廃水処理システムと方法
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムは、下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されている第1及び第2の部分を有するコンテナと、コンテナの第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置とを具える。システムはさらに、廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサと、コンテナの第2部分と液通している流出水排出路とを具える。十分な降雨事象の間は、廃水は下水道システムからコンテナへ、スクリーン装置を通って、それから流出水排出路へと流れ、廃水がコンテナの第1部分を通ってほぼ第1方向に流れ、次いでコンテナの第2部分を通って第1方向と異なる第2方向にほぼ流れる。処理剤ディスペンサは処理剤を添加して、廃水の少なくとも一部を十分に殺菌するように動作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合流式下水道システム又は汚水管渠システムなどの下水道からの過剰な廃水を処理するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合流式下水道システムは汚水と流出雨水を通すように設計されている下水道システムである。そのような汚水および/または流出雨水は廃水と呼ばれる。日照りの状態などの通常の状態の間は、廃水は、合流式下水道システムによって廃水処理施設へ運ばれ、廃水が排出される前に処理される。降雨事象の間は、しかしながら、廃水の流量は処理施設の処理能力を越えることがある。このような場合、オーバーフロー廃水は処理施設が過剰な廃水を処理できるようになるまで、一又はそれ以上の貯留池又はトンネルに回される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様によると、下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムが提供される。システムは廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサと、下水道システムから過剰な廃水を収容するように構成されているコンテナとを具える。コンテナはそれぞれ上側端部と下側端部とを有し、下側端部同士が相互に連結されている第1及び第2の部分を有する。システムはさらに第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置と、コンテナの第2部分と液通している流出水排出路を具える。十分な降雨事象の間は、廃水は下水道システムからコンテナの第1部分の上側端部へ、コンテナの第1及び第2の部分およびスクリーン装置を通って、それから流出水排出路へと流れ、廃水がコンテナの第1部分を通ってほぼ第1方向に流れ、次いでコンテナの第2部分を通って第1方向と異なる第2方向にほぼ流れる。このシステムは、降雨事象の間、処理剤が廃水と十分に接触時間をもって少なくとも部分的に廃水を殺菌するように構成されている。
【0004】
システムおよび方法を含めて本発明の他の態様が、下記の詳細な記述に開示されている。本発明による例示的な実施形態が図説され、開示される一方で、そのような開示はクレームに限定して解釈されるべきではない。様々な修正や代替的な設計が本発明の範囲から外れることなくなされることは自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は、下水道システム12からの過剰な廃水を処理するための本発明による廃水処理システム10を示す。下水道システム12は例えば汚水及び流出雨水を通すように設計されている合流式下水道、又は降雨事象の間の増加した流れを通す汚水管渠システムでもよい。このような汚水管渠システムは、汚水管渠システムへの雨水の浸入により増加した流れを通す。この態様で使われる「廃水」という用語は汚水および/または流出雨水を意味する。
【0006】
廃水処理システム10は分岐チャンバ13と、例えば下水道システム12からの廃水オーバーフローなどの過剰な廃水を受けるための支流水路14とを具える。処理システム10は、さらに、支流水路14に液通しているシャフト構造16などの第1のコンテナと、このシャフト構造16への液通を止めることができるトンネル18などの第2のコンテナとを具える。
【0007】
図1及び図2を参照すると、シャフト構造16はバッフル壁などのデバイダ24によってそれぞれ分割された第1及び第2の水路20と22などの第1及び第2の部分とを具える。一の実施形態では、シャフト構造16は実質的に又は完全に地下に埋められて配置され、ほぼ垂直方向を向いている。例えば、シャフト構造16及び水路20と22は垂直線と一致するもしくは、垂直線に対してある角度で延在する縦軸を有する。
【0008】
図2に示した実施形態では、デバイダ24は概して直立した構造であり、シャフト構造16の外壁26に取り付けられている。その上、シャフト構造16はデバイダ24を支持することに役立ち、第1水路20を二つの水路20aと20bに分ける追加のバッフル壁25を具えていてもよい。代替的に、デバイダ24はシャフト構造16の内部を容積が同じ、又は異なる二又はそれ以上の部分へ分ける好適な構成を有してもよい。例えば、デバイダ24はほぼV字型、ほぼU字型、又はほぼ円形の水平断面を有するバッフル壁でもよい。加えて、デバイダ24はシャフト構造16の底近くで廃水が第1水路20から第2水路22へ通過するように構成されている。例えば、デバイダ24はシャフト構造16の底の上で終端していてもよく、又はシャフト構造16の底近くに開口部を有していてもよい。
【0009】
本発明の一の実施形態では、シャフト構造16は直径10乃至200フィートの範囲のほぼ円形の水平断面を有する。代替的に、シャフト構造16は例えば六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定し、例えば5乃至200フィートの範囲の水力直径など好適な水力直径の断面を有してもよい。加えて、シャフト構造16は例えば30乃至200フィートの範囲のほぼ垂直な長さなどの好適な長さを有してもよい。さらに、シャフト構造16は、コンクリート又はスチールなどその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。例えば、シャフト構造16は密閉した関係で相互に積み重ねられている複数のコンクリート環を具えていてもよい。
【0010】
トンネル18は特定のアプリケーションに必要とされるあらゆる好適な大きさを有することができる。例えばトンネル18は、4乃至30フィートの範囲の直径と0.5乃至10マイルの範囲の長さを有していてもよい。さらに、トンネル18はコンクリート又はスチールなどその他の好適な材料から構成されていてもよい。
【0011】
処理システム10は、また、過剰な廃水を処理するように例えば塩素や塩素を含む液剤などの処理剤を過剰な廃水へ投入する又は別の方法で添加するための処理剤投入システム27などの処理剤ディスペンサも具えている。例えば、処理剤は過剰な廃水の殺菌に用いられる次亜塩素酸ナトリウムの殺菌剤溶液でもよい。処理剤投入システム27は過剰な廃水と処理剤を混合するために投入地点で又は投入地点近くに配置した混合機(図示せず)を具えていてもよい。混合機は例えば、バブラおよび/または機械的混合機を具えてもよい。
【0012】
例えばコントローラ28などのコンピュータ制御システムは、処理剤の添加を制御するために処理剤投入システム27に連通している。コントローラ28は、支流水路14に配置されている流量センサ30、トンネル18に配置されている流体レベルセンサ、及びトンネル18への流れを止める自動式ゲート34にもまた連通している。コントローラ28はどの好適な位置に配置されてもよいが、図1に示す実施形態ではコントローラ28はシャフト構造16の近くに配置されている。
【0013】
流出水路36はシャフト構造16の第2水路22に液通している。流出水路36は処理した廃水を処理システム10から川38やその他の受水域など他の好適な領域へ排出するのに用いてもよい。
【0014】
図1乃至7を参照すると、処理システム10の動作を詳細に述べる。日照りの状態の間などの通常の動作状態下では、図1に示すように、廃水は下水道システム12の幹線下水道40を通って遮集管渠42へと流れる。遮集管渠42は廃水を廃水処理プラント(図示せず)などの処理施設へ通す。十分な降雨事象の間は、幹線下水道40からの流れは遮集管渠42の許容量を超過し、過剰な廃水が支流水路14へと流れる。図3に示すように、例えば過剰な廃水は分岐チャンバ13の中の堰44を越えて支流水路14へと流れることがある。有利なことに、処理システム10は1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の流量といった比較的大きい流量を処理するように構成することができる。
【0015】
過剰な廃水は、支流水路14および/またはシャフト構造16に設置された、例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン46を通って流れ、浮遊性の物質および/または懸濁物質を過剰な廃水から除去するようにする。次に、図3を参照すると、第1の量の過剰な廃水は第1水路20を通ってトンネル18への流れが止められるまで、トンネル18へ流れる。図4に示すように、トンネル18に収容された過剰な廃水が既定のレベルに達してゲート34が自動的に閉じると、トンネル18への流れが止められる。その他の例として、トンネル18が許容量に達するときトンネル18への流れを止めらるようにしてもよい。トンネル18への流れが止められると、ある一定量がトンネル18へ流れ続けるように廃水をトンネル18からポンプで汲み出すようにしてもよい。別の方法では、トンネル18への流れを止めることができる。
【0016】
図4を参照すると、トンネル18への流れが止められる直前に、コントローラ28によって処理剤投入システム27が過剰な廃水の中へ処理剤の投入を開始するようにしてもよい。この処理剤は、過剰な廃水1リットルあたり10乃至25ミリグラムの範囲で処理剤レベルを達するのに十分な率などあらゆる好適な率で投入することができる。処理剤投入システム27の混合機は過剰な廃水と処理剤の混合を強化するのに用いることもできる。そのような混合機は例えば処理剤投入地点で、および/または処理剤投入地点の下流側に設置することができる。
【0017】
代替的に、処理剤の投入は例えば流れが遮集管渠42の許容量を超過してすぐ、又はその後いずれかの時点などの好適な時間に開始することができる。さらに、処理剤の投入は例えばシャフト構造16の上流側および/またはシャフト構造16の内などの好適な地点で生じるようにしてもよい。例えば、処理剤の投入は過剰な廃水と処理剤との混合を促進するように堰44の上流で生じるようにしてもよい。
【0018】
降雨事象が続く場合に、過剰な廃水はシャフト構造16が許容量に達するまで第1水路20を通り、デバイダ24の下を流れ、第2水路22へ流れる。最終的に、降雨事象が続く場合は、図5に示すように、処理された過剰な廃水は流出水路36へ流れ、次いで川38へ流れる。
【0019】
処理システム10はさらに、処理された過剰な廃水から浮遊物および/または懸濁物質を除去するために、シャフト構造16の第2水路22に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン48、および/または、流出水路36に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン50を具えていてもよい。このようなスクリーン48および/または50は支流水路14および/または第1水路20に設置されたスクリーン46の代替として、またはこれに加えて設けることができる。
【0020】
図8乃至13に示す実施形態では、シャフト構造16の第2水路22に設けられているスクリーン48は、第2水路22の上側端部の近くに位置するほぼ水平方向を向いたスクリーン装置52内に設けられている。スクリーン装置52は、維持管理および/または修理用にスクリーン装置52の分解及び再度の組み立てを容易にするモジュラー構造を有してもよい。例えば、一又はそれ以上のスクリーン48を互いに連結してスクリーンユニット54を形成し、スクリーンユニット54はスクリーンユニット54の間に延在するバッフル壁や梁56などの一又はそれ以上のほぼ水平な支持部材を具える支持構造によって支持するようにしてもよい。一の実施形態では、各スクリーン48はスクリーンモジュールと呼ばれることもあり、長さ約4.3フィート、幅約4.0フィート、及び高さ約1.4フィートであり、最大5個までのスクリーン48が互いに連結されてスクリーンユニット54を形成している。代替的に、各スクリーン48は好適な大きさと形状を有していてもよい。例えば、各スクリーン48は4乃至25フィートの範囲の長さ、3乃至5フィートの範囲の幅、及び1乃至3フィートの範囲の高さを有していてもよい。
【0021】
各スクリーン48は316ステンレススチールなどの好適な材料で構成することができる。さらに、スクリーン48は、例えば4ミリメートル(mm)乃至2インチの範囲の開口部などの好適な大きさの開口部を提供するように設計されてもよい。一の実施形態では、各スクリーン48が5mmの開口部を具えるバースクリーンとして構成されている。好適なスクリーン48はカリフォルニア州、モーガンヒルのCDS Technologies社から入手可能である。
【0022】
梁56は例えばコンクリートおよび/またはスチールなどの好適な材料で構成することができる。さらに、梁56はシャフト構造16と一体的に形成されていてもよい。
【0023】
スクリーン装置52は、さらに、スクリーン48からスクリーニングと呼ばれる物質を除去するためのレーキシステム58などの洗浄システムを具えている。レーキシステム58は各スクリーン48又はスクリーンユニット54のための例えばコーム、ブラシおよび/またはスクレーパなどの一又はそれ以上のクリーニング部材60を具えてもよい。クリーニング部材60は交差したブレースによって互いに連結されてもよく、クリーニング部材60の上に取り付けられた水圧シリンダ又はラムなどのあらゆる好適な方法で駆動することができる。その他の例として、クリーニング部材60は水圧で又はあらゆる好適な方法によって駆動する回転部材であってもよい。図13に示すように、クリーニング部材60がコームとして構成されている場合、例えばクリーニング部材60はスクリーン材の上に位置し、スクリーン材を通り抜けてもよい。その他の例として、クリーニング部材60をスクリーン材の下に位置するスクレーパとして構成してもよい。
【0024】
シャフト構造16の第2水路22を通るほぼ上方へのフローパターンは標準的な合流式下水道オーバーフロー(CSO)設備に用いられている通常のスクリーンタイプと比較してスクリーン48にかかる負荷を減らすことができる。第2水路22を通るフローパターンによって、梁56の隆起した部分62の後ろで浮遊物を捕捉することができ、この部分62は、図11及び図12に示すように、スクリーン48に対して隆起している。さらに、レーキシステム58によってスクリーン48から除去したスクリーニングも、梁56の隆起した部分62の後ろで捕捉することができる。更に、重い固体物は水路20と22の底に沈殿させてもよい。
【0025】
梁56の隆起した部分62はあらゆる好適な構造を有することができる。例えば、隆起した部分62の底部表面はスクリーン48の約6乃至60インチ上に延在している。加えて、隆起した部分62は例えば2乃至20フィートの範囲の幅などの好適な幅を有している。
【0026】
5mmの開口部を具える水平なレーキバースクリーンとして構成されるスクリーン48への負荷は、例えば、シャフト構造16を通るフローパターンによって約70%程度へ減らすことができることは自明である。支流のスクリーニングの約70%が1)浮いて梁56の後ろに留まっているか、又は2)シャフト構造16の内に沈殿するか、どちらかであることも自明である。
【0027】
スクリーン装置52は垂直なレーキバースクリーンなどの傾斜した又は垂直なスクリーンより優れたいくつかの利点を提供する。例えば、スクリーン装置52は以下のものを提供することができる:1)最小の損失水頭で最大のオーバーフロー容量とする;2)スクリーンを収容するための大きな地上の建物の必要性を減らす;3)全事象で利用される全スクリーンフィールドが可能であり、より小さな事象の間の有効スクリーン負荷を減らす;及び4)スクリーン48を通る上方への流れによって、比較的低くそして均一な水量負荷速度によりスクリーンへの接近速度を低くし、スクリーンフィールドへの衝撃を減らす。さらに、スクリーニングはスクリーン48の近くに設置された専用の貯留池内で収集してもよく、例えば廃水処理プラントでの処理のために遮集管渠42へ逆流する。
【0028】
スクリーン装置52はあらゆる好適なスクリーン速度(スクリーン48の開口した空間を通る水の流速)を提供するように構成できる。例えば、スクリーン装置52は最大流速に対して4インチの最大のスクリーン損失水頭で、現存の工業的手法(全スクリーン48に対して25%の障害要因をとる)に合致する3フィート/秒以下のスクリーン速度を達成するように設計することができる。
【0029】
図8及び9に示すように、非常事象では、余水吐ゲート64を設けて流れがスクリーン48を迂回するようにしてもよい。この緊急用余水吐ゲート64は、例えば、デバイダ24内の梁56の上に設置してもよい。余水吐ゲート64は重力および/または水圧などのあらゆる好適な方法で開くことができる。その他の例として、余水吐ゲート64は、機械的に動作する又は通常の電源及びバックアップ電源の両方によって電力が供給されるレベルセンサ、コントロールパネル、および/またはアクチュエータを使用して自動的に開くようにしてもよい。余水吐ゲート64の開放に電力を使用する場合、通常の電力が失われたときにバックアップ電源への切換が自動的に生じるようにしても良い。
【0030】
図5を参照すると、処理システム10を、過剰な廃水が処理剤投入地点から流出水路36からの排出地点へ連続的に流れるときに、処理剤と過剰な廃水との間に十分な接触時間が生じるように構成して、過剰な廃水の例えばバクテリアの殺菌など十分な殺菌が排出地点で行われるようにする。例えば、糞便性大腸菌の平均レベルが過剰な廃水100ミリリットルあたり400カウントよりも少ない場合又はその他の好適なレベルにある場合、十分な殺菌を達成できる。
【0031】
本発明の一の実施形態では、設計洪水流量に対して全体の接触時間が10乃至30分の範囲になるように処理システム10を構成することができるこの時間は、支流水路14、シャフト構造16および/または流出水路36で生じる接触時間を含んでいてもよい。代替的に、処理システム10を、例えば10分よりも少ないあるいは30分よりも多い接触時間といった好適な接触時間を提供するように構成して、望ましい殺菌レベルを達成するようにしてもよい。接触時間の全てではない場合、大部分の接触時間をシャフト構造16によって提供することができる。これは、シャフト構造16を通る過剰な廃水の流れを遅らせるように構成されている。この遅れは例えば、過剰な廃水を第1水路20を通って下側などの第1方向にほぼ流し、次いで第2水路22を通って、上側などの第2方向にほぼ流すことによって達成される。本発明の一の実施形態では、シャフト構造16は1分あたり5,000乃至1,500,000ガロンの範囲の支流水路14への流量に対し、1秒あたり0.05乃至1.0フィートの範囲の第2水路22の上方向への流速を提供するように構成することができる。
【0032】
過剰な廃水が第1水路20を通って流れるとき、スクリーン46によって捕捉されない浮遊性の物質が第1水路20の上端部に残る。さらに、過剰な廃水がシャフト構造16を通って第1水路20から第2水路22へ流れるとき、スクリーン46によって除去されない比較的重い固体物はシャフト構造16の底に沈殿する。
【0033】
処理システム10は過剰な廃水を川38又は他の好適な領域へ排出する前に、過剰な廃水の脱塩素処理を行うように構成してもよい。例えば、図5を参照すると、処理システム10は例えば硫酸塩などの脱塩素処理剤を流出水路36へ添加するための脱塩素処理剤投入システム66などの脱塩素処理剤ディスペンサを具えてもよい。脱塩素処理剤が好適な地点で添加されるように、脱塩素処理剤投入システム66をコントローラ28によって、又は他の好適な手段によって制御するようにしてもよい。脱塩素処理はあったとしても長い接触時間を必要としないので、脱塩素処理剤は流出水路36の排出地点近くで流出水路36へ添加することができる。
【0034】
降雨事象が弱まると、遮集管渠42の許容量をもはや超過しなくなり、シャフト構造16への流れが止まる。図6を参照すると、遮集管渠42又はほかの好適な水路が排水流量を受け入れる許容量を有する場合に、トンネル18及びシャフト構造16の排水を開始できる。この排水過程はスクリーン46、48、及び50によって回収した全ての物質をシャフト構造16の中へ処分したら開始するようにしてもよい。例えば、回収した物質はスクリーン46、48、及び50からコームで梳いたり、ブラシをかけたり、又はその他の方法で掻き落とすようにしてもよい。代替的に、このような物質をスクリーン46、48、及び50から除去して、他のところで処理するようにしてもよい。次いでトンネル18と液通している排水ポンプステーション68をシャフト構造16及びトンネル18から排水するために用いることができる。ポンプステーション68を用いて過剰な廃水をトンネル18から遮集管渠42および/またはその他の好適な水路へ汲み出して、過剰な廃水を廃水処理プラント(図示せず)へ送るようにしてもよい。
【0035】
図7を参照すると、流水式洗浄事象が所望される場合、トンネル18を流水で洗浄するためにシャフト構造16に所定量の過剰な廃水を保持するようにしてもよい。例えば、トンネル18から排水する前にゲート34を閉じることによって、シャフト構造16を完全に排水することなくトンネル18を排水することができる。次いでゲート34を開いてシャフト構造16に収容されている過剰な廃水がトンネル18を通って流水洗浄をするようにしてもよい。
【0036】
シャフト構造16は垂直方向の比較的遅い流速を提供するように構成できるため、シャフト構造16によって生じる損失水頭は比較的小さくすることができる。例えば、少なくとも1分あたり100,000乃至10,000,000ガロン又はそれ以上を処理することが可能なシステムにおいて、シャフト構造16に関する損失水頭は3フィートより少なくてもよく、特に1フートより少なくてもよい。結果として、支流水路14と流出水路36との間の落差を比較的小さくすることができる。結果的に流量と下水道システム12によって提供される利用可能な上部に応じて、処理システム10を重力送りシステムとして稼働させてもよく、この場合、過剰な廃水はポンプで汲み出す必要なくシャフト構造16を通って流出水路36の外へと流れる。さらに、シャフト構造16を通る低流速によって固体物をシャフト構造16の底に沈殿させることができる。代替的に、処理システム10は第2水路22から流出水路36へと過剰な廃水を汲み出すためのポンプ70を具えてもよい。
【0037】
さらに、シャフト構造16は大きなサイズでもよいので、シャフト構造16はサージ保護を提供することができる。特に、トンネル18が満たされている間に発生するサージエネルギィはシャフト構造16内で効率的に放散される。更に、シャフト構造16はサイズが大きくてもよいので、過剰な廃水がシャフト構造16を通ってトンネル18へ流れるとき、シャフト構造16が空気抜きを提供することもできる。
【0038】
トンネル18への流れが止められると、過剰な廃水の流れは第1水路20と第2水路22へ分かれるので、トンネル18に収容されている第1の量の過剰な廃水を移動させることなくシャフト構造16を通る流れが生じる。このように総浮遊固体物を高い割合で有する第1の量の過剰な廃水又は「第1の流水」は、オーバーフロー事象の間にトンネル18に収容することができる。さらに、第1の量の過剰な廃水は川38へ排出される必要がないので、第1の量の過剰な廃水は処理剤で処理する必要がない。従って、処理剤の投入は川38へのオーバーフローをもたらす降雨事象にのみ限ることができる。代替的に、第1の量の過剰な廃水を処理剤で処理するようにしてもよい。
【0039】
処理システム10は、上記で説明したように、シャフト構造16からの廃水を利用して、トンネル18を容易に流水洗浄することもできる。このように、トンネル18は他の水源から処理システム10へ投入される追加の水を必要とすることなく流水洗浄することができる。
【0040】
代替的に、特別な適用に必要としない場合にはトンネル18を取り除いてもよい。このような場合、詳細に上述したように、過剰な廃水は下水道システム12からシャフト構造16へ、次いで流出水路36へと流れる。さらに、一又はそれ以上のシャフト構造16から排水するために水中ポンプ71をシャフト構造16の底部に又は底部近くに配置してもよい。
【0041】
図15及び図16を参照すると、処理システム10はシャフト構造16を流水洗浄するための流水式洗浄システム72を具えてもよい。例えば、流水式洗浄システム72は、例えばシャフト構造16の底77の1乃至4フィート上など、シャフト構造16の底77の上でシャフト構造16に取り付けられた複数のスプレーヘッド又はノズル74を具えていてもよい。一の実施形態では、ノズル74はシャフト構造16の側壁又は底部に取り付けられるようにしてもよい。流水式洗浄システム72は、さらにシャフト構造16の内容物を例えばヘッダ78などの好適な水路を通って、シャフト底の上に設置されたノズル74へ送るための水中チョッパーポンプ76を具えていてもよい。
【0042】
流水式洗浄システム72はシャフト構造16の底部分80内でシャフト構造16の内容物を混合するための十分なエネルギィを有するように設計することができる。例えば、ノズル74はシャフト構造16の底部分80内における混合を促進するように、ほぼ一方向に向けられている。この部分80は混合をさらに促進するため、例えば傾斜した又は円錐形の形状でもよい。図15に示されている実施形態では、ノズル74がシャフト構造16の底部分80で反時計回り方向の流れを作り出すようにノズル74は通常反時計回り方向を向いている。ノズル74はシャフト構造16の混合を促進するために均一な回転をつくり、垂直軸をもつ渦を作り出すように構成されていてもよい。好適なノズルは例えば、ワシントン州、モンテサノ所在のボーガン社(Vaugan Co.,Inc)から入手可能である。
【0043】
例えば、シャフト構造内の水位が底部分80の上端部になるまで排水されると、流水式洗浄システム72が稼働する。流水式洗浄システムは、シャフトの床に沿って十分な速度を作り出し、排水の間にシャフトの床上に沈殿するであろう固形物を再度浮遊させること(洗い流す)は自明である。一般的に、下水道は流量が少ない状態の間に下水道内に沈殿した物質を再度浮遊させるために、2ft/secの速度に設計することができる。
【0044】
その他の例として、高水位の上に設置されている一又はそれ以上の傾斜した又は放出するバケットを、シャフト構造16の流水洗浄に用いてもよい。さらに、別の例では、例えば川の水又は移動式の水の供給源などの外部の水源から水を得る一又はそれ以上のポンプに連結している一又はそれ以上の高圧ノズルを具える流水式洗浄システムを用いて、シャフト構造16を流水洗浄するようにしてもよい。
【0045】
図17及び18を参照すると、シャフト構造16’の追加の実施形態が示されており、シャフト構造16’は上述したシャフト構造16と同様の寸法及び特性を有している。シャフト構造16’は、第1の流水を川38又は他の好適な領域へ排出することなく、第1の量の過剰な廃水または「第1の流水」を収容するように構成されている。シャフト構造16’はバッフル壁などのデバイダ24’によって分離された第1及び第2のほぼ垂直方向の水路20’及び22’を具えており、これはシャフト構造16’の底部近くで第1水路20’から第2水路22’へ流れるように構成されている。シャフト構造16’は、それぞれシャフト構造16’の底まで延在しているそれぞれのデバイダ84と86によって第1と第2の水路20’と22’から分離されているほぼ垂直方向を向いた第3水路82も具える。デバイダ84の高さはデバイダ86の高さよりも低く、デバイダ84および86はともにデバイダ24’の上に延在してもよい。
【0046】
さらにデバイダ82乃至86はあらゆる好適な構成を有してもよい。例えば各デバイダは図17に示すように、ほぼ真っすぐな壁として形成することができる。その他の例として、デバイダ84及び86は、有益な構造特性を提供するほぼ湾曲した又はアーチ型の一つの壁として形成してもよい。
【0047】
上記シャフト構造構成を伴って、支流水路14は第3水路82が第1の流水を収容するように、流れを第3水路82へ向けるように設計することができる。第3水路82がデバイダ84の高さまで満たされると、連続する流れによって廃水がデバイダ84を越えて第1水路20’へ流れる。第3水路82が満たされる直前に、又は上述したような他のあらゆる好適な時間に、処理剤を廃水の中へ添加して詳細に上述した方法と同様の方法で廃水を殺菌することができる。流れは、シャフト構造16に関して上述した方法と同様の方法で続いてゆく。特に、降雨事象が続く場合、過剰な廃水は第1水路20’を通り、デバイダ壁24’の下又はデバイダ24’を通って、第2水路22’へ流れる。最終的に、降雨事象が続く場合に、処理された過剰な廃水は、スクリーン装置52を通り、流出水路36へと流れて川38又は他の好適な領域へ排出される。川38からシャフト構造16’への流れを止めるために流出水路36にフラップゲート88などの一方向ゲートを設けてもよい。
【0048】
降雨事象が弱まると、シャフト構造16’はシャフト16について上述した方法と同様の方法で排水され、流水洗浄することができる。例えば、水中チョッパーポンプ(図示せず)などの一又はそれ以上の排水ポンプを、シャフト構造16’の底で又はその近くに配置して、第3水路82に少なくとも一つのポンプが配置され、第3水路82の外側に少なくとももう一つのポンプが配置されるようにしてもよい。
【0049】
第1、第2、及び第3の水路20’、22’、及び82がそれぞれ単一のシャフト構造として一体化して形成されているが、水路20’、22’、及び82は複数のシャフト構造として形成してもよい。例えば、第3水路82は、第1及び第2の水路20’及び22’をそれぞれ規定するもう一つのシャフト構造から間隔をあけて設けたシャフト構造によって形成することができる。このような実施形態では、第3水路82の上側端部は、第1水路20’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第1水路20’の上側端部に連結してもよい。
【0050】
その他の例として、水路20’、22’、及び82はそれぞれ分離シャフト構造として形成することができ、シャフト構造を互いに間隔をあけて設けて、連絡水路によって連結してもよい。具体的には、第3水路82の上側端部は第1水路20’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第1水路20’の上側端部に連結して、第1水路20’の下側端部は第2水路22’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第2水路22’の下側端部に連結することができる。
【0051】
図19乃至23を参照すると、本発明による下水道システム112から過剰な廃水を処理するための廃水処理システム110の追加の実施形態が示されている。下水道システム112は例えば、汚水及び流出雨水(合流式下水道オーバーフロー)の両方を通すように設計されている合流式下水道、又は降雨事象の間増加する流れを通す汚水管渠システム(汚水管渠オーバーフロー)でもよい。このような汚水管渠システムは、汚水管渠システムへの雨水の浸入による増加した流れを通す。このアプリケーションで使われている「廃水」という用語は汚水および/または流出雨水を意味する。
【0052】
廃水処理システム110は分岐チャンバ113と、例えばオーバーフロー廃水などの下水道システム112から過剰な廃水を受けるための支流水路114とを具える。処理システム110は、さらに、それぞれ支流水路114に液通する例えば第1と第2のシャフト構造115と116などの第1及び第2の間隔をあけて設けた部分を有し、互いに連絡水路117によって連結されているコンテナを具える。
【0053】
本発明の一の実施形態では、シャフト構造115及び116は、実質的に又は完全に地下に埋められて配置され、ほぼ垂直方向を向いている。例えば、各シャフト構造115及び116は垂直線と一致するもしくは、垂直線に対してある角度で延在する縦軸を有していてもよい。シャフト構造115及び116はあらゆる好適な構成を有していてもよいが、本発明の一の実施形態では、各シャフト構造115及び116は、直径10乃至200フィートの範囲のほぼ円形の水平断面を有していてもよい。代替的に、各シャフト構造115及び116は例えば六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定し、例えば5乃至200フィートの範囲の水力直径など、あらゆる好適な水力直径の断面を有していてもよい。加えて、各シャフト構造115及び116は例えば30乃至200フィートの範囲のほぼ垂直な長さなどのあらゆる好適な長さを有していてもよい。
【0054】
シャフト構造115及び116は一般的に同じ大きさと形状を有していてもよい。代替的に、シャフト構造115及び116は異なるサイズおよび/または形状を有してもよい。例えば、第1シャフト構造115は第2シャフト構造116よりも水力直径が小さくてもよい。さらに詳細な例として、第1シャフト構造115は5乃至40フィートの範囲の水力直径を有していてもよく、第2シャフト構造116は20乃至200フィートの範囲の水力直径を有していてもよい。
【0055】
その上、各シャフト構造115及び116は、コンクリートおよび/またはスチールなどその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。例えば、各シャフト構造115及び116は密閉した関係で相互に積み重ねられている複数のコンクリート環を具えていてもよい。
【0056】
連絡水路117はほぼ水平に延在しており、各シャフト構造115及び116の下側端部の近くで各シャフト構造115及び116に連結することができる。その上、連絡水路117は廃水をシャフト構造115及び116の間に流すあらゆる好適な構成を有していてもよい。例えば、連絡水路117は、例えば円形、六角形、八角形、楕円形、又は長方形などあらゆる好適な形状を規定する断面を有するほぼ円筒形の構造でもよい。連絡水路117は、例えば5乃至30フィートの範囲の水力直径などあらゆる好適な水力直径、及び、例えば1乃至500フィートの範囲の長さなどあらゆる好適な長さを有していてもよい。さらに、連絡水路117は、コンクリートおよび/またはスチールなどのその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。
【0057】
上述の構成により、各シャフト構造115及び116によって規定される容積は、連絡水路によって規定される容積より大きい。例えば、各シャフト構造115及び116によって規定される容積は、連絡水路117によって規定される容積の少なくとも2倍である。
【0058】
処理システム110は、また、過剰な廃水を処理するように例えば塩素や塩素を含む液剤などの処理剤を過剰な廃水へ投入する又は別の方法で添加するための処理剤投入システム118などの処理剤ディスペンサも具える。例えば、処理剤は過剰な廃水の殺菌に用いられる次亜塩素酸ナトリウムの殺菌剤溶液でもよい。処理剤投入システム118は過剰な廃水と処理剤を混合するために投入地点で又は投入地点近くに配置した混合機(図示せず)を具えていてもよい。混合機は例えば、バブラおよび/または機械的混合機を具えてもよい。
【0059】
処理システム110は、処理剤の添加を制御するために、処理剤投入システム118に連通しているコントローラ120などのコンピュータ制御システムを具えていてもよい。コントローラ120は支流水路114に配置されている流量センサ122にも連通していてもよい。
【0060】
処理剤投入システム118及びコントローラ120はそれぞれ、図19に示した実施形態では好適な位置に配置されているが、処理剤投入システム118を支流水路114の近くに設置して、コントローラ120を第2シャフト構造116の近くに配置してもよい。その他の例として、処理剤投入システム118及びコントローラ120はそれぞれ、シャフト構造115または116のどちらかの上端など、近くに配置してもよい。その上、処理剤投入システム118及びコントローラ120は、同じ又は分割された構造物又は囲いの中に収容してもよい。
【0061】
流出水路124は第2シャフト構造116と液通している。流出水路124は処理した廃水を処理システム110から川126やその他の受水域など他の好適な領域へ排出するのに用いることもできる。
【0062】
図19乃至23を参照すると、処理システム110の動作を以下に詳細に述べる。日照りの状態などの通常の動作状態下では、図19に示すように、廃水は下水道システム112の幹線下水道128を通って遮集管渠130へと流れる。遮集管渠130は廃水を廃水処理プラント(図示せず)などの処理施設へ通す。十分な降雨事象の間は、幹線下水道128からの流れが遮集管渠130の許容量を超過し、過剰な廃水が支流水路114へ流れる。図21に示すように、例えば過剰な廃水は分岐チャンバ113の中の堰132を越えて支流水路114へと流れる。有利なことに、処理システム110は1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の流量といった比較的大きい流量を処理するように構成することができる。
【0063】
流量センサ122によって流量が検出されると、例えばコントローラ120によって、処理剤投入システム118が過剰な廃水の中へ処理剤の投入を開始する。この処理剤は、例えば過剰な廃水1リットルあたり10乃至25ミリグラムの範囲の処理剤レベルを達するのに十分な率などあらゆる好適な率で投入することができる。処理剤投入システム120の混合機は過剰な廃水と処理剤の混合を強化するのに用いてもよい。このような混合機は例えば処理剤投入地点および/または処理剤投入地点の下流側に設置することができる。
【0064】
代替的に、処理剤投入は、例えば流れがシャフト構造115及び116の一方又は両方に流れが向かうときなど、遮集管渠130の許容量を超過してすぐ、又はその後などのあらゆる好適な時に開始することができる。その上、処理剤投入は例えばシャフト構造115及び116の上流側、シャフト構造115及び116の一方又は両方の中、および/または連絡水路117内などのあらゆる好適な地点で生じる。例えば、処理剤投入を堰132の上流で行って、過剰な廃水と処理剤との混合を促進するようにしてもよい。
【0065】
堰132を越えて流れた後に、次いで過剰な廃水は、支流水路114および/または第1シャフト構造115に設置された、例えば傾斜した、垂直な、および/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン134を通って流れ、浮遊性の物質および/または懸濁物質を過剰な廃水から除去するようにする。過剰な廃水は、第1シャフト構造115で下側などの第1方向にほぼ流れ、連絡水路117を通り、次いで第2シャフト構造116で上側などの第2方向にほぼ流れる。
【0066】
降雨事象が続く場合は、過剰な廃水は、第2シャフト構造116が許容量に達するまで第1シャフト構造115を通り、連絡水路117を通って、第2シャフト構造116へ流れる。最終的に、降雨事象が続くと、図22に示すように、処理された過剰な廃水は流出水路124へ流れ、次いで川126へ流れる。処理システム110は、処理された過剰な廃水から浮遊物および/または懸濁物質を除去するために、第2シャフト構造116に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン136、および/または、流出水路124に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン137とを具えてもよい。このようなスクリーン136および/または137は、支流水路114および/または第1シャフト構造115に設置されたスクリーン134の代替として、またはこれに加えて設けることができる。
【0067】
図19乃至23に示す実施形態では、第2シャフト構造116に設けられている一又はそれ以上のスクリーン136が、シャフト構造116の上側端部の近くに位置しているほぼ水平方向を向いたスクリーン装置138内に配置されている。スクリーン装置138は、上述したスクリーン装置52の構成など、あらゆる好適な構成を有していてもよい。
【0068】
処理システム110を、過剰な廃水が処理剤投入地点から流出水路124からの排出地点へ連続的に流れるときに、処理剤と過剰な廃水との間に十分な接触時間が生じるように構成し、過剰な廃水の例えばバクテリアの殺菌など十分な殺菌が排出地点で行われるようにする。例えば、糞便性大腸菌の平均レベルが過剰な廃水100ミリリットルあたり400カウントよりも少ない場合又はその他の好適なレベルにある場合、十分な殺菌を達成できる。
【0069】
本発明の一の実施形態では、処理システム110は下水道システム112、支流水路114、シャフト構造115と116、連絡水路117および/または流出水路124で生じる接触時間を含めて、10乃至30分の範囲の全体の接触時間を提供するように構成することができる。代替的に、例えば10分以下又は30分以上といったあらゆる好適な接触時間を提供して、処理システム110が所望の殺菌レベルを達成するように構成できる。
【0070】
接触時間の全てではないにしても、大部分の接触時間はシャフト構造115と116、及び連絡水路117によって提供される。その上、対応する上昇および下降シャフトと比較して接触時間の大部分がトンネルの中で提供されるトンネルを通ってほぼ水平な流れを有する従来のシステムとは対照的に、連絡水路117と比較して処理システム110のシャフト構造115及び116が接触時間の大部分を提供するように構成してもよい。例えば、シャフト構造115及び116を通るフロー時間は連絡水路117を通るフロー時間の少なくとも2倍でもよい。その他の例として、各シャフト構造115及び116を通るフロー時間が連絡水路117を通るフロー時間の少なくとも2倍でもよい。
【0071】
シャフト構造115及び116の下側端部の近くに配置されている連絡水路117によって、過剰な廃水は、第1シャフト構造115を通ってほぼ下方向に流れ、次いで連絡水路117を通過した後、第2シャフト構造116を通ってほぼ上方向に流れる。本発明の一の実施形態では、第2シャフト構造116は、1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の支流水路114への流量に対し、1秒あたり0.05乃至1.0フィートの範囲の上方向への流速を提供するように構成することができる。
【0072】
過剰な廃水が第1シャフト構造115を通って流れるとき、スクリーン134によって捕捉されない浮遊性の物質が第1シャフト構造115の上端部近くに残る。その上、過剰な廃水がシャフト構造115及び116を通って流れるとき、スクリーン134及び136によって除去されない比較的重い固体物はシャフト構造115及び116の一方又は両方の底に沈殿する。
【0073】
処理システム110は、過剰な廃水を川126又は他の好適な領域へ排出する前に、過剰な廃水の脱塩素処理を行うように構成してもよい。例えば、処理システム110は例えば硫酸塩などの脱塩素処理剤を流出水路124へ添加するために脱塩素処理剤投入システム139などの脱塩素処理剤ディスペンサを具えてもよい。脱塩素処理剤が好適な地点で添加されるように、脱塩素処理剤投入システム139をコントローラ120によって、又は他の好適な手段によって制御することができる。脱塩素処理はあったとしても長い接触時間を必要としないので、脱塩素処理剤は流出水路124の排出地点近くで流出水路124へ添加することができる。
【0074】
降雨事象が弱まると、遮集管渠130の許容量をもはや超過しなくなり、シャフト構造115及び116への流れが止まる。遮集管渠130又はほかの好適な水路が排水流量を受け入れる許容量を有する場合に、シャフト構造115及び116の排水を開始するようにしてもよい。排水過程はスクリーン134乃至137によって回収した全ての物質をシャフト構造115及び116の一方又は両方へ捨てると開始する。例えば、回収した物質はスクリーン134乃至137からコームで梳いたり、ブラシをかけたり、又はその他の方法で掻き落とすようにしてもよい。代替的に、このような物質をスクリーン134乃至137から除去して、他のところで処理するようにしてもよい。図23を参照すると、次いで一又はそれ以上の水中ポンプ140は、例えば、廃水をシャフト構造115及び116と液通している一又はそれ以上のパイプなどの排水路141へシャフト構造115及び116から排水を汲み出すのに用いられてもよい。排水路141は、過剰な廃水を例えば、廃水処理プラント(図示せず)へ送るように、廃水をシャフト構造115及び116から遮集管渠130へおよび/または別の好適な水路へ分岐するのに用いることができる。一の実施形態では、排水路141は、第2シャフト構造116でほぼ上方向に、第2シャフト構造116の側壁を通って、遮集管渠130に延在してもよい。
【0075】
一の実施形態では、第2シャフト構造116は第1シャフト構造115の下に延在し、連絡水路117はシャフト構造115及び116の排水を促進するため、第2シャフト構造116へ向かって下へ傾斜していてもよい。別の例として、第1シャフト構造115は第2シャフト構造116の下に延在し、そして連絡水路117を第1シャフト構造115へ向かって下へ傾斜させて、第1シャフト構造115の中に配置したおよび/または第1シャフト構造115に直接に連結して配置した排水路を通ってシャフト構造115及び116の排水を促進するようにしてもよい。
【0076】
処理システム110は例えば、汚泥を除去するためにシャフト構造115と116の一方又は両方および/または連絡水路117を流水で洗浄するための流水式洗浄システム(図示せず)を具えていてもよい。このような流水式洗浄システムは、例えば一又はそれ以上のシャフトの側壁に取り付けられ、水中ポンプに連結した一又はそれ以上のスプレーヘッド又はノズルなどの好適な構成を有してもよい。さらに具体的な例として、流水式洗浄システムは流水式洗浄システム72用に上述した構成と同様の構成を有してもよい。その上、流水式洗浄システムは第1シャフト構造115、第2シャフト構造116および/または連絡水路117に配置してもよい。その他の例として、流水式洗浄システムは、シャフト構造115及び116の一方又は両方の高水位の上に設置されている一又はそれ以上の傾斜した又は放出するバケットを具えてもよい。
【0077】
シャフト構造115及び116は垂直方向の比較的遅い流速を提供するように構成できるため、シャフト構造115及び116によって生じる損失水頭は比較的小さくすることができる。例えば、シャフト構造115及び116に関する損失水頭は3フィートより少なくてもよい。結果として、支流水路114と流出水路124との間の落差を比較的小さくすることができる。結果的に流量と下水道システム112によって提供される利用可能な上部に応じて、処理システム110を重力送りシステムとして稼働させてもよく、この場合、過剰な廃水はポンプで汲み出す必要なくシャフト構造115及び116を通って、流出水路124の外へと流れてゆく。その上、シャフト構造115及び116を通る低流速によってシャフト構造115及び116の底に固体物が沈殿する。代替的に、処理システム110は第2シャフト構造116から流出水路124へと過剰な廃水を汲み出すために、一又はそれ以上のポンプ142、および/または支流水路114から第1シャフト構造115へと過剰な廃水を汲み出すために、一又はそれ以上のポンプ(図示せず)を具えていてもよい。
【0078】
処理システム110はさらに、シャフト構造115及び116の一方又は両方との液通を止める例えば貯留トンネルなどの追加のコンテナを具えてもよい。例えば、処理システム110は第2シャフト構造116の下側端部又はその近くで第2シャフト構造116に連結しているトンネル144(図19において極めて細い線で図示)を具えていてもよい。このようなトンネルは、例えば総浮遊固体物を高い割合で有する第1の量の過剰な廃水又は「第1の流水」を受けるのに利用することができる。トンネル144で収容された過剰な廃水が既定のレベルに達すると、第2シャフト構造116とトンネル144の連結部近くに配置された自動ゲートを用いるなどによって、トンネル144への流れを止めるようにしてもよい。その他の例として、トンネル144が許容量に達するときトンネル144への流れを止めるようにしてもよい。詳細に上述したように、トンネル144への流れが止められると、廃水は第1シャフト構造115から第2シャフト構造116へ流れ、次いで流出水路124へと流れてゆく。そのようなトンネルの利用に関しての更なる詳細が、全体参照することによってここに組み込まれている米国特許第6,503,404号に開示されている。
【0079】
その上、処理システム110は、フロー時間および/または接触時間をさらに多くするために間隔をあけて配置した2つ以上のシャフト構造を具えてもよい。例えば、処理システム110は、シャフト構造115及び116の近くに設置された第3と第4のシャフト構造(図示せず)を具えていてもよい。第3シャフト構造は第2シャフト構造116及び第3シャフト構造の上側端部近くに設置されている連絡水路によって第2シャフト構造116に連結してもよい。同様に、第4シャフト構造は第3及び第4のシャフト構造の下側端部近くに設置されている連絡水路によって第3シャフト構造に連結することができる。
【0080】
その他の例として、米国特許第6,503,404号に開示されているような、分割されたシャフト構造をシャフト構造115及び116と併用して使用してもよい。さらに、このような分割されたシャフト構造を第1シャフト構造115の上流でおよび/または第2シャフト構造の下流で連結してもよい。
【0081】
図24は本発明のその他の態様による、支流水路152を通る上述の下水道システム112などの下水道システムから過剰な廃水を受けるための廃水の貯蔵又は収容システム150を示す。システム150は、下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向を向いたシャフト構造154と、シャフト構造154に液通した流出水路156とを具える。
【0082】
この実施形態では、上述したような処理剤を、廃水がシャフト構造154に達する前に、必要な接触時間を達成するのに十分な距離のシャフト構造154の上流側で過剰な廃水に加えてもよい。処理剤は処理剤ディスペンサ118’によって廃水に投入されるか、又はその他の方法で添加されてもよい。
【0083】
シャフト構造154は例えば500,000ガロン乃至20,000,000ガロン又はそれ以上の比較的大量の、前処理を施した廃水などの廃水を収容するように構成されていてもよい。その他の例として、シャフト構造154を500,000ガロン以下の廃水を収容するように構成してもよい。その上、シャフト構造154は、シャフト構造154によって収容された廃水が既定のレベルに達するとき、処理された廃水を流出水路156を通って川157へ又はその他の受水域など他の好適な領域へ排出できるするように構成されている。
【0084】
シャフト構造154は、例えば円形、六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定する断面を有していてもよい。その上、シャフト構造154は、好適な水力直径D及び水力直径Dの少なくとも50%より大きい高さH(シャフト構造154と流出水路156の連結部でシャフト構造154の底から流出水路156の底までを測定)を有していてもよい。例えば、水力直径Dは30乃至200フィートの範囲でもよく、高さHは50乃至200フィートの範囲でもよい。一の実施形態では、高さHは水力直径Dの少なくとも70%であり、別の実施形態では、高さHは水力直径Dの少なくとも110%である。
【0085】
十分な降雨事象の間は、過剰な廃水は下水道システムから支流水路152を通って、シャフト構造154へ流れ、シャフト構造154が既定の満水レベルに達すると、廃水がシャフト構造154を横切りそして流出水路156へと流れる。システム150は排出される前に廃水をろ過するための一又はそれ以上のスクリーン158を具えていてもよい。
【0086】
降雨事象が弱まると、シャフト構造154はシステム110に関して上述した方法と同様の方法で排水することができる。例えば、シャフト構造154に収容された廃水は、排水路141’に連結した一又はそれ以上の水中ポンプ140’を使用して下水道システム112へ汲み出すことができる。その上、シャフト構造154はシステム110に関して上述した方法と同様の方法で流水洗浄されてもよい。
【0087】
本発明の実施形態を図に示して説明したが、これらの実施形態は本発明の可能な形態をすべて述べたものではない。それどころか、この明細書で用いられている用語は、制限ではなく説明のための用語であり、本発明の精神と範囲から外れることなく様々な変更を行いうるものと理解される。例えば、処理システム10の一又はそれ以上のスクリーン46はスクリーン装置52に関して上述したものと同様の構成を有してもよい。その他の例として、本発明による廃水処理システムのコンテナは、全体を参照することによって組み込まれている米国特許第6,503,404号に構造などの好適な構造を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、下水道システムと液通している本発明による処理システムの概略図であり、この処理システムは第1及び第2の部分を有するシャフト構造と、シャフト構造と液通するトンネルとを具える;
【図2】図2は、図1の概略図に示すシャフト構造のライン2−2と同様のラインに沿った水平断面図である;
【図3】図3は、降雨事象の間に過剰な廃水が下水道システムからシャフト構造を通ってトンネルの中へ流れることを示す処理システムの概略図である;
【図4】図4は、トンネルの中への止めた流れと、シャフト構造の第1部分から第2部分へ流れている過剰な廃水を示す処理システムの概略図である;
【図5】図5は、シャフト構造の第2部分からシャフト構造に液通している流出水路へ通過している過剰な廃水を示す処理システムの概略図である;
【図6】図6は、降雨事象が弱まった後の処理システムの概略図であり、排水されているトンネルとシャフト構造を示す;
【図7】図7は、トンネルの流水洗浄の動作を示す処理システムの概略図である;
【図8】図8は、シャフト構造の上端部とシャフト構造に配置されたスクリーン装置の斜視図である;
【図9】図9は、図8のシャフト構造の部分的斜視図である;
【図10】図10は、スクリーン装置を示すシャフト構造の一部の上面図である;
【図11】図11は、図10の11−11のラインに沿ったスクリーン装置の断面図である;
【図12】図12は、図10の12−12のラインに沿ったスクリーン装置の断面図である;
【図13】図13は、スクリーン装置のスクリーンの部分的断面図であり、スクリーン上に位置するクリーニング部材を示す;
【図14】図14は、スクリーン装置のスクリーンユニットの上面図である;
【図15】図15は、流水式洗浄システムを示すシャフト構造の断面図である;
【図16】図16は、図15の16−16のラインに沿った断面図である;
【図17】図17は、シャフト構造の追加の実施形態の概略上面図である;
【図18】図18は、図17のシャフト構造の概略部分的断面図である;
【図19】図19は、下水道システムに液通している処理システムの第2の実施形態の概略図であり、ここでは処理システムが連絡水路によって互いに連結している第1及び第2のシャフト構造を具える;
【図20】図20は、図19に示すライン20−20と同様のラインに沿った図19の概略図に表す第1及び第2のシャフト構造の水平断面図である;
【図21】図21は、過剰な廃水が下水道システムからシャフト構造の中へ流れることを示す降雨事象の間の処理システムの概略図である;
【図22】図22は、過剰な廃水が第2のシャフト構造から第2のシャフト構造に液通している流出水路へ通ることを示す処理システムの概略図である;
【図23】図23は、降雨事象が弱まった後の処理システムの概略図であり、排水されているシャフト構造を示す;
【図24】図24は、単一のシャフト構造を具える廃水貯蔵システムの概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合流式下水道システム又は汚水管渠システムなどの下水道からの過剰な廃水を処理するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合流式下水道システムは汚水と流出雨水を通すように設計されている下水道システムである。そのような汚水および/または流出雨水は廃水と呼ばれる。日照りの状態などの通常の状態の間は、廃水は、合流式下水道システムによって廃水処理施設へ運ばれ、廃水が排出される前に処理される。降雨事象の間は、しかしながら、廃水の流量は処理施設の処理能力を越えることがある。このような場合、オーバーフロー廃水は処理施設が過剰な廃水を処理できるようになるまで、一又はそれ以上の貯留池又はトンネルに回される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様によると、下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムが提供される。システムは廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサと、下水道システムから過剰な廃水を収容するように構成されているコンテナとを具える。コンテナはそれぞれ上側端部と下側端部とを有し、下側端部同士が相互に連結されている第1及び第2の部分を有する。システムはさらに第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置と、コンテナの第2部分と液通している流出水排出路を具える。十分な降雨事象の間は、廃水は下水道システムからコンテナの第1部分の上側端部へ、コンテナの第1及び第2の部分およびスクリーン装置を通って、それから流出水排出路へと流れ、廃水がコンテナの第1部分を通ってほぼ第1方向に流れ、次いでコンテナの第2部分を通って第1方向と異なる第2方向にほぼ流れる。このシステムは、降雨事象の間、処理剤が廃水と十分に接触時間をもって少なくとも部分的に廃水を殺菌するように構成されている。
【0004】
システムおよび方法を含めて本発明の他の態様が、下記の詳細な記述に開示されている。本発明による例示的な実施形態が図説され、開示される一方で、そのような開示はクレームに限定して解釈されるべきではない。様々な修正や代替的な設計が本発明の範囲から外れることなくなされることは自明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は、下水道システム12からの過剰な廃水を処理するための本発明による廃水処理システム10を示す。下水道システム12は例えば汚水及び流出雨水を通すように設計されている合流式下水道、又は降雨事象の間の増加した流れを通す汚水管渠システムでもよい。このような汚水管渠システムは、汚水管渠システムへの雨水の浸入により増加した流れを通す。この態様で使われる「廃水」という用語は汚水および/または流出雨水を意味する。
【0006】
廃水処理システム10は分岐チャンバ13と、例えば下水道システム12からの廃水オーバーフローなどの過剰な廃水を受けるための支流水路14とを具える。処理システム10は、さらに、支流水路14に液通しているシャフト構造16などの第1のコンテナと、このシャフト構造16への液通を止めることができるトンネル18などの第2のコンテナとを具える。
【0007】
図1及び図2を参照すると、シャフト構造16はバッフル壁などのデバイダ24によってそれぞれ分割された第1及び第2の水路20と22などの第1及び第2の部分とを具える。一の実施形態では、シャフト構造16は実質的に又は完全に地下に埋められて配置され、ほぼ垂直方向を向いている。例えば、シャフト構造16及び水路20と22は垂直線と一致するもしくは、垂直線に対してある角度で延在する縦軸を有する。
【0008】
図2に示した実施形態では、デバイダ24は概して直立した構造であり、シャフト構造16の外壁26に取り付けられている。その上、シャフト構造16はデバイダ24を支持することに役立ち、第1水路20を二つの水路20aと20bに分ける追加のバッフル壁25を具えていてもよい。代替的に、デバイダ24はシャフト構造16の内部を容積が同じ、又は異なる二又はそれ以上の部分へ分ける好適な構成を有してもよい。例えば、デバイダ24はほぼV字型、ほぼU字型、又はほぼ円形の水平断面を有するバッフル壁でもよい。加えて、デバイダ24はシャフト構造16の底近くで廃水が第1水路20から第2水路22へ通過するように構成されている。例えば、デバイダ24はシャフト構造16の底の上で終端していてもよく、又はシャフト構造16の底近くに開口部を有していてもよい。
【0009】
本発明の一の実施形態では、シャフト構造16は直径10乃至200フィートの範囲のほぼ円形の水平断面を有する。代替的に、シャフト構造16は例えば六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定し、例えば5乃至200フィートの範囲の水力直径など好適な水力直径の断面を有してもよい。加えて、シャフト構造16は例えば30乃至200フィートの範囲のほぼ垂直な長さなどの好適な長さを有してもよい。さらに、シャフト構造16は、コンクリート又はスチールなどその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。例えば、シャフト構造16は密閉した関係で相互に積み重ねられている複数のコンクリート環を具えていてもよい。
【0010】
トンネル18は特定のアプリケーションに必要とされるあらゆる好適な大きさを有することができる。例えばトンネル18は、4乃至30フィートの範囲の直径と0.5乃至10マイルの範囲の長さを有していてもよい。さらに、トンネル18はコンクリート又はスチールなどその他の好適な材料から構成されていてもよい。
【0011】
処理システム10は、また、過剰な廃水を処理するように例えば塩素や塩素を含む液剤などの処理剤を過剰な廃水へ投入する又は別の方法で添加するための処理剤投入システム27などの処理剤ディスペンサも具えている。例えば、処理剤は過剰な廃水の殺菌に用いられる次亜塩素酸ナトリウムの殺菌剤溶液でもよい。処理剤投入システム27は過剰な廃水と処理剤を混合するために投入地点で又は投入地点近くに配置した混合機(図示せず)を具えていてもよい。混合機は例えば、バブラおよび/または機械的混合機を具えてもよい。
【0012】
例えばコントローラ28などのコンピュータ制御システムは、処理剤の添加を制御するために処理剤投入システム27に連通している。コントローラ28は、支流水路14に配置されている流量センサ30、トンネル18に配置されている流体レベルセンサ、及びトンネル18への流れを止める自動式ゲート34にもまた連通している。コントローラ28はどの好適な位置に配置されてもよいが、図1に示す実施形態ではコントローラ28はシャフト構造16の近くに配置されている。
【0013】
流出水路36はシャフト構造16の第2水路22に液通している。流出水路36は処理した廃水を処理システム10から川38やその他の受水域など他の好適な領域へ排出するのに用いてもよい。
【0014】
図1乃至7を参照すると、処理システム10の動作を詳細に述べる。日照りの状態の間などの通常の動作状態下では、図1に示すように、廃水は下水道システム12の幹線下水道40を通って遮集管渠42へと流れる。遮集管渠42は廃水を廃水処理プラント(図示せず)などの処理施設へ通す。十分な降雨事象の間は、幹線下水道40からの流れは遮集管渠42の許容量を超過し、過剰な廃水が支流水路14へと流れる。図3に示すように、例えば過剰な廃水は分岐チャンバ13の中の堰44を越えて支流水路14へと流れることがある。有利なことに、処理システム10は1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の流量といった比較的大きい流量を処理するように構成することができる。
【0015】
過剰な廃水は、支流水路14および/またはシャフト構造16に設置された、例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン46を通って流れ、浮遊性の物質および/または懸濁物質を過剰な廃水から除去するようにする。次に、図3を参照すると、第1の量の過剰な廃水は第1水路20を通ってトンネル18への流れが止められるまで、トンネル18へ流れる。図4に示すように、トンネル18に収容された過剰な廃水が既定のレベルに達してゲート34が自動的に閉じると、トンネル18への流れが止められる。その他の例として、トンネル18が許容量に達するときトンネル18への流れを止めらるようにしてもよい。トンネル18への流れが止められると、ある一定量がトンネル18へ流れ続けるように廃水をトンネル18からポンプで汲み出すようにしてもよい。別の方法では、トンネル18への流れを止めることができる。
【0016】
図4を参照すると、トンネル18への流れが止められる直前に、コントローラ28によって処理剤投入システム27が過剰な廃水の中へ処理剤の投入を開始するようにしてもよい。この処理剤は、過剰な廃水1リットルあたり10乃至25ミリグラムの範囲で処理剤レベルを達するのに十分な率などあらゆる好適な率で投入することができる。処理剤投入システム27の混合機は過剰な廃水と処理剤の混合を強化するのに用いることもできる。そのような混合機は例えば処理剤投入地点で、および/または処理剤投入地点の下流側に設置することができる。
【0017】
代替的に、処理剤の投入は例えば流れが遮集管渠42の許容量を超過してすぐ、又はその後いずれかの時点などの好適な時間に開始することができる。さらに、処理剤の投入は例えばシャフト構造16の上流側および/またはシャフト構造16の内などの好適な地点で生じるようにしてもよい。例えば、処理剤の投入は過剰な廃水と処理剤との混合を促進するように堰44の上流で生じるようにしてもよい。
【0018】
降雨事象が続く場合に、過剰な廃水はシャフト構造16が許容量に達するまで第1水路20を通り、デバイダ24の下を流れ、第2水路22へ流れる。最終的に、降雨事象が続く場合は、図5に示すように、処理された過剰な廃水は流出水路36へ流れ、次いで川38へ流れる。
【0019】
処理システム10はさらに、処理された過剰な廃水から浮遊物および/または懸濁物質を除去するために、シャフト構造16の第2水路22に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン48、および/または、流出水路36に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン50を具えていてもよい。このようなスクリーン48および/または50は支流水路14および/または第1水路20に設置されたスクリーン46の代替として、またはこれに加えて設けることができる。
【0020】
図8乃至13に示す実施形態では、シャフト構造16の第2水路22に設けられているスクリーン48は、第2水路22の上側端部の近くに位置するほぼ水平方向を向いたスクリーン装置52内に設けられている。スクリーン装置52は、維持管理および/または修理用にスクリーン装置52の分解及び再度の組み立てを容易にするモジュラー構造を有してもよい。例えば、一又はそれ以上のスクリーン48を互いに連結してスクリーンユニット54を形成し、スクリーンユニット54はスクリーンユニット54の間に延在するバッフル壁や梁56などの一又はそれ以上のほぼ水平な支持部材を具える支持構造によって支持するようにしてもよい。一の実施形態では、各スクリーン48はスクリーンモジュールと呼ばれることもあり、長さ約4.3フィート、幅約4.0フィート、及び高さ約1.4フィートであり、最大5個までのスクリーン48が互いに連結されてスクリーンユニット54を形成している。代替的に、各スクリーン48は好適な大きさと形状を有していてもよい。例えば、各スクリーン48は4乃至25フィートの範囲の長さ、3乃至5フィートの範囲の幅、及び1乃至3フィートの範囲の高さを有していてもよい。
【0021】
各スクリーン48は316ステンレススチールなどの好適な材料で構成することができる。さらに、スクリーン48は、例えば4ミリメートル(mm)乃至2インチの範囲の開口部などの好適な大きさの開口部を提供するように設計されてもよい。一の実施形態では、各スクリーン48が5mmの開口部を具えるバースクリーンとして構成されている。好適なスクリーン48はカリフォルニア州、モーガンヒルのCDS Technologies社から入手可能である。
【0022】
梁56は例えばコンクリートおよび/またはスチールなどの好適な材料で構成することができる。さらに、梁56はシャフト構造16と一体的に形成されていてもよい。
【0023】
スクリーン装置52は、さらに、スクリーン48からスクリーニングと呼ばれる物質を除去するためのレーキシステム58などの洗浄システムを具えている。レーキシステム58は各スクリーン48又はスクリーンユニット54のための例えばコーム、ブラシおよび/またはスクレーパなどの一又はそれ以上のクリーニング部材60を具えてもよい。クリーニング部材60は交差したブレースによって互いに連結されてもよく、クリーニング部材60の上に取り付けられた水圧シリンダ又はラムなどのあらゆる好適な方法で駆動することができる。その他の例として、クリーニング部材60は水圧で又はあらゆる好適な方法によって駆動する回転部材であってもよい。図13に示すように、クリーニング部材60がコームとして構成されている場合、例えばクリーニング部材60はスクリーン材の上に位置し、スクリーン材を通り抜けてもよい。その他の例として、クリーニング部材60をスクリーン材の下に位置するスクレーパとして構成してもよい。
【0024】
シャフト構造16の第2水路22を通るほぼ上方へのフローパターンは標準的な合流式下水道オーバーフロー(CSO)設備に用いられている通常のスクリーンタイプと比較してスクリーン48にかかる負荷を減らすことができる。第2水路22を通るフローパターンによって、梁56の隆起した部分62の後ろで浮遊物を捕捉することができ、この部分62は、図11及び図12に示すように、スクリーン48に対して隆起している。さらに、レーキシステム58によってスクリーン48から除去したスクリーニングも、梁56の隆起した部分62の後ろで捕捉することができる。更に、重い固体物は水路20と22の底に沈殿させてもよい。
【0025】
梁56の隆起した部分62はあらゆる好適な構造を有することができる。例えば、隆起した部分62の底部表面はスクリーン48の約6乃至60インチ上に延在している。加えて、隆起した部分62は例えば2乃至20フィートの範囲の幅などの好適な幅を有している。
【0026】
5mmの開口部を具える水平なレーキバースクリーンとして構成されるスクリーン48への負荷は、例えば、シャフト構造16を通るフローパターンによって約70%程度へ減らすことができることは自明である。支流のスクリーニングの約70%が1)浮いて梁56の後ろに留まっているか、又は2)シャフト構造16の内に沈殿するか、どちらかであることも自明である。
【0027】
スクリーン装置52は垂直なレーキバースクリーンなどの傾斜した又は垂直なスクリーンより優れたいくつかの利点を提供する。例えば、スクリーン装置52は以下のものを提供することができる:1)最小の損失水頭で最大のオーバーフロー容量とする;2)スクリーンを収容するための大きな地上の建物の必要性を減らす;3)全事象で利用される全スクリーンフィールドが可能であり、より小さな事象の間の有効スクリーン負荷を減らす;及び4)スクリーン48を通る上方への流れによって、比較的低くそして均一な水量負荷速度によりスクリーンへの接近速度を低くし、スクリーンフィールドへの衝撃を減らす。さらに、スクリーニングはスクリーン48の近くに設置された専用の貯留池内で収集してもよく、例えば廃水処理プラントでの処理のために遮集管渠42へ逆流する。
【0028】
スクリーン装置52はあらゆる好適なスクリーン速度(スクリーン48の開口した空間を通る水の流速)を提供するように構成できる。例えば、スクリーン装置52は最大流速に対して4インチの最大のスクリーン損失水頭で、現存の工業的手法(全スクリーン48に対して25%の障害要因をとる)に合致する3フィート/秒以下のスクリーン速度を達成するように設計することができる。
【0029】
図8及び9に示すように、非常事象では、余水吐ゲート64を設けて流れがスクリーン48を迂回するようにしてもよい。この緊急用余水吐ゲート64は、例えば、デバイダ24内の梁56の上に設置してもよい。余水吐ゲート64は重力および/または水圧などのあらゆる好適な方法で開くことができる。その他の例として、余水吐ゲート64は、機械的に動作する又は通常の電源及びバックアップ電源の両方によって電力が供給されるレベルセンサ、コントロールパネル、および/またはアクチュエータを使用して自動的に開くようにしてもよい。余水吐ゲート64の開放に電力を使用する場合、通常の電力が失われたときにバックアップ電源への切換が自動的に生じるようにしても良い。
【0030】
図5を参照すると、処理システム10を、過剰な廃水が処理剤投入地点から流出水路36からの排出地点へ連続的に流れるときに、処理剤と過剰な廃水との間に十分な接触時間が生じるように構成して、過剰な廃水の例えばバクテリアの殺菌など十分な殺菌が排出地点で行われるようにする。例えば、糞便性大腸菌の平均レベルが過剰な廃水100ミリリットルあたり400カウントよりも少ない場合又はその他の好適なレベルにある場合、十分な殺菌を達成できる。
【0031】
本発明の一の実施形態では、設計洪水流量に対して全体の接触時間が10乃至30分の範囲になるように処理システム10を構成することができるこの時間は、支流水路14、シャフト構造16および/または流出水路36で生じる接触時間を含んでいてもよい。代替的に、処理システム10を、例えば10分よりも少ないあるいは30分よりも多い接触時間といった好適な接触時間を提供するように構成して、望ましい殺菌レベルを達成するようにしてもよい。接触時間の全てではない場合、大部分の接触時間をシャフト構造16によって提供することができる。これは、シャフト構造16を通る過剰な廃水の流れを遅らせるように構成されている。この遅れは例えば、過剰な廃水を第1水路20を通って下側などの第1方向にほぼ流し、次いで第2水路22を通って、上側などの第2方向にほぼ流すことによって達成される。本発明の一の実施形態では、シャフト構造16は1分あたり5,000乃至1,500,000ガロンの範囲の支流水路14への流量に対し、1秒あたり0.05乃至1.0フィートの範囲の第2水路22の上方向への流速を提供するように構成することができる。
【0032】
過剰な廃水が第1水路20を通って流れるとき、スクリーン46によって捕捉されない浮遊性の物質が第1水路20の上端部に残る。さらに、過剰な廃水がシャフト構造16を通って第1水路20から第2水路22へ流れるとき、スクリーン46によって除去されない比較的重い固体物はシャフト構造16の底に沈殿する。
【0033】
処理システム10は過剰な廃水を川38又は他の好適な領域へ排出する前に、過剰な廃水の脱塩素処理を行うように構成してもよい。例えば、図5を参照すると、処理システム10は例えば硫酸塩などの脱塩素処理剤を流出水路36へ添加するための脱塩素処理剤投入システム66などの脱塩素処理剤ディスペンサを具えてもよい。脱塩素処理剤が好適な地点で添加されるように、脱塩素処理剤投入システム66をコントローラ28によって、又は他の好適な手段によって制御するようにしてもよい。脱塩素処理はあったとしても長い接触時間を必要としないので、脱塩素処理剤は流出水路36の排出地点近くで流出水路36へ添加することができる。
【0034】
降雨事象が弱まると、遮集管渠42の許容量をもはや超過しなくなり、シャフト構造16への流れが止まる。図6を参照すると、遮集管渠42又はほかの好適な水路が排水流量を受け入れる許容量を有する場合に、トンネル18及びシャフト構造16の排水を開始できる。この排水過程はスクリーン46、48、及び50によって回収した全ての物質をシャフト構造16の中へ処分したら開始するようにしてもよい。例えば、回収した物質はスクリーン46、48、及び50からコームで梳いたり、ブラシをかけたり、又はその他の方法で掻き落とすようにしてもよい。代替的に、このような物質をスクリーン46、48、及び50から除去して、他のところで処理するようにしてもよい。次いでトンネル18と液通している排水ポンプステーション68をシャフト構造16及びトンネル18から排水するために用いることができる。ポンプステーション68を用いて過剰な廃水をトンネル18から遮集管渠42および/またはその他の好適な水路へ汲み出して、過剰な廃水を廃水処理プラント(図示せず)へ送るようにしてもよい。
【0035】
図7を参照すると、流水式洗浄事象が所望される場合、トンネル18を流水で洗浄するためにシャフト構造16に所定量の過剰な廃水を保持するようにしてもよい。例えば、トンネル18から排水する前にゲート34を閉じることによって、シャフト構造16を完全に排水することなくトンネル18を排水することができる。次いでゲート34を開いてシャフト構造16に収容されている過剰な廃水がトンネル18を通って流水洗浄をするようにしてもよい。
【0036】
シャフト構造16は垂直方向の比較的遅い流速を提供するように構成できるため、シャフト構造16によって生じる損失水頭は比較的小さくすることができる。例えば、少なくとも1分あたり100,000乃至10,000,000ガロン又はそれ以上を処理することが可能なシステムにおいて、シャフト構造16に関する損失水頭は3フィートより少なくてもよく、特に1フートより少なくてもよい。結果として、支流水路14と流出水路36との間の落差を比較的小さくすることができる。結果的に流量と下水道システム12によって提供される利用可能な上部に応じて、処理システム10を重力送りシステムとして稼働させてもよく、この場合、過剰な廃水はポンプで汲み出す必要なくシャフト構造16を通って流出水路36の外へと流れる。さらに、シャフト構造16を通る低流速によって固体物をシャフト構造16の底に沈殿させることができる。代替的に、処理システム10は第2水路22から流出水路36へと過剰な廃水を汲み出すためのポンプ70を具えてもよい。
【0037】
さらに、シャフト構造16は大きなサイズでもよいので、シャフト構造16はサージ保護を提供することができる。特に、トンネル18が満たされている間に発生するサージエネルギィはシャフト構造16内で効率的に放散される。更に、シャフト構造16はサイズが大きくてもよいので、過剰な廃水がシャフト構造16を通ってトンネル18へ流れるとき、シャフト構造16が空気抜きを提供することもできる。
【0038】
トンネル18への流れが止められると、過剰な廃水の流れは第1水路20と第2水路22へ分かれるので、トンネル18に収容されている第1の量の過剰な廃水を移動させることなくシャフト構造16を通る流れが生じる。このように総浮遊固体物を高い割合で有する第1の量の過剰な廃水又は「第1の流水」は、オーバーフロー事象の間にトンネル18に収容することができる。さらに、第1の量の過剰な廃水は川38へ排出される必要がないので、第1の量の過剰な廃水は処理剤で処理する必要がない。従って、処理剤の投入は川38へのオーバーフローをもたらす降雨事象にのみ限ることができる。代替的に、第1の量の過剰な廃水を処理剤で処理するようにしてもよい。
【0039】
処理システム10は、上記で説明したように、シャフト構造16からの廃水を利用して、トンネル18を容易に流水洗浄することもできる。このように、トンネル18は他の水源から処理システム10へ投入される追加の水を必要とすることなく流水洗浄することができる。
【0040】
代替的に、特別な適用に必要としない場合にはトンネル18を取り除いてもよい。このような場合、詳細に上述したように、過剰な廃水は下水道システム12からシャフト構造16へ、次いで流出水路36へと流れる。さらに、一又はそれ以上のシャフト構造16から排水するために水中ポンプ71をシャフト構造16の底部に又は底部近くに配置してもよい。
【0041】
図15及び図16を参照すると、処理システム10はシャフト構造16を流水洗浄するための流水式洗浄システム72を具えてもよい。例えば、流水式洗浄システム72は、例えばシャフト構造16の底77の1乃至4フィート上など、シャフト構造16の底77の上でシャフト構造16に取り付けられた複数のスプレーヘッド又はノズル74を具えていてもよい。一の実施形態では、ノズル74はシャフト構造16の側壁又は底部に取り付けられるようにしてもよい。流水式洗浄システム72は、さらにシャフト構造16の内容物を例えばヘッダ78などの好適な水路を通って、シャフト底の上に設置されたノズル74へ送るための水中チョッパーポンプ76を具えていてもよい。
【0042】
流水式洗浄システム72はシャフト構造16の底部分80内でシャフト構造16の内容物を混合するための十分なエネルギィを有するように設計することができる。例えば、ノズル74はシャフト構造16の底部分80内における混合を促進するように、ほぼ一方向に向けられている。この部分80は混合をさらに促進するため、例えば傾斜した又は円錐形の形状でもよい。図15に示されている実施形態では、ノズル74がシャフト構造16の底部分80で反時計回り方向の流れを作り出すようにノズル74は通常反時計回り方向を向いている。ノズル74はシャフト構造16の混合を促進するために均一な回転をつくり、垂直軸をもつ渦を作り出すように構成されていてもよい。好適なノズルは例えば、ワシントン州、モンテサノ所在のボーガン社(Vaugan Co.,Inc)から入手可能である。
【0043】
例えば、シャフト構造内の水位が底部分80の上端部になるまで排水されると、流水式洗浄システム72が稼働する。流水式洗浄システムは、シャフトの床に沿って十分な速度を作り出し、排水の間にシャフトの床上に沈殿するであろう固形物を再度浮遊させること(洗い流す)は自明である。一般的に、下水道は流量が少ない状態の間に下水道内に沈殿した物質を再度浮遊させるために、2ft/secの速度に設計することができる。
【0044】
その他の例として、高水位の上に設置されている一又はそれ以上の傾斜した又は放出するバケットを、シャフト構造16の流水洗浄に用いてもよい。さらに、別の例では、例えば川の水又は移動式の水の供給源などの外部の水源から水を得る一又はそれ以上のポンプに連結している一又はそれ以上の高圧ノズルを具える流水式洗浄システムを用いて、シャフト構造16を流水洗浄するようにしてもよい。
【0045】
図17及び18を参照すると、シャフト構造16’の追加の実施形態が示されており、シャフト構造16’は上述したシャフト構造16と同様の寸法及び特性を有している。シャフト構造16’は、第1の流水を川38又は他の好適な領域へ排出することなく、第1の量の過剰な廃水または「第1の流水」を収容するように構成されている。シャフト構造16’はバッフル壁などのデバイダ24’によって分離された第1及び第2のほぼ垂直方向の水路20’及び22’を具えており、これはシャフト構造16’の底部近くで第1水路20’から第2水路22’へ流れるように構成されている。シャフト構造16’は、それぞれシャフト構造16’の底まで延在しているそれぞれのデバイダ84と86によって第1と第2の水路20’と22’から分離されているほぼ垂直方向を向いた第3水路82も具える。デバイダ84の高さはデバイダ86の高さよりも低く、デバイダ84および86はともにデバイダ24’の上に延在してもよい。
【0046】
さらにデバイダ82乃至86はあらゆる好適な構成を有してもよい。例えば各デバイダは図17に示すように、ほぼ真っすぐな壁として形成することができる。その他の例として、デバイダ84及び86は、有益な構造特性を提供するほぼ湾曲した又はアーチ型の一つの壁として形成してもよい。
【0047】
上記シャフト構造構成を伴って、支流水路14は第3水路82が第1の流水を収容するように、流れを第3水路82へ向けるように設計することができる。第3水路82がデバイダ84の高さまで満たされると、連続する流れによって廃水がデバイダ84を越えて第1水路20’へ流れる。第3水路82が満たされる直前に、又は上述したような他のあらゆる好適な時間に、処理剤を廃水の中へ添加して詳細に上述した方法と同様の方法で廃水を殺菌することができる。流れは、シャフト構造16に関して上述した方法と同様の方法で続いてゆく。特に、降雨事象が続く場合、過剰な廃水は第1水路20’を通り、デバイダ壁24’の下又はデバイダ24’を通って、第2水路22’へ流れる。最終的に、降雨事象が続く場合に、処理された過剰な廃水は、スクリーン装置52を通り、流出水路36へと流れて川38又は他の好適な領域へ排出される。川38からシャフト構造16’への流れを止めるために流出水路36にフラップゲート88などの一方向ゲートを設けてもよい。
【0048】
降雨事象が弱まると、シャフト構造16’はシャフト16について上述した方法と同様の方法で排水され、流水洗浄することができる。例えば、水中チョッパーポンプ(図示せず)などの一又はそれ以上の排水ポンプを、シャフト構造16’の底で又はその近くに配置して、第3水路82に少なくとも一つのポンプが配置され、第3水路82の外側に少なくとももう一つのポンプが配置されるようにしてもよい。
【0049】
第1、第2、及び第3の水路20’、22’、及び82がそれぞれ単一のシャフト構造として一体化して形成されているが、水路20’、22’、及び82は複数のシャフト構造として形成してもよい。例えば、第3水路82は、第1及び第2の水路20’及び22’をそれぞれ規定するもう一つのシャフト構造から間隔をあけて設けたシャフト構造によって形成することができる。このような実施形態では、第3水路82の上側端部は、第1水路20’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第1水路20’の上側端部に連結してもよい。
【0050】
その他の例として、水路20’、22’、及び82はそれぞれ分離シャフト構造として形成することができ、シャフト構造を互いに間隔をあけて設けて、連絡水路によって連結してもよい。具体的には、第3水路82の上側端部は第1水路20’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第1水路20’の上側端部に連結して、第1水路20’の下側端部は第2水路22’へ向かって下方へわずかに傾斜しているほぼ水平な連絡水路によって第2水路22’の下側端部に連結することができる。
【0051】
図19乃至23を参照すると、本発明による下水道システム112から過剰な廃水を処理するための廃水処理システム110の追加の実施形態が示されている。下水道システム112は例えば、汚水及び流出雨水(合流式下水道オーバーフロー)の両方を通すように設計されている合流式下水道、又は降雨事象の間増加する流れを通す汚水管渠システム(汚水管渠オーバーフロー)でもよい。このような汚水管渠システムは、汚水管渠システムへの雨水の浸入による増加した流れを通す。このアプリケーションで使われている「廃水」という用語は汚水および/または流出雨水を意味する。
【0052】
廃水処理システム110は分岐チャンバ113と、例えばオーバーフロー廃水などの下水道システム112から過剰な廃水を受けるための支流水路114とを具える。処理システム110は、さらに、それぞれ支流水路114に液通する例えば第1と第2のシャフト構造115と116などの第1及び第2の間隔をあけて設けた部分を有し、互いに連絡水路117によって連結されているコンテナを具える。
【0053】
本発明の一の実施形態では、シャフト構造115及び116は、実質的に又は完全に地下に埋められて配置され、ほぼ垂直方向を向いている。例えば、各シャフト構造115及び116は垂直線と一致するもしくは、垂直線に対してある角度で延在する縦軸を有していてもよい。シャフト構造115及び116はあらゆる好適な構成を有していてもよいが、本発明の一の実施形態では、各シャフト構造115及び116は、直径10乃至200フィートの範囲のほぼ円形の水平断面を有していてもよい。代替的に、各シャフト構造115及び116は例えば六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定し、例えば5乃至200フィートの範囲の水力直径など、あらゆる好適な水力直径の断面を有していてもよい。加えて、各シャフト構造115及び116は例えば30乃至200フィートの範囲のほぼ垂直な長さなどのあらゆる好適な長さを有していてもよい。
【0054】
シャフト構造115及び116は一般的に同じ大きさと形状を有していてもよい。代替的に、シャフト構造115及び116は異なるサイズおよび/または形状を有してもよい。例えば、第1シャフト構造115は第2シャフト構造116よりも水力直径が小さくてもよい。さらに詳細な例として、第1シャフト構造115は5乃至40フィートの範囲の水力直径を有していてもよく、第2シャフト構造116は20乃至200フィートの範囲の水力直径を有していてもよい。
【0055】
その上、各シャフト構造115及び116は、コンクリートおよび/またはスチールなどその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。例えば、各シャフト構造115及び116は密閉した関係で相互に積み重ねられている複数のコンクリート環を具えていてもよい。
【0056】
連絡水路117はほぼ水平に延在しており、各シャフト構造115及び116の下側端部の近くで各シャフト構造115及び116に連結することができる。その上、連絡水路117は廃水をシャフト構造115及び116の間に流すあらゆる好適な構成を有していてもよい。例えば、連絡水路117は、例えば円形、六角形、八角形、楕円形、又は長方形などあらゆる好適な形状を規定する断面を有するほぼ円筒形の構造でもよい。連絡水路117は、例えば5乃至30フィートの範囲の水力直径などあらゆる好適な水力直径、及び、例えば1乃至500フィートの範囲の長さなどあらゆる好適な長さを有していてもよい。さらに、連絡水路117は、コンクリートおよび/またはスチールなどのその他のあらゆる好適な材料で作ることができる。
【0057】
上述の構成により、各シャフト構造115及び116によって規定される容積は、連絡水路によって規定される容積より大きい。例えば、各シャフト構造115及び116によって規定される容積は、連絡水路117によって規定される容積の少なくとも2倍である。
【0058】
処理システム110は、また、過剰な廃水を処理するように例えば塩素や塩素を含む液剤などの処理剤を過剰な廃水へ投入する又は別の方法で添加するための処理剤投入システム118などの処理剤ディスペンサも具える。例えば、処理剤は過剰な廃水の殺菌に用いられる次亜塩素酸ナトリウムの殺菌剤溶液でもよい。処理剤投入システム118は過剰な廃水と処理剤を混合するために投入地点で又は投入地点近くに配置した混合機(図示せず)を具えていてもよい。混合機は例えば、バブラおよび/または機械的混合機を具えてもよい。
【0059】
処理システム110は、処理剤の添加を制御するために、処理剤投入システム118に連通しているコントローラ120などのコンピュータ制御システムを具えていてもよい。コントローラ120は支流水路114に配置されている流量センサ122にも連通していてもよい。
【0060】
処理剤投入システム118及びコントローラ120はそれぞれ、図19に示した実施形態では好適な位置に配置されているが、処理剤投入システム118を支流水路114の近くに設置して、コントローラ120を第2シャフト構造116の近くに配置してもよい。その他の例として、処理剤投入システム118及びコントローラ120はそれぞれ、シャフト構造115または116のどちらかの上端など、近くに配置してもよい。その上、処理剤投入システム118及びコントローラ120は、同じ又は分割された構造物又は囲いの中に収容してもよい。
【0061】
流出水路124は第2シャフト構造116と液通している。流出水路124は処理した廃水を処理システム110から川126やその他の受水域など他の好適な領域へ排出するのに用いることもできる。
【0062】
図19乃至23を参照すると、処理システム110の動作を以下に詳細に述べる。日照りの状態などの通常の動作状態下では、図19に示すように、廃水は下水道システム112の幹線下水道128を通って遮集管渠130へと流れる。遮集管渠130は廃水を廃水処理プラント(図示せず)などの処理施設へ通す。十分な降雨事象の間は、幹線下水道128からの流れが遮集管渠130の許容量を超過し、過剰な廃水が支流水路114へ流れる。図21に示すように、例えば過剰な廃水は分岐チャンバ113の中の堰132を越えて支流水路114へと流れる。有利なことに、処理システム110は1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の流量といった比較的大きい流量を処理するように構成することができる。
【0063】
流量センサ122によって流量が検出されると、例えばコントローラ120によって、処理剤投入システム118が過剰な廃水の中へ処理剤の投入を開始する。この処理剤は、例えば過剰な廃水1リットルあたり10乃至25ミリグラムの範囲の処理剤レベルを達するのに十分な率などあらゆる好適な率で投入することができる。処理剤投入システム120の混合機は過剰な廃水と処理剤の混合を強化するのに用いてもよい。このような混合機は例えば処理剤投入地点および/または処理剤投入地点の下流側に設置することができる。
【0064】
代替的に、処理剤投入は、例えば流れがシャフト構造115及び116の一方又は両方に流れが向かうときなど、遮集管渠130の許容量を超過してすぐ、又はその後などのあらゆる好適な時に開始することができる。その上、処理剤投入は例えばシャフト構造115及び116の上流側、シャフト構造115及び116の一方又は両方の中、および/または連絡水路117内などのあらゆる好適な地点で生じる。例えば、処理剤投入を堰132の上流で行って、過剰な廃水と処理剤との混合を促進するようにしてもよい。
【0065】
堰132を越えて流れた後に、次いで過剰な廃水は、支流水路114および/または第1シャフト構造115に設置された、例えば傾斜した、垂直な、および/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン134を通って流れ、浮遊性の物質および/または懸濁物質を過剰な廃水から除去するようにする。過剰な廃水は、第1シャフト構造115で下側などの第1方向にほぼ流れ、連絡水路117を通り、次いで第2シャフト構造116で上側などの第2方向にほぼ流れる。
【0066】
降雨事象が続く場合は、過剰な廃水は、第2シャフト構造116が許容量に達するまで第1シャフト構造115を通り、連絡水路117を通って、第2シャフト構造116へ流れる。最終的に、降雨事象が続くと、図22に示すように、処理された過剰な廃水は流出水路124へ流れ、次いで川126へ流れる。処理システム110は、処理された過剰な廃水から浮遊物および/または懸濁物質を除去するために、第2シャフト構造116に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン136、および/または、流出水路124に配置された例えば傾斜した、垂直なおよび/または水平なスクリーンなどの一又はそれ以上のスクリーン137とを具えてもよい。このようなスクリーン136および/または137は、支流水路114および/または第1シャフト構造115に設置されたスクリーン134の代替として、またはこれに加えて設けることができる。
【0067】
図19乃至23に示す実施形態では、第2シャフト構造116に設けられている一又はそれ以上のスクリーン136が、シャフト構造116の上側端部の近くに位置しているほぼ水平方向を向いたスクリーン装置138内に配置されている。スクリーン装置138は、上述したスクリーン装置52の構成など、あらゆる好適な構成を有していてもよい。
【0068】
処理システム110を、過剰な廃水が処理剤投入地点から流出水路124からの排出地点へ連続的に流れるときに、処理剤と過剰な廃水との間に十分な接触時間が生じるように構成し、過剰な廃水の例えばバクテリアの殺菌など十分な殺菌が排出地点で行われるようにする。例えば、糞便性大腸菌の平均レベルが過剰な廃水100ミリリットルあたり400カウントよりも少ない場合又はその他の好適なレベルにある場合、十分な殺菌を達成できる。
【0069】
本発明の一の実施形態では、処理システム110は下水道システム112、支流水路114、シャフト構造115と116、連絡水路117および/または流出水路124で生じる接触時間を含めて、10乃至30分の範囲の全体の接触時間を提供するように構成することができる。代替的に、例えば10分以下又は30分以上といったあらゆる好適な接触時間を提供して、処理システム110が所望の殺菌レベルを達成するように構成できる。
【0070】
接触時間の全てではないにしても、大部分の接触時間はシャフト構造115と116、及び連絡水路117によって提供される。その上、対応する上昇および下降シャフトと比較して接触時間の大部分がトンネルの中で提供されるトンネルを通ってほぼ水平な流れを有する従来のシステムとは対照的に、連絡水路117と比較して処理システム110のシャフト構造115及び116が接触時間の大部分を提供するように構成してもよい。例えば、シャフト構造115及び116を通るフロー時間は連絡水路117を通るフロー時間の少なくとも2倍でもよい。その他の例として、各シャフト構造115及び116を通るフロー時間が連絡水路117を通るフロー時間の少なくとも2倍でもよい。
【0071】
シャフト構造115及び116の下側端部の近くに配置されている連絡水路117によって、過剰な廃水は、第1シャフト構造115を通ってほぼ下方向に流れ、次いで連絡水路117を通過した後、第2シャフト構造116を通ってほぼ上方向に流れる。本発明の一の実施形態では、第2シャフト構造116は、1分あたり2,000乃至1,500,000ガロンの範囲の支流水路114への流量に対し、1秒あたり0.05乃至1.0フィートの範囲の上方向への流速を提供するように構成することができる。
【0072】
過剰な廃水が第1シャフト構造115を通って流れるとき、スクリーン134によって捕捉されない浮遊性の物質が第1シャフト構造115の上端部近くに残る。その上、過剰な廃水がシャフト構造115及び116を通って流れるとき、スクリーン134及び136によって除去されない比較的重い固体物はシャフト構造115及び116の一方又は両方の底に沈殿する。
【0073】
処理システム110は、過剰な廃水を川126又は他の好適な領域へ排出する前に、過剰な廃水の脱塩素処理を行うように構成してもよい。例えば、処理システム110は例えば硫酸塩などの脱塩素処理剤を流出水路124へ添加するために脱塩素処理剤投入システム139などの脱塩素処理剤ディスペンサを具えてもよい。脱塩素処理剤が好適な地点で添加されるように、脱塩素処理剤投入システム139をコントローラ120によって、又は他の好適な手段によって制御することができる。脱塩素処理はあったとしても長い接触時間を必要としないので、脱塩素処理剤は流出水路124の排出地点近くで流出水路124へ添加することができる。
【0074】
降雨事象が弱まると、遮集管渠130の許容量をもはや超過しなくなり、シャフト構造115及び116への流れが止まる。遮集管渠130又はほかの好適な水路が排水流量を受け入れる許容量を有する場合に、シャフト構造115及び116の排水を開始するようにしてもよい。排水過程はスクリーン134乃至137によって回収した全ての物質をシャフト構造115及び116の一方又は両方へ捨てると開始する。例えば、回収した物質はスクリーン134乃至137からコームで梳いたり、ブラシをかけたり、又はその他の方法で掻き落とすようにしてもよい。代替的に、このような物質をスクリーン134乃至137から除去して、他のところで処理するようにしてもよい。図23を参照すると、次いで一又はそれ以上の水中ポンプ140は、例えば、廃水をシャフト構造115及び116と液通している一又はそれ以上のパイプなどの排水路141へシャフト構造115及び116から排水を汲み出すのに用いられてもよい。排水路141は、過剰な廃水を例えば、廃水処理プラント(図示せず)へ送るように、廃水をシャフト構造115及び116から遮集管渠130へおよび/または別の好適な水路へ分岐するのに用いることができる。一の実施形態では、排水路141は、第2シャフト構造116でほぼ上方向に、第2シャフト構造116の側壁を通って、遮集管渠130に延在してもよい。
【0075】
一の実施形態では、第2シャフト構造116は第1シャフト構造115の下に延在し、連絡水路117はシャフト構造115及び116の排水を促進するため、第2シャフト構造116へ向かって下へ傾斜していてもよい。別の例として、第1シャフト構造115は第2シャフト構造116の下に延在し、そして連絡水路117を第1シャフト構造115へ向かって下へ傾斜させて、第1シャフト構造115の中に配置したおよび/または第1シャフト構造115に直接に連結して配置した排水路を通ってシャフト構造115及び116の排水を促進するようにしてもよい。
【0076】
処理システム110は例えば、汚泥を除去するためにシャフト構造115と116の一方又は両方および/または連絡水路117を流水で洗浄するための流水式洗浄システム(図示せず)を具えていてもよい。このような流水式洗浄システムは、例えば一又はそれ以上のシャフトの側壁に取り付けられ、水中ポンプに連結した一又はそれ以上のスプレーヘッド又はノズルなどの好適な構成を有してもよい。さらに具体的な例として、流水式洗浄システムは流水式洗浄システム72用に上述した構成と同様の構成を有してもよい。その上、流水式洗浄システムは第1シャフト構造115、第2シャフト構造116および/または連絡水路117に配置してもよい。その他の例として、流水式洗浄システムは、シャフト構造115及び116の一方又は両方の高水位の上に設置されている一又はそれ以上の傾斜した又は放出するバケットを具えてもよい。
【0077】
シャフト構造115及び116は垂直方向の比較的遅い流速を提供するように構成できるため、シャフト構造115及び116によって生じる損失水頭は比較的小さくすることができる。例えば、シャフト構造115及び116に関する損失水頭は3フィートより少なくてもよい。結果として、支流水路114と流出水路124との間の落差を比較的小さくすることができる。結果的に流量と下水道システム112によって提供される利用可能な上部に応じて、処理システム110を重力送りシステムとして稼働させてもよく、この場合、過剰な廃水はポンプで汲み出す必要なくシャフト構造115及び116を通って、流出水路124の外へと流れてゆく。その上、シャフト構造115及び116を通る低流速によってシャフト構造115及び116の底に固体物が沈殿する。代替的に、処理システム110は第2シャフト構造116から流出水路124へと過剰な廃水を汲み出すために、一又はそれ以上のポンプ142、および/または支流水路114から第1シャフト構造115へと過剰な廃水を汲み出すために、一又はそれ以上のポンプ(図示せず)を具えていてもよい。
【0078】
処理システム110はさらに、シャフト構造115及び116の一方又は両方との液通を止める例えば貯留トンネルなどの追加のコンテナを具えてもよい。例えば、処理システム110は第2シャフト構造116の下側端部又はその近くで第2シャフト構造116に連結しているトンネル144(図19において極めて細い線で図示)を具えていてもよい。このようなトンネルは、例えば総浮遊固体物を高い割合で有する第1の量の過剰な廃水又は「第1の流水」を受けるのに利用することができる。トンネル144で収容された過剰な廃水が既定のレベルに達すると、第2シャフト構造116とトンネル144の連結部近くに配置された自動ゲートを用いるなどによって、トンネル144への流れを止めるようにしてもよい。その他の例として、トンネル144が許容量に達するときトンネル144への流れを止めるようにしてもよい。詳細に上述したように、トンネル144への流れが止められると、廃水は第1シャフト構造115から第2シャフト構造116へ流れ、次いで流出水路124へと流れてゆく。そのようなトンネルの利用に関しての更なる詳細が、全体参照することによってここに組み込まれている米国特許第6,503,404号に開示されている。
【0079】
その上、処理システム110は、フロー時間および/または接触時間をさらに多くするために間隔をあけて配置した2つ以上のシャフト構造を具えてもよい。例えば、処理システム110は、シャフト構造115及び116の近くに設置された第3と第4のシャフト構造(図示せず)を具えていてもよい。第3シャフト構造は第2シャフト構造116及び第3シャフト構造の上側端部近くに設置されている連絡水路によって第2シャフト構造116に連結してもよい。同様に、第4シャフト構造は第3及び第4のシャフト構造の下側端部近くに設置されている連絡水路によって第3シャフト構造に連結することができる。
【0080】
その他の例として、米国特許第6,503,404号に開示されているような、分割されたシャフト構造をシャフト構造115及び116と併用して使用してもよい。さらに、このような分割されたシャフト構造を第1シャフト構造115の上流でおよび/または第2シャフト構造の下流で連結してもよい。
【0081】
図24は本発明のその他の態様による、支流水路152を通る上述の下水道システム112などの下水道システムから過剰な廃水を受けるための廃水の貯蔵又は収容システム150を示す。システム150は、下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向を向いたシャフト構造154と、シャフト構造154に液通した流出水路156とを具える。
【0082】
この実施形態では、上述したような処理剤を、廃水がシャフト構造154に達する前に、必要な接触時間を達成するのに十分な距離のシャフト構造154の上流側で過剰な廃水に加えてもよい。処理剤は処理剤ディスペンサ118’によって廃水に投入されるか、又はその他の方法で添加されてもよい。
【0083】
シャフト構造154は例えば500,000ガロン乃至20,000,000ガロン又はそれ以上の比較的大量の、前処理を施した廃水などの廃水を収容するように構成されていてもよい。その他の例として、シャフト構造154を500,000ガロン以下の廃水を収容するように構成してもよい。その上、シャフト構造154は、シャフト構造154によって収容された廃水が既定のレベルに達するとき、処理された廃水を流出水路156を通って川157へ又はその他の受水域など他の好適な領域へ排出できるするように構成されている。
【0084】
シャフト構造154は、例えば円形、六角形、八角形、楕円形、又は長方形など好適な形状を規定する断面を有していてもよい。その上、シャフト構造154は、好適な水力直径D及び水力直径Dの少なくとも50%より大きい高さH(シャフト構造154と流出水路156の連結部でシャフト構造154の底から流出水路156の底までを測定)を有していてもよい。例えば、水力直径Dは30乃至200フィートの範囲でもよく、高さHは50乃至200フィートの範囲でもよい。一の実施形態では、高さHは水力直径Dの少なくとも70%であり、別の実施形態では、高さHは水力直径Dの少なくとも110%である。
【0085】
十分な降雨事象の間は、過剰な廃水は下水道システムから支流水路152を通って、シャフト構造154へ流れ、シャフト構造154が既定の満水レベルに達すると、廃水がシャフト構造154を横切りそして流出水路156へと流れる。システム150は排出される前に廃水をろ過するための一又はそれ以上のスクリーン158を具えていてもよい。
【0086】
降雨事象が弱まると、シャフト構造154はシステム110に関して上述した方法と同様の方法で排水することができる。例えば、シャフト構造154に収容された廃水は、排水路141’に連結した一又はそれ以上の水中ポンプ140’を使用して下水道システム112へ汲み出すことができる。その上、シャフト構造154はシステム110に関して上述した方法と同様の方法で流水洗浄されてもよい。
【0087】
本発明の実施形態を図に示して説明したが、これらの実施形態は本発明の可能な形態をすべて述べたものではない。それどころか、この明細書で用いられている用語は、制限ではなく説明のための用語であり、本発明の精神と範囲から外れることなく様々な変更を行いうるものと理解される。例えば、処理システム10の一又はそれ以上のスクリーン46はスクリーン装置52に関して上述したものと同様の構成を有してもよい。その他の例として、本発明による廃水処理システムのコンテナは、全体を参照することによって組み込まれている米国特許第6,503,404号に構造などの好適な構造を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、下水道システムと液通している本発明による処理システムの概略図であり、この処理システムは第1及び第2の部分を有するシャフト構造と、シャフト構造と液通するトンネルとを具える;
【図2】図2は、図1の概略図に示すシャフト構造のライン2−2と同様のラインに沿った水平断面図である;
【図3】図3は、降雨事象の間に過剰な廃水が下水道システムからシャフト構造を通ってトンネルの中へ流れることを示す処理システムの概略図である;
【図4】図4は、トンネルの中への止めた流れと、シャフト構造の第1部分から第2部分へ流れている過剰な廃水を示す処理システムの概略図である;
【図5】図5は、シャフト構造の第2部分からシャフト構造に液通している流出水路へ通過している過剰な廃水を示す処理システムの概略図である;
【図6】図6は、降雨事象が弱まった後の処理システムの概略図であり、排水されているトンネルとシャフト構造を示す;
【図7】図7は、トンネルの流水洗浄の動作を示す処理システムの概略図である;
【図8】図8は、シャフト構造の上端部とシャフト構造に配置されたスクリーン装置の斜視図である;
【図9】図9は、図8のシャフト構造の部分的斜視図である;
【図10】図10は、スクリーン装置を示すシャフト構造の一部の上面図である;
【図11】図11は、図10の11−11のラインに沿ったスクリーン装置の断面図である;
【図12】図12は、図10の12−12のラインに沿ったスクリーン装置の断面図である;
【図13】図13は、スクリーン装置のスクリーンの部分的断面図であり、スクリーン上に位置するクリーニング部材を示す;
【図14】図14は、スクリーン装置のスクリーンユニットの上面図である;
【図15】図15は、流水式洗浄システムを示すシャフト構造の断面図である;
【図16】図16は、図15の16−16のラインに沿った断面図である;
【図17】図17は、シャフト構造の追加の実施形態の概略上面図である;
【図18】図18は、図17のシャフト構造の概略部分的断面図である;
【図19】図19は、下水道システムに液通している処理システムの第2の実施形態の概略図であり、ここでは処理システムが連絡水路によって互いに連結している第1及び第2のシャフト構造を具える;
【図20】図20は、図19に示すライン20−20と同様のラインに沿った図19の概略図に表す第1及び第2のシャフト構造の水平断面図である;
【図21】図21は、過剰な廃水が下水道システムからシャフト構造の中へ流れることを示す降雨事象の間の処理システムの概略図である;
【図22】図22は、過剰な廃水が第2のシャフト構造から第2のシャフト構造に液通している流出水路へ通ることを示す処理システムの概略図である;
【図23】図23は、降雨事象が弱まった後の処理システムの概略図であり、排水されているシャフト構造を示す;
【図24】図24は、単一のシャフト構造を具える廃水貯蔵システムの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムにおいて、当該廃水処理システムが:
前記廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサと;
前記下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているコンテナであって、それぞれ上側端部と下側端部とを有し、下側端部同士が相互に連結されている第1及び第2の部分を有する前記コンテナと;
前記コンテナの前記第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置と;
前記コンテナの前記第2部分と液通している流出水排出路とを具え;
十分な降雨事象の間は、前記廃水が前記下水道システムから前記コンテナの第1部分の前記上側端部へ、前記コンテナの第1及び第2の部分、および前記スクリーン装置を通って、次いで前記流出水排出路へと流れ、前記廃水が前記コンテナの前記第1部分を通ってほぼ第1方向に流れ、次いで前記コンテナの前記第2部分を通って前記第1方向と異なる第2方向にほぼ流れ、降雨事象の間に、前記処理剤が前記廃水と十分に接触時間をもって少なくとも部分的に前記廃水を殺菌することを特徴とする廃水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記スクリーン装置が前記第2方向と交差する方向をほぼ向いていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記スクリーン装置が複数のスクリーンと前記スクリーンを支持するためのバッフル壁とを具え、当該バッフル壁が前記廃水によって運ばれた固体物を捕捉するための前記スクリーン上に延在している隆起した部分を具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の前記システムがさらに、前記スクリーン装置上であり前記第1及び第2の部分との間に設置されている余水吐ゲートを具え、前記余水吐ゲートが廃水を前記スクリーン装置を迂回させて前記流出水路へ流すように動作することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記コンテナが、上側端部と下側端部とを有する第3部分と、前記第3部分と前記第1部分との間に配置したデバイダとを具え、前記第3部分が前記第1部分の前に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるように構成されており、前記デバイダは、前記第3部分の許容量を越えると、廃水を前記第3部分から、前記デバイダを越えて前記第1部分へと流すように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記コンテナがシャフト構造を具え、前記第1及び第2部分が前記シャフト構造の第1及び第2水路として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記シャフト構造がほぼ垂直方向を向いていることを特徴とする請求項6に記載の前記システム。
【請求項8】
請求項6に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2水路が互いに隣接して配置され、デバイダによって分離されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記シャフト構造の直径が少なくとも10フィートであることを特徴とする請求項6に記載の前記システム。
【請求項10】
請求項6に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造が少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量に適応するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2の部分が互いに間隔をあけて設けられており、前記コンテナがさらに前記第1及び第2の部分との間に延在している連絡水路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の前記システムにおいて、第1及び第2の部分がそれぞれ第1及び第2のシャフト構造を具え、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2の部分を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項14】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための方法であって、前記方法が:
コンテナの第1部分に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップであって、前記コンテナがさらに第2部分を具え、各部分が上側端部と下側端部とを有し、前記下側端部同士が相互に連結されているステップと;
前記廃水を前記第1部分を通ってほぼ第1方向に流し、次いで前記第2部分を通ってほぼ第2方向に流し、前記廃水が前記第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置を通って流れるようにするステップであって、前記第2方向は前記第1方向と異なるステップと;
前記廃水に処理剤を投入して前記廃水を殺菌するステップと;
前記廃水の一部を前記第2部分から前記第2部分と液通している流出水排出路へ流すステップとを具え;
前記システムが、標準的な過剰な廃水事象の間に、前記処理剤が前記廃水と十分な接触時間をもつ大きさであり、前記流出水排出路から排出する前に前記廃水を十分に殺菌することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の前記方法がさらに、前記コンテナの前記第1部分で前記廃水を受ける前に、前記コンテナの第3部分で前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップと、前記第3部分の許容量を超えると、前記廃水を前記コンテナの前記第1と第3部分との間に設置されているデバイダを越えて流すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記スクリーン装置が前記第2方向と交差する方向をほぼ向いていることを特徴とする請求項14に記載の前記方法。
【請求項17】
請求項14に記載の前記方法において、前記スクリーン装置が複数のスクリーンと前記スクリーンを支持するためのバッフル壁とを具え、当該バッフル壁が前記廃水によって運ばれた固体物を捕捉するための前記スクリーン上に延在している隆起した部分を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の前記方法において、前記コンテナがシャフト構造を具え、前記第1及び第2部分が前記シャフト構造の第1及び第2水路として形成されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の前記方法において、前記第1及び第2の部分が互いに間隔をあけて設けられており、前記コンテナがさらに前記第1及び第2の部分との間に延在している連絡水路を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の前記方法において、前記廃水を受けるステップが少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量の廃水を受けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムであって、前記廃水処理システムが:
前記下水道システムからの過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向を向いている第1シャフト構造と;
前記第1シャフト構造から間隔をあけて設けられたほぼ垂直方向を向いている第2シャフト構造と;
前記シャフト構造の下側端部近くで前記シャフト構造の間に延在している連絡水路と;
前記第2シャフト構造と液通している流出水路と;
前記廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサとを具え;
十分な降雨事象の間は、前記廃水が前記下水道システムから前記第1シャフト構造へ流れ、次いで前記連絡水路と前記第2シャフト構造を通って、前記流出水路へと流れ、前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間より長く、そして前記処理剤ディスペンサが前記処理剤を前記廃水へ添加して前記廃水の少なくとも一部を十分に殺菌するように動作することを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記第1シャフト構造が第1水力直径を有し、前記第2シャフト構造が前記第1水力直径より大きい第2水力直径を有することを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項21に記載の前記システムにおいて、各シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造が少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量に適応するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための方法であって、前記方法が:
ほぼ垂直方向を向いている第1シャフト構造に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップと;
前記廃水を前記第1シャフト構造を通ってほぼ第1方向に流し、次いで前記第1シャフト構造と液通している連絡水路を通って、次いで前記第1シャフト構造から間隔をあけて設けたほぼ垂直方向に向いている第2シャフト構造を通ってほぼ第2方向に流すステップであって、前記第2方向が前記第1方向と異なるステップと;
前記廃水の少なくとも一部を十分に殺菌するように前記廃水へ処理剤を添加するステップと;
前記処理剤を添加するステップの後に、前記廃水の一部を前記第2シャフト構造から、前記第2シャフト構造と液通している流出水路へ流すステップとを具え;
前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通るフロー時間より長いことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の前記方法において、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の前記方法において、前記第1シャフト構造が第1水力直径を有し、前記第2シャフト構造が前記第1水力直径より大きい第2水力直径を有することを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27に記載の前記方法において、前記シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27に記載の前記方法において、各シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27に記載の前記方法において、前記廃水を受ける前記ステップが少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量の廃水を受けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
下水道システムから過剰な廃水を受けるための廃水収容システムであって、前記廃水収容システムが:
前記下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向に向いているシャフト構造であって、水力直径及び前記水力直径の少なくとも50%より大きい高さとを有するシャフト構造と;
前記シャフト構造と液通している流出水路とを具え;
十分な降雨事象の間は、前記過剰な廃水が前記下水道システムから前記シャフト構造へ流れ、前記シャフト構造が規定の満水レベルに達すると、前記廃水が前記シャフト構造を横切って、前記流出水路へ流れることを特徴とするシステム。
【請求項1】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムにおいて、当該廃水処理システムが:
前記廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサと;
前記下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているコンテナであって、それぞれ上側端部と下側端部とを有し、下側端部同士が相互に連結されている第1及び第2の部分を有する前記コンテナと;
前記コンテナの前記第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置と;
前記コンテナの前記第2部分と液通している流出水排出路とを具え;
十分な降雨事象の間は、前記廃水が前記下水道システムから前記コンテナの第1部分の前記上側端部へ、前記コンテナの第1及び第2の部分、および前記スクリーン装置を通って、次いで前記流出水排出路へと流れ、前記廃水が前記コンテナの前記第1部分を通ってほぼ第1方向に流れ、次いで前記コンテナの前記第2部分を通って前記第1方向と異なる第2方向にほぼ流れ、降雨事象の間に、前記処理剤が前記廃水と十分に接触時間をもって少なくとも部分的に前記廃水を殺菌することを特徴とする廃水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記スクリーン装置が前記第2方向と交差する方向をほぼ向いていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記スクリーン装置が複数のスクリーンと前記スクリーンを支持するためのバッフル壁とを具え、当該バッフル壁が前記廃水によって運ばれた固体物を捕捉するための前記スクリーン上に延在している隆起した部分を具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の前記システムがさらに、前記スクリーン装置上であり前記第1及び第2の部分との間に設置されている余水吐ゲートを具え、前記余水吐ゲートが廃水を前記スクリーン装置を迂回させて前記流出水路へ流すように動作することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記コンテナが、上側端部と下側端部とを有する第3部分と、前記第3部分と前記第1部分との間に配置したデバイダとを具え、前記第3部分が前記第1部分の前に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるように構成されており、前記デバイダは、前記第3部分の許容量を越えると、廃水を前記第3部分から、前記デバイダを越えて前記第1部分へと流すように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記コンテナがシャフト構造を具え、前記第1及び第2部分が前記シャフト構造の第1及び第2水路として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記シャフト構造がほぼ垂直方向を向いていることを特徴とする請求項6に記載の前記システム。
【請求項8】
請求項6に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2水路が互いに隣接して配置され、デバイダによって分離されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記シャフト構造の直径が少なくとも10フィートであることを特徴とする請求項6に記載の前記システム。
【請求項10】
請求項6に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造が少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量に適応するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2の部分が互いに間隔をあけて設けられており、前記コンテナがさらに前記第1及び第2の部分との間に延在している連絡水路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の前記システムにおいて、第1及び第2の部分がそれぞれ第1及び第2のシャフト構造を具え、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11に記載の前記システムにおいて、前記第1及び第2の部分を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項14】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための方法であって、前記方法が:
コンテナの第1部分に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップであって、前記コンテナがさらに第2部分を具え、各部分が上側端部と下側端部とを有し、前記下側端部同士が相互に連結されているステップと;
前記廃水を前記第1部分を通ってほぼ第1方向に流し、次いで前記第2部分を通ってほぼ第2方向に流し、前記廃水が前記第2部分に配置されたほぼ水平方向を向いているスクリーン装置を通って流れるようにするステップであって、前記第2方向は前記第1方向と異なるステップと;
前記廃水に処理剤を投入して前記廃水を殺菌するステップと;
前記廃水の一部を前記第2部分から前記第2部分と液通している流出水排出路へ流すステップとを具え;
前記システムが、標準的な過剰な廃水事象の間に、前記処理剤が前記廃水と十分な接触時間をもつ大きさであり、前記流出水排出路から排出する前に前記廃水を十分に殺菌することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の前記方法がさらに、前記コンテナの前記第1部分で前記廃水を受ける前に、前記コンテナの第3部分で前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップと、前記第3部分の許容量を超えると、前記廃水を前記コンテナの前記第1と第3部分との間に設置されているデバイダを越えて流すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記スクリーン装置が前記第2方向と交差する方向をほぼ向いていることを特徴とする請求項14に記載の前記方法。
【請求項17】
請求項14に記載の前記方法において、前記スクリーン装置が複数のスクリーンと前記スクリーンを支持するためのバッフル壁とを具え、当該バッフル壁が前記廃水によって運ばれた固体物を捕捉するための前記スクリーン上に延在している隆起した部分を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の前記方法において、前記コンテナがシャフト構造を具え、前記第1及び第2部分が前記シャフト構造の第1及び第2水路として形成されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の前記方法において、前記第1及び第2の部分が互いに間隔をあけて設けられており、前記コンテナがさらに前記第1及び第2の部分との間に延在している連絡水路を具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の前記方法において、前記廃水を受けるステップが少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量の廃水を受けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための廃水処理システムであって、前記廃水処理システムが:
前記下水道システムからの過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向を向いている第1シャフト構造と;
前記第1シャフト構造から間隔をあけて設けられたほぼ垂直方向を向いている第2シャフト構造と;
前記シャフト構造の下側端部近くで前記シャフト構造の間に延在している連絡水路と;
前記第2シャフト構造と液通している流出水路と;
前記廃水の中へ処理剤を添加する処理剤ディスペンサとを具え;
十分な降雨事象の間は、前記廃水が前記下水道システムから前記第1シャフト構造へ流れ、次いで前記連絡水路と前記第2シャフト構造を通って、前記流出水路へと流れ、前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間より長く、そして前記処理剤ディスペンサが前記処理剤を前記廃水へ添加して前記廃水の少なくとも一部を十分に殺菌するように動作することを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記第1シャフト構造が第1水力直径を有し、前記第2シャフト構造が前記第1水力直径より大きい第2水力直径を有することを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項21に記載の前記システムにおいて、各シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項21に記載の前記システムにおいて、前記シャフト構造が少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量に適応するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
下水道システムからの過剰な廃水を処理するための方法であって、前記方法が:
ほぼ垂直方向を向いている第1シャフト構造に前記下水道システムからの前記過剰な廃水を受けるステップと;
前記廃水を前記第1シャフト構造を通ってほぼ第1方向に流し、次いで前記第1シャフト構造と液通している連絡水路を通って、次いで前記第1シャフト構造から間隔をあけて設けたほぼ垂直方向に向いている第2シャフト構造を通ってほぼ第2方向に流すステップであって、前記第2方向が前記第1方向と異なるステップと;
前記廃水の少なくとも一部を十分に殺菌するように前記廃水へ処理剤を添加するステップと;
前記処理剤を添加するステップの後に、前記廃水の一部を前記第2シャフト構造から、前記第2シャフト構造と液通している流出水路へ流すステップとを具え;
前記シャフト構造を通るフロー時間が前記連絡水路を通るフロー時間より長いことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の前記方法において、前記連絡水路が容積を規定し、そして各シャフト構造が前記連絡水路の前記容積より大きいシャフト容積を規定することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の前記方法において、前記第1シャフト構造が第1水力直径を有し、前記第2シャフト構造が前記第1水力直径より大きい第2水力直径を有することを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27に記載の前記方法において、前記シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27に記載の前記方法において、各シャフト構造を通る前記フロー時間が前記連絡水路を通る前記フロー時間の少なくとも2倍であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27に記載の前記方法において、前記廃水を受ける前記ステップが少なくとも1分あたり2,000ガロンの流量の廃水を受けるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
下水道システムから過剰な廃水を受けるための廃水収容システムであって、前記廃水収容システムが:
前記下水道システムから過剰な廃水を受けるように構成されているほぼ垂直方向に向いているシャフト構造であって、水力直径及び前記水力直径の少なくとも50%より大きい高さとを有するシャフト構造と;
前記シャフト構造と液通している流出水路とを具え;
十分な降雨事象の間は、前記過剰な廃水が前記下水道システムから前記シャフト構造へ流れ、前記シャフト構造が規定の満水レベルに達すると、前記廃水が前記シャフト構造を横切って、前記流出水路へ流れることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2008−542019(P2008−542019A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514920(P2008−514920)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/021540
【国際公開番号】WO2006/130850
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507391926)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/021540
【国際公開番号】WO2006/130850
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507391926)
【Fターム(参考)】
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