説明

建物壁の遮熱・断熱構造

【課題】施工が容易であるとともに断熱性能に優れた建物壁の遮熱・断熱構造を提供すること。
【解決手段】内壁14と外壁12とを備えた建物壁の内壁14の屋内側に下地材16を介してさらに壁材18が設けられて、内壁14よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層20が設けられた構造とする。この場合、内壁14の屋内側の面および壁材18の屋外側の面のいずれか一方または両方に、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させる熱反射シート22,24が貼り付けられていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内壁と外壁とを備えた建物壁の遮熱・断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅および非住宅のいずれにおいても、建物の気密・断熱性能は、世の中にあまり広く意識されていなかった。近年、省エネルギー法に基づき、住宅の断熱性能基準が定められ、さらにこれが平成4年および平成11年に告示改正されたことから、住宅に関しては、建物の気密・断熱性能の意識が高まってきた。
【0003】
一方、ビルなどの非住宅の建物に関しては、経済合理性が大きく影響するため、住宅とは違い、建物の気密・断熱性能の意識は依然低かった。ところが、平成14年の法改正により、2000m以上の全建物についてエネルギー措置に関する届け出が義務化されたこと、また、平成21年法改正では、届け出の義務化が300m以上の全建物にまで引き上げられたことなどから、最近では、非住宅の建物に関しても、建物の気密・断熱性能の意識が高まるようになってきた。
【0004】
建物の断熱性能を高める方法としては、建物の壁内に発泡ポリスチレンや発泡ウレタンなどの断熱材を設置する方法が知られている。建物の壁には、石膏ボードなどで構成される内壁と、内壁の外側に設けられ、コンクリートやALC、鉄板貼などで構成される外壁とがある。例えば特許文献1などに示されるように、断熱材は、通常、内壁と外壁との間に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−68127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非住宅の建物では、気密・断熱性能の意識が高まってきたのは最近のことであるため、従来から多く存在する非住宅の建物については、断熱材が設置されていないものがほとんどを占めているのが現状である。このような既存の建物に断熱材を設置する場合には、改修工事を伴う。
【0007】
改修工事で内壁と外壁との間の隙間に断熱材を設置する場合、既存の内壁を撤去して断熱材を設置した後、内壁を復旧させる必要がある。また、内壁を撤去する際には埃等が発生するため、備品等の室内品を移動させたり、ビニール等で室内品を覆ったりする作業が発生する。さらに、内壁の撤去による廃材処分が発生したり、内壁を復旧させるために新たに内壁材を調達したりする。このため、施工が煩雑で、工事期間の長期化、廃材の発生、コスト増といった問題がある。
【0008】
また、従来の建物における断熱構造は、熱伝導率の低い発泡ポリスチレンや発泡ウレタンなどの建材を断熱材に用いた、いわゆる伝導伝熱を抑える方法で建物の断熱性能を高める考えのものであった。建物の内壁と外壁との間には隙間が存在するが、この隙間は、対流伝熱を抑えるという視点から設けられたものではない。いいかえれば、従来の断熱構造は、伝導伝熱を抑えることにスポットが当てられていた。熱の伝達には、伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の3つの方法があるため、従来の断熱構造では、熱伝達を十分に抑えていたとはいえず、建物の断熱性能を高める方法には改良の余地があるといえる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、施工が容易であるとともに断熱性能に優れた建物壁の遮熱・断熱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る建物壁の遮熱・断熱構造は、内壁と外壁とを備えた建物壁の前記内壁の屋内側に下地材を介してさらに壁材が設けられて、前記内壁よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層が設けられていることを要旨とするものである。
【0011】
この際、前記内壁の屋内側の面および前記壁材の屋外側の面のいずれか一方または両方には、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させる熱反射シートが貼り付けられていることが好ましい。
【0012】
そして、前記空気層の厚みが21mmであることが好ましい。
【0013】
また、前記下地材は前記内壁と前記壁材との間で間隔をあけて鉛直方向に平行に配置されており、該下地材の上端側および下端側のいずれか一方または両方には、該下地材を介して仕切られている空気層間の自然対流を発生させるための隙間が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る他の建物壁の遮熱・断熱構造は、建物の内壁を取り付けるための胴縁に対し直接内壁を取り付けないで該胴縁の屋内側に屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させる熱反射シートが貼り付けられ、該熱反射シートの屋内側に下地材を介してさらに壁材が設けられて、前記胴縁よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層が設けられ、さらに、前記壁材の屋外側の面に熱反射シートが貼り付けられていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る建物壁の遮熱・断熱構造によれば、内壁の屋内側にさらに設けられた壁材の厚みによって壁全体の厚みが増すため、伝導伝熱による熱伝達を低減させることができる。また、内壁と壁材との間に空気層が設けられたことで、対流伝熱による熱伝達も低減させることができる。このように、伝導伝熱による熱伝達と対流伝熱による熱伝達の両方の熱伝達を低減させることができるため、断熱性能に優れたものにすることができる。
【0016】
そして、この遮熱・断熱構造は、内壁を残したままで内壁の屋内側に下地材を介してさらに壁材を設けることにより形成することができ、内壁を撤去する必要がないことから、従来の方法と異なり、施工が容易で低コストであるという利点がある。従来には、断熱性能を高める目的で、このように内壁の屋内側に新たに壁を増設するという考えはなかった。本発明の遮熱・断熱構造は、施工の容易性と優れた断熱性能とを併せ持つ遮熱・断熱構造である。
【0017】
この際、内壁の屋内側の面や壁材の屋外側の面に熱反射シートが貼り付けられていれば、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達も低減させることができる。これにより、断熱性能のみならず遮熱性能もさらに高めることができる。
【0018】
ここで、空気層の厚みが21mmであると、対流伝熱による熱伝達を低減させることができる。
【0019】
また、下地材は内壁と壁材との間で間隔をあけて鉛直方向に平行に配置されており、下地材の上端側や下端側に隙間が設けられていると、下地材を介して仕切られている空気層間の自然対流を発生させることができる。これによって、さらに対流伝熱による熱伝達を低減させることができる。
【0020】
そして、本発明に係る他の建物壁の遮熱・断熱構造によれば、胴縁と壁材との間に空気層が設けられたことで、対流伝熱による熱伝達を低減させることができるため、断熱性能に優れる。また、胴縁の屋内側や壁材の屋外側の面に貼り付けられている熱反射シートにより、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達も低減させることができる。これにより、断熱性能のみならず遮熱性能も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造を一部切り欠いて示した斜視図である。
【図2】図1に示す建物壁の遮熱・断熱構造の横断面図である。
【図3】図1に示す建物壁の遮熱・断熱構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造を一部切り欠いて示した斜視図である。図2は、図1に示す建物壁の遮熱・断熱構造の横断面図である。図3は、図1に示す建物壁の遮熱・断熱構造の縦断面図である。
【0023】
この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10において、建物壁は、コンクリートやALC、鉄板などからなる外壁12と、この外壁12に対して所定の間隔をあけて外壁12よりも屋内側に配置される内壁14とを備えている。内壁14には、通常、石膏ボートが用いられる。内壁14は、図示しない胴縁に取り付けられる。胴縁は、外壁12よりも屋内側で、図示しない柱間に水平方向に沿って設置されるか、あるいは、鉛直方向に沿って設置される。
【0024】
この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10においては、内壁14の屋内側に下地材16を介してさらに壁材18が設けられている。この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10においては、内壁14の屋内側にさらに壁材18が設けられている点に特徴があり、従来には、断熱性能を高める目的で、このように内壁14の屋内側に新たに壁を増設するという考えはなかった。
【0025】
この壁材18の厚みにより、壁全体の厚みが増す。壁の厚みが増した分により、伝導伝熱による熱伝達を低減させることができる。この観点から、壁材18に用いる建材としては、熱伝導率の低い建材を用いることが好ましい。具体的には、石膏ボードなどを挙げることができる。壁材18の厚みとしては、特に限定されるものではないが、内壁14と同じ厚み程度であれば良い。例えば、壁材18に石膏ボードを用い、内壁14と同じ厚みに構成することにより、伝導伝熱の速度を半減させることができる。これにより、熱伝達を軽減させることができる。
【0026】
下地材16は、内壁14および壁材18に接することから、内壁14と壁材18との間での熱の伝導パスとなる。下地材16に用いる建材には、伝導伝熱による熱伝達を低減させるなどの観点から、熱伝導率の低い建材を用いることが好ましい。具体的には、石膏ボードなどを挙げることができる。
【0027】
この下地材16を用いる(介在させる)ことにより、内壁14と壁材18とが直接接触しないこととなり、内壁14と壁材18との間に空気層20が確保される。形成される空気層20は、対流伝熱による熱伝達を低減させるためのものである。対流伝熱に影響を及ぼす温度境界層は、流体が空気の場合には20mm程度とされている。このため、空気層20を21mm以上確保することにより、対流伝熱による熱伝達を低減させることができる。この観点から、空気層20の厚みとしては21mm以上であることが好ましい。また、一方で、施工のしやすさや壁材18の取付強度などを考慮すると、空気層20の厚みは大きすぎないほうが好ましい。この観点から、空気層20の厚みとしては、36mm以下であることが好ましい。この空気層20の厚みは、下地材16の厚みにより調整することができる。
【0028】
下地材16は、長板状の外形をしており、内壁14と壁材18との間で間隔をあけて鉛直方向に平行に配置されている。下地材16と下地材16との間の空間が空気層20となり、この下地材16により空気層20が仕切られている。空気層20の幅(横方向の長さ)としては、特に限定されるものではないが、300mm〜450mm程度の幅があれば良い。空気層20の幅は、下地材16の配置間隔により調整することができる。
【0029】
下地材16の鉛直方向の長さは、内壁14および壁材18の鉛直方向の長さよりも短くされており、内壁14と壁材18との間に配置された下地材16の上端側と下端側には隙間Sが形成されている。この隙間Sは、下地材16を介して仕切られている空気層20間を連通させるものであり、空気層20間の自然対流を発生させるものとされている。この隙間Sを介して空気層20間に自然対流を発生させると、厚み方向に対流伝熱される熱が厚み方向に直交する面の横方向にも対流(移動・拡散)し、厚み方向への熱伝達を軽減させることができる。これによって、さらに対流伝熱による熱伝達を低減させることができる。
【0030】
この隙間Sの大きさは、空気層20間の自然対流を発生させるものとして、20mm以上であることが好ましい。一方、壁材18の取付強度を考慮すると、この隙間Sがあまり大きすぎないほうが好ましい。具体的には、50mm以下とすることが好ましい。より好ましくは35mm以下である。
【0031】
内壁14の屋内側の面および壁材18の屋外側の面の両方には、熱反射シートが貼り付けられている。熱反射シート22,24は、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させるものである。例えば夏の暑い時期には、屋外からの放射熱が熱反射シート22,24で反射され、屋内に放射熱が伝熱されるのを防止して、屋内の温度上昇を抑えることができる。また、冬の寒い時期には、屋内の暖房熱が熱反射シート22,24で反射され、屋外に放射熱が伝熱されるのを防止して、屋内の温度低下を抑えることができる。すなわち、外部との温度差を維持することができる。
【0032】
ここで、2重に(両方に)熱反射シート22,24を施しているのは、これらの壁面に貼り付けるという厚みや重さ、施工性などの制約の中で、優れた熱反射性を実現する厚みを確保するなどの理由による。したがって、2重に熱反射シート22,24を施すことで、放射伝熱をより軽減させることができる。
【0033】
熱反射シート22,24に用いる熱反射材料としては、金属材料を挙げることができる。金属材料としては、熱反射性に優れるアルミニウム、銀などを挙げることができる。このうちでは、軽量性、コストなどの面から、アルミニウムを好ましいものとして挙げることができる。熱反射シート22,24は、このような熱反射材料をシート状あるいは箔状にしたものそのままから構成されていても良いが、強度に優れ、施工しやすい等の観点から、クラフト紙やプラスチックシートなどの基材シートを用い、基材シート上に熱反射材料の薄膜を形成したものにより構成されていることが好ましい。また、石膏ボードの表面への施工性を考慮すると、クラフト紙を基材シートとしたものが好ましい。
【0034】
2重に熱反射シート22,24を施す場合には、一方の熱反射シート22(24)の熱反射材料と、他方の熱反射シート24(22)の熱反射材料とが同じ材料であっても良いし、異なる材料であっても良い。
【0035】
熱反射シート22,24には、透湿性を考慮して、その厚み方向に沿って貫通する多数の透湿穴が設けられていても良い。透湿穴の大きさや透湿穴どうしの相互間隔については、透湿性を考慮して適宜定めることができる。2重に熱反射シート22,24を施す場合には、透湿穴の形成によって一方の熱反射シート22(24)に生じるおそれのある熱反射性能の低下を、他方の熱反射シート24(22)によって抑えることができるという利点がある。例えば、一方の熱反射シート22(24)の透湿穴の位置と他方の熱反射シート24(22)の透湿穴の位置をずらすことにより、その効果をより高めることができる。
【0036】
この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10は、現場施工により容易に施工することができる。例えば、まず、既存建物あるいは新設建物の内壁14の屋内側に熱反射シート22を貼り付ける。次に、熱反射シート22を貼り付けた上から、内壁14の屋内側の面に、鉛直方向に沿って平行になるように複数の下地材16を取り付ける。次に、予め一方の面に熱反射シート24を貼り付けた壁材18を、貼り付けた熱反射シート24が屋外側(内壁14側)を向くように下地材16に取り付ける。これにより、この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10が得られる。なお、下地材16や壁材18は、接着剤を用いて取り付けることもできるし、タッカー止めにより取り付けることもできるし、接着剤とタッカー止めの両方により取り付けることもできる。
【0037】
このような建物壁の遮熱・断熱構造10によれば、内壁14の屋内側にさらに設けられた壁材18の厚みによって壁全体の厚みが増すため、伝導伝熱による熱伝達を低減させることができる。また、内壁14と壁材18との間に空気層20が設けられたことで、対流伝熱による熱伝達も低減させることができる。さらに、内壁14の屋内側の面や壁材18の屋外側の面に貼り付けられた熱反射シート22,24によって、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達も低減させることができる。このように、建物壁の遮熱・断熱構造10は、伝導伝熱による熱伝達と対流伝熱による熱伝達と放射伝熱による熱伝達のすべての伝熱システムに対策を施した断熱システムであるため、遮熱・断熱性能に優れたものとなる。
【0038】
そして、この遮熱・断熱構造10は、内壁14を残したままで内壁14の屋内側に下地材16を介してさらに壁材18を設けることにより形成することができ、内壁14を撤去する必要がないことから、従来の方法と異なり、施工が容易である。したがって、この遮熱・断熱構造10は、施工の容易性と優れた遮熱・断熱性能とを併せ持つ遮熱・断熱構造である。この遮熱・断熱構造10は、既存建物、新設建物のいずれに対しても適用することができる。内壁14を撤去する必要がなく施工を容易にすることができるという点から、特に既存建物に対して効果的である。
【0039】
この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10においては、さらに断熱性能を高めるために、内壁14と外壁12との間、あるいは、外壁12の外側などに、ガラスウールや発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタンなどの断熱材を設置することもできる。この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10においては、内壁14の屋内側に本発明に係る遮熱・断熱構造を増設するものであるため、このような断熱材を設置するスペースと競合するものではなく、本発明に係る遮熱・断熱構造によって断熱材による断熱効果が制限されるものではない。
【0040】
この実施形態に係る建物壁の遮熱・断熱構造10は、ビルなどの非住宅の建物は勿論、住宅の建物にも適用することができる。建物の形態について特に制限されるものではない。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0042】
例えば上記実施形態においては、内壁14と壁材18との間に配置された下地材16の上端側と下端側に隙間Sが形成されている構成が示されているが、隙間Sがない構成であっても良い。また、下地材16の上端側と下端側のいずれか一方に隙間Sがあり、他方には隙間Sがない構成であっても良い。さらに、これらの構成において、下地材16の中間部分に、下地材16を介して仕切られている空気層20間を連通させる隙間があっても良い。この隙間によっても、空気層20間の自然対流を発生させることができる。
【0043】
また、空気層20においては、上下方向に自然対流あるいは強制対流を発生させる構成にすることもできる。これによれば、空気層20の上下方向にも対流による熱移動が生じるため、厚み方向への対流伝熱を低減させることができる。なお、このような上下方向への自然対流あるいは強制対流は、例えば上下方向のいずれかから強制排気あるいは送風を行うことにより行うことができる。
【0044】
また、上記実施形態においては、内壁14の屋内側の面および壁材18の屋外側の面の両方に熱反射シート22,24が貼り付けられている構成が示されているが、熱反射シート22,24を用いない構成であっても良い。この場合には、建物壁の遮熱・断熱構造は、伝導伝熱による熱伝達と対流伝熱による熱伝達に対策を施した断熱システムとなり、これによって断熱性能に優れたものにする。また、内壁14の屋内側の面および壁材18の屋外側の面のいずれか一方には熱反射シート22(24)が貼り付けられているが、他方には熱反射シート24(22)が貼り付けられていない構成であっても良い。
【0045】
また、上記実施形態においては、内壁14を備えた構成としているが、内壁14を備えてない構成であっても良い。具体的には、建物の内壁を取り付けるための図示しない胴縁に対し直接内壁を取り付けないで胴縁の屋内側に熱反射シート22が貼り付けられ、熱反射シート22の屋内側に下地材16を介してさらに壁材18が設けられて、胴縁よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層20が設けられ、さらに、壁材18の屋外側の面に熱反射シート24が貼り付けられてなる建物壁の遮熱・断熱構造としても良い。
【符号の説明】
【0046】
10 建物壁の遮熱・断熱構造
12 外壁
14 内壁
16 下地材
18 壁材
20 空気層
22,24 熱反射シート
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁と外壁とを備えた建物壁の前記内壁の屋内側に下地材を介してさらに壁材が設けられて、前記内壁よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層が設けられていることを特徴とする建物壁の遮熱・断熱構造。
【請求項2】
前記内壁の屋内側の面および前記壁材の屋外側の面のいずれか一方または両方には、屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させる熱反射シートが貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物壁の遮熱・断熱構造。
【請求項3】
前記空気層の厚みが21mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の建物壁の遮熱・断熱構造。
【請求項4】
前記下地材は前記内壁と前記壁材との間で間隔をあけて鉛直方向に平行に配置されており、該下地材の上端側および下端側のいずれか一方または両方には、該下地材を介して仕切られている空気層間の自然対流を発生させるための隙間が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の建物壁の遮熱・断熱構造。
【請求項5】
建物の内壁を取り付けるための胴縁に対し直接内壁を取り付けないで該胴縁の屋内側に屋外あるいは屋内からの熱を反射して放射伝熱による熱伝達を低減させる熱反射シートが貼り付けられ、該熱反射シートの屋内側に下地材を介してさらに壁材が設けられて、前記胴縁よりも屋内側に、対流伝熱による熱伝達を低減させる空気層が設けられ、さらに、前記壁材の屋外側の面に熱反射シートが貼り付けられていることを特徴とする建物壁の遮熱・断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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