説明

建築物の内装面構造

【課題】装飾を施した内装面を簡単に形成することのできる内装面構造を提供する。
【解決手段】本発明の内装面構造は、裏板材2と、内装面の表面を形成する仕上げ板材3と、端部に段差状の収まり部1bを設けた装飾部材1とを備え、裏板材2の端部と装飾部材1の収まり部1b側の端部とを当接し、この裏板材1及び装飾部材1の端部を下地材8に固定し、仕上げ板材3の端部を前記収まり部1bに収めつつ裏板材2の表側に配する構成を有することを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾などを施した内装面を形成することができる建築物の内装面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井や壁などの内装面に装飾を施す場合、スプレー、刷毛、鏝などで装飾を施すことがある。
例えば、下記特許文献1には、剥離性樹脂材を型紙の代わりに使用し、複雑なデザインの壁を施工する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、ゲル状の多彩模様塗料を、刷毛等で点接触式に押し付けて壁面を形成する方法が、下記特許文献3には、片状に粉砕した紙などをスプレーガンで吹き付けて壁面を装飾する方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−99130号公報
【特許文献2】特開平9−290205号公報
【特許文献3】特開2006−152727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した装飾方法は、壁面や天井面などになる板材を取付けてから装飾を施すものであり、施工に日数を必要とするものであった。特に、立体状の装飾など複雑な形状の装飾を施す場合は、より施工に日数を必要とするものであり、このような装飾を行なうことは手間がかかるため減少傾向にある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、装飾を施した内装面を簡単に形成することのできる内装面構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内装面構造は、裏板材と、内装面の表面を形成する仕上げ板材と、端部に段差状の収まり部を設けた装飾部材とを備え、裏板材の端部と装飾部材の収まり部側の端部とを当接し、裏板材及び装飾部材の端部を下地材に固定し、仕上げ板材の端部を前記収まり部に収めつつ裏板材の表側に配する構成を有することを特徴とする。
【0007】
このような構造にすることにより、予め装飾を施した装飾部材を形成しておき、この端部を下地材に固定すればよいため、簡単に装飾を施した内装面を形成することができる。また、装飾部材の端部に段差状の収まり部を設け、ここに仕上げ板材の端部を収めることにより、裏板材と装飾部材との接合部を隠すことができ、見栄えのよい内装面とすることができる。
【0008】
上記内装面構造は、内装面の裏方にある躯体と装飾部材の裏側とを連結部材で連結する構成にすることができる。
このようにすることにより、装飾部材を下地材だけでなく連結部材でも支えることができるので、重量が嵩む装飾部材を安定して固定することができる。
【0009】
さらに、上記内装面構造は、装飾部材の裏側にスライド可能な接合部を設け、接合部をスライドさせて下地材に係合する構成にすることができる。
このようにすることにより、装飾部材を下地材に接合部で係合することができるので、装飾部材が下地材から外れにくくなる。
【0010】
上記内装面構造は、裏板材の端部と装飾部材の収まり部側の端部とを当接し、裏板材及び装飾部材の端部を下地材に固定した後、仕上げ板材の端部を前記収まり部に収めつつ裏板材の表側に配して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
なお、本実施形態では、本発明の内装面構造を用いて天井面を形成する場合を説明するが、これに限定されるものではなく、壁面などを形成することもできる。
【0012】
図1は本発明の一実施形態の内装面構造を用いた天井面の断面図、図2は図1に示した内装面構造で用いる装飾部材の斜視図、図3は図1に示した内装面構造の下地材付近の拡大図、図4(A)は図1で示した内装面構造で用いる接合部の斜視図、(B)は接合部の側面図である。
【0013】
本発明の一実施形態の内装面構造は、図1に示すように、装飾部材1と、裏板材2と、仕上げ板材3と、連結部材4と、接合部5とを主な構成として備えている。
【0014】
装飾部材1は、図2に示すように、略矩形状の板材に装飾や造形を施してあり、天井面を覆うものである。本実施形態では、略中央をドーム状に窪ませた造形を施してある。
装飾部材1の端部には、表面1a側の周囲を適宜幅で凹ませて段差状の収まり部1bが形成してある。本実施形態では、周囲に収まり部1bを形成してあるが、これに限定するものではなく、対向する二辺側のみに設けるなどすることもできる。
装飾部材1は、四分割できるようにしてあり、図1に示すように、一片の端部を凹まして凹部1cを形成し、ここに他片の端部を収めてネジ、釘、接着剤などで固着して組み立てられるようにしてある。
本実施形態では、四分割できるようにしてあるが、これに限定するものではなく、一枚で形成したり、さらに細かく分割できるようにしたりすることもできる。
【0015】
裏板材2は、略矩形状の板材であり、装飾部材1の収まり部1bの厚さと略同じ厚さに形成してある。
仕上げ板材3は、略矩形状の板材であり、裏板材2の表側に配して天井面の表面を形成するものである。仕上げ板材3の厚さは、収まり部1bの深さと略同じに形成してある。
【0016】
連結部材4は、上階の床などの躯体6と装飾部材1とを連結ずるものである。本実施形態では、図1に示すように、装飾部材1の端部と躯体6とをワイヤ4aで連結し、装飾部材1の中央付近と躯体6とを、一端を垂直に折り曲げた長尺状の板材4bで連結してある。
連結部材4は、連結具7を介して装飾部材1と結合されており、連結具7は、図4に示すように、矩形の板材を略コの字状に折り曲げて収まり部1b又は凹部1cの端部に挟み込みできる挟み込み部7aを形成してある。挟み込み部7aの天井面裏側に配する面を固定面7bとしてあり、この面7bに孔7c(図示せず)を形成し、ボルト9を挿し通して装飾部材1に固定できるようにしてある。また、この面7bの先端部には、天井面裏方に突出した連結面7dを形成し、この面7d上に孔7eを形成し、ワイヤ4aを結合したり、ボルトを挿し通して板材4bと連結したりすることができる。
また、連結部材4は、躯体6とは、断面略L字状板材の取付部材4cを介して連結したり、板材4bを直接固定したりして連結してある。
【0017】
接合部5は、図4に示すように、略長方形状の板材の長手方向の両端部を反対方向に略垂直に折り曲げて形成してあり、一端部を連結具7の挟みこみ部7a上をスライドするスライド面部5aとし、他端部を柱材などの下地材8に係合する係合面部5bとしてある。スライド面部5a上には、接合部5の長手方向に沿い長孔5cが形成してあり、ボルト9を挿し通しできるようにしてある。
【0018】
以下、本発明の一実施形態の内装面構造を用いた天井面の施工方法の一例を説明する。
ワイヤ4aを取付部材4cに連結し、この取付部材4cを、躯体6の適宜箇所にボルトなどにより取り付ける。また、板材4bを、躯体6の適宜箇所にボルトなどにより取り付ける。
次に、連結具7の挟み込み部7aを、装飾部材1の収まり部1bの適宜箇所に挟み込み、接合部5のスライド面部5aを連結具7の固定面7b上に接面させる。これらの孔7c及び長孔5cにボルト9を挿し通して締結する。この際、接合部5を、装飾部材1を天井面に配したとき、係合面部5bが下地材8側に向くように配し、また、接合部5がスライドできる程度に緩めにボルト9を締結する。
装飾部材1の凹部1cの適宜箇所に、連結具7の挟み込み部7aを挟み込み、孔7eにボルト9を挿し通して連結具7を装飾部材1の裏面側に固定する。
連結具7の配置箇所や配置数は、装飾部材1の大きさや重量により決めるのが好ましい。
【0019】
装飾部材1の収まり部1bの裏側を、下地材8の表側面の略幅半分を覆うように接面させ、釘、ネジなどで装飾部材1を下地材8に固定する。次に、躯体6に取付けたワイヤ4b及び板材4cを適宜箇所の連結具7の連結面7dに連結する。そして、接合部5を、図4(B)に示すように、下地材8側にスライドさせ(二点鎖線の位置から実線の位置)、装飾部材1を接合部5で下地材8に係合させる。長孔5cに緩く締結したボルト9を強固に締結して連結具7及び接合部5を装飾部材1の裏側に固定する。
【0020】
裏板材2の端部を、固定した装飾部材1の端部に当接させ、下地材8の表側面の残り略幅半分を覆うように接面させ、釘、ネジなどで裏板材2を固定する。
仕上げ板材3の端部を、装飾部材1の収まり部1bに収めつつ、仕上げ板材3を裏板材2の表側に配し、釘、ネジなどで固定して天井面を形成することができる。
【0021】
このように本発明の内装面構造を用いた内装面は、装飾部材を作成してから現場で固定すればよいため、簡便に施工することができる。また、装飾部材と裏板材との合わせ部を仕上げ板材で隠すことができるため、見栄えのよい天井面とすることができる。
【0022】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の内装面構造を用いた天井面の断面図である。
【図2】図1に示した内装面構造で用いる装飾部材の斜視図である。
【図3】図1に示した内装面構造の下地材付近の拡大図である。
【図4】(A)は図1で示した内装面構造で用いる接合部の斜視図、(B)は接合部の側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1装飾部材 1a表面 1b収まり部 1c凹部 2裏板材 3仕上げ板材
4連結部材 4aワイヤ 4b板材 4c取付部材 5接合部
5aスライド面部 5b係合面部 5c長孔 6躯体 7連結具
7a挟み込み部 7b固定面 7c孔 7d連結面 7e孔 8下地材
9ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏板材と、内装面の表面を形成する仕上げ板材と、端部に段差状の収まり部を設けた装飾部材とを備え、裏板材の端部と装飾部材の収まり部側の端部とを当接し、裏板材及び装飾部材の端部を下地材に固定し、仕上げ板材の端部を前記収まり部に収めつつ裏板材の表側に配する構成を有する内装面構造。
【請求項2】
内装面の裏方にある躯体と装飾部材の裏側とを連結部材で連結する構成を有する請求項1に記載の内装面構造。
【請求項3】
装飾部材の裏側にスライド可能な接合部を設け、接合部をスライドさせて下地材に係合する構成を有する請求項1又は2に記載の内装面構造。
【請求項4】
裏板材と、内装面の表面を形成する仕上げ板材と、端部に段差状の収まり部を設けた装飾部材とを備えた内装面の形成方法であって、裏板材の端部と装飾部材の収まり部側の端部とを当接し、裏板材及び装飾部材の端部を下地材に固定した後、仕上げ板材の端部を前記収まり部に収めつつ裏板材の表側に配する工程を含む内装面の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−144439(P2008−144439A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331757(P2006−331757)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(506410028)アクシス株式会社 (1)
【出願人】(597027039)ゼンテリア株式会社 (3)
【Fターム(参考)】