説明

建物

【課題】低天井収納空間に自然光を容易に採り入れることができる建物を提供する。
【解決手段】天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間4が設けられており、部屋2の床の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床6で構成されているので、自然光を部屋2からこの第1透光性床6を通して低天井収納空間4に容易に採り入れることができる。
したがって、日中は電灯を灯さなくても物の出し入れや低天井収納空間4での物の整理を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納室の下方に、天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間が設けられた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
天井高さが0.9〜1.4m程度の低天井収納空間が設けられた建物の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この建物では、例えば、2階に中間床を設け、この中間床と2階床との間に天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間を設けたり、また、1階に中間床を設け、この中間床と1階床との間に天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間を設けたりしている。
【特許文献1】特開2005−325594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような低天井収納空間は窓がない場合が多く自然光を利用することができないので、日中でも電灯を灯さなければ物の出し入れや低天井収納空間での物の整理がし難い。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、低天井収納空間に自然光を容易に採り入れることができる建物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、部屋2の下方に、天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間4が設けられた建物において、
前記部屋2の床5の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床6で構成されていることを特徴とする。
【0006】
ここで、第1透光性床6は、透明でもよいし、または透明でなくても透光性を有していればよく、例えば強化ガラスや強化樹脂等で形成される。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、部屋2の床5の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床6で構成されているので、自然光を部屋2からこの第1透光性床6を通して低天井収納空間4に容易に採り入れることができる。
したがって、日中は電灯を灯さなくても物の出し入れや低天井収納空間4での物の整理を行える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物において、
前記部屋2が窓のない収納室2であり、この収納室2の上方に天窓3が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、窓のない収納室2には天窓3から自然光を採り入れることができ、この自然光を第1透光性床6を通して低天井収納空間4に容易に採り入れることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の建物において、
前記低天井収納空間4の下方に、部屋12が設けられており、前記低天井収納空間4の床8の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第2透光性床10で構成されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、第2透光性床10は、透明でもよいし、または透明でなくても透光性を有していればよく、例えば強化ガラスや強化樹脂等で形成される。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、低天井収納空間4の床8の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第2透光性床10で構成されているので、低天井収納空間4の上方の部屋2から第1透光性床6を通して低天井収納空間4に採り入れた自然光を、さらに、第2透光性床10を通して、低天井収納空間4の下方の部屋12に採り入れることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の建物において、
前記第1透光性床6が収納室2の床5の中央部に設けられており、
前記第2透光性床10は、前記第1透光性床6の直下に位置していることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、第1透光性床6が収納室2の床5の中央部に設けられているので、収納室2を画成する壁に沿って収納物を収納することによって、第1透光性床6を収納物によって覆うことがなく、さらに、第2透光性床10は第1透光性床6の直下に位置しているので、第1透光性床6を通して確実に低天井収納空間4に自然光を採り入れることができ、この自然光を、第2透光性床10を通して、低天井収納空間4の下方の部屋12に確実採り入れることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物において、
前記収納室15は、二つの部屋16,17の間に設けられるとともに両部屋16,17から使用可能となっており、
前記収納室15を画成する壁19には、前記二つの部屋16,17の外側にある廊下20またはホールから出入り可能な出入口21が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、二つの部屋16,17の間に設けられた収納室15を画成する壁19に、二つの部屋16,17の外側にある廊下20またはホールから出入り可能な出入口21が形成されているので、この出入口21から物を容易に出し入れできる。したがって、二つの部屋16,17の間にある収納室15への物の出し入れが便利となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部屋の下方に、天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間が設けられており、前記部屋の床の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床で構成されているので、自然光を部屋からこの第1透光性床を通して低天井収納空間に容易に採り入れることができる。
したがって、日中は電灯を灯さなくても物の出し入れや低天井収納空間での物の整理を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る建物の要部を示す縦断面図である。本実施の形態の建物は、2階建てのものであり、1階1Fと2階2Fとの間に中間階MFが設けられている。中間階MFは天井高さが0.9〜1.4m程度の低天井階である。
2階には部屋2が設けられており、この部屋2は収納室2として利用されている。この収納室2は図2に示すように、四方が壁に囲まれた窓のない部屋であり、一つの壁に出入口2aが設けられ、この出入口2aは図示しないドアによって開閉されるようになっている。
また、収納室2の上方には、図1に示すように、天窓3が設けられており、この天窓3は開閉できるようになっている。なお、収納室2の天井は勾配天井となっており、天窓3の直下には天井がない構成となっている。したがって、天窓3から収納室2には自然光や風を採り入れることができるようになっている。
【0019】
前記中間階MFでかつ収納室2の下方には、天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間4が設けられている。この低天井収納空間4は、図3に示すように、四方が壁に囲まれた窓のない閉空間であり、一つの壁に出入口4aが設けられ、この出入口4aは図示しないドアによって開閉されるようになっている。また、この出入口4aは、1階1Fと2階2Fとを繋ぐ図示しない階段の踊り場に面して設けられている。したがって、この低天井収納空間4には、踊り場から出入りできる。
収納室2の床5はその中央部を除いて床パネルによって構成されており、この床5の中央部は、第1透光性床6で構成されている。第1透光性床6は、平面視矩形状をなす透明な強化ガラス板で形成されており、この強化ガラス板は床5の中央部に形成された孔にはめ込まれている。孔の内周面には段が形成されており、この段に強化ガラス板を上方から設置することによって、強化ガラス板が前記孔にはめ込まれている
この状態において、強化ガラス板の上面すなわち、第1透光性床6の上面は床5の上面と面一になっている。なお、第1透光性床6は透光性を有していれば、透明でなくてもよい。例えば、すりガラスの板であってもよい。
収納室2には、図2に示すように、壁に沿って収納フレーム7が設けられており、この収納フレーム7に衣服等を掛けて収納するようになっている。
【0020】
また、低天井収納空間4の床8はその中央部を除いて床パネルによって構成されており、この床8の中央部は、第2透光性床10で構成されている。第2透光性床10は、前記第1透光性床6と同様に、平面視矩形状をなす透明な強化ガラス板で形成されており、この強化ガラス板は床8の中央部に形成された孔にはめ込まれている。孔の内周面には段が形成されており、この段に強化ガラス板を上方から設置することによって、強化ガラス板が前記孔にはめ込まれている。
この状態において、強化ガラス板の上面すなわち、第2透光性床10の上面は床8の上面と面一になっている。また、第2透光性床10は、第1透光性床6の直下に位置している。
なお、第2透光性床10も、第1透光性床6と同様に、透光性を有していれば、透明でなくてもよい。例えば、すりガラスの板であってもよい。
低天井収納空間4には、図3に示すように、壁に沿って収納棚11が設けられており、この収納棚11に収納物を載置することによって収納するようになっている。
また、1階には前記低天井収納空間4の下方に、部屋12が設けられている。この部屋12は前記2階の収納室2とは異なり、窓を有する通常の部屋である。
【0021】
本実施の形態によれば、収納室2の床5の中央部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床6で構成されているので、自然光を収納室2からこの第1透光性床6を通して低天井収納空間4に容易に採り入れることができる。
したがって、日中は電灯を灯さなくても物の出し入れや低天井収納空間4での物の整理を行える。
また、収納室2には窓がないが、この収納室2の上方に天窓3が設けられているので、収納室2に天窓3から自然光を採り入れることができ、この自然光をこの第1透光性床6を通して低天井収納空間4に容易に採り入れることができる。
また、天窓3を開放するとともに、収納室2の出入口2aを開放することによって、収納室2に、風の流れをつくることができ、収納室を湿度上昇を防止できる。
【0022】
さらに、低天井収納空間4の床8の中央部が透光性を有する板材で形成された第2透光性床10で構成されているので、低天井収納空間4の上方の収納室2から第1透光性床6を通して低天井収納空間4に採り入れた自然光を、さらに、第2透光性床10を通して、低天井収納空間4の下方の部屋12に採り入れることができる。
加えて、第1透光性床6が収納室2の床の中央部に設けられているので、収納室2を画成する壁に沿って収納物を収納することによって、第1透光性床6を収納物によって覆うことがなく、さらに、第2透光性床10は第1透光性床6の直下に位置しているので、第1透光性床6を通して確実に低天井収納空間4に自然光を採り入れることができ、この自然光を、第2透光性床10を通して、低天井収納空間4の下方の部屋12に確実採り入れることができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、収納室2を四方が壁に囲まれた窓のない部屋としたが、図4に示すような収納室15としてもよい。
すなわち、収納室15は、二つの部屋16,17の間に設けられるとともに両部屋16,17から使用可能となっている。
二つの部屋16,17と収納室15とは連続した一つの空間となっており、両部屋16,17と収納室15との境界部に、床から天井までの高さを有する引違い式の戸18,18が設けられている。引違い式の戸18は3連のものであり、該引違い式の戸18を開くことによって、収納室15を部屋16,17に対して大きく開口できるようになっている。
【0024】
また、収納室15を画成する壁18には、部屋16,17の外側にある廊下20から出入り可能な出入口21が設けられており、この出入口21はドア21aによって開閉できるようになっている。
また、収納室15の上方には、図示しない開閉可能な天窓が設けられている。したがって、収納室15には、この天窓から自然光や通風を確保できるようになっている。
また、収納室15の床の中央部は透光性を有する板材で形成された第1透光性床22で構成されている。
さらに、収納室15には、引違い式の戸18,18に沿って収納フレーム23,23が設けられており、この収納フレーム23,23に衣服等を掛けて収納するようになっている。
なお、このような収納室15の下方には、上記のような低天井収納室4が設けられている。
【0025】
このように、二つの部屋16,17の間に設けられた収納室16を画成する壁19に、二つの部屋16,17の外側にある廊下29から出入り可能な出入口21が形成されているので、この出入口21から物を容易に出し入れできる。したがって、二つの部屋16,17の間にある収納室15への物の出し入れが便利となる。
また、二つの部屋16,17と収納室15とは連続した一つの空間となっており、両部屋16,17と収納室15との境界部に、床から天井までの高さを有する引違い式の戸18,18が設けられているので、引違い式の戸18,18を開けることによって、収納室15を部屋16,17に対して大きく開口させることができ、収納室15に物を容易に出し入れできる。また、二つの引違い式の戸18,18を開けた際に、両部屋16,17と収納室15とが連続した一つの空間となるので、収納室15への風通しがよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る建物の一例を示すもので、要部の縦断面図である。
【図2】同、収納室の平面図である。
【図3】同、低天井収納空間の平面図である。
【図4】同、収納室の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
2 部屋(収納室)
3 天窓
4 低天井収納空間
5 床
6 第1透光性床
8 床
10 第2透光性床
12 部屋
15 収納室
16,17 部屋
21 出入口
22 第1透光性床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の下方に、天井高さが0.9〜1.4mの低天井収納空間が設けられた建物において、
前記部屋の床の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第1透光性床で構成されていることを特徴とする建物。
【請求項2】
請求項1に記載の建物において、
前記部屋が窓のない収納室であり、この収納室の上方に天窓が設けられていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建物において、
前記低天井収納空間の下方に、部屋が設けられており、前記低天井収納空間の床の少なくとも一部が透光性を有する板材で形成された第2透光性床で構成されていることを特徴とする建物。
【請求項4】
請求項3に記載の建物において、
前記第1透光性床が収納室の床の中央部に設けられており、
前記第2透光性床は、前記第1透光性床の直下に位置していることを特徴とする建物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物において、
前記収納室は、二つの部屋の間に設けられるとともに両部屋から使用可能となっており、
前記収納室を画成する壁には、前記二つの部屋の外側にある廊下またはホールから出入り可能な出入口が形成されていることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−208538(P2008−208538A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43692(P2007−43692)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】