説明

建屋内外部通信伝送路及び外部通信ケーブル敷設方法

【課題】建屋に床の穴開けなどの大規模工事をすることなく、縦配線路のサポート数を少なくして、建屋の居住者に光ケーブルを短期間にかつ低コストの工事で、敷設することにある。
【解決手段】外部通信ケーブル3を各階に設けられた分配器11に接続する建屋内外部通信伝送路において、各階の天井裏52に接する昇降路壁32または天井裏52の中に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタ8と分配器11とを同一階において接続する分配器接続ケーブル7と、各外部通信ケーブル接続コネクタ8間を接続するために昇降路30内に配置された外部通信渡りケーブル5を設置する。外部通信ケーブル接続コネクタ8は、各階の床上と接する昇降路壁32、床上に設けられた接続箱55の中、各階の上げ床部と接する昇降路壁32または上げ床内部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋内に設けられる外部との通信伝送路及び建屋内での通信ケーブルの敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットなどの普及に伴って、高速大容量の通信伝送路は必須の要件となりつつある。また、従来このような大容量通信伝送路が必要なかった中小の事務所ビルあるいは集合住宅などにおいてもその必要性が増してきている。これらの通信伝送路は、LAN(Local Area Network)の利用等を目的として光ケーブルを敷設することによって構成することが多くなされている。
【0003】
図5に光ケーブルによる通信伝送路網を示す。基幹光ケーブル101によって各基幹局107が接続され基幹光ネットワークが形成される。各基幹局107には基幹分配器108が設けられ、基幹光ケーブ101を各幹線光ケーブル102に分岐する。各幹線光ケーブル102は分岐点109にて各建物114に向かう支線光ケーブル103を分岐する。各支線光ケーブル103は各建物114の主配線盤110に接続される。主配線盤110からは建屋内光ケーブル104によって建物各階の分配器111に接続され、各分配器から個別光ケーブル106によって各個の端末112に接続されている。各個別の住宅117に接続する時には、幹線光ケーブル102の分岐点109から光ドロップケーブル116によって接続器113に接続され、ここから屋内の個別光ケーブル106によって各個の端末112に接続される。
【0004】
上記の基幹光ケーブル101、幹線光ケーブル102、支線光ケーブル103、建屋内光ケーブル104は、複数の大容量あるいは中小容量回線であることから、図6(a)のように、数十から数百のテープ心線121を溝つきスペーサ122のスロット126に収容し外面を押さえ巻き124およびポリエチレンシース125で覆ったテープスロット型ケーブル120が用いられる。また、個別光ケーブル106には図6(b)のような1つのテープ心線121の周りをポリエチレンシース125で覆ったインドアケーブル130が用いられる。テープ心線121は石英ガラスでできている非常に脆弱な光ファイバを保護するために、その周囲を紫外線硬化樹脂で覆った心線を複数本並べてさらに紫外線硬化樹脂で覆ったものである。また、光ケーブルの敷設時に光ファイバに張力がかかり破損することを防止するためにテープスロット型ケーブル、インドアケーブルともに鋼線からなるテンションメンバ123が埋め込まれている。
【0005】
光ファイバはその特性上、曲がると伝播特性が劣化したり、破損が生じたりすることから、各ケーブルに最小曲げ半径が規定されている。幹線光ケーブル102に用いられる、数百心をまとめた大容量のテープスロット型ケーブルではその最小曲げ半径は300〜600mm、支線光ケーブル103、建屋内光ケーブル104に用いられる数十心をまとめた中小容量のテープスロット型ケーブルでもその最小曲げ半径は100〜200mmで、個別光ケーブル106に用いられる単心のインドアケーブルでは15〜30mm程度となっている。このため、建屋内光ケーブル104は専用の直線状の縦配線路に設置され、分配器からの個別光ケーブル106は各個への曲げ配管の中に設置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
古いビル、あるいは中小の事務所ビルあるいは集合住宅はこのような光ファイバケーブルによる高速大容量の通信伝送路を設置することを考慮した設計となっていないため、上記のような直線状の縦配線路を設置できるようなスペースがなく、光ファイバケーブルによる高速大容量の通信伝送路を敷設できない状況が発生してきている。いくつかの曲がり配線路がある場合には、主配線盤110のそばに分配器111を配置し、そこから各個の端末まで個別光ケーブル106を敷設することが考えられるが、少数のケーブルの場合は可能であっても、数百箇所もの端末があるビルや集合住宅では、このような大規模な個別光ケーブルを設置することは困難で、実質的には光ファイバケーブルによる高速大容量の通信伝送路を敷設することは非常に困難であった。
【0007】
そこで、このような建物内へ光ケーブルを敷設する場合は、建物の各階の床に穴開けし、建物の縦方向に光ケーブルを敷設する縦配線路を設けていた。そのために、まず各階の床をX線による非破壊検査等で検査して、床の中に埋め込まれている電気ケーブルや配管の位置を事前調査し、それらの場所を避けて床に穴開け施工して、その穴に直線状の縦配線管を設置して、配管中に光ケーブルを敷設する方法が行われている。
【0008】
しかし、建物の各階の床に穴開け施工を行うことは、非破壊検査等による事前調査と床が厚いことによる大規模工事が必要になることから、工期とコストが増大するという問題があった。また、光ファイバケーブルは光ファイバに張力を掛けないように設置することが必要なことから、縦配線路に多くのサポートをとることが必要で、工期とコストが増大するという問題があった。
【0009】
そこで、建屋に床の穴開けなどの大規模工事をすることなく、縦配線路のサポート数を少なくして、建屋の居住者に光ケーブルを短期間にかつ低コストの工事で、敷設することが可能な建屋内外部通信伝送路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、外部通信ケーブルを各階に設けられた分配器に接続する建屋内外部通信伝送路において、各階の天井裏に接する昇降路壁または天井裏の中に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、各外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルとを含む建屋内外部通信伝送路によって達成することができる。そして、外部通信ケーブル接続コネクタは、各階の床上と接する昇降路壁または、床上に設けられた接続箱の中に設けられてもよいし、各階の上げ床部と接する昇降路壁または上げ床内部に設けられてもよい。
【0011】
本発明の目的は、各階の昇降路内に設けられた分配器に接続する建屋内外部通信伝送路において、各階の昇降路壁に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、各外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルとを含む建屋内外部通信伝送路によって達成することができる。
【0012】
さらに、本発明の目的は、各階に設けられた天井裏の中に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと各階に設けられた分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、各外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルとを有する建屋内外部通信伝送路の外部通信渡りケーブルの敷設方法であって、上方階の天井裏の昇降壁の孔に、曲がり管状のケーブル挿入ガイドを、天井裏側を略水平にし、昇降路内側を略垂直下向きとなるように設定する工程と、下方階の天井裏の昇降壁の孔に、曲がり管状のケーブル引き出しガイドを、天井裏側を略水平にし、昇降路内側を略垂直上向きで、ケーブル挿入ガイドの出口とケーブル引き出しガイドの受け口が対向する位置になるように設定する工程と、上方階のケーブル挿入ガイドに外部通信渡りケーブルを挿入し、下方階のケーブル引き出しガイドの天井裏側から外部通信渡りケーブルを引き出す工程とを備えることを特徴とする外部通信渡りケーブルの敷設方法によっても達成することができる。下方階のケーブル引き出しガイドの天井裏から外部通信渡りケーブルを引き出す工程において、下方階のケーブル引き出しガイドの呼び出し用操作盤側から吸引機で外部通信渡りケーブルを吸引し、引き出ししてもよいし、外部通信ケーブル接続コネクタは、各階床上に設けられた接続箱の中に設けられ、床上に設けられた接続箱と昇降路との間の昇降路壁の孔に、ケーブル挿入ガイド及びケーブル引き出しガイドを設けることとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による建屋内外部通信伝送路は、建屋の昇降機の昇降路内に外部通信ケーブルを配置するため、床の非破壊検査等による事前調査や穴開け施工が不要で光ケーブルの敷設が容易になり、建屋内の居住者に外部通信伝送路を短期間にかつ低コストの工事で、敷設することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図、図2は本発明の第2の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図、図3は本発明の第3の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図である。
【実施例1】
【0015】
図1は、建屋1の中に設置された昇降機2の昇降路30とその中に配置された、昇降機の制御用ケーブル配置と建屋内外部通信伝送路を示している。建屋1は、複数の階を有し、その複数の階を連絡するために昇降機2が設置されている。昇降機2は建屋1に設けられた昇降路30の中を上下に移動するように設置され、昇降路30の最上部の機械室31には昇降機を駆動するための巻き上げ機などの駆動機構及び昇降機制御盤20が設置され、昇降機制御盤20と各階の呼び出し操作盤(図示していない)は昇降機制御ケーブル21で接続されている。
【0016】
外部の幹線通信路から分岐した外部通信ケーブル3は建屋1の中に引き込まれ、建屋内の主配線盤10に接続されている。建屋の各階にはケーブルを各個に分配する分配器11が設置されている。主配線盤10と分配器11とは、一端に主配線盤側建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9bが取り付けられた建屋内外部通信ケーブル4と、一端に分配器側外部建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9aが取り付けられた分配器接続ケーブル7によって接続されている。主配線盤側建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9bと分配器側外部建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9aが取り付けられた建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9は、取り付けケース35によって床50と天井51の間にある天井裏52に接する昇降路壁32に固定されている。また、分配器11相互間は、一端に分配器側外部通信ケーブル接続コネクタ8aが取り付けられた分配器接続ケーブル7と一端に渡りケーブル側外部通信ケーブル接続コネクタ8bが取り付けられた外部通信渡りケーブル5によって、昇降路30の中で接続されている。このように各階の分配器11は順次主配線盤10に接続され各階への外部通信伝送路が形成されている。渡りケーブル側外部通信ケーブル接続コネクタ8bと分配器側外部通信ケーブル接続コネクタ8aとを有する外部通信ケーブル接続コネクタ8は、取り付けケース35に収容され床50と天井51の間にある天井裏52に接する昇降路壁32に固定されている。各階の分配器11と各個の端末12の間は個別接続ケーブル13によって接続されている。各階の分配器11は各階の部屋の内部に設置してもよいし、天井裏52に設置してもよい。天井裏52に分配器11を設置した場合は、分配器接続ケーブル7、及び個別接続ケーブル13は天井裏52に配線することができる。
【0017】
建屋内外部通信ケーブル4、外部通信渡りケーブル5は、数十心をまとめた中小容量のテープスロット型ケーブルが用いられるため、最小曲げ半径が100〜200mmとなるように昇降路内に配置される。また、分配器接続ケーブル7も同様のテープスロット型ケーブルが用いられる。一方、個別接続ケーブル13は最小曲げ半径は15〜30mm単心のインドアケーブルが用いられるので、分配器11から既設の電話回線配管などの曲がり配管内に自在に配置される。
【0018】
本発明の第1の実施形態によると、最小曲げ半径が100〜200mmの数十心をまとめた中小容量のテープスロット型ケーブルを床に穴を開けずに配置できることから、床の非破壊検査等による事前調査や穴開け施工が不要で光ケーブルの敷設が容易になり、建屋内の居住者に外部通信伝送路を短期間にかつ低コストの工事で、敷設することができるという効果を奏する。また、各階を接続する渡りケーブルは長さが各階高程度であることから、コネクタ間のケーブル重量は軽量で別途ケーブルサポートを設置しなくとも光ファイバを損傷することがないので、特別なサポートなしでケーブルを敷設することができ、現場作業を低減し工事を短期間にすることができるという効果を奏する。さらに、空きスペースである天井裏スペースを分配器接続ケーブル7や個別接続ケーブル13の配線スペースとして利用できることから配線が容易になる上、分配器11や配線を目立たなくする美観上の効果がある。さらに、第三者の手が届かない場所にこれらの機器を設置することができることから、第三者のいたずらを防止することができる効果がある。
【実施例2】
【0019】
本発明の第2の実施形態について図2を参照しながら説明する。第1の実施形態と同様の部分については同様の符号を用い説明は省略する。
【0020】
第2の実施形態は、外部通信ケーブル接続コネクタ8は取り付けケース35に収納されて床50に接する昇降路の壁に固定されているか、あるいは、床50の上のポスト54の上に床板53を載せて構成された上げ床と接する昇降路壁32に固定されているか、床50に設置された接続箱55の中に固定されている。本実施形態は第1の実施形態と同様の効果を奏するほか、外部通信ケーブル接続コネクタ8が取り付けケース35に収納されて床50に接する昇降路の壁に固定されている場合には、分配器接続ケーブル7は床上に敷設されたカーペットの下に配設するアンダーカーペット配線とされ、分配器11までの配線を目立たなくすることができる効果を奏する。また、配線を床上において処理することができることから、設置工事の作業性が優れ、工事が容易になるという効果を奏する。外部通信ケーブル接続コネクタ8が上げ床と接する昇降路壁32に固定された場合には、分配器接続ケーブル7は上げ床の中を通すことができること、配線を床上において処理することができることから、上記と同様、設置工事の作業性が優れ、工事が容易になるという効果を奏する。床上の接続箱55に接続した場合も上記同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0021】
本発明の第3の実施形態について図3を参照しながら説明する。第1、第2の実施形態と同様の部分については同様の符号を用い説明は省略する。
【0022】
本発明の第3の実施形態では、建屋1の各階の昇降路30の中にケーブルを各個に分配する分配器11が設置され、分配器11と室内側の端末12は昇降路壁32の壁孔34を貫通する個別接続ケーブル13にて接続されている。主配線盤10と分配器11とは昇降路30の中で建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ9を介して分配器接続ケーブル7と建屋内外部通信ケーブル4とで接続され、分配器11間は昇降路30内に設置された外部通信ケーブル接続コネクタ8を介して分配器接続ケーブル7と外部通信渡りケーブル5によって接続されている。壁孔34は利用する場所にもっとも近く、配線が容易な場所から取り出すように複数の孔としてもよい。
【0023】
このように、昇降路30の中に分配器11を配置する場合には、第1の実施形態の効果に加えて、分配器11を室内に設置するスペースが必要ないので、室内スペースに余裕がない場合でも外部通信伝送路の設置が容易にできること、及び分配器11を第三者の目に触れないところに配置することができることから、第三者のいたずらを防止することができるという効果を奏する。さらに複数の壁孔34を設けた場合には、分配器11から各端末12へ最短距離で個別接続ケーブル13の設置を行うことができることから、個別ケーブルの長さを短くできると共に、曲がりを少なくすることによって伝送品質の低下を防止することが容易になるという効果を奏する。
【実施例4】
【0024】
今までの第1、第2、第3の実施形態は外部通信伝送路の設置形態に関するものであるが、第4の実施形態は床に穴を開けないで上記のケーブルを敷設する方法に関するものである。
【0025】
以下、第4の実施形態について、図4を参照しながら説明する。ケーブルの敷設は次のような手順で行う。
(1)上部の階の天井裏52に接する昇降路30の昇降路壁32に壁孔34を開ける。また、必要に応じて天井51の板の一部を取り外し作業スペースを確保する。
(2)開けた壁孔34に天井裏52からケーブル挿入ガイド41を挿入する。ケーブル挿入ガイド41は曲り管状のもので、曲り半径は、外部通信渡りケーブル5の最小曲げ半径以上となっている。ケーブル挿入ガイド41は孔に挿入後、昇降路内側が略垂直下向きになるように位置を調整し、固定する。
(3)ケーブルを配線しようとする下側の階の天井裏52に接する昇降路30の昇降路壁32にも上部の階と同様、壁孔34を開ける。また、必要に応じて天井51の板の一部を取り外し作業スペースを確保する。壁孔34は上部の階のものよりも大きいものとしておく。
(4)開けた壁孔34にケーブル引き出しガイド42を挿入する。ケーブル引き出しガイド42も曲り管状のもので、曲り半径は、外部通信渡りケーブル5の最小曲げ半径以上となっており、先端に漏斗状の受け口43を有している。ケーブル引き出しガイド42は孔に挿入後、受け口43が略垂直上向きで、ケーブル挿入ガイド41と受け口43が対向するように位置を調整し、固定する。
(5)ケーブル引き出しガイド42の室内側にジャバラダクト45を接続する。吸引機46を下側の階の床50の上に配置し、吸引機46にジャバラダクト45を接続する。
(6)外部通信渡りケーブル5の先端にスポンジボール等の弾性体44を取り付け、上部の階のケーブル挿入ガイド41から挿入する。
(7)吸引機46を運転し、昇降路30の空気をケーブル引き出しガイド42から吸い込む。このときに外部通信渡りケーブル5の先端に取り付けたスポンジボール等の弾性体44を同時に受け入れ口43から吸い込み、外部通信渡りケーブル5をケーブル取り出しガイド42の中に取り込む。
(8)外部通信渡りケーブル5の先端がケーブル引き出しガイド42から出てきたところで、吸引機46の運転を停止し、ジャバラダクト45を取り外して、外部通信渡りケーブル5を取り出した後、ケーブル挿入ガイド41、ケーブル引き出しガイド42を取り外す。このとき、ケーブル挿入ガイド41、ケーブル引き出しガイド42は昇降機の運行に支障がなければ取り外さなくてもよい。
(9)外部通信渡りケーブル5の両端に外部通信ケーブル接続コネクタ8を取り付けて、第1の実施形態と同様分配器11と接続する。
【0026】
本発明の第4の実施形態によると、床に穴を開けず、しかも昇降路内に入らなくとも外部通信ケーブルの敷設が可能であることから、床の非破壊検査等による事前調査や穴開け施工が不要で光ケーブルの敷設が容易になり、建屋内の居住者に外部通信伝送路を短期間にかつ低コストの工事で、敷設することができるという効果を奏する。また、昇降路内に入らなくとも作業できることから、工事のために昇降機を停止させる期間を最短にすることができ、建屋の居住者等の不便を最小にしてケーブルを敷設することができるという効果を奏する。さらに、第1の実施形態と同様、各階を接続する渡りケーブルは長さが各階高程度であることから、コネクタ間のケーブル重量が軽く、別途ケーブルサポートを設置することなくケーブルを敷設することができるので、現場作業を低減し工事を短期間にすることができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明はエレベータなどの人貨用の昇降機の昇降路に限らず、小荷物専用昇降機や、自動車用エレベータなどの昇降路に外部通信伝送路を敷設する場合にも同様に適用することができる。また、主配線盤10は建屋の下部に設置した場合に限らず建屋の上部の機械室31の中など、どこに設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の建屋内外部通信伝送路の説明図である。
【図4】本発明による外部通信渡りケーブルの敷設方法の説明図である。
【図5】光ケーブルによる通信伝送路網の概念図である。
【図6】光ファイバケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 建屋、2 昇降機、3 外部通信ケーブル、4 建屋内外部通信ケーブル、5 外部通信渡りケーブル、7 分配器接続ケーブル、8 外部通信ケーブル接続コネクタ、8a 分配器側外部通信ケーブル接続コネクタ、8b 渡りケーブル側外部通信ケーブル接続コネクタ、9 建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ、9a 分配器側外部建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ、9b 主配線盤側建屋内外部通信ケーブル接続コネクタ、10 主配線盤、11 分配器、12 端末、13 個別接続ケーブル、20 昇降機制御盤、21 昇降機制御ケーブル、30 昇降路、31 機械室、32 昇降路壁、34 壁孔、35 取り付けケース、41 ケーブル挿入ガイド、42 ケーブル引き出しガイド、43 受け口、44 弾性体、45 ジャバラダクト、46 吸引機、50 床、51 天井、52 天井裏、53 床板、54 ポスト、55 接続箱、103 支線光ケーブル、104 建屋内光ケーブル、106 個別光ケーブル、110 主配線盤、111 分配器、112 端末、113 接続器、114 建物、121 テープ心線、122 溝つきスペーサ、123 テンションメンバ、124 押さえ巻き、125 ポリエチレンシース、126 スロット、130 インドアケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信ケーブルを各階に設けられた分配器に接続する建屋内外部通信伝送路において、
各階の天井裏に接する昇降路壁または天井裏の中に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと前記分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、
各前記外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルと、
を含む建屋内外部通信伝送路。
【請求項2】
外部通信ケーブル接続コネクタは、各階の床上と接する昇降路壁または、床上に設けられた接続箱の中に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の建屋内外部通信伝送路。
【請求項3】
外部通信ケーブル接続コネクタは、各階の上げ床部と接する昇降路壁または上げ床内部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の建屋内外部通信伝送路。
【請求項4】
外部通信ケーブルを各階の昇降路内に設けられた分配器に接続する建屋内外部通信伝送路において、
各階の昇降路壁に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと前記分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、
各前記外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルと、
を含む建屋内外部通信伝送路。
【請求項5】
各階に設けられた天井裏の中に設けられた外部通信ケーブル接続コネクタと各階に設けられた分配器とを同一階において接続する分配器接続ケーブルと、
各前記外部通信ケーブル接続コネクタ間を接続するために昇降路内に配置された外部通信渡りケーブルと、
を有する建屋内外部通信伝送路の外部通信渡りケーブルの敷設方法であって、
上方階の天井裏の昇降路壁の孔に、曲がり管状のケーブル挿入ガイドを、天井裏側を略水平にし、昇降路内側を略垂直下向きとなるように設定する工程と、
下方階の天井裏の昇降路壁の孔に、曲がり管状のケーブル引き出しガイドを、天井裏側を略水平にし、昇降路内側を略垂直上向きで、前記ケーブル挿入ガイドの出口と前記ケーブル引き出しガイドの受け口が対向する位置になるように設定する工程と、
前記上方階のケーブル挿入ガイドに外部通信渡りケーブルを挿入し、前記下方階のケーブル引き出しガイドの天井裏側から前記外部通信渡りケーブルを引き出す工程と、
を備えることを特徴とする外部通信渡りケーブルの敷設方法。
【請求項6】
下方階のケーブル引き出しガイドの天井裏から外部通信渡りケーブルを引き出す工程は、前記下方階のケーブル引き出しガイドの呼び出し用操作盤側から吸引機で前記外部通信渡りケーブルを吸引し、引き出しすること、
を特徴とする請求項5に記載の外部通信渡りケーブルの敷設方法。
【請求項7】
外部通信ケーブル接続コネクタは、各階床上に設けられた接続箱の中に設けられ、床上に設けられた接続箱と昇降路との間の昇降路壁の孔に、ケーブル挿入ガイド及びケーブル引き出しガイドを設けること、
を特徴とする請求項6または7に記載の外部通信渡りケーブルの敷設方法。
【請求項8】
外部通信ケーブル接続コネクタは、各階の上げ床の中に設けられ、上げ床と昇降路との間の昇降路壁の孔に、ケーブル挿入ガイド及びケーブル引き出しガイドを設けること、
を特徴とする請求項6または7に記載の外部通信渡りケーブルの敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−121617(P2007−121617A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312638(P2005−312638)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】