建築板の塗装方法
【課題】表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と端部全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装方法を提供する。
【解決手段】建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、該排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、該建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、該建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2である塗装方法。更に、該排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、該建築板の端部に塗料を塗布する工程を有する塗装方法。
【解決手段】建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、該排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、該建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、該建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2である塗装方法。更に、該排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、該建築板の端部に塗料を塗布する工程を有する塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板の塗装方法に関するものである。より詳しくは、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の裏面以外の全体、すなわち、表面全体と端部全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築板には、外観を向上させるために、表面に凹凸による模様が施され、意匠性を持たせることが多い。そして、上記表面に凹凸による模様が施された板には、水の吸収による寸法などの物性の変化を抑えるためや、外観を更に向上させるために、表面や端部に塗料を施すことが通常である。
また、建築板を、上下、及び/又は左右に配される別の建築板と接合させるために、該建築板の端部は実部を有する。図13に建築板の一例を示す。図13に示された建築板Aは、表面に突出したブロック状の凸部A7を多数形成しており、それにより表面に凹凸を有する。また、端部は、端部側面A5を有する端部と、端部側面A6を有する端部と、上実部A1と端部側面A2とを有する端部と、下実部A3と端部側面A4とを有する端部とからなる。上実部A1は、建築板Aの端部を裏面側から一部切り欠くことにより形成されており、該切り欠きは端部全面にわたっているので、上実部A1は端部全面にわたって形成されている。また、下実部A3は建築板Aの、上実部A1とは別の端部を表面側から一部切り欠いて形成されており、該切り欠きは端部全面にわたっているので、下実部A3も端部全面にわたって形成されている。なお、上実部A1を有する端部の切り欠きは、下実部A3よりも大きく形成されている。そのため、建築板Aを建物の外壁に施工する際には、上実部A1を別の建築板の下実部A3と嵌合し、下実部A3を別の建築板の上実部A1と嵌合させることにより、複数の建築板Aが一体化し、建物の外壁を構成することができる。
【0003】
上記建築板に塗料を施す方法としては、塗料を付着させた刷毛で撫でて塗装する刷毛塗り方法、回転しているロールコーターの表面の一部を塗料溜の中に漬けてロール表面に塗料を付着させ、ロールを介して塗料を移動させるロールコーター方法、スプレーの先端のノズルから塗料を吹き出させて塗装するスプレー方法、塗料溜の側壁から塗料を膜状に溢れさせて、該膜状の塗料の中を通過させて塗装するフローコーター方法などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記刷毛塗り方法は、刷毛を塗料溜に入れて刷毛に塗料を付着させ、該刷毛で塗装を施す建築板の表面と実部を有する端部とを撫でて塗装する方法であり、該刷毛で該建築板の表面と実部を有する端部とを均一に撫でること、及び、該建築板を搬送しながら行うことは難しい。また、サイズの大きい建築板や、表面に凹凸による模様が施された建築板では更に難しく、塗装が不十分な箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、刷毛を建築板に直接当てると摩耗が激しいので変形しやすく、直ぐに交換が必要である。
【0005】
ロールコーター方法は、ロールに付着した塗料を、建築板のロールに接した部分に移動させるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能である。また、表面が平滑な建築板の場合には塗料が移動し、十分な塗装が得られる。しかし、表面に凹凸による模様が施された建築板では、凹部がロールに接することができないので、凹部に塗料を移動させることができず、塗装が施されない箇所が発生し、該建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、実部を有する端部も凹凸形状であるので、全体にロールを接することができないので、塗装が施されない箇所が発生し、該建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。更に、建築板の表面と実部を有する端部とを同時に塗装することはできないし、塗料を循環させて使用した場合、塗料に建築板基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片がロールに付着し、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。また、使用する塗料の粘性により塗料の塗着状態が影響を受けるので、塗料の粘性を管理しなければならない。
【0006】
スプレー方法は、塗料を建築板の表面に吹き付けるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能であり、表面に凹凸による模様が施された建築板でも塗装ができる。しかし、凹部と凸部では塗料の塗布量が異なり、凹凸の斜面には塗料が十分に塗布されない、凹部に塗料が溜まるなどの問題が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、建築板の実部を有する端部を塗装するには、建築板の斜め下方から実部に向かって塗料を吹き付ける方法があるが、塗料を下方から吹き付けるので塗料の塗着が悪い、スプレーが詰まりやすいなどの懸念がある。別の方法として、建築板を上下逆にして該実部に塗料を吹き付ける方法もあるが、建築板を上下逆にする工程が必要になり効率が悪い、実部の形状によっては実部の奥まで塗料が届かず、塗装が施されない箇所が発生するなどの懸念がある。更に、塗料を循環させて使用した場合、塗料に建築板基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片がスプレーの先端のノズル詰まりを起こし、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。特許文献1には、スプレーのノズルに供給される塗料の流量をコリオリ流量計により測定し、管理する方法が開示されている。しかし、該方法はスプレーのノズル詰まり等の不具合を素早く検知するだけであり、ノズル詰まりを防止できない。また、スプレー方法は加圧して吹き付けるので、塗料に泡が発生しやすく、消泡剤が大量に必要になり、その副作用として、塗膜の成形性に悪影響を及ぼす懸念や、次工程で別の塗料を塗装する際に、該塗料をはじき、該塗料の密着性が悪くなる懸念や、更に、使用する塗料の粘性により塗料の塗着状態が影響を受けるので、塗料の粘性を管理しなければならないなどの懸念もある。
【特許文献1】特開2003−1155号公報
【0007】
フローコーター方法は、表面が平滑な建築板の場合には塗料を均一に塗布できる。しかし、フローコーター方法では、建築板の表面に塗料を120g/m2程度しか塗布できないため、表面に凹凸による模様が施された板では、搬送の進行方向側に設けられた凹凸の斜面には塗料が塗布されるが、搬送の進行方法とは逆側に設けられた凹凸の斜面には塗料が塗布されず、塗装が施されない箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、建築板の実部を有する端部を塗装するには、建築板を上下逆にして膜状の塗料の中を通過させるのだが、建築板を上下逆にする工程が必要になり効率が悪い、実部の形状によっては実部の奥まで塗料が届かず、塗装が施されない箇所が発生するなどの懸念がある。更に、塗料を循環させて使用した場合、塗料に泡が発生し、膜状の塗料が途切れ、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。更に、塗料に基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片が塗料溜の側壁を詰まらせ、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。
【0008】
本発明は、かかる現情に鑑みてなされたものであり、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と端部全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本請求項1に記載の発明は、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面と端部に塗装を施す塗装方法であり、上記建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、上記排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、上記建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、上記建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2であることを特徴とする塗装方法である。
本発明において、建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2と多いので、表面に凹凸を有する建築板でも表面全体に塗り残しなく十分に塗料を塗布することができると共に、該塗料が進行方向に対して垂直方向にオーバーフローし、端部を経由して該建築板の裏面の一部にまで達するので、該端部に形成された実部を含む端部全体を十分に塗装することもできる。すなわち、該建築板の裏面以外の全体に、塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、塗料の塗布量が多いので発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるという問題は発生しない。更に、塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させるので、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【0010】
本請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗装方法であり、更に、前記排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、前記建築板の端部に塗料を塗布する工程を有することを特徴とする塗装方法である。塗料返し部材は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、アルミ鋼板、ステンレス鋼板、合金めっき鋼板、トタン、銅板などの金属板や、アクリル樹脂板、ウレタン樹脂板などの樹脂板、ポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル系、クロロプレン系のゴムなどを使用することができる。また、塗料返し部材の大きさに制限はないが、縦は50〜150mm、横は10〜300mm程度が好ましく、かつ、形状は、一枚の板を横方向に折り曲げた形状や、一枚の板を断面J字状とした形状などがある。更に、塗料返し部材は排出口の下方に設けるのだが、建築板の実部との距離が、最も近い部分で5〜50mmとなるように設けることが好ましい。塗料返し部材と建築板の実部との距離を5mmより小さくすると、塗装を施す建築板の振動により、塗料返し部材と建築板とが接触して、塗装できなくなる上に、塗料返し部材と建築板を破損してしまうトラブルが発生する懸念がある。塗料返し部材と建築板の実部との距離を50mmより大きくすると、塗料返し部材を設けた効果が十分に発揮されない。
本発明において、排出口から流れ落ちた塗料の一部を塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、建築板の実部を有する端部に塗料を塗布するので、該端部に、確実に十分な量の塗料が施され、該端部を塗り残しなく十分に塗装することができる。
【0011】
本請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の塗装方法であり、更に、前記建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせる工程を有することを特徴とする塗装方法である。
本発明において、建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせるので、該建築板の実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料が施され、該端部を塗り残しなく十分に塗装することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗装方法によれば、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるといった問題は発生しない。更に、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、初めに本発明を実施する設備の一例を説明し、次に該設備を用いた本発明の塗装方法を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の塗装方法を実施する設備の一例を示した側方断面図であり、図2は図1に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図1と図2に示された設備では、図13に示された、表面に凸部A7からなる凹凸模様を有し、かつ、端部に上実部A1と下実部A3とを有する建築板Aが、表面を上側にして搬送ライン上に置かれ、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aは搬送ライン上を矢印Y方向に搬送される。なお、建築板Aは、縦3030mm、横463mmの大きさであり、進行方向に対して垂直側の幅が463mmとなるように搬送される。
搬送ラインの上方には、塗布する塗料Bを貯留する貯留タンクEが設けられており、貯留タンクEには塗布する塗料Bが随時供給される。なお、貯留タンクEには貯留量管理部Mが設置されている。貯留量管理部Mは、電気信号発信部を有する球体であり、通常は鎖で貯留タンクEの天井から吊らされた状態であるが、貯留量管理部Mが塗料Bにより浮いた状態になると電気信号部より電気信号が発信され、塗料Bの供給が停止されるよう設定されている。
貯留タンクEの下端部には、排出口Gが設けられている。排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅は520mmであり、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅463mmよりも大きい。また、排出口Gは屈曲板状のスリット幅調整部材Hと位置調整部材Iとにより進行方向に対して平行側の幅が調整される構造である。詳しくは、スリット幅調整部材Hと位置調整部材IはボルトJにより固定されているが、位置調整部材Iには長穴Oが設けられており、位置調整部材IをボルトJの固定位置を変更することにより、スリット幅調整部材Hの位置も移動し、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅が調整される。本設備では、搬送される建築板Aの表面への塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
また、貯留タンクEの内部で排出口Gの上方には、該排出口Gを開閉するためのストッパーFが設けられており、ストッパーFは連結棒Dを介してエアシリンダーCに連結している。エアシリンダーCを稼働させることにより、ストッパーFを上下に動かすことが可能である。そして、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過していない状態では、ストッパーFは貯留タンクEの最下部の内壁に接して排出口Gを塞いでおり、塗料Bは排出口Gから排出されないように制抑される。
更に、搬送ラインの下方には、排出口Gから排出されたが、建築板Aに塗布されなかった余分な塗料Bを回収する回収タンクLが設けてあり、回収タンクLに回収された塗料Bはポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0015】
次に、図1と図2に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する。
一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留する。
続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布する。なお、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅は520mmであり、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅463mmよりも大きいので、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bは、建築板Aの凸部A7を含む表面全体を十分に塗装すると共に、建築板Aの該端部を経由して建築板Aの裏面の一部にまでオーバーフローするので、上実部A1の側面、裏面と上実部A1より下方にある幅方向の端部側面A2、下実部A3より上方にある幅方向の端部側面A4、及び端部側面A5、A6をも十分に塗装することができる。すなわち、建築板Aの表面全体と実部A1、A3と端部側面A2、A4、A5、A6とを含む端部全体、特に上実部A1の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面A2に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0016】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示す。
図3は本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示した側方断面図であり、図4は図3に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図3と図4に示された設備は、図1と図2に示された設備に塗料返し部材を付加したものであり、該塗料返し部材は、塗料返し板S1と、塗料返し板位置調整部材T1と、塗料返し板固定部材T2とからなり、塗料返し板S1と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されている。塗料返し板S1は一枚のガルタイト鋼板を断面J字状とした形状であり、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S1の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S1が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S1と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。他は図1と図2に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0017】
次に、図3と図4に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布することは、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに塗料を塗布する。塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて、上実部A1と端部側面A2とを含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すので、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法よりも上実部A1を含む建築板Aの端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0018】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図5は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図6は図5に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図5と図6に示された設備は、図3と図4に示された設備の塗料返し板S1を、一枚のガルタイト鋼板を横方向に折り曲げた形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図3と図4に示された設備と同じである。塗料返し板S2と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されており、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S2の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S2が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S2と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。また、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0019】
次に、図5と図6に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
図5と図6に示された設備は、図3と図4に示された設備の塗料返し板S1を、一枚のガルタイト鋼板を断面J字状とした形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図3と図4に示された設備と同じなので、塗装方法は上述した図3と図4に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
図5と図6に示した設備を用いた塗装方法においても、塗料Bの一部を塗料返し板S2に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに、確実に十分な量の塗料が施すので、上実部A1を有する建築板Aの端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0020】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図7は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図8は図7に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図7と図8に示された設備は、図1と図2に示された設備に空気吹き付け部材Pを付加したものである。空気吹き付け部材Pは、建築板Aの外側で、排出口Gよりも進行方向側であり、かつ、上実部A1よりも下方に設置されており、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bを塗布させた直後の建築板Aの上実部A1に、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。他は図1と図2に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0021】
次に、図7と図8に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布することは図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bを塗布させた直後の建築板Aの上実部A1に、空気吹き付け部材Pから、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、塗料Bを上実部A1の裏面と、上実部A1より下方にある端部側面A2に塗料Bを確実に拡がらせることができ、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0022】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図9は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図10は図9に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図9と図10に示された設備は、図3と図4に示された設備に空気吹き付け部材Pを付加したものである。空気吹き付け部材Pは、建築板Aの外側で、排出口Gよりも進行方向側であり、かつ、上実部A1よりも下方に設置されており、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bにより塗装された直後の建築板Aの上実部A1に、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。他は図3と図4に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。また、塗料返し板S1が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S1と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。
【0023】
次に、図9と図10に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布すること、更に、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに塗料を塗布することは図3と図4に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bにより塗装された直後の建築板Aの表面に、空気吹き付け部材Pから、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて上実部A1を含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すと共に、空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0024】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図11は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図12は図11に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図11と図12に示された設備は、図9と図10に示された設備の塗料返し板S1を、別の形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図9と図10に示された設備と同じである。塗料返し板S2と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されており、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S2の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S2が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S2と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。また、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0025】
次に、図11と図12に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
図11と図12に示された設備は、図9と図10に示された設備の塗料返し板S1を、別の形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図9と図10に示された設備と同じなので、塗装方法は上述した図9と図10に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
図11と図12に示した設備を用いた塗装方法においても、塗料Bの一部を塗料返し板S2に当てて上実部A1を含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すと共に、空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0026】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内において種々の変形態を取り得る。例えば、貯留量管理部Mを設けず、貯留タンクEに排出口Gと別の塗料排出口(回収タンクLに連結)を、塗料が供給される口と排出口Gの間に設け、該塗料排出口からの塗料の排出能力(時間当たりの塗料の排出量)を時間当たりの塗料の供給量よりも多くし、一定量以上の塗料が貯留されないようにしても良いし、ストッパーFをエアシリンダーCに連結させず手作業により移動させても良く、また、スリット幅調整部材Hに長穴を設けて、スリット幅調整部材HにおけるボルトJの位置を変更することにより、排出口Gの幅が調整されても良い。また、空気吹き付け部材Pを複数設置しても良いし、空気吹き付け部材Pからの空気の吹き付け方向は、外側下方斜めから上実部A1に向かう方向であれば、進行方向とは逆方向でも良い。
更に、図14に、表面に溝部A’8を形成しており、それにより表面に凹凸を有する別の建築板A’を示したが、本発明の塗装方法は建築板A’にも適用でき、表面に凹凸を有する建築板の意匠は限定されない。
加えて、図14に示された建築板A’は上実部A’1、該上実部A’1よりも下方にある端部側面A’2、下実部A’3の形状が、図13に示した建築板Aの上実部A1、端部側面A2、下実部A3の形状と異なり、かつ、上実部A’1とその下方にある端部側面A’2との間に別の切り欠きA’9が端部全面にわたって形成されているが、本発明の塗装方法は建築板A’の上実部A’1、端部側面A’2、下実部A’3、端部側面A’4、切り欠きA’9を塗り残しなく塗装することができ、幅方向の端部に形成される上実部や下実部を含む幅方向の端部の形状は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明したように、本発明の塗装方法によれば、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるといった問題は発生しない。更に、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の塗装方法を実施する設備の一例を示した側方断面図である。
【図2】図1に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図3】本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示した側方断面図である。
【図4】図3に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図5】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図6】図5に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図7】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図8】図7に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図9】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図10】図9に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図11】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図12】図11に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図13】建築板の一例を示した図である。
【図14】建築板の別の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
A 表面に凹凸を有する建築板
A1 上実部
A2 端部側面
A3 下実部
A4 端部側面
A5 端部側面
A6 端部側面
A7 凸部
B 塗料
C エアシリンダー
D 連結棒
E 貯留タンク
F ストッパー
G 排出口
H スリット幅調整部材
I 位置調整部材
J ボルト
K 搬送ローラー
L 回収タンク
M 貯留量管理部
O 長穴
P 空気吹き付け部材
S1 塗料返し板
S2 塗料返し板
T1 塗料返し板位置調整部材
T2 塗料返し板固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板の塗装方法に関するものである。より詳しくは、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の裏面以外の全体、すなわち、表面全体と端部全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築板には、外観を向上させるために、表面に凹凸による模様が施され、意匠性を持たせることが多い。そして、上記表面に凹凸による模様が施された板には、水の吸収による寸法などの物性の変化を抑えるためや、外観を更に向上させるために、表面や端部に塗料を施すことが通常である。
また、建築板を、上下、及び/又は左右に配される別の建築板と接合させるために、該建築板の端部は実部を有する。図13に建築板の一例を示す。図13に示された建築板Aは、表面に突出したブロック状の凸部A7を多数形成しており、それにより表面に凹凸を有する。また、端部は、端部側面A5を有する端部と、端部側面A6を有する端部と、上実部A1と端部側面A2とを有する端部と、下実部A3と端部側面A4とを有する端部とからなる。上実部A1は、建築板Aの端部を裏面側から一部切り欠くことにより形成されており、該切り欠きは端部全面にわたっているので、上実部A1は端部全面にわたって形成されている。また、下実部A3は建築板Aの、上実部A1とは別の端部を表面側から一部切り欠いて形成されており、該切り欠きは端部全面にわたっているので、下実部A3も端部全面にわたって形成されている。なお、上実部A1を有する端部の切り欠きは、下実部A3よりも大きく形成されている。そのため、建築板Aを建物の外壁に施工する際には、上実部A1を別の建築板の下実部A3と嵌合し、下実部A3を別の建築板の上実部A1と嵌合させることにより、複数の建築板Aが一体化し、建物の外壁を構成することができる。
【0003】
上記建築板に塗料を施す方法としては、塗料を付着させた刷毛で撫でて塗装する刷毛塗り方法、回転しているロールコーターの表面の一部を塗料溜の中に漬けてロール表面に塗料を付着させ、ロールを介して塗料を移動させるロールコーター方法、スプレーの先端のノズルから塗料を吹き出させて塗装するスプレー方法、塗料溜の側壁から塗料を膜状に溢れさせて、該膜状の塗料の中を通過させて塗装するフローコーター方法などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記刷毛塗り方法は、刷毛を塗料溜に入れて刷毛に塗料を付着させ、該刷毛で塗装を施す建築板の表面と実部を有する端部とを撫でて塗装する方法であり、該刷毛で該建築板の表面と実部を有する端部とを均一に撫でること、及び、該建築板を搬送しながら行うことは難しい。また、サイズの大きい建築板や、表面に凹凸による模様が施された建築板では更に難しく、塗装が不十分な箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、刷毛を建築板に直接当てると摩耗が激しいので変形しやすく、直ぐに交換が必要である。
【0005】
ロールコーター方法は、ロールに付着した塗料を、建築板のロールに接した部分に移動させるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能である。また、表面が平滑な建築板の場合には塗料が移動し、十分な塗装が得られる。しかし、表面に凹凸による模様が施された建築板では、凹部がロールに接することができないので、凹部に塗料を移動させることができず、塗装が施されない箇所が発生し、該建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、実部を有する端部も凹凸形状であるので、全体にロールを接することができないので、塗装が施されない箇所が発生し、該建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。更に、建築板の表面と実部を有する端部とを同時に塗装することはできないし、塗料を循環させて使用した場合、塗料に建築板基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片がロールに付着し、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。また、使用する塗料の粘性により塗料の塗着状態が影響を受けるので、塗料の粘性を管理しなければならない。
【0006】
スプレー方法は、塗料を建築板の表面に吹き付けるので、塗装を施す建築板を搬送しながら行うことは可能であり、表面に凹凸による模様が施された建築板でも塗装ができる。しかし、凹部と凸部では塗料の塗布量が異なり、凹凸の斜面には塗料が十分に塗布されない、凹部に塗料が溜まるなどの問題が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、建築板の実部を有する端部を塗装するには、建築板の斜め下方から実部に向かって塗料を吹き付ける方法があるが、塗料を下方から吹き付けるので塗料の塗着が悪い、スプレーが詰まりやすいなどの懸念がある。別の方法として、建築板を上下逆にして該実部に塗料を吹き付ける方法もあるが、建築板を上下逆にする工程が必要になり効率が悪い、実部の形状によっては実部の奥まで塗料が届かず、塗装が施されない箇所が発生するなどの懸念がある。更に、塗料を循環させて使用した場合、塗料に建築板基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片がスプレーの先端のノズル詰まりを起こし、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。特許文献1には、スプレーのノズルに供給される塗料の流量をコリオリ流量計により測定し、管理する方法が開示されている。しかし、該方法はスプレーのノズル詰まり等の不具合を素早く検知するだけであり、ノズル詰まりを防止できない。また、スプレー方法は加圧して吹き付けるので、塗料に泡が発生しやすく、消泡剤が大量に必要になり、その副作用として、塗膜の成形性に悪影響を及ぼす懸念や、次工程で別の塗料を塗装する際に、該塗料をはじき、該塗料の密着性が悪くなる懸念や、更に、使用する塗料の粘性により塗料の塗着状態が影響を受けるので、塗料の粘性を管理しなければならないなどの懸念もある。
【特許文献1】特開2003−1155号公報
【0007】
フローコーター方法は、表面が平滑な建築板の場合には塗料を均一に塗布できる。しかし、フローコーター方法では、建築板の表面に塗料を120g/m2程度しか塗布できないため、表面に凹凸による模様が施された板では、搬送の進行方向側に設けられた凹凸の斜面には塗料が塗布されるが、搬送の進行方法とは逆側に設けられた凹凸の斜面には塗料が塗布されず、塗装が施されない箇所が発生し、建築板の物性や外観に影響を及ぼす懸念がある。また、建築板の実部を有する端部を塗装するには、建築板を上下逆にして膜状の塗料の中を通過させるのだが、建築板を上下逆にする工程が必要になり効率が悪い、実部の形状によっては実部の奥まで塗料が届かず、塗装が施されない箇所が発生するなどの懸念がある。更に、塗料を循環させて使用した場合、塗料に泡が発生し、膜状の塗料が途切れ、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。更に、塗料に基材の破片などが混入することが多く、その場合には、該破片が塗料溜の側壁を詰まらせ、塗装が施されない箇所が発生する懸念もある。
【0008】
本発明は、かかる現情に鑑みてなされたものであり、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と端部全体に塗料を塗り残しなく十分に塗布する塗装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本請求項1に記載の発明は、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面と端部に塗装を施す塗装方法であり、上記建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、上記排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、上記建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、上記建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2であることを特徴とする塗装方法である。
本発明において、建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2と多いので、表面に凹凸を有する建築板でも表面全体に塗り残しなく十分に塗料を塗布することができると共に、該塗料が進行方向に対して垂直方向にオーバーフローし、端部を経由して該建築板の裏面の一部にまで達するので、該端部に形成された実部を含む端部全体を十分に塗装することもできる。すなわち、該建築板の裏面以外の全体に、塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、塗料の塗布量が多いので発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるという問題は発生しない。更に、塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させるので、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【0010】
本請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗装方法であり、更に、前記排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、前記建築板の端部に塗料を塗布する工程を有することを特徴とする塗装方法である。塗料返し部材は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、アルミ鋼板、ステンレス鋼板、合金めっき鋼板、トタン、銅板などの金属板や、アクリル樹脂板、ウレタン樹脂板などの樹脂板、ポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル系、クロロプレン系のゴムなどを使用することができる。また、塗料返し部材の大きさに制限はないが、縦は50〜150mm、横は10〜300mm程度が好ましく、かつ、形状は、一枚の板を横方向に折り曲げた形状や、一枚の板を断面J字状とした形状などがある。更に、塗料返し部材は排出口の下方に設けるのだが、建築板の実部との距離が、最も近い部分で5〜50mmとなるように設けることが好ましい。塗料返し部材と建築板の実部との距離を5mmより小さくすると、塗装を施す建築板の振動により、塗料返し部材と建築板とが接触して、塗装できなくなる上に、塗料返し部材と建築板を破損してしまうトラブルが発生する懸念がある。塗料返し部材と建築板の実部との距離を50mmより大きくすると、塗料返し部材を設けた効果が十分に発揮されない。
本発明において、排出口から流れ落ちた塗料の一部を塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、建築板の実部を有する端部に塗料を塗布するので、該端部に、確実に十分な量の塗料が施され、該端部を塗り残しなく十分に塗装することができる。
【0011】
本請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の塗装方法であり、更に、前記建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせる工程を有することを特徴とする塗装方法である。
本発明において、建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせるので、該建築板の実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料が施され、該端部を塗り残しなく十分に塗装することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗装方法によれば、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるといった問題は発生しない。更に、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、初めに本発明を実施する設備の一例を説明し、次に該設備を用いた本発明の塗装方法を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の塗装方法を実施する設備の一例を示した側方断面図であり、図2は図1に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図1と図2に示された設備では、図13に示された、表面に凸部A7からなる凹凸模様を有し、かつ、端部に上実部A1と下実部A3とを有する建築板Aが、表面を上側にして搬送ライン上に置かれ、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aは搬送ライン上を矢印Y方向に搬送される。なお、建築板Aは、縦3030mm、横463mmの大きさであり、進行方向に対して垂直側の幅が463mmとなるように搬送される。
搬送ラインの上方には、塗布する塗料Bを貯留する貯留タンクEが設けられており、貯留タンクEには塗布する塗料Bが随時供給される。なお、貯留タンクEには貯留量管理部Mが設置されている。貯留量管理部Mは、電気信号発信部を有する球体であり、通常は鎖で貯留タンクEの天井から吊らされた状態であるが、貯留量管理部Mが塗料Bにより浮いた状態になると電気信号部より電気信号が発信され、塗料Bの供給が停止されるよう設定されている。
貯留タンクEの下端部には、排出口Gが設けられている。排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅は520mmであり、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅463mmよりも大きい。また、排出口Gは屈曲板状のスリット幅調整部材Hと位置調整部材Iとにより進行方向に対して平行側の幅が調整される構造である。詳しくは、スリット幅調整部材Hと位置調整部材IはボルトJにより固定されているが、位置調整部材Iには長穴Oが設けられており、位置調整部材IをボルトJの固定位置を変更することにより、スリット幅調整部材Hの位置も移動し、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅が調整される。本設備では、搬送される建築板Aの表面への塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
また、貯留タンクEの内部で排出口Gの上方には、該排出口Gを開閉するためのストッパーFが設けられており、ストッパーFは連結棒Dを介してエアシリンダーCに連結している。エアシリンダーCを稼働させることにより、ストッパーFを上下に動かすことが可能である。そして、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過していない状態では、ストッパーFは貯留タンクEの最下部の内壁に接して排出口Gを塞いでおり、塗料Bは排出口Gから排出されないように制抑される。
更に、搬送ラインの下方には、排出口Gから排出されたが、建築板Aに塗布されなかった余分な塗料Bを回収する回収タンクLが設けてあり、回収タンクLに回収された塗料Bはポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0015】
次に、図1と図2に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する。
一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留する。
続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布する。なお、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅は520mmであり、建築板Aの進行方向に対して垂直側の幅463mmよりも大きいので、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bは、建築板Aの凸部A7を含む表面全体を十分に塗装すると共に、建築板Aの該端部を経由して建築板Aの裏面の一部にまでオーバーフローするので、上実部A1の側面、裏面と上実部A1より下方にある幅方向の端部側面A2、下実部A3より上方にある幅方向の端部側面A4、及び端部側面A5、A6をも十分に塗装することができる。すなわち、建築板Aの表面全体と実部A1、A3と端部側面A2、A4、A5、A6とを含む端部全体、特に上実部A1の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面A2に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0016】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示す。
図3は本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示した側方断面図であり、図4は図3に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図3と図4に示された設備は、図1と図2に示された設備に塗料返し部材を付加したものであり、該塗料返し部材は、塗料返し板S1と、塗料返し板位置調整部材T1と、塗料返し板固定部材T2とからなり、塗料返し板S1と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されている。塗料返し板S1は一枚のガルタイト鋼板を断面J字状とした形状であり、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S1の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S1が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S1と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。他は図1と図2に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0017】
次に、図3と図4に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布することは、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに塗料を塗布する。塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて、上実部A1と端部側面A2とを含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すので、図1と図2に示した設備を用いた塗装方法よりも上実部A1を含む建築板Aの端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0018】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図5は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図6は図5に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図5と図6に示された設備は、図3と図4に示された設備の塗料返し板S1を、一枚のガルタイト鋼板を横方向に折り曲げた形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図3と図4に示された設備と同じである。塗料返し板S2と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されており、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S2の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S2が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S2と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。また、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0019】
次に、図5と図6に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
図5と図6に示された設備は、図3と図4に示された設備の塗料返し板S1を、一枚のガルタイト鋼板を断面J字状とした形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図3と図4に示された設備と同じなので、塗装方法は上述した図3と図4に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
図5と図6に示した設備を用いた塗装方法においても、塗料Bの一部を塗料返し板S2に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに、確実に十分な量の塗料が施すので、上実部A1を有する建築板Aの端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0020】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図7は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図8は図7に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図7と図8に示された設備は、図1と図2に示された設備に空気吹き付け部材Pを付加したものである。空気吹き付け部材Pは、建築板Aの外側で、排出口Gよりも進行方向側であり、かつ、上実部A1よりも下方に設置されており、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bを塗布させた直後の建築板Aの上実部A1に、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。他は図1と図2に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0021】
次に、図7と図8に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布することは図1と図2に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bを塗布させた直後の建築板Aの上実部A1に、空気吹き付け部材Pから、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、塗料Bを上実部A1の裏面と、上実部A1より下方にある端部側面A2に塗料Bを確実に拡がらせることができ、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0022】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図9は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図10は図9に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図9と図10に示された設備は、図3と図4に示された設備に空気吹き付け部材Pを付加したものである。空気吹き付け部材Pは、建築板Aの外側で、排出口Gよりも進行方向側であり、かつ、上実部A1よりも下方に設置されており、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bにより塗装された直後の建築板Aの上実部A1に、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。他は図3と図4に示された設備と同じであり、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。また、塗料返し板S1が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S1と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。
【0023】
次に、図9と図10に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
まず、搬送ローラーKを矢印X方向に回転させることにより、建築板Aを、表面を上側にして搬送ライン上を矢印Y方向に搬送する一方、搬送ラインの上方に設けた貯留タンクEに塗料Bを供給して貯留すること、続いて、建築板Aが貯留タンクEの下方を通過する際に、エアシリンダーCを稼働させてストッパーFを上方向に移動させ、貯留タンクEの下端部に設けた排出口Gから塗料Bが滝状に流れ落ちるように自重落下させ、建築板Aの表面に塗料Bの塗布量が1500g/m2となるよう塗布すること、更に、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて流れ方向を変更し、建築板Aの上実部A1の側面及び裏面と上実部A1より下方にある端部側面A2とに塗料を塗布することは図3と図4に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
続いて、排出口Gから滝状に流れ落ちるように自重落下させた塗料Bにより塗装された直後の建築板Aの表面に、空気吹き付け部材Pから、矢印W1方向(外側下方斜めから上実部A1に向かう方向)で空気を吹き付ける。塗料Bの一部を塗料返し板S1に当てて上実部A1を含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すと共に、空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、下実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
更に、回収タンクLに回収された余分な塗料Bをポンプで汲み上げて貯留タンクEに戻し、再利用する。
【0024】
更に、本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示す。
図11は本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図であり、図12は図11に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
図11と図12に示された設備は、図9と図10に示された設備の塗料返し板S1を、別の形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図9と図10に示された設備と同じである。塗料返し板S2と塗料返し板位置調整部材T1は溶接されて一体化されており、塗料返し板固定部材T2は動かないように固定されており、塗料返し板位置調整部材T1と塗料返し板固定部材T2はピンにより連結されているが、塗料返し板位置調整部材T1は該ピンを軸として可動できる構成であり、塗料返し板位置調整部材T1を動かして塗料返し板S2の位置を調整することができる。本設備では、塗料返し板S2が建築板Aの搬送位置と略同じ高さとなり、かつ、塗料返し板S2と建築板Aの実部A1との距離が、最も近い部分で10mmとなる位置に調整した。また、本設備でも、建築板Aの表面への塗料の塗布量が1500g/m2となり、かつ、建築板Aの表面全体と端部全体を塗装できるよう、排出口Gの進行方向に対して垂直側の幅を520mmに、排出口Gの進行方向に対して平行側の幅を5mmに、排出口Gの最下端部と搬送される建築板Aの表面の最上面との距離を50mmとなるよう設定した。
【0025】
次に、図11と図12に示した設備を用いた、本発明の塗装方法を説明する。
図11と図12に示された設備は、図9と図10に示された設備の塗料返し板S1を、別の形状の塗料返し板S2に変更しただけであり、他は図9と図10に示された設備と同じなので、塗装方法は上述した図9と図10に示した設備を用いた塗装方法と同じである。
図11と図12に示した設備を用いた塗装方法においても、塗料Bの一部を塗料返し板S2に当てて上実部A1を含む建築板Aの端部全体に、確実に十分な量の塗料が施すと共に、空気吹き付け部材Pにより上実部A1に対して空気を吹き付けるので、建築板Aの上実部A1の奥にまで塗料が施され、実部を含む端部全体を塗り残しなく十分に塗装することができる。なお、本塗装方法においても、建築板Aの凸部A7を含む表面全体と、実部A3と端部側面A4、A5、A6とを含む端部全体を十分に塗装することができる。
【0026】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内において種々の変形態を取り得る。例えば、貯留量管理部Mを設けず、貯留タンクEに排出口Gと別の塗料排出口(回収タンクLに連結)を、塗料が供給される口と排出口Gの間に設け、該塗料排出口からの塗料の排出能力(時間当たりの塗料の排出量)を時間当たりの塗料の供給量よりも多くし、一定量以上の塗料が貯留されないようにしても良いし、ストッパーFをエアシリンダーCに連結させず手作業により移動させても良く、また、スリット幅調整部材Hに長穴を設けて、スリット幅調整部材HにおけるボルトJの位置を変更することにより、排出口Gの幅が調整されても良い。また、空気吹き付け部材Pを複数設置しても良いし、空気吹き付け部材Pからの空気の吹き付け方向は、外側下方斜めから上実部A1に向かう方向であれば、進行方向とは逆方向でも良い。
更に、図14に、表面に溝部A’8を形成しており、それにより表面に凹凸を有する別の建築板A’を示したが、本発明の塗装方法は建築板A’にも適用でき、表面に凹凸を有する建築板の意匠は限定されない。
加えて、図14に示された建築板A’は上実部A’1、該上実部A’1よりも下方にある端部側面A’2、下実部A’3の形状が、図13に示した建築板Aの上実部A1、端部側面A2、下実部A3の形状と異なり、かつ、上実部A’1とその下方にある端部側面A’2との間に別の切り欠きA’9が端部全面にわたって形成されているが、本発明の塗装方法は建築板A’の上実部A’1、端部側面A’2、下実部A’3、端部側面A’4、切り欠きA’9を塗り残しなく塗装することができ、幅方向の端部に形成される上実部や下実部を含む幅方向の端部の形状は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明したように、本発明の塗装方法によれば、表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面全体と実部を含む端部全体、特に上実部の裏面と該上実部よりも下方にある端部側面に塗料を塗り残しなく十分に塗布することができる。また、塗料を循環させて使用した場合でも、発生する泡の影響を受けにくく、塗布される塗料が途切れるといった問題は発生しない。更に、塗料に基材の破片などが混入しても影響を受けにくいと共に、使用する塗料の粘性の影響も受けにくく、使用できる塗料の自由度が高まるという効果や、エネルギーコストを安く抑えられるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の塗装方法を実施する設備の一例を示した側方断面図である。
【図2】図1に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図3】本発明の塗装方法を実施する設備の別の一例を示した側方断面図である。
【図4】図3に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図5】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図6】図5に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図7】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図8】図7に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図9】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図10】図9に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図11】本発明の塗装方法を実施する設備の更に別の一例を示した側方断面図である。
【図12】図11に示した設備の1−1‘線の断面を進行方向側から見た正面図である。
【図13】建築板の一例を示した図である。
【図14】建築板の別の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
A 表面に凹凸を有する建築板
A1 上実部
A2 端部側面
A3 下実部
A4 端部側面
A5 端部側面
A6 端部側面
A7 凸部
B 塗料
C エアシリンダー
D 連結棒
E 貯留タンク
F ストッパー
G 排出口
H スリット幅調整部材
I 位置調整部材
J ボルト
K 搬送ローラー
L 回収タンク
M 貯留量管理部
O 長穴
P 空気吹き付け部材
S1 塗料返し板
S2 塗料返し板
T1 塗料返し板位置調整部材
T2 塗料返し板固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面と端部に塗装を施す塗装方法であり、
上記建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、
上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、
上記排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、上記建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、
上記建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2であること
を特徴とする塗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の塗装方法であり、
更に、前記排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、前記建築板の端部に塗料を塗布する工程を有すること
を特徴とする塗装方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗装方法であり、
更に、前記建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせる工程を有すること
を特徴とする塗装方法。
【請求項1】
表面に凹凸を有し、かつ、端部に実部を有する建築板を搬送しながら、該建築板の表面と端部に塗装を施す塗装方法であり、
上記建築板の表面を上側にして搬送する搬送ラインの上方に設けた貯留タンクに塗料を供給し貯留する工程と、
上記建築板が上記貯留タンクの下方を通過する際に、該貯留タンクの下端部に設けた排出口から塗料が滝状に流れ落ちるように自重落下させて、該建築板の表面と端部に塗料を塗布する工程とを有し、
上記排出口の進行方向に対して垂直側の幅は、上記建築板の進行方向に対して垂直側の幅よりも大きくし、
上記建築板の表面への塗料の塗布量が1200〜1800g/m2であること
を特徴とする塗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の塗装方法であり、
更に、前記排出口の下方に塗料返し部材を設け、該排出口から流れ落ちた塗料の一部を該塗料返し部材に当てて流れ方向を変更し、前記建築板の端部に塗料を塗布する工程を有すること
を特徴とする塗装方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗装方法であり、
更に、前記建築板の外側下方斜めから該建築板の実部に向かって空気を吹き付け、塗料を端部全体に拡がらせる工程を有すること
を特徴とする塗装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−90249(P2009−90249A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265237(P2007−265237)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【特許番号】特許第4167293号(P4167293)
【特許公報発行日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【特許番号】特許第4167293号(P4167293)
【特許公報発行日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】
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