説明

廃水処理装置

【課題】微生物塊の流出を抑制させてUASB処理の安定化を図る。
【解決手段】廃水処理装置1は、被処理水を底部100から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる反応槽10と、底部100付近に滞留するベッドから生じたガスの気泡を付着させた微生物塊と接触して当該気泡を分離させる気泡分離スクリーン11と、前記ガスの気泡または気泡分離スクリーン11によって分離された気泡を捕集して反応槽10の液面付近までに案内させる気泡捕集管12と、反応槽10の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離する側面スクリーン13とを備える。反応槽10には気泡捕集管12の外側にて滞留する微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる中央スクリーン14を備えるとよい。尚、調整槽18でpH調整した処理水を反応槽10に供するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性の嫌気性生物膜を主に利用した廃水処理技術、特に上向流嫌気性スラッジブランケット(UASB)法における反応槽からの微生物塊(微生物からなる自己造粒汚泥であるグラニュールや核となる物質を含んだ微生物膜)の流出を抑制させる廃水処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
UASB法は微生物塊を充填した反応槽の底部から被処理水を導入しこの導入によって生ずる上向水流のもとで被処理水に含まれる有機物や窒素化合物を微生物塊と接触させ微生物の代謝反応により分解する方法である(特許文献1〜3等)。
【0003】
UASB法は微生物担体となる充填材を必要とせず、高密度に凝集した微生物塊を用いることにより非常に高い負荷を処理できることを最大の特徴とする。微生物塊とは微生物が自己造粒化したグラニュールと呼ばれる形態や核となる物質を含んだ微生物膜が該当する。さらに、含有機物廃水では処理の過程で得られるメタンガスはボイラーによる蒸気回収やガス発電による電力回収に利用できる。本用途では、食品加工工場、ビール工場、アルコール蒸留工場、紙パルプ工場等の高濃度の産業廃水を排出する施設の廃水処理装置に適用されている。
また、含アンモニア廃水では、前段として好気性細菌によりアンモニアを硝酸に酸化する硝化処理と、後段で嫌気性の従属栄養細菌により有機物を利用して硝酸を窒素ガスに還元する脱窒処理があるが、近年、アンモニアと亜硝酸から脱窒することができる嫌気性アンモニア酸化(通称:アナモックス)細菌が注目され、本方法においてもUASB法が適用されている。アナモックス細菌を用いる場合、前段ではアンモニアを約半量亜硝酸まで硝化することで、後段のアナモックスによる脱窒処理が可能であり、好気処理に要する曝気動力が大幅に削減される。後段のアナモックス反応は独立栄養細菌によるため従属栄養細菌による脱窒で必要とされた有機物が不要となるためC/N比の低い廃水で必要とされていた有機物供給が不要であるなど非常に優れた窒素処理方式である。
【0004】
ところで、グラニュールや有核微生物膜などの微生物塊は、沈降性に優れたものが多く、反応槽底部より上向流で被処理水を導入すると適切な上向流速において、反応槽上部の浮遊微生物塊が少なく、反応槽の下方に多く微生物塊が沈殿・滞留し汚泥床(ベッド)と呼ばれる状態を形成する。反応槽で微生物反応の結果生じたメタンガスや窒素ガスの気泡により、微生物塊に付着した気泡の浮力、気泡による激しい上昇水流及び処理水の上向水流によって微生物塊が処理水と共に槽外に流出してしまうことがある。そこで、様々な微生物塊流出防止対策が採られている(特許文献1〜3等)。
【0005】
特許文献1に記載の反応槽は、底部付近に滞留するベッドで発生した気泡を付着させた微生物塊を、浮上途中において汚泥衝突部に衝突させることで当該微生物塊から気泡を分離させている。気泡が分離した微生物塊は自重で沈降する一方で、前記気泡は前記反応槽の上部に配置された気体集気部を介して大気中に放出される。
【0006】
特許文献2に記載の処理装置はベッドを底部付近に滞留させる処理槽内に陣笠状の気液分離部材を備え、ベッドで発生した気泡を付着させた微生物塊を当該気液分離部材に衝突させることで当該微生物塊から気泡を分離させている。前記分離された気泡は気液分離部材の頂部に接続されたガス導管を介して大気中に放出される。また、処理槽内には上端開口部が下端開口部よりも大径の異径筒体が前記気液分離部材と同軸に配置されることで汚泥分離室が形成されている。この汚泥分離室には微生物塊を含んだ液相が導入される。汚泥分離室で固液分離された微生物塊は前記異径筒体と前記気液分離部材との間にこの両者と同軸に配置された筒体の外側を下降してベッドに沈降する。
【0007】
特許文献3に記載の処理装置は微生物塊を滞留させる槽内の中層部と高層部に切妻屋根状の気液分離部材を配置することで同槽内に微生物塊濃度の異なるベッドを形成させている。そして、各ベッドで発生した気泡を付着させた微生物塊を各気液分離部材に衝突させることで当該微生物塊から気泡を分離させている。前記分離された気泡は気液分離部材に接続されたガス導管を介して大気中に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−279891号公報
【特許文献2】特開平9−225491号公報
【特許文献3】特開2009−178628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の反応槽内では短絡流によって気液分離部材に衝突しなかった気泡を付着させた微生物塊が反応槽内の液面まで達して処理水とともに系外に流出する場合がある。また、特許文献2の処理装置では汚泥分離室に滞留した微生物塊の一部が残留した気泡によって上昇して同室の越流トラフから処理水と共に系外に流出する場合がある。
【0010】
特許文献3の処理装置は槽内の低層部から高層部に上昇するに従って微生物塊濃度が低くなるので特許文献1,2の処理装置と比べて微生物塊の系外流出を少なくさせることができる。しかしながら、特許文献3の処理装置でも槽の上端部から越流方式によって処理水を排出しているので上層部の気液分離部材に衝突しなかった気泡を付着させた微生物塊が短絡流によって反応槽内の液面まで達して処理水とともに系外に流出する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明はUASB型反応槽にて微生物反応の結果生じたメタンガスや窒素ガスの気泡によって浮上した微生物塊から当該気泡を気泡分離部材によって分離し微生物塊をベッドに留め、この分離した気泡を気泡捕集部材によって捕集して当該反応槽の液面付近までに案内して気相中に放出させている。また、前記反応槽の上層部の微生物塊を含んだ液相を固液分離部材によって微生物塊と処理水とに固液分離する。更に、気泡捕集部材によって捕集されたガスを利用して固液分離部材を常時洗浄する機能を併せ持つ。
【0012】
すなわち、請求項1の廃水処理装置は、被処理水を上昇水流のもとで微生物塊と接触させて当該被処理水中の有機物や窒素化合物を分解する廃水処理装置であって、被処理水を底部から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる反応槽と、この反応槽の底部付近に滞留するベッドから生じたガスの気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる気泡分離部材と、前記ガスの気泡または前記気泡分離部材によって分離された気泡を捕集する気泡捕集部材と、前記反応槽の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離する固液分離部材とを備える。
【0013】
請求項2の廃水処理装置は、請求項1の廃水処理装置において、前記気泡捕集部材の外側にて滞留する気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる気泡分離部材を備える。
【0014】
請求項3の廃水処理装置は、請求項1または2の廃水処理装置において、前記反応槽は円筒状に形成され、前記気泡分離部材は頂部に開口部が形成された陣笠状に形成されると共に前記反応槽の底部付近において当該反応槽と同軸に配置され、前記気泡捕集部材は陣笠状に形成された捕集部とこの捕集部の上端開口部に液面に対して垂直に接続される円筒部とからなると共に前記反応槽と同軸に配置され、前記固液分離部材は前記反応槽と同径の円筒状に形成されると共に当該反応槽の上端付近の周側面に設置されている。
【0015】
請求項4の廃水処理装置は、請求項1または2の廃水処理装置において、前記反応槽は略直方体状に形成され、前記気泡分離部材は板状に形成されると共に液面に対して非垂直に複数配置され、前記気泡捕集部材は相対する面の距離が上方に向かって小さくなるように対称的に傾斜配置される一対の板状の捕集部材とこの捕集部材の上端に液面に対して垂直に接続される一対の板状の案内部材とからなり、前記固液分離部材は前記板状に形成されると共に前記反応槽の上端付近の側面に設置されている。
【0016】
請求項5の廃水処理装置は、請求項3または4の廃水処理装置において、前記ベッドから生じたガスの気泡及び前記分離された気泡の流れを前記気泡捕集部材の下端開口部に案内させる案内部を前記反応槽の内面に備えている。
【0017】
請求項6の廃水処理装置は、請求項5の廃水処理装置において、前記気泡分離部材の頂部の開口部から流出した気泡及び気泡を付着させた微生物塊の流れを放射方向に迂回させる迂回部材を前記案内部の中心に配置させている。
【0018】
請求項7の廃水処理装置は、請求項4から6のいずれかの廃水処理装置において、前記案内部材の対向する両面のいずれかに流体の上昇流を蛇行させる整流部材を備える。
【0019】
請求項8の廃水処理装置は、請求項3から6のいずれかの廃水処理装置において、前記気泡捕集部材の下端部よりも低位の前記反応槽の幅径は前記下端部よりも高位の当該反応槽の幅径よりも小径に設定されている。
【0020】
請求項9の廃水処理装置は、請求項8の廃水処理装置において、前記気泡分離部材、前記気泡捕集部材及び前記固液分離部材を一体的に備えたユニットが、前記反応槽内に着脱自在に具備されている。
【0021】
請求項10の廃水処理装置は、請求項1の廃水処理装置において、前記反応槽は略直方体状に形成され、前記固液分離部材は前記反応槽の長辺側側面部の上部付近に具備され、前記気泡捕集部材は捕集したガスを前記固液分離部材に供給する散気部材を備える。
【0022】
請求項11の廃水処理装置は、請求項10の廃水処理装置において、前記反応槽内の上昇流を前記気泡捕集部材に案内する第一案内部材を備える。
【0023】
請求項12の廃水処理装置は、請求項10または11の廃水処理装置において、前記反応槽内の上昇流を前記固液分離部材に案内する第二案内部材を備える。
【0024】
請求項13の廃水処理装置は、請求項12の廃水処理装置において、前記第一案内部材は板状の部材からなり、前記気泡捕集部材は、断面への字状に形成された板状の部材からなり、この部材の短幅板部の下端部は前記反応槽の長辺側側面部の内面に密着させる一方で、当該部材の長幅板部はその下面が前記第一案内部材の上面と略平行に配置されると共に当該長幅板部の下端部は少なくとも当該案内部材の上端部よりも低位に配置され、前記第二案内部材は、前記気泡捕集部材の長幅板部の上面に対して略平行に配置される傾斜板部と前記固液分離部材の面に対して略平行に配置される鉛直板部とからなる。
【0025】
請求項14の廃水処理装置は、請求項13の廃水処理装置において、前記長幅板部の下端付近の下面には邪魔部材が当該下面の長辺に沿って形成されている。
【0026】
請求項15の廃水処理装置は、請求項10から14のいずれかの廃水処理装置において、前記固液分離部材は矩形状に形成され、前記散気部材は管体からなり、前記固液分離部材の下辺よりも下位にて当該下辺と略平行に配置されている。
【発明の効果】
【0027】
以上の発明によれば微生物塊の流出を抑制させてUASB処理を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】発明の実施形態1に係る廃水処理装置を示した概略構成図。
【図2】実施形態1に係る廃水処理装置の動作例を説明した断面図。
【図3】発明の実施形態2に係る廃水処理装置を示した概略構成図。
【図4】気泡分離部材の設置形態の一例を示した概略構成図。
【図5】発明の実施形態3に係る廃水処理装置を示した概略構成図。
【図6】発明の実施形態4に係る反応槽の一態様を示した概略構成図。
【図7】実施形態4に係る気泡分離部材、捕集部材及び固液分離部材が一体化したユニットの一態様を示した斜視図。
【図8】発明の実施形態5に係る被処理水の供給経路の一態様を示した概略構成図。
【図9】気泡捕集部材の作用を説明した説明図。
【図10】(a)実施形態2に係る気泡分離部材の作用を説明した斜視図,(b)汚泥引抜配管を備えた反応槽の側面図。
【図11】反応槽上部の処理水流出部の一態様を示した斜視図。
【図12】反応槽内の底部付近における流体の流れを説明した断面図。
【図13】発明の実施形態6に係る廃水処理装置を示した概略構成図。
【図14】(a)実施形態6に係るバブリング管の配置形態を示した正面図,(b)気泡捕集部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
[実施形態1]
図1に示された実施形態1の廃水処理装置1は被処理水を上昇水流のもとで微生物塊と接触させて当該被処理水中の有機物や窒素化合物を分解するUASB方式の廃水処理装置であって微生物塊の系外流出を抑制してUASB処理の安定化を図る。
【0031】
(装置の構成)
廃水処理装置1は反応槽10と気泡分離スクリーン11と気泡捕集管12と側面スクリーン13と中央スクリーン14とを備える。
【0032】
反応槽10は被処理水を底部100から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる。被処理水は反応槽10の下端部に接続された供給管101を介してポンプP1によって供給される。図1に示されたように反応槽10は円筒状に形成されている。また、反応槽10の底部100付近の内周面は微生物塊を底部に集積しやすく、そのため被処理水との接触効率を高められるように下細りのテーパー状に形成されている。
【0033】
気泡分離スクリーン11は反応槽10の底部100付近に滞留するベッドから微生物反応の結果生じたガスの気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる。気泡分離スクリーン11は陣笠状に形成されたウェッジワイヤースクリーンなどのスリット状又は格子状のスクリーンからなり、その頂部には開口部111が形成されている。気泡分離スクリーン11は反応槽10の底部付近において同槽と同軸に配置されている。尚、気泡分離スクリーン11のスクリーン目幅は微生物塊の平均粒径よりも小径か同程度例えば、0.5〜0.8mmに設定されている。
【0034】
気泡捕集管12は図2に示されたように前記ベッドから生じたガスの気泡または気泡分離スクリーン11によって分離された気泡を捕集して反応槽2の液面付近までに案内させる。液面から解放されたガスは反応槽10の天井部102に接続された排気管103を介して大気中に排出されるかまたは発生ガスがメタンガスを含むガスであればエネルギーガスとしての利用に供される。気泡捕集管12は、陣笠状に形成された捕集コーン121とこの捕集コーン121の上端開口部に円筒部122が鉛直に接続されることで構成されており、反応槽10内に同槽と同軸に配置されている。
【0035】
側面スクリーン13は反応槽10の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離する。側面スクリーン13は円筒状に形成されたウェッジワイヤースクリーンなどのスリット状又は格子状のスクリーンからなる。このスクリーンの目幅は、微生物塊と処理水との固液分離に適するよう微生物塊の平均粒径よりも小径となるよう設定されている。側面スクリーン13は反応槽10と同径の円筒状に形成されると共に反応槽10の上端付近の周側面に設置されている。そして、この上端付近の外周には側面スクリーン13を介して処理水を導入する処理水分離室17が設けられている。
【0036】
中央スクリーン14は図2に示されたように気泡捕集管12の内側を上昇してきた気泡を付着させた微生物塊との接触によって当該気泡を分離させる。中央スクリーン14は気泡捕集管12の円筒部122の径よりも大径且つ側面スクリーン13の径よりも小径でさらに側面スクリーン13よりも胴長の円筒状に形成されたウェッジワイヤースクリーンなどのスリット状又は格子状のスクリーンからなる。図1に示されたように中央スクリーン14はその上端部が気泡捕集管12と側面スクリーン13の上端部よりも高位となり且つ反応槽10内液面よりも高位となるように反応槽10内に同槽と同軸に設置されている。中央スクリーン14は、気泡を付着させた微生物塊から当該気泡を直ちに分離させることが主目的であり微生物塊を完全に流出阻止することは意図していないため、その目幅は側面スクリーン13の目幅よりも幅広のサイズであってもよい。例えば0.7〜1.0mmに設定されている。
【0037】
また、ベッドから生じたガスの気泡及び気泡分離スクリーン11によって分離された気泡を気泡捕集管12の下端開口部に案内できるように反応槽10の内周面には案内部15が備えられている。案内部15は上細りのテーパー面151と下細りのテーパー面152とを有する突起体からなる。テーパー面151は図2に示されたように上昇流に乗った気泡を気泡捕集管12の下端に案内できるようになっている。一方、テーパー面152は図2に示されたように沈降してきた微生物塊を反応槽10の底部100に向けて案内できるようになっている。
【0038】
さらに、案内部15の中心部には気泡分離スクリーン11の頂部の開口部から流出した気泡及び気泡を付着させた微生物塊の流れを反応槽10の径方向に迂回させる迂回部材16が配置されている。迂回部材16はウェッジワイヤースクリーンなどのスリット状又は格子状のスクリーンを前記開口部よりも大径且つ案内部15の内径よりも小径の円板に形成され、反応槽10内において水平に設置されている。迂回部材16のスクリーン目幅は気泡分離スクリーン11と同じ目幅に設定すればよい。
【0039】
(動作例の説明)
図2を参照しながら廃水処理装置1の動作例について説明する。
【0040】
被処理水はポンプP1によって供給管101を介して底部100から反応槽10内に導入される。反応槽10内に被処理水が導入されるとベッド19を構成する微生物塊によって被処理水中の有機物や窒素化合物が分解される。有機物処理においては、有機物の分解の過程でメタンガスが発生する。また窒素処理においては、被処理水中に含まれるアンモニア成分が微生物塊を構成する細菌類の一つである嫌気性アンモニア酸化菌による脱窒反応によって窒素ガスに転換される。微生物塊から発生したメタンガスや窒素ガス等の気泡は上向水流によって反応槽10内の液面に向かって上昇する。また、最も処理活性が高くなっている底部100付近の微生物塊はガスの発生が激しく当該ガスの気泡の付着によって沈降性を失うことがあり上向水流に乗って上昇する。
【0041】
前記気泡を付着させた微生物塊は気泡分離スクリーン11に接触すると気泡が当該微生物塊から脱離する。気泡が脱離した微生物塊は自重によって沈降して底部100付近に留まる。また、ベッド19によって処理された処理水は気泡分離スクリーン11によって固液分離された後に上昇流に乗って案内部15と迂回部材16の間を通過して反応槽10の上層に向かって移行する。脱離した気泡や気泡分離スクリーン11と接触しなかった気泡を付着させた微生物塊は気泡分離スクリーン11の開口部111から排出される。開口部111から排出された前記気泡及び前記気泡を付着させた微生物塊は迂回部材16を迂回及び案内部15のテーパー面151によって案内されて気泡捕集管12に導入される。
【0042】
気泡捕集管12内では捕集コーン121によって捕集された気泡及び気泡を付着させた微生物塊は処理水の上昇流に乗って円筒部122の中を上昇して液面付近まで案内される。円筒部122から越流した気泡は液面に達するとガスとして反応槽10内の気相に解放され排気管103から系外に排出される。また、捕集コーン121に上昇してきた気泡を付着させた微生物塊の一部は捕集コーン121の内面と接触すると、当該微生物塊から気泡が分離して気泡だけが円筒部122内に導入される。分離された微生物塊は自重によって下降してベッド19に向かって沈降する。
【0043】
また、気泡を付着させた微生物塊は、側面スクリーン13を介して系外に流出する処理水の流れに乗って中央スクリーン14と接触すると、一部の微生物塊から気泡が脱離してガスは気相中に解放され、微生物塊は中央スクリーン14と気泡捕集管12の間の空間を沈降する。また、中央スクリーン14内の液相に溜まっている微生物塊に対しては下方の気泡捕集管12から上昇してきた気泡が衝突し続けることで当該微生物塊からの気泡の分離効果が有り、微生物塊の沈降が促される。以上のように気泡が脱離された微生物塊は自重によって沈降する。この沈降する微生物塊もベッド19に向かって沈降する。
【0044】
反応槽10の液面付近の上層まで上昇してきた処理水は側面スクリーン13によって固液分離された後に処理水分離室17の流出配管171から系外に排出される。また、側面スクリーン13と中央スクリーン14との間の液相に溜まっている微生物塊は処理水の流れに乗ってこのスクリーン13,14の上部の反応槽10の内面に滞留することがあるため定期的な引抜が必要となる。尚、液相に浸っている側面スクリーン13上部の反応槽10の内面部分はウェッジワイヤーなどのスリット状又は格子状のスクリーンにすると浮上した微生物塊を処理水の流れによって流出側へ押出され側面スクリーン13及び当該スクリーンに閉塞しやすくなる。従って、側面スクリーン13上部の反応槽10の内面部分は水の透過性のないことが望ましい。尚、被処理水の基質濃度の希釈のために一部の処理水は循環配管172を介してpH調整系(図示省略のpH調整液及びその投入・攪拌混合手段を備えたpH調整槽18)に供された後に返送管181を介して供給管101に循環供給される。
【0045】
(効果)
廃水処理装置1によれば浮上する微生物塊から気泡を分離させこの分離した気泡を捕集して反応槽10の液面付近までに案内して気相中に放出させると共に反応槽10の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離できる。以上のように微生物塊の系外流出が抑制されるのでUASBの安定化が実現する。
【0046】
特に、中央スクリーン14を備えたことで、気泡捕集部材12の外側にて滞留する気泡を付着させた微生物塊から当該気泡を直ちに分離させることができる。
【0047】
また、反応槽10の内面に案内部15に設けたことで、ベッド19から生じたガスの気泡及び気泡分離スクリーン11によって分離された気泡の流れを気泡捕集部材12の下端開口部に案内させることできる。これにより短絡流が発生することなく気泡を効率的に気泡捕集部材12に誘導させることができる。
【0048】
さらに、迂回部材16が案内部15の中心に配置されたことで、気泡分離スクリーン11の頂部の開口部111から流出した気泡及び気泡を付着させた微生物塊の流れを放射方向に迂回させると共に開口部11から浮上流出した微生物塊からの気泡の分離を促進させることができる。
【0049】
そして、pH調整済みの処理水の返送により反応槽10に供給する被処理水を希釈することで、微生物塊の生物活性を阻害するような高濃度基質を微生物塊の活性を阻害しない濃度レベルとし、ベッド19の嫌気的生物活性を維持させることができる。
【0050】
[実施形態2]
図3に例示された本実施形態の廃水処理装置2Aは反応槽20が略直方体状に形成されている。この反応槽20の形状に対応するように気泡分離スクリーン21,26、気泡捕集部材22、側面スクリーン23、中央スクリーン24、案内部25、処理水分離室27が同槽に具備されている。廃水処理装置2Aはこの反応槽20の構成以外は廃水処理装置1と同じ構成となっている。
【0051】
反応槽20は被処理水を底部200から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる。被処理水は実施形態1に係る反応槽10と同様に反応槽20の下端部に接続された供給管101を介してポンプP1によって供給される。反応槽20の底部200付近の側面は反応槽10と同様に微生物塊を底部200に集積しやすく、そのため被処理水との接触効率を高められるように下細りのテーパー状に形成されている。
【0052】
気泡分離スクリーン21は反応槽20の底部200に滞留するベッドから生じたガスの気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる。気泡分離スクリーン21は反応槽20の長手方向に伸びる板状に形成されたウェッジワイヤースクリーンからなる。尚、気泡分離スクリーン21のスクリーン目幅は実施形態1に係る気泡分離スクリーン11と同様に微生物塊の平均粒径よりも小径か同程度、例えば0.5〜0.8mmに設定されている。
【0053】
気泡分離スクリーン21は反応槽20の底部200付近において液面に対して非垂直に配置されている。図示された形態では2枚の気泡分離スクリーン21が反応槽20の幅方向における縦断面が略ハの字形状となるように配置される。すなわち、2枚の気泡分離スクリーン21が対向する面の距離が上方に向かって小さくなるように対称的に傾斜配置されている。
【0054】
気泡捕集部材22は前記ベッドから生じたガスの気泡または気泡分離スクリーン21によって分離された気泡を捕集して反応槽20の液面付近までに案内させる。液面から解放されたガスは反応槽20の天井部202に接続された排気管103を介して大気中に排出されるかまたはエネルギーガスとしての利用に供される。気泡捕集部材22は図示されたように相対する面の距離が上方に向かって小さくなるように対称的に傾斜配置される一対の板状の捕集部材221とこの捕集部材221の上端に液面に対して垂直に接続される一対の板状の案内部材222とからなる。
【0055】
また、案内部材222の対向する両面のいずれかには、図9に示されたように、流体の上昇流を蛇行させる板状の整流部材223a,223b,223cを備えるようにするとよい。整流部材223a〜223cは上昇流を蛇行させることができるように鉛直方向に対して所定の角度に傾斜させて配置される。このような整流部材223a〜223cの配置によって案内部材222間における流体の上昇流のパスが長くなり、気泡を付着させた微生物塊との接触により当該微生物塊から気泡を脱離させることができる。
【0056】
側面スクリーン23は反応槽20の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離する。側面スクリーン23は板状に形成されたウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなる。このスクリーンの目幅は実施形態1と同様に微生物塊と処理水との固液分離に適するよう微生物塊の平均粒径よりも小径となるよう設定されている。中央スクリ−ン24は気泡捕集部材22の案内部材222と対向する反応槽20の上端付近の両側面に設置されている。この両側面の外側には側面スクリーン23を介して処理水を導入する処理水分離室27が設けられている。一方の処理水分離室27には処理水を系外に流出させる流出配管171が接続されている。他方の処理水分離室27には処理水の一部をpH調整槽18(pH調整液及びその投入・攪拌混合手段は図示省略)に供するための返送管181が接続されている。
【0057】
中央スクリーン24は気泡捕集部材22の外側を上昇してきた気泡を付着させた微生物塊との接触によって当該気泡を分離させる。また、図10(a)に示されたように本実施形態ではガス案内部材12の間からの上方に浮上してきた気泡を付着させた微生物塊は下方からの激しいガス流により衝撃を受け続け、付着しているガスが分離する。分離されたガスは液面から大気中に解放される。一方、気泡が脱離した微生物塊は自重によってガス案内部材12の外側を下降して反応槽20の底部200付近に滞留したベッドまで沈降する。
【0058】
また、図10(a)に示されたような浮上した微生物塊のうちで沈降しないで中央スクリーン24の近傍の液面付近に溜まった微生物塊は汚泥引抜管28からバルブ操作によって定期的に除外される。汚泥引抜管28は中央スクリーン24と対向しない反応槽20の側面に接続される。汚泥引抜管28の設置高さは液面付近の液相を引き抜ける程度の高さに設定すればよい。汚泥引抜管28は図10(b)に例示したように反応槽20の両側面に接続してもよい。尚、汚泥引抜管28の代わりに掻き寄せ機を設けてもよい。掻き寄せ機は水処理施設で採用されている周知の掻き寄せ機を適用すればよい。
【0059】
中央スクリーン24は側面スクリーン23と略同サイズに形成された板状のウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなる。図3に示したように中央スクリーン24はその上端部が気泡捕集部材22と側面スクリーン23の上端部よりも高位であって、反応槽10内液面よりも高位、且つこれらの部材22,23と略平行に配置されるように反応槽20の内面に接続されている。
【0060】
中央スクリーン24は気泡を付着させた微生物塊から当該気泡を直ちに分離させることが主目的であり微生物塊を完全に流出阻止することは意図していないため、その目幅は実施形態1と同様に側面スクリーン23の目幅よりも幅広のサイズ例えば0.7〜1.0mmに設定される。尚、中央スクリーン24の目幅間を通過した微生物塊は、より目幅の狭い側面スクリーン23で流出阻止すればよい。
【0061】
実施形態1と同様に反応槽20の内面にはベッドから生じたガスの気泡及び気泡分離スクリーン21によって分離された気泡を気泡捕集部材22の下端に案内させる案内部25が設けられている。案内部25は反応槽20の幅方向の断面が三角形状の突起体からなる。この突起体の下面251は上昇流に乗った気泡を気泡捕集部材22の下端に案内すると共に上面252は沈降してきた微生物塊を反応槽20の底部に案内できるようになっている。
【0062】
さらに、案内部25の中心部には実施形態1と同様に気泡分離スクリーン21の間から流出した気泡及び気泡を付着させた微生物塊の流れを反応槽20の幅方向に迂回させる迂回部材として気泡分離スクリーン26が配置されている。気泡分離スクリーン26は全長が気泡分離スクリーン21と略同等であるが幅がスクリーン21間の最小距離よりも大きく確保された板状のウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなり、液面に対して水平に設置されている。気泡分離スクリーン26のスクリーン目幅は、実施形態1の気泡分離スクリーン11と同じ目幅に設定すればよい。
【0063】
また、図4に例示された廃水処理装置2Bのように反応槽20においては気泡分離スクリーン26の代わりに気泡分離スクリーン21a,21bを備えるとよい。
【0064】
気泡分離スクリーン21a,21bは気泡分離スクリーン21と略同形同サイズに形成されたウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなる。気泡分離スクリーン21aは反応槽20の底部200から所定距離をあけて水平方向に対して所定の角度で傾斜されて配置されている。気泡分離スクリーン21bは気泡分離スクリーン21と気泡分離スクリーン21aの間にて気泡分離スクリーン21aの傾斜と逆方向に所定の角度で傾斜されて配置されている。このようなスクリーン21a,21b,21の配置によって流体の上昇流が蛇行するため、気泡を付着させた微生物塊は、各スクリーン21a,21b,21との接触により気泡が分離しやすくなり、底部200付近において活性の高まった微生物塊の流動を制限させることができる。
【0065】
以上の廃水処理装置2Aによれば廃水処理装置1の作用効果に加えて案内部材222間における流体の上昇流のパスの延長によって浮上微生物塊からの気泡の脱離が促進される。また、廃水処理装置2Bによれば廃水処理装置2Aの作用効果に加えて反応槽20の底部200付近において活性の高まった微生物塊の滞留時間を延長させることできる。これにより底部200付近において高活性の微生物塊を高濃度に維持させることができる。
【0066】
[実施形態3]
図5に例示された本実施形態の廃水処理装置3は実施形態2の側面スクリーン23、中央スクリーン24の代わりに固液分離スクリーン31を備えることで反応槽20内に処理水分離室32が形成されていること以外は廃水処理装置2Bと同じ構成となっている。尚、反応槽20の底部200付近には気泡分離スクリーン21cが増設されている。
【0067】
処理水分離室32は反応槽20内の上端付近にて固液分離スクリーン31によって区画されることで形成される。固液分離スクリーン31は中央スクリーン部311と側面スクリーン部312とからなる。中央スクリーン部311は、板状のウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなり、気泡捕集部材22の案内部材222と平行に配置される。側面スクリーン部312は、板状のウェッジワイヤースクリーン等のスリット状または格子状のスクリーンからなり、気泡捕集部材22の案内部材222と対向する反応槽20の内面から中央スクリーン部311の下端部に向けて上り傾斜に配置されるように前記下端部及び反応槽20の内面に接続される。固液分離スクリーン31の目幅は実施形態1に係る側面スクリーン13と同様に微生物塊と処理水との固液分離に適するよう微生物塊の平均粒径よりも小径となるよう設定されている。また、処理水を系外排出させる方の処理水分離室32の外側には流出配管171の代わりに図11に示されたような排水トラフ33を設けてもよい。排水トラフ33は反応槽20の上端縁部201から越流した処理水を受け入れて自然流下によって系外または後段の設備に移送させる。排水トラフ33の採用によって流出配管系の閉塞を防止できる。
【0068】
気泡分離スクリーン21a〜21cは導入された被処理水の上昇流が蛇行するように反応槽20の底部200から順に互いに角度が異なるように傾斜配置されている。
【0069】
以上の廃水処理装置3によれば処理水分離室が反応槽の上端付近の外周に設けられない態様となっているので廃水処理装置2A,2Bの効果に加えて装置構成がコンパクトとなる。また、反応槽20内の底部200付近にて気泡分離スクリーンが増設されたことで活性化した微生物塊の滞留時間を実施形態2の廃水処理装置2A,2Bよりもさらに延長させることできる。底部200付近において高活性の微生物塊をより一層高濃度に維持させることができる。
【0070】
[実施形態4]
図6に例示された本実施形態の廃水処理装置4は気泡捕集部材22の下端部よりも低位の反応槽40の幅径が前記下端部よりも高位の反応槽40の幅径よりも小径に設定されている。この反応槽40の上側面401と下側面402との境界側面403は傾斜面となっている。この構成により反応槽40内においては実施形態3に係る案内部25が省略されている。廃水処理装置4はこの反応槽40の構成以外は実施形態3の廃水処理装置3と同じ構成となっている。
【0071】
気泡分離スクリーン21,21a〜21cの幅径はこの反応槽40の形状に応じて設定されている。反応槽40内において気泡分離スクリーン21は対向する境界側面403の間に配置されている。気泡分離スクリーン21a〜21cは対向する下側面402の間に配置されている。
【0072】
以上の廃水処理装置4によれば実施形態2の廃水処理装置2A,2Bの効果に加えて装置構成が実施形態3の廃水処理装置3よりもさらに簡素化できる。また、図12に示されたように気泡捕集部材22の下端部よりも低位の反応槽20の幅径が前記下端部よりも高位の反応槽40の幅径よりも小径に設定されたことで、底部400からの上昇流に乗った気泡を気泡捕集部材22の捕集部材221の下端に直接案内できる。さらに、沈降してきた微生物塊を境界側面403に沿って下降させて底部400付近に滞留するベッド19に案内できる。
【0073】
また、本実施形態においては図7に例示されたユニット41のように、気泡分離スクリーン21,21a〜21c、気泡捕集部材22及び固液分離スクリーン31を一体的に備えたユニットの構成とし、これを反応槽40内に着脱自在に具備できるようにするとよい。
【0074】
ユニット41は支持枠42と支持固定部43と吊り具44とを備える。支持枠42は気泡分離スクリーン21,21a〜21c、気泡捕集部材22及び固液分離スクリーン31を保持する一対の枠部材である。支持固定部43は支持枠42を保持して反応槽40の上端縁部に着脱自在に固定される一対の固定部材である。吊り具44はこの支持固定部43を吊り上げるための一対の吊り上げ部材である。
【0075】
ユニット41は、反応槽40に着脱自在に備えると、メンテナンス時に吊り上げ装置のチェーンフックを吊り具44に掛ければ反応槽40の上方から取り出すことができる。これにより気泡分離スクリーン21,21a〜21c、気泡捕集部材22及び固液分離スクリーン31のメンテナンスが容易となる。
【0076】
[実施形態5]
図8に例示された廃水処理装置5は被処理水の供給管101から分岐した複数の供給管が実施形態1〜4に係る反応槽10〜40内の気泡分離スクリーンの配置状態に対応するように同槽10〜40の側面に接続されている。
【0077】
図示された形態では供給管101からは供給管101a〜101cが分岐している。供給管101aは反応槽10〜40の底部に接続されている。供給管101bは被処理水を反応槽10〜40内の最下位の気泡分離スクリーン21aとその上位の気泡分離スクリーン21bとの間の空間に供給できるように接続されている。供給管101cは被処理水を気泡分離スクリーン21bとその上方の気泡分離スクリーン21cとの間の空間に供給できるように接続されている。
【0078】
以上の構成の廃水処理装置5によれば反応槽10〜40の底部付近において気泡分離スクリーン21a〜21cに沿った流体の流れを形成させることができる。これにより微生物塊由来の菌体の気泡分離スクリーン21a〜21cへの固着または同スクリーンの閉塞を抑制できる。一方、微生物塊から発生したガスの気泡を付着させた微生物塊は鉛直方向に上昇して気泡分離スクリーン21a〜21cと接触するので当該微生物塊から気泡を分離できる。
【0079】
[実施形態6]
(概要)
図13に例示された本実施形態の廃水処理装置7は気泡捕集部材72にて捕集したガスを反応槽70の側面スクリーン23に常時供することにより側面スクリーン23の固液分離機能を維持する。
【0080】
(装置の構成)
反応槽70は異径直方体状に形成されている。反応槽70は被処理水を底部700から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる。被処理水は実施形態2に係る反応槽20と同様に反応槽70の下端部に接続された供給管101を介してポンプP1によって供給される。
【0081】
反応槽70の底部700付近の長辺側面は実施形態1の反応槽10と同様に微生物塊を底部に集積しやすく、被処理水と微生物塊とが効率よく接触できるように下細りのテーパー状に形成されている。また、ベッド19を滞留させる反応槽70の下半部の幅径は同槽70の上半部の幅径よりも小径に設定されている。そして、この反応槽70の一方の長辺側面の上側面部701と下側面部702との境界側面部703の内面は傾斜面となっている。この傾斜面を採ることで沈降してきた微生物塊を効率的にベッド19に集積できるようになっている。
【0082】
この反応槽70の形状に対応するように気泡分離スクリーン21a〜21e、案内部材71、気泡捕集部材72、案内部材73が同槽内に具備されている。
【0083】
気泡分離スクリーン21a〜21eは実施形態3〜5と同様に反応槽70内に導入された被処理水の上昇流が蛇行するように反応槽70の底部700から順に互いに角度が異なるように傾斜配置されている。気泡分離スクリーン21a〜21cは図示されたように傾斜角度が互いに異なるように反応槽70の下半部内に配置されている。気泡分離スクリーン21d,21eは傾斜角度が互いに異なるように反応槽70の境界側面部703と略同位に位置に配置されている。
【0084】
案内部材71は反応槽70内の上昇流を案内部材71よりも上方に配置された気泡捕集部材72に案内する。案内部材71は板状に形成されておりその上下端部が反応槽70の内面から離間すると共に当該部材の両面が境界側面部703の内面と略垂直に配置されるように反応槽70内に具備されている。
【0085】
気泡捕集部材72は気泡分離スクリーン21a〜21eによって分離された気泡を捕集する。気泡捕集部材72は断面への字状に形成された板状の部材からなる。気泡捕集部材72の奥行き方向の長さは図14(a)に示したように側面スクリーン23の横幅の長さに対応するように設定される。気泡捕集部材72の短幅板部721の下端部は図13に示したように反応槽70の上側面部701と対向する側面部704の内面に密着されている。一方、同部材72の長幅板部722はその下面が案内部材71の上面と略平行に配置されると共に下端部は少なくとも案内部材71の上端部よりも低位に配置されている。また、長幅板部722の下端付近の下面には角型の邪魔部材74が当該下面の長辺に沿って形成されている。この邪魔部材74が設けられることで微生物塊の流れが邪魔部材74に衝突し、微生物塊からのガス分離効率が高まる。
【0086】
また、気泡捕集部材72の頂部720には分離ガスをバブリング管76に供給するためのガス管75が接続されている。バブリング管76は気泡捕集部材72内で捕集した分離ガスを反応槽70の側面部704の上端付近に設けられた側面スクリーン23に対して供給することにより当該スクリーンを洗浄するための散気部材である。
【0087】
バブリング管76は図14(b)に示したように側面スクリーン23の下端部よりも低位の側面部704と気泡捕集部材72と間の空間部に設置されている。バブリング管76は図14(a)に示したように側面スクリーン23の下辺に沿って水平に配置されている。バブリング管76は図14(a)に示したように両端が閉じられた管体760から成り、その長さ方向に沿って前記分離ガスの散気孔761が複数形成されている。バブリング管76に形成される散気孔761の角度は散気孔761から側面スクリーン23側へ分離ガスを均等に供給できるように設定すればよい。例えば図14(b)に示したように複数の散気孔761は、管体760の側面スクリーン23側下斜め約45度の同一位置に形成される。
【0088】
バブリング管76は側面スクリーン23の横幅の長さに対応する全長のものが適用されると側面スクリーン23を均一に洗浄できる。図14(a)に例示した態様のように短管タイプのものを複数直列配置しても、同様の効果が得られる。尚、バブリング管76の高さは変更可能にすると気泡捕集部材72内の液面の高さ(気相部80の容積)を任意に調節できる。
【0089】
また、ガス管75には側面スクリーン23のメンテナンス時に気泡捕集部材72またはバブリング管76へのガス補給のためのガス供給管77がバルブV6を介して接続されている。例えば、気泡捕集部材72が汚泥によって閉塞した場合にバルブV6の操作によってガス供給管77から加圧ガスを当該部材72に供給してそのガス圧により部材72内の液位を下げて閉塞物質を除去する。または、側面スクリーン23のウェッジワイヤー等のスリット状または格子状のスクリーンに汚泥が付着した場合にバルブV6の操作によってガス供給管77から加圧ガスがバブリング管76に供給され強いガス洗浄が可能となり当該スクリーンの洗浄効果が高まる。尚、加圧ガスは、空気を使用すると反応槽70内の溶存酸素濃度が上昇してしまうため、反応槽70内からの発生ガスを大気開放せずに捕集し、コンプレッサーにより加圧タンクに貯留し再利用することが好ましい。
【0090】
図13に示された案内部材73は反応槽70内の上昇流を側面スクリーン23に案内するための部材である。案内部材73は傾斜板部731と鉛直板部732とからなる。傾斜板部731は気泡捕集部材72の長幅板部722の上面に対して略平行に配置される。鉛直板部732は側面スクリーン23の面に対して略平行に配置されている。
【0091】
また、側面スクリーン23上部の反応槽70の側面部704には断面三角状の案内部材705が側面スクリーン23の上辺に沿って配置されることで、側面スクリーン23,鉛直板部732間の上昇流を上側面部701の方向に案内できるようになっている。一方、反応槽70の上側面部701の上端付近には上側面部701から越流した微生物塊を滞留させる返送溝79が付帯されている。返送溝79内には前記滞留させた微生物塊を反応槽70に返送させるポンプP3が具備されている。ポンプP3には返送管173が接続されている。返送管173は反応槽70内の気泡分離スクリーン21aとの上位の気泡分離スクリーン21bとの間の空間に供給できるように接続されている。これにより、上側面部701から越流した微生物塊を反応槽70に返送させるとともに、気泡分離スクリーン21bに沿った流体の流れを形成させることができ、微生物由来の菌体のスクリーン21bへの固着または同スクリーンの閉塞を抑制する効果も持つ。この返送管173の反応槽70への接続を選択することにより、各々気泡分離スクリーン21a,21c,21dに沿った流体の流れを形成しても同様な効果が得られる。返送管173には返送量を調節するためのバルブV4が具備されている。但し、微生物塊を反応槽70に返送させるポンプP3として定量ポンプを用いる場合には、バルブV4は具備する必要はない。さらに、反応槽70にはベッド19の上部付近から汚泥を引き抜くための引抜管174が接続されている。引抜管174には汚泥の引抜量を調節するためのバルブV5が具備されている。
【0092】
反応槽70には廃水処理装置5と同様の形態で被処理水の供給管101a〜101cが接続されている。ベッド19が流動しやすくするため複数の供給管を反応槽70の複数箇所に接続し被処理水を供給することが好ましい。供給管101,101b,101cにはそれぞれ被処理水の供給量を調節するためのバルブV1〜V3が具備されている。尚、ポンプP1には定量ポンプを適用する場合で、供給管101a〜101cからの被処理水の供給量の比率を変更する必要がない場合には、バルブV1〜V3は具備する必要はない。
【0093】
(動作例の説明)
図13を参照しながら廃水処理装置7の動作例について説明する。
【0094】
被処理水はポンプP1によって供給管101を介して底部700から反応槽70内に導入される。反応槽70内に被処理水が導入されるとベッド19を構成する微生物塊によって被処理水中の有機物や窒素化合物が分解される。有機物処理においては、有機物の分解の過程でメタンガスが発生する。また窒素処理においては、被処理水中に含まれるアンモニア成分が微生物塊を構成する細菌類の一つである嫌気性アンモニア酸化菌による脱窒反応によって窒素ガスに転換される。微生物塊から発生したメタンガスや窒素ガス等の気泡は上向水流によって反応槽70内の液面に向かって上昇する。また、最も処理活性が高くなっている底部700付近の微生物塊はガスの発生が激しく当該ガスの気泡の付着によって沈降性を失うことがあり上向水流に乗って上昇する。
【0095】
前記気泡を付着させた微生物塊は気泡分離スクリーン21a〜21eのいずれかに接触すると気泡が当該微生物塊から脱離する。気泡が脱離した微生物塊は自重によって沈降して底部700付近に留まる。また、ベッド19によって処理された処理水は、気泡分離スクリーン21a〜21eによって固液分離された後に上昇流に乗り、案内部材71によって案内されて気泡捕集部材72に向かって移行する。脱離した気泡や気泡分離スクリーン21a〜21eと接触しなかった気泡を付着させた微生物塊も上昇流に乗り、案内部材71によって案内されて気泡捕集部材72に向かって移行する。
【0096】
気泡捕集部材72内では捕集された気泡が気相部80に分離される。気相部80の一部のガスはガス管75に供される。一方、処理水及びその流れに乗った一部の気泡を付着させた微生物塊は気泡捕集部材72の長幅板部722を迂回し、案内部材73の傾斜板部731によって案内されて側面スクリーン23に向かって移行する。また、気泡を付着させた微生物塊の一部は邪魔部材74と接触すると、当該微生物塊から気泡が分離して気泡だけが気泡捕集部材72内の気相部80に導入される。気泡が分離された微生物塊は自重によって案内部材71に沿って下降し、さらに境界側面部703の内面によって案内されてベッド19に向かって沈降する。
【0097】
また、気泡を付着させた微生物塊は案内部材73によって案内されて系外に流出する処理水の流れに乗って側面スクリーン23と接触すると、一部の微生物塊から気泡が脱離してガス成分は反応槽70上部の気相中に解放される。気泡が脱離された微生物塊はバブリング管76から供されたガス流に乗って上昇する。反応槽70の液面付近に上昇してきた微生物塊及び一部の処理水は案内部材705によって案内部材73と上側面部701の間の空間に案内され、やがて自重によって沈降する。一方、上側面部701から越流した微生物塊は返送溝79内に堆積する。堆積した微生物塊は定期的にポンプP3によって返送管173を介して反応槽70に返送される。
【0098】
反応槽70の液面付近の上層まで上昇してきた処理水は側面スクリーン23によって固液分離された後に処理水分離室27の流出配管171から系外に排出される。側面スクリーン23の表面においてはバブリング管76から気泡が供給され常時洗浄されているので当該スクリーン23の固液分離機能が維持される。また、側面スクリーン23の近傍に滞留している微生物塊に対してはバブリング管76から供された気泡が衝突し続けるので当該微生物塊からの気泡の分離効果も促進される。尚、一部の処理水は循環配管172を介してpH調整系pH調整系(図示省略のpH調整液及びその投入・攪拌混合手段を備えたpH調整槽)に供された後に供給管101に循環供給される。
【0099】
(効果)
以上のように廃水処理装置7によれば気泡捕集部材72にて捕集された気泡が反応槽70の側面スクリーン23に対して常時供されるので実施形態1に係る廃水処理装置1の効果に加えて側面スクリーン23の固液分離機能が維持される。
【0100】
また、反応槽70内の上昇流を気泡捕集部材72に案内する案内部材71が具備されたことで気泡捕集部材72内での効率的な気相部80の形成が可能となる。
【0101】
さらに、反応槽70内の上昇流を側面スクリーン23に案内する案内部材73が具備されたことで、当該スクリーン23での効率的な固気分離及び固液分離が行えるので被処理水の滞留時間の短縮化が可能となる。
【0102】
そして、気泡捕集部材72に長幅板部722の下端付近の下面に邪魔部材74が形成されたことで当該下端付近での微生物塊の流れが邪魔部材74に衝突し微生物塊からのガス分離効率が向上する。
【0103】
また、バブリング管76が側面スクリーン23の下辺よりも下位にて当該下辺と略平行に配置されたことで、側面スクリーン23を均一に洗浄させることができる。
【0104】
さらに、側面スクリーン23の上部に案内部材705が配置されたことで反応槽70の液面付近に上昇してきた微生物塊及び一部の処理水を案内部材73と上側面部701の間の空間に供されるので、ベッド19での効率的な微生物塊の集積が行える。
【符号の説明】
【0105】
1,2A,2B,3,4,5,7…廃水処理装置
10,20,40,70…反応槽
11,21,21a〜21e…気泡分離スクリーン(気泡分離部材)
12…気泡捕集管(気泡捕集部材)
121…捕集コーン、122…円筒部
22…気泡捕集部材、221…捕集部材、222…案内部材
13,23…側面スクリーン(固液分離部材)
14,24…中央スクリーン(気泡分離部材)
15,25…案内部
16…迂回部材
18…pH調整槽
19…ベッド
102,181…返送管
41…ユニット
71…案内部材(第一案内部材)
72…気泡捕集部材、721…短幅板部、722…長幅板部
73…案内部材(第二案内部材)、731…傾斜板部、732…鉛直板部
76…バブリング管(散気部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を上昇水流のもとで微生物塊と接触させて当該被処理水中の有機物や窒素化合物を分解する廃水処理装置であって、
被処理水を底部から導入して微生物塊と接触させた後に処理水として上部から排出させる反応槽と、
この反応槽の底部付近に滞留するベッドから生じたガスの気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる気泡分離部材と、
前記ガスの気泡または前記気泡分離部材によって分離された気泡を捕集する気泡捕集部材と、
前記反応槽の上層部の微生物塊を含んだ液相を微生物塊と処理水とに分離する固液分離部材と
を備えたこと
を特徴とする廃水処理装置。
【請求項2】
前記気泡捕集部材の外側にて滞留する気泡を付着させた微生物塊と接触して当該微生物塊から気泡を分離させる気泡分離部材を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の廃水処理装置。
【請求項3】
前記反応槽は円筒状に形成され、
前記気泡分離部材は頂部に開口部が形成された陣笠状に形成されると共に前記反応槽の底部付近において当該反応槽と同軸に配置され、
前記気泡捕集部材は陣笠状に形成された捕集部とこの捕集部の上端開口部に液面に対して垂直に接続される円筒部とからなると共に前記反応槽と同軸に配置され、
前記固液分離部材は前記反応槽と同径の円筒状に形成されると共に当該反応槽の上端付近の周側面に設置されたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の廃水処理装置。
【請求項4】
前記反応槽は略直方体状に形成され、
前記気泡分離部材は板状に形成されると共に液面に対して非垂直に複数配置され、
前記気泡捕集部材は相対する面の距離が上方に向かって小さくなるように対称的に傾斜配置される一対の板状の捕集部材とこの捕集部材の上端に液面に対して垂直に接続される一対の板状の案内部材とからなり、
前記固液分離部材は前記板状に形成されると共に前記反応槽の上端付近の側面に設置されたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の廃水処理装置。
【請求項5】
前記ベッドから生じたガスの気泡及び前記分離された気泡の流れを前記気泡捕集部材の下端開口部に案内させる案内部を前記反応槽の内面に備えたこと
を特徴とする請求項3または4に記載の廃水処理装置。
【請求項6】
前記気泡分離部材の頂部の開口部から流出した気泡及び気泡を付着させた微生物塊の流れを放射方向に迂回させる迂回部材を前記案内部の中心に配置させたこと
を特徴とする請求項5に記載の廃水処理装置。
【請求項7】
前記案内部材の対向する両面のいずれかに流体の上昇流を蛇行させる整流部材を備えたことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の廃水処理装置。
【請求項8】
前記気泡捕集部材の下端部よりも低位の前記反応槽の幅径は前記下端部よりも高位の当該反応槽の幅径よりも小径に設定されたこと
を特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の廃水処理装置。
【請求項9】
前記気泡分離部材、前記気泡捕集部材及び前記固液分離部材を一体的に備えたユニットが、前記反応槽内に着脱自在に具備されたこと
を特徴とする請求項8に記載の廃水処理装置。
【請求項10】
前記反応槽は略直方体状に形成され、
前記固液分離部材は前記反応槽の長辺側側面部の上部付近に具備され、
前記気泡捕集部材は捕集したガスを前記固液分離部材に供給する散気部材を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の廃水処理装置。
【請求項11】
前記反応槽内の上昇流を前記気泡捕集部材に案内する第一案内部材を備えたこと
を特徴とする請求項10に記載の廃水処理装置。
【請求項12】
前記反応槽内の上昇流を前記固液分離部材に案内する第二案内部材を備えたこと
を特徴とする請求項10または11に記載の廃水処理装置。
【請求項13】
前記第一案内部材は板状の部材からなり、
前記気泡捕集部材は、断面への字状に形成された板状の部材からなり、この部材の短幅板部の下端部は前記反応槽の長辺側側面部の内面に密着させる一方で、当該部材の長幅板部はその下面が前記第一案内部材の上面と略平行に配置されると共に当該長幅板部の下端部は少なくとも当該案内部材の上端部よりも低位に配置され、
前記第二案内部材は、前記気泡捕集部材の長幅板部の上面に対して略平行に配置される傾斜板部と前記固液分離部材の面に対して略平行に配置される鉛直板部とからなること
を特徴とする請求項12に記載の廃水処理装置。
【請求項14】
前記長幅板部の下端付近の下面には邪魔部材が当該下面の長辺に沿って形成されたこと
を特徴とする請求項13に記載の廃水処理装置。
【請求項15】
前記固液分離部材は矩形状に形成され、
前記散気部材は管体からなり、前記固液分離部材の下辺よりも下位にて当該下辺と略平行に配置されたこと
を特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−86109(P2012−86109A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232489(P2010−232489)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】