説明

建築物の屋内用壁素材

【課題】建築物の屋内用壁素材に関し、縦、横に帯状部材を複数本織り込み、それらの少なくとも一本以上に弾性を持たせることで、当該弾性を有する帯状部材と壁面との間に、被取付物を保持することができるようにする。
【解決手段】縦、横に帯状部材30、40を複数本織り込んで形成する建築物の屋内用壁素材10である。複数本の帯状部材30、40のうち、少なくとも一本以上には、弾性を有する。当該弾性を有する帯状部材30、40と、壁素材10を固定する壁面20との間で、被取付物を保持可能とした。弾性を有する帯状部材30、40は、付勢手段を有する巻き戻し機構50により、弾性を付与するようにしても良い。複数本の帯状部材30、40のうち、少なくとも一本以上には、当該帯状部材30、40単独で、被取付物を収納可能な袋状の収納部60を設けても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物の屋内用壁素材に関し、縦、横に帯状部材を複数本織り込み、それらの少なくとも一本以上に弾性を持たせることで、当該弾性を有する帯状部材と壁面との間に、被取付物を保持することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木製の板材に、円形孔を貫通状に設け、当該円形孔に金属製の円柱状の係止具の一端部を着脱自在に挿入し、係止具の他端部に懐中電灯等の物品を吊り下げて支持することができるようにした収納兼飾り壁が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0012」、「0013」、「0016」、図1、図3及び図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-21291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の収納兼飾り壁では、懐中電灯等の物品の取り付け時に、係止具が別に必要となり、部品点数が多く、係止具の着脱や保管が面倒であり、又、係止具を紛失し易いという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、縦、横に帯状部材を複数本織り込み、それらの少なくとも一本以上に弾性を持たせることで、当該弾性を有する帯状部材と壁面との間に、被取付物を保持することができるようにしたものである。
このため、請求項1に記載の発明によれば、上記した従来の収納兼飾り壁の係止具が不要となり、部品点数を減少することができるという利点がある。
【0006】
これに加え、請求項1に記載の発明によれば、縦、横に織り込まれた帯状部材が、壁の模様としても見え、意匠的な効果も期待できる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項2に記載の発明は、帯状部材の素材自体に弾性が無い場合にも、付勢手段を有する巻き戻し機構により、弾性を付与することができるようにしたものである。(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項3に記載の発明は、被取付物を収納可能な袋状の収納部を帯状部材に設けることで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項4に記載の発明は、被取付物を吊り下げて保持可能なメッシュ状に帯状部材を形成することで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項5に記載の発明は、帯状部材の表裏面に貫通し、被取付物を吊り下げて保持可能な開口を設けることで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項5に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項6に記載の発明は、開口を格子状に複数個設けることで、他種類の被取付物を保持することができるようにしたものである。
これに加え、請求項6に記載の発明によれば、格子状に設けられた複数個の開口が、壁の模様としても見え、意匠的な効果も期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0013】
第1に、例えば図1及び図2に示すように、縦、横に帯状部材(30,40)を複数本織り込んで形成する建築物の屋内用壁素材(10)である。
第2に、複数本の帯状部材(30,40)のうち、少なくとも一本以上には、例えば図3及び図4に示すように、弾性を有する。
第3に、当該弾性を有する帯状部材(30,40)と、壁素材(10)を固定する壁面(20)との間で、例えば図3及び図4に示すように、被取付物(例えばボール100)を保持可能とした。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、弾性を有する帯状部材(30,40)は、例えば図3及び図4に示すように、付勢手段を有する巻き戻し機構(50)により、弾性を付与している。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、複数本の帯状部材(30,40)のうち、少なくとも一本以上には、例えば図7及び図8に示すように、当該帯状部材(例えば横側の帯状部材40b)単独で、被取付物(例えばカード160)を収納可能な袋状の収納部(60)を設けた。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、複数本の帯状部材(30,40)のうち、少なくとも一本以上は、例えば図9に示すように、被取付物(例えばフック120を介してマスコット170)を吊り下げて保持可能なメッシュ状に形成されている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、複数本の帯状部材(30,40)のうち、少なくとも一本以上には、例えば図11に示すように、当該帯状部材(例えば横側の帯状部材40a)の表裏面に貫通し、被取付物(例えばフック120を介してアクセサリー200)を吊り下げて保持可能な開口(80)を設けている。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項5に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、開口(80)を、例えば図11に示すように、格子状に複数個設けている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、縦、横に帯状部材を複数本織り込み、それらの少なくとも一本以上に弾性を持たせることで、当該弾性を有する帯状部材と壁面との間に、被取付物を保持することができる。
【0020】
これに加え、請求項1に記載の発明によれば、縦、横に織り込まれた帯状部材が、壁の模様としても見え、意匠的な効果も期待できる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0021】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、帯状部材の素材自体に弾性が無い場合にも、付勢手段を有する巻き戻し機構により、弾性を付与することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0022】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、被取付物を収納可能な袋状の収納部を帯状部材に設けることで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、被取付物を吊り下げて保持可能なメッシュ状に帯状部材を形成することで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができる。(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、帯状部材の表裏面に貫通し、被取付物を吊り下げて保持可能な開口を設けることで、当該帯状部材単独で被取付物を保持することができる。
(請求項6)
請求項6に記載の発明によれば、上記した請求項5に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項6に記載の発明によれば、開口を格子状に複数個設けることで、他種類の被取付物を保持することができる。
これに加え、請求項6に記載の発明によれば、格子状に設けられた複数個の開口が、壁の模様としても見え、意匠的な効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】壁素材の一部平面図である。
【図2】壁素材にハンガーを取り付けた状態の一部平面図である。
【図3】巻き戻し機構を説明するための断面図である。
【図4】図3に対応し、ボールの保持状態を示す断面図である。
【図5】バックを取り付けた状態の一部平面図である。
【図6】クリップを使用してカードを取り付けた状態の一部平面図である。
【図7】収納部を有する帯状部材の一部平面図である。
【図8】収納部を有する帯状部材の一部斜視図である。
【図9】メッシュ素材を使用した帯状部材の一部平面図である。
【図10】他のメッシュ素材を使用した帯状部材の一部平面図である。
【図11】開口を有する帯状部材の一部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(壁素材10)
図中、10は、建築物の屋内用壁素材を示し、図3及び図4に示すように、壁面20に固定される。
壁素材10は、シート状のものであり、図1及び図2に示すように、縦、横に帯状部材30,40を複数本織り込んで形成する。
(巻き戻し機構50)
複数本の帯状部材30,40のうち、少なくとも一本以上には、弾性を有する。
【0028】
具体的には、図3及び図4に示すように、バネ等の付勢手段(図示せず)を有する巻き戻し機構50により、弾性を付与している。
すなわち、巻き戻し機構50のリールに、縦側の帯状部材30の上端部から巻き付けた状態で、当該リールを壁面20の上部に固定する。リールから引き出した縦側の帯状部材30の下端部を、固定部材51を介して壁面20の下部に固定する。
【0029】
巻き戻し機構50は、内部のバネ等の付勢手段(図示せず)の付勢力により、縦側の帯状部材30をリールに巻き戻そうとする張力が働く。
このため、図4に示すように、縦側の帯状部材30の裏側にボール100等の被取付物を挟み込むと、巻き戻し機構50の張力により、ボール100が壁面20に押し付けられて保持される。
【0030】
なお、巻き戻し機構50により弾性を付与したが、これに限定されず、帯状部材30,40の素材にゴム等を使用し、それ自身で弾性を有するようにしたり、或いは帯状部材30,40の一部にゴム等を使用し、弾性を付与しても良い。
(帯状部材30,40)
帯状部材30,40は、例えば布製で、その帯幅や色、素材等に変化を持たせている。
【0031】
なお、帯状部材30,40として、布製を例示したが、これに限定されず、革、フエルト、毛糸、軟質樹脂、金属等でも良く、これらを混在させても良い。また、帯状部材30,40として、布製等の柔らかいものを例示したが、これに限定されず、固いもの、伸びるもの、伸びないもの等でも良いし、これらの様々な性質を持つ素材を混在させても良い。さらに、キッチンとリビングとを繋ぐ壁に固定する場合には、リビング側には布、革、フエルト、毛糸等のファブリックの優しい感じを多く取り入れ、キッチンに近づくにつれて軟質樹脂、金属等の汚れにも耐えられる素材に徐々に変化させても良い。
【0032】
帯状部材30,40は、図1及び図2に示すように、縦側の帯状部材30と、横側の帯状部材40とから構成され、縦側の帯状部材30と横側の帯状部材40とを表裏方向に交互にくぐらせるようにして織り込み、シート状の壁素材10としている。
(図2の使用例)
図2の例では、ハンガー110のフック部を、横側の帯状部材40gの裏側、すなわち壁面20(図示せず)との間に引っ掛けて保持している。
(図5の使用例)
図2の例では、横側の帯状部材40gの長さの途中に、ハンガー110のフック部を引っ掛けたが、図5に示すように、縦側の帯状部材30bとの交点の位置に、横側の帯状部材40cの裏側、すなわち縦側の帯状部材30aとの間に、フック120の一端部を掛け、当該フック120の他端部にバッグ130を吊り下げて保持している。
(図6の使用例)
図6の例では、クリップ140で縦側の帯状部材30cを挟み込み、当該クリップ140を介してカード150を保持している。
(図7及び図8の使用例)
図7の例では、横側の帯状部材40bに、袋状の収納部60を設け、当該収納部60内に、ケース160を差し込んで収納できるようにしている。
【0033】
収納部60は、図8に示すように、幅広の帯状部材40bを下側から上側に向かって略U字形に折り返して形成している。
(図9の使用例)
図9の例では、横側の帯状部材40fに、メッシュ状のメッシュ素材70を使用している。メッシュ素材70には、その編み目にフック120の一端部を掛け、当該フック120の他端部にマスコット170を吊り下げて保持している。また、メッシュ素材70の内側を、壁面20(図示せず)との間でポケット状に形成しておくことで、壁面20(図示せず)との間にマスコット170を入れて収納している。
(図10の使用例)
図10の例では、メッシュ素材70の編み目を小さくしたものであり、ポケット状の内側に、しおり180やノート190を収納している。
(図11の使用例)
図11の例では、横側の帯状部材40aを幅広に形成し、表裏面に貫通する方形、或いは菱形の開口80を格子状に複数個設けている。開口80には、フック120の一端部を掛け、当該フック120の他端部にアクセサリー200を吊り下げて保持している。
【0034】
なお、被取付物として、ボール100、ハンガー110、フック120、バッグ130、クリップ140、カード150、ケース160、マスコット170、しおり180、ノート190、アクセサリー200を例示したが、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0035】
10 壁素材 20 壁面
30,30a〜30c 縦側の帯状部材 40,40a〜40g 横側の帯状部材
50 巻き戻し機構 51 固定部材
60 収納部 70 メッシュ素材
80 開口
100 ボール(被取付物)
110 ハンガー 120 フック
130 バッグ 140 クリップ
150 カード 160 ケース
170 マスコット 180 しおり
190 ノート 200 アクセサリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦、横に帯状部材を複数本織り込んで形成する建築物の屋内用壁素材において、
前記複数本の帯状部材のうち、少なくとも一本以上には、
弾性を有し、
当該弾性を有する帯状部材と、前記壁素材を固定する壁面との間で、被取付物を保持可能としたことを特徴とする建築物の屋内用壁素材。
【請求項2】
前記弾性を有する帯状部材は、
付勢手段を有する巻き戻し機構により、弾性を付与していることを特徴とする請求項1に記載の建築物の屋内用壁素材。
【請求項3】
前記複数本の帯状部材のうち、少なくとも一本以上には、
当該帯状部材単独で、前記被取付物を収納可能な袋状の収納部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築物の屋内用壁素材。
【請求項4】
前記複数本の帯状部材のうち、少なくとも一本以上は、
前記被取付物を吊り下げて保持可能なメッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築物の屋内用壁素材。
【請求項5】
前記複数本の帯状部材のうち、少なくとも一本以上には、
当該帯状部材の表裏面に貫通し、前記被取付物を吊り下げて保持可能な開口を設けていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建築物の屋内用壁素材。
【請求項6】
前記開口を、
格子状に複数個設けていることを特徴とする請求項5に記載の建築物の屋内用壁素材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−154072(P2012−154072A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12936(P2011−12936)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(501300104)学校法人 多摩美術大学 (25)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】