説明

建物の屋根構造

【課題】太陽光発電パネルを屋根瓦代わりにし、太陽光のエネルギを電力に変換する太陽光発電と、屋根構造の簡素化の両立が図れる建物の屋根構造の提供。
【解決手段】太陽光発電パネル1と、太陽光発電パネルの矩形形状に、ほぼ一致するように縦梁と横梁とが格子状に形成され、水平面に対して所定の角度傾斜している屋根梁5とからなる建物の屋根構造である。太陽光発電パネルは、四方の外周端部が、格子状の屋根梁に当接して屋根梁で形成される空間を覆う屋根材を構成するものであり、太陽光発電パネルの四方の端部に、各々、設けられ、太陽光発電パネルを屋根梁側に押圧する押さえ板部材8と、太陽光発電パネルと押さえ板部材との間に、かつ、太陽光発電パネルの端面間の間隙を覆うように設けられ、合わせ目間から水が侵入することを防止するための防水部材7と、押さえ板部材を、屋根梁に締結固定するための締結部材26とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルを屋根瓦代わりにし、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽光発電と、屋根構造の簡素化の両立を図るとともに、太陽光発電パネルを設置するときの安全性、作業性を向上させることができる建物の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電パネルは、建築した屋根の上部に設置する方法が一般的であり、太陽光発電パネルを瓦の上部に取り付けるための取付装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この設置方法は、屋根建築工事と太陽光発電パネル設置工事の両方を行う必要があり、施工期間や施工費用が多くかかるものであった。
【0003】
また、この太陽光発電パネル設置時の安全性、作業性向上のために、傾斜があり足場の不安定な屋根上で安全に作業するためのソーラーパネル設置用器具、屋根上作業用安全金具に関する技術が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。しかしながら、傾斜のある屋根の上で行う太陽光発電パネルの設置作業、メンテナンス作業は危険な作業であり、作業者はヘルメット、安全帯、腰袋等を着用しなければならないなど、安全性、作業性に対してまだ改良改善が必要なものであった。
【0004】
さらに、屋根下地材、野路板の上に、太陽電池を屋根瓦に組み込んだ太陽電池内蔵瓦を載置固定する太陽電池内蔵瓦の施工構造に関する技術も知られている(例えば、特許文献5参照)。この技術のものは、屋根材のコストを少し低減でき、設置後の見栄えがよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2917847号公報
【特許文献2】特許第4570515号公報
【特許文献3】特許2007−63933号公報
【特許文献4】実用新案登録第3162625号公報
【特許文献5】特許第3963138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献5に記載された技術の太陽電池内蔵瓦は、太陽電池性能の点検や交換が難しく、メンテナンスが容易でないという問題点があった。太陽光発電パネルは、所定期間毎に点検、メンテナンス等が必要であるが、一枚一枚、屋根より剥がして行う必要があるためたいへんな作業となるという問題点があった。また、この技術でも、傾斜のある屋根の上で行う設置作業、メンテナンス作業は危険な作業であり、安全性、作業性の問題をかかえていることに変わりはない。
【0007】
一方、太陽光発電パネルは設置数が多くなってくると、太陽光発電パネル自体の価格が低下していくことが期待されている。さらに、太陽光発電システムで発電した電力は、電力会社に売電することが可能であり、太陽光発電パネル設置のための初期費用を低下させることで、太陽光発電システムの普及拡大が図れると期待されている。太陽光発電システムの普及拡大が図れることは、地球環境に優しい自然エネルギー(再生可能エネルギー)の活用に貢献できる。そのためにも、作業者が、地上より高い位置で、傾斜のある建物の屋根構造部に太陽光発電パネルを設置する時の安全性向上、作業性向上を図り、設置するとき施工期間短縮、施工費用低減が図れる技術の開発が要望されている。また、メンテナンス作業等が容易にできる屋根構造の開発も要望されている。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために創案されたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、太陽光発電パネルを屋根瓦代わりにし、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽光発電と、屋根構造の簡素化の両立を図ることができる建物の屋根構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、太陽光発電パネルの設置、メンテナンス等を行う時に、安全性、作業性の向上を図ることができる建物の屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、次の手段で達成される。
本発明1の建物の屋根構造は、
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルの矩形形状に、ほぼ一致するように縦梁と横梁とが格子状に形成され、水平面に対して所定の角度傾斜するように設けられている屋根梁とから構成される建物の屋根構造であって、前記太陽光発電パネルは、四方の外周端部側の下面が、格子状の前記屋根梁に当接して前記屋根梁で形成される空間を覆う屋根材を構成するものであり、前記太陽光発電パネルの四方の外周端部の上面側に設けられ、前記太陽光発電パネルの前記外周端部を前記屋根梁側に押圧するための押さえ板部材と、前記太陽光発電パネルと前記押さえ板部材との間に、かつ、並設された前記太陽光発電パネルの端面間の間隙を覆うように、前記太陽光発電パネルに跨がって設けられ、前記間隙から水が侵入することを防止するための防水部材と、前記太陽光発電パネルを、前記押さえ板部材を介して、前記屋根梁に締結固定するための締結部材とからなっている。
【0010】
本発明2の建物の屋根構造は、本発明1において、
前記押さえ板部材は、所定の位置に、前記押さえ板部材の上部側に溜まる水を排出するための排出用凹部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明3の建物の屋根構造は、
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルの矩形形状に、ほぼ一致するように縦梁と横梁とが格子状に形成され、水平面に対して所定の角度傾斜するように設けられている屋根梁とから構成される建物の屋根構造であって、前記太陽光発電パネルは、前記屋根梁に設置されて前記屋根梁の間に形成される空間を覆う屋根材を構成するものであるとともに、前記格子状の前記屋根梁に当接する縁部が四方の側面に形成され、前記縁部は、前記太陽光発電パネルが前記屋根梁に取り付けられたとき、前記縁部同士が上下に重なり合う重縁部を構成し、重なり合った前記縁部の間には、前記太陽光発電パネルの前記縁部側から前記建物内に水が侵入することを防止するための防水部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明4の建物の屋根構造は、本発明3において、
重なり合った前記縁部の隅部には、前記隅部上方を覆うためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明5の建物の屋根構造は、本発明3において、
前記縁部は、前記太陽光発電パネルの傾斜の上下方向において、上方側に位置する第1縁部、及び、下方側に位置する第2縁部と、前記太陽光発電パネルの水平方向において、一方の側に位置する一側縁部、及び、他方の側に位置する他側縁部とからなり、前記重縁部は、上方側に位置する前記太陽光発電パネルの第2縁部が、下方側に位置する前記太陽光発電パネルの第1縁部の上部に重なるように、一方の側に位置する前記太陽光発電パネルの一側縁部が、他方の側に位置する前記太陽光発電パネルの他側縁部の上部に重なるように構成されているものであることを特徴とする。
【0014】
本発明6の建物の屋根構造は、本発明5において、
前記縁部は、前記第1縁部と前記一側縁部、前記第1縁部と前記他側縁部、前記第2縁部と前記他側縁部、前記第2縁部と前記一側縁部とのあいだにつなぎ縁部を有し、前記太陽光発電パネルの側面の周縁に沿って連続してつながっているように形成されている縁部であり、前記重縁部は、前記太陽光発電パネルの隅部において、前記つなぎ縁部が重なり合って重縁部を構成していることを特徴とする。
【0015】
本発明7の建物の屋根構造は、本発明6において、
前記太陽発電パネルの前記縁部及び前記つなぎ縁部の下部と前記屋根梁との間には、所定の形状に形成された中間板部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明8の建物の屋根構造は、本発明1〜7において、
前記屋根梁には、前記合わせ目間から落下した雨水を前記屋根の外部に排出可能とするための谷樋が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明9の建物の屋根構造は、本発明8において、
前記締結部材は、前記太陽発電パネルの上方側から屋根裏側に挿通された軸部に、締結用工具が係合する被係合部が設けられ、前記建物の内部側から締結固定できるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の建物の屋根構造は、屋根瓦代わりの屋根材として太陽光発電パネルを使用しているので、屋根の軽量化が図れ、耐震性が向上し、屋根構造の簡素化が図れる。また、屋根裏側から太陽光発電パネルの裏面を直接監視したり、太陽光発電パネルに配線したりすることができ、所定期間毎に配線作業、点検、メンテナンス等が容易である。さらに、屋根裏側から太陽光発電パネルの設置作業を行うことができ、屋根の上面側に作業者が乗って作業を行う必要がなく、安全で作業性がよい。
【0019】
また、太陽光発電パネル自体を屋根材として屋根梁に直接取り付ける屋根構造であり、構造が簡素であるとともに、安価に設置することができる。そのため、太陽光発電パネル設置のための施工期間の削減、施工費用の削減が図れ、経済的効果も大きく、太陽光発電の普及拡大に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の屋根構造を採用した建物の外観図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1の建物の屋根構造を示す外観図であり、一部を破断して示した外観図である。
【図3】図3は、図2のA部を拡大するとともに一部を分解して示した部分拡大図である。
【図4】図4は、図2のB部を拡大した図であって、屋根梁の構成を示す部分拡大図である。
【図5】図5は、太陽光発電パネルの締結構造1を示す断面図である。
【図6】図6は、太陽光発電パネルの締結構造2を示す断面図である。
【図7】図7は、実施の形態2の建物の屋根構造における屋根梁の斜視図である。
【図8】図8は、図7をC−C線で切断した断面図である。
【図9】図9は、実施の形態3の建物の屋根構造における太陽光発電パネルを示す外観図である。
【図10】図10は、実施の形態3の太陽光発電パネルの重縁構成を説明するための説明図である。
【図11】図11は、実施の形態3の太陽光発電パネルの締結構成を説明するための説明図である。
【図12】図12は、実施の形態4の建物の屋根構造における太陽光発電パネルを示す外観図である。
【図13】図13は、実施の形態4の太陽光発電パネルの締結構成を説明するための説明図である。
【図14】図14は、実施の形態4の建物の屋根構造の変形例を示す外観図である。
【図15】図15は、実施の形態4の建物の屋根構造の変形例で使用する中間板部材を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図に従って説明する。
〔実施の形態1〕
図1から6に従って、建物の屋根構造の実施の形態1の説明を行う。
図1は、本発明の屋根構造を採用した建物を示す外観図である。図2は、この実施の形態1の建物の屋根構造を示す外観図であって、太陽光発電パネルの一部を破断した状態で示している。図3は、図2のA部を拡大するとともに一部を分解して示した部分拡大図、図4は、図2のB部を拡大した図であって、屋根梁の構成を示す部分拡大図である。図5は、太陽光発電パネルの締結構造1を示す断面図である。図6は、太陽光発電パネルの締結構造2を示す断面図である。なお、太陽光発電パネルは、太陽光発電モジュール、ソーラーパネル、太陽電池パネル、太陽電池モジュールなどといろいろな名称で呼ばれているものであるが、この形態では太陽光発電パネルと記載して説明を行う。
【0022】
図1に示す建物は、屋根が所定の角度(例えば、30度)に傾斜した片流れ形式の屋根101が形成された2階建ての建物100であり、1階部分104、2階部分105、屋根裏部102、基礎部分103等から構成されている。なお、この形態では、2階建ての建物で説明を行うが、建物は、平屋建てのもの、3階建て以上のものであってもよい。屋根の形式は、片流れ形式のものが太陽光発電パネルを多数配置できるので好ましいが、切妻形式など他の形式のものであってもよい。
【0023】
屋根101は、縦梁3、横梁4からなる格子状の屋根梁5と、縦梁3、横梁4に直接載置され、締結部材である防水ボルト26等で屋根梁5に締結される太陽光発電パネル(以下、発電パネルと記載する)1とから構成される構造になっている。すなわち、発電パネル1が屋根瓦代わりの部材(屋根材)となっている。縦梁3、横梁4からなる格子状の屋根梁5は、ボルト等締結部材、金具等を介して格子状に組み付けられたものである。屋根梁5は、柱25等を介して、建物の骨格構造部を形成する柱部に連結されている。このように、屋根瓦代わりに発電パネル1を使用しているので、屋根101の軽量化が図れ、耐震性が向上し、屋根構造の簡素化が図れる。また、屋根瓦代わりに発電パネル1を使用すると、野路板、屋根下地材、屋根瓦等が不要であり、発電パネル1設置のための施工費用低減、施工期間短縮につながり、経済的効果も大きい。
【0024】
発電パネル1は、表面側に太陽光を受光するためのセルが並設されている。裏面側は、屋根梁5に取り付けられる面であり、接続ケーブルを接続するための接続端子が設けられている。発電パネル1は、格子状の屋根梁5の格子形状をほぼ同一な大きさに形成された所定の大きさ(例えば、約0.9m*1.4m)の矩形状のパネルである。接続ケーブルは、接続箱を介して、パワーコンデショナー等に接続される。
【0025】
縦梁3には、パネル取付面3aと、凹溝状の谷樋11aが設けられている。横梁4には、パネル取付面4aと、凹溝状の谷樋11bが設けられている。縦梁3の谷樋11aの底面には、所定の位置に、所定の間隔毎にねじ穴3bが形成されている。横梁4の谷樋11bの底面には、所定の位置に、所定の間隔毎にねじ穴4bが形成されている。
【0026】
縦梁3のパネル取付面3a、横梁4のパネル取付面4aに、発電パネル1の裏面側の四方の外周端部が載置される。縦梁3、横梁4からなる屋根梁5は、発電パネル1の四方の外周端部の形状等に合致しているとともに、屋根梁5として建物に充分な剛性が与えるようになっている。言い換えると、この屋根梁5は、発電パネル1が屋根材として使用できるように、発電パネル1を支持できる強度を充分有するように構成されているものである。また、発電パネル1の内部のセル、配線部等を被う枠体(フレーム)、セルの前部の前面カバー等は、太陽光、雨、雪、風、振動等に耐えることができる耐候性、耐久性を充分備えた材料で構成されている。さらに、発電パネル1の枠体、前面カバーは、台風、地震等の過酷な環境下において、これらの悪条件に充分耐えることができる強度、剛性を備えている。また、枠体は、軽量化が図れるものであるとよい。例えば、枠体は、軽量で、剛性、耐候性等に優れた防錆処理等がされた金属、防錆処理等がされた軽金属、合成樹脂製のものであり、前面カバーは、強化ガラス、白板熱処理ガラス製のものであるとよい。また、発電パネル1は、前面カバーと枠体との間に、充填材、シール材、防水シート、防水ゼリー等が設けられ、水等の侵入を完全に防止している。すなわち、発電パネル1は、屋根材として充分な耐候性、強度、剛性を備え、高寿命化が図れるものになっている。
【0027】
発電パネル1の外周端部には、縦梁3上部に設けられる金属製で帯状(平板状)の押さえ板部材8a、シート状の防水部材7a、横梁4上部に設けられる金属製で平板状の押さえ板部材8b、シート状の防水部材7bが設けられている。この防水部材7a、7bは、並設された発電パネル1の端面間の間隙を覆うように、並設された発電パネル1に跨がって設けられ、間隙から水が侵入することを防止するための部材である。すなわち、図3に示すように、防水部材7aは、発電パネル1aと発電パネル1bの間、発電パネル1cと発電パネル1dの間に跨がって設けられ、この間から水が浸入することを防止している。防水部材7bは、発電パネル1bと発電パネル1cの間、発電パネル1dと発電パネル1aの間に跨がって設けられ、この間から水が浸入することを防止している。押さえ板部材8aは、防水部材7aを上部から押さえるための部材である。押さえ板部材8bは、防水部材7bを上部から押さえるための部材である。
【0028】
押さえ板部材8b、8bとの合わせ目6、押さえ板部材8aと押さえ板部材8bの合わせ目の上部には、金属製の押さえ板片9、シート状の防水部材7c等が設けられ重着されている。なお、防水部材7a〜7cは、発電パネル1、押さえ板部材8a、8b、押さえ板片9との間で水密性を発揮できるように、弾性変形可能な部材(例えば、ゴム系シート、樹脂(例えば、塩化ビニル等)系シート)であるとよい。また、防水部材7a〜7cは、一方または両方が粘着性のあるシート状のものであってもよい。発電パネル1の外周端部に載置された押さえ板部材8a、8b、押さえ板片9等は、防水ボルト26により、縦梁3、横梁4に締結固定されている。防水部材7a、7bは、押さえ板部材8a、8bと発電パネル1との間で押圧されることにより水密性を発揮してこの間から雨水が浸入することを防止している。防水部材7cは、押さえ板部材8a、8bと押さえ板片9との間で押圧されることにより水密性を発揮してこの間から雨水が浸入することを防止している。言い換えると、防水部材7a、7bは、発電パネル1、1の間から屋根裏102側に、雨水等が侵入することを防止している。防水部材7cは、押さえ板部材8a、8bの合わせ目6等から屋根裏102側に、雨水等が侵入することを防止している。
【0029】
図5に示すように、防水ボルト26のねじ部は、縦梁3、横梁4に形成されているねじ穴3b、4bにねじ込まれている。このねじ穴3b、4bは下穴が止まり穴となっている。防水ボルト26の頭部の首下座面には、シール部材26sが一体に設けられている。このシール部材26sにより、防水ボルト26の首下座面側から雨水が侵入することを防止している。もし、仮に、防水ボルト26の首下座面側から少量の雨水が浸入しても、谷樋11aの傾斜等により、谷樋11a、11bから屋根101の外部に排出されるようになっている。なお、防水ボルトは、ボルトと、このボルトと別体に設けられるシール部材(例えば、シールワッシャー)とから構成されるものであってもよい。また、ボルトのねじ部等をコーキング剤(例えば、変性シリコーン)で覆うようにして防水処理してもよい。要は、防水ボルトの首下座面から雨水の浸入が防止できるものであればよい。
【0030】
前述した防水ボルト26は、発電パネル1の上部側から防水ボルト26の頭部に締結用工具(例えば、スパナ等)を差し込んで、締め込み締結するものであった。しかし、防水ボルト26Aは、屋根裏部102側から締結用工具を使用して締め込み締結するものである(図6参照)。この防水ボルト26Aは、ねじ部にナット26nをねじ込んで締め込むことにより、発電パネル1を縦梁3(または、横梁4)に締結している。ねじ軸部の下部側には、被係合部である2面削ぎ部26mが形成されており、作業者は、2面削ぎ部26mとナット26nとにスパナ等締結用工具をかけ、締め込むことができるようになっている。また、縦梁3(または、横梁4)の挿入孔と防水ボルト26Aの軸部との間には、シール部材26tが設けられている。このシール部材26tは、仮に、防水ボルト26Aの首下座面側から少量の雨水が浸入しても、谷樋11a、11b側から屋根裏部102側へ漏水することを防止している。侵入した雨水は、谷樋11aの傾斜等により、谷樋11a、11bから屋根101の外部に排出される。なお、被係合部は、すり割り部、十字穴部、四角軸部、六角軸部等であってもよい。
【0031】
押さえ板部材8bは、長手方向の端面同士が、合わせ目6で接するように並設されている。押さえ板部材8aは、長手方向の端面が、押さえ板部材8bの長手方向と直交する方向の側面に接するように並設されている。押さえ板部材8aと押さえ板部材8bの合わせ目近傍の上面側には、押さえ板部材8bと押さえ板部材8bの合わせ目6、及び、押さえ板部材8aと押さえ板部材8bの合わせ目を覆うように、シート状の防水部材7c、押さえ板片9が重着され、防水ボルト26、26Aで締着固定されている。このように構成することで、屋根瓦代わりの発電パネル1の上面(表面)側に、降水、降雪等があっても、屋根瓦代わりの発電パネル1側から建物内部に、雨水が浸入しないような構成になっている。また、発電パネル1は、発電パネル1の側面が、縦梁3、横梁4に形成された谷樋11a、11bの上部になるように、谷樋11a、11bと平行になるように位置させているために、仮に、防水部材7a、7b、7c等の間から雨水が漏水するようなことが生じても、谷樋11aの傾斜等により、谷樋11a、11bから屋根101の外部に排出されるようになっている。
【0032】
すなわち、防水部材による防水、谷樋による防止の2重の防水対策がされており、屋根瓦代わりの発電パネル1と縦梁3、横梁4の間から、建物内部に、雨水が漏れるようなことが生じない。横梁4の上部に設けられている押さえ板部材8bには、所定の位置に、発電パネル1の上面側に雨水が溜まらないように、排出用凹部である水抜き面取り部10が形成されている。すなわち、上部側の発電パネル1上部の雨水は、水抜き面取り部10を介して、下部側の発電パネル1に移動する。このようにして、発電パネル1の上部に降った雨等は、屋根梁5、発電パネル1の傾斜、水抜き面取り部10、谷樋11a、11b等を介して、容易に、建物内部に漏水させることなく、屋根101の外部に排出することができる。
【0033】
この建物の屋根構造の設置方法について説明を行う。
所定の寸法に形成された縦梁3、横梁4を組み付けて格子状の屋根梁5を形成する。格子状の屋根梁5を柱25等にボルト、ナット等締結部材、締結金具で固定する。
【0034】
縦梁3、横梁4から構成されている格子状の屋根梁5に、発電パネル1を順次載置し、防水ボルト26等で締結固定する。このとき、発電パネル1は、屋根梁5の間を通して、屋根裏部102側から屋根梁5の上部に持ち上げ、屋根梁5上に載置する。屋根梁5の間を通すときには、格子状の屋根梁5の対角方向に発電パネル1を向ければ容易に通すことができる。発電パネル1の外周端部の上部に、防水部材7a、7b、押さえ板部材8a、8bを載せ、防水ボルト26で締結固定する。また、押さえ板部材8a、8bの合わせ目近傍では、防水部材7c、押さえ板片9を載せ、防水ボルト26で締結固定する。この作業は、作業者が屋根裏部102側から手を延ばして行うことができる。このような手順で、大部分の発電パネル1は、載置、締結固定することができる。
【0035】
最終列の発電パネル1は、防水ボルト26Aにより屋根裏部102側から締結固定する。すなわち、屋根梁5上に発電パネル1を載置した後、建物の外部に設けた仮設台等の上から、防水部材7a、7b、押さえ板部材8a、8bを載せ、締結ボルト26Aを挿入する。押さえ板部材8a、8bの合わせ目近傍では、防水部材7c、押さえ板片9を載せ、防水ボルト26Aを挿入する。その後、屋根裏部102側から防水ボルト26Aにナット26nをねじ込み、締結固定する。この締結固定作業は、2面削ぎ部26mとナット26nとに締結用工具をかけることにより容易に行うことができる。屋根梁5に発電パネル1を設置後、屋根裏部102側から発電パネル1への接続ケーブルの接続、接続ケーブルの配線箱での接続等の配線作業を行う。これらの屋根裏部102側からの作業は、たいへん容易であり、安全性が高い。また、発電パネル1の点検、メンテナンスも屋根裏部102から行うことができ、作業がたいへん容易である。防水ボルト26A、ナット26n等が締結部材を構成する。
【0036】
このように、作業者は、傾斜のある屋根梁の上部等に乗って作業をする必要がなく、たいへん安全であるとともに、発電パネル1の設置、点検、メンテナンス等の作業性、生産性がたいへん向上し、発電パネル設置のための施行期間を短縮することができる。また、、発電パネル設置のための施工費用を削減することもできる。
【0037】
〔実施の形態2〕
図7、8に従って、建物の屋根構造の実施の形態2の説明を行う。
図7は、実施の形態2の建物の屋根構造を示す部分外観図、図8は、図7をC−C線で切断した断面図である。
この実施の形態2は、軽量鉄骨住宅において、屋根瓦代わりの発電パネル1を設置するものである。なお、以下に説明を行う実施の形態2、3、4では、前述した実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0038】
縦梁13、横梁14は、例えば、所定の厚さ(例えば、6mm)以下の形鋼(H形鋼、山形鋼、溝形鋼等)、折り曲げ加工された所定の厚さの金属板等で形成されたものである。この形態2の縦梁13、横梁14は、防錆処理等がされた軽量金属製の部材で、断面視L字状の部材に形成されている。縦梁13と横梁14とは、締結金具13a、ボルト13b、ナット等締結部材で直交するように組立てられている。このように順次組立固定することにより、縦梁13と横梁14は格子状に組み付けられている。また、横梁14には、縦梁13の一部を差し込むための切り欠き溝が形成されている、さらに、縦梁13には、谷樋19aを形成するための第1谷樋部材19がボルト19b、ナット等で固定されている。また横梁14には、第1谷樋部材19より小さい谷樋20aを形成するための第2谷樋部材20がボルト20c、ナット20b等で固定されている。また、縦梁13、第1谷樋部材19には、第2谷樋部材20と交差する位置に切り欠きが形成されており、第2谷樋部材20の先端が谷樋19a側に突出するようになっている。
【0039】
発電パネル1は、縦梁13の上面13d、第1谷樋部材19の上面19d、第2谷樋部材20の上面20dに載置される(図8参照)。ボルト26Bの首下座面には、シールワッシャー26uが設けられている。ボルト26Bは、第2谷樋部材20の下面を挿通し、屋根裏102側からナット26nがねじ込まれる。また、ボルト26Bには、2面削ぎ部26mが形成され、第1谷樋部材19にはシール部材26tが設けられている。第1谷樋部材19とナット26nの間にはワッシャ26Wが設けられている。従って、発電パネル1の外周端部は、第1谷樋部材19等に、ボルト26B、ナット26n等を介して一体に固定される。押さえ板部材8a、8b、防水部材7a、7b、7c、押さえ板片9、シール部材26t、谷溝19a、谷溝20a等からなる雨水等の浸入を防止する構成は、前述した実施の形態1のものと同一であり詳細な説明を省略する。また、ボルト26B、シールワッシャ26u、ナット26n等が締結部材を構成する。
【0040】
〔実施の形態3〕
図9から図11に従って、実施の形態3の説明を行う。
図9は、実施の形態3の建物の屋根構造において使用される太陽光発電パネルを示す外観図、図10は、実施の形態3の発電パネルの重縁構成を説明するための説明図、図11は、実施の形態3の発電パネルの締結構成を説明するための説明図である。
この実施の形態3は、発電パネル31を屋根梁5に設置したとき、隣接する発電パネルの取付けのための部位(縁部)が重なりあう重縁部を構成するようにしたものであり、発電パネル31の構成を主に説明する。
【0041】
発電パネル31(31a〜31d)の発電パネル本体36(36a〜36d)の側面の外周部に縁部が設けられている。すなわち、発電パネル31には、図9における上方側に第1縁部38、図9における下方側に第2縁部41、図9における右側(水平方向の一方の側)に第3縁部(一側縁部)40、図9における左側(水平方向の他方の側)に第4縁部(他側縁部)39が形成されている。発電パネル31を屋根梁に並設させたとき、第2縁部41は、下部の発電パネル31の第1縁部38の上に位置するように形成されている。このとき、第2縁部41と、下部の発電パネル31の第1縁部38とは重なり合うようになっている。第3縁部40は、隣の発電パネル31の第4縁部39の上に位置するように形成されている。このとき、第3縁部40と、隣の発電パネル31の第4縁部39とは重なり合うようになっている。第1縁部38、第2縁部41、第3縁部40、第4縁部39には、所定の位置にボルト穴48(48a〜48d)が形成されている。発電パネル31は、このボルト穴48に挿通されるボルト47が、縦梁3のねじ穴3b、横梁4のねじ穴4bにねじ込まれることで固定される。
【0042】
発電パネル31は、枠体、前面カバー等の構成が、発電パネル1とほぼ同じものである。発電パネル31の第1縁部38、第2縁部41、第3縁部40、第4縁部39は、枠体と同様の強度、剛性、耐候性等を有するものであり、枠体と一体または別体に設けられている。発電パネル31も、屋根材として充分な耐候性、強度、剛性等を備え、高寿命化が図れるものになっている。
【0043】
図10に、4枚の発電パネル31、すなわち、第1発電パネル31a、第2発電パネル31b、第3発電パネル31c、第4発電パネル31dが設置された重縁部の構成を示す。第1発電パネル31aの第3縁部40aは、第2発電パネル31bの第4縁部39bの上部に位置し、その間にシート状の防水部材42が挟着されている。第2発電パネル31bの第2縁部41bは、第3発電パネル31cの第1縁部の上部に位置し、その間にシート状の防水部材42が挟着されている。第4発電パネル31dの第3縁部40dが、第3発電パネル31cの第4縁部39cの上部に位置し、その間にシート状の防水部材42が挟着されている。第1発電パネル31aの第2縁部41aが、第4発電パネル31dの第1縁部の上方に位置し、その間にシート状の防水部材42が挟着されている。
【0044】
言い換えると、傾斜して設置された発電パネル31a、31b、31c、31dの傾斜の上下方向において、上方側に位置する第1発電パネル31a、第2発電パネル31bの第2縁部41a、41bが、下方側に位置する第4発電パネル31d、第3発電パネル31cの第1縁部38d、38cの上側に重なるように構成されている。第2縁部41a、41bと第1縁部38d、38cとにより重縁部が構成されている。傾斜して設置された発電パネル31a、31b、31c、31dの水平方向において、一方の側に位置する第2発電パネル31b、第3発電パネル31cの第4縁部39b、39cが、他方の側に位置する第1発電パネル31a、第4発電パネル31dの第3縁部40a、40dの下側に重なるように構成されている。第3縁部40a、40dと第4縁部39b、39cとにより重縁部が構成されている。
【0045】
このように、屋根瓦を設置するように、傾斜の上側に位置する発電パネル31の第2縁部41が、下側に位置する発電パネル31の第1縁部38の上部になるように設置されているため、雨水は傾斜に沿って下側にたいへん流れやすくなっている。この重縁部の間に形成される空間(図10参照)の上部には、キャップ部材50が配置されている(図11参照)。また、キャップ部材50と、第3縁部40a、第2縁部41b、第3縁部40d、第2縁部41a等との間には、シート状の防水部材51が設けられている。キャップ部材50は、ボルト47がねじ穴3a、4aにねじ込まれることにより締結固定されている。ボルト47の首下座面には、シールワッシャ47aが設けられており、この重縁部の間の空間部分から雨水等が浸入することを防止している。なお、ボルト47とシールワッシャ47a等とからなる締結部材は、防水ボルト26、26A、ボルト26Bとシールワッシャ26Uとの組み合わせ等と同等の機能を有するものである。この発電パネル31は、取り付けのための第1縁部38と第2縁部41、第3縁部40と第4縁部39が、各々、上下に重なり合う重縁部に構成されているとともに、重縁部間に防水部材が挟着されているため防水性能を向上させている。
【0046】
この実施の形態3の発電パネル31は、傾斜の下側から、発電パネル31載置、締結固定を繰り返すと容易に設置することができる。また、この設置作業は、屋根裏部102側から行うことができる。そして、最終列の発電パネルは、図6に示したように、ボルト(または防水ボルト)を屋根裏部102側から締結固定するとよい。
【0047】
〔実施の形態4〕
図12、13に従って、実施の形態4の説明を行う。
図12は、実施の形態4の建物の屋根構造における発電パネルを示す外観図、図13は、実施の形態4の発電パネルの締結構成を説明するための説明図である。
この実施の形態4は、実施の形態3の発電パネルの縁部の隅部につなぎ縁部を設け、縁部が連続してつながっている外周縁部となるようにし、キャップ部材を不要にした構成のものである。
【0048】
発電パネル51(51a〜51d)の発電パネル本体52(52a〜52d)の側面の外周部に縁部が設けられている。すなわち、発電パネル51には、図12における上方側に第1縁部53、図12における下方側に第2縁部55、図12における右側(一方の側)に第3縁部(一側縁部)56、図12における左側(他方の側)に第4縁部(他側縁部)54が形成されている。発電パネル51を屋根梁に並設させたとき、第2縁部55は、下部の発電パネル51の第1縁部53の上に位置するように形成されている。このとき、第2縁部55と、下部の発電パネル51の第1縁部53とは重なり合うようになっている。第3縁部56は、隣の発電パネル51の第4縁部54の上に位置するように形成されている。このとき、第3縁部56と、隣の発電パネル51の第4縁部54とは重なり合うようになっている。
【0049】
また、第1縁部53と第3縁部56との間に、両方の縁部が連続してつながっているように第1つなぎ縁部58が設けられている。第3縁部56と第2縁部55との間に、両方の縁部が連続してつながっているように第2つなぎ縁部60が設けられている。第2縁部55と第4縁部54との間に、両方の縁部が連続してつながっているように第3つなぎ縁部59が設けられている。第4縁部54と第1縁部53との間に、両方の縁部が連続してつながっているように第4つなぎ縁部57が設けられている。発電パネル51は、枠体、前面カバー等の構成が、発電パネル1とほぼ同じものである。発電パネル51の第1縁部53、第2縁部55、第3縁部56、第4縁部54、第1つなぎ縁部58、第2つなぎ縁部60、第3つなぎ縁部59、第4つなぎ縁部57は、枠体と同様の強度、剛性、耐候性等を有するものであり、枠体と一体または別体に設けられている。発電パネル51も、屋根材として充分な耐候性、強度、剛性等を備え、高寿命化が図れるものになっている。
【0050】
第1縁部53、第2縁部55、第3縁部56、第4縁部54、第1つなぎ縁部58、第2つなぎ縁部60、第3つなぎ縁部59、第4つなぎ縁部57には、所定の位置にボルト穴63が形成されている。発電パネル51は、このボルト穴63に挿通される防水ボルト65が、縦梁3、横梁4のねじ穴3b、4bにねじ込まれることで固定される。なお、防水ボルト65は、防水ボルト26、26A、ボルト26Bとシールワッシャ26Uとの組み合わせ等と同等の機能を有するものであり、締結部材である。
【0051】
図13に、4枚の発電パネル51、すなわち、第1発電パネル51a、第2発電パネル51b、第3発電パネル51c、第4発電パネル51dが設置された縁部の構成を示す。第1発電パネル51aの第3縁部56aは、第2発電パネル51bの第4縁部の上部に位置し、その間にシート状の防水部材61が挟着されている。第2発電パネル51bの第2縁部55bは、第3発電パネル51cの第1縁部53cの上部に位置し、その間にシート状の防水部材61が挟着されている。第4発電パネル51dの第3縁部56dが、第3発電パネル51cの第4縁部54cの上部に位置し、その間にシート状の防水部材61が挟着されている。第1発電パネル51aの第2縁部55aが、第4発電パネル51dの第1縁部の上部に位置し、その間にシート状の防水部材61が挟着されている。
【0052】
さらに、各縁部の隅部では、第1発電パネル51aの第2つなぎ縁部60a、第2発電パネル51bの第3つなぎ縁部59b、第4発電パネル51dの第1つなぎ縁部、第3発電パネル51cの第4つなぎ縁部の順に、4枚の発電パネル51a〜51dのつなぎ縁部が重なりあって重縁部を構成している。第2つなぎ縁部60a、第3つなぎ縁部59b、第1つなぎ縁部、第4つなぎ縁部からなる各重縁部間には防水シート61が挟着されている。このような重縁部を構成することにより、重縁部からの雨水の浸入を防止している。防水ボルト65は、防水ボルト26、26A、ボルト26Bとシールワッシャ26Uとの組み合わせ等と同等の機能を有するものであり、締結部材である。
【0053】
〔実施の形態4の変形例〕
図14、15に従って、実施の形態4の変形例の説明を行う。
図14は、実施の形態4の建物の屋根構造の変形例を示す外観図、図15は、実施の形態4の建物の屋根構造の変形例で使用する中間板部材を示す外観図である。
【0054】
第1縁部53、第2縁部55、第3縁部56、第4縁部54、第1つなぎ縁部58、第2つなぎ縁部60、第3つなぎ縁部59、第4つなぎ縁部57の下方に、図15に示すような中間板部材64、66〜74、76〜78を挟むことで発電パネル51の設置を容易にした変形例である。発電パネル51に合わせた屋根梁(縦梁、横梁)62を格子状に設け、発電パネル51と屋根梁62との間に中間板部材64、中間板部材66〜74、中間板部材76〜78を挟み込んで防水ボルト80で締着固定する。例えば、屋根の4隅には、L字状の中間板部材66〜69を配置する。2枚の発電パネル51の第1つなぎ縁部58、第2つなぎ縁部60、第3つなぎ縁部59、第4つなぎ縁部57等が重なり合う部分には、T字状の中間板部材70〜73を配置する。
【0055】
4枚の発電パネル51の第1つなぎ縁部58、第2つなぎ縁部60、第3つなぎ縁部59、第4つなぎ縁部57が重なり合う部分には、十字状の中間板部材64を配置する。屋根の上辺に位置する第1縁部53の下方には、I字状の中間板部材77を配置する。第2縁部55と第1縁部53が重なる部分、屋根の下辺に位置する第2縁部55の屋根の下方には、I字状の中間板部材76を配置する。屋根の右側(一方の側)である第3縁部56の下方には、I字状の中間板部材74を配置する。第3縁部56と第4縁部54が重なる部分、屋根の左側(他方の側)である第4縁部54の下方には、I字状の中間板部材78を配置する。このように、発電パネル51と屋根梁62との間を埋めるような中間板部材64、66〜65、76〜78を用意しておくと、発電パネル51の設置を、迅速に、かつ、容易に行うことができる。なお、中間板部材間の隙間等には、防水部材、コーキング剤で防水対策を行う。また、防水ボルト80は、防水ボルト26、26A、ボルト26Bとシールワッシャ26Uの組み合わせ等と同等の機能を有するものであり、締結部材である。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、発電パネルは、図9、12における左側の第4縁部が、図9、12における右側の第3縁部の上部に重なり合う構成のものでもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、31、51…太陽光発電パネル
3…縦梁
4…横梁
5、62…屋根梁
7a、7b、7c…防水部材
8a、8b…押さえ板部材
9…押さえ板片
11a、11b…谷樋
26、26A…防水ボルト
38、53…第1縁部
39、54…第4縁部
40、56…第3縁部
41、55…第2縁部
57…第4つなぎ縁部
58…第1つなぎ縁部
59…第3つなぎ縁部
60…第2つなぎ縁部
100…建物
101…屋根
102…屋根裏部
104…1階部分
105…2階部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽光発電パネルと、
前記太陽光発電パネルの矩形形状に、ほぼ一致するように縦梁と横梁とが格子状に形成され、水平面に対して所定の角度傾斜するように設けられている屋根梁とから構成される建物の屋根構造であって、
前記太陽光発電パネルは、四方の外周端部側の下面が、格子状の前記屋根梁に当接して前記屋根梁で形成される空間を覆う屋根材を構成するものであり、
前記太陽光発電パネルの四方の外周端部の上面側に設けられ、前記太陽光発電パネルの前記外周端部を前記屋根梁側に押圧するための押さえ板部材と、
前記太陽光発電パネルと前記押さえ板部材との間に、かつ、並設された前記太陽光発電パネルの端面間の間隙を覆うように、前記太陽光発電パネルに跨がって設けられ、前記間隙から水が侵入することを防止するための防水部材と、
前記太陽光発電パネルを、前記押さえ板部材を介して、前記屋根梁に締結固定するための締結部材と
からなる建物の屋根構造。
【請求項2】
請求項1に記載された建物の屋根構造において、
前記押さえ板部材は、所定の位置に、前記押さえ板部材の上部側に溜まる水を排出するための排出用凹部が形成されている
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項3】
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽光発電パネルと、
前記太陽光発電パネルの矩形形状に、ほぼ一致するように縦梁と横梁とが格子状に形成され、水平面に対して所定の角度傾斜するように設けられている屋根梁とから構成される建物の屋根構造であって、
前記太陽光発電パネルは、前記屋根梁に設置されて前記屋根梁の間に形成される空間を覆う屋根材を構成するものであるとともに、前記格子状の前記屋根梁に当接する縁部が四方の側面に形成され、
前記縁部は、前記太陽光発電パネルが前記屋根梁に取り付けられたとき、前記縁部同士が上下に重なり合う重縁部を構成し、重なり合った前記縁部の間には、前記太陽光発電パネルの前記縁部側から前記建物内に水が侵入することを防止するための防水部材が設けられている
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項4】
請求項3に記載された建物の屋根構造において、
重なり合った前記縁部の隅部には、前記隅部上方を覆うためのキャップ部材が設けられている
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項5】
請求項3に記載された建物の屋根構造において、
前記縁部は、前記太陽光発電パネルの傾斜の上下方向において、上方側に位置する第1縁部、及び、下方側に位置する第2縁部と、前記太陽光発電パネルの水平方向において、一方の側に位置する一側縁部、及び、他方の側に位置する他側縁部とからなり、
前記重縁部は、上方側に位置する前記太陽光発電パネルの第2縁部が、下方側に位置する前記太陽光発電パネルの第1縁部の上部に重なるように、一方の側に位置する前記太陽光発電パネルの一側縁部が、他方の側に位置する前記太陽光発電パネルの他側縁部の上部に重なるように構成されているものである
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項6】
請求項5に記載された建物の屋根構造において、
前記縁部は、前記第1縁部と前記一側縁部、前記第1縁部と前記他側縁部、前記第2縁部と前記他側縁部、前記第2縁部と前記一側縁部とのあいだにつなぎ縁部を有し、前記太陽光発電パネルの側面の周縁に沿って連続してつながっているように形成されている縁部であり、
前記重縁部は、前記太陽光発電パネルの隅部において、前記つなぎ縁部が重なり合って重縁部を構成している
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項7】
請求項6に記載された建物の屋根構造において、
前記太陽発電パネルの前記縁部及び前記つなぎ縁部の下部と前記屋根梁との間には、所定の形状に形成された中間板部材が設けられている
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された建物の屋根構造において、
前記屋根梁には、前記合わせ目間から落下した雨水を前記屋根の外部に排出可能とするための谷樋が形成されている
ことを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項9】
請求項8に記載された建物の屋根構造において、
前記締結部材は、前記太陽発電パネルの上方側から屋根裏側に挿通された軸部に、締結用工具が係合する被係合部が設けられ、前記建物の内部側から締結固定できるものである
ことを特徴とする建物の屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−96074(P2013−96074A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237017(P2011−237017)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(507107419)
【出願人】(598126416)
【出願人】(511098596)
【Fターム(参考)】