図6に示すパイプp9及び図7に示すパイプp31から送られて来る汚泥を貯蔵する混合槽、d2は混合槽d1の上に配置した中和処理機、p10は混合槽d1から汚泥を中和処理機d2へ送るパイプ、p11は中和処理機d2で中和処理した汚泥を生物処理をするための第1曝気槽d3へ送るパイプ、d4は第1曝気槽d3をオーバーフローした汚泥を貯蔵して生物処理をするための第2曝気槽、d5は第2曝気槽d4に貯蔵されている生物処理された汚泥から微生物の死骸を主成分とする有機系スカムを遠心分離する遠心分離機、p12は第2曝気槽d4から汚泥を遠心分離機d5に送るパイプ、p13は遠心分離機d5から有機系スカムが遠心分離された汚泥を第2曝気槽d4に返送するパイプ、p14は遠心分離機d5で遠心分離された有機系スカムを置場へ送るパイプ、d6は第2曝気槽d4をオーバーフローした汚泥を貯蔵して生物処理をするための第3曝気槽、d7は第3曝気槽d6をオーバーフローした汚泥を貯蔵して膜処理をするための膜曝気槽、d71は膜曝気槽d7内に配置した膜処理装置、d8は膜曝気槽d7からパイプp15で送られて来る汚泥(膜処理装置d71で処理されたおり汚泥ではないが、説明の都合上汚泥と称す)を貯蔵する貯蔵槽、d9は貯蔵槽d8の上に配置された逆浸透膜処理装置、p16は貯蔵槽d8から逆浸透膜処理装置d9に汚泥を送るパイプ、d10は貯蔵槽d8をオーバーフローした汚泥を一次貯蔵する第1放流調整槽、p17は第1放流調整槽d10に貯蔵された汚泥を処理水として河川に放流するパイプ、d11は逆浸透膜処理装置d9からパイプp18で送られて来る汚泥(逆浸透膜処理装置d9で処理されており浄水であるが、説明の都合上汚泥と称す)を一次貯蔵する第2放流調整槽、p19は第2放流調整槽d11に貯蔵された汚泥を処理水dとして事業所内の中水として再使用するために事業所へ送るパイプである。中水を他の事業所へ供給する場合には、パイプp19を建屋から引出された個所が搬出エリアとなる。配置した膜処理装置d71としては例えば(株)クボタの液中膜が好ましい。この実施例では生物処理に使用する微生物として、生物処理時間を短縮するために好気性微生物を使用する場合を示したが、本発明はこれに限定されず処理時間は長いが汚泥の生成量が少ない嫌気性微生物を使用してもよい。図7の混合槽d1から膜曝気槽d7までの地下槽及びその上に配置された機器は図1の第2処理エリア12bに汚泥(処理水)処理施設12b1設置され、 図7の貯蔵槽d8から第2放流調整槽d11までの地下槽及びその上に配置された機器は図1の第3処理エリア12cに設置される。
【実施例6】
【0026】
図8は図1の第4処理エリア12dに設置して有機系スカムを熱分解処理によって再利用可能な炭化物に変換するための熱分解処理装置を示す概略図である。図において、K1は電気加熱炉で被処理物としての有機系スカムを乾燥する乾燥管K11、乾燥された有機系スカムを炭化処理する炭化処理管K12、乾燥管K11及び炭化処理管K12で発生するダイオキシンを含むガスを900℃以上で加熱して無害化するガス処理管K13が貫通配置されている。電気加熱炉K1はそれを貫通するように配置された多数本のセラミックヒータで温度調整可能に加熱されるようになっている。K14は乾燥管K11から被処理物を炭化処理管K12に供給する連結管、K15及びK16は乾燥管K11及び炭化処理管K12で発生するダイオキシンを含むガスをガス処理管K13に送るためのガス連結管、K131はガス処理管K13から処理済みのガスを排出する排出口である。排出口K131は図2のダクト22bに接続される。K2は電気加熱炉K1の下方に配置された冷却部で炭化された被処理物を冷却する冷却管K21が貫通配置されている。K22は炭化処理管K12から炭化された被処理物を冷却管K21に送るための連結管、K211は冷却管K21から炭化物を排出する排出口である。K17、K18及びK23は乾燥管K11、炭化処理管K12及び冷却管K21内に配置されて被処理物を搬送するスクリューコンベア(図示せず)を駆動する電動機である。K3は有機系スカムを受け入れるホッパー、K4はホッパーK3で受け入れた有機系スカムを乾燥管K11のホッパーK111に搬送供給する搬送装置、K41は搬送装K4内に配置されて被処理物を搬送するスクリューコンベア(図示せず)を駆動する電動機である。乾燥管K11及び炭化処理管K12内は被処理物が燃焼しないように酸素濃度の低い不活性ガス雰囲気にしてある。有機系排水処理装置で排水から除去した有機系スカムはこの熱分解処理装置で処理することにより炭化物に再生される。従って、従来のように、有機系スカムを埋め立てまたは焼却処理する必要がなくなる。
【実施例7】
【0027】
図9は本発明廃棄物処理方法の一実施例を示す概略工程図である。図において、91は脱臭装置を運転することにより外気より実質的に負圧の状態に維持された建屋内の搬入エリアに汚泥(有機系汚泥及び/又は無機系汚泥)を車両で搬入する工程、92は搬入された汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程、93は粗大固形物及び/又は油分が除去された汚泥に凝集剤を添加して有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去する工程、94は有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された汚泥を生物処理及び/又は膜処理を施して中水又は浄水にする工程、95は汚泥から除去された有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する工程、96は生成した炭化物を建屋外に搬出する工程である。これら全工程は外気より負圧にされた建屋内で連続した一連の工程として遂行される。この廃棄物処理方法によれば、従来技術のように処理の途中で廃棄物を遠隔地に搬送する必要がなくなり搬送コストの低減が図れ、廃棄物の保管及び処理過程で発生する臭気を建屋外に漏らさず環境に優しい処理方法とし、更に処理に使用する各種設備が同一建屋内に設置されているため、効率的に運転できる利点がある。廃棄物処理を実行する場所によっては、二重線で示すように搬入する工程及び搬出する工程を脱臭装置を設置した建屋外で実行することが考えられる。
【実施例8】
【0028】
以上説明した廃棄物処理プラント及び廃棄物処理方法によれば、汚泥から凝集剤を用いて有機物スカム及び無機系スカムを凝集分離した後、生物処理及び膜処理を施す方式を採用することにより、汚泥処理を短い処理時間で効率的に実行できるようになった。このため、大量の汚泥を効率的に処理する公共施設としての汚泥処理施設を実現できる。これを有機系汚泥の処理と無機系汚泥の処理に分けて詳述する。
【0029】
図5及び図7に示す処理施設で有機系汚泥を処理すると、汚泥吸引車で搬入された原水としての汚泥a、物理的水質浄化装置C2「彗星」で処理された後の有機系汚泥b、処理後河川へ放流される処理水としての有機系汚泥c、事業所で中水として再使用される有機系汚泥dのpH、粗大物、SS(浮遊物質)、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、TN(全窒素)、TP(全リン)を比較すると表1のようになる。pH以外の項目の単位はmg/Lである。表1の原水の数値は一例で搬入の都度異なっている。

表1でBODの変化を見ると、原水で例えば8000mg/L存在していたBODが処理後には60mg/Lとなり、1/130に減少していることが分かる。従来技術では生物処理によりBODを除去するため、8000mg/LのBODを除去するためには2週間程度の処理日数が必要である。本発明では例えば彗星を使用することにより、装置内を汚泥が流れる1〜2分の時間でBODを除去でき、後の処理もBODが1/130になっているので処理期間も1/130に短縮できる。従って、本発明を用いて有機系汚泥を処理すれば、従来技術(生物処理)に比較して処理時間が1/50〜1/100に短縮でき、生物処理に使用する各種槽の占有面積も1/50〜1/100に縮小化できる効果がある。
【0030】
図6及び図7に示す処理施設で無機系汚泥を処理すると、汚泥吸引車で搬入された原水としての無機系汚泥e、物理的水質浄化装置g2「彗星」で処理された汚泥f、処理後河川へ放流される処理水としての汚泥c、事業所で中水として再使用される汚泥dのpH、粗大物、SS(浮遊物質)、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、TN(全窒素)、TP(全リン)を比較すると表2のようになる。pH以外の項目の単位はmg/Lである。


表2でBODの変化を見ると、原水で例えば2000mg/L存在していたBODが処理後には60mg/Lとなり、1/30に減少していることが分かる。このBODを生物処理のみで除去するためには1週間程度の処理日数を必要とするが、本発明では例えば彗星を使用することにより、装置内を汚泥が流れる1〜2分の時間でBODを除去でき、後の処理でBODが1/30になっているので処理期間も1/30に短縮できる。従って、本発明を用いて無機系汚泥を処理すれば、従来技術(生物処理)に比較して処理時間が1/15〜1/30に短縮でき、生物処理に使用する設備面積も1/15〜1/30に縮小化できる効果がある。
【0031】
以上の説明から理解できるように、汚泥の処理として汚泥から凝集剤を用いて有機物スカム及び無機系スカムを凝集分離した後、生物処理及び膜処理を施す方式を採用することにより処理施設の設置面積を従来の1/50〜1/100に縮小化できる。このため、汚泥の処理施設を建屋内に設置でき、かつ他の廃棄物処理施設と同一建屋内に設置することが可能になる。
【実施例9】
【0032】
図10は本発明廃棄物処理プラントの他の実施例を説明するための建屋内の平面レイアウトを示す概略図である。図1の実施例と相違する点は、搬入エリア11が建屋10の外部に設けられていること、それに伴って搬入エリア11と第1処理エリアとの間に仕切りが設けられ、それにシャッター12S1、12S2、及び12S3が設けられ、搬入エリア11と第4処理エリア12dとの間に仕切りが設けられ、それにシャッター12S4が設けられていること、脱臭装置20aが第4処理エリア12dに設置されていることである。廃棄物処理プラントを建設する際に注意すべき点はプラントを建設することによって発生する臭気が周辺に漏れる量を法律で規制される数値範囲に抑えることである。図1の廃棄物処理プラントは廃棄物の保管及び処理に伴って発生する臭気のみならず、搬入時に廃棄物から放出される臭気が建屋外に漏れるのを完全に阻止することを目的にしているが、図10の実施例では廃棄物の保管及び処理に伴って発生する臭気が建屋外に漏れるのを阻止することで充分とし、搬入時に廃棄物から放出される臭気が漏れるのは許容範囲であるとしている。図1のプラントと図10のプラントの何れを選択するかは、建設する場所の環境や法規制を考慮して決められる。
【0033】
以上は本発明を代表的な実施例を例に挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明廃棄物処理プラントの一実施例を説明するための建屋の平面レイアウトを示す概略図である。
【図2】本発明廃棄物処理プラント用の建屋内の臭気を除去するための脱臭システムの配置を示す概略図である。
【図3】図2のIII―III線に沿う概略断面図である。
【図4】本発明廃棄物処理プラントに使用する脱臭システムの1実施例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に使用する有機系汚泥の処理施設の一実施例を示す概略構成図である。
【図6】本発明に使用する無機系汚泥の処理施設の一実施例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に使用する生物処理及び膜処理施設の一実施例を示す概略構成図である。
【図8】本発明に使用する熱分解処理装置を示す概略図である。
【図9】本発明廃棄物処理方法の一実施例を示す概略工程図である。
【図10】本発明廃棄物処理プラントの他の実施例を説明するための建屋の平面レイアウトを示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
10 建屋
11a,11b 搬入エリア
12a,12b,12c,12d 処理エリア
12a1 有機系汚泥処理施設
12a2 無機系汚泥処理施設
12b1 汚泥(処理水)処理施設
12d1 粉砕裁断装置
12d2 熱分解処理装置
13 搬出エリア
20a,20b 脱臭装置
201 脱臭機
202 送付ファン
21a1,21a2,21a3,21a4 吸気口
22a0 共通ダクト
22a1,22a2,22a3,22a4,22b ダクト
b3,d5,f2,f4 遠心分離機
c2,g2 物理的水質浄化装置
d2 中和処理機
d3,d4,d6 曝気槽
d71 膜処理装置
d9 逆浸透膜処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を車両で搬入することが可能な搬入エリアと、前記廃棄物をリサイクル可能に処理する処理エリアと、リサイクル処理された前記廃棄物の生成物を搬出する搬出エリアを具備し、少なくとも前記処理エリアが建屋内に配置され、前記建屋内に前記リサイクル処理に伴って発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して前記建屋外に放出する脱臭手段の一部が設けられていることを特徴とする廃棄物処理プラント。
【請求項2】
汚泥を車両で搬入することが可能な搬入エリアと、前記汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを分離し、前記有機系スカム及び/又は前記無機系スカムが除去された前記汚泥を浄化処理する第1処理エリアと、前記有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する第2処理エリアと、前記炭化物を搬出する搬出エリアを具備し、少なくとも前記第1処理エリア及び前記第2処理エリアが建屋内に配置され、前記建屋内に前記各処理エリアで発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して前記建屋外に放出する脱臭手段の一部が設けられていることを特徴とする廃棄物処理プラント。
【請求項3】
前記搬入エリアが前記建屋内に配置されていることを特徴とする請求項2記載の廃棄物
処理プラント。
【請求項4】
前記建屋内に配置する前記脱臭手段が、処理エリアで発生する臭気を集めて脱臭機能を
有する炭群の間を通過させる構成の脱臭装置であることを特徴とする請求項3記載の廃棄物処理プラント。
【請求項5】
搬入エリアに汚泥を車両で搬入する工程、搬入された前記汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程、粗大固形物及び/又は油分が除去された前記汚泥から有機系スカム及び/又は無機系スカムを除去する工程、有機系スカム及び/又は無機系スカムが除去された前記汚泥を生物処理及び/又は膜処理を施して中水又は浄水にする工程、前記汚泥から除去された前記有機系スカムを熱分解処理して炭化物を生成する工程及び前記炭化物を搬出する工程を具備し、前記汚泥から粗大固形物及び/又は油分を除去する工程から前記炭化物を生成する工程までを前記処理に伴って発生する臭気を含む空気をそれから臭気を除去して前記建屋外に放出する脱臭手段の一部が設けられた前記建屋内で実行することを特徴とする廃棄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−69381(P2010−69381A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237691(P2008−237691)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(508200229)ACTトレードシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】