説明

廃棄物埋立処分場管理システム

【課題】廃棄物埋立地の地下構造と埋設廃棄物の情報を関連づけて表示し簡易に検索することが可能な廃棄物埋立処分場管理システムを提供する。
【解決手段】各埋立部位の三次元構造を表す部位構造情報を構造情報記憶手段に記憶し、廃棄物埋立処分場に投入される廃棄物の写真及び当該写真を撮影した位置座標の情報である撮影情報を撮影情報記憶手段に記憶する。この各構造情報に基づいて、廃棄物埋立処分場の全体構造図を表示装置に表示し、全体構造図における位置座標を入力し、入力される位置座標に基づき、当該位置座標を含む埋立部位の撮影情報を撮影情報記憶手段から読み出し、当該位置座標を含む埋立部位の廃棄物投入情報を廃棄物投入情報記憶手段から読み出して表示装置に表示するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物埋立処分場の設計・管理を行う廃棄物埋立処分場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物埋立処分場は、産業社会において不要となった廃棄物を埋め立て、土壌の持つ還元作用を利用して、廃棄物を自然に同化させるための施設である。従って、廃棄物埋立処分場は、一種の微生物反応器と考える「埋立地反応器」という概念で捉えることができる。すなわち、廃棄物埋立処分場を、廃棄物を容器構造の中に閉じこめ、内部で発生する浸出水や埋立ガスが外部環境に影響しないように管理し、内部の廃棄物の土壌への還元を早める一種の反応容器であると捉える考え方である(非特許文献1,p.4参照)。このような「埋立地反応器」概念に立った場合、反応器内部に投入する廃棄物の位置や種類を最適な状態に管理・制御することが必要である。
【0003】
また、近年、廃棄物埋立処分場内での硫化水素の発生が問題となっている。廃棄物が土壌に還元する際に、埋立ガスとしてある程度の硫化水素が発生することは避けられないことであるが、発生する硫化水素の量が過度に多い場合、周辺環境への悪臭の発散の問題や、埋立地内で作業する作業員の安全上の問題が生じる。従って、硫化水素等の埋立ガスの発生量を制御するために投入する廃棄物の位置・種類を適正に管理することが重要である。
【0004】
このように、廃棄物埋立処分場において廃棄物の管理を行うための管理システムとしては、特許文献1に記載のものが公知である。
【0005】
特許文献1に記載の廃棄物最終処分場管理システムは、搬入される廃棄物の種類、搬入量、搬入者及び搬入日時を登録する機能と、最終処分場における廃棄物投入場所の三次元空間座標を得る手段と、これらの機能及び手段により得られるデータを記憶し、表示する機能とを備えたものである。図20は、特許文献1に記載の廃棄物最終処分場管理システム100の構成を表す図である。この廃棄物最終処分場管理システム100は、廃棄物埋立処分場への廃棄物の違法持ち込みを防止し、周辺住民の不安感を低減させる目的により考案されたものである。
【0006】
図20において、廃棄物最終処分場管理システム100は、サーバ101、廃棄物情報入力装置102、空間情報入力装置103、画像情報入力装置104、沈降量情報入力装置105、及び公開端末106,106を備えている。公開端末106,106は、インターネット107やコンピュータネットワーク108によりサーバ101と接続されている。また、サーバ101は、制御手段109、メインプログラム110、記憶手段110,111,112,113、及び空間情報補正手段114を備えている。
【0007】
廃棄物埋立処分場に廃棄物積載車両が到着すると、搬入者は処分場受付において、廃棄物の種類、搬入量、搬入者、搬入日時等を記載したマニュフェスト伝票を提示する。このマニュフェスト伝票に記載した情報は、管理者によって廃棄物情報入力装置102からサーバ101へ入力され、記憶手段111へ保存される。次に、廃棄物積載車両は、無線発信器を搭載し、廃棄物投入地点へ進入する。廃棄物投入場所の周囲には三つの受信アンテナが設置されており、これらの受信アンテナにより廃棄物積載車両に搭載された無線発信器が発信する信号が受信され、空間情報入力装置103へ入力される。空間情報入力装置103は、これらの受信信号に基づいて廃棄物積載車両の三次元位置座標を求め、求めた三次元位置座標をサーバ101へ入力する。サーバ101では、三次元位置座標が記憶手段113に記憶される。また、廃棄物投入場所の周囲には、複数のカメラが設置されており、カメラによって撮像される廃棄物投入状況の画像が画像情報入力手段104からサーバ101へ入力され、記憶手段112へ保存される。
【0008】
このように、廃棄物埋立処分場へ持ち込まれた廃棄物の情報(廃棄物情報マニュフェスト)、廃棄物投入地点の位置情報(三次元位置座標)、及び廃棄物投入地点における投入状況の画像が、サーバ101内の各記憶手段111,112,113に保存される。これら保存された情報は、公開端末106により検索・表示することができる。公開端末106において、操作者は情報の端末画面上への表示を指定する。これにより、サーバ101の制御手段109は、記憶手段110に記憶されたメインプログラムによって作動して、記憶手段111,112,113に記憶された情報を読み出し、公開端末106へ送信する。そして、公開端末106の表示画面上にこれらの情報が表示される。
【0009】
このようにして、廃棄物埋立処分場へ投入された廃棄物の情報を保管し、公開端末106によって住民へ公開することで周辺住民の不安感を低減させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−109154号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】田中信寿,「環境安全な廃棄物埋立処分場の建設と管理」,技報堂出版,2000年1月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述したように廃棄物埋立処分場を「埋立地反応器」として埋立設計する場合、廃棄物埋立地の地下の正確な三次元構造情報が必要とされる。また、地下のどの層にどのような廃棄物が埋設されているのかを容易に素早く正確に検索できる必要がある。また、地下構造を立体的に俯瞰したり、埋立層が垂直方向に如何なる層構造になっているのかを容易に素早く検索できる必要がある。また、埋立地には日々廃棄物が継続して投入されるため、業務効率の観点から、投入された廃棄物の情報をできる限り簡易に入力できることも必要である。
【0013】
しかしながら、上記従来の廃棄物最終処分場管理システムは、主として廃棄物埋立地の何処に何時、如何なる廃棄物が埋設されているかを周辺住民に公開するためのものであるため、廃棄物埋立処分場の「設計」に適用するためには機能的に十分ではない。
【0014】
また、埋立地周辺にカメラやアンテナを設置する必要があり設備が大がかりであるため設置コストが高い。一般に、民間の廃棄物埋立処分場は利益率が低いため、極めて厳しいコスト削減が求められており、管理システムを現実的に導入するためには、できる限り簡易に設置可能なものであることが求められる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、廃棄物埋立地の地下の正確な三次元構造とそこに埋設された廃棄物に関する情報を関連づけて表示し簡易に検索することが可能であるとともに、安価且つ簡便にシステムを導入することが可能な廃棄物埋立処分場管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第1の構成は、画像を表示する表示装置を備えたコンピュータにより廃棄物埋立処分場の管理を行う廃棄物埋立処分場管理システムであって、埋立を行う廃棄物の種類毎に、当該種類の廃棄物を埋め立てる埋立部位の位置及び三次元構造を表す部位構造情報を記憶する構造情報記憶手段と、廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の写真を記憶する写真ファイル記憶手段と、当該写真を撮影した位置座標の情報である撮影情報を記憶する撮影情報記憶手段と、廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の種類及び処理日に関する情報である廃棄物搬入情報を、当該廃棄物を処理する埋立部位と関連づけて記憶する廃棄物搬入情報記憶手段と、前記撮影情報を入力し、前記撮影情報記憶手段に保存する撮影情報入力手段と、前記廃棄物搬入情報を入力し、前記廃棄物搬入情報記憶手段に保存する廃棄物搬入情報入力手段と、前記部位構造情報を入力し、前記構造情報記憶手段に保存する構造情報入力手段と、前記構造情報記憶手段に保存された前記各構造情報に基づいて、廃棄物埋立処分場の全体構造図を前記表示装置に表示する構造図生成表示手段と、前記全体構造図における位置座標を入力する位置入力手段と、前記位置入力手段により入力される位置座標に基づき、当該位置座標を含む埋立部位の撮影情報を前記撮影情報記憶手段から読み出し、当該位置座標を含む埋立部位の廃棄物搬入情報を前記廃棄物搬入情報記憶手段から読み出して前記表示装置に表示する廃棄物情報検索表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、廃棄物を埋立地に搬入する場合、処理する埋立部位の区画について、CAD等を用いて部位構造情報を作成し、当該部位構造情報を構造情報入力手段により構造情報記憶手段に保存する。また、実際に処理する際の処理地点における廃棄物の写真をデジタルカメラで撮影する。このとき、デジタルカメラとしては、通常のデジタルカメラ(GPSレシーバの付属していないデジタルカメラ)を使用してもよいし、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)レシーバと連動し緯度経度,高度等の測位データを写真と共に記録するGPSレシーバ付きデジタルカメラを使用することもできる。GPSレシーバ付きデジタルカメラで撮影したデジタル写真データには、画像情報とともにGPSの測定情報も含まれているので、写真データ入力手段により写真データを写真データ記憶手段に保存するとともに、写真データに含まれる撮影情報を撮影情報入力手段によって撮影情報記憶手段に保存する。通常のデジタルカメラを使用した場合には、写真データ入力手段により写真データを写真データ記憶手段に保存するとともに、別途GPSレシーバにより取得したGPSの測定情報を撮影情報入力手段によって撮影情報記憶手段に保存する。また、廃棄物搬入情報入力手段により、処理した廃棄物の種類及び搬入日に関する情報である廃棄物搬入情報を、当該廃棄物を処理した埋立部位と関連づけて、廃棄物搬入情報記憶手段に保存する。このようにして、廃棄物埋立処分場の三次元構造データを、写真データ、撮影情報及び廃棄物搬入情報とともに記録し、逐次廃棄物埋立処分場の三次元構造を構築していく。
【0018】
次に、過去に埋立地のどの部位にどのような廃棄物が埋設されているかを閲覧する場合、構造図生成表示手段により、廃棄物埋立処分場の全体構造図を前記表示装置に表示する。次いで、位置入力手段により、閲覧したい部分の全体構造図における位置座標を入力する。この場合、入力方法は、直接キーボードなどにより座標値を入力してもよいし、マウス等のポインティング・デバイスを用いて表示装置の画面上の全体構造図の上をクリックすることにより位置を入力するようにしてもよい。位置座標が入力されると、廃棄物情報検索表示手段は、当該位置座標を含む埋立部位の写真データ、撮影情報及び廃棄物搬入情報を写真データ記憶手段、撮影情報記憶手段及び廃棄物搬入情報記憶手段から読み出して表示装置に表示する。このようにして、過去に埋立地のどの部位にどのような廃棄物が埋設されているかを、三次元の全体構造図を見ながら簡易に検索・表示させることができる。従って、過去の埋立地の廃棄物の配置を見ながら次の廃棄物の埋立位置を設計することが容易となる。
【0019】
また、GPSレシーバ付きのデジタルカメラを使用すれば、大がかりな設備を必要としないため、より安価且つ簡便にシステムを導入することが可能である。
【0020】
ここで、「廃棄物の種類」とは、例えば、燃え殻,汚泥,廃プラスチック類,金属くず,ガラス・コンクリート・陶磁器くず,鉱さい,がれき類,ばいじん等のような、廃棄物を共通する性質によって分類しまとめたものをいう。「部位構造情報」は、具体的にはCAD(Computer Aided Design)ソフトウェアなどにより作成された三次元CADデータとして構成される。「撮影情報」は、例えば、Exifファイルフォーマット等の位置情報を格納できるフォーマットで作成されたデジタル写真データを使用することができる。例えば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)レシーバと連動し、緯度経度,高度等の測位データを写真と共に記録するデジタルカメラで撮影された写真などである。
【0021】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、前記構造図生成表示手段は、平面図生成表示手段及び柱状図生成手段を備え、前記位置入力手段は、平面位置入力手段及び垂直位置入力手段を備えており、前記平面図生成表示手段は、前記廃棄物埋立処分場の全体構造の平面図を生成し前記表示装置に表示するものであり、前記平面位置入力手段は、前記平面図生成表示手段により表示される平面図上の位置座標を入力するものであり、前記柱状図生成手段は、前記平面位置入力手段により入力される位置における、垂直方向の廃棄物の積層状態を表す柱状図を生成し前記表示装置に表示するものであり、前記垂直位置入力手段は、前記柱状図生成手段により表示される柱状図上の位置座標を入力するものであることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、まず、平面図生成表示手段によって、表示装置に廃棄物埋立処分場の全体構造の平面図が表示される。処分場の管理者は、埋立計画を策定するに当たって、どの場所のどの深さにどのような廃棄物が埋め立てられているかを知る必要があるが、その場合、管理者は、地下構造を調べたい地点の位置座標を、表示された全体構造の平面図上で指定する。この場合、位置座標の指定の仕方は、座標値を直接入力するようにしてもよいし、マウスなどのポインティング・デバイスによって平面図上の点を指定して入力するようにしてもよい。位置座標が入力されると、柱状図生成手段は、構造情報記憶手段に保存されている各埋立部位の位置及び三次元構造の情報と、廃棄物搬入情報記憶手段に保存されている廃棄物搬入情報の中から、指定された位置座標に相当するものを抽出し、抽出された各情報に基づいて、当該位置座標における垂直方向の廃棄物の積層状態を表す柱状図を生成し表示装置に表示する。更に、管理者は、どの深さにどのような廃棄物が埋設されているのかを調べる場合、当該柱状図上の位置座標(深さ情報)を入力する。このときの入力の仕方は、深さ値を直接入力してもよいし、マウスなどのポインティング・デバイスによって柱状図上の点を指定して入力するようにしてもよい。深さ情報が入力されると、廃棄物情報検索表示手段は、当該位置座標を含む埋立部位の写真データ、撮影情報及び廃棄物搬入情報を写真データ記憶手段、撮影情報記憶手段及び廃棄物搬入情報記憶手段から読み出して表示装置に表示する。このようにして、過去に埋立地のどの部位にどのような廃棄物が埋設されているかを、全体構造の平面図と特定された点の柱状図とを見ながら簡易に検索・表示させることができる。
【0023】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第3の構成は、前記第2の構成において、前記柱状図生成手段は、前記平面位置入力手段により入力される位置における、垂直方向の廃棄物の積層状態を、廃棄物の埋立部位毎に色分けして表示した柱状図を生成し前記表示装置に表示するものであることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、柱状図生成手段は、管理者により指定される平面位置において、垂直方向の廃棄物の積層状態を、廃棄物の埋立部位毎に色分けして表示した柱状図を生成するので、管理者は一目でどの深さにどのような廃棄物が埋設されているのかを認識することができる。従って、廃棄物埋立処分場の埋設設計の効率を向上させることができる。
【0025】
ここで、「色分け」とは、廃棄物の埋立部位毎に異なる色で表示することをいい、必ずしもカラー表示である必要はなく、各部位毎に明度差をつけて表示させるようにしてもよい。
【0026】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第4の構成は、前記第1の構成において、前記構造図生成表示手段は、全体構造表示手段及び断面構造表示手段を備え、前記位置入力手段は、切断線指定手段及び断面位置入力手段を備えており、前記全体構造表示手段は、前記廃棄物埋立処分場の全体構造図を立体図又は平面図として前記表示装置に表示するものであり、前記切断線指定手段は、前記全体構造表示手段により表示される前記立体図又は前記平面図において、切断線の位置を指定するものであり、前記断面構造表示手段は、前記切断線指定手段により指定される切断線において前記廃棄物埋立処分場を切断した断面図を生成し前記表示装置に表示するものであり、前記断面位置入力手段は、前記断面構造表示手段により表示される前記断面図上における位置座標を入力するものであることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、まず、全体構造表示手段によって、表示装置に廃棄物処分場の全体構造の立体図(又は平面図)が表示される。処分場の管理者は、埋立計画を策定するに当たって、どの場所のどの深さにどのような廃棄物が埋め立てられているかを知る必要があるが、その場合、管理者は、切断線指定手段によって地下構造を調べたい地点を含む切断線を、表示された全体構造の立体図上(又は平面図上)で指定する。この場合、切断線の指定の仕方は、切断線の位置表す数値を直接入力するようにしてもよいし、マウスなどのポインティング・デバイスによって立体図上(又は平面図上)の線を指定して切断線を入力するようにしてもよい。切断線が入力されると、柱状図生成手段は、構造情報記憶手段に保存されている各埋立部位の位置及び三次元構造の情報と、廃棄物搬入情報記憶手段に保存されている廃棄物搬入情報の中から、指定された切断線に相当するものを抽出し、抽出された各情報に基づいて、当該切断線における垂直方向の廃棄物の積層状態を表す断面図を生成し表示装置に表示する。更に、管理者は、どの深さにどのような廃棄物が埋設されているのかを調べる場合、断面位置入力手段により当該断面図上の位置座標を入力する。このときの入力の仕方は、深さ値を直接入力してもよいし、マウスなどのポインティング・デバイスによって断面図上の点を指定して入力するようにしてもよい。位置座標が入力されると、廃棄物情報検索表示手段は、当該位置座標を含む埋立部位の写真データ、撮影情報及び廃棄物搬入情報を写真データ記憶手段、撮影情報記憶手段及び廃棄物搬入情報記憶手段から読み出して表示装置に表示する。このようにして、過去に埋立地のどの部位にどのような廃棄物が埋設されているかを、全体構造の立体図と特定された節委断線の断面図とを見ながら簡易に検索・表示させることができる。
【0028】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第5の構成は、前記第1の構成において、前記撮影情報入力手段は、前記写真データ入力手段により、各埋立部位毎に、撮影位置の座標が埋め込まれた一群の写真データが読み込まれると、当該一群の写真データから位置座標を抽出し、それらの位置座標の重心座標を計算し、その重心座標を当該一群の写真データの位置座標とし、それら写真データの位置座標に関する前記撮影情報として撮影情報記憶手段に保存することを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、ある埋立部位について、前記写真データ入力手段により、位置座標情報が埋め込まれた写真データが複数読み込まれると、撮影情報入力手段は、それら一群の写真データのそれぞれから位置座標を抽出する。そして、抽出された位置座標の重心座標を計算する。そして、この重心座標を各写真データの位置座標とし、それら写真データの位置座標に関する撮影情報として撮影情報記憶手段に保存する。一般に、各埋立部位について、写真を撮影する場合、その埋立部位の四方周辺から撮影を行うために、撮影位置が埋立部位からずれている場合が多い。従って、後で各部位の写真データを検索する場合に検索しにくくなる。そこで、上述のように、重心位置を代表点とすることで、各写真データの位置座標が埋立部位の範囲内となるように補正されるため、各部位の写真データの検索が容易となる。
【0030】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第6の構成は、前記第1の構成において、廃棄物搬入情報に関する検索キーを入力する検索キー入力手段と、前記検索キー入力手段により入力された検索キーに基づき、前記廃棄物搬入情報記憶手段に保存された廃棄物搬入情報を検索し、該当する廃棄物搬入情報を抽出する廃棄物搬入情報抽出手段と、前記廃棄物搬入情報検索手段により抽出された廃棄物搬入情報の埋立部位に含まれる撮影情報及び写真データを、前記撮影情報記憶手段に記憶された撮影情報及び前記写真データ記憶手段に記憶された写真データの中から抽出する撮影情報抽出手段と、前記廃棄物搬入情報抽出手段及び撮影情報抽出手段により抽出された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を、前記表示装置に一覧表示するキー検索結果表示手段と、前記一覧表示された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を選択する選択指示を入力する選択指示入力手段と、前記選択指示により選択指示が入力された場合、前記構造情報記憶手段に保存された前記各構造情報に基づいて、廃棄物埋立処分場の全体構造図を前記表示装置に表示するとともに、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位を他の部位と識別可能に表示する選択部位構造表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、管理者が埋立地の内部構造設計を行うに当たり、特定の廃棄物搬入情報に関する廃棄物が何処に埋設されているかを調べたい場合、まず、検索キー入力手段によって廃棄物搬入情報に関する検索キーを入力する。検索キーが入力されると、廃棄物搬入情報抽出手段は、当該検索キーに基づいて廃棄物搬入情報を検索し、抽出する。次いで、撮影情報抽出手段は、抽出された廃棄物搬入情報の埋立部位に含まれる撮影情報及び写真データを抽出する。そして、キー検索結果表示手段は、抽出された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を、表示装置に一覧表示する。これにより、管理者が調べたいと望む廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの候補が、表示装置の画面上に一覧表示される。管理者は、選択指示入力手段によって、この一覧表示された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を選択する。選択指示が入力されると、選択部位構造表示手段は、廃棄物埋立処分場の全体構造図を表示装置に表示するとともに、選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位を他の部位と識別可能に表示する。これにより、管理者は、調査したい廃棄物が埋立地の地下のどの部位に埋設されているのかを容易に調査することができる。
【0032】
ここで、「識別可能に表示」とは、例えば、特定の埋立部位の色を他の部位と異なる目立つ色に代えて表示したり、特定の埋立部位を点滅表示させたりすることによって、他の部位から識別可能とすることをいう。
【0033】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第7の構成は、前記第6の構成において、前記選択部位構造表示手段は、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位の地表からの深さを計算し前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、管理者は上記選択指示により選択した埋立部位の現在の地表面からの深さを容易に知ることができる。
【0035】
廃棄物埋立処分場管理システムに係る本発明の第8の構成は、前記第6又は7の構成において、前記選択部位構造表示手段は、廃棄物埋立処分場の全体構造図を立体図として前記表示装置に表示するとともに、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位の位置を前記立体図内に他の部位と識別可能に表示することを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、全体構造図を立体図内に、選択指示により選択された埋立部位を表示することによって、全体における埋立部位の位置関係を容易に知ることができる。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明によれば、廃棄物埋立地の地下の正確な三次元構造とそこに埋設された廃棄物に関する情報を関連づけて表示し簡易に検索することが可能となる。また、従来のように埋立地の周辺にカメラを設置したり、廃棄物積載車両に無線機を搭載したりする必要がなく、安価且つ簡便にシステムを導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1に係る廃棄物埋立処分場管理システムの構成図である。
【図2】廃棄物埋立処分場管理データベースの各種テーブルのデータ構造と関連性を示すデータベース構造図である。
【図3】埋立地全体と埋立部位との位置関係を模式的に表した図である。
【図4】廃棄物埋立処分場において新たな廃棄物の処理を行う場合における埋立部位の部位構造情報を廃棄物埋立処分場管理データベースに入力する処理の流れを表す図である。
【図5】三次元地形図ファイルの作成過程を説明する図である。
【図6】廃棄物埋立処分場管理データベースのフォームの一例を表す図である。
【図7】撮影情報を廃棄物埋立処分場管理データベースに入力する処理の流れを表す図である。
【図8】埋立部位を撮影する場合の撮影位置を説明する図である。
【図9】重機の移動軌跡から廃棄物の埋立位置の特定方法を説明する図である。
【図10】キー検索による地形図の検索処理を表すフローチャートである。
【図11】検索・入力フォームで検索結果がリスト表示された状態を表す図である。
【図12】検索・入力フォームで検索結果が一覧表示された状態を表す図である。
【図13】検索された埋立部位の地形図の表示例である。
【図14】地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理の流れを表すフローチャートである。
【図15】表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形平面図の例を示す図である。
【図16】表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形平面図と柱状図の例を示す図である。
【図17】地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理の流れを表すフローチャートである。
【図18】表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形立体斜視図の例を示す図である。
【図19】表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形立体斜視図と断面図の例を示す図である。
【図20】特許文献1に記載の廃棄物最終処分場管理システム100の構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0040】
図1は、本発明の実施例1に係る廃棄物埋立処分場管理システムの構成図である。本実施例の廃棄物埋立処分場管理システムは、入力コンピュータ1及び情報管理サーバ2を備えており、両者はLAN3によって接続されている。入力コンピュータ1には、外部記憶装置としてCADデータ記憶部4及びプログラム記憶部5が接続されており、情報管理サーバ2には、外部記憶装置として、構造情報記憶部6、写真データ記憶部24、撮影情報記憶部7、廃棄物搬入情報記憶部8、及びプログラム記憶部9が接続されている。また、入力コンピュータ1には、表示装置23としてディスプレイが接続されている。
【0041】
入力コンピュータ1の側において、プログラム記憶部5には、入力コンピュータ1で使用する各種のプログラムが記憶されている。CADデータ記憶部4には、プログラム記憶部5に格納されているCADプログラムによって使用されるCADデータが保存されている。
【0042】
一方、情報管理サーバ2の側において、構造情報記憶部6には、廃棄物埋立処分場において埋立を行う廃棄物の種類毎に、当該種類の廃棄物を埋め立てる埋立部位の位置及び三次元構造を表す部位構造情報が、構造情報テーブル31及び地形図ファイルフォルダ36として保存される。撮影情報記憶部7には、廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の写真を撮影した位置座標等の情報である撮影情報が撮影情報テーブル32として保存され、写真データ記憶部24には廃棄物の写真が写真ファイルフォルダ37にまとめて保存される。廃棄物搬入情報記憶部8には、廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の種類、量、搬入日、排出業者、運搬業者等に関する情報である廃棄物搬入情報が、廃棄物搬入情報テーブル33、排出業者テーブル34、廃棄物種類テーブル35、運搬業者テーブル38として保存される。管理情報記憶部10には、前記の構造情報テーブル31、撮影情報テーブル32、及び廃棄物搬入情報テーブル33を総合的に管理するための管理情報テーブル30が保存される。これら各種のテーブルのデータ構造と関連性については後述する。
【0043】
また、プログラム記憶部9には、情報管理サーバ2で使用する各種のプログラムが記憶されている。
【0044】
さらに、入力コンピュータ1は、写真データ入力部25、撮影情報入力部11、廃棄物搬入情報入力部12、構造情報入力部13、構造図生成表示部14、位置入力部15、廃棄物情報検索表示部16、検索キー入力部17、廃棄物搬入情報抽出部18、撮影情報抽出部19、キー検索結果表示部20、選択指示入力部21、及び選択部位構造表示部22を備えている。これらは、入力コンピュータ1において、プログラム記憶部5に記憶されているプログラムをロードし実行することによって機能的に実現される。各部の機能については、追って説明する。
【0045】
図2は、廃棄物埋立処分場管理データベースの各種テーブルのデータ構造と関連性を示すデータベース構造図である。図2において、廃棄物埋立処分場管理データベースは、管理情報テーブル30、構造情報テーブル31、撮影情報テーブル32、廃棄物搬入情報テーブル33、排出業者テーブル34、廃棄物種類テーブル35、地形図ファイルフォルダ36、及び写真ファイルフォルダ37によって構成されている。
【0046】
管理情報テーブル30は、「管理情報ID」フィールド、及び「受入位置基準点座標」フィールドを備えている。「管理情報ID」フィールドには、それぞれの埋立部位に対応して与えられる管理情報IDが格納されるフィールドである。「受入位置基準点座標」フィールドには、それぞれの埋立部位の位置を決定する基準点の絶対位置座標(経緯座標)が格納されるフィールドである。この座標点を、以下「受入位置基準点」という。
【0047】
構造情報テーブル31は、「構造情報ID」フィールド、「管理情報ID」フィールド、「構造情報作成日」フィールド、「基準位置座標」フィールド、「図面幅」フィールド、「図面奥行」フィールド、「図面高さ」フィールド、及び「地形図CADファイル名」フィールドを備えている。「構造情報ID」フィールドには、各部位構造情報を特定するための構造情報IDが格納される。ここで、「部位構造」とは、埋立地内においてある特定の種類の廃棄物が埋め立てられた領域(部位)の構造をいう。「管理情報ID」フィールドには、前記管理情報テーブル30の管理情報IDと一対一対応した管理情報IDが格納される。この「管理情報ID」フィールドによって、管理情報テーブル30と構造情報テーブル31との関連づけが行われる。「構造情報作成日」フィールドには、各部位構造情報を作成した日付が格納される。「基準位置座標」フィールドには、各部位構造情報の基準点の位置座標が、相対座標値として格納される。「図面幅」フィールド、「図面奥行」フィールド、及び「図面高さ」フィールドには、それぞれ、各部位構造の地形図の図面幅、図面奥行、及び図面高さの値(等倍値)が格納される。「地形図CADファイル名」フィールドには、各部位構造の地形図(3次元地形図)を表すCADデータのファイル名が格納される。実際のCADデータのファイルは、地形図ファイルフォルダ36に格納され、CADデータのファイル名によってリンクされる。
【0048】
ここで、受入位置基準点と各部位構造情報の基準点との関係について補足説明する。図3は、埋立地全体と埋立部位との位置関係を模式的に表した図である。埋立地全体の原点をOとして、原点Oの絶対座標(経緯・海抜)を(x,y,z)とする。埋立地内の埋立部位Aの位置を表す基準点を「受入位置基準点」としてPと記す。また、受入位置基準点Pの絶対座標を(x,y,z)とする。一方、埋立部位Aの地形図の原点を「図面原点」と呼び、O=(x,y,z)と記す。図面原点Oは、必ずしも埋立地全体の原点Oと一致する必要はない。図面原点Oを基準とする受入位置基準点Pの相対座標を(α,β,γ)=(x−x,y−y,z−z)とする。管理情報テーブル30の「受入位置基準点座標」フィールドには、受入位置基準点Pの絶対座標(x,y,z)が格納される。一方、管理情報テーブル30の「基準位置座標」フィールドには、受入位置基準点Pの相対座標(α,β,γ)が基準位置座標として格納される。
【0049】
撮影情報テーブル32は、「撮影情報ID」フィールド、「廃棄物搬入情報ID」フィールド、「管理番号」フィールド、「撮影日」フィールド、「撮影位置」フィールド、「写真ファイル名」フィールド、及び「備考」フィールドを備えている。撮影情報テーブル32には、写真ファイル1つ当たり1つのレコードが作成される。「撮影情報ID」フィールドには、各写真ファイルを特定するための識別番号が格納される。「廃棄物搬入情報ID」フィールドには、各写真ファイルに対応づけられる廃棄物搬入情報テーブル33の廃棄物搬入情報IDが格納される。この「廃棄物搬入情報ID」フィールドによって、廃棄物搬入情報テーブル33と構造情報テーブル31との関連づけが行われる。ここで、廃棄物搬入情報テーブル33の廃棄物搬入情報IDと撮影情報テーブル32の廃棄物搬入情報IDとは、一対多対応(廃棄物搬入情報テーブル33の一つの廃棄物搬入情報IDに対して、撮影情報テーブル32の複数のレコードが対応する)とされている。「管理番号」フィールドには、各レコードの管理番号が格納される。「撮影日」フィールドには写真の撮影日、「撮影位置」フィールドには写真の撮影場所の位置座標(絶対位置座標)、「写真ファイル名」フィールドには写真ファイルのファイル名が格納される。実際の写真ファイルは、写真ファイルフォルダ37に格納され、写真ファイルのファイル名によってリンクされる。「備考」フィールドには、写真に関連する付記事項が格納される。
【0050】
廃棄物搬入情報テーブル33は、「廃棄物搬入情報ID」フィールド、「管理情報ID」フィールド、「管理番号」フィールド、「排出業者ID」フィールド、「運搬業者ID」フィールド、「受入廃棄物種類ID」フィールド、「受入廃棄物重量」フィールド、及び「受入日」フィールドを備えている。排出業者テーブル34は、「排出業者ID」フィールド、「排出業者名」フィールド、「住所」フィールド、及び「連絡先」フィールドを備えている。また、廃棄物種類テーブル35は、「廃棄物種類ID」フィールド、及び「廃棄物種類名」フィールドを備えている。
【0051】
廃棄物搬入情報テーブル33の「廃棄物搬入情報ID」フィールドには、各埋立部位に搬入する廃棄物の種類毎に、処理廃棄物を特定する識別番号が格納される。「管理情報ID」フィールドには、各廃棄物搬入情報に対応づけられる管理情報テーブル30の管理情報IDが格納される。この「管理情報ID」フィールドによって、管理情報テーブル30と構造情報テーブル31との関連づけが行われる。ここで、管理情報テーブル30の管理情報IDと廃棄物搬入情報テーブル33の管理情報IDとは、一対多対応(管理情報テーブル30の一つの管理情報IDに対して、廃棄物搬入情報テーブル33の複数のレコードが対応する)とされている。「管理票番号」フィールドには、各レコードの管理票番号が格納される。「排出業者ID」フィールドには、各廃棄物搬入情報レコードの廃棄物を排出した業者を特定する識別番号(排出業者ID)が格納される。この排出業者IDは、排出業者テーブル34の「排出業者ID」フィールドに格納される排出業者IDと対応する。「運搬業者ID」フィールドには、各廃棄物搬入情報レコードの廃棄物を埋立地に運び入れた業者を特定する識別番号(運搬業者ID)が格納される。この運搬業者IDは、運搬業者テーブル38の「運搬業者ID」フィールドに格納される運搬業者IDと対応する。「受入廃棄物種類ID」フィールドには、各廃棄物搬入情報レコードの廃棄物の種類を特定する識別番号(受入廃棄物種類ID)が格納される。この受入廃棄物種類IDは、廃棄物種類テーブル35の「受入廃棄物種類ID」フィールドに格納される廃棄物種類IDと対応する。「受入廃棄物重量」フィールドには、搬入された廃棄物の重量が格納される。「受入日」フィールドには、廃棄物が埋立地に搬入された日付が格納される。尚、複数の日に渡って廃棄物が埋立地に搬入される場合もあるので、「受入日」フィールドには、受入開始日と受入終了日の2つの日付が格納される。
【0052】
排出業者テーブル34の「排出業者ID」フィールドには、廃棄物の取り扱い業者を特定する排出業者IDが格納される。排出業者IDは、各業者毎に1つのIDが割り当てられる。「排出業者名」フィールド,「住所」フィールド,「連絡先」フィールドには、それぞれ、廃棄物の取り扱い業者の名称,住所,連絡先が格納される。
【0053】
廃棄物種類テーブル35の「廃棄物種類ID」フィールドには、廃棄物の種類を特定する廃棄物種類IDが格納される。「廃棄物種類名」フィールドには、廃棄物の種類の名称が格納される。
【0054】
以上のように構成された本実施例に係る廃棄物埋立処分場管理システムにおいて、以下その機能・動作について説明する。
【0055】
(1)各種データの入力処理
まず、本実施例の廃棄物埋立処分場管理システムにおいて、部位構造情報、撮影情報等の各種データを入力する際の動作について説明する。
【0056】
(1−1)部位構造情報の入力
図4は、廃棄物埋立処分場において新たな廃棄物の搬入を行う場合における埋立部位の部位構造情報を廃棄物埋立処分場管理データベースに入力する処理の流れを表す図である。
【0057】
廃棄物埋立処分場において新たな廃棄物の搬入を行う場合、管理者は、まず、入力コンピュータ1においてプログラム記憶部5に格納されたCADソフトウェアを用いて、埋立部位の位置及び三次元構造を表す部位構造情報を作成する(ステップS1)。
【0058】
廃棄物の搬入を行う前の最新の地形図データは、CADデータ記憶部4に格納されている。このCADデータは、例えば、図5(a)のような三次元データである。管理者は、CADデータ記憶部4に格納されたCADデータを基にして、新たな廃棄物の搬入を行う埋立部位の三次元構造を表すCADデータを作成する。例えば、図5(b)に示したように、新たに廃棄物をの搬入を行う埋立部位Aを作成し、これを埋立部位Aの三次元地形図ファイルとする。作成した三次元地形図ファイルは、一旦、CADデータ記憶部4に保存する。さらにこの埋立部位Aを、図5(c)のように、既存の埋立地の地表上に積層して三次元地形図のCADデータを作成し、これを最新の地形図データとして、CADデータ記憶部4に保存する。
【0059】
次に、管理者は、プログラム記憶部5に格納された廃棄物埋立処分場管理データベース管理プログラムを起動し、部位構造情報の入力画面を呼び出す。部位構造情報の入力画面が呼び出されると、構造情報入力部13は、部位構造情報の入力画面を表示装置に表示する。管理者が、入力画面において、先に作成した埋立部位Aの三次元地形図ファイルのファイル名と、受入位置の基準点座標を指定すると、構造情報入力部13は、当該三次元地形図ファイルを情報管理サーバ2に送信し、情報管理サーバ2は当該ファイルを廃棄物搬入情報記憶部8に保存する(ステップS2)。また、構造情報入力部13は、管理情報テーブル30に、新規にレコードを作成し、新規の管理情報IDを割り振り「管理情報ID」フィールドに格納するとともに、構造情報テーブル31に新規のレコードを作成し、当該レコードの「管理情報ID」フィールドに前記管理情報IDを格納する。そして、当該レコードの「地形図CADファイル名」フィールドに、廃棄物搬入情報記憶部8に保存した三次元地形図ファイルのファイル名を格納する。更に、当該三次元地形図ファイルから、ファイルの作成日、埋立部位Aの基準位置座標、図面幅、図面奥行、図面高さの情報を抽出して、それぞれ、「構造情報作成日」フィールド、「基準位置座標」フィールド、「図面幅」フィールド、「図面奥行」フィールド、「図面高さ」フィールドに格納する。ここで、「埋立部位Aの基準位置座標」は、地形図CADデータの図形の最小座標点(左下隅点座標)でもよいし、地形図CADデータの図形の重心点などでもよい。また、管理情報テーブル30に新たに作成されたレコードの「受入位置基準点座標」フィールドに、指定された受入位置の基準点座標を格納する(ステップS3)。
【0060】
以上の動作によって、管理情報テーブル30及び構造情報テーブル31に新規のレコードが作成されて、各フィールドに情報が格納される。
【0061】
(1−2)廃棄物搬入情報の入力
次に、廃棄物搬入情報の入力について説明する。廃棄物搬入情報の入力は、廃棄物埋立処分場管理データベースの検索・入力フォーム40を用いて行われる。
【0062】
廃棄物搬入情報入力部12は、管理者により廃棄物搬入情報の入力指示が入力コンピュータ1に入力されると、表示装置23に検索・入力フォーム40を表示して、指定された管理情報IDに対応する廃棄物搬入情報テーブル33のレコードへの廃棄物搬入情報の入力を促す。
【0063】
図6は、検索・入力フォーム40の一例を表す図である。この検索・入力フォーム40には、受入開始日ボックス41a、受入終了日ボックス41b、排出業者名ボックス42、廃棄物名ボックス43、運搬業者名ボックス44、埋立部位x座標ボックス45、埋立部位y座標ボックス46、埋立部位z座標ボックス47、平面範囲ボックス48、標高範囲ボックス49、マルチページ50、検索ボタン61、オールクリアボタン62、及び3Dビューアボタン63の各オブジェクトが配置されている。マルチページ50は、「カード」タブ、「写真一覧」タブ、「リスト」タブの3つのタブに指標されたページを備えている。
【0064】
受入開始日ボックス41a及び受入終了日ボックス41bは、廃棄物搬入情報テーブル33の各レコードの「受入日」フィールドに、受入開始日と受入終了日の日付を入力するためのボックスである。
【0065】
排出業者名ボックス42は、排出業者名を入力するボックスである。排出業者名ボックス42に排出業者名が入力されると、廃棄物搬入情報入力部12は、排出業者テーブル34を検索し、その排出業者名に対応する排出業者IDを取得して、取得した排出業者IDを廃棄物搬入情報テーブル33の「排出業者ID」フィールドに格納する。尚、排出業者テーブル34に排出業者名が登録されていない場合には、排出業者テーブル34に新たなレコードを作成して、新しい排出業者IDを割り振り、その排出業者IDを「排出業者ID」フィールドに格納するとともに、排出業者名を「排出業者名」フィールドに格納する。
【0066】
廃棄物名ボックス43は、埋立部位に搬入する廃棄物種類を入力するボックスである。廃棄物名ボックス43に廃棄物種類が入力されると、廃棄物搬入情報入力部12は、廃棄物種類テーブル35を検索し、その廃棄物種類に対応する廃棄物種類IDを取得して、取得した廃棄物種類IDを廃棄物搬入情報テーブル33の「廃棄物種類ID」フィールドに格納する。尚、廃棄物種類テーブル35に廃棄物種類名が登録されていない場合には、廃棄物種類テーブル35に新たなレコードを作成して、新しい廃棄物種類IDを割り振り、その廃棄物種類IDを「廃棄物種類ID」フィールドに格納するとともに、廃棄物種類名を「廃棄物種類名」フィールドに格納する。
【0067】
運搬業者名ボックス44は、運搬業者名を入力するボックスである。運搬業者名ボックス44に運搬業者名が入力されると、廃棄物搬入情報入力部12は、運搬業者テーブル38を検索し、その運搬業者名に対応する運搬業者IDを取得して、取得した運搬業者IDを廃棄物搬入情報テーブル33の「運搬業者ID」フィールドに格納する。尚、運搬業者テーブル38に運搬業者名が登録されていない場合には、運搬業者テーブル38に新たなレコードを作成して、新しい運搬業者IDを割り振り、その運搬業者IDを「運搬業者ID」フィールドに格納するとともに、運搬業者名を「運搬業者名」フィールドに格納する。
【0068】
尚、埋立部位x座標ボックス45,埋立部位y座標ボックス46,埋立部位z座標ボックス47には、管理情報IDによって関連づけられる構造情報テーブル31のレコードの「基準位置座標」フィールドに格納された座標値が表示される。また、平面範囲ボックス48には、管理情報IDによって関連づけられる構造情報テーブル31のレコードの「図面幅」フィールド,「図面奥行」フィールドに格納された図面幅、図面奥行のうち大きいほうの値が表示される。標高範囲ボックス49には、管理情報IDによって関連づけられる構造情報テーブル31のレコードの「図面高さ」フィールドに格納された図面高さの値が表示される。これらの表示を参照することで、管理者は、現在のレコードがどの埋立部位であるかを知ることができる。また、後述するように、3Dビューアボタン63をクリックして埋立部位の地形図を表示させることによって埋立部位の位置を知ることも可能である。
【0069】
(1−3)撮影情報の入力
最後に、廃棄物埋立地の埋立部位で撮影した処理現場の写真から撮影情報テーブル32のレコードを作成する際の動作について説明する。図7は、撮影情報を廃棄物埋立処分場管理データベースに入力する処理の流れを表す図である。
【0070】
まず、処理現場の写真は、通常のデジタルカメラ(GPSレシーバの付属していないデジタルカメラ)又はGPSレシーバを搭載したGPSレシーバ付きデジタルカメラにより撮影する。
【0071】
GPSレシーバ付きデジタルカメラでは、撮影時に、その撮影の日時と位置が同時に記録され、写真ファイルの中に埋め込まれる。このように、撮影日時や撮影位置座標(GPSの測位情報)を埋め込み可能な写真ファイルのフォーマットとしては、例えば、社団法人日本電子工業振興協会が規定するJEIDA規格(ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif))に規定するExif画像ファイルを使用することができる。
【0072】
一方、通常のデジタルカメラで撮影した場合には、GPSの測位情報は取得できないため、別途用意したGPSレシーバにより廃棄物の埋立部位の位置座標を測定し記録する。この場合、例えば、廃棄物を搬入・処理するブルドーザやコンパクタ等の重機にGPSレシーバを搭載しておいて、重機の移動軌跡をGPSレシーバで記録することで、廃棄物を搬入する部位の位置座標を測定する。
【0073】
埋立部位の撮影により得られた複数の写真ファイルは、入力コンピュータ1に備えられた写真データ入力装置(図示せず)によって入力コンピュータ1に入力される(ステップS10)。写真データ入力装置としては、例えば、写真データが半導体メモリカードに記録される場合には、その半導体メモリカードの読込装置などが使用される。写真データ入力部25は、写真データ入力装置から入力された写真データをLAN3を介して写真データ記憶部24の写真ファイルフォルダ37に保存する。
【0074】
ここで、GPSレシーバ付きデジタルカメラで写真撮影した場合には、次のようにして位置座標を決定する。一般にある埋立部位Bの写真を撮影する場合、図8に示したように、埋立部位Bの周囲四方から撮影が行われる。従って、埋立部位Bを撮影した写真ファイルであっても、その撮影位置は埋立部位Bの領域の外にはみ出している場合が多い。そこで、撮影情報入力部11は、埋立部位Nの一群の写真ファイルが読み込まれると、まず、当該一群の写真ファイルから位置座標を抽出し(ステップS11)、それらの位置座標の重心座標を計算し、その重心座標を当該一群の写真ファイルの位置座標とする(ステップS12)。
【0075】
一方、通常のデジタルカメラで写真撮影し、重機に搭載したGPSレシーバにより搬入廃棄物の処理中の重機の移動軌跡を測位した場合には、次のようにして位置座標を決定する。一般にある埋立部位Bにおいて廃棄物の処理を行う場合、処理に使用する重機の軌跡は、図9に示したように、埋立部位Bまで重機が往復する軌跡と、埋立部位Bの内部全体をランダムに彷徨するような軌跡とからなる。往復軌跡は彷徨軌跡から明らかに区別できるため、撮影情報入力部11は、重機の軌跡データから往復軌跡を除去して彷徨軌跡を抽出する(ステップS11)。そして残った彷徨軌跡の重心点を計算し、その重心座標を当該一群の写真ファイルの位置座標とする(ステップS12)。
【0076】
次に、撮影情報入力部11は、各写真ファイル毎に、撮影情報テーブル32に1つの新規なレコードを作成し、作成した新規なレコードにそれぞれ撮影情報IDを割り振る。割り振られた撮影情報IDは撮影情報テーブル32の「撮影情報ID」フィールドに格納される。また、その埋立部位に対する管理情報IDを管理情報テーブル30の「管理情報ID」フィールドから読み出して、撮影情報テーブル32の「管理情報ID」フィールドに格納する。また、写真ファイルから撮影日,撮影位置座標(GPSの測定情報)を読み出して、それぞれ撮影情報テーブル32の「撮影日」フィールド,「撮影位置」フィールドに格納する。最後に、先に写真ファイルフォルダ37に保存した写真ファイルのファイル名を撮影情報テーブル32の「写真ファイル名」フィールド格納する。
【0077】
以上のような撮影情報の読込動作は、管理者がマウス動作をして写真ファイルを廃棄物埋立処分場管理データベースの検索・入力フォーム40上にドラッグ・アンド・ドロップすることによって行わせることができる。
【0078】
図6において、マルチページ50の「カード」タブのページには、管理情報IDボックス51、管理番号ボックス52、管理番号ボックス53、管理番号ボックス53、廃棄物名ボックス54、備考ボックス55、撮影位置x座標ボックス56、撮影位置y座標ボックス57、撮影位置z座標ボックス58、管理票情報ボックス59、写真ボックス60、写真ファイル名ボックス64、レコード移動ボタン65、及び選択チェックボックス66の各オブジェクトが配置されている。
【0079】
撮影日時ボックス52には、廃棄物搬入情報テーブル33の現在表示されているレコードの廃棄物搬入情報IDによって関連づけられる撮影情報テーブル32内のレコード(以下「関連撮影情報レコード」という。)の「撮影日」フィールドに格納された日付が表示される。管理番号ボックス53には、関連撮影情報レコードの「管理番号」フィールドに格納された管理番号が表示される。撮影位置x座標ボックス56,撮影位置y座標ボックス57,撮影位置z座標ボックス58には、関連撮影情報レコードの「撮影位置」フィールドに格納された撮影位置の座標値が表示される。備考ボックス55には、関連撮影情報レコードの「備考」フィールドに格納された備考の内容が表示される。写真ファイル名ボックス64には、関連撮影情報レコードの「写真ファイル名」フィールドに格納された写真ファイル名が表示される。また、写真ボックス60には、関連撮影情報レコードの「写真ファイル名」フィールドに格納された写真ファイル名で特定される廃棄物の写真データが、写真ファイルフォルダ37から読み出されて表示される。
【0080】
尚、管理情報IDボックス51には、廃棄物搬入情報テーブル33の現在表示されているレコードの管理情報IDが表示される。廃棄物名ボックス54には、廃棄物搬入情報テーブル33の現在表示されているレコードの廃棄物種類名が表示される。管理票情報ボックス59には、搬入業者、排出業者に関する情報や、廃棄物重量に関する情報が表示される。
【0081】
ドラッグ・アンド・ドロップにより撮影情報を入力する場合、管理者は、まず、撮影情報を入力したい廃棄物搬入情報テーブル33のレコードを、検索・入力フォーム40によって選択する。次に、マウスを使って、入力する撮影情報が格納された写真ファイルを、写真ファイル名ボックス64にドラッグ・アンド・ドロップする。これにより、写真データ入力部25は写真ファイル(写真データ)を写真データ記憶部24の写真ファイルフォルダ37に保存する。また、撮影情報入力部11は、写真ファイルのファイル名を取得し、取得した写真ファイル名に対して、撮影情報テーブル32に新たなレコードを作成し、新たな撮影情報IDを割り振る。そして、新たなレコードの「撮影情報ID」フィールドに割り振られた撮影情報IDを格納し、「廃棄物搬入情報ID」フィールドに廃棄物搬入情報IDを格納し、先に写真ファイルフォルダ37に保存した写真ファイルのファイル名を「写真ファイル名」フィールドに格納する。また、撮影情報入力部11は、写真ファイルから撮影日と撮影位置座標の情報を抽出し、これらを、新たなレコードの「撮影日」フィールド、「撮影位置」フィールドに格納する。
【0082】
(2)検索処理
次に、本実施例の廃棄物埋立処分場管理システムにおける検索処理について説明する。
【0083】
(2−1)処理廃棄物リストからの地形図の検索
管理者が、特定の種類の処理廃棄物が埋立地のどの部位に埋設されているのかを検索する場合には、次のようなキー検索によって行う。
【0084】
図10は、キー検索による地形図の検索処理を表すフローチャートである。
【0085】
まず、入力コンピュータ1において、管理者が検索実行の指示を入力すると、検索キー入力部17は、図6に示したような検索・入力フォーム40を表示装置23に表示する(ステップS20)。管理者は、この検索・入力フォーム40の各ボックスに、検索を行いたいキーワード(検索キー)を入力し、検索ボタン61をマウスでクリックする(ステップS21)。
【0086】
検索ボタン61がクリックされると、廃棄物搬入情報抽出部18は、入力された検索キーに基づき、廃棄物搬入情報テーブル33を検索して、該当する廃棄物搬入情報のレコードを抽出する(ステップS22)。
【0087】
撮影情報抽出部19は、抽出された廃棄物搬入情報のレコードの廃棄物搬入情報IDを取得する。そして、取得した各廃棄物搬入情報IDに関連する撮影情報テーブル32内のレコードを抽出し、キー検索結果表示部20は検索・入力フォーム40に表示する(ステップS23)。検索・入力フォーム40のマルチページ50の「カード」タブのページにおいては、レコード移動ボタン65をマウスでクリックすることにより、検索によって抽出された各レコードの情報を閲覧することができる。
【0088】
また、管理者により検索・入力フォーム40のマルチページ50の「リスト」タブがマウスでクリックされると、キー検索結果表示部20は、図11のように、抽出したレコードをリストとして表示する。図11において、マルチページ50の「リスト」タブのページには、抽出されたレコードの管理番号、撮影日時、廃棄物種類名、管理票番号、及び撮影位置座標が一覧表として表示される。図11のリストの「No」の列には、撮影情報IDが表示される。また、「選択」の欄には、地形図を表示する対象レコードを選択するためにチェックを入力する欄である。
【0089】
また、管理者により検索・入力フォーム40のマルチページ50の「写真一覧」タブがマウスでクリックされると、キー検索結果表示部20は、図12のように、抽出したレコードを一覧表として表示する。図12において、マルチページ50の「写真一覧」タブのページには、抽出されたレコードの写真データ、管理情報ID、撮影日時、管理番号、廃棄物種類名、撮影位置座標、及び選択チェックボックスが一覧表として表示される。図12の一覧表の選択チェックボックスは、地形図を表示する対象レコードを選択するためにチェックを入力するチェックボックスである。
【0090】
次に、管理者は、地形図を表示させたいレコードを選択し、3Dビューアボタン63をマウスでクリックする(ステップS24)。レコードを選択するに当たっては、管理者は、図6の選択チェックボックス66、図11の選択欄67、又は図12の選択チェックボックス68の何れかをクリックする。これにより、選択指示入力部21は選択チェックボックス66,68又は選択欄67にチェックマークを表示し、そのレコードが選択されたものと認識する。
【0091】
次に、3Dビューアボタン63がクリックされると、選択部位構造表示部22は、選択されたレコードの管理情報IDを取得し、この管理情報IDによって関連づけられた構造情報テーブル31内のレコードを抽出する。そして、抽出した構造情報テーブル31内のレコードに関連する埋立部位の地形図CADファイルを読み出す(ステップS26)。
【0092】
最後に、選択部位構造表示部22は、表示装置に廃棄物埋立処分場の全体図を表示し、その全体図の中に抽出された埋立部位の地形図を他の部位と識別可能に表示する。図13に表示された埋立部位の地形図の表示例を示す。図13において、廃棄物埋立処分場の全体図70の内部に埋立部位の地形図71,72が表示されている。埋立部位の地形図71,72は廃棄物埋立処分場の全体図70と識別可能であれば良く、例えば、異なる色で表示したり、太線で表示したりする表示方法を用いることができる。
【0093】
尚、図13では、地形図を3次元表示する例を示したが、これ以外に、平面図や断面図などで表示できるようにしてもよい。
【0094】
(2−2)地形図からの処理廃棄物の検索
次に、地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理について説明する。
【0095】
図14は、地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理の流れを表すフローチャートである。この場合、まず、管理者は、入力コンピュータ1において地形図からの検索指示を入力する。地形図からの検索指示が入力されると、構造図生成表示部14は、情報管理サーバ2にアクセスして、構造情報記憶部7内の地形図ファイルフォルダ36に保存されている廃棄物埋立処分場の地形図のデータを読み出す(ステップS30)。
【0096】
次に、構造図生成表示部14は、読み出した地形図のデータに基づいて、廃棄物埋立処分場全体の外形平面図を生成し、表示装置23に表示する(ステップS31)。図15に、表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形平面図の例を示す。
【0097】
次に、管理者は、表示装置23に表示された平面図上において、埋設された処理廃棄物の情報の表示を行いたい位置をマウスでクリックすることによって指定する。位置入力部15は、平面図上においてマウスがクリックされた場合、その画面上のマウスカーソルの位置から、平面図上の2次元座標値を計算する(ステップS32)。
【0098】
位置入力部15により平面図上の2次元座標値が計算されると、次に、構造図生成表示部14は、構造情報テーブル31を検索し、当該2次元座標点(以下「指定地点」という。)を含むすべての地形図CADファイルを抽出する(ステップS33)。
【0099】
次に、構造図生成表示部14は、抽出した地形図CADファイルに基づいて、指定地点における垂直方向の廃棄物の積層状態を表す柱状図を生成し表示装置23に表示する(ステップS35)。図16に、表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形平面図(左)と柱状図(右)の例を示す。柱状図は、指定地点の垂直方向に積層した廃棄物層の種類を色分けによって表示した図である。柱状図の各層の右側には、その層の厚さhと、その層が形成された日付が表示されている。尚、日付については、抽出された廃棄物搬入情報の「受入日」フィールドの値が用いられる。柱状図の各層の左側には、各層の下端及び上端の高度が表示されている。
【0100】
次に、管理者は、表示装置23に表示された柱状図上において、埋設された処理廃棄物の情報の表示を行いたい位置をマウスでクリックすることによって指定する。位置入力部15は、柱状図上においてマウスがクリックされた場合、その画面上のマウスカーソルの位置から、柱状図上の高度値を計算する(ステップS36)。
【0101】
位置入力部15により柱状図上の高度値が計算されると、次に、廃棄物情報検索表示部16は、指定された位置・高度の部位に埋設された廃棄物搬入情報を廃棄物搬入情報テーブル33から抽出し、抽出された廃棄物搬入情報の中から、指定された高度の廃棄物搬入情報を抽出し、更にその廃棄物搬入情報に関連する撮影情報及び写真ファイルを撮影情報テーブル32及び写真ファイルフォルダ37から抽出する。そして、抽出した処理廃棄物に関する情報を、図6,図11,図12に示した検索・入力フォーム40を用いて表示する(ステップS37)。
【0102】
以上のようにして、管理者は、調査したい廃棄物が埋立地の地下のどの部位に埋設されているのかを容易に検索し調査することができる。
【0103】
最後に、地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理についての他の実施例について説明する。
【0104】
図17は、地形図から各埋立部位の処理廃棄物に関する情報を検索する処理の流れを表すフローチャートである。この場合も、まず、管理者は、入力コンピュータ1において地形図からの検索指示を入力する。地形図からの検索指示が入力されると、構造図生成表示部14は、情報管理サーバ2にアクセスして、構造情報記憶部7内の地形図ファイルフォルダ36に保存されている廃棄物埋立処分場の地形図のデータを読み出す(ステップS40)。
【0105】
次に、構造図生成表示部14は、読み出した地形図のデータに基づいて、廃棄物埋立処分場全体の外形立体斜視図を生成し、表示装置23に表示する(ステップS41)。図18に、表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形立体斜視図の例を示す。
【0106】
次に、管理者は、表示装置23に表示された外形立体斜視図上において、埋設された処理廃棄物の情報の表示を行いたい位置を切る切断線をマウスでクリックすることによって指定する。位置入力部15は、外形立体斜視図上においてマウスがクリックされた場合、その画面上のマウスカーソルの位置から、外形立体斜視図上の切断線の座標を計算する(ステップS42)。例えば、図18においては、マウスカーソルの動きに従って、切断線が平行移動するようにプログラムされており、管理者が外形立体斜視図上の所望の位置でマウスをクリックすることで切断線の位置が決定される。
【0107】
位置入力部15により外形立体斜視図上の切断線の座標値が計算されると、次に、構造図生成表示部14は、構造情報テーブル31を検索し、当該切断線による切断面を含むすべての地形図CADファイルを抽出する(ステップS43)。
【0108】
次に、構造図生成表示部14は、抽出した地形図CADファイルに基づいて、指定切断線における垂直方向の廃棄物の積層状態を表す断面図を生成し表示装置23に表示する(ステップS45)。図19に、表示装置23に表示された廃棄物埋立処分場全体の外形立体斜視図(左)と断面図(右)の例を示す。断面図は、指定切断線の垂直方向に積層した廃棄物層の種類を色分けによって表示している。
【0109】
次に、管理者は、表示装置23に表示された断面図上において、埋設された処理廃棄物の情報の表示を行いたい位置をマウスでクリックすることによって指定する。位置入力部15は、断面図上においてマウスがクリックされた場合、その画面上のマウスカーソルの位置から、断面図上の座標値を計算する(ステップS46)。
【0110】
位置入力部15により断面図上の座標値が計算されると、次に、廃棄物情報検索表示部16は、指定された位置・高度の部位に埋設された廃棄物搬入情報を廃棄物搬入情報テーブル33から抽出し、抽出した廃棄物搬入情報の中から、指定された座標を含む埋設部位の廃棄物搬入情報を抽出し、更にその廃棄物搬入情報に関連する撮影情報及び写真ファイルを撮影情報テーブル32及び写真ファイルフォルダ37から抽出する。そして、抽出した処理廃棄物に関する情報を、図6,図11,図12に示した検索・入力フォーム40を用いて表示する(ステップS47)。
【0111】
以上のようにして、管理者は、調査したい廃棄物が埋立地の地下のどの部位に埋設されているのかを容易に検索し調査することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 入力コンピュータ
2 情報管理サーバ
3 LAN
4 CADデータ記憶部
5 プログラム記憶部
6 構造情報記憶部
7 撮影情報記憶部
8 廃棄物搬入情報記憶部
9 プログラム記憶部
10 管理情報記憶部
11 撮影情報入力部
12 廃棄物搬入情報入力部
13 構造情報入力部
14 構造図生成表示部
15 位置入力部
16 廃棄物情報検索表示部
17 検索キー入力部
18 廃棄物搬入情報抽出部
19 撮影情報抽出部
20 キー検索結果表示部
21 選択指示入力部
22 選択部位構造表示部
23 表示装置
24 写真データ記憶部
25 写真データ入力部
30 管理情報テーブル
31 構造情報テーブル
32 撮影情報テーブル
33 廃棄物搬入情報テーブル
34 排出業者テーブル
35 廃棄物種類テーブル
36 地形図ファイルフォルダ
37 写真ファイルフォルダ
38 運搬業者テーブル
40 検索・入力フォーム
41a 受入開始日ボックス
41b 受入終了日ボックス
42 排出業者名ボックス
43 廃棄物名ボックス
44 運搬業者名ボックス
45 埋立部位x座標ボックス
46 埋立部位y座標ボックス
47 埋立部位z座標ボックス
48 平面範囲ボックス
49 標高範囲ボックス
50 マルチページ
51 管理情報IDボックス
52 撮影日時ボックス
53 管理番号ボックス
54 廃棄物名ボックス
55 備考ボックス
56 撮影位置x座標ボックス
57 撮影位置y座標ボックス
58 撮影位置z座標ボックス
59 管理票情報ボックス
60 写真ボックス
61 検索ボタン
62 オールクリアボタン
63 3Dビューアボタン
64 写真ファイル名ボックス
65 レコード移動ボタン
66 選択チェックボックス
67 選択欄
68 選択チェックボックス
70 廃棄物埋立処分場の全体図
71,72 埋立部位の地形図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置を備えたコンピュータにより廃棄物埋立処分場の管理を行う廃棄物埋立処分場管理システムであって、
埋立を行う廃棄物の種類毎に、当該種類の廃棄物を埋め立てる埋立部位の位置及び三次元構造を表す部位構造情報を記憶する構造情報記憶手段と、
廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の写真データを記憶する写真データ記憶手段と、
当該写真を撮影した位置座標の情報である撮影情報を記憶する撮影情報記憶手段と、
廃棄物埋立処分場に搬入される廃棄物の種類及び処理日に関する情報である廃棄物搬入情報を、当該廃棄物を処理する埋立部位と関連づけて記憶する廃棄物搬入情報記憶手段と、
前記写真データを入力し、前記写真データ記憶手段に保存する写真データ入力手段と、
前記撮影情報を入力し、前記撮影情報記憶手段に保存する撮影情報入力手段と、
前記廃棄物搬入情報を入力し、前記廃棄物搬入情報記憶手段に保存する廃棄物搬入情報入力手段と、
前記部位構造情報を入力し、前記構造情報記憶手段に保存する構造情報入力手段と、
前記構造情報記憶手段に保存された前記各構造情報に基づいて、廃棄物埋立処分場の全体構造図を前記表示装置に表示する構造図生成表示手段と、
前記全体構造図における位置座標を入力する位置入力手段と、
前記位置入力手段により入力される位置座標に基づき、当該位置座標を含む埋立部位の撮影情報及び写真データを前記撮影情報記憶手段及び前記写真データ記憶手段から読み出し、当該位置座標を含む埋立部位の廃棄物搬入情報を前記廃棄物搬入情報記憶手段から読み出して前記表示装置に表示する廃棄物情報検索表示手段と、
を備えたことを特徴とする廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項2】
前記構造図生成表示手段は、平面図生成表示手段及び柱状図生成手段を備え、
前記位置入力手段は、平面位置入力手段及び垂直位置入力手段を備えており、
前記平面図生成表示手段は、前記廃棄物埋立処分場の全体構造の平面図を生成し前記表示装置に表示するものであり、
前記平面位置入力手段は、前記平面図生成表示手段により表示される平面図上の位置座標を入力するものであり、
前記柱状図生成手段は、前記平面位置入力手段により入力される位置における、垂直方向の廃棄物の積層状態を表す柱状図を生成し前記表示装置に表示するものであり、
前記垂直位置入力手段は、前記柱状図生成手段により表示される柱状図上の位置座標を入力するものであることを特徴とする請求項1記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項3】
前記柱状図生成手段は、前記平面位置入力手段により入力される位置における、垂直方向の廃棄物の積層状態を、廃棄物の埋立部位毎に色分けして表示した柱状図を生成し前記表示装置に表示するものであることを特徴とする請求項2記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項4】
前記構造図生成表示手段は、全体構造表示手段及び断面構造表示手段を備え、
前記位置入力手段は、切断線指定手段及び断面位置入力手段を備えており、
前記全体構造表示手段は、前記廃棄物埋立処分場の全体構造図を立体図又は平面図として前記表示装置に表示するものであり、
前記切断線指定手段は、前記全体構造表示手段により表示される前記立体図又は前記平面図において、切断線の位置を指定するものであり、
前記断面構造表示手段は、前記切断線指定手段により指定される切断線において前記廃棄物埋立処分場を切断した断面図を生成し前記表示装置に表示するものであり、
前記断面位置入力手段は、前記断面構造表示手段により表示される前記断面図上における位置座標を入力するものであることを特徴とする請求項1記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項5】
前記撮影情報入力手段は、前記写真データ入力手段により、各埋立部位毎に、撮影位置の座標が埋め込まれた一群の写真データが読み込まれると、当該一群の写真データから位置座標を抽出し、それらの位置座標の重心座標を計算し、その重心座標を当該一群の写真データの位置座標とし、それら写真データの位置座標に関する前記撮影情報として撮影情報記憶手段に保存することを特徴とする請求項1記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項6】
廃棄物搬入情報に関する検索キーを入力する検索キー入力手段と、
前記検索キー入力手段により入力された検索キーに基づき、前記廃棄物搬入情報記憶手段に保存された廃棄物搬入情報を検索し、該当する廃棄物搬入情報を抽出する廃棄物搬入情報抽出手段と、
前記廃棄物搬入情報検索手段により抽出された廃棄物搬入情報の埋立部位に含まれる撮影情報及び写真データを、前記撮影情報記憶手段に記憶された撮影情報及び前記写真データ記憶手段に記憶された写真データの中から抽出する撮影情報抽出手段と、
前記廃棄物搬入情報抽出手段及び撮影情報抽出手段により抽出された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を、前記表示装置に一覧表示するキー検索結果表示手段と、
前記一覧表示された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組を選択する選択指示を入力する選択指示入力手段と、
前記選択指示により選択指示が入力された場合、前記構造情報記憶手段に保存された前記各構造情報に基づいて、廃棄物埋立処分場の全体構造図を前記表示装置に表示するとともに、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位を他の部位と識別可能に表示する選択部位構造表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項7】
前記選択部位構造表示手段は、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位の地表からの深さを計算し前記表示装置に表示することを特徴とする請求項6記載の廃棄物埋立処分場管理システム。
【請求項8】
前記選択部位構造表示手段は、廃棄物埋立処分場の全体構造図を立体図として前記表示装置に表示するとともに、前記選択指示により選択された廃棄物搬入情報、撮影情報及び写真データの組に対応する埋立部位の位置を前記立体図内に他の部位と識別可能に表示することを特徴とする請求項6又は7記載の廃棄物埋立処分場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−23020(P2010−23020A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18696(P2009−18696)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(505092197)大成管理開発株式会社 (4)
【Fターム(参考)】