説明

建物の開口部構造および建物の開口部の製造方法

【課題】外壁に対する窓枠の位置の変更が容易な構造とすることで、開口用外装材の窓枠方向へ延びる開口側片の長さを調節可能とし、設計自由度に優れる建物の開口部構造を提供すること。
【解決手段】外壁1に開口された窓用の開口部3を囲む開口枠18と、開口枠18に沿って室内外方向へ移動可能な外周寸法であるとともに、開口枠18内に収容可能な室内外方向の幅寸法の枠状に形成され、かつ、開口枠18の室外側端部よりも室内側に配置されて開口枠18に取り付けられた開口枠下地5と、外壁1の表面よりも室内RM側の位置で、開口枠下地5の内周に取り付けられた窓枠21と、外壁1を覆う外装材13に連続して開口部3の周縁に取り付けられ、開口枠18の窓枠21よりも室外側部分を覆う開口枠側片6bを有した開口用外装材6と、を設けた建物の開口部構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁における窓用の開口部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁に、窯業系サイディングや金属サイディングなどの板厚の薄い外装材を用いながらも、板厚の厚い外装材を用いているかのような高級な邸宅感のある開口部構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術は、建物の窓用の開口部において、窓枠が外壁表面よりも室内側に配置され、開口部の周縁には、建物の外壁に貼付する外装材と同じ表面模様を有した開口用外装材が設けられ、この開口用外装材は、外壁の表面に連続して開口部の周縁の外壁を覆う外壁側片と、この外壁側片から、開口枠に沿って窓枠まで延びる開口側片とにより、略L字断面形状が形成されたものであった。
【0004】
したがって、外壁表面から窓枠に向けて外装材と同じ表面模様の開口側片が延びることにより、外壁が厚みを有して見え、高級な邸宅感が得られるものであった。
【特許文献1】特開2003−138844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施主によっては、外壁表面に対する窓の室内側への引込寸法を、より大きくしたいとか、逆に小さく抑えたいなど、建物に対する要求が異なる場合がある。
【0006】
また、建物によって、建築する土地の機構や施主の要望などにより、建物内の断熱材や防音材などの充填量が異なり、外壁の厚さが異なる場合があり、この壁厚によっては、窓の引込寸法が影響を受ける場合がある。
【0007】
このようなことから、窓の引込寸法の設計自由度が求められている。
【0008】
しかしながら、上述の従来技術では、窓枠が、外壁内に設けられた間柱と、この間柱に固定された胴縁とに固定された構造であったため、外壁に対する窓枠の位置、すなわち引込寸法が一定で、設計自由度が低く、上記のような様々な要望に対応することが難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、外壁に対する窓枠の位置の変更が容易な構造とすることで、開口用外装材の窓枠方向へ延びる開口側片の長さを調節可能とし、設計自由度に優れる建物の開口部構造および開口部の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、請求項1に記載の発明は、外壁に開口された窓用の開口部の周囲を囲む開口枠と、この開口枠に沿って室内外方向へ移動可能な外周寸法であるとともに、開口枠内に収容可能な室内外方向の幅寸法の枠状に形成され、かつ、前記開口枠の室外側端部よりも室内側に配置されて開口枠に取り付けられた開口枠下地と、前記外壁の表面よりも室内側の位置で、前記開口枠下地の内周に取り付けられた窓枠と、前記外壁を覆う外装材に連続して開口部の周縁に取り付けられ、前記開口枠の窓枠よりも室外側部分を覆う開口枠側片を有した開口用外装材と、を備えていることを特徴とする建物の開口部構造である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物の開口部構造において、前記開口枠の室内側端部には、開口中央側に突出した室内側段部が形成され、この室内側段部に前記開口枠下地が突き当てられていることを特徴とする建物の開口部構造である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の建物の開口部構造において、前記窓枠に、取付フランジが外周方向に突出され、この取付フランジが、前記開口枠下地の室外側端面に当接した状態で開口枠下地に固定されていることを特徴とする建物の開口部構造である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された建物の開口部構造を有した建物の開口部の製造方法であって、工場において、外壁の開口枠の任意の位置に、開口枠下地を固定し、次に、この開口枠下地に窓枠を取り付け、その後、建物の建築現場において、前記外壁の表面からの窓枠の室内側への引き込み寸法に応じ、前記開口用外装材の開口枠側片の長さを設定し、次に、この開口用外装材を、開口枠の周縁に取り付けることを特徴とする建物の開口部の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の建物の開口部構造では、外壁の開口部周縁の開口枠に、開口枠下地を取り付け、この開口枠下地に窓枠を取り付ける構造となっている。
【0015】
開口枠下地は、開口枠に対して室内外方向に移動可能な外周寸法、かつ、開口枠内に収容可能な幅寸法となっており、外壁の仕様に応じて、開口枠に対する開口枠下地を取り付ける位置を室内外方向に変更でき、あるいは、開口枠下地の室内外方向の幅寸法を変更することでも、開口枠に対する相対位置を変更できる。これにより、開口枠下地に取り付けられる窓枠の位置も、開口枠に対して室内外方向に変更可能となり、外壁表面からの窓の引込寸法を任意に設定できる。
【0016】
また、開口枠下地は、開口枠の内周に装着されているため、開口枠の室外側には、開口用外装材の開口枠側片を設置するための空間が確保される。したがって、上記のように窓の引込寸法を任意に設定しても、これに対応して、開口用外装材の開口枠側片の長さを設定することで、窓枠よりも室外側の開口枠を開口枠側片で覆い、高級な邸宅感を演出することができる。
【0017】
以上のように、本発明の建物の開口部構造では、設計自由度が向上する。
【0018】
請求項2に記載の建物の開口部構造では、開口枠下地を開口枠に取り付ける際には、開口枠下地を室内側段部に突き当てることで位置決めしてから取り付ける。
【0019】
したがって、組み付け時の開口枠下地の位置決めが容易で、作業性に優れる。
【0020】
請求項3に記載の建物の開口部構造では、窓枠を開口枠下地に取り付ける際には、窓枠の取付フランジを、開口枠下地の室外側端面に当接して位置決めを行った状態で、取付フランジを開口枠下地に固定する。
【0021】
このように、窓枠に取付フランジを設けたことで、窓枠の位置決め作業が容易となり、作業性に優れる。
【0022】
請求項4に記載の開口部の製造方法では、建物の建設現場において、外壁の表面からの窓の引込寸法に応じ、開口用外装材の開口枠側片を切断するなどして最適寸法に設定してから、この開口用外装材を開口枠周縁に取り付ける。
【0023】
したがって、建物の仕様により、外壁表面からの窓の室内側への引込寸法が異なっていても、これに対応して、外装材と窓との間に、開口用外装材を配置させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る建物の開口部構造を図1〜図4を用いて説明する。
【0026】
この実施の形態1に係る建物の開口部構造は、図1および図2に示す建物Hの外壁1においてサッシ窓2を取り付けるために開口された開口部3に適用されたもので、以下、詳細に説明する。なお、本実施の形態1では、建物Hとして、建物ユニットを結合して構成されたユニット建物を用いている。
【0027】
この建物Hにおいて、天井大梁41と床大梁42との間に、外壁1が立設されている。この外壁1は、室外OS側に、木枠11aにより枠状に形成された外側枠体11が立設され、この外側枠体11は、室外OS側が、胴縁12を介して外装材13で覆われ、一方、室内RM側が板材14で覆われている。なお、外装材13は、硬質木片セメント板などで形成された板状の下地材13aの表面にタイル13bを貼付して形成されている(図3参照)。
【0028】
さらに、板材14から室内RM側に離間した位置に、内壁枠15aにより枠状に形成された内側枠体15が立設され、この内側枠体15の室内RM側が、内装材16で覆われている。
【0029】
また、外側枠体11と内側枠体15との間には、グラスウールなどの断熱材17が充填され、かつ、外側枠体11と内側枠体15との内部にも断熱材17が充填されている。
【0030】
外壁1には、正面視長方形の開口部3が開口されている。この開口部3は、外壁1の端面で形成された開口枠18に囲まれている。この開口枠18は、外側枠体11において開口部を囲んで正面視長方形の枠状に形成されたランバー11bと、その室内RM側に配置された板材14の端面と、その室内RM側に配置された断熱材17の端面と、その室内RM側に配置された内側枠体15において開口部3を囲んで正面視長方形の枠状に形成された内壁枠15aと、で形成されている。なお、開口枠18は、内壁枠15aが一段突出されて室内側段部18aが全周に亘って形成されている。なお、以下、開口枠18において、室内側段部18aよりも室外OS側の部分を一般部18bと称する。
【0031】
開口枠18には、開口枠下地5が固定されている。この開口枠下地5は、木材により図4に示すような長方形の枠状に形成されている。そして、この開口枠下地5は、図1,図2に示すように、開口枠18の一般部18bに対して室内外方向(矢印Y1方向)に移動可能なように、その外周寸法が、開口枠18の一般部18bの内周よりも僅かに小さな寸法に形成され、かつ、このように室内外方向にある程度移動させても、開口枠下地5が開口枠18から室外OSへ突出しないように、その室内外方向(矢印Y1方向)の幅寸法が、開口枠18の一般部18bよりも狭く形成されている。
【0032】
また、開口枠下地5は、室内RM側の端面5aが、内壁枠15aによる室内側段部18aに突き当てられた位置で、ランバー11bに釘5bあるいはネジにより固定されている。そして、開口枠下地5の室外OS側の端面5cよりも室外OS側に、外装材用空間Sが形成されている。なお、この外装材用空間Sの位置で、ランバー11bに、胴口11cが開口枠18の全周に亘って固定されている。
【0033】
そして、開口枠下地5に、サッシ窓2が固定されている。すなわち、サッシ窓2は、開口枠下地5の内周に収容されて配置され、かつ、窓枠21に一体に形成された室内側取付フランジ21aが開口枠下地5の内周にネジ止めされ、窓枠21に一体に形成された室外側取付フランジ21bが、開口枠下地5の室外側の端面5cにネジ止めされて固定されている。なお、室内側取付フランジ21aは、窓枠21の室内RM側端部から室内RM方向に突出されている。一方、室外側取付フランジ21bは、窓枠21の室外OS側の端部から外周方向に突出されている。
【0034】
また、サッシ窓2の室内RM側に位置する開口枠18および開口枠下地5は、上枠部分18cと縦枠部分18dとが額縁18eに覆われ、下枠部分18fが膳板18gで覆われている。
【0035】
さらに、開口枠18において、サッシ窓2よりも室外OS側の外装材用空間Sは、上枠部分18hと縦枠部分18jとが開口用外装材6に覆われ、下枠部分18kが水切り材7に覆われている。
【0036】
開口用外装材6は、外装材13と同一の素材の下地材13aとタイル13bとで形成されているとともに、室外片6aと開口枠側片6bとにより略L字断面形状に形成されている。
【0037】
そして、この開口用外装材6は、室外片6aの先端が、シール材81を介して外装材13に水密状態で接合され、外装材13と連続して外壁1の室外OS側の面を覆っている。また、開口枠側片6bは、開口枠18の一般部18bの外装材用空間Sに面した部分を覆うように窓枠21に向けて延在され、その先端が窓枠21にシール材82を介して水密状態で接合されている。
【0038】
水切り材7は、金属板製で、室内RM側の端部が開口枠下地5に当接された位置でシール材83により窓枠21に接着され、一方、室外OS側の端部が、シール材84を介して外装材13に接着されている。
【0039】
次に、実施の形態1の建物の開口部構造の製造方法について説明する。
【0040】
まず、ユニット構造の建物Hにあっては、工場において、建物ユニットを組み立てる。この際、外壁1にあっては、外装材13および開口用外装材6以外を図1,2に示す状態に組み立てる。
【0041】
この際、開口部3では、外壁1に形成された開口部3の開口枠18に、図4(a)に示すように、正面視長方形に形成した開口枠下地5を挿入する。そして、この開口枠下地5を、開口枠18の室内側段部18aに突き当て、その位置で、開口枠18を形成するランバー11bに固定する。
【0042】
その後、開口枠下地5にサッシ窓2を固定する。この場合、サッシ窓2を、その窓枠21に形成した室外側取付フランジ21bが、図1,図2に示すように、開口枠下地5の室外側の端面5cに突き当たるまで開口枠下地5内に差し込み、この位置で、室外側取付フランジ21bを開口枠下地5の室外側の端面5cにネジで固定し、かつ、室内側取付フランジ21aを開口枠下地5に内側から固定する。
【0043】
その後、ランバー11bに胴口11cを固定する。
【0044】
次に、この状態の建物ユニットを、建設現場に運び、結合させて、建物Hを建設する。
【0045】
この際、建設現場では、外壁1の室外OS側に外装材13を取り付け、その後、開口部3の室外OS側に開口用外装材6を取り付ける。この開口用外装材6は、室外片6aと開口枠側片6bとを備えた断面略L字形状を成すが、各片6a,6bの長さは、建設現場において、必要に応じて最適の長さに調節する。
【0046】
そこで、現場において、開口部3の開口枠18の上枠部分18hおよび縦枠部分18jにおいて、サッシ窓2の室外OS側に形成されている外装材用空間Sの奥行き、ならびに外装材13からサッシ窓2の外周までの寸法を採寸し、開口用外装材6の各片6a,6bを、必要な長さに設定した後、開口枠側片6bの先端部をシール材82によりサッシ窓2の窓枠21に接着し、かつ、室外片6aの先端部をシール材81により、外装材13の端面に接着する。
【0047】
例えば、図1,図2に示す状態が、建物Hの仕様においてサッシ窓2を最も室内RM側に引き込んだ状態であれば、これらの図に示す開口枠側片6bの長さが最大であり、これらの図に示す状態よりもサッシ窓2の引込寸法が小さくなれば、開口枠側片6bを必要に応じて切断する。いずれにしても、開口枠側片6bは、建物Hの仕様に応じ、必要な最長の長さに形成されていて、必要に応じて切断して使用する。
【0048】
また、開口枠18の下枠部分18kでは、同様に、水切り材7を必要な長さに調節した後、シール材83により窓枠21の下端部に接着するとともに、シール材84により外装材13の端面に接着する。
【0049】
このようにして、図3に示す外観を有した外壁1が形成される。この外壁1は、開口部3の周縁に設けられた開口用外装材6がサッシ窓2に向かって延在されるため、外装材13の板厚が実際よりも厚みを有して見え、高級な邸宅感が得られる。特に、開口用外装材6が、開口枠18の上枠部分18hと両側の縦枠部分18j,18jとの3方に設けられているため、縦枠部分18j,18jのみに設ける場合よりも、より高く邸宅感が得られる。
【0050】
また、この実施の形態1の開口部構造では、建物Hの仕様が異なり、外壁1の厚さ寸法が異なったり、あるいは、施主の好みに対応したりして、外壁1の表面に対するサッシ窓2の位置(室内側への引き込み量)を異ならせる場合、開口枠下地5を固定する位置、あるいは開口枠下地5の室内外方向の幅寸法(図4のL)を変えることにより、サッシ窓2の位置を任意に変更させることができる。
【0051】
すなわち、実施の形態1で示した開口枠下地5を、そのまま実施の形態1で示した外壁1よりも厚みの薄い外壁に適用し、この開口枠下地5にサッシ窓2を取り付けた場合、サッシ窓2の室内RM側への引き込み量は小さくなる。あるいは、実施の形態1で示した外壁1において、開口枠下地5を、室内側段部18aから離して配置してサッシ窓2を取り付けた場合も、サッシ窓2の室内RM側への引き込み量は小さくなる。
【0052】
一方、実施の形態1で示した開口枠下地5よりも、幅寸法Lを小さい開口枠下地(図資料尺)を室内側段部18aに突き当てて配置し、これにサッシ窓2を取り付けた場合は、サッシ窓2の室内RM側への引き込み量はさらに大きなものとなる。あるいは、上述のように、実施の形態1よりも厚みの薄い外壁に適用した場合には、壁厚が薄いにもかかわらず、実施の形態1と同様のサッシ窓2の引き込み量を得ることができる。
【0053】
なお、このようなサッシ窓2の室内RM側への引込寸法に応じて、上述のように開口用外装材6の開口枠側片6bの長さを調節するが、工場では、サッシ窓2の位置に応じて、額縁18eおよび膳板18gの寸法を調節するものである。
【0054】
以上説明したように、実施の形態1の建物の開口部構造では、開口枠18に対して位置を調整可能な開口枠下地5を設け、かつ、この開口枠下地5にサッシ窓2を取り付け、開口枠下地5の室外OS側に外装材用空間Sを有した構造とし、さらに、開口用外装材6の開口枠側片6bが、この外装材用空間Sを覆ってサッシ窓2まで延在される構造としたため、外壁1の表面からのサッシ窓2の引き込み量を任意に設定できるとともに、この引き込み量に応じて開口枠側片6bの長さを調節することができる。
【0055】
したがって、設計自由度が向上し、高級な邸宅感の演出バリエーションが向上する。
【0056】
さらに、実施の形態1では、開口枠下地5を開口枠18に取り付ける際には、開口枠下地5を室内側段部18aに突き当てて位置決めできるようにした。
【0057】
したがって、組み付け時の開口枠下地5の位置決めが容易で、作業性に優れる。
【0058】
加えて、実施の形態1では、窓枠21を開口枠下地5に取り付ける際には、窓枠21の室外側取付フランジ21bを、開口枠下地5の室外側の端面5cに当接して位置決めを行った状態で開口枠下地5に固定するようにした。
【0059】
したがって、窓枠21の位置決め作業が容易となり、作業性に優れる。
【0060】
加えて、実施の形態1では、開口用外装材6の開口枠側片6bと窓枠21との間が、シール材82でシールされている。
【0061】
したがって、開口用外装材6から窓枠21に連続するシール構造が得られ、開口用外装材6と窓枠21との間に、水切りなどの他の部材を介在させるのに比べて、シール性に優れるとともに、組付作業性に優れる。
【0062】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態1について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態1に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0063】
すなわち、実施の形態では、本発明の開口部構造を適用する建物Hして、ユニット建物を示したが、これに限定されるものではなく、軸組み構造やツーバイフォー構造などの他の建物にも適用できる。
【0064】
また、実施の形態では、外装材13として、硬質木片セメント板などで形成された板状の下地材13aの表面にタイル13bを貼付したものを示したが、これに限定されるものではない。
【0065】
また、実施の形態では、開口用外装材6を、開口枠18の上枠部分18hと縦枠部分18jとに設けた例を示したが、これに限定されず、開口枠18の縦枠部分18jのみに設けた構造としてもよいし、あるいは、開口用外装材6を開口枠18の全周に設けてもよい。
【0066】
また、実施の形態では、開口用外装材6として、室外片6aと開口枠側片6bとでL字断面形状に形成したものを示したが、その形状は、これに限定されるものではない。要は、開口枠18を覆う開口枠側片6bを有していればよく、この開口枠側片6bのみで形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1の建物の開口部構造を示す縦断面図であって、図3のS1−S1線で切断した状態を示している。
【図2】本発明の実施の形態1の建物の開口部構造を示す横断面図であって、図3のS2−S2線で切断した状態を示している。
【図3】本発明の実施の形態1の建物の開口部構造を適用した外壁を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1の建物の開口部構造の製造手順の一部を示す斜視図であって、(a)は開口枠18に開口枠下地5を取り付ける前の状態を示し、(b)は開口枠18に開口枠下地5を固定する状態を示している。
【符号の説明】
【0068】
1 外壁
2 サッシ窓
3 開口部
5 開口枠下地
6 開口用外装材
6b 開口枠側片
6a 室外片
13 外装材
18 開口枠
18a 室内側段部
21 窓枠
21b 室外側取付フランジ
H 建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に開口された窓用の開口部の周囲を囲む開口枠と、
この開口枠に沿って室内外方向へ移動可能な外周寸法であるとともに、開口枠内に収容可能な室内外方向の幅寸法の枠状に形成され、かつ、前記開口枠の室外側端部よりも室内側に配置されて開口枠に取り付けられた開口枠下地と、
前記外壁の表面よりも室内側の位置で、前記開口枠下地の内周に取り付けられた窓枠と、
前記外壁を覆う外装材に連続して開口部の周縁に取り付けられ、前記開口枠の窓枠よりも室外側部分を覆う開口枠側片を有した開口用外装材と、
を備えていることを特徴とする建物の開口部構造。
【請求項2】
前記開口枠の室内側端部には、開口中央側に突出した室内側段部が形成され、この室内側段部に前記開口枠下地が突き当てられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の開口部構造。
【請求項3】
前記窓枠に、取付フランジが外周方向に突出され、
この取付フランジが、前記開口枠下地の室外側端面に当接した状態で開口枠下地に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の開口部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された建物の開口部構造を有した建物の開口部の製造方法であって、
工場において、外壁の開口枠の任意の位置に、開口枠下地を固定し、
次に、この開口枠下地に窓枠を取り付け、
その後、建物の建築現場において、
前記外壁の表面からの窓枠の室内側への引き込み寸法に応じ、前記開口用外装材の開口枠側片の長さを設定し、
次に、この開口用外装材を、開口枠の周縁に取り付けることを特徴とする建物の開口部の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−132114(P2007−132114A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327316(P2005−327316)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(591020696)株式会社北方住文化研究所 (8)
【Fターム(参考)】