説明

建築物基礎構造体。

【課題】 現場打ちコンクリートを使用せず、工期を大幅に削減し、耐震性に優れた安全で強固な建築物基礎構造体を提供する。
【解決手段】 基礎杭及び束柱として機能する複数の杭とその上端部で複数の床板が互いに接合し、又、複数の床板は互いに密着して矩形の床面を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭及び束柱として機能する複数の杭、と複数の床板から形成される建築物基礎構造体である。
【背景技術】
【0002】
、特開2000−265574号公報には高床式建築物の構築用基礎構造体が開示されている。しかし、この構造体は、地盤上で打設された杭の頭部の上に、現場打ちコンクリートにて独立したフーチン基礎を構築し、その上部に鉄骨組構造にて基礎梁を組み立て、その上部に、デッキプレートを敷き、鉄筋コンクリートを打設して床スラブを構成したものである。この構造体と従来の現場打ち基礎との違いは、躯体構造部が鉄筋コンクリート構造から、鉄骨構造に、変更されたことである。
【特許文献】特開2000−265574
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記、公知の構造体を設置するに当たっては、現場打ち基礎として、フーチン基礎を構築する必要があり、従って現場打ちのコンクリートは欠かす事が出来ない。
コンクリートは打設後、2週強度が要求され、その期間は現場での作業は休止され、工期の短縮には繋がらない、又工事工程にも多くの業種、多数の労働力等を要し、経費の削減にも繋がらない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を、一気に解決した建築物基礎構造体を提供する。
請求項1は基礎杭及び束柱として機能する平断面が正方形又は矩形の杭で在って、その4周壁の中央には長手方向に凹部が形成されている杭、及び複数の杭の上端部にそのかど部に搭載される矩形の床板からなる基礎構造体であり、複数の床板から形成される床面の外周部を構成する床板の底面には、床板の長さ方向にかつ床板の端部に近接して少なくとも一つのリブが設けられ、リブの両端部は前記凹部に勘合することを特徴とする建築物基礎構造体である。
【0005】
請求工2は床面を構成する床板の底面に床板の外周端部に沿って二つのリブが形成され、これらリブの両端部が杭の凹部と勘合していることを特徴とする請求項1記載の建築物構造体である。
【0006】
請求項3は床面の四隅部を除く外周部を構成する床板の底面に床板の外周端部に沿って一つのリブが形成され、このリブの両端部が杭の凹部と勘合していることを特徴とする請求項1記載の建築物構造体である。
【0007】
請求項4は床面を構成しかつそのすべての外周端部が他の床板と隣接している床板の底面にリブが形成されていないことを特徴とする請求項1記載の建築物構造体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、杭基礎に支持される構造体であり、従って、地盤の掘削や軟弱地盤改良等の工事が不要であり、地中に又地上にコンクリートを打設する必要が無く、工期や無駄な費用を省いて効率よく施工出来る。
【0009】
本発明の、従来の現場打ち基礎と比べ大いに優位とするところは、現場杭打設時に、積載荷重許容強度を正確に計測する事が出来る事で、安全で且つ信頼の置ける建築物基礎構造体であり、従って上部に建てられる家屋は木造従来工法・2x4工法・軽量鉄骨造等、構築する事が出来る。
【0010】
本発明は、施工時には床下の配管工事等と床上の工事が同時に出来るなどの施工性が得られ、更に、災害時の仮設施設などのでは資材のストックも出来、又、解体はし易く再利用も出来るなどの利点が在る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、複数の杭と、規格化した3種の複数の床板のみで構成される建築物基礎構造体であり、前記3種の複数の床板は、互いに組み合わされ、密着して大小様々な矩形の床面を形成する事を可能にした。
【0012】
本発明における杭は、図4に示すように、該杭2の形状は平断面が正方形又は矩形で、外周四面共中央には縦長手方向に全面凹部4が施されており、その形状は半円形、もしくは台形もある。該杭の上端部にはアンカーボールト受金物7が埋め込まれ設置されている。
【0013】
図1に示すように、該床板3Aは、床板の外周端部に沿って底面に二つのリブ5を持ち、その両端部は何れも該杭2の凹部4と嵌合した形状になっており、更に図3に示されるように該杭2と接合する為のアンカーボルト用貫通穴11があり、又該床板3Aは、床構造体の四隅部に使用され、該複数杭2の四つのかどを持つ上端面に、その四つのかど1箇所、と二つのかど2箇所、と一つのかど1箇所に上乗せされ取り付けられる。
【0014】
図1に示すように、該床板3Bは、床板の外周端部に沿って底面に一つの該リブ5を持ち、その両端部は該杭2の該凹部4と嵌合した形状になっており、床構造体の四隅部を除く外周部に使用される、該複数杭2の四つのかどを持つ上端面に、その二つのかど2箇所、と一つのかど2箇所に上乗せされ取り付けられる。
【0015】
図1に示すように、該床板3Cは、床面を構成しかつそのすべての外周端部が他の床板と隣接している床板で底面にリブが無く、床構造体の外周部に面しない箇所に使用され、該複数杭2の四つのかどを持つ上端面に、その一つのかど4箇所に上乗せされ取り付けられる。
【0016】
本発明の、複数の該杭2の打設は、精度が重要視され、正確な位置で、予めオーガーによる、先行堀を行い、コンピュータ制御を搭載した杭打ち機にて慎重に施工され、打設された複数の該杭2は、図1、図2、に示すように地盤1に、支持され、前記複数の杭2の上端部を、地上に突出して床下まで延設されており、その延設された複数の該杭の上端部に、規格化された複数の該床板3A、と複数の該床板3B、が上乗せされ取り付けられ、前記床板3Aと前記床板3Bは、互いに組み合わされ固着し、矩形の床面の外周部が形成され、次に、複数の該杭2の上端部にて、複数の該床板3Cが、上乗せされて取り付けられ、該床板3Cは、その底面にリブを保有していないので、横ずれ及び、ガタズキの無い様、該杭2上端面で、外周端部が他の床板と隣接している箇所の隙間に、スチール製フラットバー6が挿み込まれ、確りと固定される。
【0017】
又、図5に示すように、複数の該床板3A、3B,3C、同志の各ジョイントの隙間には、鉄筋9が差し込まれ、モルタルポンプにて、樹脂系モルタル10が総充填される。該杭2の上端部にはアンカーボルトの受金物7が設置されており、更に地震時等に床スラブの浮力を吸収するよう錆難い硬質の椀型割座金8が用意されていて、該床板の上端よりアンカーボルトにて剛接合され、矩形の床面を形成する強固な建築物基礎構造体が構築される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】床組構成、平面図(点線部は杭と床板の底面のリブ)
【図2】床組構成、立面図(点線部は上部の建てる家屋)
【図3】規格化した(3種)各床板の底面の平面図、及び断面図
【図4】杭形状、平面図
【図5】杭と床板の接合部断面図、及び、床板ジョイント接合部断面図
【図6】各床板間の隙間処理図
【図7】本発明の説明、立体図
【符号の説明】
【0019】
1 地盤
2 杭
3 床板
4 杭の縦凹部
5 床板の底面のリブ
6 スチール製フラットバー
7 アンカーボルト受金物
8 アンカーボルト用椀型割座金
9 鉄筋
10 樹脂系モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎杭及び束柱として機能する平断面が正方形又は矩形の杭であって、その4周壁の中央には長手方向に凹部が形成されている杭、及び複数の杭の上端部にそのかど部が搭載される矩形の床板からなる基礎構造体であり、複数の床板から形成される床面の外周部を構成する床板の底面には、床板の長さ方向にかつ床板の端部に近接して少なくとも一つのリブが設けられ、リブの両端部は前記凹部に勘合することを特徴とする建築物基礎構造体。
【請求項2】
床面の四隅部を構成する床板の底面に床板の外周端部に沿って二つのリブが形成され、これらリブの両端部が杭の凹部と勘合していることを特徴とする請求項1記載の建築物構造体。
【請求項3】
床面の四隅部を除く外周部を構成する床板の底面に床板の外周端部に沿って一つのリブが形成され、このリブの両端部が杭の凹部と勘合していることを特徴とする請求項1記載の建築物構造体。
【請求項4】
床面を構成しかつそのすべての外周部が他の床板と隣接している床板の底面にリブが形成されていないことを特徴とする請求項1記載の建築物構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−121214(P2009−121214A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321351(P2007−321351)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(593063345)
【Fターム(参考)】