説明

建具

【課題】面材が損傷しにくい建具を提供する。
【解決手段】室内外を仕切る面材と、前記面材を収容する収容部を有する面材収容部材と、を有する建具であって、前記収容部は、前記面材の面内方向における外周端面と対向する見込部と、前記面材の室外側の面と対向する室外側見付部と、前記面材の室内側の面と対向する室内側見付部と、から構成され、前記面材収容部材は、室内または室外のうちの一方側に配置される金属製収容部材と、他方側に配置され、前記金属製収容部材とともに前記収容部を形成する非金属製収容部材とを有し、前記面材を介して前記金属製収容部材と対向する部位を有し、前記見込部の前記面内方向外側にて前記金属製収容部材に取り付けられる金属製の面材狭持部材と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面材を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
面材を有する建具としては、金属枠体と樹脂枠体が結合された複合枠体の金属枠体に嵌合する金属クリップにて、面材に相当するパネル体を係止して、火災の熱による樹脂枠体の溶融によりパネル体が脱落することを防止する建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような建具は、複合枠体に設けられ、パネル体の周端部が保持される凹部に突出された凸状部に金属クリップの係止片が嵌合されて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−140547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような建具は、金属クリップがパネル体の周端部が保持される凹部に凸状部や係止片が配置されるので、建具の製造時や施工時に面材が移動すると凸状部や係止片と接触し、面材を損傷する虞があるという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、面材が損傷しにくい建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外を仕切る面材と、前記面材を収容する収容部を有する面材収容部材と、を有する建具であって、前記収容部は、前記面材の面内方向における外周端面と対向する見込部と、前記面材の室外側の面と対向する室外側見付部と、前記面材の室内側の面と対向する室内側見付部と、を有し、前記面材収容部材は、前記見込部と前記室外側見付部とを有する金属製収容部材と、前記室内側見付部を有し前記金属製収容部材とともに前記収容部を形成する非金属製収容部材と、を有しており、前記面材は、当該面材を介して前記金属製収容部材と対向する部位を有し前記見込部の前記面内方向外側にて前記金属製収容部材に取り付けられる金属製の面材狭持部材と、金属製収容部材と、にて狭持されていることを特徴とする建具である。
【0008】
このような建具によれば、面材は、金属製収容部材と、金属製収容部材に取り付けられる金属製の面材狭持部材の、金属製収容部材と対向する部位との間に介在されるので、たとえ非金属製収容部材が火炎等に晒されて溶融しても、面材が脱落することを防止することが可能である。また、面材狭持部材は、収容部の、面材の面材方向における外側にて金属製収容部材に取り付けられているので、面材が収容される収容部内には、面材狭持部材と金属製収容部材との取付部等の突出する部位が存在しない。このため、建具の製造時、搬送時、施工時に面材が収容部内で移動することがあっても、面材が突出部等と接触しないので、面材が損傷し難い建具を提供することが可能である。
【0009】
また、面材が収容される収容部内に面材狭持部材と金属製収容部材との取付部等の突出する部位が存在しないので、収容部及び収容部を有する面材収容部材のサイズを小さくすることが可能である。このため、建具のサイズを小さくしたり、同一サイズの建具において面材をより広く露出させることが可能な建具を提供することが可能である。
【0010】
かかる建具であって、前記見込部は、当該見込部の前記面内方向外側の部位から前記面内方向外側に向って延出する延出壁部を有し、前記面材狭持部材は、前記延出壁部に係合または固定されていることが望ましい。
【0011】
このような建具によれば、金属製収容部材にて形成され、面材の外周端面と対向する見込部の、面材の面内方向外側の部位から当該面内方向外側に向って延出する延出壁部に、面材狭持部材が係合または固定されているので、例えば、面材狭持部材が金属製収容部材とがフック部のような係合片により延出壁部に係合されていたとしてもフック部等の係合片が収容部に突出する虞はなく、また、面材狭持部材が金属製収容部材にビス等で固定されたとしてもビスの頭部や先端が収容部内に突出する虞はない。このため、収容部に何ら突出させることなく面材狭持部材を金属製収容部材に取り付けることが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記金属製収容部材は、前記見込部の前記面内方向外側に、前記非金属製収容部材が挿入されて嵌合される挿入凹部を有し、前記面材狭持部材は、前記挿入凹部内に挿入されるとともに前記非金属製収容部材より前記面材側に配置されることが望ましい。
【0013】
このような建具によれば、面材狭持部材は、非金属製収容部材が挿入されて嵌合される挿入凹部に挿入されて、非金属製収容部材より面材側に配置されているので、挿入凹部に挿入された面材狭持部材は、金属製収容部材と非金属製収容部材とに狭持される。このため、面材狭持部材を金属製収容部材に安定した状態で取り付けることが可能である。
【0014】
かかる建具であって、前記延出壁部は、前記挿入凹部を構成することが望ましい。
【0015】
このような建具によれば、面材狭持部材は、当該面材狭持部材が挿入される挿入凹部を構成する延出壁部に係合又は固定されるので、金属製収容部材に面材狭持部材を取り付けるための部位を別途設ける必要がなく、非金属製収容部材が嵌合される挿入凹部を利用して金属製収容部材に面材狭持部材を取り付けることが可能である。このため、金属製収容部材の形状をより簡単な形状とすることが可能であるとともに、サイズもより小さく抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、面材が損傷しにくい建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る建具を説明するための縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る建具を説明するための横断面図である。
【図3】複層ガラスの右下隅における框本体への脱落防止金具の取り付け方法を説明するための縦断面図である。
【図4】複層ガラスの右下隅における框本体への脱落防止金具の取り付け方法を説明するための横断面図である。
【図5】本実施形態に係る建具への脱落防止金具の取り付け方法を説明するための斜視図である。
【図6】本実施形態に係る建具に脱落防止金具が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る建具の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の建具1は、図1、図2に示すように、室内外を仕切る面材としての複層ガラス5を備えた障子10と、この障子10が見付け方向に移動自在に取り付けられる枠体3とを備えた引き違い窓用の建具1である。
【0020】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を室内側から見たときに、枠体3及び障子10の上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向、面材としての複層ガラス5の室内または室外に臨む面に沿う方向を面内方向、として示す。また、枠体3や障子10を構成する部材は、単体の状態であっても建具1が建物等に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0021】
枠体3は矩形状をなすように、上下の横枠3a、3bと左右の縦枠3c、3dとが枠組みされた四方枠であり、建物の躯体(不図示)に固定されている。障子10は、室内側に設けられる内障子10aと、室外側に設けられる外障子10bとが枠体3に設けられたレールに案内されて移動可能に取り付けられている。
【0022】
障子10は、複層ガラス5と、複層ガラス5の周端部分5aを収容する収容部としてのガラス収容部9aを有する面材収容部材としての框体9と、金属製の面材狭持部材としての脱落防止部材25と、を有している。
【0023】
框体9は、上下の横框12、15の室外側の部位と左右の縦框18、21の室外側の部位とが矩形状に枠組みされて開口11aを形成し矩形状をなす金属製の框本体11と、上下の横框12、15の室内側の部位及び左右の縦框18、21の室内側の部位であり、框本体11に嵌合されて複層ガラス5を框本体11とともに狭持する4本の樹脂製のガラス保持部材14、17、20、23と、を有している。即ち、上下の横框12、15及び左右の縦框18、21は、いずれも室内側の部位と室外側の部位とが複層ガラス5を挟むように嵌合されて構成されている。そして、障子10は、框本体11側が室外側に位置し、ガラス保持部材14、17、20、23側が室内側に位置するように枠体3に取り付けられている。ここで、框本体11が金属製収容部材に相当し、4本の樹脂製のガラス保持部材14、17、20、23が非金属製収容部材に相当する。
【0024】
以下の説明では、上の横框12の室外側の部位を外上框部13、下の横框15の室外側の部位を外下框部16、左の縦框の18室外側の部位を外左框部19、右の縦框21の室外側の部位を外右框部22といい、上の横框12の室内側の部位を上ガラス保持部材14、下の横框15の室内側の部位を下ガラス保持部材17、左の縦框18の室内側の部位を左ガラス保持部20、右の縦框21の室内側の部位を右ガラス保持部材23ともいう。外上框部13、外下框部16、外左框部19、外右框部22は、いずれもアルミニウム製の押出成形部材であり、上ガラス保持部材14、下ガラス保持部材17、左ガラス保持部20、右ガラス保持部材23は、いずれも樹脂製の押出成形部材である。
【0025】
複層ガラス5は、ビスなどの連結部材やカシメ手段などによって矩形状に連結された框本体11と、框本体11の外左框部19、外右框部22の上下端部側に嵌合される4つの脱落防止部材25及び框本体11の外上框部13、外下框部16、外左框部19、外右框部22の各々に嵌合される4本のガラス保持部材14、17、20、23とに狭持される。4本のガラス保持部材14、17、20、23は、框本体11に取り付けられると、框本体11と同様の開口11aを形成して矩形状に配置され、框体9の開口11aは、複層ガラス5にて覆われている。
【0026】
複層ガラス5を、框本体11と4つの脱落防止部材25及び4本のガラス保持部材14、17、20、23にて狭持する構造はいずれも同じなので、ここでは、外障子10bにおける複層ガラス5の右下部分、即ち召合せ框側の下部にて框本体11の外下框部16及び外右框部22と下ガラス保持部材17及び右ガラス保持部材23にて狭持されている状態を例に挙げて説明する。
【0027】
以下の説明では、外下框部16と下ガラス保持部材17において上側は、矩形状をなす框本体11の開口11aにおける中央側(複層ガラス5の面内方向内側)に相当する。開口11aにおける中央側は、例えば外上框部13では下側、外左框部19では右側、外右框部22では左側に相当する。また、外下框部16及び下ガラス保持部材17において下は、矩形状をなす框本体11の開口11aにおける外周側(複層ガラス5の面内方向外側)に相当する。開口11aにおける外周側は、例えば外上框部13では上側、外左框部19では左側、外右框部22では右側に相当する。
【0028】
外下框部16は、図3に示すように、外下框部16に嵌合される下ガラス保持部材17とともに複層ガラス5の周端部分5aを収容するガラス収容部9aを構成し、収容された複層ガラス5の下側の外周端面としての周端下面5cと対向する、下の横框15における見込部としての下面対向部16aと、下面対向部16aの室外側の端部から、収容される複層ガラス5の中央側に延出された、下の横框15における室外側見付部としての下延出部16bと、下面対向部16aの室内側の端部から、上下方向に延設された室内延設壁部16cと、室内延設壁部16cの上下端部にそれぞれ設けられ、下ガラス保持部材17の嵌合片17aが嵌合される嵌合部16dとを有している。下延出部16bの先端側、即ち複層ガラス5の中央側であって複層ガラス5と対向する部位には、弾性を有するシール材30が設けられている。
【0029】
下ガラス保持部材17は、外下框部16に取り付けられて下延出部16b及び室内延設壁部16cと間隔を隔てて対向する室内側下壁部17bと、室内側下壁部17bの上下方向における中央及び下端から室外側に突出されて外下框部16の嵌合部16dに嵌合する嵌合片17aとを有している。室内側下壁部17bの先端側、即ち複層ガラス5の中央側であって複層ガラス5と対向する部位が、下の横框15における室内側見付部に相当し、下の横框15における室内側見付部の室外側には、弾性を有するシール材30が設けられている。
【0030】
外右框部22は、図4に示すように、外右框部22に嵌合される右ガラス保持部材23とともに複層ガラス5の周端部分5aを収容するガラス収容部9aを構成し、収容された複層ガラス5の右側の外周端面としての周端側面5bと対向する、右の縦框21における見込部としての側面対向部22aと、側面対向部22aの室外側の端部から、収容される複層ガラス5の中央側に延出された、右の縦框21における室外側見付部としての右延出部22bと、側面対向部22aの見込み方向における中央より室外側の位置から、複層ガラス5の面内方向外側の部位から当該面内方向外側に向かって延出する延出壁部22cと、延出壁部22cの外周側の端部から室内側に延出されて右ガラス保持部材23の嵌合片23aが嵌合される嵌合壁部22dと、を有している。側面対向部22aの延出壁部22cより室内側の部位と、延出壁部22cと、嵌合壁部22dとにて右ガラス保持部材23の嵌合片23aが挿入される挿入凹部22eが形成されている。また、延出壁部22cには、上端部側と下端部側とに、それぞれ脱落防止部材25の挿入板部25eが挿入されるスリット22gが側面対向部22aに沿うように設けられており、嵌合壁部22dには、嵌合片23aの突起23bが係止される係止凹部22fが設けられている。右延出部22bの先端側、即ち複層ガラス5の中央側であって複層ガラス5と対向する部位には、弾性を有するシール材30が設けられている。
【0031】
右ガラス保持部材23は、外右框部22に取り付けられて右延出部22bと間隔を隔てて対向する室内側右壁部23cと、室内側右壁部23cの外周側の端から室外側に、ほぼ直角に延出されて外右框部22に嵌合される嵌合片23aとを有している。嵌合片23aには、外周側に突出させて外右框部22の係止凹部22fに係止される突起23bが設けられている。室内側右壁部23cの先端側、即ち複層ガラス5の中央側であって複層ガラス5と対向する部位が、右の縦框21における室内側見付部に相当し、右の縦框21における室内側見付部の室外側には、弾性を有するシール材30が設けられている。
【0032】
脱落防止部材25は、アルミニウム製の部材であり、複層ガラス5の四隅に配置される。四隅に配置される4つの脱落防止部材25のうち、複層ガラス5の左側又は右側にて上下に配置される2つの脱落防止部材25は、上下が反転された対称の形状をなし、複層ガラス5の上側又は下側にて左右に配置される2つの脱落防止部材25は、左右が反転された対称の形状をなしている。即ち、複層ガラス5の対角に配置される脱落防止部材25は同一の形状をなしている。
【0033】
脱落防止部材25は、1枚の板材が折り曲げられて形成されており、複層ガラス5の右下隅に配置される脱落防止部材25は、框体9の内周側にて、複層ガラス5の下に配置され複層ガラス5の周端下面5cと対向する下板部25aと、下板部25aの室内側の縁から上方に延出されて複層ガラス5の室内側の面と対向する下対向板部25bと、下板部25aと繋がってほぼ直角に折り曲げられ複層ガラス5の右側に配置されて複層ガラス5の右側の周端側面5bと対向する右板部25cと、右板部25cの室内側の縁から積層ガラス5の中央側、即ち左側に延出されて複層ガラス5の室内側の面と対向する右対向板部25dと、右対向板部25dの右板部25cより上方に延出された部位の右縁から室外側に延出されてほぼ直角をなし、外右框部22に設けられた挿入凹部22eに挿入される挿入板部25eと、を有している。右板部25cと挿入板部25eとは、上下に位置するとともに、左右方向に外右框部22が有する側面対向部22aの厚み分の間隔を隔てて、挿入板部25eが右板部25cの外周側に位置するように、右対向板部25dがほぼ直角に折り曲げられている。
【0034】
また、挿入板部25eのほぼ中央には、挿入板部25eの先端側(室外側)から曲げ元側(室内側)に向かって、漸次挿入板部25eから離れるように曲げ起こされ係合曲部25fが設けられている。この係合曲部25fは、脱落防止部材25の挿入板部25eが外右框部22に設けられた挿入凹部22eに挿入されて、延出壁部22cに設けられたスリット22gに挿通されると、延出壁部22cの室外側の面と係合して脱落防止部材25が保持される部位である。このため、係合曲部25fの先端は、左右方向におけるスリット22gの幅より大きく挿入板部25eから離れた位置に至るように曲げ起こされている。
【0035】
脱落防止部材25は、ビスなどの連結部材やカシメ手段などによって矩形状に連結された框本体11の内周側に複層ガラス5が配置された状態で取り付けられる。例えば、複層ガラス5の右下隅に脱落防止部材25を取り付ける場合には、図5に示すように、下板部25aを複層ガラス5の周端下面5cと外下框部16の下面対向部16aとの間に、また、右板部25cを複層ガラス5の周端側面5bと外右框部22の側面対向部22aとの間に、それぞれ挿入しつつ挿入板部25eを外右框部22の挿入凹部22eに挿入する。このとき、挿入板部25eの先端側がスリット22gを挿通し、挿入凹部22e内の延出壁部22cより奥側に至る際に、曲げ起こされている係合曲部25fが弾性変形して曲げ戻されて、係合曲部25fの挿入板部25eからの突出量がスリット22gの幅となってスリット22gを通過する。そして、係合曲部25fが延出壁部22cを通過すると係合曲部25fの突出量が元に戻ることにより、脱落防止部材25が外右框部22に取り付けられる。
【0036】
脱落防止部材25を外右框部22に取り付けた後に、右ガラス保持部材23の嵌合片23aを外右框部22の挿入凹部22eに挿入し、嵌合片23aの突起23bを係止凹部22fにて係止して、脱落防止部材25を覆うように右ガラス保持部材23を外右框部22に取り付ける。すなわち、脱落防止部材25は、右ガラス保持部材23が挿入されて嵌合される挿入凹部22eに挿入されて、右ガラス保持部材23より複層ガラス5側に配置される。
【0037】
本実施形態の建具1によれば、複層ガラス5は、四隅にて金属製の外上框部13、外下框部16、外左框部19、外右框部22と、外左框部19及び外右框部22に取り付けられる金属製の脱落防止部材25との間に介在される。例えば、複層ガラス5の右下隅では、外下框部16及び外右框部22と、これらと対向する、脱落防止部材25の下対向板部25b及び右対向板部25dとの間に複層ガラス5が介在される。このため、たとえ樹脂製の4本のガラス保持部材14、17、20、23が火炎等に晒されて溶融しても、複層ガラス5が脱落することを防止することが可能である。また、脱落防止部材25は、ガラス収容部9aの外側にて外左框部19及び外右框部22に取り付けられているので、複層ガラス5の周端部分5aが収容されるガラス収容部9a内には、脱落防止部材25と外左框部19及び外右框部22との取付部等の突出する部位は存在しない。このため、障子10及び障子10を備えた建具1の製造時、搬送時、施工時に複層ガラス5が移動することがあっても、複層ガラス5が突出部等と接触しないので、複層ガラス5が損傷し難い障子10及び建具1を提供することが可能である。
【0038】
また、複層ガラス5の周端部分5aが収容されるガラス収容部9a内に脱落防止部材25と外左框部19及び外右框部22との取付部等の突出する部位が存在しないので、ガラス収容部9a及びガラス収容部9aを有する上下の横框12、15及び左右の縦框18、21のサイズを小さくすることが可能である。このため、障子10のサイズを小さくしたり、同一サイズの障子10において複層ガラス5をより広く露出させることが可能である。
【0039】
また、外左框部19及び外右框部22にて形成され、複層ガラス5の周端側面5bと対向する側面対向部22a(外左框部19の側面対向部は不図示)の、複層ガラス5の面内方向における外側の部位から当該面内方向における外側に向かって延出された延出壁部22c(外左框部19の延出壁部は不図示)に、脱落防止部材25が係合されているので、例えば、脱落防止部材25と外左框部19及び外右框部22とがフック部のような係合片により延出壁部22cに係合されていたとしてもフック部等の係合片がガラス収容部9aに突出する虞はない。このため、ガラス収容部9aに何ら突出させることなく脱落防止部材25を外左框部19及び外右框部22に取り付けることが可能である。
【0040】
また、脱落防止部材25は、左ガラス保持部材17及び右ガラス保持部材23が挿入されて嵌合される挿入凹部22e(外左框部19の挿入凹部は不図示)に挿入されて、左ガラス保持部材17及び右ガラス保持部材23より複層ガラス5側に配置されているので、脱落防止部材25は、挿入凹部22eにて外左框部19及び外右框部22と左ガラス保持部材17及び右ガラス保持部材23とに狭持される。このため、脱落防止部材25を框本体11の外左框部19及び外右框部22に安定した状態で取り付けることが可能である。
【0041】
また、脱落防止部材25は、当該脱落防止部材25が挿入される挿入凹部22eを構成する延出壁部22cに係合されるので、外左框部19及び外右框部22に脱落防止部材25を取り付けるための部位を別途設ける必要がなく、左ガラス保持部材17及び右ガラス保持部材23が嵌合される挿入凹部22eを利用して外左框部19及び外右框部22に脱落防止部材25を取り付けることが可能である。このため、外左框部19及び外右框部22の形状をより簡単な形状とすることが可能であるとともに、サイズもより小さく抑えることが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、脱落防止部材25の挿入板部25eを挿入凹部22eに挿入してスリット22gに挿通し、係合曲部25fを延出壁部22cに係合させて脱落防止部材25を框本体11に取り付ける例について説明したが、これに限るものではない。例えば、延出壁部を左右方向に広く形成し、挿入板部の先端側を延出壁部と対面するように折り曲げて形成し、挿入板部の先端側を延出壁部にビスなどの固定具により固定しても良い。
【0043】
上記実施形態においては、面材を複層ガラス5として説明したが、これに限るものではなく、例えば、単板のガラスや耐熱樹脂、金属板等であっても構わない。
【0044】
また、上記実施形態においては、非金属製収容部材を樹脂製としたが、これに限らず木製等でも構わない。
【0045】
上記実施形態では、引き違い窓用の建具1を例に挙げて説明したが、面材が框の金属製の部位と金属製の面材狭持部材とにより保持される構造でれば、たとえば、開き窓、辷り出し窓及びFIX窓など、建具の種類は何れの形態であっても構わない。なお、FIX窓の場合では、躯体に固定される開口枠が保持部材となり、その開口枠内に面材を設ける構成となる。
【0046】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 建具、3 枠体、5 複層ガラス、5a 周端部分、5b 周端側面5b、
5c 周端下面、9框体、9a ガラス収容部、10 障子、11 框本体、
12 上の横框、13 外上框部、14 上ガラス保持部材、15 下の横框、
16 外下框部、16a 下面対向部、16b 下延出部、17 下ガラス保持部材、
17b 室内側下壁部、18 左の縦框、19 外左框部、20 左ガラス保持部材、
21 右の縦框、22 外右框部、22a 側面対向部、22b 右延出部、
22c 延出壁部、23 右ガラス保持部材、23a 嵌合片、23c 室内側右壁部、25 脱落防止部材、25e 挿入板部、25f 係合曲部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を仕切る面材と、前記面材を収容する収容部を有する面材収容部材と、を有する建具であって、
前記収容部は、前記面材の面内方向における外周端面と対向する見込部と、前記面材の室外側の面と対向する室外側見付部と、前記面材の室内側の面と対向する室内側見付部と、を有し、
前記面材収容部材は、前記見込部と前記室外側見付部とを有する金属製収容部材と、前記室内側見付部を有し前記金属製収容部材とともに前記収容部を形成する非金属製収容部材と、を有しており、
前記面材は、当該面材を介して前記金属製収容部材と対向する部位を有し前記見込部の前記面内方向外側にて前記金属製収容部材に取り付けられる金属製の面材狭持部材と、金属製収容部材と、にて狭持されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記見込部は、当該見込部の前記面内方向外側の部位から前記面内方向外側に向って延出する延出壁部を有し、
前記面材狭持部材は、前記延出壁部に係合または固定されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建具であって、
前記金属製収容部材は、前記見込部の前記面内方向外側に、前記非金属製収容部材が挿入されて嵌合される挿入凹部を有し、
前記面材狭持部材は、前記挿入凹部内に挿入されるとともに前記非金属製収容部材より前記面材側に配置されることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記延出壁部は、前記挿入凹部を構成することを特徴とする建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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