説明

廃棄紙再生用の処理装置

【課題】廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理する処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄された枚葉紙71を積層して蓄積する一方、この蓄積された枚葉紙71を送出しロール23によって送り出す枚葉紙ボックス10と、送り出された枚葉紙を送る紙送り機構20と、送られる枚葉紙71にエアー抜き孔を穿設する穿孔機構30と、エアー抜き孔が穿孔された枚葉紙に接着液を吹き付ける接着液吹付け機構40と、巻取り芯61を回転させることによって、接着液を吹き付けられた枚葉紙をロール状に巻き取る巻取り機構60と、接着液を吹き付けられた廃棄紙が上記巻取り芯に接近するようにエアーを吹き付けるエアー吹付け機構50と、を備え、廃棄された複数の枚葉紙を巻き取って古紙ロール70とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は廃棄紙再生用の処理装置に関し、特に廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ印字やコピーを行った用紙には重要な情報や秘密にすべき情報が記録されていることがあり、使い終わった後これらの用紙をそのまま廃棄することは好ましくない。
【0003】
従来、これらの廃棄紙はシュレッダーにかけて細断し、記録された情報を読み取れないようにすることが行われていたが、シュレッダーによって細断すると、パルプ繊維も細かく破断されてしまい、用紙に再生することは難しく、水稲育苗用マットなどに利用するしかなかった(特許文献1)。
【0004】
他方、プリンター連続用紙に接着剤を塗布し、所定長さごとに折り曲げて一体化して古紙ブロックとすることにより、用紙の情報が読み取られず、しかもパルプ繊維の長さを維持し、用紙に再生できるようにした方法が提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−50400号公報
【特許文献2】特許第2595397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近使用される用紙の大部分は枚葉紙であるが、特許文献2記載の方法はプリンター連続用紙の処理を対象としているので、枚葉紙の処理に適用することはできない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、廃棄された枚葉紙から情報を読み取られることなく、用紙に再生し得るように処理するようにした廃棄紙再生用の処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置は、廃棄された枚葉紙を積層して蓄積する一方、この蓄積された枚葉紙を送出しロールによって送り出す枚葉紙ボックスと、送り出された枚葉紙を送る紙送り機構と、送られる枚葉紙にエアー抜き孔を穿設する穿孔機構と、エアー抜き孔が穿孔された枚葉紙に接着液を吹き付ける接着液吹付け機構と、巻取り芯を回転させることによって、上記接着液を吹き付けられた枚葉紙をロール状に巻き取る巻取り機構と、接着液を吹き付けられた廃棄紙が上記巻取り芯に接近するようにエアーを吹き付けるエアー吹付け機構と、を備え、廃棄された複数の枚葉紙を巻き取って古紙ロールとするようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴は処理すべき枚葉紙にエアー抜き孔を穿設するとともに、接着液を吹き付け、枚葉紙が回転する巻取り芯に向かって接近するように枚葉紙にエアーを吹き付け、枚葉紙を巻取り芯に巻き取って古紙ロールとするようにした点にある。
【0010】
これにより、廃棄すべき枚葉紙から情報が読み取られることがなく、又パルプ繊維が細かく破断されていないので、用紙に再生することができ、その有用性は大きい。
【0011】
古紙から用紙を再生する場合、脱墨処理、例えば漂泊処理を行う必要がある。通常、脱墨処理には苛性ソーダなどの脱墨薬品が用いられる。そこで、廃棄される枚葉紙に接着液を吹き付けるときに、苛性ソーダなどの脱墨薬品を接着剤に予め添加しておくと、脱墨工程を簡素化することができる。
【0012】
即ち、接着液吹付け機構が、脱墨薬品を含有した接着液を枚葉紙に吹き付けるように構成するのがよい。
【0013】
本発明の1つの特徴はエアーの吹き付けによって枚葉紙を回転する巻取り芯に接近させる点にある。エアー吹付け機構は特に限定されないが、構造の簡単さ及び枚葉紙を確実に巻取り芯に接近させる上で、下記の実施形態に示される機構を採用するのがよい。
【0014】
即ち、エアー吹き付け機構は、巻取り芯の外周に巻取り芯を囲むように密閉構造のエアー室を配置し、エアー室内にエアーを送るファンを設け、エアー室の内壁面にはエアーの吐出口を周方向に間隔をあけて形成した構造に構成するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置の好ましい実施形態を示す。図において、処理装置は枚葉紙ボックス10、紙送り機構20、穿孔機構30、接着液吹付け機構40、エアー吹付け機構50、及び巻取り機構60から構成されている。
【0016】
枚葉紙ボックス10は錠付きの開閉蓋12を備え、内部には廃棄される枚葉紙71が投入され、重量又はばね部材によって付勢された押えロール11によって押えられるようになっている。
【0017】
また、枚葉紙ボックス10の底部には枚葉紙71の送り出し口14が形成されるとともに、モータ駆動されて最下方の枚葉紙71を1枚ずつ送り出す送出しローラ13が設けられている。
【0018】
紙送り機構20には上下のガイドプレート21が枚葉紙ボックス10の送り出し口14に連通して設けられ、ガイドプレート21には複数対の送りローラ23が間隔をあけて設けられ、送りローラ23は駆動モータ(図示せず)によって駆動され、枚葉紙ボックス10から送り出された枚葉紙71はガイドプレート21間を送られるようになっている。
【0019】
穿孔機構30ではガイドプレート21の終端部近くに穿孔ローラ31と受けローラ32が対向して配置され、穿孔ローラ31は外周面に多数の穿孔針が突設されており、送られてきた枚葉紙71にエアー抜き孔を穿設するようになっている。
【0020】
接着液吹き付け機構40ではガイドプレート21の終端にノズル42を設け、ノズル42には接着液タンク41から延びるホースが接続され、接着液タンク41には脱墨薬品、例えば苛性ソーダを混合した接着液が貯留されており、液タンク41内の接着液が送液ポンプ(図示せず)によって送られ、ノズル42から適量ずつ噴射されて枚葉紙71に吹き付けられるようになっている。
【0021】
エアー吹付け機構50ではガイドプレート21の終端にエアー室55が接続され、エアー室55は内外の筒状壁面51、52によって密閉構造に構成され、ガイドプレート21はエアー室55の内側の筒状壁面51の内部に連通され、枚葉紙71を筒状壁面51の内部に向け送るようになっている。
【0022】
また、エアー室55には内部にエアーを送給するファン54が接続され、又内側の筒状壁面52には複数のエアー吐出口53が周方向に間隔をあけて形成され、エアー室55内のエアーが内方斜め方向に吐出されるようになっている。
【0023】
巻取り機構60ではエアー室55の中心に巻取り芯(例えば、紙管製芯)61が回転自在に設けられ、巻取り芯61には駆動モータ(図示せず)が接続され、巻取り芯61が回転されることによって送られてきた枚葉紙71を巻き取って古墨ロール70を形成するようになっている。
【0024】
コンピュータ印字されあるいはコピーされた枚葉紙71を廃棄する場合、枚葉紙ボックス10の蓋12をあけて枚葉紙71を投入する。枚葉紙71がある程度溜まると、送出しローラ13によって枚葉紙71を1枚ずつ枚葉紙ボックス10から送り出す。
【0025】
送り出された枚葉紙71は送りローラ23によってガイドプレート21間を送られ、終端近くまで来ると、穿孔ローラ31によってエアー抜き孔が穿設され、ノズル42から苛性ソーダを混合した接着液(例えば、米のり)が適量だけ吹き付けられる。
【0026】
エアー抜き孔が穿設され接着液が吹き付けられた枚葉紙71はエアー室55の内側筒状壁面51の内方に送り込まれる。
【0027】
このとき、エアー室55内にはファン54によってエアーが送給されてエアー吐出口53から内側筒状壁面51の内部にエアーが吹き込まれており、送り込まれた枚葉紙71は回転(矢印A参照)される巻取り芯61に向けて送られ、巻取り芯61に巻き取られる。巻き取られた枚葉紙71は積層されるが、巻き込まれたエアーはエアー抜き孔から抜けるので、枚葉紙71はきっちりと巻き取られて古紙ロール70が形成される。
【0028】
所望の外径の古紙ロール70が出来上がると、古紙ロール70を外して再生工程に送り、用紙の再生を行うことができるが、枚葉紙71はロール状に積層されているので、重要な情報などが読み取られるおそれはない。
【0029】
また、接着液に脱墨薬品を添加しているので、古紙再生における脱墨工程にて脱墨薬品を添加する量を少なくできるばかりでなく、枚葉紙71に脱墨前に脱墨薬品が添付されているので、脱墨工程を効率よく進行させることができる。
【0030】
なお、上記の実施例では接着剤に米のりを用いる例を示したが、米のり以外の接着剤、例えば合成のりなどを用いることができる。また、上記の例では巻取り芯に紙管製の巻取り芯を用いた例を示したが、プラスチック製の巻取り芯や金属製の巻取り芯、それらの芯の上に2〜3枚の紙を巻き付けた巻取り芯を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る廃棄紙再生用の処理装置の好ましい実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0032】
10 枚葉紙ボックス
20 紙送り機構
21 ガイドプレート
23 送りローラ
30 穿孔機構
31 穿孔ローラ
40 接着液吹付け機構
41 接着液タンク
42 ノズル
50 エアー吹付け機構
51、52 筒状壁面
53 エアー吐出口
60 巻取り機構60
61 巻取り芯
70 古紙ロール
71 枚葉紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された枚葉紙(71)を積層して蓄積する一方、この蓄積された枚葉紙(71)を送出しロール(13)によって送り出す枚葉紙ボックス(10)と、
送り出された枚葉紙(71)を送る紙送り機構(20)と、
送られる枚葉紙(71)にエアー抜き孔を穿設する穿孔機構(30)と、
エアー抜き孔が穿孔された枚葉紙(71)に接着液を吹き付ける接着液吹付け機構(40)と、
巻取り芯(61)を回転させることによって、上記接着液を吹き付けられた枚葉紙(71)をロール状に巻き取る巻取り機構と、
接着液を吹き付けられた廃棄紙が上記巻取り芯に接近するようにエアーを吹き付けるエアー吹付け機構と、
を備え、廃棄された複数の枚葉紙を巻き取って古紙ロールとするようにしたことを特徴とする廃棄紙再生用の処理装置。
【請求項2】
接着液吹付け機構が、脱墨薬品を含有した接着液を枚葉紙に吹き付けるようにした請求項1記載の廃棄紙再生用の処理装置。
【請求項3】
上記エアー吹付け機構は、上記巻取り芯の外周に巻取り芯を囲むように密閉構造のエアー室を配置し、該エアー室内にエアーを送るファンを設け、上記エアー室の内壁面にはエアーの吐出口を周方向に間隔をあけて形成した構造に構成されている請求項1記載の廃棄紙再生用の処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−77551(P2010−77551A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245146(P2008−245146)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508288146)有限会社ふじたか工業 (2)
【出願人】(508024692)株式会社サンハツ鋼業 (3)
【出願人】(508024706)
【Fターム(参考)】